守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「いやー、本当に須藤は馬鹿だな」
廊下を歩きながらそう呟くと龍園は頷く。
「だよな。過去問があって赤点って……何にせよ俺達が狙う相手は決まった」
「山内だろ」
龍園はさっき山内を見て笑みを浮かべていたからな。
「正解だ。アイツを停学にして停学の際のペナルティを知る……ああ、鳳橋は干渉するなよ。テメェが絡むと怪しまれるからな」
そりゃそうだ。俺は学校に契約を持ちかけたり、Dクラスのメンバーに借金させたり、平田を退学させたりと色々やったからな。俺が絡んだら絶対に怪しまれる。
「了解した。じゃあまたな」
そう言ってから龍園と別れてCクラスの教室に戻ってくる。
「あ、狂夜君。どこに行っていたの?」
教室に入ると近くにいた夢が聞いてくる。
「ん?ちょっとDクラスで赤点を取った奴がいたからな。救済方法を教えてから手を差し伸べただけだ」
「お前の事だ。Dクラスに厳しい条件を出したんだろう?」
神崎がそう質問してクラスの大半がうんうん頷く。ある意味凄く信用されているな。
「そこまで理不尽な内容じゃねぇよ。そもそも俺の金を受け取らなくても須藤が退学したらクラスポイントにダメージが入るのだから」
悪いのは赤点をとった須藤なのだから。
「じゃあどうするか話そうか。須藤君を助けるかどうかを」
昼休み、櫛田がそう告げる。昼休みは1時間だが助ける可能性を考慮したら終了15分前までに結論を出さないといけない。
クラスメイトには苛立ちの感情が見える。正直言って面倒だが、クラスの今後を担う重要な話だから避けるわけにはいかない。まあ須藤が寝落ちしなければ回避出来た問題であるので、苛立ちの感情が強いけど。
「でも何で鳳橋はそんな条件を出したんだ?クラスポイントが多い時なら嫌だけど、今の俺達は0ポイントだぜ?」
「簡単な話よ。こっちに僅かでもクラスポイントがあれば元を取れるからよ。例えばこれからこのクラスが100クラスポイントを所有していたら、1人に支給される額は1万ポイントで、鳳橋君に払うのは1人あたり3000ポイント。それが34人だと10万2千ポイントになるから2ヶ月で元が取れるわ」
池の疑問に堀北がそう答える。もしも狂夜からポイントを借りた場合、狂夜は毎月Dクラスの生徒が1人1人が貰える額の10倍手に入るわけだ。
「で、今年度が終わるまで9回支給日があるな。ずっとクラスポイントが0ってわけにはいかないし、絶対に鳳橋の懐にはポイントが入るのか」
そんな言葉に空気が重くなる。須藤を退学にさせたい気持ちはDクラスに存在するが、だからといって退学にさせて更に他クラスとの間にクラスポイントの差を開きたくない。
しかし須藤を助けたら大半の生徒が今年度中須藤1人の為にポイントを狂夜に毎月支払う事になり間違いなく精神的苦痛になる。今年度クラスポイントを0にすればプライベートポイントは払わずに済むが他クラスの差は開き絶望が生まれる。
去り際に狂夜はどっちも地獄と言ったがまさにそうだった。
「あのさ、ちょっと良いかな?」
ここで恵が手を挙げる。
「良いよ。軽井沢さんはどう考えてるの?」
「今回の件は救済に動くべきだと思うの。そりゃプライベートポイントの3割は痛いかもしれないけど、あたし達は5月に0ポイント支給でもやりくり出来たし、そこまで苦しくないと思う。それにプライベートポイントも大切だけど1番大切なのはクラスポイントだし」
恵の言葉に反論は出来ない。何故なら言っていることは紛れもない正論の1つだからだ。
ちなみにこれは狂夜から「須藤を助けるように誘導しろ」と指示を受けている。狂夜からしたらDクラスのクラスポイントが減ろうがメリットがないのだから、プライベートポイントを得られる方を目指している。加えて須藤が助かればクラスメイトは須藤に対してヘイトを更に高めるから、愉悦主義の狂夜からしたら大歓迎である。
「でも3割って馬鹿にならないでしょ。それに須藤君がまた問題を起こさないとは限らないんだし、一旦クラスポイントを諦めるのも1つの手じゃない」
恵の意見に反対するのは小野寺かや乃だが、これもまた正論である。須藤が今後問題を起こさない確約は出来ないのだから、一旦クラスポイントを犠牲にしてでも狂夜に屈しないのも1つの手だ。
「どっちもデメリットが大きいな……クソッ、須藤が赤点なんか取るから……!」
「ほんとそれ。5月になっても迷惑をかけてたし」
「生きてて恥ずかしくないのかな?」
「馬鹿1人がいると全員に迷惑がかかるのに……」
「いっそ死んでくれないかな?」
1人の呟きを皮切りに須藤に対する暴言が表に出て、須藤は怒りながら震える。しかしここで手を出したら見捨てられるのは明白なので堪える。
「あのさ、プライベートポイントを向こうに渡すなら借金のチャラも条件に追加出来ないのかな?」
恵のその言葉にクラスから騒めきも生まれる。これも狂夜の指示である。
現状、Dクラスが狂夜にしている借金は20万弱だが、返済が割と困難である。今回の試験で借金組の大半はボーナスを入手出来ない上、非借金組は借金組を嫌悪をしているのでアテに出来ない。
表向き優しい櫛田とAクラス行きを強く希望する堀北あたりは立て替えを考えていても、2人合わせても10万前後で届かず、他のボーナス取得者は乗り気でない。
他クラスについては頼れない。自転車操業をしていたらいずれ破滅するし、上級生に頼もうにも返済能力を疑われ断られるのがオチだ。
よって借金のチャラを頼むのも悪くないが……
「その場合、借金してる人はワンランク上の要求をされると思うよ?」
櫛田はそう返す。狂夜の性格的に絶対にそうするのは明白。今年度のみならず卒業まで支払うとか、3割ではなく4割支払うみたいな感じで。
「それで良いだろう。借金組の大半は4月にクラスポイントを減らし、金銭管理も出来ず、挙句真面目に授業を受けていた生徒に立て替えろと要求……救いようのない無能だ。そいつらが厳しい立場になるのは必然だ」
「だよね。私なんか授業を真面目に受けていたのに、良い迷惑だよ」
「本当に厄病神だぜ。特に篠原なんかブスで成績が低い癖に偉そうだしよ」
幸村の言葉を皮切り、真面目に授業を受けていて尚且つ借金をしてないメンバーの不満が爆発する。
「何よ偉そうに!アンタ達だって同じ不良品扱いじゃない!」
「うるせーよ!少なくともテメェよりはマシだ。過去問使って60点台のテメェよりはな!」
「大体顔がブスの癖に偉そうなんだよ!しかも早く借金を返した軽井沢と松下に文句言ってるが心もブスだな!」
「いっそここで暴力しか振るえない須藤と一緒に退学してデキ婚でもしてろや!どうせお前みたいな身も心もブスに貰い手なんかいないんだからよ!」
「事実言われてキレてんじゃないわよ!大体軽井沢のグループって軽井沢と松下と佐藤は可愛いけど、アンタだけブスじゃん!ブス1人目立ってキモいから!」
「っ!何よっ!人を馬鹿にして……!」
篠原がキレるが、とばっちりを受け金の無心をされた面々はそれ以上の怒りを篠原にぶつけ、心無い言葉をたくさん受けて悔し涙を流す羽目になる。特に最後の言葉は自分でも薄々思っていたことなので悔しさで一杯だった。
「皆やめて!今は揉めてる場合じゃないよ!本筋から外れて喧嘩なんてしても意味ないよ!」
ここで櫛田が叫びながらも止めに入る。それに対して篠原に文句を言っていた面々は櫛田"には“しっかりと謝罪した。
「まあ確かに時間が迫ってるし決めないと。もう多数決で決めるしかないでしょ」
「正直どっちも嫌だけど」
恵の言葉に松下がそう答えると、クラスの皆が松下と同じように嫌な気分になる。
「それは皆同じだから我慢するしかないでしょ。須藤君を除いて多数決で決めましょ。反対意見があるなら早く言って」
恵が周りを見回すが反対意見は出ない。どっちも地獄なら運に任せるべきと考えた者が多いからだ。
「じゃあ須藤君の救済に賛成の人」
櫛田の言葉に半分近くの人が手を挙げる。それはクラスポイントを守りたかったり借金の返済を望んでいる人が中心だ。
「20人……平田君が退学になって須藤くんは不参加だから38人……反対は18人だから救済だね」
櫛田がジャッジを下すと反対派18人は露骨なため息を吐く。反対派はクラスポイントを犠牲にしてでも厄病神の須藤を消したかったのだ。
「じゃあ決まりね。櫛田さんが代表だし呼んでくれない?」
「あ、うん。わかった」
恵の言葉に櫛田は嫌な気分になるが、それを表に出さずに頷く。狂夜とは関わりたくないが先程狂夜と話したのも櫛田だったので、櫛田が呼ぶのは筋である。
(本当、須藤って厄病神!あと1人反対が居れば良かったのに)
こっちが過去問を用意しておきながら寝落ちして勉強不足で赤点を取り、その為に様々なペナルティを考慮したのだ。ストレスの塊でしかない。
櫛田は内心にて須藤をこの上なくこき下ろしながらメールを打つのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで