守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「よく聞け。この問題とこの問題とこの問題は毎年絶対に出てるからしっかり頭入れとけよ」
6月30日、俺は視聴覚室のプロジェクターにて2種類のプリントを見せる。
これは昨年と一昨年の1学期期末試験の過去問だ。毎年同じである1学期中間試験と違って問題内容は違っているが、一部の問題は数字だけ違う問題もあるし、基本的な構成問題は同じだから基礎を積んで過去問さえやれば、問題解ける筈だ。
改めて解説をしようとした時だった。ポケットにある携帯が三回連続でなる。合図の時間だな。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ……失礼。で、重要なこの問題については明日提出予定の物理の宿題プリントが役に立つ。解説するから全員出せ」
わざと咳払いをしながらそう指示を出すが、この咳払いは喉の不調ではなく合図である。
「あっ……!」
俺の咳払いに1人の女子が反応する。
「どうした姫野」
俺は1番後ろにいる女子、姫野ユキに話しかける。
「ごめん。コーヒーを溢しちゃった」
姫野はコーヒー塗れのプリントを見せる。
「そうか。明日提出だし、特別棟に行って新しいプリントを貰ってこい。お前の物理の成績なら解説はいらないだろうしな」
「わかったわ、じゃあ行ってくる」
姫野はそう言って視聴覚室から出ていくが、奴こそが俺の腹心の1人だ。先程のメールは作戦決行の合図で、俺の咳払いは姫野に作戦開始を告げる暗号で、姫野がコーヒーを溢したのは視聴覚室から出て物理教師がいる特別棟に行く為の方便である。
後は彼女に任せて俺は勉強会に集中しよう。
「で、今回の宿題にあった力についてだか、これは摩擦力が関係してるから面倒になる。詳しく教えるがわからなくなったら直ぐに言え。わからない事は仕方ないが、わかろうとしないのは論外だからな」
俺は熱意を込めて教えていく。この場にいる全員がボーナスを得る為、全科目で平均点95点以上を取って白波が赤点を取る可能性を1%でも上げる為に。
姫野ユキは新しいプリントを貰うため、物理準備室がある特別棟に向かっている。
しかし物理プリントは1番の目的ではなく、本当の目的は別にある。
そして特別棟入り口に近寄ると今回の目的である男女ペア……山内と真鍋が先に特別棟に入るので15秒遅れてから特別棟に入る。そして忍び足で階段を上る。側から見れば怪しい事この上ないが、特別棟には監視カメラがないので問題ない。
今回ユキは狂夜から山内を停学にしたいからと様々な指示を受けたが、文句を言わずに指示を受け入れた。
そしてユキは2階と3階の踊り場に着く直前に龍園のクラスメイトの山下から預かっている携帯を利用して「予定ないなら今からスイパラに行かない?」とメールを送り、階段を上る。
すると……
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」
「な、なんだ?!」
山内に胸を揉まれている真鍋が大声を上げながらこっちに向かって走ってくる。当の山内は戸惑っている。
真鍋はそのまま階段の方に向かってきて、降りながらユキに小さくウィンクをして、そのまま降りていく。
山内は慌てながらこっちに向かう中、ユキは口を開ける。
「アンタ何やってんの?痴漢とかマジで最低」
「違ぇよ!アイツが触らせてきたんだよ!」
「いや、学年1嫌われてる男子のアンタにそんなことする女子がいるわけないじゃん」
「な、なんだよそれ!」
「知らないの?胸の大きさランキングの作成とか、借金の立て替えの強要とか有名だよ」
「ふざけんなよ!ランキングなんかは軽い冗談だし、借金については全部鳳橋が悪いんだ!」
そんな風に喚く山内が、ランキングについては女子からしたら冗談だろうが最低の一言だ。
借金についても確かに事の発端は狂夜だろう。
しかしその後については山内達の自業自得だ。山内達借金組が、非借金組に「迷惑をかけてすまなかった。これから改善していくから、借金の返済に力を貸してくれ」と頭を下げていれば、非借金組も手を差し伸べていたかもしれない。
しかし山内達はあろう事か「借金を立て替えろ」とか「困ってる人を助けるのは当たり前だ」と自身らの借金の返済について、非借金組に対して協力を強いたのだ。
よって山内や須藤や池が嫌われるのは当然の帰結である。
「とにかく!俺は何にも悪くないし、さっきの件については向こうが悪いから勘違いすんなよ!」
山内は怒りながら階段を降りていくが、ユキからしたら奴の存在は理解不能だった。あんな幼稚な高校生がいるなんて信じられない気分だ。
「……まあいっか。それよりプリントを取りに行かないと」
ユキはそのまま3階に到着して4階に向かうが、3階の踊り場に着いた時に下の方から足音が聞こえてきて3階から誰が去っていくのが目に入る。ユキが見た際にはツインテールは見えたが顔は見えなかったので、女子であることしかわからない。
多分彼女も先程のやり取りを見ていたのかもしれない。
(大した問題じゃないだろうけど、一応連絡はしてかないとね)
ユキ自身、大した問題じゃないと思っている。女子なら山内春樹の悪名は有名だし、彼を貶める行為は賞賛される事になっても否定されるようなことではない。少なくともユキが彼女の立場なら目撃者として名乗りあげるつもりはなかった。
しかし独断で判断するのは良くないので、ユキは後で報告すると決めて物理準備室に向かうのだった。
午後7時
「……良し。今日はここまでだ。各自解散してくれ。わからない点がある奴は残ってくれ」
勉強会の終わりを告げると各々が解散する中、姫野がこっちにやって来る。
「ちょっと質問があるけど良い?」
そう言ってるが質問内容は勉強会についてじゃないだろう。
「ああ……姫野以外は居なそうだし、一之瀬達も帰って良いぞ。戸締りは俺がやっとく」
「わかった。じゃあお願いね」
「また明日も頼む」
一之瀬や神崎のような指導サイドも出て行き、必然的に姫野と2人きりになる。
「で?どうした?」
「実はさっき特別棟で事件を見た後、物理準備室のある4階に向かってる時に3階で女子が動いているのを見たの」
それは予想外だ。放課後に特別棟に来る物好きがいるとはな。
「誰かわかったか?」
「ツインテールの女子ってだけだね」
流石にそれだけじゃ特定出来ないな。
「わかった。そっちについては今後の状況次第だが対策を考える」
ソイツが目撃者として名乗り出るとは限らないからとりあえず様子見だ。実際山内がどうなろうと女子は興味ないだろうからな。
「他にも報告することはあるか?」
「特にないね」
「わかった。じゃあ今日は上がって構わない。ご苦労だった」
「んっ、また明日」
姫野が視聴覚室から出ていくと俺は戸締りをしてから三十路宮に鍵を返して寮に戻る。
そして部屋に戻ると良い匂いが漂っているのでリビングに入るとエプロン姿の恵がいた。
「あっ、お帰り狂夜。もう直ぐご飯できるから」
「ああ。クリームシチューか」
「狂夜の好きなチキンも入ってるから」
「よくやった。俺のペットとして大分成長したな」
「えへへ……ご褒美はエッチだからね?今日は安全日だからゴム無しで」
俺が顎を撫でると恵は嬉しそうに笑う。料理の腕も良いし、身体の相性も悪くない。俺の所有物の中でも上物だし、卒業しても可愛がってやるとするか。
「良いだろう。風呂を楽しみにしてろ」
「うんっ!」
恵が頷くのを見ながら俺はベッドに鞄を投げてから腰を下ろす。
明日は7月1日、色々事件が起こるだろうが、どうなるか見ものだな。
俺は明日を楽しみにしながら恵の料理を楽しみに待つのだった。
そして恵の料理を堪能してから、風呂で3回戦までやってグッスリ睡眠を取り、7月1日を迎えた。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで