守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
山内が停学になってから数日、遂に期末試験を迎えた。
朝のHRが始まる前、俺は黒板の前に立ちクラスメイト全員を見回す。
「もう直ぐHRが始まる中、俺の話に付き合ってくれる事を感謝する」
俺の言葉に1人を除いてクラスが静まり俺の話に耳を傾ける体勢を取る。
「お前らはこれまで、俺の勉強会によく付き合ってくれた。授業の直ぐ後の勉強や休日の大半を費やした対策試験など大変だっただろう」
その言葉に一部の生徒は頷くが文句は言わない。やはりキツかったのは事実だろう。
「だがお前らは辛くても付いてきてくれた。結果として対策試験でも平均点が90点前半と素晴らしい成績だった」
俺がそう告げると約1名は震え出すが気付かないフリをする。
「お前らは強い。その事を誇りに持ちながら今回の試験に挑め。目標は全科目でクラス平均95点以上だ!」
強い口調でそう言ってから一つ区切り右手を挙げる。
「これまでの努力を思い出せ!限界を超えていけ!全員で獲りに行くぞぉっ!」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』
俺の掛け声にクラスメイトらは男子を中心に大声を出しながら俺と同じように手を挙げる。そこから伝わる熱は圧倒的であり、プレッシャーがヒシヒシと伝わってくるが実に心地良い。
そして唯一手を挙げずにガタガタ震える白波を見て愉悦感が出てくる。しかも白波の前にいる一之瀬も白波の態度に気づかずに手を挙げているからな。
今の演説はクラスの士気を上げる事と白波の精神にダメージを与える事を目的として行ったが思いのほか成功しただろう。
キーンコーンカーンコーン
同時にチャイムが鳴るので俺は両手を広げて皆に静かになるようにジェスチャーをしてから席に着く。
「はーい。皆おはよう。気合いが入っているようで何よりだよ」
星之宮が封筒を持って教室に入ってくる。
「ああ。全員やる気全開だからな。ボーナスはしっかり準備しとけよ」
「楽しみにしておくよ。テストだから皆頑張るように」
星之宮はそう言って椅子に座り、テスト用紙を裏にして配る。
そして全員に行き渡ってから数分後……
キーンコーンカーンコーン
「始め」
チャイムが鳴りテスト開始となった。さぁて、頑張りますか。
3時間後……
キーンコーンカーンコーン
「はい終了。筆記用具を置いて後ろから回収」
数学のテストを終えて星之宮がそう告げると皆がテスト用紙を後ろから回していく。
そんな中、白波千尋は焦りで一杯だった。
(どうしよう……次は英語だけど自信ないよ……)
1時間目の理科、2時間目の社会、3時間目の数学のテストを行なった際にも白波の精神は擦り減っていた。
何せ白波は1番後ろの席だが白波が悪戦苦闘する中、白波より前にいる人は殆どが20分以内に筆記用具を置いていたのだ。
しかも見直しについても流し見しただけで済ませていて、まるで名前や回答のズレがないかの確認くらいしかしてないように見えた。
加えて休み時間では最後の悪あがきをしていたのは白波だけで、他の面々はトイレに行ったり、鉛筆を削ったり、飲み物を飲んだりしていて教科書やノートを出してないのだ。
朝のHR前に鳳橋は全科目でクラス平均95点以上を目標にしていたが、白波は今になって本気で95点以上を目指そうとしているのを理解させられた。
これまでの3科目についても不安なのに4時間目は苦手な英語だ。しかも苦手の科目であるが故に自主的に勉強するのが難しかった。
下手したら赤点を取る可能性が高いが、狂夜の勉強会に参加しなかった自業自得である。
赤点を取ったら愛しの一之瀬と離れ離れになってしまう。それだけは嫌だから何とかしないといけない。
狂夜が開催した勉強会に一回も参加せず、一之瀬の事を考えてばかりの白波の自業自得であるが白波は自身の自業自得とは考えず、トイレの為か教室の外へ出ようとする一之瀬に点数を下げてくれと頼もうと立ち上がろうとする。
「一之瀬。これまでの3科目はどうだ?」
しかしその前に白波の怨敵である狂夜が一之瀬に話しかけていた。
「あ、うん。数学については1問わからなかったけど95点以上は取れたと思うし、理科と社会は満点の自信があるよ」
その言葉に白波は更に絶望する。まさか一之瀬も中間の時よりも伸びてるとは思わなかった。
「なら良かった。テスト前には負担をかけまくって悪かったな」
「気にしないで。鳳橋君も生徒会が忙しかったんだよね?」
「あの屑の後始末がな……何にせよ大丈夫そうで良かった。残りの2科目も満点狙いで頼むぞ」
「うん、わかってるよ」
その言葉に白波は歯軋りする。怒りが狂夜に向けられる。
(ふざけないで!私を退学させて帆波ちゃんを玩具にするつもりでしょ!)
白波の中で狂夜は自分を退学させる為に勉強会を開いていると考えていた。
……第三者が聞いたら理不尽とも言える怒りだが、実際は正解である。
「じゃあ戻るが頑張れよ」
白波が怒りを狂夜に向ける中、狂夜は一之瀬に軽く手を振って自分の席に向かう。
そして一之瀬が再度立ち上がろうとしたタイミングで白波も立ち上がろうとしたが……
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、星之宮が入ってくる。
「はーい。4限目の英語の時間だよ〜、静粛にして着席してね」
「っ!」
「あらら……」
タイミングの悪さから白波は目を見開き、一之瀬が残念そうに席に座る。これでは点数の下げについて頼めなくなった。
(ふざけないでよ!どこまで私をコケにしたら気が済むの?!)
白波はそれについても狂夜のせいにしてストレスを溜めている。個性がストレスだったら、この学校を海に沈められるくらい膨大なストレスを。
そしてテストが始まるが、白波は溜まりに溜まったストレスにより集中し切れず、自分でも直ぐわかる誤字を書いたり、シャーペンのペンを折ったりしたり……
ビリィ!
苛立ちながら消しゴムを使ってテスト用紙を破ってしまう。
「あら?消しゴムを強く使ったの?答案用紙を取り替えるよ」
星之宮はそう言って答案用紙を取り替える。破ったら即失格でないことは良かったが、タイムロスになっている事は事実。
白波は焦りながら答案用紙に答えを書いていると、前に座っている一之瀬が手を挙げる。
「どうしたの一之瀬さん?」
「テスト中にすみません。お手洗いに行かせてくれませんか?」
先程トイレに行きそびれた一之瀬は星之宮にそう頼む。それを聞いた白波はチャンスだと思った。自分もお腹が痛いと言ってトイレに行けば、一之瀬に点数を下げて貰えるように頼めると思ったのだ。
尤も、カンニング防止の為に「一之瀬さんが戻ってからにしなさい」と返されるのがオチだろうけど。
しかし……
「別に良いけど、カンニング防止の為に携帯を没収して、通信機器がないかボディチェックをするよ」
「でしたら私の答案は回収してください。もう全部解き終わって、名前や誤字脱字や解答欄のズレなどに問題なかったので、絶対に疑われないようにしたいです」
一之瀬の一言が白波を絶望に叩き落とす。答案用紙を回収されたら、白波が頼んでも点数を下げる事は出来ない。だからといってもここで堂々と頼んだらカンニング扱いされてしまう。
しかし白波が焦る中、星之宮は頷いて一之瀬の答案を回収して教室を出る一之瀬を見送る。
(あぁ!何で?!何で私がこんな目に……!)
白波は自分に降りかかる不幸を呪っていた。(全てが自業自得である)
しかしこのまま回答しないと確実に退学である。
白波は怒りを宿しながら解答欄を埋めていくが、苦手科目だけあってストレスが溜まっていた。
キーンコーンカーンコーン
何とか全ての問題を解き終えると、その10秒後にチャイムが鳴り、テスト用紙が回収される。
ギリギリで終わった白波は安堵の息を吐くが、昼休みになり立ち上がる狂夜を見て怒りを宿し……
「死ね!」
罵倒をしてから昼食を食べる為に食堂に向かうのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで