守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「おや戸塚君。レストランでは静かにした方が良いですよ。まるで須藤君みたいですよ」
レストラン内にて怒鳴った男に坂柳は最大級の侮辱をする。今まで沢山の人間を罵倒したり、沢山の人に罵倒されたりしたが今の坂柳が放ったレベルの罵倒はそんなに経験していない。
「何だと?!俺をあんな不良品と一緒にするな!」
案の定男は顔を憤怒に歪ませながら更に怒鳴るが……
「おいおい。誰かと思えば最上位のAクラスに居ながら、期末試験で123位でAクラスで唯一の3桁だった戸塚弥彦君じゃないか」
龍園が笑いながらそう口にする。間違いない、コイツがAクラス最弱の戸塚だ。
「っ!煩えよ!Cクラス上がりのチンピラが!」
図星を突かれた戸塚は慌てながら龍園にキレるが……
「うわ、123位が喚いているよ」
「つか123位って下位40位以内に入ってるじゃん」
「アレがAクラスかよ?ウチのクラスの白波も元Bクラスだし、学校の選考基準って狂ってるんじゃね?」
「あり得るな。須藤とか池とか山内とかが入学出来てるし」
「アレじゃね?各クラスに数人の穴となる人物を置いてんじゃね?Aクラスではそれが戸塚だった感じで」
『それだ!』
そんな会話が聞こえてきて、戸塚は顔を赤くしながら震えるが確かに一理ある考えだ。
どのクラスにも足手纏いとしてクッキリしている存在がいるし、学校が敢えて足手纏いを入れているのかもしれない。まあそれを踏まえてもDクラスは足手纏いが多過ぎるだろう。
「煩えよ!Aクラスでもない奴が見下してんじゃねぇよ!」
「見ろよアレ。Aクラスの事しか言えてねぇぞ」
「自分に強みがない証拠だな。自分に強みがないからAクラスって肩書きを偉そうに語るんだろ」
「裏を返せばAクラスにいるだけで、何の価値もないって事でしょ」
戸塚は喚くが、周りの人間は嘲笑を浮かべるだけだ。
戸塚は更に顔を赤くするが、その前に坂柳が口を開ける。
「そこまでにして貰えませんか」
坂柳の静かな言葉に周りが静まるが、坂柳が戸塚を庇うために止めるわけがない。
「まずはウチのクラスの戸塚君が皆さんに不快な気分にさせた事を謝罪します。申し訳ありませんでした」
坂柳は頭を下げるが……
「ふざけんじゃねぇよ!俺が悪いみたいに言いやがって!」
戸塚からしたら自分が完全に悪いように言われてるからな。
しかし坂柳は戸塚の喚きを無視して話し続ける。
「ですが人前でよって集って弱いもの虐めをするのをやめて頂けると幸いです。皆さんはこの学校に入学出来た人間、謂わば政府から期待を持たれている人間ですからマイナスイメージになってしまいます」
わーお何とも容赦ないな。戸塚を弱者扱いしながら、Aクラス以外の生徒を持ち上げているし。
「皆さんが不満に思うのは仕方ありません。しかしこれ以上続けても誰も幸せになれませんので、どうか弱いもの虐めはここまでにして頂けませんか?」
「ちっ」
再度頭を下げる坂柳に隣にいる龍園は小さく舌打ちをする。まあ坂柳の発言はAクラスのリーダーとして大切だ。
戸塚の発言はAクラス以外を見下しているが、それを理由にして「Aクラスを叩こう」ってBCD連合を組まれる可能性がある。
Aクラスのリーダーとしてはそれを避けるべきだし、連合を組む場合に代表となる龍園からしたら面白くないだろう。
しかし龍園はここで割って入らない方が当然だ。坂柳の思惑は兎も角、発言内容は自分を低くして、Bクラス以下の3クラスの生徒を上げて、皆を不快にしていた戸塚をこき下ろす内容であり、周りを見れば先程あった嘲りや怒りの色が遥かに薄まっている。
ここで余計な事を言ったら実績を上げている俺や龍園でも支持率が落ちるだろう。ここで堂々と坂柳を罵倒するのは本物の馬鹿だろう。
すると……
「俺が弱者だと?!杖が無けりゃ何も出来ない奴に言われたくねぇよ!」
どうやら戸塚は本物の馬鹿のようだ。よりによって最悪の発言を言ったよ。周りの人間もドン引きしている。
「弥彦!今のは言って良い事じゃない!」
「か、葛城さん……で、でも事実じゃないですか」
馬鹿の暴言に葛城も激昂するが、馬鹿はしどろもどろになりながらも反論する。
「っ……」
そんな馬鹿の発言に坂柳は一度小さく悲しそうに呻きながら俯くが、俯く直前にチラッと俺を見て、「合わせろ」と目が言ってきた。
同時に俺は坂柳の意図を察して、坂柳の正面に立って俯く坂柳を優しく抱きしめる。
「坂柳、周りの発言なんか気にするな」
「……申し訳ありません」
坂柳は消え入りそうな声を出す。第三者からしたら坂柳が悲しんでいるように聞こえるが、坂柳の本性を知っている俺からしたら呆れの感情が浮かんでいるし、龍園や恵も呆れ顔を浮かべている。
「……とりあえず俺は坂柳を連れ出すから飯は食ってろ」
言いながら俺は坂柳を抱き抱え、俺にしか見えないように口元に笑みを浮かべる坂柳に呆れながら恵にアイコンタクトで指示を出すのだった。
狂夜が有栖を連れ出してからレストランは沈黙に包まれたままだ。しかし沈黙を破ったのは……
「最っ低〜」
恵の軽蔑した声だった。周りの人間も大声で糾弾しなくても軽蔑した眼差し向けたりやヒソヒソ話をする。
中にはAクラスの人もいて、坂柳派葛城派問わず戸塚に軽蔑した眼差しを向ける。
そんな中、龍園も悪ノリする。
「戸塚よぉ。今の罵倒は人として問題だし、学校に報告するからな。生徒会として学校の秩序を守らないとな」
『ぶっ!』
龍園の言葉にその場にいる大半の生徒が噴き出す。龍園の口から秩序を守るなんて出るなんて予想外で龍園のクラスメイトに至っては呼吸困難になっているくらいだ。
「な、何でだよ?!納得いかねえょ!クラスポイントを減らすためにお前らが企んだんだろ?!」
「何言ってんだお前?初回なんだからクラスポイントには影響は出ねぇよ。今後も連続して同じ発言をしたならまだしも、今回はクラスポイントにダメージはねぇよ」
これについては龍園も確信している。戸塚の罵倒は酷かったが、罵倒だけで直ぐクラスポイントが減るなら完全に泥試合になるからだ。
「だ、だったら学校に報告する意味はないだろ」
「ポイントには影響はないが、内申には影響が出るだろうな。大学や会社には戸塚弥彦はこういう人間だって知って貰うべきだからな」
「な、何で軽い冗談でそんな目に遭わないといけないんだよ!」
「軽い冗談で人生を捨てうるなんてのはバカッターでわかってるだろうが。何にせよ俺はお前の暴言について学校側に知って貰う必要があるから報告するが、この場にいる人間は教師に聞かれたら正直に話せ。軽井沢も来い」
「はーい」
「待ってくれ」
葛城が龍園と恵を止めに入るが龍園は気にしない。
「何だ?まさかとは思うが生徒会志望のお前が問題発言をしたコイツを庇うのか?コイツが許されるには坂柳と、騒いだ事で迷惑をかかったこの場にいる皆に誠心誠意謝罪をする必要がある」
「………」
龍園の発言に葛城も黙る。実際葛城も戸塚の発言には思うところがあるので、龍園らしくない正論に反論出来ない。
「以上だ。戸塚は呼ばれるかもしれないが、その時は素直に応じるように」
「ふざけんなぁ!」
龍園は役所仕事とばかりに淡々に話しながら恵と共にレストランを出て、戸塚の怒りの声がレストランに響くのだった。
「……騒がしいな」
綾小路清隆はそう呟く。森下と山村の2人とレストランに行ったら戸塚と須藤のトラブル、戸塚と坂柳のトラブルを近くで聞いたので疲れが溜まってしまう。
「そうですね。しかし今回の戸塚弥彦にとって良い薬でしょう」
「いつも、他のクラスをこき下ろす発言をしてます……」
森下と山村が綾小路にそう返す。
「なるほど。しかし本当に各クラスにはお荷物枠があるのかもな」
「かもしれませんね。私も他人とはズレている所があるからお荷物枠かもしれませんね」
「……森下さんは違いますよ。私がお荷物枠ですよ……」
森下と山村はそう告げるが……
「オレはそう思わない。運動能力は知らないが学力は優秀だし、何より優しい心を持っているからお荷物枠とは思わない。正当な評価でAクラスに入ったと思う」
綾小路は2人の意見を否定する。綾小路は入学してから話した女子を思い出す。
ーーー私の奢ったランチを食べたでしょう?手伝って貰うからーーー
ーーー良い加減にAクラスの人と連むのはやめて私の手足として馬車馬のように働きなさいーーー
学力、身体能力など自分より遥かに劣っているのに、いつまでも上から目線で協力を強要する堀北鈴音
ーーーマジでウザい、ムカつく。死ねば良いのにーーー
ーーーあんたの指紋、べっとりついたから冤罪じゃなくなるからーーー
裏の顔を持って、平気で人に冤罪を押し付けようとする櫛田桔梗
ーーーこれは取引だ綾小路。お前は私の為にAクラスを目指す。私はお前の為にフォローする。良い話だとは思わないか?ーーー
ーーーもう一度聞こう。Aクラスを目指すか退学するか、好きな方を選べーーー
教師の癖に生徒の領域に平然と入りこみ、あろう事か脅迫する茶柱佐枝
Dクラスに関係して自分と関わりがある女は揃いも揃って屑だらけだ。
それに対して……
ーーーストレスが溜まった?でしたら一狩り行きませんか……え?モンスターハンティングを知らない?もしかして箱入り息子ですか?私が教えますから、極限ガララを倒せるように頑張りましょうーーー
ーーーあの、薬膳茶を作ってみたので、私の作ったものなんかで良ければ……え?凄く嬉しい……ありがとうございます……ーーー
クラスの人間によって溜まったストレスを発散する為に協力してくれた2人は優しいと綾小路は思っている。(極限ガララ戦は人生でトップクラスでイライラしたが)
そんな事もあり綾小路からしたら彼女らはお荷物枠とは考えていなかった。
「清隆にそう言われると不思議と嬉しいです」
「……そうですね。ありがとうございます」
2人は小さく笑いながら礼を言ってくるが、綾小路はそれだけで満たされた気分になり、願わくばバカンス中はこの気分がずっと続いて欲しいと思うのだった。
……まあ翌日にはそんな希望が消え去るのだが。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで