守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「んっ……はっ……」
「んっ……あんっ……あー、気持ち良い。日頃の仕事の疲れが癒される……」
船内のマッサージ施設にて、一之瀬と星之宮が水着姿でマッサージを受けていた。
「やっぱり教師って大変なんですね」
「まあねー。しかもこのバカンスで休めると思ったら、戸塚君の問題発言の対応とか、カジノで8人の出禁者が出た事を聞いて初っ端から疲れたよ」
星之宮はため息を吐くが一之瀬は目を見開く。カジノについては300万まで換金出来るとは聞いている。一之瀬は博打などはやらないがカジノは運営が有利であることくらいはわかるので、簡単に300万稼いだという事実には驚いた。
「8人って、2人は鳳橋君と龍園君だと思いますが後6人は誰ですか?」
以前狂夜から、自分と龍園は裏カジノのディーラーや麻雀の代打ちの経験があると自分の過去の問題が可愛く思えるほどのぶっ飛んだ過去を聞かされた。
その話から2人が300万稼ぐ事にはそこまで驚かないが、更に6人いるのには驚かされた。
「Aクラスの坂柳さん、Bクラスの石崎君と伊吹さんと山田君、Dクラスの綾小路君と高円寺君だね。まあ龍園君以外の3人は龍園君が稼いだ物を渡したものだけど本当に驚いちゃったよ」
「つまりBクラスは1200万稼いだ事になりますが、ルールに抵触しないんですか?」
「1人あたり300万までしか換金出来ないってルールはあって、自分のコインを渡すのは禁止ってルールは無かったからね。急いで「他人へのコインの譲渡を禁止する」ってルールを作ったよ。鳳橋君が先にやって欲しかったなー」
星之宮は悔しそうに呟く。これによりBクラスは更に資金が増えた事を意味する。狂夜も4月の口止め料、平田や愛里の件、定期試験のボーナスで着実に資金を貯めているが油断は出来ない。
「そうでしたか。けど他にも300万稼いだ人が3人もいるなんて注意ですね」
しかもその3人が有栖、高円寺、綾小路と話題の3人だ。有栖と高円寺は期末試験で狂夜と同じく全科目満点を取り、綾小路は学年屈指の身体能力を持つ須藤を5メートル近く殴り飛ばしている。3人とも一之瀬からしたら脅威である。
「まあねー。油断は出来ないし、鳳橋君にはもっと頑張って貰わないとねー」
「……そうですね」
星之宮の言葉に一之瀬の顔が僅かに曇る。
狂夜の手腕は見事である。4月までは他人と殆ど連まない状態でも、今ではクラスの殆ど全員を支配している。
筆記試験と体力テストで学年首位の文武両道さ、自らのダメージを気にしないでポイントを稼ぎに行く貪欲さ、クラスの成績を大きく上げる手腕、質問があれば嫌がらずに付き合ったり身体能力強化メニューを作る面倒見の良さ、テスト後に自腹で豪華な食事を奢ってくれる太っ腹具合
リーダーとして必要な要素を詰め込んだ狂夜はCクラスのリーダーとして地位を確立している。
それだけなら一之瀬も狂夜を支持しているが、敵対する人間に対する冷酷さとそれに関わる影響力だけは認められずにいる。
現在Cクラスで狂夜に反抗的な態度を取っているのは白波だけだが、白波に対して冷徹な対応で、人を見る目ではなく物を見る目を向け、躊躇いなく暴力を振るっている。
しかも恐ろしいのが、一之瀬以外のクラスメイトの大半が白波に対する暴力を肯定しているのだ。
龍園達Bクラスは今でも偶にちょっかいをかけてきて、それに対しては否定しているが、白波に対する暴言や暴力は誰も否定しなくなったのだ。
もちろん全員が肯定しているわけではないが、否定しているわけでもない。以前一之瀬は和を尊ぶ柴田にも狂夜のやり方について聞いたが……
ーーー確かに鳳橋はやり過ぎだとは思うけど、アイツはクラスの為に一生懸命動いてるし、信用出来る。けど白波は努力もしないで鳳橋を否定して、男子や鳳橋の味方の女子を屑扱いしてるし自業自得な面もあるだろーーー
そう返されてしまった。他の元々優しい性格の人にも聞いたが全員が柴田と似たような答えを返して、4月までは一緒に仲良く遊んだ麻子と夢に至っては狂夜の影響で白波に対して笑いながら暴力を振るうようになったくらいだ。
一之瀬としてはその環境を改善したい気持ちは強いが、狂夜の支配力に勝てる気がしなかった。
そんな一之瀬を見て、星之宮は内心でため息を吐く。
「暗い顔をしてるみたいだけどさ〜、一之瀬さんも意識を変えるべきじゃないかな?」
「っ……それは、暴力を振るう事を認めるって事ですか?」
「違う違う。一之瀬さんが白波さんに中途半端な対応をするのが問題なの。ちゃんと彼女を咎めて、退学になりかけたって事実を常に覚えて貰うようにしないと」
星之宮は夏休みに入ってからの白波を思い出す。偶にケヤキモールで見かけるが楽しそうに一之瀬と話しているし、まるで退学になりかけた事を忘れてるようにも見えた。
「確かに今のCクラスは過激だけど、元々は白波さんの行動でこうなったんだから改善するには白波さんの意識改善は絶対だよ。けど彼女が変われないなら、一之瀬さんが変えるしかない。それが無理なら今の環境は変わらないよ」
これについては間違いないだろう。事実白波は、一之瀬と離れ離れにならずに済んだ事に有頂天になっているのは星之宮もわかった。
「今までは軽い注意しかしてないみたいだけど、厳しい注意するのも優しさの1つだから胸に留めなよ」
「……はい」
星之宮の注意に一之瀬は頷く。一之瀬としてもこれ以上暴力が蔓延するのは避けたいので反論をしないで強く頷くのだった。
星之宮はそれを見るが、白波が変わる事に対してカミソリのように薄い期待をするのだった。
尚、当の白波本人は……
「帆波ちゃん……どこ?どこに行ったの?」
一之瀬を探していて、誰かと一緒にいるなら無理矢理にでも引き離すと決意しながら何十回も電話とメールをしていた。
「うわ、見ろよアレ」
「野蛮人と変態よ」
「性犯罪者だし、女子の水着を見に来たのかよ?」
「気持ち悪いんだけど……」
プールにて須藤と池が歩いていると男女が大小差はあれど、嫌悪感を宿した眼差しで見てくる。
「何だよ?!ジロジロ見てんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞ!」
「俺は犯罪を犯してねぇよ!」
2人は喚くが嫌悪感は消えない。須藤はこれまでに何回もトラブルを起こしているし、池は須藤や停学を食らった山内と連んだり卑猥な話をしていた事により、評判は悪い。
尤もバカンスには参加出来ず、いま現在自室で愛里をオカズに自慰行為をしている山内よりは大分マシではあるが。
苛立ちながらプールの近くを歩いていると……
「じゃあしっかり捕まってろよ」
「はい。しっかり捕まってます」
「よいしょ……大丈夫か?」
「はい。浮き輪になってくれてありがとうございます」
「気にすんな。折角の豪華客船だから、楽しませてやるよ」
須藤自身の骨を折る要因を作り、バスケ部から追放した鳳橋狂夜が坂柳有栖にしがみ付かれながらプールに入り……
「清隆。バナナボートとロープを用意したのでロープを身体に巻いてバナナボート引っ張ってください」
「待て藍。バナナを引っ張るのは海の上で水上バイクを使うものだ。俺の力じゃ大したスピードは出ないぞ」
「それに……清隆君の負担が大きいです」
「そうですね……では鳳橋狂夜……は坂柳有栖と遊んでいるので、椅子でジュースを飲んでいる龍園翔に一緒に引っ張るように協力を頼んでみましょう」
「お前の度胸は認めるが、それはやめた方が良い」
「わかりました。では清隆、鳳橋狂夜のようになってください。美紀は左側をどうぞ」
「えっ……私は別に……清隆君に悪いですから……」
「既に藍がしがみついてるから気にするな。望むなら付き合う」
「じゃ、じゃあちょっとだけ……」
自身を全校生徒の前で背負い投げをして恥をかかせた綾小路は森下藍と山村美紀に抱きつかれながらゆっくりとプールを歩き始めていた。
どっちのペアも明らかに甘い空気を醸し出しているのは明白で、須藤からしたら我慢の限界だった。
自分は最低の扱いを受けて、あの2人は良い思いをしているのは不愉快で仕方ない。
「ふざけんなぁ……!」
須藤は逆ギレをしてからプールに飛び込み、狂夜と綾小路の元に向かった。殴り飛ばさないと気が済まないからだ。
その3分後、気絶した須藤はプール脇に寝転がされ、池が歯軋りをしながら、プールでイチャイチャしまくっている狂夜と綾小路を睨み続けたのは言うまでもないだろう。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで