守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「と、言う訳で俺はもう行く。部屋は好きに使って構わない」
俺は部屋に戻り、アナウンスで目覚めた有栖にそう告げる。
「わかりました。どのようなバカンスになるか、土産話を期待していますから」
「ああ。帰ったら可愛がってやるよ」
「……はい」
一度キスをすると有栖は小さく頷くので頭を撫でてから部屋を出る。
そしてプールに向かうとクラスメイトが既に数人いる。
「こんな所に呼び出して重要な話か?」
「まあな。ともあれまだ全員揃ってないから少し待て」
神崎な聞いてくるので小さく頷きながらそう返す。そうしている間にも人は集まり、15分前丁度に一之瀬と白波以外の全員が揃う。
「さて、集まって貰って悪いが時間に余裕がある訳じゃないから手短に済ませるぞ。まず先程島の周りを一周したが、どう思った?」
「ペンションがありませんでした」
浜口が1番にそう言って周りの人間が同意する。
「ああ。しかも島を一周したが、アレはおそらく無人島の要所を確認するヒントで、1週間サバイバル生活をさせる腹だろう」
その言葉に騒めきは余り起きない。俺が普段から「この学校は基本的に裏があるから期待はするな」と教えているからだろう。
「けどよ、それってアリなのか?完全な騙し討ちじゃねぇの?」
渡辺がそんな質問をしてくるが言っている事は間違いじゃない。こっちはペンションでの生活と聞いていたからな。
「騙し討ちだな。まあその辺りは後で追及するから良い。問題はサバイバル生活をする場合の拠点だが……洞窟があったからそこを取りに行く」
学校から物資は支給されるだろうが、やはり雨風凌げる場所の確保は絶対だ。
「そういえば開けた場所に洞窟があったな」
「神崎が見たなら話が早い。仮にサバイバル生活をする場合、始まった瞬間に運動能力が高い神崎、柴田、安藤、南方、米津、津辺の7人が取りに行け」
「それは良いけど7人は多くね?」
「騙し討ちするような学校だからな。使うには5人の申請が必要な機械が設置……みたいに使用条件がある可能性が高い。人数が少なかったら柴田と南方が戻ってこい。単独行動はするな」
「「「「「「「了解」」」」」」」
俺の指示に7人が頷く。サバイバル生活は経験が浅いが、人生がサバイバルのようなものだから何とかなるだろう。
「イレギュラー要素が強い展開が続くだろうが、迷ったら単独行動はしないで俺か神崎に相談しろ。白波が喚いたら痕がつかないように殴れ」
『了解!』
「良し。これ以上のミーティングは想定を重ね過ぎるから、切り上げてデッキに向かうぞ」
言いながらプールを後にしてデッキに向かう。10分前だから人はそこまで多くないが、少しずつ増えている。
暫くすると白波が一之瀬と腕を組みながらやっているが、満面の笑みの白波とは対称的に一之瀬は困ったような悲しそうな表情を浮かべている。あの表情は白波を完全に持て余しているな。
暫くすると全員が集まり、顔を腫らした真嶋が前に立つ。どうやら昨日三十路にしばかれた傷が残っているようだな。
「ではこれより、Aクラスの生徒から順番に降りて貰う。それから島に携帯端末の持ち込みは禁止だ。担任の先生に各自提出し、下船するように」
その言葉に騒めきが起こる。やはり携帯の持ち込み禁止の事からバカンスではなく、サバイバルの可能性が高い。
Aクラスから順番に降りていき、Cクラスの番になるので携帯を渡して下船する。
桟橋に降りるとそのまま砂浜に行き、クラスごとに並ぶ。全員が下船して並ぶと真嶋が砂浜にある壇上に上がってマイクを持つ。
「今日、この場所に無事につけたことを嬉しく思う。しかし、2人の生徒がこの行事に参加できなかったことは非常に残念でならない」
それは有栖と山内だな。前者については仕方ないが後者については自業自得だ。
そう思っていると同時に作業着を着た大人が特設テントを設置し始める。中には機材とかもあるが監視システムでも構築しているのか?
「ではこれより本年度最初の特別試験を開始する」
やっぱりな。つくづくこの学校は騙すのが好きなようだ。
「と、特別試験?」
真嶋の言葉に戸惑いの感情が周囲から生まれていく。
「期間はこれより1週間で、8月7日の正午に終了となる。試験内容だが、この無人島で集団生活することこれは実在する企業でも実践されている現実的、且つ実践的なものであることをはじめに告げておく」
「無人島で生活って……この島で寝泊まりするってことですか?」
「その通りだ。その間君たちは寝泊まりする場所はもちろん食料や飲料水に至るまで全て自分達で確保することが必要になる。試験実施中は正当な理由がない限り乗船は許されない。試験開始時点で各クラスにテント2つ、懐中電灯2つ、マッチを一箱支給する。また、歯ブラシに関しては各生徒に1セットずつ、日焼け止め、女子生徒のみ生理用品は無制限で支給するので各クラスの担任に願い出るように。以上だ」
「は、はあ!?マジの無人島サバイバルかよ!?そんなの聞いたことないっすよ!第一テント2つで全員寝られるわけないじゃないっすか!てか、飯も自給自足とかどういうことっすか!?」
池がその場にいる全員に聞こえるほど大きな声で喚くが、もう少し静かにしろや。
そんな池に対して真嶋は呆れたように返答した。
「君はそう言ったが、それは君が歩んできた人生が浅はかなものであったことにすぎない。これは実際に企業研修でも取り行われているものだ」
「そ、そんなの特別じゃ「黙れ。話が進まない」ひぃっ……!」
更に喚く池に綾小路が不機嫌そうに拳を構えると池は涙目になって腰を抜かす。まあ須藤を5メートル近く吹き飛ばす拳だからビビるのは必然だ。俺だって食らいたくないのが本音だ。
「しかし先生、今は夏休みですしこの行事の名目は旅行のはずです。先程先生は企業でも取り行われていると言いましたが、企業研修ならこんな騙し討ちのような真似はしないと思いますが」
池が黙ると葛城が手を挙げる。これについては池と違って紛れもない正論だが……
「おいおい葛城よぉ。教師に気を遣うなんて随分と優しいなぁ」
龍園が笑いながらそう告げる。どうやらここで仕掛けるようだ。もう少し待ってから仕掛けようかと思ったが、まあ良いか。
龍園の言葉に葛城は訝しげな表情を浮かべる。
「気を遣う?何を言っている龍園?俺は先生方を咎めたつもりだが?」
「気を遣ってんだろ。テメェは騙し討ちのような真似と言ったが、明らかに騙し討ちだろうが。俺達はペンションでの生活って聞かされたが、ペンションなんかないだろ?」
龍園の嘲笑混じりの声に教師は苦い表情になるが、その程度で龍園や俺は止まらない。
俺も手を挙げて前に出る。
「学校は入学してから俺達にクラスポイントの説明はしなかったな。あの時は「ポイントは毎月1日に支給される」とか「この学校は実力で評価する」みたいに遠回しな表現をしていたが嘘は付いてなかった。しかし今回は「無人島にあるペンションで1週間過ごす」と言っていたのに連れてきたのはペンションのない無人島。これは立派な嘘で問題じゃないのか?」
「しかも生徒を教え導く教師、それも政府主導の教師が嘘をついたな。つまりアレか?今後俺達が社会人になったら重要なイベントの詳細を説明する際に嘘をついても良いって事だよな?」
「それは極論過ぎるよ!」
三十路が慌てながら龍園に文句を言うが、極論ではあるが事実でもある。
「じゃ何で嘘をつくんだよ?嘘をつかなくても「夏休みにお前達は1週間無人島で、もう1週間は船で生活して貰う」って言えば良いだろうが」
まあ確かにそうだ。1番の問題はペンションがないのにペンションで過ごすなんて言った事だからな。
「おら答えろよ。もう一回聞くが生徒を導く教師が重要なイベントの説明で嘘ついて良いって事は社会人になってから重要なイベントの説明で嘘をついて良いって事だよな。もし咎められたら「東京高度育成高等学校で真嶋、星之宮、坂上、茶柱に嘘をついても良いって教わった」って言うからな?」
龍園は嬉々として煽りまくる。星之宮や龍園の担任の坂上に至っては真っ青になっている。
「……それについてはこちらに不備があった。謝罪を「誰が謝罪を求めたんだよ。俺は嘘をついて良いかどうかを聞いてんだよ」……行事の説明で嘘をつく事は許されない」
真嶋の謝罪を一蹴する龍園だが、そろそろ俺の交渉の番だな。
「許されない事をしたと?クハッ!テメェら本当に教師「そこまでだ龍園」あん?今いいところだろうが鳳橋」
俺が割って入り、龍園は文句を言うが敵意はないので俺のやろうとした事を理解したようだ。
「文句を言っても俺達はペンションで過ごせない点は変わらない」
「……ま、確かにそうだな。けど嵌められたのは納得いかねえな」
「そうだな……おい教師ども、テメェらは教師としてタブーを犯したんだ。落とし前をつける覚悟はあるんだろうな?」
俺が龍園から教師4人に目を向ける。
「……何を要求するつもりだ」
茶柱が目に若干の怯えを宿しながらもそう尋ねるが……
「簡単な話だ。1週間分のペンションの宿泊費……そうだな、一泊3万として21万……慰謝料4万を含めて、生徒全員に1人あたり25万ポイント払え」
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで