守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
やれやれ。乗り込んでくるとは思ったがHR中に乗り込んでくるのは予想外だった。
そう思いながら俺は顔面を狙って殴りかかってくる須藤の拳を首を動かして回避する。
「避けてんじゃねぇよ!」
須藤は激昂して再度拳を振るってくるので最小限の動きで回避する。
「ちょっと!何で鳳橋君に怒ってるのかはわかるし、怒る気持ちはわかるけど今はHR中だからね!」
星之宮がそう注意するとクラスメイトはどういう意味だと星之宮と俺を交互に見る。
「煩えよ!この卑怯者が借金をチャラにするまで殴らねぇと気が済まねぇんだよ!邪魔すんな!」
一方の須藤は星之宮に借金を踏み倒す事を宣言する。俺も屑だが借りた金を踏み倒そうとするなんてコイツも大概の屑だな。
そんな中、須藤は拳のみならず足も使ってくるが……
(その程度かよ)
こっちは中学時代、借金を踏み倒そうとする馬鹿共の襲撃を週に5日は受けて、親を恨んでる連中に人質にされるべく狙われたのだ。
中には数人で攻められたくらいで、多少喧嘩に慣れてても1人で攻める須藤の対処なんて朝飯前だ。俺を潰したいならもう2人須藤レベルの人間を連れてこい。
とはいえ長引かせるのも面倒だし潰すか。
「カスだな。そもそも金使いが荒いのと授業を真面目に受けないお前が悪いんだし、潔く退学しろ」
「ふざけんな!300万持ってんだしチャラにしろや!でないとぶっ殺すぞ!」
更に攻撃が激しくなる。そろそろだな。
「殺すぅ?1発も当てれないのにどうやって殺すのでちゅかぁ?」
赤ちゃん言葉で嫌味ったらしく挑発する。すると須藤の頭から何かが切れる音が聞こえて……
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そのままこれまでより一段と強い左ストレートが振るわれる。それに対して俺はギリギリまで引きつけて、当たる直前にしゃがみ込み、須藤の左拳は俺の頭上スレスレを通って……
グシャァッ
そのまま壁を思い切り殴りつけ、潰れるような音が須藤の腕の中から生まれる。
「っ!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
須藤は絶叫を挙げて地面にのたうち回る。まあ腕力のある須藤が全力のストレートでコンクリートの壁を殴れば折れるわ。
すると一拍おいて教室から茶柱とDクラスの櫛田が入ってくる。多分ホームルーム中に抜け出した須藤を連れ戻しにきたのだろう。
「須藤君?!大丈夫?」
櫛田が須藤に駆け寄る中、茶柱は冷たい眼差しを俺に向ける、
「言っとくが俺は須藤に一切暴力を振るってないぞ。アイツの一撃を避けたら、壁をぶん殴って自滅しただけだ。嘘だと思うなら監視カメラを見てみな」
俺は天井に付けられた監視カメラを指差す。それに伴い一部のクラスメイトがギョッとした表情になるが、気づいてなかったのか?
「……まずはケヤキモールの病院に連れていく。櫛田はケヤキモールに連絡をしてくれ。私は教室に戻ってSシステムの説明の続きをするが、櫛田はここで須藤を見ながら星之宮から話を聞いてくれ」
茶柱が櫛田にそう命じて教室に戻り、櫛田が話しかけてくる。
「あの、鳳橋君。私のクラスメイトの借金についてなんだけどさ、ペナルティを軽くして貰えないかな?このままじゃ10人以上が退学するかもしれないから……お願いします!」
そんな風に頭を下げるが……
「馬鹿が。わかってねぇようだから教えてやる。俺は退学者を出させるつもりでポイントを貸したんだよ。退学が目的なのにペナルティを軽くするわけないだろうが」
これは半分嘘で半分本当だ。退学によるペナルティを知りたいのもあるが、このペナルティを利用して借金を返せないバカを人質にDクラス全体からプライベートポイントを貰える契約を交わしたい気持ちもある。
周りからどよめきが生まれる中、櫛田は悲しそうに見てくる。
「っ!どうして?どうしてそんな酷い事をするの?」
「そんなもん決まってるだろ。さっき須藤が俺に対して300万云々言っていたが、その事から俺が学校とSシステムの口止め契約をしたのは知っているんだろう。けど俺退学になった場合のペナルティを知らなくてよ。クラスメイトを潰すのはSシステム的にデメリットだから他クラスを狙うのは常識だろうが」
まあ場合によってはクラスメイトも潰すけどな。俺にとって同じクラスがどうかはどうでもいい。重要なのは利益になるかどうかだ。俺の利益になるなら他クラスの生徒でも助けるし、不利益になるならクラスメイトも潰す。
「だからって……」
「そもそも今回の契約は学校側が認めたものだ。悪いのは真面目に過ごさずに杜撰な金銭管理をしていた借り手側が悪い。わかったらさっさとそのゴミ持って失せろ。そんで真面目に授業を受けていたDのクラスメイトに『借金をした人は授業を真面目に受けないどうしようもないクズだけど、見捨てたくないからポイントを貸してください』って頼め」
まあ借りれないだろう。実際借金した生徒を調べたが、大半が真面目に受けてない生徒だし、真面目な生徒からしたら「クラスポイントを下げておきながら借金するなんてふざけんな」って思うだろう。
「で、でも「そこまでだよ。確かに鳳橋君の戦術はえげつない事この上ないけど学校が認めた事だから取り下げは無理だよ」……っ、はい」
星之宮が櫛田に割って入り黙らせるがもうちょい早く助けろや。
櫛田は頷いて病院に連絡し始める中、星之宮が説明を再開する。
「じゃあ説明に戻るよ。櫛田さんはどこまで聞いたのかな?」
「は、はい。クラスは優秀な順番で決まり、CクラスがBクラスに上がった所までです。その直前に鳳橋君と学校の契約や借金などを聞きました」
「あの、鳳橋君は何をしたんですか?Dクラスにポイントを利用して退学を迫ったのはわかりますが……」
一之瀬が星之瀬に質問するが星之宮は首を横に振る。
「鳳橋君と学校の契約については長くなるから後で鳳橋君本人から聞いてね。で、次に説明するのは小テストの結果ね」
星之宮が紙を広げると小テストの結果が露わになる。
「うおっ!鳳橋、不良キャラなのに1位かよ」
なんか失礼な声が聞こえてくるが1位が俺の95点で2位が一之瀬の90点で85点が10人くらいだ。
(つか70点以下は中学では何を習ったんだよ)
こんなもんケアレスミスを含めても70点以上は余裕だろうに。
「平均点は74.6点で赤点は平均点を半分にしてから四捨五入だから38点以下だね。今回は赤点はいないけど次回以降の中間と期末で1科目でも赤点なら即退学だから注意してね。まあ君達が赤点を回避する方法があると確信してるよ」
その言葉にどよめきが生まれ、小テスト最下位の南方と白波はビビっているが、55点しか取れないなら当然だろう。
しかし確信って言うことは何かしらの法則があるのだろう。
「そして最後に1つ。君達は進学や就職率が100%、東大も推薦入学可能みたいな特徴に惹かれてこの学校に入学したんだろうけど、その恩恵を受けれるのはAクラスの生徒だけだから、皆頑張ってAクラスを目指してね」
その言葉に騒めきが強くなる。これは俺も知らなかったが、ある程度は予想出来た。ぶっちゃけDクラスのメンバーに学校がバックアップするのは金の無駄だからな。
てっきり学校からバックアップを受けれるのは何ポイント以上のクラスポイントを持ったクラス……って感じだと思っていた。
まあどうこう考えても仕方ない。折角面白い場所に入学したんだし、卒業か退学になるまで思い切り楽しもうじゃないか。
「話は以上ね。皆、中間試験までの3週間、頑張ってね」
っと、その前に頼み事をしないとな。
「待て星之宮。俺が須藤に逆恨みで襲われたから、詫びとしてDクラスにポイントを請求をしたいって学校側に報告をしとけ。この学校は連帯責任だから」
俺がそう口にすると、クラスメイトは絶句して星之宮が呆れ顔を浮かべる。
「……言っとくけど、鳳橋君には実害がないから厳重注意で終わる可能性が高いよ」
「それで構わない。注意で終わろうが、その次に問題を起こしたら重い処分になるし、金の回収はその時で良い」
別に焦る必要はない。
「本っ当に性格悪いね、君」
何を今更。入学式の日からわかってるだろうに。
「待って!確かに鳳橋君からしたら逆恨みかもしれないよ!でも須藤君は骨が折れるって理不尽な目に遭ったんだし、これ以上は……!」
櫛田は必死な表情で詰め寄ってくるが……
「知るか。馬鹿の自業自得に対して俺が与える慈悲はない」
当然ながら一蹴する。逆恨みで襲う奴に慈悲を与えるなんての馬鹿のすることであり、俺は馬鹿じゃないんでな。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
-
アリだ。雌犬にしてやれ
-
アリだけど程々に
-
無しで