守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「では綾小路ボーイ。私は体調不良になったから失礼するよ。報告は君がしたまえ。アデュー」
無人島の森林部にて高円寺は体調不良の人間には出せない程の猛スピードで去っていく。そんな高円寺の背中を綾小路は無表情ながらも目には嫉妬の色を宿しながら眺める。
(とりあえず戻るか)
綾小路は一旦ベースキャンプに戻ることにした。既に綾小路と高円寺は様々な情報を手にしているのでクラスからは高評価を得られるだろう。高円寺については「途中で別れた」って事にして、点呼の時まで知らないフリをすると決める。
そのまま木から木へ飛び移りベースキャンプの元に戻るが騒ぎ声を聞きつける。近づけば池と篠原が揉めている。
面倒と思いながらも木から地面に着地して、呆れ顔を馬鹿2人に向ける恵に近寄る。
「軽井沢」
「あ、お疲れ様。高円寺君はリタイアした?」
「ああ。とはいえ30ポイントの損失を補える分の情報は得てきた」
スポット7箇所、食料がある箇所5箇所、他クラスのベースキャンプ、Aクラスのリーダー情報など様々な情報があるが、高円寺のリタイアによる損失を余裕で補える。
「そ、ありがと。ついでにもう一つ仕事をお願いしたいんだけど、あの馬鹿2人を川に蹴り落としてくれない?」
恵は綾小路にそう頼む。狂夜からリーダー性を示してみろと命令を下された恵だが、明らかな低レベルなやり取りを見せられてイライラしている。
「別に構わないが揉めた理由は?」
「川の水を飲めるかどうかでね。不安になるのは当然だけど、いつまでもあの2人は揉めるのよ」
「お前は止めないのか?」
「一応「今日は学校から水を買って、川の水については4人選んで、4人に飲んで貰って、翌日に2人以上体調不良になったら、水については妥協しないで学校から買う」って案は出したわ」
恵の言葉に綾小路は感心する。万が一に備えて毒味役を複数人用意したり、出すべきところに妥協しなかったりと思ったよりも考えているようだ。
リーダー性については堀北より遥かに上なので、彼女の傘下でクラスに協力にするのは吝かじゃない。結果的にクラスに協力すれば、堀北も喚かないだろう。
「けど篠原さんはそれでも嫌だってゴネて、池が女子にはまあキツいことを言ったりでグダグダなの」
恵は嫌そうにため息を吐くが、それだけで相当うんざりしているのがわかる。
「なるほどな。まあそれくらいなら構わない」
綾小路としても普段から池や篠原に対して不快感を抱いているので、一回注意して黙らないなら蹴りを入れる事にする。
「調子乗ってんじゃねぇよ!テメェこそ何の取り柄もない癖に偉そうにしてるんじゃねぇよ元軽井沢グループの引き立て役のブスが!」
「はぁ?馬鹿が意見しないでくんない?!キモいんだけど!」
2人の争いがヒートアップする中、綾小路が2人に近寄る。それにより呆れていたクラスメイトも綾小路に気付き期待の眼差しを向ける。
2人に暴力を振るう事に対する期待の色を宿した眼差しを。
「いつまで揉めているんだ?煩いから黙れ」
淡々とした綾小路の言葉に池と篠原は怒りの表情を向ける。
「はぁ?!テメェが口出してんじゃねぇよ!」
「そうよ!根暗が上から目線で割ってこないで!」
そんな上から目線の態度に綾小路の中に黒いモヤが生まれる。ホワイトルームにいた頃は全く感じなかったモヤであり、入学してから堀北、櫛田、茶柱、須藤、池、山内と接すると生まれるようになった。
(はぁ、出発前はペンションでゆったりした生活を送って、海で藍と美紀と泳いだり海岸を散歩する未来を見ていたのに、自分勝手な担任に脅される中で試験に臨み、馬鹿2人に関わるなんて……)
最近になって傲慢な篠原と接しても生まれるようになった黒いモヤを抱き、ストレスを溜めまくる綾小路はそのまま息を吐いて……
ドゴッ!
「がはっ!」
ドゴッ!
「ぐぁっ!」
ドッポォォォォォンッ!
ドッポォォォォォンッ!
2人を川に蹴り落とす。当然手加減はした。本気を出したら殺してしまうからだ。
「ぐっ!ゲホッゲホッ!」
「ゴホッ、ゴホッ!いきなり何をするのよ?!」
池と篠原が川から出る。池は咽せたようで咳払いをする中、篠原が文句を口にする。須藤は偵察に参加している1人だからこの場にいないが、居たら間違いなく綾小路に突っかかって返り討ちになっていただろう。
「いや、無能がいつまでも我儘言っていて苛立った。実力の低いお前が喚くな」
「何よ偉そうに!調子に乗ってんじゃ「お前が乗るな」ぐっ!」
ドッポォォォォォンッ!
再度篠原に蹴りを入れて川に蹴り落とす。容赦など全くない。
「ゲホッ!ゲホッ!」
「軽井沢に聞いたが、軽井沢が水における対策を口にしたら、それでも嫌だとゴネたらしいが実力のない無能に我儘が許されるわけないだろう?」
「さっきから無能って!そもそも女子に手を出して良いと思ってんの?!」
「女子?学力も運動能力も低く、自分の借金を他人に立て替えて貰おうとしたり、自分の無能さを棚上げして男子を見下す塵は女にカテゴライズしないな」
綾小路は淡々とそう返す。綾小路からしたら見た目が良くても性格がブスな女は人間として見ていない。何せ入学してからは堀北、櫛田、茶柱と碌でもない女と関わってないし、傲慢な篠原についても塵と同じ価値だと思っている。
そんな綾小路の言葉に男子はウンウン頷き、一部の女子も頷く。綾小路の言っている事は事実だし、クラスの気弱な女子にも「助けなさいよ」って強要したのでかなり嫌われている。
よってこの場にいる大半は「いい気味だ」とか「自業自得だ」と思っていて、篠原の味方になる人は居なかった。平田あたりなら庇っていたかもしれないが、平田は既にいない。
「そうだそうだ!何でお前はいつも偉そうなんだよ!」
「実力も低いくせによ!真面目な人間からしたらお前はお前が見下す三馬鹿と同レベルなんだよ!」
「あーあ。鳳橋君が消してくれないかな」
クラスメイトに対するものとは思えない罵倒が響き渡る。狂夜の借金作戦により、Dクラスではクラス内で実力が低い人間に対して容赦が無くなっている。
加えて綾小路の容赦の無さがクラスメイトの遠慮を奪い、これまでの不満が爆発する。
「っ!」
男子のみならず女子までも罵倒する為、反抗的だった篠原も気圧される。
そんな中、千秋が前に出る。
「綾小路君。それまでにしようよ。今重要なのは川の水を飲むかどうかだしね。軽井沢さん」
「何?」
「さっき軽井沢さんが言った毒味役なんだけど、立候補するよ」
「それはありがたいけど良いの?」
「まあちょっと怖いけどさ、クラスで協力しないといけないから、馬鹿な篠原さんみたいに我儘なんか言ってられないよ」
千秋は篠原を堂々と馬鹿呼ばわりして篠原は怒りで真っ赤になる。
「だったら俺も毒味役をしよう。この試験じゃ学力は役に立たないし、元々節約を希望した以上、こういう所でクラスに協力したい」
千秋に続いて幸村も立候補する。幸村自身、恵の案については良い考えと思っていたし、嫌だ嫌だと言っていたら篠原と同じ扱いになるかもしれないが、そんなのは死んでもゴメンだとやる気を出す。
「わ、私も立候補するよ……これくらいでしか役に立てないから」
今度は愛里が立候補する。人前で立候補するのは緊張するが、狂夜に愛して貰うには成長しないといけないので勇気を振り絞る。
「せ、拙者も立候補するでござる!」
更に外村も立候補する。外村は痛い言動をすれど基本的にクラスに迷惑をかけてないので、多少浮いてはいても嫌われてない。
しかし実力はクラスで下位だから少しでもやる気を出さないと今後クラス内で扱いが悪くなる可能性もあるので、それを避けるために立候補する。
「ありがと。4人ともよろしくね。少しでも気分が悪くなったら直ぐに言ってね」
恵が小さく頭を下げて頼む。それにより大半の男女の蟠りは薄くなる。これについては千秋の策で篠原をクラスの異物として扱い、異物と同レベルは嫌だから頑張ろうって団結力を生み出したのだ。男女が決裂するのはこの試験で避けるべきことの1つなのだから。
「じゃあ次に体力に余裕のある人は3人1組になって明日以降の食料確保に動いて。体力に余裕のない人は近くで焚き木用の枝を集めて。櫛田さんはあたしと買う物の再チェックを手伝って」
『了解』
恵の命令に各々がテキパキと動き出す。3人1組のチームだが男女混合のチームも含まれる。
各メンバーは池に落とされた池や篠原を一瞥すらせずに動き始めるのだった、
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで