守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「はーい。じゃあ点呼はこれで終わり。皆初日から無理しないでね。お休み」
夜8時、担任の星之宮がそう締めくくり去っていく。点呼の最中に森の中で須藤の怒鳴り声が聞こえてきたが、十中八九高円寺がリタイアした事についてだろう。
そう思いながらも星之宮と入れ替わりで俺が立つ。
「んじゃ簡単に指示出して今日は自由行動だが、夜中は危険だからトイレ以外で洞窟の外に出るな。寝ずの番担当は火を絶やさないのは大切だが、直ぐに消火出来るように水を近くに置いとけよ」
一応テントは洞窟の奥に設置して、他の物も火から遠ざけているが念には念を入れておく。
『了解!』
「それとリーダー候補7人は退屈かもしれないがスポット更新まで寝ないでくれ」
ベースキャンプ以外のスポットを取るつもりはないがベースキャンプのスポットだけは更新しないといけないからな。
対策についても問題ない。洞窟の入り口には黒いビニール袋を幕として置いて、スポットの周りにも黒いビニールでテントを作って周りから見えないようにして、リーダー候補7人以外はテント内に入らないように俺が見張りをつけている。
まあリーダー候補が裏切ったら終わりだが、既に俺に反抗的なのは白波だけだし大丈夫だろう。実際一之瀬以外のクラスメイトは白波に対する暴力を黙認しているからな。
「以上だ。後は好きにして構わない」
俺の言葉にメンバーは洞窟の中に入る。まあ初日だから皆は寝るのだろう。俺も次のスポット更新がある1時間後には寝る予定だしな。
そう思いながら俺も洞窟に入ってのんびりするが……
「退屈だ……」
ハッキリ言ってクソ退屈だ。テレビやゲームは当然として漫画などの娯楽は一切無し。飯についても肉はないので物足りないし……現代人からしなら地獄だろう。
「全くだ。チェス盤とかトランプもポイントで買えるが、学校からしたら誘惑の罠を張っているようなものだ」
神崎の言うようにマニュアル内のカタログには遊ぶ道具も売られているが買わないように注意しないといけない。
「セックスでも出来ればなぁ」
「洞窟内では絶対にやるなよ?やるならベースキャンプから離れた場所でしろ」
神崎が真顔で詰め寄り、起きてる連中もウンウン頷くが、そこまでアホじゃない。ヤるなら昼に浜口が言っていたスポットじゃない小屋でヤるつもりだ。
そんな風に思いながら適当に雑談しながらスポット更新時間を迎える。
「良しテメェら、ビニールテントの中に入って更新しろ。見張りは俺がやる」
言いながら俺はテントの入り口に仁王立ちする。誰もが近寄らない中、俺の命令に7人がテントに入り、間も無く電子音が聞こえる。これで更新完了だ。
「よし。じゃあ寝ずの番以外は全員寝ろ」
そう命じて俺はテントの中に入ると大半が起きている。
「寝心地は悪いか?」
「違和感はちょっとあるけど下にビニールを敷いてるから大丈夫だな。単純にこの時間が新鮮だから眠れなくてさ」
近くにいる柴田がそう返してくる。
「まあそれなら仕方ないが、少しでも眠くなったら寝ろよ」
「おう。ところでさ、鳳橋って本命の彼女はいないのか?」
「何だいきなり?」
「いや、折角だしさっきまで恋バナしてたんだけどよ、セフレが沢山いる鳳橋には本命の女子がいるのか気になってな」
なるほどな。まあ気になっても仕方ないか。
「悪いが居ないな。確かにこの学校に入ってからも数人抱いて、愛情のやり取りはした。けど快楽による愛で、情熱が宿った愛は抱いた事はない」
「つまり抱いた女子はアクセサリーみたいな扱いか?」
渡辺がかなりぶっちゃけた質問をしてくるが特に気にしない。
「そこまでは言わないが死んでも手放したくないって相手は居ないな。俺が誰かに恋をするとしたら死んでも手に入れたい、死んでも手放したくないって思った相手だな」
まあそんな女子がいるかはわからないがな。それならそれでも構わない。
「なるほど。そんな人間が居ると良いな。ところでさ……女子とエッチするコツとかってあるのか?」
そんな質問と同時にテント内の男子が一斉に聞き耳を立ててくる。思春期かよ?
「先ずは明確な強みを得る事だな。1発限りなら顔さえ良ければどうとでもなるが関係を続けたいなら自己研鑽を絶やすな」
人間顔じゃないと良く言うがあながち間違いじゃない。イケメンでも詰まらなかったら一瞬しかモテないし、多少不細工でも面白かったり優秀なら見てくれる人はいるだろう。
少なくとも自己研鑽しないような連中に出会いはないと思う。まあコイツらはやる気があるし、大丈夫だろう。
「まあアレだ。テメェらが今後も研鑽を続けるなら他クラスとの合コン開いて参加させてやるから励め」
幾らクラス間で闘争をすると言っても日頃から火花を散らしていたら疲れるから多少のリフレッシュは必要だ。男女問わず出会いはリフレッシュの1つになるだろう。
まあ恋愛に発展してクラスを裏切る奴らが出るかもしれないが、それはそれで面白そうだから良しとしようじゃないか。
『了解!』
やはり年頃男子だけあって女子との出会いのキッカケは欲しいようだ。普段の了承の返事よりもテンションが上がってるし。
「何にせよ疲れたからさっさと寝るぞ。明日も島での生活に対する慣らしをしないといけないからな」
言いながら俺は寝袋に入って目を閉じる。サバイバル生活をするのは久々だし、何十人との共同生活は初めてだし体調管理だけはしっかりしないといけないからな。
俺はそのままゆっくりと睡魔を受け入れるのだった。
翌日……
「渡辺君」
「はい」
「……良し、全員いるね。じゃあ今日も頑張ってね」
朝の点呼を済ませて星之宮がベースキャンプから去っていく。
「午前中は食料の確保に動いてくれ。午後は自由に過ごして構わない。龍園達Bクラスのバカンスに行っても良いからな。ただし必ず3人1組で動け。総指揮は神崎が執れ」
「それは構わないが鳳橋は何をするんだ?」
「俺は体力のある柴田、安藤、墨田、南方は俺と一緒に直ぐそこにある海に繋がるため池を作る。釣った魚をキープする必要があるしな」
昨日の偵察であるグループがスコップなどを持ってきたからな。ポイントで買えるスコップに比べたらメチャクチャボロいが無いよりは遥かにマシだし、体力のある連中と使わせてもらう。
多少面倒だが後が楽になる為に頑張ろう。
「確かにその作業は大切だが、その作業は面倒だし俺がやっても良いぞ?」
「気にするな。運動にもなるからな。んじゃ解散」
「じゃあ帆波ちゃん!今日も2人で散歩しようよ!」
白波は笑顔で人の指示を無視した発言をする。コイツは本当に無能だな。
そう思っていると、一之瀬の目が僅かに細まるが微かな、本当に微かであるが嫌悪感を感じた。ガキの頃から悪意や敵意を知っていた俺からしたら、あの嫌悪感は本物だ。
「……ごめんね。今日は釣りをしたいから良いや」
一之瀬はやんわりとだが断る。しかしいつもより声が低い。
「えー!そんなの他の人にやらせれば良いじゃん」
これについては予想内の反応だ。クラスの大半も不快を通り越して無関心だ。
「……私もクラスの一員だから協力しないといけないからね?」
「あんな屑ども相手に帆波ちゃんは優しいね」
釣り竿を持ち海に向かいながらそう口にする一之瀬の言葉に白波は情欲に満ちた眼差しを向けるだけで釣り竿を持とうとしない。
どうやら釣りの手伝いをしないで一之瀬の側にいるだけのようだ。
釣り竿を持ってないで空いている一之瀬の右手を引っ張る白波に対して、一之瀬は意識的にか無意識のうちかは知らないが小さくため息を吐いている。
目には苛立ちが微かに宿っているが、それだけで今回の試験は意義ある試験となった。
俺はこれまで一之瀬には負の感情がない脳内お花畑な底抜けのお人好しだと思っていたが、嫌悪感や苛立ちが存在していたようだ。
(0を増やすのは無理だが、僅かでもあれば充分だ。その負の感情、俺が研いで二学期までに刃に変えてやるよ)
俺は一之瀬の背中を見ながらそう決意するのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで