※この作品はR-18です。

アイノカタチ   作:花鳥 ユイ

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愛の印

 

 《b愛の印/b》

 

 柔は目を覚ました。まだ外は暗い様で、めが慣れるまで少し時間がかかった。そして、自分の目の前で恋人の耕作が気持ち良さそうに眠っている顔が見えた。それにより、今自分は彼に会いにニューヨークまで来た事を思い出す。

 

 (ああ、あたし昨日アメリカに来たんだ…それで昨日耕作さんと…)

 

 柔は昨夜の出来事を思い出して、カァッと一気に赤くなり、何も身に着けていない自分の胸を思わず隠してしまった。

 

 (あ、あたしあんな恥ずかしい事を耕作さんに言っちゃったんだ…何してるの、あたしったら…でも、すごく幸せな時間だったなぁ…)

 

 耕作は優しく、でも時に激しく自分を求めて愛してくれた。そして自分もそんな彼に全てを預けて彼を受け入れられた。愛する人と愛し合える事がとても幸せで素敵な事なんだと柔は改めて感じていた。柔はやっと恋愛において周りの友人達や同僚達に追い付けた気がした。自分だけが彼氏がいた事が無くて置いてけぼりをくっていると思っていたからだ。でも、今になってみればそれも仕方のない事だったかもしれないとも柔は思っていた。内気で恋愛に対して奥手で超が付く程の初心者の自分には、加賀邦子という強力な恋敵に太刀打ち出来なかったのだ。それで随分苦しんだし遠回りもして来た。でもその分やっと想いが通じ合った時は本当に嬉しかったのだ。恥ずかしさはもちろんあるが、彼と身体を重ねて愛し合えた事がただただ幸せだった。

 

 (でもどうしよう…こんな朝早く目が覚めちゃったわ…こっちじゃ朝早く女一人で走り込みなんて出来ないし…昨日散々耕作さんから釘刺されちゃったからなぁ…)

 

 幼い頃からの習慣とは恐ろしいもので、柔は朝5時頃になると自然と目が覚めてしまう。ここが日本ならすぐ準備して走り込みに出かけるのだが、ニューヨークではそうはいかない。こちらはとても治安が悪いからだ。新聞記者で柔の柔道が好き過ぎる耕作でさえ、彼女の身に危険が及ぶ可能性の高いこちらでの朝の走り込みをかなりキツく柔に釘を刺して止めたのだった。ただ、朝ではなく昼間なら良いと言ってくれたので、午前中に走る事にしていた。でも、朝食の支度やシャワーを浴びるなどの時間を考えても、さすがにまだ起きるには早過ぎた。

 

 (うーん、どうしよう…少しだけこのままゆっくりしてからシャワー浴びて来ようかな…)

 

 柔は、そう考えながら耕作の寝顔をマジマジと見つめてみる。今まで彼の顔を寝顔とはいえこんなに近くから見つめた事は無かった柔は、耕作の観察を始めた。耕作の顔はすごくイケメンだとかそういう訳ではないが、だが決して不細工だという事も無い。時折見せる真剣な眼差しや精悍な顔つきが柔にはすごくカッコ良く見え、優しい顔や声が柔にとても大きな安心感を与えて、どこまでも柔の心を掴んで離さないのだ。今まで何度も自分を助けて見守ってくれた彼を好きになるのは、自分にとって必然で自然な事だったのだと柔は思う。

 

 (ふふっ、耕作さんの寝顔、可愛い❤️気持ち良さそうに寝てるわ…)

 

 耕作の寝顔を見つめて微笑ましく思っていると、ふと彼の口元に目が行き、柔はドキッとした。昨日だけで彼としたたくさんの熱いキスを不意思い出してしまったのだ。すると、なんだか胸の中からモヤモヤした気持ちが滲み出して来て柔を戸惑わせた。

 

 (や、やだ、あたし…耕作さんとキスしたくなって来ちゃったかも…それになんか身体も…なんか変…)

 

 昨日初体験を終えたばかりで、しかも性に対しての知識も浅い柔は、それが何なのかよく分かっていなかった。大好きな耕作と愛し合えて柔は満足していたのだから。柔はこの時はまだ気付いていなかったが、心だけでなく身体も耕作の完全な虜にされていたのだ。柔はまだ眠っている耕作の顔にそっと顔を近付けて彼の唇にキスをした。でも、そんな軽く触れただけのキスでは到底満足出来ず、身体の奥に生まれた疼きも解消されない。けれど、疲れているであろう彼を起こしたくない柔は、もう起きてシャワーを浴びる事にした。彼を起こさない様にそっと起き上がりシャワーを浴びる準備を始める。

 

 「う、うん…あれ?柔さん…おはよう…」

 

 柔は背中から声をかけられて再びドキッとした。柔が振り返って見ると、まだだいぶ眠そうではあるが上半身を起こして柔を見ていた。

 

 「あ、ごめんなさい。起こしちゃいましたか?おはようございます」

 

 「ううん、大丈夫。柔さん、何してるんだ?」

 

 「目が覚めちゃったので先にシャワー浴びようと思って…」

 

 柔は、内心の動揺をなんとか隠そうと必死になっていた。自分でも顔が赤くなっているのが分かってしまう。まさか、昨夜みたいにまた抱いて欲しいなんて口が裂けても恥ずかしくて言えなかった。でも、どうしても目に入って来る彼の引き締まった、想像以上に逞しい胸に飛び込んで抱きつきたい衝動に駆られ、柔は困り果てて少し視線を逸らした。

 

 (…柔さん?何か様子が変だなぁ…?)

 

 昨夜の出来事でただ恥ずかしがっているだけかとも思ったが、何となくそれだけでは無い気が耕作はしていた。今まで柔の心の機微など全く分からなかったのに、今は何となくだが柔の心の中が視える様な気がした。そして、柔が自分から視線を外したのを耕作は見逃さなかった。

 

 「柔さん?どうかしたのか?」

 

 「な、何でも無いです!あたし、シャワー浴びて来ますね!」

 

 今度は柔が明らかに動揺した事を感じ取った耕作は、下着姿でシャワールームに逃げて行こうとする柔を追いかけて柔の腕を掴んだ。

 

 「柔さん?何か言いたい事あるのか?何か変だぞ?」

 

 「……」

 

 柔はしばらく何も言わずにいたが、やがて口を開いた。

 

 「耕作さん、下着…」

 

 そう言われ下を向くと下に何も身に着けていなかった。

 

 「あっ、ははっ、や、やだなぁ…」

 

 まだ少し寝ぼけていた事と柔の様子が気になり過ぎてすっかり自分が裸のままなのを忘れていた。赤くなって、いつもの癖で頭をポリポリと掻いた。

 

 「……」

 

 柔は、その後シャワーを浴びると言ったはずなのに無言で立ち止まったまま動かなかった。耕作は、まだ自分に背中を向けたままの柔の後ろ姿をつい見入ってしまう。その身体には一切無駄な脂肪など付いておらず、しなやかな筋肉で覆われている。だが、女性らしさもしっかり残っており程よく柔らかい。腰もくびれているし日焼けの無い白い滑らかな肌をしていて、そんな彼女の身体を見ていたら否応無く昨夜の事が思い出されて、朝だというのに耕作の欲情がまたムクムクと湧き上がって来て耕作を困惑させ、耕作はこれ以上柔を見ているとマズいと感じて柔から目を逸らした。そこで耕作はふとある事に気付いた。自分は今、柔から目を逸らしたが先程柔も自分と同じ様に目を逸らしたのだ。もしかして彼女も…?そんな考えが頭をよぎった。いや、まさかな?と思いつつもう一度柔の方を見ると、まだそこに立ちつくしたままでまるで何かを待っている様に見えた。

 

 「柔さん…」

 

 耕作は一歩前に出て後ろから柔を抱きしめた。そして柔のブラをずらして胸を揉んでみた。案の定、柔は全く抵抗せずにされるがままになっている。

 

 「あっ、んっ」

 

 耕作は、柔の首筋に優しく唇を落とし、スッと舌で舐め上げた。

 

 「はぁん、ああっ、やぁっ!」

 

 「止めても良いのか?して欲しかったんじゃないの?」

 

 期待していた様な柔の反応が可愛い過ぎて、つい意地悪な口調になってしまう。

 

 「やぁんっ、こ、耕作さんの、イ、イジワルっ、あんっ」

 

 耕作は柔の胸の両方の突起を捏ねくり回したり引っ張ってみたりして、柔の胸を堪能した。

 

 「あっ、あぁん、耕作さぁん、感じちゃうっ、あんっ」

 

 柔が振り向いて切なげに耕作を見つめてくる。耕作はすぐさま柔の唇に自身の唇を重ねて彼女の舌を自身の舌で絡め取って深く口付けた。

 

 「んっ、んむっ、んっ、んんっ」

 

 耕作はキスをしながらも胸への愛撫を止めない。柔の塞がれた唇から絶えずに吐息が漏れている。

 

 「んっ。はぁっ、こ、耕作さん、あたし、もうっ…」

 

 耕作が唇を離すと、柔が切なげに訴えて来た。彼女の脚が小刻みに震えていた。どうやら胸への激しい愛撫のせいで身体に力が入らなくなって来た様だった。耕作は柔をお姫様抱っこしてベッドに運んだ。そして、柔が身に着けていたブラを外し、パンティも一気に引きずり下ろした。

 

 「ちょっと待ってて」

 

 耕作はそう言うと素早くゴムを装着した。

 

 「柔さん、今度はここに四つん這いになって」

 

 「え…こ、こうですか?」

 

 柔は恥ずかしかったが、素直に従った。柔には何が何やらよく分からなかったが、彼に反抗したりする気は柔には全く無かった。

 

 「柔さん、じゃあ挿れるよ?」

 

 そう言って耕作は柔の腰を掴むと昨夜とは違って一気に自分わ柔の最奥まで突き入れた。柔ね中はもう既に充分濡れていてスムーズに挿れる事が出来た。

 

 「あああああっ、はぁん、そ、そんな一気に…あんっ、イっ、イイっ!」

 

 耕作はすぐさまピストンを開始した。そこには昨夜の様な遠慮はもう無かった。柔も、昨日とはまた違う場所を刺激されてすぐに快楽の波に飲まれて夢中になった。

 

 「あっ、ひゃあっ、ああっ、あん、気持ちイっ、あっ、あっ」

 

 「柔さんっ、お、俺もすげぇイイよ、最高だよ」

.

 「あん、嬉しいっ、耕作さん、あたしでもっと気持ち良くなって!いっぱいシテ、いっぱい突いてっ!あんっ、好きっ!好きぃっ!」

 

 柔は耕作とのSEXに夢中になり過ぎて意識が飛び、自分がとんでもなく恥ずかしい事を口走っている事に全く気付いていなかった。耕作もその柔の言葉に応える様に部屋中にパンパンと耕作が柔に腰を打ち付ける音が響いていた。耕作も普段とは全く違って積極的に自分を求めて来る柔に興奮を抑えきれず、夢中でピストンを繰り返した。

 

 「あっ。あぁん、はぁっ、あっ、あんっ」

 

 お互いにお互いだけを感じ、激しく求め合い、貪り合った。まるで今まですれ違って素直になれずにいた事を取り返すかの様に。耕作はバックで攻めていたのを正常位に切り変えた。一度柔から抜いて柔の身体を反転させた。柔の顔が見たくなったし、キスもしたくなったからだ。

 

 「まだまだだぞ?」

 

 柔はただただ恍惚の表情で耕作を見つめていた。

 

 「あん、あん、あぁん、あっ、はぁんっ、ああっ」

 

 再びの激しい抽送に柔はもうただ溺れていく。耕作からの熱いキスで唇を塞がれ、胸を激しく愛撫され、ただただ愛する彼だけを感じる時間に柔は酔いしれた。

 

 「ああん、あっ、はあっ、あ、あたしもうイっちやう、イクっ、イクっ、イッ、あ〜〜〜〜〜っ!」

 

 柔の膣が耕作のモノをギューっと締めつけると、耕作も堪らず放出して果てた。二人共に荒い息を吐いて呼吸を整えた。段々落ち着いて来ると、早朝から再びヤッてしまった事実に二人の顔が赤く染まっていく。

 

 「…あ、あのあたし本当にシャワー浴びて来ますね!」

 

 柔はベッドから降りてそそくさと準備をして部屋を出て行く。

 

 「お、おう…」

 

 耕作も恥ずかしくて柔の方を見る事が出来ず、そっぽを向いて返事をした。早朝からこんなに盛ってしまうなんてこれから先が思いやられるな…耕作はそんな事を思いながら自嘲の笑みを溢した。今まで六年間も柔への想いを胸に抱きながらも必死に抑えて来た反動だろうか?恋人同士になれた途端に今度は超が付く程の遠距離恋愛になり、やっと恋人として初めての時間を過ごせて燃え上がってしまったせいもあるだろうか。だが、恋人同士と言えども自分達はまだスポーツ新聞の記者と選手という関係である事に変わりは無い。もう少し自制しなければ、と耕作は反省した。耕作は下着を身に着けて服を着るとりあえずポットでお湯を沸かしてコーヒーを淹れた。コーヒーを飲むと不思議と気分が落ち着いていった。

 

 その頃、柔はシャワーを浴びながら昨夜からの事を思い出していた。

 

 (あたし…ついに耕作さんとしちゃったんだわ…夢中になっちゃってあたしすごく恥ずかしい事いっぱい言っちゃった様な…どうしよう、あたし耕作さんの前にどんな顔して出れば良いの…?)

 

 柔が赤くなりながら下を向くと、ふと自分の胸元が視線に入った。そこには、赤く鬱血している箇所があった。いわゆるキスマークだった。さらに柔の顔が真っ赤に染まっていく。だがそれは服を着てしまえば見えなくなる場所にあり、一安心したが他の場所に無いか途端に気になり出した。万一首元にあったら恥ずかしくて街を歩けなくなってしまう。柔は鏡で自分の首元をチェックしてみたがそれらしいモノは見当たらなかった。流石に他人から見える場所には付けない様に彼は配慮した様だった。柔はキスマークが恥ずかしかったが、同時にそれが耕作から自分への愛の印の様な気がして嬉しくもあった。柔はシャワーを終えて身支度を整えてリビングへ行くと、既にいつもと同じ様な格好をした仕事モードの耕作がテーブルの上に朝食用に残しておいた夕食を温め直して並べているところだった。

 

 「あっ、あたしがやるつもりだったのにごめんなさい!ありがとうございます」

 

 「良いんだよ、このくらい。温め直すだけなら俺でも出来るし。その…柔さんにはちょっと無理させちまった気もするし。俺、腹減ったから食っちまおうぜ!俺も食ったらシャワー浴びるから」

 

 「はい。あ、あの…今日って何時からお仕事ですか?」

 

 柔は耕作の態度が至って普通だった事に安堵した。今どんな顔して彼と話せば良いのか分からなかったからだ。だから、柔も今までと同じ様に普通に接する事が出来た。耕作は新しく二人分のコーヒーを淹れながら柔の問いに答えた。

 

 「今日は試合会場がここから近いから昼少し前に出れば大丈夫だけど」

 

 それを聞いた柔の表情ごパッと輝いた。

 

 「それなら朝ご飯食べてシャワー浴びたら、近くのスーパーに連れて行ってくれませんか?冷蔵庫の中何も無いんですもん、買いに行かなくちゃ!」

 

 「ああ、分かったよ」

 

 それから二人は朝食を食べ、耕作がシャワーをサッと済ませるとスーパーに出掛けて行った。柔はずっと上機嫌でニコニコしていて耕作に自分の腕を絡ませたり、耕作が車を運転している時にはウットリとしながら耕作の横顔を見つめていたりと、ラブラブモード全開だ。スーパーに着くと柔はお店自体の大きさや、一つ一つの商品の量の多さに圧倒された。一ヶ月自分がアメリカにいるとはいえ、二人で使い切るには量が多すぎて買うのを断念した物もあった。

 

 「とりあえずこのくらいにしておこうかな」

 

 肉や野菜、調味料などを買い込んで二人はアパートに戻った。柔はそれらの食材を手際良く調理しやすい様に切り分けてビニール袋に入れて冷凍庫や野菜室に入れていく。そして、買って来たベーコンと卵を焼いて目玉焼きを作り、トマトを輪切りにし、レタスを千切って全てパンに挟むと塩胡椒とケチャップをかけてサンドウィッチを作ってタッパーに詰めた。耕作に持たせるお弁当を用意したのだ。柔は自分がいる時はなるべく自分の作った物を耕作に食べて欲しかった。今は時間が無くて簡単なサンドウィッチにしたが、本当ならもっときちんと作ったお弁当を渡したかったのだが、今は仕方ない。

 

 「耕作さん、もうそろそろ出る時間ですよね?これ持って行ってください!」

 

 柔はサンドウィッチのお弁当を日本から持参した巾着袋に入れて耕作に手渡した。この一ヶ月間は耕作に尽くす為に出来る限りの準備を柔はして来ていた。

 

 「お、おう!ありがとう」

 

 「今日はサンドウィッチしか作れませんでしたけど…これからはもっと立派なお弁当作りますから」

 

 「いや、これだけでも十分だよ。本当に助かる。ありがとな。じゃあ行って来るから。こんなとこで一人にしちまって申し訳ないけど…」

 

 「大丈夫ですよ。それに、お仕事だから仕方ないですし。あたし、耕作さんにはお仕事頑張ってほしいんです。耕作さんの記事のファンの人も何人も知ってるし、あたしもその一人ですから」

 

 「柔さん、本当にごめんな?ありがとう。俺、頑張って来るな。帰り遅くなるから先に寝てていいから。こっちは危ないからちゃんと戸締りしてな」

 

 「もう、大丈夫ですってば!分かってますから。耕作さんも気を付けて行って来てくださいね」

 

 「ああ、分かった。じゃあ行って来ます」

 

 「はい。行ってらっしゃい!」

 

 そう柔は言ったが、耕作が玄関に立ったまま動かない。柔が不思議に思っていると、耕作の顔が近付いて来てキスをされた。

 

 「!!」

 

 柔が一瞬何をされたか分からず驚いて固まっていると、耕作が赤くなってじゃあ!と言ってそそくさと出て行こうとしたので、柔はハッと気が付いて彼をすぐさま追いかけた。

 

 「待って!耕作さん!」

 

 耕作が名前を呼ばれて振り返った。柔はその逞しい胸に飛び込むと顔を上げて自分からもチュッとキスを返した。

 

 「…え…」

 

 今度は耕作が固まる番だった。柔もほんのりと顔を赤らめながら 行ってらっしゃいと再び言った。

 

 「あ、ああ…」

 

 耕作は驚いたままボーッとしながら部屋を出て行った。柔は小さく手を振って送り出した。バタンとドアが閉まる。柔は自然に自身の口元に手を触れた。昨日大好きな恋人に会う為に遥々日本からニューヨークに来て、その夜に初めて彼と結ばれ、柔はようやく処女を卒業した。この日をどんなに待ち詫びただろう。キスももう数え切れない程たくさん出来た。柔の今までの人生の中でこれだけ幸せだった日は他には無かった。昨夜からの自分の痴態を思い出すととても恥ずかしかったが、それ以上に幸せだった。

 

 「耕作さん…耕作さんとまたいっぱいエッチしたいな…」

 

 柔は無意識の内に呟いて、自分ではそんな事を言ってしまった事に全く気が付いていなかった。 

 

 一方耕作は部屋を出てから暫く部屋の前で立ちすくんでいた。その顔は真っ赤だった。先程は行って来ますのキスってモノをしてみたい気持ちになってしまって、意を決してキスをした。まさか恥ずかしがり屋の柔がキスを返してくれるとは思ってもみなかったが、すごく嬉しかった。そして昨夜からの柔との出来事を思い出してしまい、つい顔がニヤケてしまう。

 

 「あ、ダメだ!ダメだ!これから俺は仕事だぞ!ニヤケてる場合じゃないだろ!」

 

 パンッと自分の顔を手で叩いて気合いを入れ、耕作は気持ちを切り替えて仕事へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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