「おおきにねぇ、旦那はん。うちの暇つぶしに付き合うてくれはって」
聞く者を蕩かすような魔性の少女の声が響く。
旦那はん、と呼ばれて「全然。いつでも付き合うよ」と返事を返すのは一人の少年だ。名を
少女の頭には艷やかで、まるで新月の下に吹いた植物の芽のような、しかしどこか明らかに禍々しい色を纏う角が二本、天に向かって伸びていた。彼女の名は
異形の相貌が語る通り彼女は人類に仇をなし、人に討たれた鬼である。
では隣りにいる少年は何者か。酒吞童子が捕らえた哀れな玩具か、大江山の鬼の郎党か。仮に誰かがその様に問いかけたとしたら、きっと彼女はこう返すであろう。「せやねぇ。それもええかもしれへんねぇ」と。
藤丸は魔術師であった。そして鬼は、鬼本人ではなかった。大きな魔力リソースを費やし歴史から投影された影、蜃気楼とでも呼ぶべき者である。サーヴァント、と魔術師達は彼女たちを呼称した。
「うちを置いて、あんな楽しそうな所で遊ぶだなんて、旦那はんもいけずやわぁ」
「ゴメンゴメン。現地には現地の事情が有るっていうかさ」
藤丸達が歩いているのは現実の世界ではなかった。最も、現実の世界というのは、今、真っ白に、まっさらに、均されてしまって何もないのだが。
くふふ、と花が綻ぶような笑顔を浮かべる鬼の少女。
「ちゃぁんとわかっとるさかい。今のはうちが、いけずしたんよ」
「あはは」
道行く人々は頭や手足が人間と異なる姿をした『妖精』であった。国の名をブリテンという。
ブリテンは栄えた国であった。中でも今二人が歩いているのは娯楽の粋を集めた街だ。夜でも外灯が星屑のように煌めいて、ショーウィンドウに並ぶ服はどれも彼女に似合いそうだ。
「渋谷でデートしてるみたいだなぁ」
少し照れくさそうにつぶやく藤丸の腕を少女が引く。少女の背後にはランジェリーショップのショーウィンドウがあった。
「しゅっ………シュシュシュシュシュ酒呑童子! 俺ちょっと下着のお店はちょちょちょちょ」
「んー? ああ…ちゃうんよ。うちが行きたいのはこのうら」
「え? あ……あー……」
くいくいと腕を引かれて、二人はランジェリーショップの脇の道を入って行った。
表通りから一転して、脇から入った裏の通りは数段灯りが暗く設計されているようだった。
違うのは明るさだけではない。構える店の入口の狭さや、色使いが、どこか、まるで、風俗街のような――。
「ほな入ろ」
「ええぇっ!?」
藤丸はその場に置いていかれる訳にも行かず、酒呑童子の後を慌ててついていき、レースのカーテンで区切られたボックス席に通されてそーっと腰を下ろした。
先に着席していた酒呑童子の方はというと、全く臆すること無く酒とキャストを呼びつけて「旦那はんに酒はあかんねぇ…」等と呑気に呟いている。
「そうだね…俺は………アイスティーで…」
そんな彼らの元へ妖精のキャストがやってきて持て成し始める。酒呑童子はといえば、ざるを越えて枠であるので水のように果実酒、蒸溜酒etc.を空けて合間に赤い果実を頬張った。
濃い化粧をしたキャストより、その小さな唇に赤い果実を乗せる酒呑童子のほうがよっぽど色香を放って見えた。
「キャッ!」
藤丸がキャストの悲鳴にあっけにとられた瞬間、彼女は持っていたグラスを滑らせ、まだ半分以上残っていた中身を少年にぶち撒けてしまった。
「うわっ!」
「申し訳ありませんお客様ぁ」
「まぁ、かわええ旦那はんが水も滴るなんとやらやねぇ」
すっ飛んできたフロアマネージャーとキャストに謝られるも、なんと返事をしたらいいか分からずに居ると、隣の酒吞がすっと身を乗り出して店の奥を指さした。
「ほな…うちと旦那はんに、奥の部屋を使わしてもらいはります? 旦那はんも着替えなぁあかんしねぇ」
ねぇ? と念を押されるように酒呑童子に首を傾げられて、藤丸はおずおずと頷いたのだった。
「かいらしい娘はんやったけど、旦那はんや金髪の小僧と違うてからかい甲斐がないわぁ」
二人が通された奥のエリアは、どこか動物的な甘い香りが漂う区画になっていた。部屋のように仕切られ、不思議な光沢を放つカーテンが扉の代わりに中の様子を隠している。中に入ると壁のうち一面は大きなガラス張りで、フロアの様子が一望できた。
注文した酒の残りを部屋へ移させ、キャストは下がらせると、酒呑童子は二人きりになった藤丸に笑いかけた。
「旦那はん、風邪引くまえに脱いどぉくれやす。それとも、うちが手伝ったほうがええやろか。ええやろなぁ……」
夜明け前の空を思わせる打ち掛けを脱いで、彼女が体を寄せてくる。
「だだ大丈夫だよ酒吞。それぐらい自分で出来るって」
「うちから見たら、旦那はんは赤子みたいなもんやしねぇ」
極々自然に部屋の隅へと追い詰められ、彼女の手が藤丸の着衣を脱がしていく。
「現世の服はややこしなぁ。はい、ばんざい」
上半身が裸にされた所で、藤丸の肩にはふわりと酒呑童子の打ち掛けが掛けられた。この部屋に漂う香りに、もっと何か、彼女の蜜のような毒のような香りが自分に纏わりついて抱き締められているような気分になる。
呆けている間に酒呑童子は藤丸のウエストにも手を伸ばし、濡れてしまった服どころかその下の着衣までさっと剥ぎ取ってしまった。
「えええっ!? ちょっ、酒呑童子!」
ちょっとまってこの部屋丸見え!と藤丸は酒呑童子が肩にかけた打ち掛けをバスローブのように体に巻きつけてしゃがみこんだ。
そんな彼をよそに、当の酒呑童子はカーテンから廊下へと顔を出して店のボーイに藤丸の着衣を渡してしまった。お着替えは?と訊ねられるも構わないと断ってしまったので、個室の隅で蹲っている藤丸は本当に打ち掛け一枚だけが体を隠すものになってしまった。
「なんや、うさぎみたいやなぁ…そんな隅でまるまって。旦那はんの旦那はんみたいやね」
打ち掛けを脱いだ酒呑童子の姿も、裸同然に見えるような姿だ。それなのに彼女は恥じらう気配など一欠片も無く、蒸溜酒をくい…と煽る。
「しゅ…酒吞……下から見えるよ? ここ」
大きな硝子張りの窓を示して、立ち上がれないまま藤丸が言うと酒呑童子はコロコロと鈴のように笑いころげた。
「なんや旦那はん、気付いとらんかったんやねぇ。下、覗いてみたらええよ」
酒呑童子に促され、藤丸はしゃがんだまま彼女に背を向けてガラス越しにフロアを覗き込んだ。そのすぐ後ろに彼女がやってきて、背中に体を寄せる。サーヴァントだとわかっていても、少女のような体がたった一枚の布地越しに密着すると、その体温や柔らかな感触に心臓が跳ねた。
おっぱい当たってる。
「この桟敷、向こうからはなぁ…見えへんよおになっとるさかい。何ていうん? 鏡みたいに見えるあれ」
おっぱい……おっぱい。
「ま……マジックミラー?」
「ああ、それ」
酒呑童子はそのまま重心を前に倒し、軽く藤丸により掛かる。背中に彼女の胸から腹までぴったりと当たっている……気がする。
「せやからねぇ……」
彼女は両手を藤丸の前へと伸ばすと――。
「ッ――――!!」
彼の膝を抱えあげ立ち上がり、鬼の膂力で藤丸に足を開かせてしまった。
「旦那はんの恥ずかしい所、どれだけ見せてもええの」
ガラス張りの大きな窓に薄っすらと映った藤丸の中心はしっかり半勃起している。膝を折り込まれるように抱き上げられてしまって、手でそこを隠すことも出来ない。
「は……あ………わ………」
「旦那はんが見て貰いたい言うんならそれも構へんけど」
恥辱的な格好をしているのに、藤丸の陰茎は萎えるどころか増々熱を帯びて上を向く。部屋に充満する甘い獣の発情臭に中てられたかのように。
「それは、後のお楽しみに、なぁ?」
耳元で熟れた桃のような甘い声を落としながら、酒呑童子は己の男根の上に藤丸の尻を落とした。
「――あっ えっ うあっ!」
「んっ……ぁ♡ 狭いなぁ旦那はん。うちので壊れたら……堪忍なぁ?」
何が起きているのか理解できなかった。しっかり体を酒呑童子に抱え上げられたまま、何かが尻の孔を押し拡げ体の中へ押し入ってきている。
「ぃ…ひ……ひうっ」
めりめり…と体が半分に裂かれてしまうのではないかと思った。何度も戦いで傷を負ったことは有るがそれとは全く異なる痛み。
「力抜こか。ゆぅくり……息をすって、吐いて……ええ子やねぇ」
酒呑童子に言われるまま深呼吸する。部屋に充満する香りが脳に届いて、身体が火照って緩む。
「旦那はんに毒はなぁ……通じひんけど、これはむかぁしから使われとる薬みたいなものやからねぇ。恋の秘薬やねぇ」
細い腕からは想像できない膂力で軽々と抱え上げられ固められた体に、硬く熱いものが更に奥まで挿し込まれる。
「しゅ…てん……な…なんで…? お…俺…今」
尻の中でずぶ…♡ と太いものが括約の輪を潜り、窄まる肉孔でその形を感じ取ってしまう。
「うん?うちと旦那はん、まぐわっとるの。ああ……かわいらしねぇ…孔も、竿も」
酒呑童子の熱い溜息が項を擽り、藤丸はぞくぞくと体を震わせた。肉孔が勝手にひくついて、その太い、彼女の男根を締め付けてしまう。
「んひっ……ぃ…う♡ い」
「うちも鬼やさかい、盛りがついてもうて。旦那はんなら『さあゔぁんと』の事はどないかするのも、お勤めの内なんやろ?」
「で…でもっ……いっ…ひ」
みぢ…みし…と尻穴が無理矢理拡げられすぎて、今にもぶつりと切れてしまいそうだった。なめらかな酒呑童子の打ち掛けに包まれて、犯されて、涙を滲ませながら喘ぐ。
「お……下ろして…酒吞ッ……ッ」
「せやねぇ、そぉしよかぁ」
酒呑童子は個室の中のソファに、藤丸を犯したまま腰を下ろし、その衝撃を利用して一気に残りの鬼肉棒を飲み飲ませた。
「おごっ……お゙ッ……あ゙――ッ!!」
藤丸が己の体を見下ろすと、腹は内側から不自然に突き出て膨らんでいる。そこを酒呑童子の手が優しく撫でた。
「ええこやねぇ…ちゃあんとココまで呑み込んで。ええ孕み袋になるやろなぁ」
「ひ……ぁ……ひっ」
立ち上がればいいはずなのに、腰が抜け、膝が笑って、身体は完全に酒呑童子の膝の上から逃げられなくなっていた。
酒呑童子が身体を揺すると、肉管の中で鬼肉棒がごりゅごりゅ♡ とこじ開けた道を更に押し広げる。足を抱えている必要がなくなったからだろう、彼女は藤丸を犯したまま彼の性器と乳首に手を伸ばして触れた。
「旦那はんにもなぁ、乳首も孔もついとるさかい。うちから見れば立派な雌やねんて」
「ひっ…違ッ……酒吞 んい♡ ひん♡」
時折ソファの弾みを利用してゆっさゆっさと自分よりも背の高い少年のアナルを犯しながら経験少ないであろうペニスと乳首を刺激する。
「中々濡れへんねぇ」
酒呑童子は皿の上の果実を一つ手に取るとぐちゅりと潰し、果汁と果肉を掌で混ぜ合わせて藤丸の性器とアナルに塗り込め始める。もう両手は自由だというのに、藤丸は腰を震わせることしかできなかった。
「あっ……あっ♡」
果汁が塗られて滑りが良くなったアナルを人間のものよりも太くて長い男根が出入りし始める。すると酒吞は藤丸の状態を前へとかがませ自分は立ち上がり、彼に尻を突き出させた。
「はぁ…ええ眺めやねぇ」
バシンッ!
「ひうんっ!」
唐突に酒呑童子が藤丸の尻を平手で打ち据えた。
「なぁ、旦那はん。旦那はんみたいな
すすす…と両手で乳首を左右同時に撫でられて、藤丸は顎を上げて背筋を震わせた。
「か……かわるって…何…ぃ…ひ♡ んっ♡」
「肉がなぁ…柔らかなって、蕩けて…」
ずずずずず…♡ と火照った肉壺から鬼肉棒が引き摺り出される。
「んぁ…ああぁ…あ♡」
エグいほど張り出した雁首に窄まった尻穴が引っ張られ、フジツボのような形に伸ばされる。
「おんなに、なる」
どちゅっ♡
「おっほおおおぉ♡♡♡」
一息に鬼肉棒を捩じ込まれ、結腸を超えて犯されながら藤丸はビクビクと痙攣し、床に自分の精液を撒き散らしてしまった。
「ぁ゙ッ……♡ しゅてん♡ おれ♡ いま♡ い゙♡」
藤丸の言葉を聞きながら笑みを浮かべて腰を彼の尻に打ち付け、ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ と音を立てる。
絶頂した藤丸の性器が揺れて、尿道の中の残滓が更に床に撒き散らされた。
「なんやろ旦那はん? うちもなぁ…今ええとこなん」
マスターであろうと生オナホに自分を止める権利は無いとでも言わんばかりに彼女は藤丸の腰を確と掴んで肉壺をぎゅぷぎゅぷ犯し掻き回す。
「そのままよぉしゃぶりついててなぁ。今たぁんと、熱いの注ぐさかいに」
「はっ♡ ひっ♡ お腹♡ 変にぃ♡」
「ん――♡」
酒呑童子が背を曲げて藤丸に覆いかぶさる。その項に、獣のように噛みついて牙を食い込ませ。
どくん、どくっ
ぶびゅるるるる♡ びゅるるるっ♡
「おひっ♡ あ゙♡ あああああっ♡」
少年の腹の中にゼリー状の濃い種汁を注ぎ込み、同時に彼に二度目の