しかも前戯止まりだったのでまだ続くよ。
シュパッと自動ドアが左右に開く。
夜、夕食後の和気藹々とした食堂の中を見回した恰幅の良い青年はその片隅で酒を舐める少女の隣へ進んでいく。
「
青年が椅子を引き、辺りの視線を気にしながら腰を下ろし、ただでさえ丸みのある身体を丸めて少女へ距離を詰める。
「はぁ、麦味噌の旦那はん」
「ムニエルな。惜しい」
ムニエルの訂正に少女は笑いながら再び盃に唇を寄せる。その姿はまるで中国に伝わる
何よりも禍々しいのはその頭に新芽のように伸びた白く、緩やかに撓んだ一対の鬼角。
人に害為す悪鬼、酒吞童子。その写し影が少女である。
「えろうすんまへんなぁムニエルはん、なんやろ。うちの酒なら、人の子にはすこぅし強すぎるさかいに」
彼女が首を傾げるだけで甘く熟成した香りが漂う。
ムニエルはゴクリと唾を飲み込み彼女の凄艶さに呑まれそうになる。しかしムニエルは紛いなりにもカルデアの職員、根本的な彼女の恐ろしさを理解している。
あと一寸前に出たら自分は彼女の酒の肴にされると。
「……あ、いや、違う違う。ほら、この前のシュミレーターの映像を渡そうと思ってさ」
制服のポケットから取り出したメモリーをテーブルの上に置きムニエルは手を引っ込めた。
「ああ――あの酒場の、うちと旦那はんの…やろか」
「そうだよ」
メモリーへ指先がすうっと伸びて、つまみ上げられた。
「えろう不思議おすなぁ……こないに小さな『爪』一枚に山の絵巻よりたぁくさんの絵が、なぁ……」
「声もバッチリ入ってるよ」
「ふぅん?」
酒吞童子はメモリーに耳を近づけ、眉日を下げた。
「何も聞こえへんよ」
「ああ、そうか。使い方は
現代の知識は有るはずなのに、おそらくは対して興味がないのだろう彼女は手の中でメモリーを遊ばせて首を傾げる。
「ムニエルの旦那はんは、これ、見んの?」
「あー……」
逸した視線を再び鬼の顔へと戻したムニエルはゾッとした。
酒吞童子は目を細め、その薄く淡紅色の唇から牙の尖りを覗かせて三日月のように笑っていた。
ムニエルに逃げられた酒呑童子は、就寝時間前のマスターの部屋の前へと立っていた。
「ふあぁ……」
「あれ、酒呑。どうしたの俺の部屋の前で」
部屋のドアを通り抜けようとした彼女へ、一人の少年が声をかけた。彼の姿を見た酒吞童子の表情が躑躅の花のように綻ぶ。
「旦那はん、ええとこに来てくれはって。あんなぁ、映画いうん?見たなぁい?」
立ち止まった部屋着姿の少年は目を瞬かせた。
「え…っと今から? 怖くないのなら良いけど、途中で寝ちゃうかもなあ」
自室へ戻ろうとドアを開ける少年の返答に酒呑童子はにぃんまりと微笑みながら彼へ一歩近付いた。
「うちが旦那はんを寝かせると思いはるの。かわええなぁ、ほんま、今すぐ食べたなって仕舞うわぁ」
ずい、と部屋へ少年ごと押し込み背後でドアが閉まると途端に彼女は少年の頬を両手で捕らえて凝っと瞳を覗き込んだ。
酒呑童子方が少年よりも背丈低く、掌は薄く指先は白魚のようだというのに、それだけで少年はもう動けない。
――彼の名は
「これなんやけどな。この爪」
藤丸が「爪」と言われて酒呑童子から見せられたのはメディア用のメモリーだった。当然藤丸も日常的に使う見慣れた黒いチップ。
「これなぁ、ムニエルの旦那はんから貰ったんよ。旦那はんなら使い方知っとるぅて聞いてなぁ」
小さなメモリーを受け取り藤丸は頷き、「ちょっとまってね」と個人に配備された端末にメモリーを読み込ませる。
端末内でメディアプレイヤーが起動し、自動的に読み込まれ記録された映像が再生され始める。
酒呑童子は映画と言ったが、特にタイトルロゴの類は表示されなかった。
「何の映画?」
「ぅん?」
藤丸は端末を手にベッドに腰掛け、サイドデスクへ其れを据えて酒呑童子へと問いかける。尋ねられた彼女はというととぼけたように小首をかしげながら愛用の盃に何処から取り出したのか、酒を注ぎ飲み始めていた。
「此の前の、なぁ」
「うん」
「旦那はんとうちの、しゅみれぇたーでのまぐわい」
「ゴフォッ」
思わず壁に頭を叩きつけた藤丸を横目に見ながら、酒呑童子が端末のディスプレイを覗き込む。
「ああ、よう見えはるわぁ。小さいのが残念やねえ」
「それって俺のアレのことじゃないよね⁉」
「旦那はんの、魔羅のことやろか」
ああ…と致命傷を負った少年が頭を抱えた。確かにシャワールームですれ違う男性英霊はチンポもそれは立派なことが多い。多いのだが。自分だって小さいわけではない、あくまで日本人の平均的なサイズなだけで
「旦那はん」
「はい!」
一人でおちんこでた否落ち込んでいた藤丸は背筋をぴんと正した。
「うちな、もっと大きくこれを見たいんよ」
「あ、えっと……ならシアタールーム、とかかなぁ? って駄目だよ酒呑!」
「シアタァルーム……そんなんも有ったなぁ」
画面の中では裸に剥かれた藤丸が酒呑童子の凶悪なふたなりチンポで処女アナルをぐっぽり♡開かれているシーンが映っていた。それどころかどういう技術なのか不明なのだが画面には藤丸のケツマンコの断面図まで映し出されている。(わたしがやりましたbyムニエル)
「だってこれ俺と酒呑のその……」
「せやねぇ。旦那はん、きもちよさそぉにうちの魔羅、きゅうきゅうしゃぶりはって」
「だから……」
「せやからねぇ、こないに小さな絵とちゃう……大きいのが見たいんよ」
酒呑童子の爪先が藤丸の胸から下腹をつつ…と滑り降りた。
「ああもう…!」
少年、ふたなりちんぽに抗い難しである。
斯くして藤丸と酒呑童子は夜中のシアタールームを貸し切った。鬼は主に機械の操作を任せ、ゆるりと構えて酒と盆に盛られた果物、乾き物、そんなものを堪能している。
「はぁ……これじゃどっちがマスターなんだか……」
サーヴァントのマイペース極まる様子を横目に藤丸は己のIDカードを翳し、自室から持ち出した端末とプロジェクターを映像用のケーブルで繋ぐ。
立ち上がりスクリーンを準備すると、部屋の照明スイッチへ手を掛けた。
「酒呑童子〜部屋暗くするよ」
「ええで、旦那はん」
振り返った酒呑童子が柔らかく微笑む。
その笑顔につい忘れそうになるが、彼女は鬼。しかもふたなりチンポをもち、一度抱かれたが最後ケツマンコのメスイキ快楽に抗えるものは居ないだろう。
というか藤丸は抗えなかった。
すうっとシアタールームの照明が落とされ、反対にプロジェクターからの光がスクリーンに浮き上がった。
「なぁんも見えへん」
「ちょっと待ってね」
再生前のスクリーンを見てこてんと彼女が首を傾げるので、藤丸は少し楽しくなってしまう。再びプロジェクターに接続した端末の電源を入れて動画の再生をしようとして手を止めた。
「…………」
さっきみた映像を、これからスクリーンで見るのか。
妖精国での痴態を思い出し、藤丸の下腹がきゅん♡ と疼いた。
そこへふわりと香る熟成した甘い毒。後ろから伸ばされた手が藤丸の手に重なり、背中に柔らかな体が密着する。
「いつまで待たせるん。いけずやわぁ……」
蕩けるような声が鼓膜から少年の脊髄を侵し、快楽の記憶を呼び起こさせる。
「しゅてっ……」
「んぅ……」
反対の手が藤丸のおとがいを掴み、後ろへと振り返らせながら潤みを帯びた酒呑童子の唇が藤丸の唇を喰らう。意識のそらされた少年の手は、鬼に導かれて再生ボタンを押下した。
プッと電子シグナルの接続されるノイズがスピーカーから響き、白一面だったスクリーンが暗転する。
「は……あぷ…」
長い口付けから開放された少年の口には酒精の残り香を帯びた唾液が注ぎ込まれ、鬼はただ間近から笑みとともに無言で少年を見詰めるだけで事足りた。
「あ……」
スピーカーからはあの日の声が再生される。酒呑童子の熱を口移しで分け与えられた藤丸の頭はまるで彼女の宝具に呑み込まれたかのように目眩に襲われ、四肢の力が抜けていく。
「あかんよ、まだ」
端末を落としそうになった手と身体をいとも容易く支えられながら、壁によりかかり犬のように息をつく。酒呑童子の向こう側に見える白いスクリーンには、彼女にケツマンコ奉仕する藤丸のメスアクメ面が大きく映し出されていた。