「ロドスに異常性愛者を放てっ!」のスレ主産慎ましいモノまとめ 作:絵文字さん(フウ)=団長
書類は散乱し、重厚な事務机は上に乗っていた全てを放り出して倒れていた。周りに目を向ければ、この執務室にある殆ど全てが同じような状態になっている。ただ一つ、ドクターの愛用するオフィスチェアだけは主を支えて変わらず佇んでいた。
執務室にはドクターとレッドがいる。仮面は床に転がっていて、ドクターはフードも被らず、レッドに左耳を舐めてもらっていた。
耳奥までも侵入するレッドの舌が、左耳の隅々を快感と唾液で満たしていく。暖かな吐息、そして直接響く水音と共に途切れることのない舌の動きは耳だけでなく脳の奥底までに浸食し、ドクターの脳に幸福感として置換されていった。
「もういいよ、レッド。ありがとう」
そうドクターが言うと、レッドは耳に溜まった涎をちゅうっと吸い上げてから口を離した。それを見てから、彼はレッドの方向に椅子を回して向かい合う。開いた両掌をレッドに向け、舌を小さく出した。
「ほら」
ドクターがそう告げると、レッドは彼と自分の手をお互いの指が交差するように重ね合わせ、そのまま握る。所謂恋人繋ぎだ。そして、彼女はドクターの舌に食らいつくような勢いでキスをした。
ドクターは抵抗もせず、その貪るような接吻を完全に受け入れる。これはレッドの奉仕へのご褒美なのだ。頭を撫でたり、ハグをしたりと色々あるが、中でも彼女はこれが一番のお気に入りらしい。その証拠に、彼女の表情は恍惚としており、尻尾は千切れんばかりに振られている。
十分程経った頃、ドクターは握っていた手を開く。終わりの合図だ。その後もレッドは名残惜しそうに口内をしゃぶっていたが、それでも口が離れるまでにそう時間はかからなかった。
「ごめん。でもほら、部屋を元に戻さなきゃ」
「うん……分かってる。レッドも、手伝う」
「ダーメ。これは私の問題、後片付けくらい自分でする。それよりもう遅いんだから、部屋に戻って休んでくれ」
「でも……」
言い切る前に、ドクターの人差し指がレッドの口に触れ、動きを止めた。
「私は大丈夫だから」
真っ直ぐレッドの目を見て、ドクターは告げる。そして立ち上がって床の仮面、そして散乱した書類を拾い始める。次に彼がレッドがいた場所を見た時には、もう姿も気配も無かった。
仮面を着け、考える。やはりこれだけでは満たされないということを。勿論、レッドの向けてくれる……「私」への愛情は大きな支えとなっているが、これだけでは自分は緩やかに潰れていくだろうということを。
ふと、転がったままの事務机を全力で蹴り飛ばしてみた。鈍い音、そして足への激痛。無論、机は文句も許しも、何の反応も返さない。
レッドに向けられることのないドクターの欲望が、ふつふつと音を立てた。