ダクネスの前で絶頂を貪ったクリスは泣きじゃくりながら俺に抱きつき、震えながらキスをねだった。俺が優しく唇を重ねると、背中に回した腕の力が強くなる。
「落ち着いたか?」
「ご主人様ぁ」
潤んだ瞳で俺を見つめたクリスが自分からまた唇を押し当てる。
「これでいいんですよね?……あたし、これでいいんですよね?」
「ああ。これでいい。お前は最高だ、クリス。何も心配するな。俺がついてる。俺がずっと傍にいる。約束したろう?」
「はい」
俺はクリスの肩を抱いて歩き出した。ダクネスとセナの姿はもうない。野糞の犯人が逃げたと思い、捜索に行ったのだ。しばらく歩いてようやくクリスが落ち着きを取り戻したように見えたので、俺はクリスに尋ねてみる。
「どうだ?相手が気付かなかったとはいえ、親友の前で今の自分をさらけ出した気分は?」
「恥ずかしくて……申し訳ないような気持ちもあって……でも偽らざる本当の自分をさらけ出せて、少し嬉しい気もします」
「今度は本当にダクネスが見ている前でしたいか?」
「ああ……怖いですけど……ダクネスには絶交されるでしょうけど、本当の今の自分を知って欲しいという気持ちはあります。ご主人様の肉奴隷になったことを、胸を張って報告したいです」
「そうか」
この短期間で肉体だけでなく、精神までここまで堕ちてくれたことに俺は深く感動した。数々のチート能力のせいもあるが、俺自身、結構よくやったのではないかと少し自惚れたくなる。
「クリス、小便がしたくなった」
「はい」
クリスはすぐさま俺の前に跪き、甲斐甲斐しくズボンを下ろす。勃起したペニスをまろび出させ、亀頭の先端にキスをして周囲を丹念に舐める。それから「失礼します」と言ってペニスを口に咥えた。
「んっ」
温かいクリスの口に包まれたまま、俺は尿意を解放した。クリスがゴクゴクと喉を鳴らす。やはりクリスに小便を飲ませるのは最高だ。
「ふふっ」
先端の割れ目にすぼんだ口を当て、尿道に残った小便まで吸い出してくれたクリスが可笑しそうに笑う。
「どうした?」
「す、すいません。ちょっと……」
「言ってみろ」
「はい。あの……最初は正直少し抵抗があったんです。おしっこを飲むの。ごめんなさい」
「謝らんでもいい。誰だってそうだろう。いきなり肉便器になれと言われてもな」
「でも今は、ご主人様のザーメンやおしっこを飲ませていただくと安心するというか、幸せな気持ちになるんです。ご主人様にちゃんと愛していただいてる、って実感出来て」
「俺はいつだってお前を愛してるよ」
「セックスの時も同じです。ご主人様のザーメンを注いでいただくと、涙が出るほど嬉しくて」
「それはお前が完全な肉奴隷になってきた証拠だよ。俺の理想の肉奴隷にな。調教の成果が出ているな」
「はい」
「身も心も完全に俺のものになるんだ、クリス」
「はい」
クリスは服従の証のように、もう一度ペニスの先端にキスをした。俺は興奮し、そのまま咥えさせて大量のザーメンをクリスの口内に噴射した。
「あの、ご主人様、お願いがあるのですが」
家に帰ると、クリスが申し訳なさそうな顔でそう言ってきた。
「何だ?」
「一度天界に帰らせていただきたいのです」
「何?」
「す、すいません。一応日本担当の女神として仕事がありまして、いつまでも向こうの席を空けておく訳には……」
「そうか」
まあ考えてみれば当然の事だ。詭弁を弄してエリスは関係ないなどと言っても、クリスが女神エリス本人であることはまごう事なき事実なのだから。
「も、もちろん逃げたりしません!あたしももうご主人様のいない生活など考えられませんから。仕事を終えたらすぐ帰ってきます」
「まあ仕方ないだろう。行ってこい」
「ありがとうございます!」
クリスは嬉しそうに礼を言い、胸の前で手を合わす。するとクリスの体が光に包まれ、女神エリスの姿に変わる。アニメで見たお馴染みの姿だ。思わず見惚れてしまうような神々しい美しさで、前の世界でもトップクラスの人気を誇っていたが、俺はクリスの姿の方が好みだ。
「ん?」
俺はそんなエリスの姿を見て、ふと疑問が浮かんだ。いつもの姿、ということは当然白いドレスを身につけている。
「クリス、お前、その格好になれるんなら、最初から俺の言いなりになる必要無かったんじゃないか?」
俺の質問にクリス、いや女神エリスは慌てた表情になり、
「そ、それは……最初はご主人様があたしの正体をバラすと言って脅迫したから……あたしもパニックになって、あっという間に処女を奪われちゃったし」
「まあ俺にとってはありがたかったがな。気をつけて行ってこい」
「はい」
エリスが両手を上げて目を閉じる。が、しばらくしても何の変化も起こらなかった。
「あ、あれ?」
エリスが焦った顔で天井を見上げる。もう一度両手を上げるが、やはり何も起こらない。
「どうした?」
「て、天界へのゲートが開けません。そんな、どうして……」
エリスが困惑する。と、いきなり目の前の空間が光り輝き、空中に大きな透明の紙のようなものが浮かび上がる。そこには見たことのない文字が書かれていた。
「そ、そんな!」
その文字に目を通したエリスの顔色が変わる。
「どうした?」
「て、天界からの通知です。一級神エリスの女神としての資格を剥奪する。す、全ての職務を解き、以後天界への帰還はむ、無期限で禁止!?女神としての全能力も没収するものとする。……これは査問委員会での満場一致の決定であり、採決が翻ることは永遠にないものとする……ああ、何てこと」
エリスが真っ青な顔でガタガタと震える。何と、エリスは女神の資格を天界に剥奪されたのか。能力を全て奪われ天界への帰還も永遠に許されないとは、あまりにも厳しい判決だ。
「ふ、そういうことか」
「ご、ご主人様?」
「考えてもみろよ。毎日裸で町をうろつき、自分の快感のために町の人の迷惑も顧みず野糞を垂れ流す。そして一日中男に抱かれて快感を貪る。そんな女に女神の資格があると思うか?」
「あ、あ……」
「しかもお前はそれを後悔していないと言った。強制されたのではなく、自分の意思で行ったと宣言してしまった訳だ」
「あたし……ああ……」
「すまんな。俺がお前の女神の資格を奪ってしまった。恨まれても仕方ない」
「ご主人……様」
「初めて後悔したくなったか?」
「い、いえ、今の選択をしたのはあたしですから。ショックは大きいですが」
「そりゃそうだな。本当にすまん。だが俺にとっては嬉しい話だ。これで心置きなくずっとお前を愛してやれる」
「ご主人様……」
「言ったろ?俺が愛しているのはクリスだ。女神の力など関係ない。俺がお前を守ってやる。今まで通り俺に身を委ねろ」
「はい」
「と言っても今は俺に抱かれる気分じゃないだろう。少し休め。俺は色々用を足してくる」
「はい」
俺は落ち込むエリスを抱き寄せキスをした。この姿の方でのキスは初めてなので、少し新鮮な感じがする。
「ショックなのは分かるが、あまり気に病むな。原因を作った俺が言うのもなんだがな」
「はい」
「クリスの姿に戻れ」
「はい」
再びエリスの体が光に包まれ、クリスの姿に戻る。全裸のままだ。
「やはりこっちの姿の方が俺は好みだな。少し遅くなるかもしれん。ちゃんと休んでおけよ」
俺はクリスを抱き寄せもう一度キスをすると、例のバッグを持って家を出た。歩きながら、これからのことを考える。予想外のことが起きたが、俺にとっては好都合だ。調教計画も順調すぎるほど順調に進んでいる。しかしエリスが女神の地位を剥奪されたことで何らかの影響が出ることは考慮しておいた方がいいだろう。クリスの忠誠心に変化がなければいいのだが。
「すまんが物件を見せてくれ」
俺はアクセルで不動産屋を探し、空き家を紹介してもらった。今考えている調教計画がこのまま順調に進めば、クリスを今の家に住まわせ続けるのはリスクがあると判断したのだ。俺は今の家と同じように周りに他の建物がない郊外の一軒家を希望し、不動産屋が提示した物件の中からめぼしいものを選んで実際に見に行くことにした。
「ふむ、ここでいいか」
俺は3件ほど見て周り、借りる家を決めた。しばらく人が住んでいなかった割には汚れも少なく、改修の必要なども無さそうだ。俺は不動産屋に戻り、早速賃貸契約を結んだ。前金を払って鍵を受け取ると(金はバッグから出した)部屋を掃除してくれる人間を紹介してもらう。明日には派遣してくれると言うので、色をつけて料金を前払いする。
「それじゃ頼んだぞ」
俺は不動産屋を後にし、アクセル中を回ってベッドなど生活に(主にクリスと愛し合うのに)必要な品を買い、明後日借りた家に届けてもらうよう頼む。とりあえずこれでいいか。俺は最後に食料を買い、クリスの家に戻った。
「帰ったぞ」
家に入ると、クリスが出迎えてくれた。表情はまだどことなく暗いが、顔色は少しよくなっている。
「少しは落ち着いたか?」
「はい、大丈夫です」
「腹が減ったろう。食事を作るから食え。体力をつけんと気力も出ないからな」
「はい、ありがとうございます」
俺はその時尿意を催していた。いつもならクリスに飲ませるのだが、今のクリスにそれをさせて大丈夫だろうか?女神の資格を剥奪されかなり落ち込んでいるクリスが俺を恨むようになっていてもおかしくはない。ちゃんと奉仕してくれるか多少の不安があった。
「ご主人様?どうかなさいましたか?」
尿意を我慢し、腰をもぞもぞさせている俺にクリスが声をかける。
「ぃ、いや、小便をな」
「はい」
クリスはすぐさま俺の前に跪き、ズボンを下ろした。隆々と屹立するペニスをうっとりとした表情で見つめる。
「嫌じゃないのか?」
「え?」
「俺はお前を女神でなくしたんだぞ。俺のせいで天界に帰ることも出来なくなった。憎くないのか?俺を恨んでないのか?」
俺の言葉にクリスはにっこりと微笑み、
「ご主人様、肉便器のクリスにご主人様のおしっこを飲ませてください」
と言って頭を下げた。
「クリス……」
「前にも言った通り、あたしはご主人様の肉奴隷になったことを後悔していません。ご主人様はあたしの知らなかった、想像も出来なかった悦びを教えてくださいました。天界に戻れなくなったのは確かにショックだし悲しいですが、あたしは女神エリスではなく、肉奴隷のクリスとしてこれからもご主人様に愛していただきたいです」
「クリス……ありがとう」
「飲ませていただいてよろしいですか?」
「ああ」
クリスは嬉しそうにペニスを咥え、舌を絡めた。あまりの気持ちよさに別のものが先に出そうだ。俺は幸福感に浸りながらクリスの口内に放尿した。ゴクッ、ゴクッという喉の音が俺をさらに幸福の高みへ誘う。この快感を知ってしまったらもうトイレの便器など二度と使えなくなる。
「はあ……」
亀頭の先端に吸い付き、尿道に残った小便を吸い出したクリスがそのまま亀頭を舐め回し、竿をアイスキャンディーのように何度も舐め上げる。玉袋を口に含み、指で竿を扱く。本気のフェラチオだ。
「お、おい、クリス」
「申し訳ありませんご主人様。ご主人様のザーメン、どうか飲ませていただけないでしょうか」
「ああ、もちろん構わないが」
「ありがとうございます」
クリスは上気した顔でペニスを口に含んだ。舌が情熱的に蠢き、あっという間に俺を昂らせる。
「出すぞ!」
口内に思い切り射精し、快感に酔いしれる。クリスの喉がゴクッと一度鳴る。入りきらない分だろう。
「抜くぞ。溢さないように気をつけろ」
俺はペニスをゆっくりと引き抜いた。亀頭と唇の間にザーメンの白い糸がかかり、なんとも淫靡な光景だ。
「んんっ!」
クリスが舌を動かし、鼻で呼吸をして俺のザーメンを味わう。俺が許可を出すと、喉を大きく何度も鳴らして嚥下していく。
「ああ……」
ザーメンを飲み干したクリスは潤んだ瞳で俺のペニスを握ると、上下に扱いて尿道に残ったザーメンを絞り出した。そしてそれを指で掬うと、自分の鼻の穴に塗り込み始める。
「はああ……」
「お、おい、クリス」
「ああ……すいません。こうすると呼吸の度にご主人様の臭いを感じられるので」
「それなら顔射してやる。顔にザーメンを塗りたくれ」
「嬉しい……お願いします」
俺はもう一度クリスにしゃぶらせ、射精の寸前で引き抜いて顔にぶち撒けた。クリスの美しい顔が俺のザーメンで白く汚された様はなんとも淫靡で、それでいて見惚れてしまうような美しさだった。クリスは朱に染まった顔に大量にかけられたザーメンを塗り広げ、鼻の穴にも丹念に塗りこめていった。
「はああ……ご主人様の臭いぃっ!凄い」
「とんだ変態になったな、クリス」
「はああ……すいません。ご主人様の臭いを嗅いでいると、安心出来るものですから」
「やはりまだ不安か」
「申し訳ありません、やはりどうしても色々考えてしまって……でもこうしてご主人様の臭いを嗅いでいると落ち着くんです。目の前にご主人様がいてくれると、勇気が湧いてくるんです」
「クリス……」
「ご主人様、クリスにもっと勇気を与えてください」
「分かった。どこに出して欲しい?」
「ああ!お尻に!お尻に出してください!ご主人様のザーメン、いっぱい注いでください!」
「よし」
俺はクリスをベッドに仰向けにすると、腰を持ち上げ、正面からペニスをクリスのアナルに当てがう。この体位でのアナルセックスは初めてだ。クリスの顔に期待の色が浮かぶ。
「力を入れるなよ」
俺は腰を突き出し、クリスの 尻の中に入っていった。相変わらずキツい。しかし出し入れを続けるうち、滑りがよくなってきた。クリスの腸液が溢れてきたのだ。俺はアナルの快感を味わいながらさらにクリスの腰を持ち上げ、上から突き刺すようにペニスを押し込む。
「ふあああっ!!凄い!ご主人様の臭いを嗅ぎながら!おちんちんがお腹いっぱい!気持ちいい!ああっ!ご主人様ぁ!!クリスに勇気を!ご主人様の愛を注いでくださいっ!!」
「クリス!受け取れ!俺の想いを!俺の愛を!全てぶち撒けてやる!!」
「はあああああっ!!!」
真上からザーメンが滝のように流れ落ち、クリスの直腸へ激流となって押し寄せる。クリスは腰をガクガクと揺らし、口を大きく開いて絶頂に酔いしれる。凄まじい快感の余韻に浸りながらペニスを抜くと、クリスの菊門が噴水のように俺のザーメンを噴き上げた。
「んっ!んっ!はあっ……」
極上のアナルセックスで満足した俺たちは食事を摂った後またベッドに戻り、キスと愛撫を繰り返しながらこれからのことを話し合っていた。
「不安はまだまだあるようだな」
「はい。あたし自身の不安もありますが、あたしが女神でなくなったことで、この世界に様々な影響が出るのではないかと」
クリス、いや女神エリスはこの国の主神。信仰の対象だ。確かに考えられる。
「一番心配なのは、今まで女神の加護を受けていた聖具などが力を失うことです。そうなれば魔王軍の攻勢が強まり、世界のバランスが崩れるかもしれません」
ミツルギの魔剣グラムとかもその威力を失うってことか?いや、あれを授けたのはアクアのはずだから大丈夫か。……アクア?
「あたしの力が無くなったことで、人々が祈りを捧げても何も出来なくなります。そうすれば信仰心が薄れて人心が乱れる可能性も……」
う~ん、今更ながら大変なことしちまったな、俺。
「俺の考えを聞いてくれるか?」
「はい」
「世界のバランスを保つのに信仰の力が必要というなら、お前が女神の力を失ったとこを広く知れ渡らせ、信仰の対象を他に移すことが肝要だと思う」
「そうですね」
「この世界には今アクアがいる。不安だろうが、本っっっ当に不安だろうが、その対象は現状アクシズ教しか無いと思う」
「はあ」
クリスの顔が曇る。まあ無理もない。アクシズ教徒の異常さは魔王軍にまで知れ渡っているし、アクアの駄女神ぶりは俺もよく知っている。
「やはり無理か?」
「い、いえ!アクア先輩はああ見えて力のある女神ですし、あたしほどではなくても多数の信者をお持ちですし……」
いまいちフォローになってない気もするが、今はスルーしよう。
「まあ天界もこのまま何もしない訳じゃないだろう。そのうち後任の女神が赴任されてくるんじゃないか?」
「そ、そうですよね!それまでの
本音が出た。
「まあアクシズ信者が増えるかどうかは別にして、問題はお前が女神の資格を剥奪されたことを国中の人間にどう信じさせるかだな。俺が話せば聞いた人間は信じるが、国中に話して回るなんてことは現実的じゃない」
「そうですね」
俺の話を聞いた者が別の人間に話しても効果はない。伝聞で広めることは出来ないのだ。
「待てよ?」
俺の頭に、クリスを肉奴隷にした時に思い付いた「邪悪な企み」が思い出された。あの時はそこまで大規模なことは考えていなかったが、この状況ではやる価値がある。まあ自分でも鬼畜すぎるアイデアだと思うが。考えてみれば俺、よく天罰が下らないな。女神をここまで堕落させたのだ。殺されても文句の言えないところだ。それがエリスだけ懲罰とは不可解と言えば不可解だ。やはり通常とは違う形でここに転生したせいなのか。
「クリス」
今はそんなことを気にしても仕方ない。俺は自分の考えた「邪悪な企み」をクリスに話した。さすがにクリスの顔から血の気が引いていく。
「どうだ?こいつはさすがの俺でも鬼畜すぎてどうかと思う。だから無理強いはしない。お前が嫌なら他の手を考えるが……」
「い、いえ、あたしが女神でなくなったことを多くの人に信じてもらう、という点では有効だと思います。で、でも……」
「やはり無理か」
「す、少し考えさせてください」
「本当に無理することはないぞ?」
「ご、ご主人様は……ご覧になりたいんでしょう?」
「うん、正直言えば見たい」
「キスしてください」
クリスが俺に抱きつき、唇を求める。俺も抱きしめると、クリスの体は小さく震えていた。
「急いで答えを出さなくてもいい。じっくり考えろ。今日はこのまま寝てな」
「ご主人様」
クリスが何かを吹っ切ったような顔で言う。
「寝る前に……もう一度顔射していただけませんか?」
ーーー閑話休題
「どういうことよ、それ!?」
アクセルの町の一角、人通りのほとんどない裏道でアクアが怒鳴る。アクアの目の前にいる男は顔をしかめ、飛んできたアクアの唾液をハンカチで拭う。
「どうもこうもない。女神エリスはその資格を剥奪され、天界を永久追放となった。女神の力も全て没収となったから、この世界のバランスが崩れる恐れがある。そこで不本意だが、本っっっっっ当に不本意だが、後任の女神が決まるまで、お前にこの世界の主神を命じる。無理だとは思うが信者を増やし、魔王軍とのパワーバランスを取れ。ほんの繋ぎだが、人心の乱れは出来るだけ抑えねばならん」
男は人間の姿をしていたが、正体は天界からの使者だった。男の言葉を聞いたアクアがますます激昂する。
「「ふざけないで!何が不本意よ!何が繋ぎよ!無理だろうですって!?笑わせないで!後任の女神なんて必要ないわ!魔王なんて私がすぐコテンパンにのしてやるんだから!!」
「冗談は顔と態度だけにしろ。とにかく伝えたぞ」
「待ちなさいよ!そもそもエリスが天界追放ってどういうことよ!?」
「それをお前が知る必要はない。いや、知らん方がいい、と言った方がいいかな」
「納得出来ないわ!エリスは今どこ!?」
「女神の資格を剥奪したので、こちらではもう探知出来ん。だがこの町にいるのは確かだろう」
「エリスが……このアクセルに?」
「どうしても会いたければ自分で探せ。じゃあな」
男はそう言うと、風のように姿をかき消した。後には顔をしかめたアクアだけが残る。
「一体……どうしたってのよ、エリス」
アクアの呟きは無人の通りに虚しく響いて消えた。