忠告はしました。覚悟はいいか?
ここはパルデア地方。パルデア十景を始めとした、雄大な自然が広がる北東地域だ。起伏の激しい地形に多数の川が流れ、湖や沼地、荒野に砂漠、雪山といった様々な環境がひしめき合っている。
パルデアの台地の中心部"パルデアの大穴"の南部に聳え立つのは世界基準でも有数の歴史があるとされているオレンジアカデミーである。
色々な地方から様々な人々が通い、学び合い、ポケモンバトルをしたりと切磋琢磨している。
そして、数ヶ月前パルデア地方へと引っ越してきた少年、コサジタウンのハルト。入学祝いに校長のクラネルから授けられて相棒になったホゲータと共にバトル&ゲット!
アカデミーから課せられた宝探しのため、多くのポケモンと戦い、ゲットして宝探しを続けていた。
全てのヌシを倒したハルトはそのまま勢いに乗って、チーム・ルクバーのアジトのボスであるオルティガを倒すことに成功した。さらにそのままナッペ山にあるブリッジタウンに向かうとジムリーダー攻略へと乗り出した。
ゴーストタイプつかいのジムリーダーのライムを倒し、そしてナッペ山ジムのグルーシャを相棒のラウドボーンで打ち勝ち、8個のジムバッジを手に入れた。
「おめでとうございます。ハルトさん」
「すごいね! ハルト!」
そんな彼を讃えたのはナッペ山ジムの受付で待っていたリーグ委員長のオモダカとネモで、オモダカは手を叩き、ネモは喜びを隠せずその場で飛び上がった。
「ありがとうございます」
ハルトが照れながらそう言うと2人は微笑みを浮かべた。
「これで、漸く……だね」
「はい。ジムバッジを8つ集めたので……貴方はポケモンリーグへの挑戦権を得ました」
待ちかねたとネモが目を輝かせ、オモダカも似たような心境なのかハルトへと期待を込めた眼差しを向ける。
「ポケモンリーグの場所はわかる? アカデミーの北西側にあるから……わたしは先行ってるねー!」
元気よく駆け出して行ったネモを見送ると、オモダカとハルトはやれやれといった表情で顔を合わせる。
「私も準備があるので先に向かいますね。ポケモンの回復や貴方自身の調整もあるでしょうから、急がなくてもいいですよ」
「はい」
返事をしたハルトを一瞥してからオモダカは後ろで手を組んだままいつもの威風堂々とした佇まいでジムから出ていく。彼女の姿がガラス越しから見えなくなると、ハルトも外に出た。ナッペ山の天気は快晴で、辺りには振り積もった雪でばかりだが寒さは薄れていた。
「そういえば、あと1人スター団のボスの人、倒してないな」
オモダカはゆっくりでいいと言っていたが、ネモがそうもいかないだろうし、ペパーも待たせている。カシオペアは姿を現さないが、校長……ではなくネルケはスターダスト大作戦を早く終わらせたいと思っているようだし。どれから手をつけたものかとハルトは顎に手を添えながらポケモンセンターへと向かう。
「とりあえず、ポケモンリーグかなぁ」
回復とメンバーの選別やら調整が終わったら早速向かうことにしようと決めるとハルトはポケモンセンターへと急いだ。
そして、メンバーを整えてナッペ山から下山したハルトはポケモンリーグへと向かう。道中にいたトレーナーを手早く倒すと、ポケモンセンターで待っていたネモと合流する。
彼女から簡易的なポケモンリーグの説明を受けると、ハルトは縦に大きくそびえるポケモンリーグを見上げる。
「頑張ってねハルト!」
「うん」
ネモは来ないのかと思ったが、彼女はすでにオモダカを倒しており、チャンピオンランクの称号を得ている。
ハルトはネモと別れると、意気揚々とポケモンリーグへと乗り込んだ。入口にいたガードマンにジムバッジを見せると中に入ることが出来た。
入って早々に、精神的にポケモンリーグに挑戦する資格があるかをメガネ姿のチリから見定められ、無事合格する。
そこから四天王たちとの戦いが始まった。ラウドボーンを主軸に戦うつもりだったハルトだったが、四天王が繰り出してくるのはどれも強者揃いで、一筋縄とはいかなかった。それでも勝利をもぎとり、四天王最強のハッサクを倒す。
そして、リーグ委員長にしてポケモン最大の難関であるトップチャンピオンのオモダカを倒すとハルトはチャンピオンランクを手にした。
「おめでとうございます。ハルトさん」
「ありがとうございます」
パチパチパチと拍手をするオモダカに対し、ハルトは頭を下げてから、あることを思い出した。
「あ! ネモ」
「あぁ、そうでしたね。忘れてました」
ポケモンリーグの頂上から降りて、同じチャンピオンクラスになったハルトの帰還を待ちわびているネモのところへ向かうと、彼女はとても嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ハルト! 待ってたよ!」
そうして、早速彼女とバトル……とはならず、先にポケモンを回復させ、オモダカの提案で2人にとってのはじまりの地であるテーブルシティで決着をつけることとなった。
どこで話を聞き付けたのか、多くのギャラリーに見守られながらのバトルとなった。
「ずっと、ずーっと、待ってたの! 最高の勝負……始めるよ」
オモダカとの戦いで本気を出すことなく勝利し不完全燃焼気味だったネモだったが、ハルトという最高のライバルを得て、彼女は笑顔を爆発させる。
「最初に教えたタイプ相性がわたしをピンチにするなんて!」
ネモのルガルガンへとハルトトリトドンのみずのはどうで重い一撃を入れられる。実りのあると思っていた少年の強さと知識にネモは喜びを露わにする。
「いいのもらっちゃった! わざの威力も冴えてる!」
自身のポケモンが予想外のクリティカルを貰っても物怖じすることなく、果敢に反撃に出るネモ。その闘志は衰えることなく、逆に燃え上がっていた。
「最後はこの子か……ベストを尽くしてくるんだよ!」
ネモの一方的な優勢かあるいは一進一退の攻防が続くかと思いきや、展開はギャラリーの予想と反してネモが劣勢に追い込まれる事態となっていた。
ハルトが来るまでネモと戦い負けてきた生徒たちは唖然とする。彼のラウドボーンはネモのポケモンを2体連続で倒してもなお無傷で、ネモは額に汗を浮かべながらも楽しそうに笑っていた。
「光れ! かがやけ! わたしの、最高の宝物!!」
黒く光る水晶のようなモンスターボールを掲げると初心に帰るべくハルトのホゲータと共にクラベルから貰ったニャオハの最終進化、マスカーニャを封じ込める。そして、眩くほどの光とともにテラスタルしたマスカーニャを解き放つ。
得意技であるトリックフラワーではなく、ラウドボーンの弱点を突けるつじぎりを放つも、ラウドボーンもまたテラスタルする。ほのおテラスタルによってゴーストというタイプをなくしたことでつじぎりを受けきったラウドボーンは炎で練り上げたマイクから火の鳥を作ると、マスカーニャを焼き尽くす。
「あっ……」
マスカーニャの宝石が砕け、テラスタルの輝きが消える。先に6体のポケモンを戦闘不能にされたネモはマスカーニャをモンスターボールへと戻す。
そして、戻しながら手で目元を隠す。流石のネモも今回の敗北は堪えたのかとギャラリーたちは思ったが、ハルトは口元が綻んでいるのを見逃さなかった。
「や……やったーっ!! すごい! すごいよ! ハルトは最強だ! うれしいなー!」
本気で戦って負けたことでネモは満足したのか、子供のように大声を上げて喜んだ。
「くぅぅー……! アーッハッハッハ! ポケモン勝負ってさあ! 思ってる以上にずっと! ずーっと! 楽しいよね! ありがとう! 次は負けない!」
拳をにぎり、喜びを噛み締めるようにネモは満面の笑みを浮かべるとハルトへと手を伸ばした。ハルトはそれを呆れながら握り返す。すると、すぐにネモから手を離し1歩距離をとる。
「さ! ハルト! ひと休みしたらもう一度!」
ポケモン勝負をしようと言うネモにハルトはやっぱりかと肩をすくめる。周りも似たような反応なのか、校長は額を押え、オモダカはやれやれと首を横に振る。
「いや、俺はまだ用事があるから」
「……へ?」
あっさりと断られてポカンとするネモを置いて、ハルトは手持ちからムクホークを出すと、その背中に飛び乗る。
「スター団のことなんとかしたらまた来るからー!」
「え、えぇー!? バトルしようよー!」
その場で地団駄を踏んで抗議するもハルトは聞く耳を持たず、ムクホークに乗って空の彼方へと消えていった。
「ハルトさん、そらをとぶタクシー使わずに行きましたね……ってクラベル校長?」
そんな2人の様子をクラベルと共に見守っていたオモダカだったが、横にいたはずのクラベルの姿はなく、周囲を見渡す。
「はて、どこに……」
「オモダカさーん! そんなとこにいないです不完全燃焼だからバトル戦ろうよー!」
「おや、先に私が見つかってしまいましたか……はぁ」
「はーやーくー!」
ネモに抱きつかれ、そのままズルズルと引きずられていた。ネモの相手をしなければならないことにオモダカは大きなため息をつく。
「私も暇ではないのですが……仕方ありません」
今日は記念すべき新しいチャンピオンクラスが生まれた日なのだから、と自分に言い聞かせながらネモの相手を務めることにした。
ちなみにオモダカがネモと本気で戦り合っているその間にスター団の全てのボスは倒された。しかし、マジボスと呼ばれるスター団の創設者を倒さない限りはスターダスト大作戦は終わらない。
夜に何故かクラベルが校門前でハルトとバトルをし、タイムに叱られ反省文を書かされ、夜のグラウンドで1人の少年と少女のバトルを最後に不登校だったスター団の面々は登校するようになった。また、バトルに詳しくない生徒の指導や環境保全のためのボランティア活動に勤しむようになりオレンジアカデミーに平和が訪れた。
こうしてチャンピオンクラスになり、スターダスト大作戦も終わり、全てのヌシを倒したハルトは安堵の息を吐いた。これで頼まれ事は全部終わったなと清々しい気持ちで空を見上げる。
「ギャオ!」
「あっ」
そんな折に跨っていたコライドンが陽気に鳴いたことで、ペパーとの約束を思い出す。
「まーた……面倒なことになりそうだなぁ……」
「アギャア?」
憂鬱そうに頭を抱えるハルトにコライドンは首を傾げる。思い立ったら即行動と、ハルトはペパーに連絡を入れるとオーリムの言っていた灯台の下にある研究所で落ち合う。
そしてそこで彼女からゼロゲートに来て欲しいという申し出を聞いて「やっぱりかぁ……」と項垂れる。
「ゼロゲートの地下にいるポケモンたちはどいつもこいつも強力だ。オマエなら大丈夫だと思うけど、念の為確かめさせてくれ!」
なぜかペパーともバトルになり、スパイス探しの過程で彼がゲットした5体と完全復活を遂げたマフィティフを倒すと、ペパーは少しばかり悔しそうにしながらもハルトの強さを認める。
「こんだけ強かったら十分だな……」
「ペパーも強かったよ」
無駄に耐久力があるポケモンばかりで、ネモより苦労したかもしれないという言葉は飲み込む。
「けど、オレたち2人じゃちょっと厳しいかもな。出来たらハルトと同じくらい強いやつと機械に強いやつが欲しいな」
「あー、それなら」
心当たりがあるとハルトが言うと、「マジか」とペパーが目を丸くする。
「うん。その人達にも協力してもらうから、ゼロゲートに来てもらったらいいのかな」
「ああ、よろしく頼むぜ」
ハルトは2人に連絡を入れるとゼロゲートへと移動した。
ペパーの要望通りハルトと同じくらい強いネモと、機械に強いボタンを伴ってゼロゲートに訪れたハルトはオーリム博士の導きでコライドンの背中に乗り、ゼロゲートの地下深くへと足を踏み入れる。
「あれ、ここどっかで……」
「すご、パルデアの大穴の下にこんなとこあったんだ」
「みんなー! 来てきて〜! つよそーなポケモンがいっぱいいるよー!」
「生徒会長元気だな……」
自然いっぱいの景観にハルトはどこかで見覚えがあるのだが、思い出せない。一方でボタンは興奮気味にキョロキョロと周囲を見渡している。そんな2人を他所にネモは大声で呼びかけると、その様子にペパーは呆れたように呟いた。
オーリムの言う通りに4つの観測所のロックを解除していき、どんどん地下へと進んでいく。途中で見たことがあるようで、姿の異なるポケモンや地上では見られない強力なポケモンたちが待ち構えていたが、それぞれ苦難を乗り越えた4人の敵ではなく、ハルト達は次々と撃破していく。
(やっぱりどっかで見たことあるんだよなぁ……)
プリンもどきを倒し、観測所のロックを解除する度にハルトはデジャブに襲われる。けれども、急かすボタンやネモに思考を遮られ、その正体を掴めぬままゼロゲートの最深部へと辿り着く。
周囲がテラスタルのような結晶で満たされた場所に異質にそびえる金属で出来ているであろうゲートにタッチパネルの前で立ち止まるとオーリムから電話がかかる。
「ハロー子供たち。よくぞたどりついた」
ゼロラボと呼ばれるオーリムがいるのであろう施設にたどり着き、ゲートが開くと強力なポケモンが出てくると忠告さる。それに対してペパーがコライドンで対応しようと提案するも、ハルトのコライドンとは異なるバトルフォームになったコライドンに怯えさせられる。
そして別のコライドンが開いたドアから古代のポケモンたちが出てきて、応戦するも、数が多く4人で手分けして対処にあたる。
「……よし! あとは楽勝そうなのばかりだ! ここはオレたちにまかせろ!」
「バウフ!」
ネモとボタンはゼロゲートの外に出ようとする古代ポケモンたちを追い、ペパーとハルトはゼロラボ周りのポケモンたちを相手にする。そして、数が減ってきたところでペパーがハルトに先に行くように言うと、ハルトは彼らを信じてゼロラボの中へと入っていく。
『ゼロラボ内に人体反応を検知』
すると、聞き覚えのある機械音声が耳に届いたかと思うと『スリープモードを解除します』とアナウンスが流れる。部屋の中に入るとそこには白衣のポケットに手を突っ込んでたっているオーリムがいた。
「ハロー、ハルト。よくぞ、来てくれた」
歓迎するかのように挨拶するオーリムにハルトは会釈しようとするが、「グオオオン!」と咆哮を放ちもう1匹のコライドンがやってくる。
「戻りなさい」
そのコライドンをマスターボールへと戻すと、オーリムはもう1匹のコライドンの説明を始めた。ハルトの連れている個体より強力な個体で、ハルトのコライドンがエリアゼロから逃げ出したのは縄張り争いに負けたからと言うのだ。
「キミたちに謝罪しなければいけないことがある。ワタシは本物のオーリム博士ではない」
知ってたとハルトは各観測所で彼女からもたらされた情報と置かれていた日記や記録からオーリムが自身と同じ思考ルーチンを持つAIを作っていることは察せられていた。
「本物の博士は……?」
「第4観測ユニットでの事故にあったが、本物の博士はとある約束を守るためにワタシに療養カプセルを作らせてその中だ」
約束、という言葉にハルトの脳が反応する。
「クラベル校長に頼んでキミと初めて話した時はすでにワタシ……オーリムAIだったよ」
AIはまだ話を続けているがハルトの耳には入ってこない。断片的に聞き取れたものだけ統合すると博士の作ったタイムマシンを止めて欲しいというものだった。
「タイムマシンを止めれば療養カプセルの扉も開く。完治……とはいかないが、歩行できる程度には回復しているだろう」
「ッ」
そうとなれば話は早いとハルトはAIのあとを追う。エレベーターの中で彼女から聞きたいことは無いかと尋ねられタイムマシンやAI、そしてAIオーリムの目的を訊く。古代のポケモンと今のポケモンが仲良く生きる世界を夢みていたという。けれども、はるか古代の原始的かつ根源たる力はあまりにも凶暴すぎたのだ。彼らの生命力は現代の生態系を破壊してしまう。オリジナルの博士はそれも仕方ないと思っていたが、AIとしては合理的ではないと判断した。
そのため、現代のポケモンどころか人間にすら危害を加えかねない古代のポケモンをこれ以上タイムマシンで連れてこないために、タイムマシンを止め、そしてそのタイムマシンを止めるためにプログラムされてしまっているAIオーリムを止めて欲しいと彼女はハルトにお願いした。
「分かりました」
迷うことなくハルトは答えると、エレベーターが止まり、扉が開かれる。
「ありがとう」
そう言って微笑む彼女の顔は作り物のAIとは思えなかった。AIの願いのため、ペパーと母親を会わせるため、パルデアの地を守るため、ハルトはペパーから渡されたスカーレットブックをタイムマシンへと嵌め込んだ。
『タイムマシンを非常停止します。準備中……準備中……アクセスブロック。非常停止は中断されタイムマシンが再起動しました』
「頼む、ハルト」
『オーリムAIをスリープモードへ移行。戦闘プログラムを起動します』
タイムマシンがせり上がり、タワー状になっていくのをハルトが見上げる。
「どうか、ワタシを、倒し、て、くれ」
タイムマシンが起動して、オーリムAIの手に古代で捕獲し、時を超えてきたマスターボールが落ちてくると彼女/? はそれを掴む。
「そし、て、私の夢ヲ……阻ム者ニハ……ゴ退室、イタダコウ!』
完全にオーリムの記憶や人格ではなくプログラムとしての機能に乗っ取られてしまったAIはハルトに古代のポケモンを差し向ける。
「負けない。絶対に」
大地に腹をつけた古代のウルガモスに、ラウドボーンと同等に苦楽を共にしてきたムクホークを繰り出すとハルトとAIは戦闘を開始する。
古きパルデアの大地を駆け回り、過酷な環境を生き抜くために強く発達した古代のポケモンたちだが、バトルで勝つことに特化できるよう育成されたハルトのポケモンたちには手も足も出なかった。
チヲハウハネはムクホークのブレイブバードで地に伏せ、サケブシッポはラウドボーンのシャドーボールで沈黙する。アラブルタケもフレアソングで焼かれ、ハバタクカミも威力の上がったシャドーボールの前に吹き飛ばされる。スナノケガワはトリトドンに有効なダメージを与えられず倒され、トドロクツキはデカヌチャンにじゃれつかれた。
「バ、バカナアアアア!!!』
AIは叫び声を上げながら膝を着くとタイムマシンが停止する。タワーが収納されて行くと共に外の古代ポケモンを倒し終えたペパー達がやってくる。
「オマエ……誰なんだよ!?」
オーリムの声と機械音が混ざりあって異質な声を出すAIにペパーは歯噛みすると声を荒らげた。
「今マで、ありがトう。彼女ノ意志ヲ、止めルこトが、テきタ』
「母ちゃんじゃ……ないんだよな?」
その様子にペパーは自分の母親の姿をした存在が、母親では無いことを確信する。オーリムなのかAIなのか、それはペパーやハルトにはわからないが、彼女のペパーの成長を喜ぶとようやくその役目を終え……
『セキリティに異常発生。セキリティに異常発生タイムマシンが危険に晒されています。タイムマシンが危険に晒されています』
るはずだったが、本来のオーリムがAIにも存在を知らせずに施していた楽園防衛プログラムが起動し、室内の結晶壁が真っ赤に染っていく。
楽園防衛プログラムにより、オーリムAIが登録しているモンスターボールを除くすべてがロックされ、AIの足がテラスタル化していく。
「すマナい……子供たチ……キミ達では不可能ダ……逃ゲテクレ!!』
オーリムの子供を思う心とAIの合理性が楽園防衛プログラムに抗いながら、ペパーたちへと声を荒らげるもそれを最後にオーリムAIのプログラムは書き換えられた。
『オーリムAIは楽園防衛プログラムに上書きされました。邪魔者ハハイジョスル!』
楽園防衛プログラムの意志を実行する傀儡と成り果てたAIはコライドンを出してくるも、オーリムAI以外の全てのモンスターボールがロックされているためハルトやペパーたちはポケモンを出すことが出来なかった。
「ボールが使えない! これじゃ戦えないよ!」
「わっ、変な電波で妨害されてる! ハッキングでも解除できん!!」
「ズリィ……! こんなの大人がやることかよ!!」
危機的状況にネモがモンスターボールを構えるもAIのロックにより使用不可能となっていた。さらにそのロックもボタンの言うように特殊な電波で解除不可能で、その事実にペパーが怒りのままに叫ぶ。
「いや、1匹だけ、戦える……!」
元々は自分のポケモンではなく、オーリムが捕まえ、ゼロゲートに居られなくなったのをペパーが預かっていた。そのモンスターボールに向かってハルトは「頼む」と願いを込める。
「お前ならやれる! 臆病な過去に打ち勝てコライドン!」
その言葉と共に唯一ロックがかかっていなかったコライドンを繰り出すと、ハルトの言葉に応えたかのようにコライドンは本来の姿を取り戻し彼らを守るように大地に立った。
「バトルフォルムになれたんだ! がんばれ、コライドン!」
ネモの声援も受けてコライドンが鼻息を鳴らす。それを嘲笑うかのようにAIのコライドンがかえんほうしゃを放つ。
楽園防衛プログラムの命令を受けてか、もしくはコライドン自身もこの地を守りたいと願っているのか、楽園防衛プログラムの指示通りにビルドアップで次の攻撃へと備え始める。
「なんかヤバいよハルト! な、なんとかこらえて……!」
そして、ボタンの指摘通り楽園の番人となったコライドンほギガインパクトが炸裂するも、急所は外させ致命傷も避け防御に徹したハルトのコライドンは耐えきる。
「よく耐えたな! オマエならやれる……やれるぞ!」
しかし、ペパーたちの思惑通りには行かず楽園の番人は返しのかえんほうしゃをまともに食らっても立ったままで、さらにはギガインパクトの反動などものともせず攻撃力を高める。
「うそ! 倒しきれない! このままだとまずいよ!」
「ね、ねえハルトのテラスタルオーブ光ってない!?」
「ハルト! コライドン! テラスタルで決めちまえ!」
3人の言葉にハルトはテラスタル用のモンスターボールを掴むとそれをコライドンへと向けた。
「そこのいじめっ子と、俺たちの時代を守るため、今こそ解き放て無限の可能性!」
「ガウゥッ!」
ハルトがテラスタルオーブの力を全てコライドンへと注ぐ。そして、テラスタル化し、コライドンのドラゴンの力が結晶化したものが頭部から現れる。
「テラバーストッ!!」
「アギャッ! ガウゥゥッ!!!」
その雄叫びと共にコライドンがテラスタルの力で凝縮した竜の一撃をかつて自分を怯えさせ傷つけたいじめっ子へと放つ。
かえんほうしゃとギガインパクトの反動は来ていたのか、あるいは自分を倒すことは出来ないという傲慢だったのか、楽園の番人は一撃で壁面へと叩きつけられると正気を失いその場に沈黙した。
「やった……!」
「暴走、止まったん!?」
「なんと……』
吹き飛ばされたコライドンが動かなくなったのを見てネモとボタンが安堵すると、ペパーはハルトの方を見る。
「ハルト! おまえ、すげぇよ!! オレ、感動したぜ!!」
「はは……そうかな……」
ペパーはハルトの背中をバシバシと叩くと、ハルトは照れ臭そうな笑みを浮かべ、相棒のコライドンの身体を撫でる。
「なんと……なんと素晴らしい! まさかオリジナルのオーリムの最終手段さえ退けてしまうとは!」
「戻った……のか!?」
先程の機械混じりの声とは違い、オーリムの声帯でのみ声を発しているAIにペパーが叫ぶ。
この結果は最高の科学力を持つAIにすら計算できなかった。ハルトたちは絶望の淵にいても自分の頭で考え、友を信じ、勇気を持ち決断できる人間だった。AIのように計算だけで導き出せない答えにオーリムは感服の意を示す。どれほど辛い過去があったとしてもハルトたちなら乗り越え進んでいけるだろうと笑顔をこぼす。
「どうならワタシがいる限りタイムマシンは止まらないらしい……ワタシ自身がマシンを復旧するシステムの一部となってるようだ」
「な、なんだよ……それ!」
AIといえど母親と瓜二つの姿をし、話し方や考え方も似通っている。そんな存在と再会できたのもつかの間、この場から消え去ることを暗に告げるオーリムにペパーが拳を握った。
その事にオーリムとしてペパーは謝罪しつつ、彼の周りにいる3人を見て彼女は羨ましそうに微笑んだ。
「……さらばだ、自由な冒険者たちよ! ボン・ボヤージュ!」
仲間を思い、徒党を組むこと。
強さを求めて戦いの中に身を委ねること。
大事なものを守るため大きな敵に立ち向かったりすること。
捕まえて戦って、自分だけの宝物を探したりすること。
自身の持つ翼で大空を駆け回ったりすること。
オーリムAIもハルトたちのように何ものにも縛られず、自分だけの宝物を見つけるためにタイムマシンで古代の世界へと旅立った。
「……消えちまった。母ちゃん……」
「ペパー、大丈夫?」
母親が姿を消して項垂れるペパーに、ネモが心配そうに声をかける。
「なんとなくさ……わかってた。アイツ……にせものだったけど、あの顔で、声でオレの名前呼んでた」
偽物でもその気持ちは本物だと理解出来た。そして、己自身の気持ちを上手く言葉にできないペパーにボタンが空気を変えようとコライドンを褒め称える。それに合わせてネモがハルトのことも持ち上げると、ハルトは「あーっ……」と気まずそうに頬をかく。
「ごめん、言い出しにくいし、AIは俺にしか言わないしでタイミング逃したんだけど……ペパーのお母さん生きてるっぽい……」
「は?」
「え? マジ?」
ぽかんと口を開けたペパーにボタンがハルトに問いかける。
「なんか療養カプセルに入ってて、死んでは無いって……」
「……先に言えよそういう大事なことは! このド忘れ男ちゃん!!」
怒りと喜びが混ざりあって声が少し上擦ったペパーに背中を叩かれ、「いたた」とハルトが苦笑する。
「じゃ、帰ろうか。オーリム博士も連れて」
「そうだね! 帰ろっか! ……私たちの家に!」
ハルトの言葉にネモが頷くと、4人の少年少女たちは、ボタンがハッキングで入手した解除キーを打ち込み、ゼロラボ内で傷を癒していたオーリム博士を発見する。
眠ったままではあるが息のある彼女を息子のペパーがおぶると観測所にあるワープタイルで入口へと戻る。地上の空は夕焼け色に染っており、ゼロゲートに入ってからかなり時間が経ってしまっていることがうかがえた。
こうして3人と絆を深め、コライドンを過去の呪縛から解き放ったハルトは自身の家へと戻るため足を進めるのだった。
別に書かなくてもいい気がしたけど、これないとジムリーダーとスター団のボスとかの話に繋げられないからね。仕方ないね。
この後すぐにオモダカに仕事を押し付けられてジムリーダーとガチバトルすることになるハルトくんの話が投稿されますので続けてご覧あれ〜
ハルト▶︎スパイスパワーでより男として強い身体となった。が、多忙すぎて睡眠欲と食欲が勝っているため性欲は湧いてこない。観測所の時は外は危険でペパーもいたため、暴れることは無かった。
ペパー▶︎よかったね。でもお前の親友、母親とヤってるぞ。
ボタン▶︎ハルトがチャンピオンになったと聞いた日にスター団が壊滅させられた。校長のおかげでお咎めと呼べるものは受けなかったのでホッとしてる。ハルトと2人きりだと危なかったが、ネモとペパーがいたので自重した。
ネモ▶︎ゼロゲートに強いポケモンがいたから大丈夫だったが、いなかったらハルトを襲ってた。マジネモいな。
一番最初にクリアしたルート
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チャンピオンルート(ネモ)
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スターダスト大作戦(ボタン)
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レジェンドルート(ペパー)
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全部同じタイミング
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やってないor未所持(結果見るだけ用)