蒼月と陸郎がアンネローゼを見つけた頃…よりも前に蒼月が何度も道を間違えていた頃…
「た、頼む。もうあんたには手を出さない、一緒にいた奴らにも手を出さない。だから命だけは…命だけは助けてくれ!」
あの時、自分たちやトロルを前にして、たった一人で相手すると、他の二人を逃したのを見た時点で彼一人にすら敵わないんだと理解するべきだった。
彼らがそう学び始めたのは自分たちの顔面に火炎の弾丸かハンマーが打ち込まれる直前であった。
肝心のトロルも振り下ろした棍棒を片手で難なく捕まれ、さらにその棍棒を引っ張られて彼に近づいてしまった頭にハンマーの一打を受け、息もしなくなったところを蹴り飛ばされて何人もの仲間たちがその巨体に潰される末路となり、最初に火炎の弾丸を顔面に打ちこまれながらも最後まで残った男は全てのプライドを捨てた土下座で篝火に助命を嘆願していた。
「……場所と向き、それに謝る内容が違うだろ」
それを聞いた篝火は淡々と男にそう告げる。すでに口からは高熱の息を吐かなくなってはいるが、ハンマーを握る力だけは緩めぬまま、驚きの顔を隠せない男の首根っこを掴むと、先ほどまで自分たちが食事をしていた所の近く、男の踏み潰していたガーリックライスだった'もの,の上で手を離す。
「まず謝る場所はここ、そして謝るのは僕よりもこのお店、お前らの逆恨みで壊して良い店じゃない、そしてな…店の料理を踏みつけるようなことは、絶対に許されることじゃない!」
怒りの言葉と共に最後の言葉と共に篝火の足が男の後頭部を踏みつけ、男の顔はすでに食べ物としてはダメになっているものが受け止める形となっていた。
「なぁお前、そんなに命が惜しいならここへの謝罪とここにお前らが粗末にした食べ物'だった,ものをその体勢で全て食い切れ、それができねえならその頭を踏み潰す!」
篝火の殺気に負け、男は店への謝罪を繰り返しながら自分が踏み潰したものに自身の血が混じった何かを犬のように食い始め、篝火はその姿を汚物を見る目で少し見た後、店の人たちに目を向けると彼らに向かって深く頭を下げる。
「私のせいで店や料理を台無しにして申し訳ありませんでした。店の損害は後で必ずしますが、その前にやらなければいけないことがありますので、それでは」
そう言うと篝火は店員達が慌てて言おうとした言葉も聞かずに蒼月たちの後を追っていった。
「……あそこまでどうやって行くんだ?」
そして道に迷っていた…当たり前である。過去にアミダハラで活動してた蒼月ですら裏道の存在を殆ど知らなかったのに久しぶりにここへ来た篝火にとっては蒼月の場所が GPSで分かっていてもたどり着くのは至難の業である。
「クソ、裏道とか載ってる地図があれば…」
そう言いながらふと街中に目をやった彼が見つけたのは「魔法堂」と書かれた看板だった。
「店…お土産屋か……ええい一か八か!」
見つけるが早いか蒼月は魔法堂の戸を開け、店主らしき老婆に声をかける。
「すまない、ナカノシマの高層ビルに向かいたいんだがそこまでの道が書かれている地図はないか?近道とかが書いてある奴があればそれが欲しい」
魔法堂の店主は篝火と水晶玉を交互に見ると近くに置いてあった一枚の地図を取り出す。
「……それならこれだね」
「助かった。いくらだ?」
「今はいらないよ。お前さん、アン嬢ちゃん達を助けるために来たんだろ。だったら早く行っておやり」
「あぁ、ありがとう…ん?なんで人を助けに行くってこと…」
その時、prrrr prrrrとポケットのスマホがなり、篝火は質問を中断して通話ボタンを押す。
『篝火、奴らの対処は?』
「とっくのとうに、今GPSを使ってそっちに向かっている」
『おっけー、こっちはアンネローゼさんを助けた所だが、訳あって俺だけ別行動をとっている。早めに俺以外の二人と合流して作戦を開始してくれ』
「わかった、そっちも早く来てくれ」
『あぁ、すぐにむか…』
「…ん、どうしたんだ?」
言葉が途切れたため、篝火がスマホに耳を近づけるとスマホが床に落ちる音がしたとほぼ同時で…
『ギャァァァァァ!!アァァァァァァ!!!』
蒼月の耳をつんざくほどの悲鳴がスマホ越しに魔法堂へと響き渡った。
「蒼月?おい、何があった!?返事しろ!」
しかし篝火の必死の呼びかけも虚しく、スマホからはツー、ツー、と通話の切れた音がなる。
「あのバカ油断してやがったな!すぐに行かないと!」
「ちょっと待っとくれ、これも持って行ってほしい」
篝火は急いで地図に手をかけると、店主は篝火にとある刀を渡す。
「これは…まさか!」
「お前さんの考えている通りさ」
「そうか、ここに来れてよかった。ありがとう店主!」
柄と鞘を見て、この刀の元の持ち主を確信した篝火は地図と刀を手に店の扉に手をかけると感謝の言葉を残して店を出て行った。
「……感謝するのはこちらの方さ。バルド・バルドの企みを止めてくれる者の手助けができたのならね」
その店主の持っていた水晶玉にはアンネローゼ、陸郎、蒼月、篝火の四人の姿が映っていた。
「グウッ!」
左肩を貫かれた蒼月は再び美鳳に投げ飛ばされて床を転がり、痛みに苦しんでいるところに美鳳の放ったクナイが何本も抉られた左肩など彼の身体へと突き刺さる。
「カハッ!」
「アッハッハ、今度は避けられなかったようね。散々と人の嫌な過去を弄ったあんたをただで殺すつもりはないわ。あたしよりも何倍も苦しい生き地獄を味合わせて無様な最期を遂げさせてあげる」
「クッ…ッ!?」
蒼月は再び美鳳と対峙するために立ちあがろうとするが不意に身体全体に力が入らなくなり、立ち上がろうにもそれが出来なくなっているところを近づいてきた彼女に身体を踏みつけられる。
「うまく立てないみたいね、どう?私の毒の味」
「ハッ、あんたの性格がよく現れてるよ、白蛇の名に相応しくないドス黒さの現れたドブ蛇の味」
その言葉を聞いた美鳳は蒼月から足をよけると、力の限り彼を蹴り飛ばした。
「ガハッ!」
その勢いで身体を持ち上げられ、蒼月は再び床を転がる。
「決めた。まずはその減らず口をズタズタにしてあげる」
美鳳は蒼月の首を掴み、仮面を貫きながら口内にクナイを入れた瞬間、毒で身体の自由が効かないはずの獲物がクナイに思いっきり噛みついた。
「なっ!?くそ、離せ!」
その力たるや美鳳がいくら動かしてもクナイが一切動かないほどである。
「まさか…毒への抗体がガハッ!」
美鳳が戸惑っている所に蒼月の膝蹴りが彼女の腹部を直撃し、その衝撃で両手を離した隙に蒼月は後ろへと飛んで距離をとり、噛んでたクナイを吐き出した。
「勘弁してよ、この減らず口もあんたみたいな奴から冷静さを奪う俺の武器の一つなんだから」
「クウッ、お前、やはり以前にも…」
「あぁ、毒は暗殺者時代によく喰らってたんでね。あんたのは抑えるのに少し時間がかかったが…このくらいの毒で殺せると思うなよ、白蛇」
「だったら串刺しにしてやる!」
再び放たれた無数のクナイに蒼月は右手のナイフで捌きながらよけ続けるが、今度は逆に一瞬の隙をついて美鳳の投げた縄標が彼の左腕を捉えた。
「捕まえた!もう逃げられはしないよ!」
「ハッ!だったらこうだ!!」
その瞬間、蒼月は右足に対魔粒子を込めると前の地面へ向け、その溜まった対魔粒子を放つ。
「なっ、何っ!?」
その一発で蒼月は後ろへと吹き飛び、彼を逃さまいと左腕を縛っている縄標を握っていた美鳳も彼と同じ方向へと飛び、両足が地面から離れる。
「よっと、『流遁 発破頸殴』!」
「ガハッ!」
すぐに体勢を整えながら地面に両足をつけた蒼月は前寄りに姿勢を崩している美鳳に今度は右アッパーによる拳と衝撃の二連撃を撃ち込み、彼女を天井を突き破って上の階まで吹き飛ばす。
「クッ!」
しかし先ほど美鳳が彼の動きに引っ張られたのと同じように彼女が上に吹き飛べば彼女の握っている縄標に縛られている左腕を引っ張られ、蒼月もまた行き先を同じにする。
「こんのぉ!」
「なっ!?」
先ほどの技を受けても尚、意識を保っていた美鳳は縄標から手を離し、蒼月に渾身の蹴りをお見舞いし、彼はある機械に背中を思いっきり強打した。
「ガハッ!くうっ、いってえ。いったい何にぶつかったんだ…よ……」
蒼月が機械に後ろ手をかけて立ち上がり、後ろを向き、ぶつかったものの正体を見て言葉を失う。
人一人は乗せれる平たい座面を前後で挟むように前には上の階から伸びているチューブの繋がった口にはめるであろうバンドと後ろには二本のディルドが付き、ご丁寧に四肢を拘束できる設備のついた性的拷問用の機械であった。
「あら、この部屋に来るだなんて…いい事思いついた」
体勢を立て直して着地した美鳳が彼と機械を交互に見て、凶悪な笑みを浮かべる。
「……あの…一応聞きますけどこのチューブ、何が流れるんです?」
「それ?あぁ、発酵させたザーメンをたっぷりあげるの、みんないい顔して飲み込んでくれるわ」
「…聞いた俺が言うのもなんだけど……すげぇ悪趣味!!!」
ある意味予想できてた答えには蒼月は勢いよく自分の思いを吐露する。
「そう言ってられるのも今のうちよ、この後あんたにもこれを体験させてあげる。安心なさい、後ろの穴が初めてだって言うなら私の媚毒で解してあげるわ」
美鳳はその後の後ろの装置に拘束した彼の惨状を妄想しながら舌なめずりをする。
「だったらその媚毒、自分に使った方がいいと思うぜ。この後無様な痴態を晒すのはお前なんだからなぁ」
そんな状況でもなお、自分の勝ちを確信したような笑みを仮面越しにしながら挑発を続ける蒼月に美鳳は冷静に獲物を観察し、こちらも勝ちを確信したような笑みをこぼす。
「…………」
「…………」
互いにかなりの傷を負い、相手に一撃を叩き込めばその相手は倒れて性的拷問用の機械にかけられる。だが闇雲に突っ込めば相手にカウンターを決められるこの状況で二人は互いに相手を警戒し続け、辺りには砂埃が風に舞う音のみが互いの耳を通り抜けていくこの状況で先に動いたのは…………
「行け!比翼十番!!」
蒼月であった。彼の指示を受け腰マントの中のクナイが美鳳を狙って、発射される。
「チイッ!!」
美鳳も舌打ち混じりにクナイを投げて互いに放ったクナイが全てぶつかり合う。
その一瞬、蒼月と美鳳は互いに飛び出す。蒼月は固く握りしめた右手を、美鳳は貫手の形にした右手を叩き込もうと距離を縮め…
「これでも喰らえ!」
「ッ!」
美鳳が懐に隠してあったクナイを投げつけ、蒼月は右手を盾にし、慌てて後ろに飛んで美鳳から距離を取ろうとする。
「無駄よ!」
しかしあっという間に近づいた美鳳の貫手が再び彼の左肩を貫いた。
「ガッ!」
(勝った!)
美鳳は確信する。彼は麻痺毒に侵された身体を動かした後から左腕を動かしていない。それが意味するのは…
(奴はなんらかの術で左腕に毒を集めて身体を動かせるようにしている!)
ならまずは動けない左腕を狙い、動きを封じた所でとどめの一発をお見舞いする……
(これで….!?)
はずであった。まさか手負いの獲物が先程まで動かしてなかった左腕を動かし、自身の右肘を掴むとは思いもしなかったのである。
「お前ならそう来ると思ったよ!」
仮面越しに笑みを浮かべながら蒼月は右手で美鳳の服の左襟部分を掴む。
「お前、まさ「口閉じな、舌噛むぜ」か…」
その瞬間はまさに一瞬だった。自分の身体が一回転する感覚、
「デエリャアアアアア!!!」
そして蒼月の声と共に背中を硬いものに叩きつけられた衝撃が美鳳の身体に迸り、
「カハッ!」
美鳳は肺の中の空気を全て吐き出した。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ…ウッ」
蒼月はグチュッという生々しい音をさせながら左肩に刺さったままだった腕を引き抜く。
「フウッ…悪いがあんな毒、すぐに治せたよ。だけどあんたの性格なら絶対に治りきってないと思った所を狙うと思ったからわざと動かさなかっただけ、まんまと引っかかってくれて感謝するぜ」
「この……クソガキがぁ」
「何とでも言え、勝ったのは俺だ。この装置を動かす奴もここにあったし、敗者にはそれ相応の無様を晒してもらおうじゃないか」
そう言うと蒼月は背中を強く打って身動きのとれない美鳳をテキパキと四肢を拘束し、口用のバンドをはめ、服の下腹部を横にずらしてディルドの位置も調整する。
「よし、あとはこれを押せば、あんたの口に子種が流れて、両穴はグッチャグチャになるわけだ」
「むー!むー!むー!」
「何?言い訳なら聞きたくないよ。これはあんたが俺にしようとしていた事なんだからさ」
「むーー!!」
「さよなら白蛇、今度は腹を真っ白にして出直しな」
「むーーー!!!」
ピッ、と
美鳳の必死の抵抗もむなしく無情にも押されたスイッチの操作に従って、上の階からは発酵された精液が彼女に流れ込み、二つのディルドが回転しながら彼女の両穴を穿ち始める……
その光景を蒼月は見向きもせずリモコンを捨てると床を踏み抜き、下の階で先ほど投げた自身のスマホを拾っていた。
「今度こそ皆と合流できる。そろそろ作戦を開始しないと…」
「ホォ、それは一体何かね?」
「ッ!?」
蒼月が気づくよりも早く無数の触手が彼の首や腕を捉える。
「全く…ここまで暴れてくれるとはな、はぐれ対魔忍よ」
「てめぇ…」
蒼月が睨む先には左目にモノクルをつけ、片手に杖を持った男、蒼月が篝火を連れてアミダハラに行くきっかけを作った事の元凶であるバルド・バルドが触手を振るう怪物と共に姿を現していた。
「ラスボスは大人しく最奥に鎮座しとけっての」
「私は興味を持ったモルモットが来るのを気長に待っていられる性質ではないんだよ……数年前に吸血鬼エドウィン・ブラックに滅ぼされた双賀一族の末裔であり、一族相伝の術であるりゅう遁の術を使う君という研究素材をね」
蒼月の軽口にバルド・バルドは淡々と言葉を返す。
「それで俺に美鳳を差し向けて弱ったところを狙ったわけか。奴が勝てば好都合。俺が勝ってもこのざまになることを予期してたわけか。ったく、嫌な奴に目をつけられたもんだ」
「貴様がここに来た時点で全ては私の掌の上だったわけだ、己の運命を呪うことだな、罠にかかった狐よ。しかし…」
バルド・バルドは持っていた杖で頭を下げたままだった蒼月の顎を上げ、無理矢理自分の方へと向けさせる。
「クッ…」
「仮面越しでもわかるほど君に余裕の顔をさせている'作戦,とは一体何かな?」
どうやら先ほど蒼月が漏らした'作戦,という自身にとって不安材料を消したいのかその内容を知ろうとしているようであった。
「それを知りたいならてめえが捉えているアンネローゼさんの使い魔を解放しな。ちなみに身体に聞いても無駄だぜ。こっちはてめえのちゃちな拷問如きで喋るほど柔じゃないんだからな」
その言葉の直後、バルド・バルドの杖が蒼月の右頬に叩き付けられる。
「ガハッ!」
「…立場がわかっていないようだな。ここは人の常識が通じない弱肉強食の世界だ。今の貴様にできることは私の問いに素直に答え、モルモットとしての末路を辿ること、ただそれだけだ」
バルド・バルドから淡々と告げられたこの裏世界の常識。これを聞いた蒼月はただ…
「………ハハッ」
笑っていた。
「何がおかしい?」
「だったら言わない。あんたは俺から聞き出せなかったその策で全てを失うんだよ。このディルド・ディルド!」
「ッ!」
瞬間、ナナノシマのタワーの一つに激しい雷鳴が迸った。
「ウワッ!何だ!?今のは…雷?」
その雷鳴はアンネローゼを連れてこの場から離れていた陸郎にも聞こえるほどの威力であった。
陸郎は蒼月が美鳳を連れて離れた後、アンネローゼの腕にクナイを刺し、その後篝火と合流しようと歩いていた所であった。
「蒼月さん……」
上を見ながら今も戦っているであろうはぐれ対魔忍の安否を心配する彼に支えられた彼女の腕がピクリ、と小さく動いていた。
「……愚かな者だ」
バルド・バルドが静かに告げる先には先ほどの電撃を受けた蒼月が物言わぬ姿となっていた。
「ここは己の力に過信し、自身の置かれている状況を理解できぬ者から死んでいく場所だ」
淡々と告げていくその言葉をバルド・バルドは苦虫を噛み潰したような顔で言い放っていた。
その原因は目の前にいる対魔忍が最後に吐いた悪意に満ちた言い間違いか…はたまたそれ以外の理由か…
「………」
バルド・バルドは無言で指を鳴らすと蒼月を拘束していた怪物が彼を丸呑みにする。
「殺しはしない、だがその四肢を溶かしてからじっくりと君の身体を研究させてもらうとしよう」
そして黒い穴を作り出すと、怪物を連れてそこへと入っていった。
「あ、おかえり、どうだった?僕からの情報、はぐれ対魔忍の左肩のこととか色々と、彼を捕らえるのに役立った?」
「あっ、あっ…あっ」
バルド・バルドが怪物を連れて帰ってきた先はタワーの最上階の一室、既に彼の調教により精神が崩壊した元アンネローゼの契約悪魔であったミチコ・フルーレティを椅子代わりに足を組みながらバルド・バルドを迎えたのは、かつてヨミハラで矢崎に情報提供をしていた狐面の女性であった。
「あぁ、だが奴等には打つ手があるみたいだがな…貴様、それを知っているか?」
「うん、彼が連れてきた奴を見たらすぐに狙いがわかったよ……」
瞬間、彼女の目の前に現れたバルド・バルドが杖を彼女へと向けた。
「…何のつもり?」
「聞かせろ。すでに貴様に金は払ったはずだ」
「この情報は別途になりまぁす。料金はさっきと同じく1000万」
「…立場を理解できんか、貴様も奴と同じく私の研究素材にしても良いのだぞ」
「アハハハハ、やってみろよこのディルド・ディルド!!」
「ッ!!!」
「アァァァァァァァァ!」
先ほどはぐれ対魔忍が吐いたのと同じ言い間違いにバルド・バルドは反射的に電撃を放つが、それは当の本人に当たることなく彼女の下にいたミチコに当たり、苦痛の声が心の壊れた人形から発される。
「残念ハズレ」
「…そこか」
バルド・バルドが後ろを振り返ると、狐面の女性はソファーにもたれかかっていた。
「怖いことするね君も。そんなに金払いたくないなら自分で調べたらどう?」
「それをする時間が惜しいと言っているのだ」
「何を気にする時間があるの?既に奴とそこの木偶人形は手中に収めているし、魔女の奪還だってそばのいるのは死なないだけのモブに彼が呼んだやつもあんたなら十分に勝てる奴だけなんだから、さっさとそいつらを始末…」
ビキッ!
「…?」
「何ッ!?」
瞬間、彼女の後ろのガラスが砕け散り、破片と共にある人物が彼らの前に降り立った。
「馬鹿な!?」
「あら?この場に私がいるのはおかしいかしら?」
「げっ!?あの刀は!やばっ!!」
狐面の女性はその侵入者、その左手に持っている刀を見ると慌てて窓から飛び出して逃げていった。
「待て貴様!くっ、まさかあの状況から蘇って、再び私の前に現れるとはな…鋼鉄の魔女アンネローゼ!」
「えぇ、こんどはトドメを刺してあげるわ、魔術師バルド・バルド!」
かつてトロルに犯されていた時とは別人のように凛とした姿の鋼鉄の魔女アンネローゼが左手の金剛夜叉の剣先を向け、アミダハラでの最後の決戦が始まろうとしていた。
補足
蒼月が美鳳を仕留めるのに使ったのは柔道の一本背負い。子供の頃、対魔粒子を待っていない対魔忍から教えてもらったらしい。
最後に美鳳が拘束されたマシーン わかる人はわかると思うがゲーム、漫画、アニメのいずれもアンネローゼが拘束されたあのマシーンである。あれ何なの?アンネローゼを代表するシーンなの?