「VS研究所兵」にすればよかったかなこりゃ。
ヨミハラの一際離れた通りにはおどろおどろしい研究所がある。
ここでは所長が素質のある奴隷を自身の研究の実験体として買い、その研究の過程で、もしくは使えなくなった奴隷の使い道として、娼婦としてヨミハラの男たちのナニを発散させており、一部のマニアには大喜びの施設だった。しかもときおり実験体として所長の研究につきあうことを条件に破格の高待遇(しかも奴隷との情事もタダで可能)で雇ってくれるため、その研究所には警備員がうじゃうじゃおり、並の対魔忍でも調査できないという施設であった。
その入り口を2人の警備員が守っていると…
「おい、ちょっとタバコ吸ってきていいか?」
と1人の男が片方に聞いてきた。
「別にいいが、俺の見えないところで吸ってくれよ、タバコ嫌いだから」
「ちっ、吸うとこ見るのも嫌なんかよ」
と男が離れ…る前に、
「おい、順番回ったら教えてくれよ、今度こそあの真っ黒嬢ちゃんをママにしてやるからよ」
「おいおいw真っ黒嬢ちゃんてwちゃんと名前あったろw」
「いいんだよ、何人もヤッてると、名前覚えるの面倒になる」
「あっそう、お前も好き者だな、あのデブキモ野郎の後だと意識なくなってるぜ」
「はっ、抜け殻みたいな奴とヤるのも面白いぜ、何度もアヘアヘ聞くよりも味がある」
「そうかい、悪いねお前の趣味を理解できなくて」
「ふん、お前もまだまだノーマルだな」
と男がタバコを吸いに片方の目に映らないところに行くと…
「むぐっ!?」
突如口を塞がれ、首をダガーナイフで刺され、ダメ押しとばかりに横に裂かれ…この間わずか1秒足らず、
「どうしたんだ!?」
そして男の変な声が気になり来てしまった片方は頭を掴まれ、体は縦のまま首を真横に折られ…この間もまた1秒に満たなかった。
「ふぅ」
はぐれ対魔忍であった。
「アサギさんの対応にはびっくりだね、まさか三人の救出だけでなく関係者の殺害まで頼むとは、そんなに大掃除が必要なほどヨミハラは腐ってたんか」
彼はヨミハラに行く前にアサギから二つ、頼まれていたことがあった。まず一つ目は今まで捕まっている対魔忍の救出、そしてこの事件の協力者全員の殺害であった。
日本政府も少量の対魔忍なら権力者の奴隷にしていいと考えていたようだが、今回ばかりは被害が甚大すぎたのだ。
そのため、主犯の矢崎、リーアル含むヨミハラの対魔忍奴隷化に関与した者全員を殺すよう、アサギに依頼が来たのである、がアサギは裏世界では(エロい意味で)顔が知られているため、アサギは潜入と暗殺、そして肉弾戦に優れた彼を招集したのだ。
「鍵は…あった、顔もちょっと借りるよ、タバコ嫌い君」
彼は片方の男に術で化け難なく研究所に入った……はずだった。
‥‥‥
彼女が寝ていたのはとあるスライムの中であった。
このスライムが出している肌から浸透する媚薬に彼女は何度も寝ながら絶頂していた。
「達……郎」
彼女がイブのせいで裏切ってしまった彼の名前を言うと、
「いやー、君のおかげで私の研究が捗るよ、ユキカゼ君」
奥から白衣の女性が出てきた。
しかし白衣の隙間からは胸の間も、お腹も、股間の割れ目も彼女、ユキカゼに曝け出していた。
「君がお腹を痛めて産んだ子どもは今や私の素晴らしい研究材料になってくれているよ、ほら!」
と白衣の女性が後ろを向くとそこからビリビリと稲妻の流れている獣がゆっくりと歩いてきた。
かつてユキカゼは自分の母親を助け出すために彼氏の達郎、そしてその姉の凛子と共にヨミハラに侵入したが、侵入する過程でご都合発情チップ……じゃなかった、イブを頭に埋め込まれ、達郎の知らぬ所でユキカゼに恨みを持っていた男、矢崎に調教され、挙げ句の果てには排卵日に男たちと輪姦(しかも達郎に見せるためのビデオに撮られながら)その結果、ユキカゼは父親が誰とも知れぬ子を妊娠し、その胎児を白衣の女性が買い取り、ユキカゼのお腹からとりだし、改造した結果、生まれたのがこの獣であった。
「さっ、『雷獣』お座りだよ」
日本の妖怪の名である雷獣と呼ばれた獣は白衣の女性の言う通りに動く、お座りといえば座り、殺せと言えば殺す、恐ろしい生体兵器であった。
「ん?」
白衣の女性は自身のスマホを白衣のポケット取り出すと『何者かが侵入』という文字を見て、すぐにスマホを自身の研究所の監視カメラと連動させたアプリを見て少しした後、全職員に通達を送った。
『入り口の門番が仕事内容を破り侵入、チップなし、見つけ次第殺せ、おそらく対魔忍の1人だ』
と送った後、ニタリとユキカゼに笑って、
「もしや君の彼氏かな?あんな術だったかは知らんけど、バカなことをするもんだね、あんな残りの生気を出すしかできなくなった役立たず彼氏が命を奪われにきたとはねぇ、まぁ頑張ってここまで来てもこの雷獣に焼き払われるのがオチだけどね!アーハッハッハ!」
「…………」
ユキカゼはその罵倒に何も反論を出せずにいた
「あ、そうだ、君も雷獣と一緒に戦うようにイブを設定しておくよ、自分の息子と一緒に彼を殺した感想を後で聞かせてくれよ」
そう言われたユキカゼは何も言えないまま涙を流していた。
……
研究所内部
「マジかよ!手の中にチップって、都市伝説の話だけじゃねぇのかよ!」
はぐれ対魔忍は追われていた
他の従業員には休憩だと誤魔化そうとしたが従業員が急になったスマホを見て少しした後…
「奴を逃すな!撃て!撃て!」
…と、従業員のほとんどが彼を殺すために襲撃したのだ。
そのため彼は敵の目から逃れて物置部屋の中に逃げ込み、考え始めた。
「ぜぇ、ぜぇ、変装しても俺を敵だと認識できる理由はわかったが、そうなるとひっそり隠密行動をとるか、正面突破か、うーん」
と少し考えた後…
「正面突破だな、こう言う事態は速めに解決するのが一番!」
流石は彼も抜け忍といえど元対魔忍、隠密か突破か迷ったら、まず突破に全力を注ぐのはアサギの影響もあるとかないとか。
「と言うがタイミングもあるからな……」
と言って少しした後、
「この中は探したか?」
「いえ、まだです」
と言う会話が聞こえてきた。
(今だ!)
瞬間、彼は戸を力一杯蹴り飛ばし、扉の前にいた男達を全員壁まで吹っ飛ばし、無力化に成功した。
「ふぅ」
「見つけたぞ!」
「ヤッベェ!まだいた!」
はぐれ対魔忍は後ろから放たれる銃弾の嵐の中、急いでまた別の部屋に逃げ込んだ。
「また見逃したか!探せ探せ!」
「リーダー、先にここから探しますか?」
「いや、まずは他の奴らと合流だ。奴らの近くで変な風がふいてなかったか確認する。だが近くに兵を置いておけ、扉が開いたらすぐにそこを撃つよう指示しておけ、侵入者が幻影で惑わす可能性もあるから」
「はっ!」
「………あいつ、優秀だな、俺も今言ったことはできるけど……今はしたくないな、まだ情報収集も途中だし、だとするとこの更衣室に入られる前に隠れたいけどなぁ」
今度の部屋はロッカーまみれであり、ロッカー以外に隠れ場はない状態であった。
「ロッカーしかねぇんだよなぁ、ホラゲーならうまく騙せるかもしれないけど……」
その時、とある物に目がいった。
「…‥…使えるな、これ」
‥‥‥
「……この中だな」
「ええ、物置部屋から逃げた方向から考えて、後はここしかありません」
「よし、開けるぞ」
と言って開けたコンマ1秒後
「ガハッ」
男の心臓には誰かが更衣室に置いていったのであろう傘が刺さっていた。
「悪いね、こっちだって仕事なんだよ」
その一言を聞いたのち、リーダー格の男が絶命した。
「リッ、リーダッ」
その男に近づいた一人の首が飛んだ。
「さて…」
はぐれ対魔忍がリーダー格の男から傘を抜いて…
「犬死にしたいやつから撃ってきな!」
と同時に当たらぬ銃弾たちがはぐれ対魔忍のそばを通った。
「………そうか、全員だな!」
はぐれ対魔忍がそう言うが早いか傘を槍投げの様に投げた。
傘は左側を囲っていた男達の数人の心臓を撃ち抜き壁にグサっと刺さった。
「撃て!撃て!」
それと同時にはぐれ対魔忍を数多の銃弾が襲い、彼に風穴を開け………られる筈だった弾丸は全て後ろの壁に穴を開けていた。
「なっ、ギャッ」
と同時に壁に刺さった傘の近くにいた男達の軽動脈があっと言う間に切られて数秒後、傘を壁から引き抜いたはぐれ対魔忍が血まみれの姿でいた。
「ひ、ひぃっ」
偶然にも彼の凶刃を逃れた男たちは慌てて仲間たちの元へ走っていた。
「へぇ、集まってくれたのか、そいつは好都合、ゴミ処理の時間短縮に感謝しかないな」
「そのゴミにもここに入る理由があると言ったら貴様は俺たちを見逃すか」
はぐれ対魔忍のゴミ呼ばわりに現在残っているメンバーの中で一番上の階級であろう男が銃を下ろし反論した。
「入る理由ってテメェら女か金以外ねえくせに今更命乞いか。悪いんだけど逃す条件はここで女経験の無えやつくらいしかいねえよ、関係者は全員殺せって命令でな!」
「だとしたら貴様、ガハッ!?」
男が銃をあげた瞬間、はぐれ対魔忍がゼロ距離まで接近し、傘で男の口内を貫いた。
「っと!」
その間に放たれた銃弾も彼は最小限の動きで全て避け、腕を振るえばそこに死体が一人、また一人と転がっていった。
「あと三人、あと二人っ!」
そして遂に、
「あとひとりっ!?」
その目の前にはいつのまにミニガンという機関銃を装備した男が目の前にいた。
どうやら先ほどまでの攻防の隙に持ち出してきたのであろう。その6連の銃身が蒼月に向けられていた。
「くたばれぇぇぇ!」
「やべぇ」
ミニガンから弾丸が放たれた瞬間に蒼月がしゃがみながら傘を開いたが、時すでに遅く、傘はあっというまに穴だらけになりその後ろにいた対魔忍は………
「!?いないだと!」
「残念でした」
その言葉と同時に最後の男の首が飛んだ。
「……まぁ、マジックみたいなもんだよ、俺のやり方は。人間、右手で何かをするのを見たら反射的に右手を見て左手を見るのを疎かにするだろ。俺が傘を開いた時にもっと全体を見ていれば…一発は当たってたと思うよ。以上、最後まで抵抗を続けた君にだけ教える俺の攻略法の一つさ」
はぐれ対魔忍が言い終わると同時に男の頭が地面に着陸した。
「さてと……」
と蒼月が地面を足でポンと叩き、数秒後……
「下に二人ほどの反応、いや、他に何かいるな、まっ、どちらにせよ、この床と同じ結末になるだけだな!!」
その瞬間、ドガンと言う音と同時に蒼月が地下へ着陸した。
彼が足を力いっぱい地面に叩きつけ、床を粉々に粉砕したからである。
「見つけたぜ、ユキカゼ、そして……ゴホッゴホッ、この辺埃酷くない?君大丈夫、ハウスダストとか?」
「それは埃じゃなくて君が粉々にした、床の瓦礫じゃないかい?」
とその声と同時に白衣の女性が雷獣を連れて蒼月の前に立ちはだかった。
「確かにそうだな、こんな登場は嫌いだったかい?」
「あぁ、そうさ、折角エレベーターからこの部屋の間を罠まみれにしたって言うのに台無しじゃないか」
「なるほどね、そいつはよかった。余計な手間が省けたのはいいとして……ちょっとどいてくれ、そいつの救出の邪魔なのよ、君たち」
「やなこった。むしろ君と彼女になんの関係がある?」
「あらそれ聞く?じゃあこの話は抜きにして互いに名乗ろうか、俺ははぐれ対魔忍だ、名前によってはあんたを逃してもいいぜ」
「なるほどね、ならばこちらも。私はDr.サンダー、そしてこの子は雷獣、彼女とどっかの竿役面の男から生まれた子を私が改造して生まれた義息子だよ」
その回答に蒼月は少しの怒りを仮面の下に見せていた。
「なるほどな、そしてその名前を名乗るってことは……てめぇ死にてぇらしいな!」
「ハハハ、やはり私もターゲットに入っていたか!だが残念だ!ここは貴様の墓場になる!知っているぞはぐれ対魔忍!貴様の術!そして貴様の忌まわしき血筋!闇に埋もれた双賀の歴史もな!雷獣!黒焦げにしろ!」
その声と同時に雷獣が蒼月に牙を剥く、が、
「フン!」
蒼月が雷獣の鼻を全力で殴り、雷獣はユキカゼの横を通って壁に激突した。
「何!?」
「……それを知って何になる?俺の術を知ってる?一族の歴史を知ってる?それで勝てると言うのなら……来いよ、お前が軽い気持ちで双賀の禁忌に触れた事、地獄で悔い改めさせてやる」
蒼月が、ダガーナイフの刃先をDr.サンダーに向けていた。
ちなみに今後なろう系の連載もして有名になるという所謂「取らぬ狸の皮算用」を考えてるよ俺の頭