桜花の安定。
琥珀のイメチェン。
仁科との別れ。
そして俊介の没落。
色々と関係性が変わった。
偶然会えば仁科とも話はするが、それだけだ。俺からメッセージや電話をする事は全く無くなっていた。
初恋ってこんな風に突然終わるんだな。
いや、仁科以上の相手が現れたからか。
俺は精神的に落ち着き、桜花と付き合いながら同時に琥珀とも付き合いを深めていた。
それと時々のセフレ関係である心愛とも。
仁科とべったりの美香さんはサークルだけの関係になり、少しチョッカイを掛けられていた高校の時が懐かしかった。
今となっては分からないが、自分の弟の事だ。弟が仁科を好きになり、仁科に受けさせるように仕向けていた様な気もする。
結果、みんなバラバラになったけど、それはそれで良いと思った。
だって結局俺と仁科は合わなかったから。
子供の遊び程度であれば問題無かったが、彼氏彼女や結婚相手となると違うんだろう。
俺の性癖や、生活に近い理想は桜花が一番だった。
小悪魔ながらにも俺を立ててくれている。
意外に古風な性格を嫌な顔一つせずにしてくれる。
それに俺は応えたかった。
言葉は悪いが、良い意味で琥珀は桜花の下位互換だった。
琥珀が桜花に劣っていると言う意味では無い。
二人は何となく似ているのだ。
もしも桜花がいなかったとしたら俺の理想は琥珀だったのかもしれない。
色んな男とやらされて、隠れた性癖を分かってしまった琥珀。
少しは淫乱な性癖が我慢出来るのかと思ったが、嘘か本当か、俺に抱かれているとそんな事は思わなくなったそうだ。
まあ、やっている事は桜花よりも激しいが。
そして心愛は俺の友達感覚で付き合える仲間って所だった。
めんどくさい男女関係が嫌な心愛は俺とのさっぱりした身体の関係が気に入っているらしい。
たまに桜花や琥珀とバッティングするが、自分の立場を弁えており、前もって俺を使用する予約を取っているらしい。
いつの間に…………
そして……二人にフラれた俊介は…………
「ねえ、今度買い物に行こうよ~」
「この前行ったばかりじゃん」
「秋の新作で良いのが出てるんだってぇ」
「しょうがねえな。ついでに何か飯食って帰ろうぜ」
「やったー!お肉お肉!焼肉がいいなぁ」
「いいねぇ、帰りに焼肉いくべ」
完全にこんな調子で結衣と付き合っていた。
俺らの後ろの席は彼らの席になり、俺に話しかける事はあっても、桜花と琥珀に手を出す素振りは見れれなくなっていた。
俺はバイトも順調で、企業買収に関する案件を一つ合格を貰っていた。
心愛もバイトでの経理は卒業し、今は金融部門に鞍替えしていた。
そして俺がバイトを進めいた琥珀は、渋々だが週に二回の受付へのお花を飾る仕事と、松永さんのいる人事部の手伝いを始めていた。
流石に超ミニは嫌がられるので、ストッキングに普通のタイトミニで仕事をしていた。
お金はあるので定時で上がる顔ツナギだが、俺と一緒になるのならばと張り切っていた。
そして色々あった夏が終わった。
そして秋が来る。
秋と言えば、そう文化祭だ!
夏の間に描いた絵を出品するのが毎年恒例になっているらしいが、いかせん不人気の美術サークル。
離れの校舎に出向く外部者は殆ど居らず、生徒でさえ来る事は殆ど居なかった。
俊介は変に拘ったアングラアート写真を見せて来たが、よく見るとこれはダブルフェラをしている所か?
真ん中に起立したカラフルなオベリスクが立ち、左右にデカい顔の女性が頬を寄せている。
エロくならないように工夫・加工したんだろうが、いかせん顔が結衣と琥珀に似ていた。
「こッこれなら良いだろっ!」
「もっと綺麗にしなさいよ!私こんなカラフルな顔じゃないし!」
「普通にしたらアート写真じゃなくなるだろうが!ベロだしたのを加工したんだぞ!」
「あんたのそんなに大きくないし。誇張し過ぎ」
「うッうるせー!」
琥珀も俊介に言うようになっていた。
女は強し!
そして結衣は裸で対面座位で抱き合う男女の油絵を描いていた。
モデルは俊介と琥珀だろう。
背面から淡い光りがカーテン越しに当たり、エロい雰囲気を柔らかくしている。
やっている事は多分セックスなんだろうが、そう言うエロさは全く感じなかった。
絵画の描く裸婦像と同じ感覚だ。
「結衣も結構うまいよな~」
「ふふふ、もっと褒めて褒めて」
自信があると言うだけの事はあった。
そして心愛は夏休みの間に一人ツーリングに行って山の中で写生をしてきたらしい。
田舎風景だが、俺よりも上手だった。
そして俺はと言うと…………
「おい圭介なんだこれは……」
「まあ、見たまんまだが。何か?」
「もっとあるだろっ、こう若い感性を爆発させる裸体とか!エロエロな桜花ちゃんと交わった感じとかっ!」
「いや、これでもエロいだろ」
「…………いや……エロいのか?これが……」
「ほら、このケツの割れ目がここにあって……」
「ああ、これは割れ目なんだ」
「ここに横乳が見えてるだろ」
「そう言えばあるなぁ」
俺はハワイのバルコニーでの一幕の後、裸で白み始める海岸線を見ていた桜花の写真を撮って、それを絵にしていた。
裸婦像と言えば裸だが、暗い中で裸で佇む桜花はまだ明かりに照らされておらず、微かに当たる太陽の光がシルエットの様に見えているだけだった。
「ああ、あの時の桜花はエロかったな~」
「まさか脳内で補完してるんじゃないだろうな。誰もそんなの分からないぞ」
「俺と桜花だけが分かっていれば良いんだよ。俺最高の傑作だからな」
「…………ま、いいけど」
余り絵が得意ではない俺が書いた最高の桜花の絵だ。
桜花もこの絵を見て納得していた。
だが、殆ど見られる事の無い絵は誰にも評価される事は無かった。
大学の文化祭だと言うのに。
だが、この旧校舎は賑わっていた。
何故かと言うと、今年は何処かのサークルが俺らの絵を飾っている部屋以外を全部貸し切り、旧校舎全部をお化け屋敷にしていたのだ。
『キャー』『イヤー』『なんだコレー!』
あちこちから悲鳴が聞こえていた。
俺らのサークルの発表する教室の横はお化け屋敷に入る人で列を作っていた。
「なんか虚しいな」
「圭介、お前もそう思うか?」
「ああ、まあ余り来ないとは思っていたが、ここまで来ないとは……清々するな」
「何か食いに行くか?」
「そうするか」
俺のグループと俊介のカップル二人、計6名でフリー観覧になっているサークルの発表会を後にした。
だが、この後で悪魔の如き偶然から発生する事故が起こるなど俺は全く予想もしていなかった…………
学際定番の芸能人のコンサートを眺め、コスプレ喫茶の中で露出気味のメイド達が料理などを運ぶ中、黙々と飯を食らう。
残念だが、女子の見栄えも、露出している服も、気品やエロさも俺達の周りにいる女子の方が格上だった。
その内店員のメイドも自分らが格下だと言う事が分かり、俺らに近づかなくなっていく。
逆に周りの一般人が桜花や琥珀と写真を撮りたがり、話しかけて来るが二人はそれを一掃。
隠し撮りなどおをする者らまでが現れ、その場を後にした。
芸能人のコンサートはまだ行っていたが、余りテレビを見ない俺は誰が誰だか分からない。
何となく聞いた事がある歌だが、ただそれだけだった。
「ねえ君、芸能界に興味ない?」
「全くない!」
「君もグラビアで行けると思うんだよね!」
「興味ない!」
マネージャーか誰だか分からない人から声を掛けられた桜花が速効で蹴散らし、琥珀も断った。
それでも食らいつく男を隠れて着いて来ていたSPが排除!
いつもは構内に入ってこないSPも、一般人が入れる今日は護衛をしていた。
もっとも桜花の指示のせいで、必要以上には近づいてこない。分からない程遠くから見守っているだけだ。
休憩を入れながら飲み、食べ、見学するが、飛び入り参加を打診された美女コンテストも速効断り、まったりした学園際が終盤になっていく。
食べ物屋をしている所は材料が無くなり次第お店を片づけ人もまばらになっていく。
自分達のサークル展示教室に戻って来るも、誰もいない観客の中、先輩達から片づけする事を言われてみんなで展示作品を片づけだした。
先輩達が交代で見張りを行っていたらしいが、全員で20名も観覧に来なかったらしい。
「この絵は貰ってもいい?」
「あんまり上手じゃないぞ」
桜花が俺の描いた絵を欲しがっていた。
一応裸体だから他の人には見せたくないかもしれないし、初めての自分の絵だからか割と気に入っていたのであげる事にした。
自分の描いた絵が何処かに飾られる事が恥ずかしく、誰にも見せるなよと言いながらキャンバスを取って桜花に渡した。
その後はあっと言う間に片づけが終わり、夕方になって旧校舎の前で解散となった。
今日は日曜日と言う事もあってみんなバイト組は休み。
これからどうすると言う事になり、俊介が前に出てきた。
「これなーんだ?」
俊介の手の平に乗せられていたのは一つの鍵だった。
「どこの鍵だ?」
「へへっイベント係の友人に一晩借りたんだ。折角だから入って見ねえ?」
「おい、イベント係って……このオバケ屋敷かっ!」
「誰も居なくなったお化け屋敷……オバケ担当はいなくなってるけど、音楽と仕掛けは電気があれば動くらしいからな。備品のライトもそのまま残ってるし、明日には全部片づけるらしいから入るなら今しかねえ!入ってみようぜ!」
当然、俊介の彼女は賛成。気の強い心愛も賛成。覚醒した琥珀もやっても良いわと言っている。桜花は俺がやるなら良いけどと少し歯切れの悪い感じだったが、俺はパッとするモノが無かったから断る理由が無いので学際の思いでとして賛成した。
「よし!じゃあ皆参加と言う事で。本来は二階の一番奥にあるクイズに答えて出て来るって感じらしいけど、今もあるかどうか分からないから、各部屋に何があったかどうかを答えるって感じでやろうか」
「じゃあ私は俊介君と一緒!」
結衣が俊介の腕を掴んだ。
「あのなあ、こういうのは一人で行くのが面白いんじゃん!時間差を開けて個別で入ろうぜ」
「はーい」
一人一人で入って行く事になり、俺らはジャンケンをする事に…………
「何故俺が一番に?」
「まあ、男だから先陣切って行ってもらいましょうか。私が二番だからもたもたしてたら追い抜くぞ」
何とジャンケンをすると俺が一番負けに!
二番目は心愛になり、俺に発破を掛けて来た。
「俺がこの程度を怖がるだと?機械仕掛けで人もいないのに?バカ言うなよ」
朝からキャーキャーと悲鳴が聞こえていただけに少し不安だった。
だが、強気の心愛の前で弱い所を見せる訳にはいかないのだ!
「下着の替えは無いんだよ。フルチンでバイクは辛いだろうな」
「うっさいなー、心愛もノーパンミニスカでバイクは辛いぞ。汚れたら俺が手洗いしてやるからな」
「この私が?へへっ冗談?途中で追い抜いてやるわ」
三番目は結衣、四番目に桜花、五番目に琥珀、ラストは言い出した俊介になっていた。
旧校舎は正面入り口から入って右は美術サークルの展示場なので、左から始まる。
フロアー毎に4部屋あるが、一階は展示場がある為3部屋あり、端の階段を上って二階は3部屋進むと正面階段から下りて終わると言うルートになっていた。
各部屋には箱の中に文字が書いてあり、それを繋げると文章になっている。それをヒントに最後の部屋のクイズに答えると言う物。
クイズはどうなっているか分からない為、言葉だけを覚えて帰還する事になっていた。
出発は時間差3分に決まり、俺が出てラストの俊介が出発するまで15分。
俊介が出るまでに出て来てやる。
職員のいないお化け屋敷がなんぼのもんじゃい!と思っていた。
俺はペンライト一つを持ち囃し立てられながら出発した。
廊下はもちろん窓に段ボールの暗幕が張られ、一切明かりが入っていなかった。
スイッチをいれたからか、ドロドロとかヒューヒューとか変な音が辺りに響いていた。
「マジで真っ暗すぎっ!何も見えねえじゃねえかよ!」
少し大きな声を出し気合を入れる。
漆黒の短冊形に切られた教室の入り口の垂れ幕を分け入り中へと入る。
『パタパタパタパタ』
「うおっ!スピーカーか!」
スリッパで走る音が部屋中を駆け回っている!
サラウンドで聞かせるなんて趣味悪りい!
机が乱雑に置かれている中、小さいライトを頼りにこけないように進む。
「うあっ!」
頭にゾワゾワしたモノが当たり思わず声が出た!
「クソ!布切れかよ!」
単純に足元に集中し過ぎて上からぶら下がっていた布切れに気が付かなかっただけだった。
さっきから独り言が多い。
一番奥には階段状になった机があり、それを上った先に宝箱が見えた。
多分、営業中には机の下から手が伸びて来る仕掛けなんだろう。
だが無問題!
今は時間外!
此処には誰もいないのだ!
「はっはっはっはー!俺の勝ちだぜ!」
誰にいっているやら
恐る恐る箱まで登り、蓋を開けると中には『う』と書かれたカードが入っていた。
『う』か。
上とか後ろとか裏もあるなぁ。うらめしやーなんて古典的な物は流行らないからな。
まっ良いだろう。
俺はパタパタと足音が聞燃える中、恐る恐る教室を出て行った。
「むふふ良い事思いついた……」
◇心愛◇
「ふざけんなよマジで。真っ暗じゃねえかよ」
圭介にはああ言ったものの、内心ついて来て欲しかった。
出来るだけ早く進み、追いついちゃったと言う事でしょうがなく一緒に行く。
「うん、それで行こう!」
真っ暗な廊下を進み、始めの教室に入った。
『パタパタパタパタ』
「キャ――――――!!誰!誰かいるの!?」
耳に指を突っ込み、あーあー声を出して音が聞こえないように誤魔化す。
よく聞けば、うふふふとか、きゃははとか子供の声が聞こえていた。
「これは仕掛けよ!仕掛け!」
頼りないライトを周りにグルグル振り回し、誰も居ないのを確認する。
「こッこの中を見ればいいのよね」
階段状になっている足場に足を掛け、箱の蓋を手に…………………………
いやっ!何か足に当たってる!当たってるったら当たってる!!
恐る恐るライトを向けて見ると、真っ白い手が私の足を握っていた!!
「いやあああああああああああああああああああ!!」
階段から転げ落ち!腰が抜けたまま四つ這いで逃げる!
「誰かいるんだけどおおおおおおおおおおおおお!」
教室のドアを抜けると、そこから入口までダッシュで逃げた!!
「誰かいるんだけどおおお!いないって言ったわよね!」
「ああ、いないはずだよ。気のせいじゃね?偉い早かったけど教室入った?」
「入ったけど出てきたの!悪い?誰もいないならパッと行ってパパっと出て来てやるわよ!見せなさい!」
腹が立つ!
誰かいたんだから!
あ…………オシッコ漏らしてる。
恥ずかしいけどこのままって訳はいかないわよね。
後は帰るだけだし、暗くなるからパンツ無しでも分からないわよね。
私は濡れたパンツをコソコソと脱ぎ、有って良かった上着のポケットに濡れた下着を押し込んだ。
「なんかスースーする。匂いでバレないわよね。クソッ圭介待っててよ~」
私はノーパンが気になり周りの怖さが半減している事に気が付いた。
これならやれる!
『パタパタパタパタ』
『ドタドタドタドタ!』
「いやあああああああああ!誰かいるって!!」
あ、また漏らした…………………………
◇圭介◇
やべえオバケ役楽しい!
ヘコヘコ腰を動かしながら四つ這いで逃げる心愛。めっちゃ可愛い!
怖くないと見せかけてめっちゃ怖がってるじゃん!
マネキンの手なのに。
あ、やべ。また来た。
へ?何でパンツを脱ぐ?
ひょっとして漏らした?
そしてそのパンツを上着の中へ…………
臭くなるぞ。
って言うか、今日はミニスカだろ。
帰りのバイクどうすんだ?真正面からマンコ丸見えだぞ。
やべっ!見つかる!
逃げろ!
『ドタドタドタドタ!』
「いやあああああああああ!誰かいるって!!」
先回りして脅かすのめっちゃ楽しい!!