いきなり桜花の母が来た事はビビったが、後はまったりとゆっくりと正月を過ごした。
初詣に行き、父とグダグダと飲み明かす(お酒は二十歳から)
隆之を誘ってカラオケパセリにでも行こうかと思ったが、隆之は今年受験。折角の正月を邪魔する訳も出来ないと次の日の日が上がる前にアパートへと出発した。
「婿養子に入っても良いんだからな」
「私たちの事は気にしなくても良いのよ」
大晦日も正月も結構なおせち料理とお寿司が出ていた為に、何か貰ったなと勘ぐってしまった。
「まだ何も分からねえって!じゃあね!」
俺は暇を持て余し、早々に実家を出た。
特別渋滞に掴まる事も無くアパートへと帰って来た。
反対側に立つ豪華なマンションの最上階に住む桜花の部屋を見るが、殆ど見えない位置であり、何をしているかなど全く分からなかった。
短い冬休みが終わり、また大学が始まった。
俺の右にはそこの座席の主人を奪った心愛が、左には定位置となった琥珀が座っていた。
仲の良い仲間が居なくなったアイツは、何の為か、俺の後ろの定位置となった座席に座っていた。
そこへ顔色も変わらない桜花が現れた!
「「桜花ッ!」」
俺とアイツの声がダブる!
「お前何をし――」
「そこ私の席なんだけど、退いてくれる?」
俊介の言葉が聞こえていないのか、桜花が元々座っていた席に座る心愛に退けと言ってきた。
「あら?大学を止めたんじゃないの?それとも元カレの所にでも戻りたいって事? ちょっと都合が良すぎない?」
「ッ!」
朝っぱらから桜花と心愛に火花が散っていた!
「おい!心愛、いい加減にしろって!」
「桜花!こっちに来いって!ほらっここが空いてるぜ」
俺達は同時に心愛と桜花へと喋っていた。
声を掛けられた二人は目を反らす事無く、声が聞こえた素振りさえ見せずに視線を合わせたまま凝視していた。
長い沈黙が流れる中、その静寂を破ったのは心愛だった!
「私見ちゃったのよね。貴女がそいつのマンションへ車で入って行く所を。この辺では珍しいでしょturbo Sって。顔を見れば貴女でしょ。圭介はバイトでいない……あんたアソコで何をしてたの?気になって毎日バイトの前と終わった後にあのマンションに行ってたんだよね。
圭介には浮気はしても良いって言ってたらしいじゃん。だからと言ってあんたが浮気をしても良いとは限らないでしょ!圭介を何だと思ってるの!気が付いてた?圭介が元気が無かった事位分からなかったの? バレてないと思ってたの? どうなのよ!!」
心愛の声に講堂が静かになった。
「ごめんなさい、それしか言えない。自分の恥を隠す為に大切な人を傷つけたと思ってる。許される事だとは思えないけど、今は分かるの。やっぱり私は圭介君が好きだって」
「おい!桜花!俺とお付き合うって言ったじゃねえかよ!」
「弱った時の気の迷いだったわ。忘れて」
「ふざけんじゃねえぞ!」
「あんたもいい加減にしなさい!そう言うのを負け惜しみって言うのよ!」
心愛が言えば、俊介が吼える。それを琥珀が窘めると、俊介が爆発する。
俺らの一角は正に阿鼻叫喚だった。
気が付けば講師である教授は既に来ていて。
俺らに出て行きなさいと言っていた。
桜花の肩を抱く俊介。
「触らないで!」
俊介の手を払い、俺の後を追って来る桜花。
俺を先頭にゾロゾロと講義前の講堂を出て行く事になった。
店は何処も開く前であり、学食すらも開いていなかった。
誰も何も喋る事無く、校舎を繋ぐ通路にあるベンチに座った。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
ベンチに座った俺の前で頭を下げる桜花。
「貴女のせいでみんなが迷惑事に巻き込まれたのよ!」
心愛の迷惑ってなんだ?心配してた?回数が増えて身体が持たないって事じゃないよな。
あっさりと桜花に合える事になり、俺は拍子抜けしていた。
混乱していたのは周りの人達。
冷静な俺に対し、特に心愛だけが怒っていた。
「だいたい今になって謝って来るって何?こいつが思っていたのと違ったから元鞘に戻るって? 都合良くない?」
「つ、都合が良いのは分かってる。エッチした事も後悔してる。でも! でも、あの日、あんたの前で体調が悪くなって嘔吐して下痢をして、みっともない姿を放置されて帰った時に気が付いたの。やさしさの欠片もないコイツといる事が間違いだったって」
「こいいつって俺?優しくしたじゃん!声を掛けたじゃん! 俺の精子まみれになってクソ塗れになって、俺にどうしろって言うんだよ!」
「あんたやっぱり最低だわ。そう言う状態で放置して帰ったんでしょ」
琥珀も一度はこいつの毒牙に掛かっていた。
だから分かるんだろう。
「お前も俺にやられて喜んでただろうが。今更良い子ぶるなよ!」
琥珀の胸をワシ掴みにする!
「クッ!いっ痛い」
深いVネックのシャツが皺になって片方の胸の形が変形する。
パーン!
「いたっ!お前なにすんだ!」
それを助けたのは心愛だった!
強烈な平手打ちが俊介の頬を打つ!
「あんたも最低!力で従わせようなんてバッカじゃないの?!」
「てめえ、何をしたか分かってんだろうな」
「弱い者を力で従わせようとしていたバカを叩いただけ」
「きさま!」
俊介が心愛に手を伸ばす!
その前に俺が腕を掴んでいた。
「みっともないぞ俊介」
「お前は黙ってろ。桜花を取られた弱者が!」
「その弱者の元に戻るっつってんだよ。言葉が分からないのか?」
「あの画像を見て無いのかよ。顔射して精子飲んで、ズッポズッポしてんだぜ。知らなかっただろうが、前から俺と桜花はやってたんだ。初めは桜花から上に乗って入れて来たんだぜ。生チンの俺のを咥えてなあ!聞いてみろよ!そこの桜花に!」
コイツの話で桜花に視線が集中する!
「おおよそ間違ってないわ。今更隠す事でもないし。初めての時は私から上に乗った。そうよ。そうだったわね。でも嘘もあるわ。私はあんたの精液を飲んではいない。あの日、私は飲もうと思ったわ。顔に掛けられ何もかも忘れたかった。
あんたの指が私の顔に掛けられたくっさい液体を口に集め、飲んだ瞬間私は気持ち悪さに全部――」
「俊介君!私がいるからああ!」
その時、大きな声で桜花の話を誰かが遮った!
一斉にその声の主を見ると、駐車場から歩いて来た結衣だった!
「お前……大丈夫なんかよ」
俺の横を通り過ぎる時に声を掛けてしまった。
だが、少しやつれた様子の結衣は、俺を無視……いや、見えていないように俊介の元に行ってしまった。
「私がいるじゃない!こんな女のどこがいいのよ!全部貴方の言う事を聞いたじゃない!仁科さんと仲良くなれ、重要な事があるから1ヵ月は会えない!、仁科さんに圭介君と出会う切っ掛けを作れ、二人が付き合ってるような写真を撮って桜小路に送れ!
全部したわ!
結婚もしてくれるって言った!言ったじゃない!
私のお腹にはもう子供がいるのよ!」
「「「「「え?!」」」」」
苦み潰したような顔をしていた俊介も驚いていた!
「だっておまっ!ピルを飲んでる……」
「結婚してくれるって言ったからっ!あの日から飲んでないわよ!桜小路さんと何かしてても、最後は私の事を選んでくれると思ってたのに!!」
「あんた、何よソレ。私をハメたんじゃないのよ」
桜花の目が据わっていた。
「五月蠅い!あんたは黙ってて!ねえ私と結婚するんでしょ!こんな女なんか遊びなんだよね!」
「…………………………別れると言っただろ。お前はとは付き合えない。おろせよ。金はくれてやる」
「「うわあ最低」」
心愛と琥珀が声を漏らしていた。
「嘘でしょ!こんなに愛してるのに!お腹の赤ちゃんもいるのに!あんなに尽くしてあげたのに!何で!!」
「俺の好きな女は桜花だけだ。お前は繋ぎに過ぎない。分かったか?邪魔だ顔も見たくない」
「そんなああ!ウソ!ウソよおお!」
その場に泣き崩れる結衣。
唯々、その結衣を見ているだけしか出来なかった。
数分間、みんなは固まったままだった。
泣いている結衣に誰もが声を掛けられなかった。
結衣は泣き止んだ。
しかし上に上げられた顔は鬼の様な顔に変わっていた!
「死ね! みんな死んじまえ! こんな女なんかどこが良いのよ!金を持ってるだけじゃない!お前も顔ばっかりよくて中身はクズよ!クズ!悪魔!お前もお前もみんな死んでしまえ! 呪ってやる!みんな苦しみながら死んでしまうのよ!!あはははは!」
まるで夜叉のように顔を変えた結衣はフラフラと帰って行った。
それを皆は見ているだけだった。
「クズが!」
「あんたの為に動いていたんでしょ」
心愛が更に追及していた。
「うるせえ!てめえもやっちまうぞ!」
捨て台詞なのか。
心愛を脅しながら俊介は何処かへ行ってしまった。
「心愛……色々言ってくれて助かったが、お前気を付けろ。色々やってきたアイツだ、お前も狙われるぞ」
「大丈夫よ。ここまで皆にバレて、更にする訳がないわ」
「ああああ、本当にごめんなさい」
突然桜花が地面に膝を着き、頭を地面に着けるように土下座してきた。
「全部私の勘違いだったのね。ごめんなさい。本当にごめんなさい。許してだなんて都合良く言えないわ。圭君の好きにしてください。死ねと言われれば死にます。アイツを刺せと言えば今から刺して来る。二度と近寄るなと言われればもちろん近寄らないわ」
俺の目の前で跪いて、訴えていた。
「桜花…………俺と初めて会った時の事を覚えているか?初めて会った高校3年の夏だ」
「忘れる訳がないわ。夏の海のバンガローの事よね」
俺は初めて会った桜花を思い出していた。
男達を引き連れ、俺らがイチャイチャしている所に文句を言ってきた。
連れて来た男達の文句を言い、全員が帰ってしまい、一人寂しい桜花は、オカマのママさんに諭され俺の所にご飯を食べに来ていた。
お酒も入り、雰囲気が良くなった所で外で色々やった。桜花にとって初めてのキス、フェラ、セックス。そして……
「アナルセックスまでしたよな」
「ええ、あの時は大変だった。そうねそうだったわよね色々後始末をしてくれたもんね」
「ああ、穴を掘ってウンを埋めて、あの頃からお前俺にウンを出すの見られてただろ。あの時お尻まで拭いてやって。残ったのも全部させと言ったらプリプリ出したじゃん。
お嫁に行けないって泣き出して、俺が貰ってやると言ったの忘れたか?オシッコまで付けられて」
「忘れてないわよ。だから同じ大学に態々来たんでしょ」
「やっぱりそうか。俺の思い…………正直再開するまで忘れてたけど、今、あの時の思いは変わってないぞ。お前はどうなんだ?あいつに抱かれて変わったんじゃねえのかよ」
「中に出させるわけないでしょ。泣いて可愛そうだったから同情して貸してやっただけよ。ウンチの後始末もせずに帰って。寂しかったんだから」
「お前バカじゃねえか?呼べよ」
「啖呵を切ってて簡単に呼べれる訳が無いでしょ!」
「じゃあ俺はお前の何なんだ!」
「彼氏に決まってるでしょ!」
「お前は誰と結婚するんだよ!」
「圭君しかいないでしょ!こんな私を貰ってくれるのは貴方しかいないじゃん!!」
桜花は言いながら涙をポロポロ流し始めていた。
「分かってんじゃねえかよ!汚い泣き顔を見せるなよ!家に帰って綺麗にしとけ!お前は泣いている顔が良いと思ってんのかよ!」
「綺麗にするわよ!待ってなさい!ビックリするくらい綺麗に磨いて、惚れさせてあげるんだから!」
「うん、惚れさせろ。桜花に泣き顔は似合わない」
「うん!」
泣いたままの桜花は笑顔で駐車場へと向かって行った。
「あーあ、冬なのに熱い熱い」
「雨降って地固まるですね」
残された三人で笑い合った。
心愛も桜花の事が嫌いでは無かったのだ。
どう言う風に考えているのかが分からず、発破を掛けたそうだ。
琥珀も色々俺に変わってアイツに言ってくれた。
良い友と愛人を持って良かったと思った。
愛人よりも貧乏な俺はヒモじゃねえのかと思ったが、頭を振って掻き消した。
「あーなんかヤル気が無くなったわ。俺今日休むわ」
「私も帰ろっかなー、あ、バイトで稼いでこよう!」
「じゃあ私はエステとヘアサロンにでも……」
一応みんなアイツらには気を付けとけよと注意しながら皆バラバラに帰って行く。
よし俺もと思い、バイクに乗って大学の門を出た所で黒いバンに前を塞がれた!!
キキー!
「あぶねえなコラ!」
俺はスライドドアから出てきた男に文句を言った。
だがもう一人、そしてもう一人の男が出て来て俺は抱えられあっと言う間に車に乗せられていた!