アレだ。
ドラマなどで誘拐する奴。
色々覚えておこうと思い意識を回りに向けた。
黒いバンは二台あった。こっちは運転手と合わせて四名乗っている。
顔は厳つい顔の男だらけで悪い事をしているような顔…………アレ?
こういう時は覆面をするのが定説じゃあ…………
「圭介様。桜小路の者です。時間が無いので少し急ぎます!」
「あ!アレー!!」
かなり弄ったバンが怒涛の様な加速で発進し、ハイグリップタイヤがスキール音を響かせ爆走する!
「桜小路の者って!桜花?」
「いえ!御当主様の順一殿です」
「へっ……あ!」
その時、俺は思い出す。あの怪しいブラックカードにはJYUNNITIと記載されていた事を!
結婚宣言したからこれか?
「腎臓か!心臓か!それとも角膜か!」
「意味が分かりません。喋っていると舌を噛みますよ!」
「うわああ!」
急ブレーキ、急ハンドル、急発進!
バビューンと走った末にたどり着いたのは飛行場だった!
ハワイに行った時に乗った飛行機がそこにはあった。
黒づくめの男達から促され、タラップを上る。
「いらっしゃい!」
「おじゃまおお!」
タラップを上がった所にいたのは超美人で爆乳の茶髪の外国人さんだった!
「圭介君こっちよ」
太ももも露わなタイトミニの濃紺のスーツを着ていた。
外国人にしては日本語が流暢だな。
三十歳後半か?
今でも俺はやれる。
プリプリしたパッツパツに張ったお尻を眺めながら進められるがままに座席に座った。
「飲み物は?」
「じゃあコーラを」
前に屈んでいたその外国人の胸元は、大きなモノがパッツパツに押し込められて、谷間が窮屈そうだった。
そしてスーっと状態を戻していき離れていくと、見えていなかった背後に一人の男が据わっているのが見えた!
40代と思しきそこそこカッコイイ男!
コイツが現当主のじゅんいちか!
バシッと言ってやる!
「……あのーすみません。じゅんいちさんってのは貴方ですか?」
パソコンに向かて何かを打っていた男は俺を振り向いた。
「ごめんごめん、ちょっと忙しくてね。少し強引だったけど攫っちゃった」
おいおい、当主。いわば社長だろう。ちゃったってなんだ?今の流行りか?
「一応名刺を渡しとくね。桜小路 順一。桜花の父だよ」
ははー!
名刺には桜グループCEO、最高経営責任者の文字が!
「桜花さんのパパさんですか。どうぞ宜しくお願いします」
パパって言っちゃった!
だって愛花さんがパパ、パパって言ってたから。
しょうがないじゃん!言ってしまったんだもの!
「そうそうパパさんだよ。何か娘が色々と迷惑を掛けてたみたいでね。一度謝っておこうと思って今日は呼び出したんだ」
いや、呼ばれてねえし!攫われただけだし!
「そ、そうですか?」
そこへ先ほどの美人な外国人さんがドリンクを持ってやってきた。
順一さんにはコーラとハンバーガーだった。
「ごめんね少し腹が減ってて」
どう見てもソレはサムライマック!
美人のお姉さんが食べる?ともう一つのマックを持って首を傾げてきた。
うんと頷くとお姉さんは、
「うふふかわいい」と言いながら俺の前にもハンバーガーが!
取り敢えず飯と言う事か?
朝パンを食べて来たのでそれほど減ったと言う訳ではないんだが、食べれる物ならば頂こう。
ムシャムシャと食べていると、順一さんの後ろでも美人さんが一緒にはむはむとハンバーガーを食べていた。
俊一さんに至っては、片手でハンバーガーを食べながら、もう片方でパソコンを打っている。
CEOって楽じゃないんだな。
プライベートジェット……いやこれは会社のか?
俺らの乗ったビジネスジェットは離陸し、水平飛行に移っていた。
「単刀直入に聞くけど、圭君は家の会社で働く予定は?」
「はい、御社の現在支社にてアルバイトをさせて頂いています。よって大学を卒業したのな――」
「建前は良いよ。桜花と結婚し、うちで働くつもり?」
「出来ればそうしたいと思ってます」
面接かと思えば娘の彼氏探りか?
「桜花は性格がアレだからね。色々高校の時から男を見繕って合わせて見たりしたんだが、最終的に圭君が良いみたいだね。妻も気に入ってるみたいだし。卒業したらうちにくる?」
「是非!」
「じゃあ決まりだね。ついでに桜花も今からツバ付けとけば? あんなのも寄って来なくなるでしょ。といってもマスオさんになってもらわないとダメなんだけど、その辺は大丈夫かな?
「マスオさん……お婿さん。入り婿……婿養子って事ですよね」
「そうだね」
「一応父両親は大丈夫と言ってました。俺も問題ないと思ってます」
「じゃあ決定ね。式は卒業してからにするから。株価も影響するから良い時期を見て発表するね」
うん、サクサク進みすぎぃ!
「アレは母に似ていてね、浮気はOkって言ってただろ。アレはボクも同じ事を言われてたんだ。愛人、二号さん、外嫁、側室……色々言われたけど、それを言われても問題ないよね。現在二人いる事は確認しているけど、もっと増やしてもいいよ。ボクの上……義理の父が子供を余り作らなかったので、ボクが異常に忙しいんだ。だから圭君と桜花の子供とその夫の為にできるだけ子供を増やしてね」
「は、はあ。桜花との子供とその夫って、娘と決まったわけじゃ」
「アレ?聞いてない?桜小路家は女ばかりなんだよね」
「ああ、聞いてます。愛花さんが言ってました。アレって……」
「本当だよ。ボクもいっぱいしたけど女一人ずつしか出来なかった。不思議だよね~」
そう言って後ろの美人さんを覗いた。
「そうですね。私も一人娘だけでしたね。まだ頑張ってますけど、出来ないですね!」
おいおい、秘書さんと思えば愛人さんかよ。
「沢山子供を作って家族経営する会社の上に座らせると?」
「まあ適材箇所は考えるけど、役員か支社長クラスはなってもらわないとね。ボクみたいに家に中々帰られないとアイツも寂しがるからね」
「それは私もですよ」
「あははは、そうだねいつも一緒だけど、イチャイチャする時間も余りないよな」
「ですね!」
座席の後ろから順一さんを抱きしめる美人お姉さん。
いや、今してるじゃん!
メッチャイチャラブやん!背もたれにおっぱいのせて!あの琥珀よりもメッチャデケエ!ケツもブリンブリンじゃねえかよ!
「まあ、そう言う事で会社と君、子供達を救うため、小作りを頼むな。ところで、カードを使ってないみたいだけど、お金持ちは一杯使わないと経済が回らないからね。これはパパからの頼みだ。お金は使ってね!」
もうパパさんかよ。
で、お金を使えと?
経済が変化するほどって幾ら使えと?
貧乏人は何に使って良いか分からねえんだよ!
「はい!頑張ります!」
どうすればいいんだよ!
後は雑談と今行っているバイトの話をしていた。
東京に本社があるようで、東京に着陸すると、順一さんから握手された。
「もう少ししたら全部解決するから」
そう言う風に言われた。
アイツの事か?
そして……
「娘もよろしくね!」
美人愛人さんに言われたが、会った事もない人を、どう宜しくすればいいのか?
俺だけそのまま元の飛行場へトンボ帰りで、機内では映画を見ながらずっとコーラを飲んでいた。
怪しいバンに乗せられて再び大学へ。
バイクは元の駐輪所へ帰っていた。
飛行場で鍵を渡されたので、そうだと思ったが、そうだった。
「随分遅かったじゃない。もうウズウズしちゃって」
誰に聞いたのか、桜花のマンションに着くと、黒いガーターベルトとスッケスケのマイクロビキニ上下で出迎えてくれた。
「こんなの好きなんだ。どお? キャッ!」
少し濃いメイクとその下着姿。
俺は久しぶりに遅漏が治っていた。
深夜まで飯を食べてはやりを繰り返し、1日最高の9回を記録した。
心愛と違ってまだやりたそうだったが、俺の体力はもうげんか……………グ――――
気が付けば朝だった。
ニッコニコの艶々でオーラの出ている桜花。
「ねえねえどうだった?」
「バッチリ!もうしがみ付いて離さないのよ」
講堂に入るなり琥珀がコソコソ聞いていた。
これはアレだな、琥珀が付けてたガーターの話をしているに違いないっ。
「桜花、圭介がげっそりしてるけど何回したのよ」
「昼までに2回。お風呂に入ってご飯を食べようって一緒にシャワーを浴びてる所でお尻に1回。洗い物をしていてキッチンで1回。まったり休憩しながらソファーで1回。寝室に行くまでにお尻で1回。またシャワーを浴びてそのままベッドにダッシュしてベッドの側で1回。フラフラしながらベッドで2回……もう一回で大台よって所で圭君が寝ちゃったの」
「き……9回も…………あんたどうも無いの?」
心愛はあきれた顔で桜花に聞いていた。
桜花は桜花でケロッとした顔で伝える。
「えへへ、まだカモンッって感じだったかな?随分してなかったから15回位はしてもらおうと思ってたんだけどね」
「死ぬわ!」
俺はエネルギーが朝のパンで補えず、コンビニで買ってきたゼリー飲料をちゅるちゅる飲んでいた。
今日のお昼は肉々しいダブル焼肉定食に決まりだな。
「そういや、SPが転居先を念のために探すって言ってたけど」
そうなのだ。
昨日の結衣の事だった。
嘘かもしれないが、結衣の恨みを買っているのは俊介、桜花の二人。恨みは無いだろうが、桜花の彼氏と言う事で、俺にも危害を与える可能性もあった。
大学構内には部外者は入れない事を確認していた為、SPは出入口で待機、怪しい車が来たら俺達に連絡が入るようになっていた。
「これは従うしかないわよね。良い感じのマンションだったけど、転居する予定よ。圭君も一緒に」
「まあそうだよな」
可能性を考えて俺も守りやすくするために一緒になるらしい。
車も戻ってきた。最近ドカのバイクに乗っていたので、あのパワフルなGクラスが遅く感じてしまっていた。
慣れって怖い。
何かがぶつかって来ても大丈夫なように車通学じゃないとダメ、と言われていたから慣れていて良かった。
講義が始まるが、俊介は来なかった。
あの結衣の言動にビビったのか、それとも…………
講義が終わり、久しぶりにサークルへと顔を出した。
教室へ入るなり、仁科と美香さんが俺らに近寄って来た。
「ねえ堀君ちょっと良い?それにみんなも聞いて欲しいの」
俺達を連れて廊下へと連れだす美香さん。少し前まで圭ちゃんとか呼んでくれたのに、高校の時みたいに堀君へと戻っている。
何かフッ切れたのか?
「私の情報網からなんだけど、少し前にあの男達がこの町に戻って来てるって言う情報が入ったわ。何か心当たりがある?」
「あの男達って…………」
「千歳の前いたバイト先のクズ男よ」
「「「ッ!」」」
知る人は知っていた。
仁科のバイト先の男達が強引に仁科に手を掛け、レイプしていたと。
その時は、付き合っていた俊介が仲間達と一緒に店に特攻し、和解させて近寄らないようにさせたと言っていた気がする。
その男達がまたこの町へ?
俺らは昨日あった事を話した。
結衣が別れた俊介と桜花に恨みを持っている事。俺にまで被害がありそうな事。結衣が妊娠している事。
そして俊介も付き合えると思っていた桜花には恨みがあるだろう、奪った俺にも恨みはあるだろうし、色々言いだした心愛にも、琥珀にも被害が及ぶ可能性があるだろうと。
「SPに連絡するわ」
桜花は電話を始めた。
俺らはサークルでゆっくりしている時じゃないと、先輩に断って教室を後にした。
被害を受けそうな人数が多すぎる。
いつどこで仕掛けて来るかも分からない。
結衣、俊介、レイプ魔。
考えていても結論が出る事は無かった。
その時、電話の終わった桜花が俺らの輪の中へと入ってきた。
「琥珀、心愛は必要な物を持って私のマンションへ来て。転居先が決まれば一緒に移るわ。問題が解決するまではね」
桜花の大きな部屋だから出来る力業。
俺も一緒に住んでも問題無い財力!
今、頼るべき者は桜花の、桜小路家の力だった。
「ありがとう桜花。バイトは暫く休みだな。今からそれぞれ帰って荷物運びだ」
琥珀は車を持っているが、心愛は車が無い。
俺が車を出して運ぼうかと言うと、今持っている勉強道具を持って行ってもらえれば、バイクで運べる程度しかないと言い、みんなで了承する。
「じゃあ荷物を持ったら私のマンションね」
仁科と美香さんは最近接点が無かった為、問題無いだろうと言う事で、情報をくれた二人にお礼を言って解散した。
それぞれ車やバイクで別れていく仲間。
少し嫌な感じだと思っていた。
そしてアイツの手が予想を上回る速さで仕掛けて来るとも予想していなかった…………
残り三話
これから話は加速します。
ラストでは題名となっているあの人の事も……