【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~ 作:春画屋@二次創作R18
*本連載における黒服は、ほぼオリキャラ状態になっています。
ご注意下さい。
↓黒服が関係する回
第19回:先生大好き黒服さん
第27回:黒服の説明的すぎる独り言
第40〜43回:夢の中で会いましょう
——エンディングへの第一歩 黒服——
『黒服』は『ベアトリーチェ』と対峙していた。
「————では、ベアトリーチェ、貴女はどうやってその計画を遂行するのです?」「…………。…………」「……それは不可能です。『アリウス』の生徒たちはもはや貴女の支配下にはありません。彼女たちは
黒服の仮面のような顔からは、表情らしきものはうかがえない。そこに何らかの感情があるとしても。
「『エデン条約』の調印式で、巡航ミサイルは
「…………。…………」
「そうです。貴女の計画も
「…………。…………。…………」
「……いいえ、何をしても無駄です。何度も申し上げた通り、貴女の計画は全て
「…………。…………。…………!」
「……なぜ、そんなはずはないと思うのです? 「そんなはずがない」から? その根拠は? 「あり得ない」から? 「そんなはずがない」? ……やはり、それしか言えませんか」
「…………。…………!…………!」
「いえ、バカになどしていません。少し虚しいと思っただけです。貴女を含め、『ゲマトリア』は『メインストーリー』から逃れることは出来ない。あるいは、何らかの他の手段はあるのかも知れません。しかし貴女は、アリウス自治区を支配し、彼女たちを利用することでしか計画を実行する事が出来ない。そして、『シャーレの先生』の前に立ち塞がる「役割」である貴女は、『シャーレの先生』と対決しなければ次の行動に移ることも出来ない。この世界においての貴女は、
「…………。…………!」
「その通りです。『シャーレの先生』も、どうやっても『ハッピーエンド』にたどり着くことに
「…………。…………?」
「……いいえ、「上位」と言っても、貴女が目指したような高位の存在ではありません。我々が属する『キヴォトスの外』のような概念的なものではなく、実体を持つ「異世界」から来た確かな存在です。単に観測点の違いです。存在自体に「上位」とか「下位」という関係があるわけではありません」「…………! …………」「……それも「あり得ない」、ですか。そうでしょうね。貴女の知る知識の大半が、ただの「設定」に過ぎないと言っても理解できないでしょう。そして、私の言う「事実」は『メインストーリー』のどこにもありません。確かにその通りです。『ゲマトリア』にとって、『メインストーリー』にそぐわないものは全てオカルトです。ですから、存在するという前提の仮説すら立てることが出来ません。以前、私とどうやっても話が噛み合わなかったように。……。…………。——来ていたのですか、『マエストロ』。それに『ゴルコンダ』に『デカルコマニー』」
黒服は、姿を現した『ゲマトリア』メンバーたちに向かって質問した。
「——『ヘイローを破壊する爆弾』は作成出来ましたか?」「…………。…………」「やはり無理でしたか。そうでしょうね。あれは『メインストーリー』にある用途、白洲アズサによる百合園セイア暗殺のためでなければ作成出来ませんから。それが目的として成立しなくなった以上、絶対に作ることは出来ません」「…………」「……いいえ、それ以外の理由はありません。あの爆弾は本来のキヴォトスの法則を無視した、イレギュラーなものです。『メインストーリー』の進行のために、特別に許されているだけの存在です。ですから、他の用途のために作ることは出来ません。『メインストーリー』の進行を妨げるおそれもありますしね。この世界は
——来るたびに話が噛み合わなくなっていきますね。ただただ、自らの目的は今でも実行可能だと繰り返すだけ。『ブルーアーカイブ』という単語すら受け付けない……。
黒服は嘆息し、別れの挨拶をしてその場を去った。
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「哀れなものです。『メインストーリー』に語られるような神秘の探求者ではなく、他のキヴォトスの住人のように実体を持つ存在でもなく、ただ『ブルーアーカイブ世界』を支える『メインストーリー』の一部であり、設定通りの単なる「役割」でしかない、自我を持たない
乾いた笑いは、黒服自身をあざ笑っているように聞こえる。
「私は、『ゲマトリアの黒服』という「器」なしに存在することは出来ない。いくら虚ろな「器」の中に『私』という自我が生まれたとは言え、『黒服』ではない『私』など、どこにも存在しないのですから。……まあ、『彼』ならこんな事は気にしないのでしょう。『彼』にとっては、自らが宿る「器」が元いた『現実世界』の肉体であろうと、『シャーレの先生』という、私のものと同じような「器」であろうと、何の違いもないようだ。彼は、本当の名前すらなくても「先生」として生きていける。そのタフな感性が
黒服——あるいはその「器」に宿る何者か——は、少し脱力したような調子で、誰にともなく言葉を続けた。
「——まあ、女性の胸を触って、ちゃんとその感触があるかどうかが一番の問題だ、というバカみたいな発想も、『彼』らしいと言えば『彼』らしい……いや、あの発言もどこまで本気で言っているのでしょう。あれで本気だとすれば、ある意味で相当大物というか、本当にただのバ……まあ、やめておきましょうか。それにしても、本来は相当頭がいい人間だと思っていましたが、それはそれとしてネジが数本外れているような……。よく分かりませんが……」
コホン、と気を取り直して黒服は、
「しかし、私とてそのレベルでものを言うならば、もはや『メインストーリー』の中にのみ存在する『黒服』とは違うはず。私は春葉原で「先生」——『彼』と出会い、『アダルトゲーム』というジャンルを教えてもらい、それを通じて『彼』の友人となった。趣味として『アダルトゲーム』をプレイする時間も、仕事帰りに『彼』と飲みに行く時間も持つことができた。それは『ゲマトリアの黒服』ではありえな……えー……——」
一度言葉を切り、思いついたことについて少し考えて、
「うーむ……。『彼』との関係について、「エロゲー」を通じて知り合ったという紹介は、やはり世間的にどうかという気が……。女性に言ったらまず間違いなくドン引きされますし……。まあ、職業を聞かれて『ゲマトリア』というのもおかしいですし、出身地が『キヴォトスの外』というのも……。しかし彼は一切気にしないでしょうから、平気でそういう紹介をするでしょうし……。そもそも、言っても無駄でしょうが、彼はもう少しその辺を気にした方がいいような……。まあとりあえず、あのジャンルを教えてもらったのは知り合った後ということにでも……。……それにしても、こんな言い訳を考えなければいけない具体的な相手も今のところいないのに、あれこれ考えるのも虚しいですね……」
カイザーグループや、その手の「悪い大人」の人脈とは既に縁を切っている。その結果、友達だとか以前に「先生」である『彼』以外にキヴォトスにまともな知り合いがいなくなっている。その悲しい事実から、黒服は目を逸らすことにした。
「——それより今は『色彩』の件ですね。あの様子なら『ベアトリーチェ』というトリガーは、もう機能することはない。今後、『色彩』を呼ぶこともないでしょう。となれば、それと共に来る存在である、『色彩の嚮導者』も来ないはず。同様に、『シロコ*テラー』も『プラナ』もキヴォトスには来ない。もちろん、仮に私の解釈が正しければ、ですが……。いまだ、「ゲームの中」の『ブルーアーカイブ世界』において、彼女たちがどんな扱いの存在なのかすらハッキリしない。『色彩』や彼女たちがそこから来るはずの、「別時間軸の世界」とは、ただの「設定」でしかなく、『キヴォトスの外』と同様、実体を持たない世界のはずなのですから」
「——ならば、我々と同様このキヴォトスに存在する権利を持つ彼女たちを、どう救うべきか。『色彩』と一緒に彼女たちを呼び出し、その瞬間に『色彩』だけを締め出す? いや、一瞬とはいえ『色彩』をこの世界に呼ぶことは危険すぎます。この世界の『ハッピーエンド』は、『色彩』による被害を防ぐところまでは保証していないのですから。保証されているのは、
そこで黒服は言葉を切り、笑った。
「クックックッ……。彼女たちを救う、被害を防ぐ、まったくもって『ゲマトリアの黒服』がしないような発想、発言です。しかし私は、この世界を支えていた、『彼』の平和でバカバカしい「エロゲー的な世界観」を破壊したことに責任を感じている。彼のために取り戻した、彼が失っていた記憶、それをいじるような手段を二度と取らせない、そう思うのであれば代わりに、いまだ何とか続いている『彼』の平和でバカバカしい「世界観」を守らなければならない。そして何より、『ゲマトリアの黒服』ではなく『私』自身が、その「世界観」を守りたいと望んでいる。私は、どんなヒロインであれ曇らせるのが嫌いですからね。とは言え、私はそういったことを「エロゲー」の中でしか知らない身ですが。哀れなものだ。クックックッ……」
自嘲してから、黒服である『彼』は言った。
「
ふと黒服は、あの時のことを思い出した。迎えに来たノノミに抱きつき、甘える『彼』のだらしない姿。じゃれるような二人。駄々っ子のような『彼』を、嬉しそうに見るノノミの姿。
——あの姿を、誰が作り物だなどと思うでしょう。彼の言うような、胸を触ってその感触がどうこう、などというリアルの感じ方は、彼なりに正しいのかも知れませんね。人前だというのに思いっきり揉みしだいていましたが、バカバカしい平和な世界観には、あんなバカバカしくも明るい感じ方が似合うのかも——
そう考えてから、とてもじゃないが、自分にはあんなやり方は無理だ、と思い直す。そもそも、相手がいない。……いや、強いて言えば、一人だけ……?
「——
少し寂しそうに言ってから、黒服は何かに気づいた様子でスマホを取り出した。未読のメールがあるようだ。
「送信日時は……ふむ、何ヶ月も前に届いて、今まで気付かなかったとは。ならば送信者は『前の先生』、あなたですね? おそらく、いつものように「そちら側」から「読んで」いると思っていましたよ。そう思ってさっきから喋っていました。多少不快ですが、その方が話は早い」
そう言ってから、黒服はメールを読んだ。
「——やはり、『ベアトリーチェ』をトリガーにするのは危険だと考えますか。……
黒服は黙って、メールの文面に目を走らせる。
「……確かに実例があるならば、少なくともこの「ゲームの中」の『ブルーアーカイブ世界』が、ゲームの仕様そのままの法則で動いている、という仮説は成り立ちます。ならば『色彩』も、「どこかから到来するもの」というよりは、「ゲーム内で発生する『イベント』」と捉えた方がより自然です。だとすれば、『ベアトリーチェ』の「儀式」というトリガーを使わなくても、この世界のどこかに存在する「フラグ」を強制的に立てる事によって、『色彩』というイベントを単独で起こす事は可能でしょう。その「フラグ」のようなものが実在するかが問題ですが……ならば、彼女だけでなく私も探ってみる事にしましょう。しかし、『色彩』の到来は本来の目的ではなく、むしろ回避するべき事ですが……ふむ」
黒服はメールの続きを読む。
「……『シロコ*テラー』と『プラナ』の出現イベントを、『色彩』なしでピンポイントに起こす……。確かに理屈上は可能かも知れませんが、危険が伴うのでは? そもそも、「設定上」別の時間軸から来たと言いますが、そんなものが『ブルーアーカイブ』の中に実在しているとは思えませんし、彼女たちがこの世界でどんな扱いの存在なのかも……。いえ、まさにそこを今、調べてくれているのでしたね。彼女の協力に感謝しつつ、私たちも考えなければ。とりあえず私は、引き続き『ゲマトリア』の監視をしながら、『デカグラマトン』や『預言者』を調べるとしましょう」
それから黒服は言った。
「……『前の先生』。「読んで」いるならば、少し愚痴に付き合ってもらえますか? 正直なところ、彼に「もう会わない」と言ったことを後悔しています。私も、もしかしたら間違えたのかも知れません。友人として、彼の記憶を戻すことこそ正義だと信じ、あなたたちのやり方を否定した。そして、憎まれ役を買って出ることにした。それを間違いだとは思いません。しかし、それは何のためだったのか……。いえ、恥をしのんで一言で言えば、寂しいのです。一人で酒を飲む気にはなれません。積んでいた「エロゲー」も全て崩してしまいました。彼とくだらない、品のない会話をしたい。それが出来ない。そんな、たわいもないことがつらいのです」
「——今になって痛感しました。覚悟していたつもりです。ですが、私が望んだのはこんな、「中身」のない『ゲマトリア』との、虚しく殺伐とした会話ではありません。今の私は、彼の望んだバカバカしくも平和な「エロゲー的な世界観」の外側にいます。この世界を裏側から支えるために。いえ、そういった立派な目的が無意味だとは言いません。そもそもそれは、彼のために私が望んだことです。そして、やらなければいけない事です。ですが、私の本来の目的は単純に、彼の友人として、もっと人間的な……いえ、この辺にしておきましょう。私には「そちら側」、『現実世界』に実体化するという自分自身の目的があり、先のない虚しいことをしているわけではないのですから。あまりに耐えがたければ、意地をはらずに何かの名目で『彼』に連絡を取ります」
そう言いながら、「悪い大人」が「友人」だと誰かに知られれば、『彼』に迷惑がかかる。やはり軽率に連絡は出来ない、黒服はそう思った。モモトークに、【無理しないで】とメッセージが届いていたのを知るのは、後日のことである。
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ふと黒服はつぶやいた。
「『私』自身の
「しかし、これだけは言えるはずです。私自身の
そう独りごちてから、黒服は思う。
——ならば、今は過程を積み上げましょう。この世界でやるべき事をやり終え、いつでもエンディングのその先に進めるように——
ノノミの分が遅れているので、予定になかったんですが黒服の分を書きました。
シーズンFinalの本編はどれも重めなので、一応あんまり暗くならないよう書いてます。
ある程度は内容上しょうがないんですけど、基本は明るくバカっぽくいきたいです。