【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~ 作:春画屋@二次創作R18
ノノミちゃん、イタズラ☆ストレートに加入おめでとうございます。
14000字程で、前半はアリスの話、後半はオリ主(先生)とノノミのこの世界の話になってます。
アリス・ゲーム開発部・ヒマリ関係の話
→9・32・38・39回
脱衣麻雀の回(牌画像あり)
→28・32回
ノノミ関係
→32.5・33.5・38・43回
「先生! アリス、勉強終わりました!」
「おー。終わったか」
元気な声で、アリスが部屋に入ってきた。その後ろから、ノノミも「せんせー☆」と言いながら入ってくる。
今日はアリスが当番ということで、シャーレに来てもらっている。そして、ノノミもいる。ちゃんとした規則があるのか知らないが、当番は一人ずつっていうことになっているようなので、今まではそうしていたのだが、別に二人でも三人でも問題はなさそうなので、人数制限は外してしまった。その方が俺も多くの生徒と会えるし、生徒間の交流も出来るし。
何の許可もなしというのもまずいだろうから、俺の直属の上司である連邦生徒会長(ただし概念上)からの許可はもらってある。シャーレからの『概念上の連邦生徒会長*1』への申請は、連邦生徒会の
ちなみに、リンに最近の連邦生徒会長の様子を聞いたところ、大体いつもいちごミルクを飲みながらのほほんとしているとのこと。うちの上司、概念上の存在なのに人間くさい。まあ、中身はほとんどオリジナルの方のアロナ(正確には「っぽい何か」らしい)なんだろうけど。ま、平和そうなのはいいことだ。
「んで、どうだった? 教えてもらって、勉強は分かったか?」
「はい! ノノミはとっても勉強を教えるのが上手いです!」
「そうか、それは良かった」
「それに、胸も大きいです!」
「そうかそうか、さすがアリスはノノミの良さをよく分かってるな」
アリスの頭を撫でてやる。勉強は苦手なのだが、成績がヤバそうな奴には俺がシャーレ内の教室で教えていたのだが、ノノミが来ている時は代わってもらっている。ノノミは教え方も上手いみたいだし、アリスなんかもこの通り
「しかし、終わったらアリスとゲームでもしようかと思ってたんだが、今からってのも何だな。ノノミが戻ってきたら、もう帰るか? 結構勉強も時間かかったみたいだし」
「いえ、勉強は早めに終わったので、その後はノノミと一緒にゲームをしてました」
「あ、そうなのか。なら、俺も一緒にやりたかったな」
「でも音ゲーですよ? 先生は苦手ですよね?」
「あー、確かに音ゲーはダメだ。じゃあ、ノノミに相手してもらって良かったな」
音ゲーはソシャゲで何度かやったことがあるが、自分にはリズム感というものが皆無なのが分かっただけだった。悲しい。最近はアイドルのゲームでも、育成メインの新作は出てるんだろうか。まあ、キヴォトスに来てからソシャゲ自体やってないんだけど。
「アリス、アイドルになってみたいです!」
「アイドル? うん、いいんじゃないか? 目指せ、目指せ。アリスなら、頑張ればきっと本当になれるぞ」
この世界が「ゲームの中の世界」と表現できる世界だとはいえ、それがどれくらい反映されてるのかは知らないが、『ブルーアーカイブ世界』なら何かを目指せば大抵は報われるだろう。とりあえず、ストーカー化したファンに刺されたり、彼氏がいるのがバレて炎上して、精神を病んだりするようなバッドエンドにはならないだろう。なったらやだよ、そんなブルアカのストーリー。
アリスの場合、『メインストーリー』でいうとまるまる一章分くらいの何かデカい揉め事が起こるはずだったらしい(諸事情により、俺には詳しくは教えられていない)が、ストーリーの内容を知っているヒマリの手回しのおかげで、既に
まあそんなわけだから、アリスがちゃんと頑張れば、そこの空いた部分を埋めるような形で、感動のアイドル成長物語的なのが始まるだろう。いたって健全でよろしい。むしろ、そのままアイドルになってくれ。デビューしちゃってくれ。何でもなりたいものになっていいったって、完全にアリスに任せちゃうとこのままでは——
「うーん。確かにアイドルも目指したいのですが、アリスはやはり「脱衣麻雀マスター」になりたいです!」
「やっぱ、一番なりたいのそっちかあ!」
予想通りの答えが返ってきてしまった。アリスの奴、本当に脱衣麻雀ゲームで対戦して女の子を裸に
「でも、現役アイドルと脱衣麻雀対決をして、ファンが見守る前で全裸にして、その
「無邪気な笑顔で鬼畜な事を言うんじゃない」
「その設定で、ケイにエッチな小説を書いてもらおうと思っているのですが」
「あーもう、あっちもかよ! ヒマリはケイにちゃんとした教育をしてくれ!」
俺は頭を抱えた。『
「何度も言うようだが、脱衣要素を抜いて麻雀マスターじゃダメなのか」
「ダメです! むしろ抜くなら麻雀要素です!」
「そんなに」
確かにどっちかと言われると、優先すべきは脱衣要素であって、アリスがそこのロマンを分かってくれて嬉しいのだが、女子がノリノリでそういうのを言うのは個人的にはちょっと。恥じらいというか……。トリニティに行くと
とりあえず、アリスとあの露出大好きピンク脳を当番で一緒にするのはやめよう。ハナコの場合なまじ頭もいい上、もともとその手の官能小説(しかもガチめなやつ)とか読んでそうだし、知識もありそうだし、アリスの特殊性癖がさらに開発されてしまう。
見ると、アリスはすっかりその気で、シュッシュッとキレのある動きでツモの素振りをしている。とうとうリアルの麻雀にも手を出したんだろうか。この様子だと、麻雀要素も抜く気ないな。
「ユズやモモイも、ゲーム開発部の脱衣麻雀ゲームの改良に熱心です」
「モモイ? ゲーム部分でユズは分かるとして、モモイは何やってんだ?」
「一人モード用のストーリーのために、シナリオを書いています。今度ケイのところに行って、エロ小説の作法などを教えてもらいに行きたいと言っていました。♡喘ぎはありかなしかで迷っているらしいです」
「とうとう対戦以外の部分まで作り出したのか。もうそれ、完成したら単品で売れるんじゃないのか……?」
「脱衣はやっぱり、脱ぐまでの過程とシチュエーションが大事だとアリスは思うのです」
「それは分かる」
アリスのそっち方面の理解が順調に深まっているので、この逸材を埋もれさせるのは惜しい……。ていうか、アリス監修のそんな
「ちなみにグラフィック担当は? 確かミドリも、嫌々ながらも参加してたはずだが」
「ミドリは、私たちがエッチなゲームをやっていると、難しい顔をして一人で部室を出て行ってしまいます」
「やっぱ、いやらしいのは嫌いなのかな……」
ミドリの場合、潔癖なんだかムッツリなんだかよく分からなくなってきた。前回のバージョンでも、ミドリが担当したところのクオリティ、やたら高かったし。本当にああいうの嫌いなのか?
「次の日の明け方には、力を使い果たしたような、でも何かスッキリした顔で力作を持ってきます」
「何やってんだ、あいつも」
ムッツリの方で確定したな。スッキリした顔してちゃダメだろ。嫌な予感がしてきたので、これも一応聞いておくか。
「ミドリは女の子が服を脱がされるエッチなイラストを描いているのか? オリキャラか?」
「いえ、本人に無許可ですが、ユウカをモデルに」
「やめてやれ。本人に許可も得ずに、勝手にゲームで裸に
何かゲーム開発部は、ユウカをフリー素材か何かだと思っている節があるな。そりゃ、しょっちゅう部室に来て、延々と小言を言ってくるし、ラスボスとか魔王にするにはイメージピッタリかもしれんけど。小姑みたいだし。それに、うるさいし……まあ、多少は自業自得な気もするな。じゃあいいか。
「本人に許可が取れたら、ボイスの収録をお願いしようと思っているのですが」
「もうそれ、本人がゲームの中で裸にされてるようなもんだろ。マジでやめてやれ」
流石にかわいそうになってきた。
それにしても、何だかんだでミレニアムは平和だ。俺の「世界観」に関わるので教えてもらう事は出来ない*2が、『メインストーリー』にあるような、アリスやケイの生まれに関わるデカい揉め事もなさそうで良かった。
「まあ、アリスはアイドルでも脱衣麻雀マスターでも、何でも好きなものになるといい。この世界、もう何でもありっぽいし」
「はい! アリスは、魔王にもなりたいです!」
「魔王? ああ、魔王にだって別に……「魔王」⁉︎」
「はい!」
はい! じゃねえよ。何でいきなり魔王なんだ。何でもって言ったけど、魔王はダメだよ。普通に考えてアウトだろ、どう考えたって。
「もし魔王になったら、先生にも世界を半分あげます」
「いらないし、そんな大事なものを軽いノリで誰かにあげるんじゃない。それより、何かあったのか? 大事なセーブデータを愚かな人間どもに消されて、みんな滅ぼしてしまおうとか思っちゃったか?」
「落ち着いてください、先生。アリスはそんな小さなことで人類を滅ぼしたりはしません」
「……そりゃそうだよな」
確かにそんなの当たり前の話なんだが、唐突に魔王になりたいとか言い出した相手に言われると、理不尽さを感じる。
「アリスはいい事を思いついたのです」
「いい事って?」
「アリスは魔王は魔王でも、立派で優しい魔王になります。そうすれば、誰も世界を滅ぼしません」
「そりゃ、何かのゲームの影響か? まあ、魔王に転生したとか流行ってるんだろうけど」
「主人公が父親の跡を継いで、立派な魔王になるゲームをやったのです」
「父親の跡を継いで……。『ディスカイヤ』とか『ディスガイヤー』とか、そんな名前のやつか? 魔界のやつ」
「はい。名作でした。アリス、プリニーを投げまくりました」
魔王が主人公って、やっぱり某史上最凶のやり込みSRPGをうたってるやつのキヴォトス版か。てことはキヴォトスにも、「日本一」ならぬ『キヴォトス一ソフトウェア』とかそんなメーカーがあるんだろうか。何にしても、脱衣麻雀なんてものを教えた俺以外にも、教育に悪い存在ってのは至るところにあるな。まあラハール殿下なら、確かそんなにタチ悪くなかった気がするけど。便利屋のアルみたいに、「一日一悪」がモットーの和み系アウトロー(自称)もいるし。とはいえ、
「もしこの世界に魔王がいても、それがアリスなら争いを起こさず、勇者とも一緒にゲームをやって、仲良くします」
「うん、みんな仲良くはいい事なんだけどな? それ、アリスが魔王になる道以外で目指せないか? ていうかぶっちゃけ、魔王になりたいだけだろ」
「はい! 魔王はカッコいいので!」
「本音を隠す気もないな?」
確かに俺も厨二病真っ盛りのころは、恥ずかしながらダークヒーローの類に憧れたこともあるので、分からないでもないが。
「それに、第二第三の魔王が現れてもアリスが倒すから安心です」
「争いを起こす気満々だよな? まあ、正義のために戦うならギリギリありかもしれんけど……。ていうか、アリスがなりたいのは勇者じゃなかったのか。なるなら勇者になりなさい」
「勇者は、モモイが向いていそうなので譲ります」
「モモイ? ああ、確かに向いてそうだが……いや、そうか? そうか……?」
モモイが勇者になったとして、確かに正義感なんかは強そうだが、あいつ周りの被害とか全く考えずに魔王と戦いそうなんだが。それで、魔王の方はアリスだろー? と思って、アリスが背負ってる物騒な代物をじっと見る。
そういえばヒマリが、俺の「ドリル理論」をアリスがいたく気に入っているから、世界の脅威になったりしないから大丈夫、と言っていた。アリスはあくまで、ヒマリの大事な後輩でしかないそうだ。確かに俺が言った通り、ドリルだろうがデカい
そりゃそうなんだけど、その理屈、完全に裏目に出てんじゃん。どんなヤバい破壊兵器を持っててもオッケー、オッケーみたいなノリになってんじゃん。全然大丈夫じゃないじゃん。ヒマリの嘘つき。なんてことを言っててもしょうがないので、とりあえず武装だけでも放棄させよう。
「じゃあ、アリスがどうしてもなりたいなら魔王になってもいいけど、そうしたらその電磁砲は封印しような?」
「え? 何故ですか? この『
「でもそれ、選ばれし勇者のための武器だろ? 勇者ならいいけど、魔王はただでさえ怖いんだから、積極的に武力を捨てていかないと」
「うーん……確かにそうですね」
「それにほら、調子に乗ってミレニアムでバカスカそれ撃ってたら、ユウカにすごい怒られただろ?」
「はい。直すのに修理費がすごいので、今度建物を壊したら、ゲーム開発部に請求すると言っていました。そんな大金は払えません」
「あんな金額、払えないよなー。俺が撃たせたらシャーレに請求するとか言いやがるし」
自分たちが払えないような金額を、セミナーに押し付ける(押し付けてきた)のもどうなんだという話もある。そもそも、必要もないのに撃つなって話もある。それはともかく、ユウカに怒られるから良くない。
「やはり魔王になったら、『光の剣』は封印しないといけませんね……。アリス、魔王になるのはやめておきます」
「うん、そうしておけ」
かくして、魔王アリスの誕生フラグは折られ、キヴォトスの平和は守られたのだった。ありがとうユウカ。世界の救世主ユウカ。
とまあ、くだらない会話をしていたら、ノノミがエンジェル24から帰ってきた。
「……なるほど。ではアリスちゃん、アイドルになってみますか?」
「はい?」
「なれるんですか?」
「ふふっ、残念ながら一日だけ限定なのですが……はいっ!」
掛け声と共に、いろいろな理由から形状は詳しく言えないが、ノノミの前に輝く棒状のものが現れた。
「わあっ、ノノミすごいです! 強そうです!」
「じゃーん! 『変身バット☆エスカリボーグ』です☆」
「それ、変身のために使うんだよな?」
絶対死なないからとか言って、あの詳しくは形状の言えないバットで俺を殴るとかいう話じゃなかろうな? 死ぬほど痛いのに絶対死なないとか死ねないとか、そういう地獄みたいな設定、俺は他にも身をもって知ってるぞ。
「このバットを振りかざして呪文を唱えれば、どんな姿にも変身出来るんです! それでは〜、ぴぴるぴるぴるぴぴ——」
「そのまんま持ってくるのやめろ!」
予想以上にそのまんまな呪文をノノミが唱えると、
「わあっ! アリス、アイドルになりました!」
いつの間にかアリスの姿は、ひらひらしたアイドルの衣装に包まれていた。
「おー、可愛い可愛い」
「アリスちゃん、可愛いです〜♡」
見れば、部屋の一角がいつの間にかステージになっている。
と、そんなわけで、
「それでは、アリス、歌います!」
ということでアリスはアイドルになりきって、満足するまで歌って帰っていったのだった。一日限定とはいえ、アリスの望みを叶えてくれてありがとうノノミ。やはり俺の彼女は頼りになる。
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「アリスちゃん、可愛かったですね〜☆」
「そうだなあ。せっかくだから、本当に目指しちゃってもいいのに」
ノノミと二人で、お菓子をつまむ。うん、美味しい。
「そういや、ノノミもアイドルやりたいとか言ってたっけ?」
「え? えっと、ご存じでしたか? 確か先生は、あの時はまだ「こちら側の世界」には……」
「ああ、そこは『現実世界』にいる時にゲームの『メインストーリー』で読んだから」
ノノミが言いかけた通り、その時はその場に俺は居なかったのだが、『メインストーリー』のVol.1、対策委員会編で確かノノミが「スクールアイドル」をやりたいとか言っていたはずだ。借金の返済のためとかいう、そこだけ聞くと悲しい理由だったが。まあ、この世界では俺の友達の黒服が代わりに払ってくれたから、アビドスの借金はほとんど残ってないけど。持つべきものは友人だな。
「ていうか、ノノミは実際にアイドルになれたのかな? 途中までしか覚えてないけど、メインストーリーのその後とか、イベントとかで。やってみたい?」
「うーん……。私もさっきのアリスちゃんを見ているとやりたい気持ちはあるのですが……」
ブルアカ流の悪ノリというか、あそこの運営だったらノリであのノノミの発言を拾って、「本当にアイドルになっちゃいましたー☆」とか言って、CDぐらいは出しかねない気がする。そういえば『現実世界』のブルアカは今どうなってんのかなあ。そろそろアニメ化とかしてたりして。
「でも、私はアイドルよりも、「先生の彼女」でいる時間の方が大切ですので☆」
「あ、そう? そっかー」
「そうですよー☆」
「そっかー、そうだよなー。ノノミは俺の彼女だしー?」
「俺のことは気にせず、やりたい事やっていいよ」ぐらい言えばいいのかも知れないが、嬉しいことを言われたので、つい表情が緩んで情けない顔になってしまった。我ながらだらしない。
「まあでも、そうか。一度きりの人生で、いくつもは出来ないしな」
何気なくそう言ったところ、ノノミが何か思いついたように質問してきた。
「先生。やっぱり、人生って一度きりなんでしょうか?」
「何をいきなり。そりゃまあ、人間いつかは絶対死ぬし……いや、そうとは限らないか?」
「そうなんですか?」
記憶が戻って、ブルアカの知識だのこの世界の構造だのを思い出してから、それをもとにいろいろ思いつくようになったのだ。普段は何も考えてないバカのように見えて、実際その通りなのだが、記憶さえ戻れば俺だって(そこそこ)頭がいいのだ。せっかくだから、ノノミにその辺をアピールしておこう。
「人生っていうのは、人間が生まれてから死ぬまでだと考えるのが一般的だよな? 人間いつかは必ず死ぬけど、二回死んだり三回死んだりは絶対にしない。生き返ったりもしない。これが絶対のルール」
「そうですよね。だから人生は一度きりなのかな、と思うのですが」
「ところが、「輪廻転生」という考え方がある」
「「輪廻転生」……ですか?」
「そう。つまり、生まれてから死ぬまでを1サイクルとして、そのサイクルを何度も繰り返すって事だな。てことは、死んで一度人生が終わった後は、生まれ変わって次の人生が始まって、それを何度も無限に繰り返す……これが「輪廻転生」の基本的な考え方。これなら、絶対のルールを変えないままで、二度目の人生、三度目の人生があるって考える事が出来る」
「なるほどですー! 先生、頭いいんですね☆」
「はっはっは。存分に誉めてくれ」
ノノミに頭を撫でてもらって、いい子いい子してもらう。教えた側と教えられた側と逆転している気がするが、その辺は気にしない。輪廻転生って考え方にも、種類とかとらえ方は色々あるけど、まあそれはいいだろう。
「でもそれって、えっと……「魂」のようなものでしょうか? それが一緒であっても、生まれ変わるのは別の人にですよね? それだと、その人にとっては二度目の人生とは言えないような……」
「まあ、その辺を都合よく、元の記憶を保持したままで二度目の人生を送れる、ってのが転生ものとして流行っているわけで、「二度目」ってのをどうとらえるかにもよるんだけどな……」
転生にもいろいろあるので、二度目の人生を楽しむなんて話になると、何らかの形で本人が記憶を保持していないと話にならない。実際に考えられている転生ってのは、偉い人の生まれ変わりであったり、生き別れた近しい人間の話だったり、他人から見た時の話も多い。ノノミの聞きたいこととはちょっとズレた話かも知れない。
「でも、生まれ変わった先が別人とは限らないかも知れないだろ? 「器」は同じかも知れない」
「え? どういうことですか?」
ここから先が、思い出した知識や、自分の体験から導き出した、大胆な仮説。
「「器」というのは、例えば『シャーレの先生』のような?」
「うん、まさにそれ。『現実世界』では「肉体」という「器」に入っていた俺が、こっちの『ブルーアーカイブ世界』では『シャーレの先生』っていう「器」に「中身」として入ってる。それはノノミもよく知ってるよな?」
「はい」
「ところが、誰に聞いても「俺」が入っている『シャーレの先生』と、入れ替わる前の『前の先生』が入っている『シャーレの先生』とが、全く区別がつかないらしい。「中身」が違うって知っててもだ。ま、その辺はノノミは最初から区別がついていたみたいだし、最近ではみんな、何となく分かるようになってきたみたいだけど」
「ふんふん」
ノノミが神妙な顔で聞いているので、ちょっと気分がいい。よしよし、我ながら頭の良さそうな事を言っているぞ。
「ところが俺には、『現実世界』にいた頃と何か変わったようには感じられないんだよな。それこそ自分の体が、そのまま異世界に「転移」してきたみたいに。てことは一つの可能性として、この世界での「器」である『シャーレの先生』と、『現実世界』での「器」である自分の「肉体」が、違和感を感じないレベルのほぼ同じものかも知れない、って考えることが出来る」
「あ、それで私が画面越しに「見て」いた「画面の向こう側の世界」のあなたと、今の『シャーレの先生』であるあなたが同じに見える……」
「そう。それだと辻褄が合う。ただ、俺やノノミやこのキヴォトスの住人みんな、認識に強力な補正がかかっているらしいから、実際どこまで一緒なのかは分からない。自分の名前を忘れたり、いろいろ問題も起きてるみたいだし、これはあくまで可能性の話だしな。でもそこから、「中身」が入る「器」は、以前と同じようなものほど相性がいいんじゃないかって仮説が立てられる。例えば男が生まれ変わる先なら女よりも男。女ならその逆で、次もまた女。その方が無理がないよな? 要するに、「中身」と「器」の親和性、みたいな話なんだけど」
「うんうん、そうですよね。全然違う人に生まれ変わるのは難しそうです」
「てことは、もう一度「自分」に生まれ変わるのが一番スムーズなわけだ」
「……えっ?」
「あ、分かりにくかったか」
ちょっとこの仮説、大胆過ぎて分かりにくかったかも知れない。もしくは、途中をすっ飛ばしすぎたかも。
「「自分」に、というのは……えっと、時間を巻き戻して同じ人生をやり直す、みたいなことですか?」
「うん。そんなようなもん。ちょっとずつ違うかも知れないけど、同じ人生をループみたいにぐるぐる回んの。こう、ぐるぐると」
「で、ですが、同じ身体の方がいいという理由だけで過去に戻って転生するというのは、少し話が飛躍しすぎなような……」
「そうかなあ。……そう?」
説に説得力がないのか説明をすっ飛ばしすぎなのか、とりあえずノノミに頭良さそうアピールをしようとしたのが失敗したのは分かった。やはりこういうのは向いてない。しかし、「器」と「中身」の相性の問題は、二つの「器」を実際に体験した俺がひらめいたものだから、一考の余地はあると思うんだけどな。
そもそも人間が観測できる範囲ってのは、生まれてから死ぬまででしかない。自分が生まれる前には宇宙なんかなかったかも知れないし、死んだ後だってそうだ。だとしたら、転生しようにも魂が行けるのは、その範囲で存在が確定している世界の中だけなのかも知れない。それなら、何らかの形でその範囲を何周もするって考え方はそんなに……もう、どうでもいいや。こんなの『前の先生』みたいに俺と同じ体験をしてなきゃピンとこないだろうし。人生にこんなもん必要ないわ。
「要するに、人間がみんな「強くてニューゲーム」なしで延々同じゲームをやってるような話だからな。そんなの飽きるっていうか、親ガチャ外れた奴なんかは救いがなくなっちゃうだろうし。夢がないから、この説はなしなし」
そもそも仏教なんかじゃ「輪廻から抜けよう」的なことを言ってた気がするし、ぐるぐる回るのは良くないよな、うん。仮説ぐらいは適当な理由をこじつけて、嘘でも明るいのにした方がいい。大体、実際に死後どうなるのかなんて分からないんだし。結局のところ人間にハッキリ分かるのは、いつかは死んで、人生には確実に「終わり」があるっていう事実だけだ。「絶対のルール」はそれだけだ。……「絶対のルール」? 待てよ? もしかしたら……
——『シャーレの先生』は不死の存在って可能性もあり得るってことか?
さっきの話より、さらに飛躍した発想かも知れない。だが、こっちは十分あり得る話だ。そして、現在の『シャーレの先生』である俺に、直接関わる話だ。『絶対のルール』は『現実世界』のものであり、キヴォトスの住人にも適用されるとは限らない。その上、その中でも『シャーレの先生』という「器」は特別製だ。そもそも、いくら馴染んでるったって、俺が入ってるこの「器」は「人」じゃない。『シャーレの先生』は『主人公』という「役割」であり、『ブルーアーカイブ世界』の一部だ。
俺のスマホの中に住んでいる、自称俺の娘の方のアロナは、この世界には『ゲームオーバー』もないし、『バッドエンド』もないし、『主人公』である『シャーレの先生』が死ぬこともないと言っていた。あれは俺を安心させて、この世界に引きとめる意味合いが強かったのは分かっている。だが、嘘を言っている様子はなかった。あの時言っていた「絶対に死なない」ってのは、実際にはどういう「事実」を言っている? 本来のブルアカと違い、「先生」だけど撃たれても死なない? それとも、ノノミが助けてくれるような何か都合のいい事が起きて、死ぬような状況は絶対に回避される? じゃあ病気は? 寿命は? 死なないと言うより、
アビドスの
それでも、『現実世界』から観測した時、『ゲームの中の世界』と表現しても差し支えない程に、この世界においてはゲームの仕様と同じような不思議な現象が実際に起きる。それは確かだ。だからこそ、カヨコのような頭のいい人間には、ゲームのシステムや実体験をもとに、それを組み合わせた推論が出来る。なら、『
「でも、それが本当だったら素敵ですね☆」
「——うん?」
この世界を
「だって、もしそうだったら、今の人生でならなくても、アリスちゃんは他のどんなものにだってなれるじゃないですか。それこそ、なりたいもの全部に☆」
「……そりゃそうだ。そうだな。別の事やってもいいんなら、新しい人生も楽しいしな。うん、それがいい」
ノノミはいい事を言うなあ。そうそう。シャーレの先生の終わりがどうとかより、そういう夢のあることを考えないと。やはり記憶が戻って以来、理屈でものを考えがちのようだ。いずれ考えなきゃいけないにしろ、今はそれより目の前のノノミを見ないと。
「アリスにはなりたいものが多すぎるからな。人生が何周あっても足りないかも知れない。アイドルだろ? 脱衣麻雀マスターだろ? その内、乙女ゲーの主人公になりたいとか言い出すかも知れないし、あとは勇者とか、まお……いや、これは……」
「まお?」
「何でもない」
うっかり思い出しそうになったが、魔王にはならなくていいんだ。ていうか、なるな。
「ふふっ、それにしても先生ったら、アリスちゃんが自分の娘みたいな言い方するんですね☆」
「ノノミまでそんな。アリスも違うし、スマホの中にいる方のアロナだって違うし、俺には娘なんて——」
——いない、と言いかけてから、ちょっと悪いことを思いついてしまった。くっくっくっ。「彼女」ならいいけど結婚はしないなんて言うなら、既成事実を作ってしまおう。こっちの世界に来てすぐの頃にはこっちが散々言われたし、少しぐらいやり返したっていいよな。
「ノノミっ、子供作ろう!」
「あん、先生ってば♡ ちゃんと避妊はしなくちゃですよ☆」
「ノノミがそれ言う? 生でしようよ」
「ダメったらダメです☆ ぁ♡ んん♡ ぁふ♡」
なし崩し的にゴムも避妊薬もなしでエッチしようと、ノノミを抱き寄せてキスをする。
「ん……」
「ん……ちゅっ♡ んっ♡ ちゅ……は……せんせ……」
「ノノミ……って、あれ……何か鳴ってる?」
「あ、先生、お電話……」
ええい、こんなタイミングで電話をかけてくるのは誰だ。アコあたりだったら即切ろうと思いつつ、誰からなのか確認する。……モモイから? 何でまたモモトークじゃなく、いきなり電話なんだ。邪魔が入ってノノミもしょんぼり、残念そうな顔をしているが、緊急の用事か何かかも知れないので、とりあえず電話に出ることにする。と、
『先生⁉︎』
「うん。そうだけど、どうした。何かあっ——」
『うわーん! 何かアリスが、もし自分が魔王になったらこれを使ってくださいって、あのでっかい電磁砲を渡そうとするんだけど、どういう事なの⁉︎ アリス、魔王になるつもりなの⁉︎』
「はあ⁉︎」
『何か魔王のたしなみだとか言って、さっきから高笑いの練習してるし!』
「何でそんなもんの練習してんだよ⁉︎」
『アリスが魔王になっちゃったら嫌だよー!』
確かに電話越しに、アリスの高笑いが聞こえてくる。笑い方が例の立派な魔王を目指す主人公にそっくりなやつなので、魔王に憧れるにしてもマシな方ではある。だが、そもそも魔王なんか目指すな! ゲーム開発部の部室でまたあのゲームやって、再燃しちゃったか!
「モモイ、アリスに考え直すよう説得しろ。魔王なんて別にそんなカッコよくないとか、むしろカッコ悪いとか、勇者はアリスじゃなきゃダメだとか……ええい! 俺が説得する! アリスに電話を代われ!」
『お願い、先生! アリスを止めて、世界を救って!』
そんなわけで、俺はアリスが「やっぱり脱衣麻雀マスターになります!」と言うまで、電話越しに脱衣と羞恥の良さを語り続けたのだった。エロは世界を救う。結果としてアリスの性癖はさらに尖ってしまったが、魔王になるよりマシだろう。ていうか、なりたいものに何でもなっていいと言っても、魔王はやめてくれ……。
こうして、何やかんやいろいろあった結果、世界は(多分)救われた。ノノミとのエッチは邪魔されてしまったが、キヴォトスは今日も平和である。
今回主人公(先生)が考えてた事は、主人公とノノミが今も抱えてる問題に深く関わってきます。
以前のノノミのセリフ「彼の人生に責任を負う事は出来ない」「好きだとは言えても、恋人になって欲しいとは言えない」「シャーレの先生という受け入れ口に無理にはめ込んでいるだけ」(32.5回)や、主人公やホシノが疑問に思っている『ブルーアーカイブ世界』の「終わり」って何だ?(38・44回)と合わせて考えれば、分かる人は何となく分かると思います。『前の先生』やカヨコもちらほら関係のある事を言ってますし。
多分、その内ハッキリ書きます。