※この作品はR-18です。

【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~   作:春画屋@二次創作R18

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10000字ちょっとの、対策委員会メンバーの話が半分、ホシノの話が半分くらいです。

↓直接ホシノに関係する回
第7回:それはこの物語の『ネタバレ』あるいは『始まり』
先生に関するホシノのメモ(解禁済み設定まとめ)
第26回:二番目に会いたかったあなたと
第36回:対策委員会 x 風紀委員会トップ会談?なのかな?
第44回:エンディングへの第一歩 - ホシノ


第47回:覆面水着団参上!…って、どこに?【♥40】

 

 俺が自分の部屋で目を覚ますと……目隠しはされていなかった。口も塞がれていなかった。ただし、手は後ろ手に拘束されていた。

 

 で、

 

「手を上げて、動かないで」

「手を拘束されてるのに、出来るかっ!」

 

 俺は銃を突きつけられていた。何だこの、わけのわからん状況は。強盗か。ここは銀行じゃないぞ、俺の部屋だ。別に銀行ならいいってわけじゃないっていうか、余計ダメだけど。そういや以前、シャーレにこんな風に襲撃かけてきた奴、一人いたなあ。確か……

 

「大人しくしていれば命は取らない」

 

 うん、こんな感じの声。って、

 

「やっぱり、またシロコかい」

「ん」

「当然のような返事をするな」

 

 俺を逆レイプしにシャーレに乗り込んできた(そして、された。気持ちは良かった)時を彷彿(ほうふつ)とさせる、シロコの声だった。あの時同様、物騒な目出し帽をかぶっている。うーん、既視感(デジャヴ)。お前、本当にいつでもガチの強盗になれるよな。しかし、強盗さながらの目出し帽はともかく、この格好は——

 

「——で、何でお前、覆面に水着姿なの?」

「ん、私たちは『覆面水着団』だから」

「ああ、なるほどー。……なるほど?」

 

 いや、なるほどじゃねえよ。まったくもって、納得するところじゃねえよ、何言ってんだ。……とはいえ、言われてみればシロコだけでなく、どっからどう見てもアビドス対策委員会のメンバーが四人、目出し帽に水着姿で揃(そろ)っている。本当だ。単独犯じゃなくて、『覆面水着団』だ。……いやいやいや、何だよこの悪夢みたいな光景は! お前ら、揃いも揃って何やってんだ! 五人して水着だけの姿で銃まで構えやがって、変態か!

 

「目には目を、歯には歯を! 無慈悲に、孤高(ここう)に、我が道の如く……」

「おじさん、楽しそうだなあ。その口上(こうじょう)、わざわざ覚えたの?」

「おいおい、先生。ノリが悪いねえ〜。おじさん、まだ全部言ってないよ〜?」

「そうよ! せっかく、正装(?)ってことで、わざわざ全員水着姿で来たのに!」

「セリカ、嫌なら断ってよかったんだぞ?」

「だ、だって、先生結構忙しいから、海とか行けるか分かんないし、こうでもしないと水着姿を見せられないかもって!」

「水着を見せたかったのか。お前は何か、いちいち理由が可愛いな」

 

 何やかんやあってアビドスの借金が真っ当な額になったおかげで、必要以上にバイトに時間を取られることもなくなって、いたって普通の女子高生らしくなったセリカである。いや違うな、隣にいる女子高生(シロコ)が、ガチの銀行強盗でその上水着姿で露出狂気味の、見るからに変態にしか見えないからだ。いやいや、そこはセリカだって同じ格好か。くそっ、ツッコミきれない!

 

「あと、今なら五人分まとめて買えば、水着が90%オフだって言うから!」

「誰に吹き込まれたのか知らないが、お前騙(だま)されてるぞ」

 

 心配していたが、やはり騙されていたか。相変わらずセリカは、そういうアホなところも含めて可愛いが、将来がちょっと不安だ。

 

「わ、私は反対したんです! 先生にご迷惑じゃないかって!」

「そりゃ、俺の部屋狭いしね。女子高生が五人も押しかけりゃね」

「いいんですよ、アヤネちゃん。先生の彼(・)女(・)の私が許可を出したんですから☆」

「良くねーわ。ていうか俺、水着姿に覆面かぶってるようなヤバい子を彼女にした覚えはねーわ。せめてその、かぶってるのだけでも取れ、ノノミ」

「先生、「ノノミ」じゃありませんよ? 今の私は、『覆面水着団』の三人目のメンバー……「クリスティーナ」だお♣︎」

「俺、外人の彼女も持った覚えねーわ。とりあえず、手の拘束外してくれないかなあ」

 

 相手がノノミとはいえ、真面目につっこむのが面倒くさくなってきた。

 

「先生、彼女じゃないとか酷くない⁉︎ 覆面かぶってても水着姿でも、ノノミ先輩はノノミ先輩だよ⁉︎」

 

 当たり前だよ。そう言いたい。

 

「んなこと言ったって、本人が「ノノミ」じゃなくて「クリスティーナ」とか名乗ってるんだし……何だよ、みんなしてそんな目で見て!」

 

 全員に白い目で見られた。「女子高生、三人寄れば、超無敵(季語なし)」なんて言葉があるそうだが、三人どころか五人いたら勝ち目がない。

 

 

------------------------

 

 

 とりあえず、覆面は全員脱いでもらった。そして、クッキーやらチョコレートやら、いろいろ持ってきたお菓子を広げ、みんなで食べている。

 

「はい、せんせー☆ あーん♪」

「あーん」

 

 ノノミにあーんして食べさせてもらう。いつもの事なのだが、今日はイチャイチャするだけが目的ではない。いまだに手首を後ろで拘束されたままなのだ。自分じゃ食べられない。特に理由がないなら、外してくれ。

 

「動けない先生、可愛いです〜♡」

 

 完全におもちゃにされてる。

 

「どうどう、先生⁉︎ そのクッキーは私が焼いたのよ!」

「んー、うん、うまいよ、モグモグ。さすがセリカ、飲食店勤務」

「そう⁉︎ じゃあ私、将来ラーメン屋になろうかな⁉︎」

「いや、いいけど、この程度の一言で進路を決めるな」

 

 セリカは前にも増してチョロくなった気がする。……まあ一応、俺が初体験の相手だと思うとデレやすくもなるか……。

 

「わ、私も! こっちとこっちのが……」

「アヤネも料理出来るんだ。へー、どうやって作ったのこれ」

「し、市販のチョコを湯煎(ゆせん)で溶かして……。あっ、あのっ! わ、私も先生に、その、あ、あーんして食べさせてあげてもいいですか⁉︎ ダメなら別に……ええと……」

「いいんじゃないの? それくらい。な、ノノミ」

「構いませんよー☆ ではアヤネちゃん、先生へのお菓子のあげ方は……」

「ノノミ、俺にお菓子をあげるのを、動物園での餌やりコーナーみたいにするのはやめてくれ」

 

 何度も言うが、陽キャ女子高生たちのおもちゃである。多分「可愛い」ってのは、「モモフレンズのペロロ様可愛い!」ぐらいのノリで言っている。ヒフミとかアズサの影響で、ノノミが最近ハマってるし。

 

 にしても、アヤネに関してはうっかり胸を揉みしだいちゃったとか、パンツ見ちゃったとか、その程度しかない(本人的にはお嫁に行けないらしい)けど、これは好意持たれてんのかな。あんなに顔を真っ赤にしちゃって。——あーん、っと。モグモグ。こうやって女子高生に囲まれて、手作りのお菓子を食べさせてもらいながらほのぼのしてる分には、いたって幸せだな。両手拘束で身動き取れないのが、非日常感があって嫌だけど。

 

 …………。

 

 そういえば非日常感、それだけじゃなかった。目の前に勢揃いする、水着の女子高生五人。床に置かれた銃器類。覆面を取ったおかげで、見るからに銀行強盗って感じではなくなったが、十分おかしい。何か感覚が麻痺してた。ここは海でもプールでもない、俺の部屋だ。そんなところに五人とも水着姿ってだけでも大概なのに、さらに後ろ手に縛られた男(俺)が一人。シュールすぎるだろ。

 

「ところで、先生! 私たちの水着、どう⁉︎ 起きたら水着姿の女の子が五人もいるなんて、先生幸せ者よね!」

「目出し帽をかぶって、銃を持ってなければな。あー……セリカのは……」

「えへへ……黒はちょっと地味かなって思ったんだけど……」

「いや、そんな事ないよ。フリルついてて可愛いし」

「ホント⁉︎ じゃあ、後でアルに報告しなきゃ!」

「アルって、便利屋の社長の? お前ら、本当に仲良いんだな……」

 

 セリカの水着はそんなに地味ってことはない。と、思う。今言ったように、フリルがついてて少し子供っぽいかな、とは思ったが、その分可愛いし。しかし、そのフリルがデカすぎて、上も下も覆ってしまって全然見えない。男の目を意識するならもうちょっと露出をだな……。いや、あのフリルはめくって見たらそれはそれで、より興奮するかも知れないが……。

 

「あ、もしかしたら先生、胸見たい? はい」

「おお?」

 

 意を汲(く)んでくれたのか、セリカが胸を覆っているフリル上になっている部分を、ペロンとめくって見せてくれた。おお……やっぱ綺麗な形してるなあ……。無論、水着の上からだが、胸のラインが綺麗なのがよく分かる。何か、セリカの処女をもらった時のことをいろいろと思い出してきた。セリカの白い肌……ピンク色の乳首……あの揉み心地……。本人が気にするほど小さすぎはせず、むしろ手の中にピッタリ収まるサイズのおっぱい……っと、いかんいかん、何をノノミの前で煩悩全開の妄想をしてるんだ——

 

 と、いきなりアヤネが身を乗り出してきた。

 

「せ、先生っ! 私のは……⁉︎」

「え? ちょっ……デ……」

 

 いかん、反射的に「デカい」とか直接的な表現をしてしまいそうになった。

 

「アヤネの水着も可愛いよ」

「本当ですか⁉︎ ちょ、ちょっと大胆かな、と思ったのですが……。その……胸の辺りとか……あはは……。どう……でしょう?」

「そうかな? まあ、そのぐらいいいんじゃない?」

 

 いや、割と大胆だと思う。ちょっとではないと思う。気になるのか水着の肩ひもを直しているせいで、ただでさえ隠しきれていない大きな胸が、水着の浮いた部分との隙間(すきま)からも見えてしまっている。インドアだからか、アヤネは肌白いなあ……。

 

 しかし、アヤネって脱いだらこんなすごかったっけか? 寄せて上げて、なんてわけじゃないだろうが、胸の谷間がくっきり出来ていて、アヤネが細身なのもあって、バストの存在感がすごい。トップスの部分がブラジャーのような形だから、見ようによっては下着姿みたいなもんだし。バストを強調するかのような、小さめの水着だけに隠された上半身に、下はデニムなのが残念だが、そこから伸びる綺麗な生足(なまあし)といい……

 

「うへ〜……」

 

 っと、いかんいかん。喜びのあまり、おじさんみたいな変な声を出してしまった。しかし、こんなんノリノリで見せつけられたら、しょうがない……あっ、ヤバい!

 

「ノノミさん⁉︎ これはね⁉︎ 別に他の子にデレデレしてるとかそういうのじゃなくてですね⁉︎」

「心配しなくて大丈夫ですよ〜、先生☆ 私の水着は後で、みんなの前では恥ずかしくて言えないような褒め方をしてもらいますから。きゃっ♡」

「なるほど?」

 

 なるほど。別にいいけど、恥ずかしくて言えないような褒め方って、どんなのをしろと? ……まあ、あんまり考えるまでもないか。水着になるとまた圧巻というか……やっぱりボリュームがすごいノノミのおっぱい。そりゃもう、柔らかいわ、触り心地がいいわ、揉みしだき甲斐があるというか、もう吸い付きたくなるような……。ダメだ。水着姿を見ているだけなのに、見た目のことよりも、もっとよく知っている他の魅力で頭がいっぱいになる。確かに、この場では恥ずかしくて言えないか。後で脱がせてから言おう……おうっ。

 

「——ね、そうですよね? せ・ん・せ☆」

「……はい」

 

 とどめとばかりに、水着だけの上半身を押し付けられ、妄想していたばかりのおっぱいの感触を直に感じて、俺は何も言えなくなってしまった。柔らかい……あったかい……肌、すべすべ……。これは卑怯でしょ……。参りました。

 

「それじゃ次は、私の番」

「いいけど、シロコ。それ競泳用の水着だよな?」

「ん。機能性抜群」

「ドヤ顔で言うな」

 

 仮にも俺に見せるために水着を着てるはずなのに、何で競泳水着なんだ。別にいいけど、どうやってそれを褒めろというのだ。

 

「ここで泳ぐつもりもないのに、機能性も何もあるか」

「ん。泳ぐつもりはなかったけど、世の中は何があるか分からない。これは程よくフィットして、それでいて動きを妨げない優れもの。保温にも優れているし、水を吸っても重くならない。だから——」

「泳ぐ気満々か。こんなところで」

「——いつでも、この姿で銀行を襲える」

「そっちかよ! やめろ!」

 

 そうだった。こいつ、シロコだった。ブルアカ公式の悪ノリじゃあるまいし、何でもかんでも銀行強盗に結びつけやがって。そんなんだからクロコまで、大事なところで真面目な顔して、「私もよく銀行を襲った……懐かしい……」とか何とか言い出すんだ! 確か! 全く……クロコにも会ったらまず注意しておかないと。

 

「……私たちは『覆面水着団』。いついかなる時にも、この姿になれるようにしないと。でないと、「覆面はしてるけど水着は着てない」と言われてしまう」

「それは確かに」

 

 別に言われても問題ない気がするが、それはそうかも知れない。そもそも、何でわざわざ水着属性をつけたんだって話なんだが。誰だっけか、言い出したの。ノノミか。

 

「納得したところで、褒(ほ)めて」

「動きやすそう」

「……ちゃんと褒めて」

「機能性がどうとかって、お前が自分で言ったんだろ……やめろ、痛い。やめ……痛い痛い」

 

 ぴっちりしてるから胸のラインがくっきり出てて、見ようによってはやらしい水着なんだが、銀行強盗に銃で威圧されながら褒めろと言われても。俺は人質に取られた窓口のおねーちゃんか何かか。

 

「それじゃあ、最後はおじさんの水着も褒めてもらおうかな!」

「おじさんまで⁉︎ 何で今日はそんなにノリがいい……めくらなくていい! わかった、可愛い! 可愛いから!」

 

 おじさん(ホシノ)に関しては、俺の性的嗜好(しこう)で言うとちょっと管轄外だったので、感想を求められても本人には言えなくて本当に困った、というのは余談。

 

 

------------------------

 

 

 しばらくして俺は、コンビニに行くと言って水着の上に服を着たおじさんを道案内するため、二人で歩いていた。それにノノミとは、おじさんに関しては出来るだけお節介しない方がいいかな……という話になっているんだが、ちょっと聞きたいこともある。

 

「でさあ、ヒフミちゃんも呼ぼうと思ったんだけど! 『覆面水着団』って言ったら、やっぱり『ファウスト』ことリーダーのヒフミちゃんじゃん? だから……」

「おじさん、楽しそうだねえ」

「うん、楽しいよ? 最近は、新しく友達もいっぱい出来たし——」

「無理はしてない?」

 

 ホシノの動きが止まった。

 

「——そう、見える? 楽しいのは本当なんだけど」

「こう聞いたら、そういうリアクションを返しそうだなってくらいには。ヒナもそう言ってたし」

「そっか……。あはは……友達って、心配かけちゃいけないものだと思ってるんだけど。何やってるんだろ、私」

 

 重症っぽいな。聞いて良かったようだ。

 

「心配してる人間ってのは、頼ってもらいたいもんだよ? 特に、本人がそうする元気もない時は」

「……そうだね。じゃあ、少し聞いてもらってもいいかな」

「何でもどうぞ」

「何かさ、こういう時、楽しい事に身を任せきれないんだ。全体のことばかり考えて、目の前にあるものだけを見る事が出来ない。だからいつも、どこかで打算が働いてる。ヒナちゃんのこと、それに今日ヒフミちゃんを呼ぼうなんて言ったのだってきっと……」

「『トリニティ』との縁を作ろうとしてる? いいじゃない。仲良くしたいって意味では同じなんだし、俺も『前の先生』もみんな、今まで影でおじさんがそうしてくれてたから、むしろ助かってる。別にそれは間違いじゃない」

「やっぱ、それも知ってたかあ……。ああ、裏方は裏方のやってる事をよく見て評価してるもんだ、なんて私が言ったんだっけ?」

「知ってたわけじゃないけど、ある程度考えることは読めるからな。俺は文化祭でも何でも、裏方同士の仲介とかやってた方だし」

 

 俺の場合、真面目に仕事せずにふらふらしてたら、自然とそっちに仲がいい奴が増えただけとも言う。一応、重宝(ちょうほう)がられてはいた。

 

「やっぱ、そういうとこには親近感持っちゃうのかな。うん、今までやってきた事を、そう言ってもらえると嬉しい。でも、私にはあの「宿題」の答えが今も出せていない」

「宿題、か」

 

 「宿題」——俺に記憶が戻ってきた後、最初に会いに行った時に、おじさんがそう言ってたやつだ。「個」と「全体」、「誰か」と「みんな」、どっちを優先すればいいのか分からない。それを理屈で考えてしまう自分が好きになれない……。

 

 おじさんは、自分なりのその答えを今は出せないから、「宿題」にしておいて欲しいと言っていた。一人で考えたい、とも。そればかりだと問題だろうけど、打算なんて誰にだって少しはあるし、個人と全体のどちらを優先するかなんて、その人の考え方や立場にもよる。単純に一般論で考えるべきじゃない……と思うんだけど、そういう話を聞いてすんなり納得できる性格なら、最初から悩んだりしない。大変そうだなあ、とは思うけど、今ここで俺が何か言って解決出来る事じゃない。

 

 それでも、こうやって俺に話してくれた姿は、少し元気になったように見える。

 

「呼べば良かったのに。ヒフミとかアズサとか、他にも。ノノミも会いたがってたし」

「いや、呼ぼうとはしたんだよ? ノノミちゃんに連絡取ってもらって」

「来られないって?」

「いや、戦車停(と)められるところ、周りにありますか? って言われたって。ないよね?」

「あるわけねーだろ! あいつは俺の部屋に戦争でも仕掛けに来るつもりか!」

「あはは、他のメンバーは『覆面水着団』だしね」

「ヒフミ以外も呼んだら、水着姿で来る奴、もう一人増えそうだしな……。ヒフミはこないだも、ピカピカに洗ったから見てくれとか言って、戦車でシャーレに乗りつけてくるし。ヴァルキューレ呼ばれちゃうっての」

「へー、すごいことするね、あの子。あーでも、おじさんも見てみたいなあ、ヒフミちゃんの戦車」

「そうしたらいい。多分、すごい喜んで見せに来るから」

「そっか〜。私からも連絡とってみようかな?」

 

 「あははっ」と、俺が見ている限りでは自然に笑っているおじさんを見ると、楽しいならそこに他に何があっても、それは問題じゃないんだろうと思う。本当に打算だけの茶番みたいな付き合いだったら、楽しくなるわけがない。おじさんの場合、本当の問題はそこにあるわけじゃなくて……ふむ、そうだな。

 

「おじさん、その水着、俺じゃなくて『あいつ』に見せたかったの?」

「『あいつ』? って……え、えっと」

「「あっちの世界」に行っちゃったままの、『前の先生』」

「違っ……あ、『あの人』はそういうのじゃないって言ったじゃん! そりゃ、会いたいけどさ! そう! 男の人って、どれぐらいから反応するのかなって! ていうか、先生、大体何にでも反応するでしょ⁉︎ 私の水着見て、何とも思わないの⁉︎ 失礼な!」

「いや、それは……って、俺にそういう風に見られたいのかよ⁉︎」

「別に先生にそう見られたって、全然嬉しくないっての!」

 

 んじゃ、誰相手なら嬉しいんだよ……っと。十分、一人のことだけを考えてると思うんだけどね。分かりやすい。別に、それが出来ないわけじゃないんだ。それが出来る、唯一の相手。ノノミにとって『俺』がそうであるように、ホシノにとっての『あいつ』……『前の先生』がこの世界にいない。申し訳ないことに俺も『あいつ』も、肝心のその問題をいまだに解決できていない。

 

「ほら! 買うもの買ったし、早く帰ろう! みんなが待ってる!」

「おお、そうだな!」

「へへ、何か懐かしいね。先生がこっちに来たばっかりの時みたいじゃない? アビドスで、先生がセリカちゃんやアヤネちゃんにエッチなことをして、それをノノミちゃんが見てヤキモチ妬(や)いたりして……。でも、ノノミちゃんはもう余裕たっぷりって感じかな? 何しろ、もうちゃんと『先生』じゃなくて、『あなた』の「彼女」だもんね」

「あー、ノノミも言ってたなあ。俺は何にも変わった気はしないんだけどな……。いつの話だっけ、そんなの」

 

 ノノミは結局、俺が『前の先生』と入れ替わってこのキヴォトスに来る前、『現実世界』に「プレイヤー」として居た頃から知ってたらしいし、こっちはノノミに、俺は『現実世界』から来たって散々説明してんのに毎回はぐらかされて……でもまあ、それはどうでもいいや、ってな感じだったし、何か変わったって実感はあまりない。俺はない。記憶も戻り、長くいる分、真面目に考えなきゃいけない事は増えたけど。

 

「先生、ありがとう。吐き出して、聞いてもらっただけで大分楽になったみたいだ」

「そりゃ良かった。楽しい時間ってのは貴重なんだから、もったいない」

「だね」

 

 「宿題」の答えなんて、あるかないかも分からないんだから、休める時は休んで気長に探せばいい。あるとしても、おじさんの場合は周りがどうにか出来るものじゃない。……それでも、今の俺なら出来そうなことはいくつかある。もちろんどれも、絶(・)対(・)に(・)無理なことなのかもしれないけど。

 

「この世界ってさあ、『シャーレの先生』ってやっぱ一人だけしかダメなのかね。同時に二人いたって良くない?」

「は? それが無理だから苦労してるんでしょ? 『前の先生』と『今の先生』である「あなた」は、入れ替わってるから「あっち」と「こっち」にいるんで」

「やっぱダメか。そういう、この世界の「絶対のルール」って頭が固いんだよなあ……。俺にはいくらでも「ご都合主義」を用意してくれるのに」

「頭が固いとか、そういう問題じゃないでしょ。『シャーレの先生』が二人ねえ。無理だと思うけど……それにしても、先生って本当に面白いこと思いつくね」

「そう?」

「確かに、先生だったらそういう、とんでもない発想を実現しちゃいそうなのがすごいけどさ」

 

 そう言って、くくっと笑う。

 

 ホシノの「答え」がそこにあるのかは分からないが、『あいつ』ともう一度会えれば、何かが変わる。それは確かなんだから、いつか会わせてやらないと。

 

 

------------------------

 

 

 さて。

 

「この扉を開けると、部屋に水着姿の女子高生が四人座ってるわけか。想像すると、やっぱ怖いな」

「うへ、銃も構えてたらどうしようね〜」

「怖いなあ、覆面水着団……。せめて、覆面だけはやめて欲しい」

 

 そんな事を言いながら、俺はドアを開けた。すると——

 

 ドンッ!

 

「⁉︎」

 

 ドアが開いた瞬間、誰かがすごい勢いでぶつかってきた。よろめきそうになりながらも、それを抱きとめる。……抱き止めたその手が触れた背中が、妙にすべすべしている。まるで、裸の背中を触っているような……。何でだ? あ、水着だからか。そりゃ背中はむき出しでもおかしくない……ぐにゅ。いや、何か胸のところに、弾力のあるものが押しつけられてるような……しかも、水着越しにしては感触が……感触が……

 

 俺の胸に飛び込んできたままだった誰かが、俺の顔を見て、それから密着していた身体を少し離した。これは……

 

「シロコだ!」

「ん」

 

 シロコだった。そして、背中がむき出しだったのは、水着の背中が開いているからではなかった。例の競泳水着を、思いっきりはだけていたからだった。さっきの弾力のある塊(かたまり)は、シロコの胸の膨らみだった。丸見えになった、シロコの生乳だった。そうか、あの気持ちよさはやっぱり、生のおっぱい押し付けられてたからかあ。そうか……。

 

「触ってもいいよ?」

 

 少し恥ずかしそうにしながら、笑顔のシロコが、むき出しの胸を張る。そりゃもう、どうぞ触ってくれと言わんばかりに。その形の良い胸の膨らみに、つい目が吸い寄せられてしまう。垂れることなく、少し上を向いた張りのある乳房は、引き締まったスポーツ選手のもののようだ。その頂点には、乳首がツンと立っている。困った。実は全然困ってないが、これは困った。いくら触りたくても、すごそこにノノミがいるのに、触るわけにはいかないし……。何かシロコの顔が、紅潮(こうちょう)してきた気がする。息も心なしか、荒くなってきたような。

 

「んっ……♡」

 

 気付けば、俺がグニグニとバストを揉みしだくのに合わせてシロコが、あっ♡ あっ♡ と甘い声を上げている。しまった! 触っちゃダメだと思っていたのに、無意識に触ってた! あ、気持ちいい。やっぱりシロコの胸、触り心地最高。張りはあるけど、固くはない。手のひらにちょうど収まるかどうかで、大きさも文句なし。もうちょい……あと五分ぐらい触っていたい。そんな、あっさり陥落してしまった俺を、熱っぽい目でシロコが見つめる。

 

「ね、褒めて」

「お前、水着姿を褒めてもらいたかったんじゃないんかい」

 

 この状況だったら、水着じゃなく裸を褒めるしかないだろ、と一応ツッコミを入れておいたが、右手がシロコの胸を握ったままなので全く説得力がない。だって気持ちいいし。ふにふに。

 

「シロコ先輩、何やってるのよ!」

「シロコちゃん!」

 

 ノノミとセリカが玄関に走ってきた。二人とも水着姿で、セリカはライフルを構えている。やめろ、こっちに銃口を向けるな! 怖いから! 俺に当たるかも知れないから!

 

「くっ!」

 

 ものすごい素早さで元通りに水着を着たシロコが、ダッシュで逃走する。って、うちの近所を水着姿のままで走るな! 何を言われるか……と、それだけでも焦(あせ)っているのに、ノノミとセリカまでシロコを追いかけて、水着のままで外に出る。ああもう! 近所の目が!

 

 と、その時、

 

「あっ!」

 

 割と近くで、シロコの悲鳴が聞こえた。逃げたんじゃなかったのか——?

 

 

 数分後、召し取られた罪人のように運ばれるシロコの姿があった。

 

「ふう……『シロコちゃん専用捕獲罠』を用意しておいて良かったです」

「うう……ごめんなさい……」

「ダメですよ? この人は私の彼氏なんですから」

 

 罠なんか用意してたんだ。しかも、シロコ専用の。涙ぐんで連行されるシロコを見ながら、ホシノが俺に聞いた。

 

「懐かしいって思ってたんだけどさ、こういう場合って、先生がノノミちゃんに怒られてお仕置きされるんじゃなかったっけ……?」

「自分の立場を脅(おびや)かす相手には容赦なくなったらしいよ、ノノミ……。いい思いをしておいて自分が報(むく)いを受けないってのも、何か心苦しいな……」

「まあ、シロコちゃんに関しては一方的な被害者ってことでいいんじゃないかな……。勢い的に、ほっといたら食われちゃいそうだったし……」

「肉食系だからなあ……」

 

 周りに被害を及ぼさないためにも、やはり俺がしっかりしなければ。そう思いつつ、でも気持ち良かったなあ……とシロコのおっぱいの感触を思い出してしまう俺であった。

 

 




ホシノには苦労させちゃってる分、明るいハッピーエンドを予定してまして、今回のはそこまでの過程を埋める形で書いてます。
こうやって主人公が絡むことで、だんだん重荷を外してあげたいと思ってます。主人公ですから。
シーズン3終盤の余波で、予定よりかなり重い状況になってますし。
その分、予定の回よりいくらか出番が増えるかもしれません。
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