※この作品はR-18です。

【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~   作:春画屋@二次創作R18

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お待たせしました。シーズンFinal本編前半、ノノミで最後です。
約10000字弱ですが、シーズン3までのほとんど、特に3の最終話は読んでいないと分からないと思います。既読者向けです。

独自世界観も、以前から小出しにはしてますが、相当分かりにくいと思いますので、参考になる回など。あと設定まとめも一応…
↓
第25回:ちゃんと私を認知してください!
第26回:二番目に会いたかったあなたと
第27回:黒服の説明的すぎる独り言へ
第38回:エンディングのその先には(前) - アリス
第44回:エンディングへの第一歩 - 小鳥遊ホシノ
第46.5回(表):アリス、いろんなものになりたいです!

ノノミ関連はこちら
↓
第32.5回:ノノミ- Small Revolution
第33.5回:ノノミ and "Sensei" and...
第43回:夢の中で会いましょう - 4 - 『愛情』


第48回:エンディングへの第一歩 - 十六夜(いざよい)ノノミ

 

——エンディングへの第一歩 十六夜ノノミの場合——

 

 

「はい、ノノミちゃん、これ。ごめんね〜? おっかしいなあ。その手紙、ず〜っと前からそこに置いてあったのに、誰か気付かなかったかなあ……」

「あ、はい! それなら☆」

 

 私はその手紙を受け取りました。ず(・)っ(・)と(・)前(・)か(・)ら(・)そこに置いてあったのに誰も気付かなかった私宛(あ)ての手紙、それならきっと、私が今日読(・)む(・)こ(・)と(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)のでしょう。おそらく、『先生』から……

 

「ホシノ先輩。その内、二人でお話ししましょうね、いろいろと……え? はい! そうですね、『先生』のこととか。ふふっ、そんなに慌てなくていいですよ☆ やっぱり、好きな人のことは気になります?」

「いや、ちがっ——……!」

 

 否定しながらも照れた風で、ホシノ先輩は行ってしまいました。悩んでいたようですが、『あの人』——私の彼氏さん——と話をしてからは、少し元気になったみたいです。ホシノ先輩にも何かしてあげられたらいいんですけど。きっと巻き込んでしまったのは私ですから……。

 

「——さて! 読みますね、『先生』。「画面の向こう側」から、そちらからも「読んで」くれてます?」

 

 『彼』に代わって「画面の向こう側」——『現実世界』——にいるはずの『先生』に呼びかけると、ノノミはその手紙を読み始めた。

 

 

--------一枚目の手紙--------

 

 ーノノミへー

 

 こうして言葉でやり取りするのは、久しぶりだね。『彼』の記憶が戻ったことにより、こちらから干渉する力は強くなっているが、自由自在というわけではない。今後もこういった手段を取れるかは分からないから、いくつかのことを伝えておこうと思う。他のことに関しては『彼』が言うだろうから、そちらに任せようと思う。『彼』は『私』が言うのとほぼ同じことを言うだろうだから、大丈夫なはずだ。これは説明が難しいんだけど、なんていうか『彼』は、同じような思考回路をしているというか、『私』と非常に考え方が似てるというか——

 

「お久しぶりですね、せんせ☆ ふふっ、「考え方が似てる」なんて、言い訳まであの人と一緒なんですね。私は、先生とあの人の関係、何となく分かってるんですよ? きっと本質部分は同じ二人、もしかしたら『現実世界』の記憶も共有している……。あの人に記憶が戻って以来、あの人と二人でいると、しょっちゅう懐かしい気分になるんです。雰囲気、そっくりですよ? 私に優しく言い聞かせる時、何か難しい話を教えてくれる時、それからアリスちゃんの質問に答えてる時なんか、まるで昔の私と先生みたいで……♪ ふふっ」

 

 さて、と言って、ノノミはその後の文面をざっと読んだ。

 

「『ゲマトリア』……『ベアトリーチェ』……。『Divi:Sion』……。『エデン条約』……『アリウススクワッド』……。はい、どれも今のところ、特に問題ないと思います。それに『SRT特殊学園』や、連邦生徒会内部……。それから、「もう一人のシロコちゃん」……こちらはいずれ、私からもホシノ先輩やシロコちゃんに……——」

 

「…………」

 

「うんうん! 今のところバッチリです! あとは、何か問題が起きそうなところまで『メインストーリー』を思い出さないように、『彼』の記憶を刺激しすぎないように気をつけて、どうしても必要な時だけ私が最低限のことを教える……ですね? お任せください! 『シッテムの箱』とオリジナルの『アロナちゃん』に代わって、『十六夜(いざよい)ノノミ』が『シャーレの先生』の「力」になります☆ ノノミにお任せです!」

 

 

--------二枚目の手紙--------

 

 ——ノノミには、さらに重荷を背負わせてしまうようで申し訳なく思っている。きっとノノミだけでなく、この絶(・)対(・)に(・)変(・)え(・)る(・)こ(・)と(・)の(・)出(・)来(・)な(・)い(・)「事(・)実(・)」を知るのは、キヴォトスの住人にとって酷なことだろう。それでも、ノノミにだけは教えるべきだと考える。「ブルーアーカイブの終わり」について——

 

「……………………」

 

 ノノミはゆっくりと、穏やかな表情で、そこの部分を何度も読み直した。

 

「——……やっぱり、あの人に「二周目」はないんですね。はい、ハッキリとではなかったのですが、何となく気づいていました。先生やあの人から聞いた話、それに私自身の体験から……。うん! やっぱり「結婚」は出来ないって言っておいて、正解だったみたいです☆ 変に期待を持たせて、引き止めちゃダメですもんね。だって、あの人が年をとっておじいちゃんになっても、私は「おばあちゃんの十六夜ノノミ」にはなれないんですから。『十六夜ノノミ』はずっと若いまま、永遠の十六歳です! そこに関しては、あの人だって嬉しいはずですよね?」

 

 強がった笑顔でノノミは言った。そして続きを読む。

 

 ——言ってみれば、寿命が違うんだ。『現実世界』の人間に避けられない「死」という「事実」があるように、不死の存在であるキヴォトスの住人には共通の「終わり」がある。ゲームのサービス終了と同時に完結する『メインストーリー』の『エンディング』が、「ブルーアーカイブの終わり」だ*1。私が『メインストーリー』を『最終編』終了時までで切り取り、強制的に『エンディング』を作り出した、「ゲームの中」の『ブルーアーカイブ世界』の中でも、かなり特殊な形をしたこ(・)の(・)『ブルーアーカイブ世界』においては、「終わり」は他の世界より一足早く訪れることになるだろう。キヴォトスの住人の人生は、全て『ブルーアーカイブ』の『ハッピーエンド』で終了し、次の人生が始まる。今のノノミたちから見れば「二周目」の世界だ。そして『現実世界』の人間である『彼』は、エンディングのその先にある「二周目」に行く事は出来ない。生まれてから死ぬまで続く『彼』の人生は、『メインストーリー』の長さに収まりきらないからだ——

 

 ノノミはその先を、声を出して読み上げる。

 

「「——君たちは、『エンディング』を迎えると同時に、そこで確定し生成されたそれぞれの『エピローグ』を残し、魂だけが次の周回に用意された「器」に宿る。新たな『十六夜ノノミ』、新たな『小鳥遊(たかなし)ホシノ』、新たな『天童(てんどう)アリス』という、新しい「器」だ。そして全ての生徒の、そこまでの「人生」という名の物語(ストーリー)はアーカイブされ……」……そうして私たちは、『ブルーアーカイブ』の「はじまり」から「終わり」までを無限に繰り返す事になる。何故なら、私たちは永遠に『青春(Blue Archive)』の中を生きる存在だから……ですね。そして『青春』の外側から、全ての記憶を持ち越して常に見守る永遠の存在、それが『シャーレの先生』。この世界にいるために、一時的にあの人が入っている特別な「器」なんですね」

 

 ノノミは顔を上げる。

 

「——あの人も、『現実世界』に関して同じような発想をしていました。人間が何度も生まれ変わるのだとしたら、次も「同じ自分」に生まれ変わるのかも知れないって。そして同じ人生を何回も何回も無限に繰り返すのかもって。きっと『ブルーアーカイブ世界』というのは、そういう世界なんでしょうね。でも、その繰り返しはきっと、「やり直し」ではなく「新しい人生」なんだと私は思います。「恋愛」という選択肢があったりなかったり、毎回少しずつ違う、新しい人生。頑張って生きた分はきちんと「ハッピーエンド」で報われる、素晴らしい人生(ストーリー)です。だってどれも、『ブルーアーカイブ』のストーリーなんですから」

 

 ノノミは目を閉じた。

 

「——先生たちからいろんな事を教えてもらったからでしょうか。私もうっすらとですが、「本当のブルーアーカイブ」の『メインストーリー』を思い出しているんですよ? 成長した姿の、「もう一人のシロコちゃん」。空に浮かぶ巨大な方舟。空から落ちてくる先生をみんなで見つけた、感動のエンディング。『十六夜ノノミ』という「器」に刻まれた、前世の記憶です。今の私の人生と同じくらい、価値のある物語です。今の『私』の記憶も、こんな風に二周目の『十六夜ノノミ』に残るんでしょうか? それとも、実際に体験したことの記憶は少し違うんでしょうか? 二周目の私は、それをどう思うんでしょうね? 素敵な「彼氏」がいた人生なんて、きっと羨(うらや)ましがられちゃいますね、ふふっ」

 

 夢見るような目でノノミが言う。

 

「二周目の私を、あの人はどこから、どんな風に見るんでしょう。ちゃんと元の世界に居てくれるでしょうか? この話を知ったら、あの人絶対、「ノノミのためだったら俺も二周目の世界に行く!」なんて言ってくれますよね。もしそうだったら、すごく嬉しいし、あの人だったら本当に、何とかしてくれそうな気がするんです。……でも、もう無茶はさせられません。あの人の存在自体が消えてしまうかも知れない、そんな無茶なことはさせたくないんです」

 

 真剣な表情でノノミが言う。

 

「あの人が何と言おうと、あの人はちゃんと、無事に元の世界に送り届けます。あの人にとって唯一無二の、こ(・)の(・)『ブルーアーカイブ』の「はじまり」である『十六夜ノノミ』が、あの人のための「終わり」を決めます。決められた「ブルーアーカイブの終わり」ではなく、私が自分の意思で『彼』のための「ハッピーエンド」を作るんです。だからその代わり……えへへ、それまでの間はあの人の「彼女」でいさせてもらおうって思ってます☆ それぐらい、いいですよね?」

 

 

--------三枚目の手紙--------

 

 ——『ブルーアーカイブ世界』それ自体に「事実」としての「終わり」が存在する以上、『現実世界』の住人である『彼』は、それが訪れる前に元の世界に帰らなければいけない。しかし本当の「終わり」とは、それぞれが決めるもので——

 

「……ふむふむ。——はい、ちゃんと分かってますよ☆ もしかしたら先生よりも。……『彼』はどうしても元の世界に帰るしかない、その「事実」が私たちのエンディングだとしても、そのエンドをどうとらえるかは私たち次第、そういう事ですよね? でも、先生は以前、「知識としては知っているけれど、自分も実際に「恋愛」をした事はない」って言ってましたよね。それって、『あの人』の『現実世界』での記憶と関係あるんじゃないか……なんて思うんですけど、どうでしょう? だったら、先生には分からないことが……あ、バカにするつもりなんかないんですよ? でも、実際に体験した事がなければ、あの怖さだけは絶対に分からないと思うんです。今だってすごく怖いんです」

 

 遠い目をしてノノミは言う。

 

「私、本当の意味で私たちの恋愛に「終わり」なんてないと思っていたんです。もちろん、一生一緒にいるのは無理なんじゃないか、自分たちは普通のカップルじゃないから、いつか離れ離れになる運命なんじゃないか、そう思ってました。きっと、違う世界にいるお互いを想って、寂しくて泣いてしまう、お別れの時は、きっとすごく悲しい、でも、どこか感動的な、涙のエンディング。どんな形であれ、それは一つのハッピーエンドだと思っていました。その思い出は一生残ると思っていたんです。だから、それを忘れない限り本当の「終わり」じゃない、なんて」

 

 でも、とノノミは前置きした。

 

「私が、記憶が戻ったばかりのあの人とケンカになった時のこと、ご存じですよね? あの時やっと、自分で判断して大事な事を言えた……なんて、変に褒めないでくださいね? だって、あれって思い出したくないぐらい嫌な思い出なんです。運命とか世界とか、そんな大きなものとは関係なく突然訪れる、前向きな解釈なんてしようのない、最低最悪のバッドエンド。まさか私自身があの人を嫌いになって、追い返す事があり得るなんて、思ってもみなかったんです。帰っちゃえ、なんて酷いケンカ別れをして、そのまま二度と会えなくなる、そんなバッドエンドなんて……。でも——」

 

 ノノミは一瞬少しむくれ、

 

「——でもっっっ! 聞いてもらえますか⁉︎ あの時、本当に、ホンッッットに、あの人に腹が立っちゃって! だってあの人ってば、事情があって言えない秘密はともかく、それ以外の私の気持ちなら何でも分かってるような言い方をするんですよ? 分かってる、分かってるって。それでいて、キヴォトスに来てからの付き合いなんだから、私にはあの人のことが分かるはずない、みたいなことを言って! あの時だって、あの人は周りが思っている以上に傷つきやすいって知ってたから心配してあげたのに、もうっ、バカっ! 鈍感! 無神経なんだから!」

 

 爆発した不満は止まらない。

 

「あの人がまだ「あっちの世界」にいた頃だって、向こうは気付いていなくても、いつも見ていて心配して、癒してあげたいな〜、甘えさせてあげたいな〜って思っていたのに! だから、こっちの世界に来て初めて会って、いきなりエッチしたいって言われた時だって、すぐに……。それに、あんなに逃げ回ってたくせに、いきなり結婚がどうとか言い出したのだって、きっと「ノノミは何も言わないけど、本当は結婚したがってるはずなんだから、自分の方から言わなきゃなー」なんて思ってるんですよ⁉︎ 大体、あの人が優しいのって、いっつも私を子供扱いしてるからで……! ……なんて、あはは……。どれも私が言わなかったのが悪いのに、好き放題言い過ぎですよね。でも、自分が悪いのは分かっていたから、言えずにためこんじゃったんですけど。こんなこと本人に言えませんし……」

 

 ノノミの表情が、心なしか沈んだものになった。

 

「……それに、きっとそれだけじゃないですね。この世界のことを教えずにいた自分が、嫌になっちゃったんだと思います。ホシノ先輩に相談したことがあるんです。何だか、世界を巻き込んであの人のご機嫌を取ってるみたいで、心苦しいって。あの人の嫌がりそうなものを隠して、楽しい世界ですよって騙(だま)して、この世界に縛りつけようとしてるみたいだって。そんなの、「みたい」じゃなくて、本当にその通りだったんですよね」

 

 ノノミは続ける。

 

「ホシノ先輩は、何もかも隠し通さなきゃならない程、あの人は弱くないって言ってました。そして、実際その通りでした。私はあの人の優しさに甘えず、出来るだけ早く記憶を返してあげなきゃいけなかった。結局それが出来ないままだったのは、世界のためだとかみんなのためだとか言い訳して、自分のわがままであの人をこの世界に縛り付けている、そんなずるい自分を知られたくなかったから。彼に嫌われたくなかったんです。でも、それにも疲れちゃって……」

 

 ノノミの表情がいっそう暗くなる。

 

「だから、もういいや、なんて投げやりな、酷いことを考えちゃったんです。あの人なんて嫌い。大っ嫌い。二度と顔も見たくない。だから、言わずにいた事を全部話して、私の勝手なところ、嫌なところ、全部知って私を嫌いになって、元の世界に帰っちゃえばいいって、そう思っちゃったんです。あの人が本当にあのまま帰ってしまったら、私、絶対に後悔しました。きっと、何であんな事言っちゃったんだろうって悔やんで、立ち直れなかったと思います。それに、いろんな人に迷惑をかけてました。私のせいであの人が無責任に帰ってしまったら、傷つく子だって、きっといっぱい……。…………」

 

 少しの沈黙。そして、ノノミは言った。

 

「……でもその分、いつそんな事が起きるかも知れない「怖さ」は、十分分かったつもりです! だから、そんなのには負けませんよ〜! これからもあの人と一緒に頑張ります!」

 

 

--------四枚目の手紙--------

 

 ——正直なところ、『黒服』——彼の友人で、ノノミも会った事があると思う——にはいろいろ言われていて、返す言葉もなかった。その上、同情されるべき当の『彼』にその弁明をさせてしまった。私のやり方が強引でかなり無茶だったのは確かだし、ノノミに関しては直接巻き込む形になってしまった——

 

「——ううん、私はそんな風に思ってませんよ。先生は先生のできる事をして、私たちに『ブルーアーカイブ』には本来用意されていなかった「恋愛」という選択肢を与えてくれました。それに、この「力」は私が重荷に感じてしまったような、悲しい「力」なんかじゃなかった。私が「彼の望みを叶える力」を「彼をこの世界に縛り付ける力」に変えてしまったように、逆にこの「力」はどんな素晴らしい「力」に変える事だって出来る。だからほら、こんな風に……えいっ!」

 

 ノノミの手のひらの上に、チケットのようなものが現れる。

 

「じゃ〜ん☆ 『アクアリウムで素敵な誰かと一日デート券』……うんうん! これはホシノ先輩に良さそうです☆ どうですか? もう「彼の望みを叶えるだ(・)け(・)の力」じゃありません。こうやって、「誰かのための望みを叶える力」です☆ 「あの人」の望みであり、「私」の望みであり、「誰か」のための……ひいては「みんな」や、「キヴォトス全体」のための望みを叶える力です☆ あはは……「自分のため」は程々にしなきゃですけど」

 

 ノノミは真剣な顔になった。

 

「——あの人からは、各学園レベルの大きな問題にやむを得ず関わる時は、これが中立の立場である『シャーレの先生』の「力」である事をきちんと認識して、絶対に自分の指示に従うよう言われています。それが出来ないなら、自分はもう「元の世界」に帰らなきゃいけないって。……あそこまで彼がはっきり、「帰る」って言葉を口にしたの、多分初めてです。もし可能なら、この「力」に関してはもっと適任の誰かに渡した方がいいとか、そこまで考えているのかも知れません……って、先生ならそういう彼の考え方、きっと分かりますよね? この「力」の本質に関する知識がなかったり、『ブルーアーカイブ』のかなりの部分の記憶をなくしていたり、その頃の事もかなり気にしているみたいです」

 

 ノノミの表情が和(やわ)らぐ。

 

「——それでもあの人は、自分が『シャーレの先生』だからこそ出来ることをやるように、私が『十六夜ノノミ』だからこそ出来ることを一つ一つやればいい、そう言ってくれました。それが、最初に私たち二人が出会って生まれたこの世界を、みんなに好きになってもらうために、行動で示すことになるからって。それに、えへへ……そういう他の事とは関係なく『私』の事が好きだ、って言ってくれました♡ 私にそんな「力」がなくても、『ブルーアーカイブ』の『十六夜ノノミ』ではなかったとしても、『私』が好きだって♡ 愛されてると思いません? あ、この話を私から聞いたって言っちゃダメですよ⁉︎ 怒られちゃいますから!」

 

 

--------五枚目の手紙--------

 

 ——最後は明るい話題にしよう。今は実体をなくし、この世界に遍在している『アロナ』のコピーであり、彼が望み、君が生み出した、実質的には二人の間の娘である『手乗りアロナちゃん*2』……こんな表現はやめておこうか。いずれちゃんとした名前をつけてあげた方がいいんじゃないかな? 可愛い娘が生まれたね。彼はまだ、「自分の娘じゃない!」なんて言ってるのかな? でも、だったらAIのあの子の両親は誰なんだ——? なんて聞いたら、アリスも、ケイも、『黒服』だって等しく人間だって考えて付き合っている彼には、自分たち二人だ、としか答えられないと思うけどね。それに、彼は毎日——

 

「…………。——ふふっ、やっぱり家でもそうなんですね。あの人、何かといえばあの子をちゃんと教育しなきゃって、いろいろ教えたりしてるんですよ。キヴォトスには「恋愛」という「概念」は存在しても、あの人が来るまで「実体」として存在しなかったとしたら、「結婚」や「出産」はどうなんでしょう……? なんて考えて、本当は絶(・)対(・)に(・)で(・)き(・)な(・)い(・)よ(・)う(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)って思って諦めていた、あの人との子供、あんな形でも実現できて、すごく嬉しかったんです。あの子の未来はどうなるんでしょうね? もし二周目で一緒にいられたら、本当に娘になってもらおうと思うんです。どう思いますか——…………あっ」

 

 ホシノの声が聞こえる。

 

「先生! もし何か反省しなきゃいけないと思うんだったら、ちゃんと協力して下さいね? 『先生』としてではなく、『あなた』じゃなきゃダメな事が、この世界にはいっぱいあるんです! 『先生』も『あの人』も、自分を安く見積もっちゃダメですからね! あなたたち二人の代わりなんて、誰も出来ないんですから! さて、ホシノせんぱーい☆」

 

 

------------------------

 

 

 ——ノノミが「あちらの世界」の『先生』に呼びかける。

 

「それじゃ、せんせ☆ ホシノ先輩とおしゃべりしましょう〜♪」

「ノノミちゃん、これ、本当に向こうから見えてんの? あ、いや、「画面の向こう側」から、セリフとして「読んでる」んだっけ? てことは、ビデオレターみたいな感じになるのかな。うへ、何か照れるな〜」

「照れない、照れない♡ はい、どーぞ☆」

「えっと……。先生、元気? 「そっちの世界」はどう? 一人で大丈夫? ちゃんと生活できてる? あ、私は大丈夫だよ。こっちでずっと待ってるから、いつか——」

 

 ——うんうん、ホシノ先輩も嬉しそうです☆ 今はこんなことぐらいしか出来ませんが、『先生』のことはあの人もいろいろ考えてくれてますし。さっきのデート券のことも、あの人に見せて相談しましょう。うーん、でも「素敵な誰か」とデート、なんて、そんなのあの人しかいませんし、ちょっと複雑ですね……。まああの人が、とっても、すっごく、最高に素敵なのは確かですけど……♡ ——あら? メッセージが……うん、ちょうどその私の彼氏さんからですね♡

 

『いやー』

『やっと連絡ついたよ。『黒服*3』のやつ、最低限の連絡ぐらいはしろって俺があんなに言ったのに』

『ああ、それでノノミに——』

 

 ふふっ。あの人、やっと「お友達」と連絡がついたみたいですね。「もう会わない」なんて言われたらしくて、ずっと心配していたから、良かったです。私も、あの人の「お友達」にはいろいろ迷惑かけちゃいましたし、元気ならいいんですけど。

 

「さあ! 十六夜ノノミ、これからも頑張っちゃいますよ〜! あなたも一緒に、頑張りましょうね!」

 

 ノノミは、モモトークの画面越しにいるはずの恋人に向かって、力強く呼びかけた——

 

 

 

*1:
「ゲームの中」のタイプの『ブルーアーカイブ世界』は、それぞれのプレイヤーがゲームを開始したと同時に「先生がキヴォトスに来た時」の状態で生成され、サービス終了時の『メインストーリー』の『エンディング』をもって、本作品の舞台のような、閉じた完成された世界となる。本作品の舞台である世界は、『最終編』を無理矢理エンディングと見なし、そこまでで切り取られたため、既に完成している(作中設定)。

*2:
『シッテムの箱』ではなく、主人公のスマホの中に住んでいる。画面の外に出る事が可能。詳しくは人物まとめなどを参照。

*3:
正確には、『黒服』という「器」の中に生まれた存在。実施的にはほぼオリキャラ。人物まとめなどを参照。




お待たせしました。
内容的に、シーズン3終了直後、一月中には書かなきゃいけなかったんですけどね…。
最終回でのノノミの行動とか、結婚云々は、そういうお話でした。
設定については、下の方に書いておきます。

それでは、良かったら最終回までお付き合いください。



------------------------
夢が壊れるような設定のネタばらしは最小限にしようと心がけてるんですが…まあ、そういうお話です。
分かりにくいかも知れませんが、「キヴォトスの滅亡」とかは全然関係ありません。
第27回で黒服が『メインストーリー』を「本」に例えてますが、つまり最後のページは内容と関係なく「めでたし、めでたし」で終了し、その先はないって事です。
この「本」の例えだと、2巻もなしってことです。つまり、同じ内容で、加筆修正版とかが出続ける…と。
まあ、現実でいう輪廻転生なんかと同じレベルの話なので、本当にキヴォトスの住人が認識できるレベルではないんですが。一応ね。
ホシノや主人公が言ってた、「ブルーアーカイブの終わり」ってのは、こういう話です。
ちなみに、じゃあ「ブルーアーカイブ」の「はじまり」の「その前」ってどうなんだよ…も問題になるわけで、この世界のユメ先輩どーなってんだよっていう…。余裕があったらそこに触れる話も書くと思います。余裕があれば。

それでは。

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