【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~ 作:春画屋@二次創作R18
ホシノのエンディング回(その後も出番はあります)の内容に入ってます。
↓ホシノ・ヒナに関係する回
第7回:それはこの物語の『ネタバレ』あるいは『始まり』
先生に関するホシノのメモ(解禁済み設定まとめ)
(25回:ちゃんと私を認知してください!)
第26回:二番目に会いたかったあなたと
第36回:対策委員会 x 風紀委員会トップ会談?なのかな?
第44回:エンディングへの第一歩 - ホシノ
(45.5回:おやすみヒナちゃん)
(47.5回:覆面水着団参上!…って、どこに?)
参考:ヒナASMR
私の名前はホシノ。
「ゲヘナは今日も平和だねえ〜……でもないか。ま、でも、
と、近くで爆発が起きた。何だろう?
「美食研究会のアカリちゃん達かな? また給食部の子を拉致とかしてたら、一言言っとこうかな……ああ、温泉掘ってるのか。なら、いっか。呼ばれたら行けばいいや」
「風紀委員さん、頑張って〜」などと適当に声をかけつつ、
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「……はぁ、ホシノちゃんがいきなり来るから、ビックリしたわ」
「あはは。みんなの前だからって、前みたいにかしこまって、「小鳥遊ホシノ」なんて呼ばなくてもさ。私たちが、ヒナちゃん、ホシノちゃん、なんて呼び合う仲だってバレても、おじさんは別に構わないと思うんだけどなぁ〜?」
「それは風紀委員長としての威厳が……いえ、威厳はどうでもいいのだけど、恥ずかしいし」
「照れるな、照れるな〜。ヒナちゃんは恥ずかしがり屋だねぇ〜」
部屋に移動して、ヒナちゃんは少しゆったりめの部屋着に着替えている。あの風紀委員長の威圧的な服装から着替えただけで、こうしてちゃんと可愛い女の子になっちゃうんだから……うへ〜、私が言うのもなんだけど、ちっちゃ可愛いなあ〜。
「それで、今日はどうしたの? 最近、元気がないみたいで心配していたのだけど。……ちょっと待ってね」
「あはは、心配かけてそうだから、顔ぐらい出そうかなーって。先生にも心配されちゃったしさ。あ、ありがとう。お茶
私と軽く雑談をしながら、ヒナちゃんは紅茶か何かを淹れている。
「どうぞ」
「ありがとう。あれ、これ……?」
果物? 何か甘い香りがする……。
「これ、何? ハーブティーか何か? そういえば、お店行くといつも飲んでるみたいだけど」
「お茶受けもあるの。形は悪いけど、いいかしら。これは、ジャムとかクリームをつけずに、プレーンのままの方が合うと思う」
「え、このスコーン、自分で焼いたの? ヒナちゃんが自分で? うへ、すごいなあ……。最近アビドスのみんなで、ちょっとした料理とかお菓子なんかは作ったりしてるけど」
形が悪い、なんて言っているけど、私にはお店で出てくるのと同じに見える。確かに、あんまり
「ちょっとしたおやつや朝食にもなるから、まとめて焼いて作り置きしてるの。こうしてお茶うけにもすぐ出せるし」
「へぇ、朝食にねぇ。あ、眠気覚ましにいいとか言ってたっけ? 何だっけ、ペパーミント?」
「朝はレモングラスなんかもいいわよ。ノンカフェインだけど、すっきりするし」
「そうなんだ。何か、詳しいねえ」
「ホシノちゃんにはリラックスの効果があるから、カモミールティーなんか、よく眠れていいと思う。ハイビスカスやローズヒップは酸味があるから、苦手な人もいるし。それから、こっちがローズマリーで、リフレッシュ効果が……」
「いろんな効果があるんだねぇ。そんなに詳しかったんだ——って、何出してきたの⁉︎」
ラベンダー、ルイボス、シナモン、スイートバジルに、ジンジャー、オレンジブロッサム……。目の前に、色とりどりのティーバッグが並べられていく。これ、もしかして全部ハーブ? 名前は一応、全部聞き取れたけど。一つ一つ、効能を説明してくれるけど、さっぱり分からない。
「——それで、今度調べて、バジルなんか育ててみようかと思ってるのだけど……」
「育てる⁉︎ ハマりすぎじゃない⁉︎」
「そう?」
いや、楽しそうだし、悪いわけではないんだけど。
「ふふっ、驚いた? 本当は、先生が来た時に驚かせようと思って、わざわざ覚えたの」
「先生?」
「ほら、先生が来る時、最近は疲れている事が多いでしょ? 自分の事もあるし、疲れをとったりリラックスしたり、よく眠れるように……って、いろいろ調べたりして。少し無理してでも来てくれるなら、もてなしたいでしょ? 趣味も増えるし、待つこと自体も楽しみになる。先生は、来て欲しい時に来てくれる事が多いし」
「あの先生、フォローが必要な子を見つけるの上手いよね〜。長く会ってない子とか、特別会っておいた方がいい子とか。自分ではどうにもならなくても、いろいろ考えてくれるし」
最近は、私までお世話になってしまっている。本当は、いろいろ大変な先生とノノミちゃんを、自分が支えてあげようと思っていたんだけど。
「申し訳ないとは思うのだけど、先生の方から来てくれるから、チナツやイオリも助かってるそうよ。私たちはここを離れられないことも多いし。生徒の方からシャーレに行きにくくなっているのも、先生が『シッテムの箱』っていうのを持っていないからなんでしょう?」
「ミレニアムの
「それがあれば、大分楽になるのよね?」
「んー……。最近、それも怪しい気がしてきたけど……。あの先生、時間があればあるだけ、際限なく仕事を増やしちゃうのはよく分かったし。そりゃノノミちゃんにも、無理にでも休めって言われるよ。「プレイヤー」としても、セオリー無視して変なことやってたらしいし、あんまり変わんないんじゃないかな」
「そうなの?」
こっちでのノノミちゃんみたいな話はもちろん例外だけど、あの人、ゲームの『ブルーアーカイブ』でも、キャラ全員を平等に育成していたとかで、友達には「そんなことしてるから戦闘で勝てないんだ」って言われていたらしい。どういう事なのかはよく分からないけど、多分あの人のプレイがおかしいのは分かる。あれ、戦闘指揮が苦手だとか、そういう問題じゃないと思う。
基本、キャラの女の子の話しかしないし、どうもあの人から聞いているだけだと、『ブルーアーカイブ』ってのがどんなゲームなのか、いまだに分からない。そもそもあの人、ゲーム以外からの知識(おそらくエロ画像)がやたら多いみたいだし。
「でも、そうやって女の子に対してはマメだから、あんなパッと見ダメな感じなのに、モテるのかな?」
「そうね……。私にはまだよく分からないけど、つらい時に一緒に居てくれて、優しくしてくれる人には、女の子は弱いかも知れない。ちゃんと相手のことを見て、何を望んでるか考えてくれるし」
「……そうだね」
元がそういう人なのに、忙しいって名目でノノミちゃんを放ったらかしたらまずいよねえ……。ノノミちゃんも、自分が遠慮して帰ろうとしている時でも
「彼女さん……ノノミさんとは、ちゃんと時間は取れているのかしら。それが一番心配」
「そうだねー……。あのさ、もし先生がノノミちゃんをないがしろにして、別れちゃったりしたら、どう思う? あ、もちろん仮の話なんだけど」
「……そうね。そんな時は、仕方ない事情があったんだろうとは思うわ。でも今だって、二人の関係を応援したいから、周りも自然とサポートしているのだし……ううん、そんな押し付けがましい話じゃないわね。あまり酷い理由だったら、多分幻滅してしまうと思う」
「だよね。どうするべきだったか、とかより、先生にはああやっていつものまま、ブレずにいてほしいよ。それが一番難しいらしいけどね。あの二人には、先生だけじゃなくノノミちゃんの方にも複雑な事情があるし、おじさんにはいまだに「恋愛」ってのがよく分かんないからなあ〜。他の事情なんか聞いちゃうと、一方的に非難は出来なくなりそうだけど」
……「恋愛」か。キヴォトスにも恋愛ものの映画とか、概念としての「恋愛」はもともと存在する。でも、いざ実際にってなると、出来ないようになっている。
てことは、するとしてもキヴォトスでまともな恋愛対象になるのって、多分あの先生しか存在しないんだろうし、この世界も
「でもさ〜、もし、先生がそういう事になっちゃってるのを知ってて、本当は引っ
「そうね……。私は何も言えないと思う。少なくとも、私は上から目線で先生に何か言えるような立場ではないし、何が正しいかは分からないから。卑怯かも知れないけれど、黙って距離を取るとか、そういうことをしてしまうかも知れない。……あなたはそうした事があるの?」
「ううん、私には出来なかった。いろいろ、他のことを考えちゃって」
そう、私には出来なかった。気付くことすら出来なかった。単に、二人のことを見ているだけなら、私になら出来たかも知れない。でも、彼に「記憶」がない事、彼の「世界観」がこの世界を維持しているのを意識した瞬間から、私の中では二人の関係も、世界の維持のための「条件」になってしまったんだと思う。人と人との関係は、そんなものじゃないのに。
『シャーレの先生』の存在理由が、いい意味であまりにも曖昧で希薄になっている
だからこそ、それが出来た人を私は尊敬している。
「理由は他にもいろいろあったとしてもさ、純粋に先生のためを思って、あの先生が何を最優先にするべきなのか、ビシッと言えるのってすごいよね。私たちとは違って「大人」の男の人でさ、先生の「友達」で。ちょっとカッコ良くない?」
「え……? あ、そう……ね。そうかも。誰かに注意するのは、やっぱり難しいと思うけれど、先生と対等な「大人」の男の人なら話は違うだろうし。確かに、先生が「友達」と呼ぶような相手なら出来るのかも」
「だよねぇ〜。本当は一度会ってみたいんだけどな。人生経験も豊富なんだろうし。でも、その人の事情も何か複雑みたいで、詳しくは教えてもらえなかったし」
「ふふっ、何だか楽しそうね。もしかしてホシノちゃん、先生にはちゃんとした彼女が出来ちゃったからって、その人のこと……」
「いやいやいや⁉︎ ちょっと尊敬してるから会いたい、って思ってるだけだけど⁉︎」
うーん……。ヒナちゃんもノノミちゃんも、セリカちゃんとか便利屋の社長とか、みんなすっかり恋愛脳だよ……なんて思っていたけど、実は私もそうなっているのかも知れない。それにしたって、会ったこともない人に片想いとか、ノノミちゃんじゃないんだから。
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ヒナちゃんがトラブルで呼び出される事もなく、お茶を楽しみつつ、私たちはとりとめのない雑談をしていた。スコーンは、まだまだあるとの事。アビドスのみんなに、少しお土産でもらって行こうと思う。何の話をしても大体ハーブティーとかお菓子の話になるので、そういうのが大好きなのはよく分かった。今もお店の話をしてるし。
「——で、ネットで調べたら、トリニティにいいお店があるらしいのよね。オリジナルブレンドのもあるらしいし、あなたも誘って……なんて思ったのだけど。でも、現実にはなかなか難しいわね……」
「へ? おじさん暇だから、誘われたらいつでも行くけど?」
「いや、そうじゃなくて……アビドスの子や一般ゲヘナ生ならともかく、ゲヘナの風紀委員長がトリニティ自治区をうろうろするなんて、流石に無理でしょう?」
「ああ、そういう話? 別にいいんじゃない? 怒られるような話じゃなし。『エデン条約』だってあるしさぁ〜」
「あれは、無事に締結こそされたけど、実態を見るとまだまだ……いえ、そうね。今はまだ名目上のものでも、本来こういう時のためのものなのだから。私のような立場の人間でも、自由に行きたいところに行けるのを目指さないといけないわよね」
「でしょ〜? んで、お店の名前分かる? あと場所——」
「本気で行く前提で話してたの⁉︎」
「そうだけど?」
ものすごく驚かれてしまった。あんまり自覚はないけど、私にもあの先生の能天気なのがうつったんだろうか。でも、別に絶対無理って事も……。
部屋着のヒナちゃんを、まじまじと見る。確か私服の時もこんな感じだったし、ひらひらしたワンピースとか着せたら……うん、ほぼ別人。最悪バレても、ゲヘナの風紀委員長がそんな格好でトリニティに来て、何かしようとしてるとも思われないだろうし。あとは……
「ヒナちゃん、アビドスの子とか、トリニティの子も一緒に行くって言ったら、気になる?」
「アビドスの子は、アコもよく会うらしいし、別に……。トリニティの子も、向こうが平気なら大丈夫じゃないかしら。シャーレの子?」
「別に、シャーレに限らないけどね。エデン条約に本来の意味で賛同してる子は増えてるらしいし、私の知ってる中にもいるよ。正義実現委員会の人なんかは、一緒にってのは流石に立場上難しいかも知れないけど、先に話を通しておけば
「……うん、行ってみたい。トリニティの子とも仲良くなりたいわ」
嬉しそうに
「あのさ。いろいろツッコミどころ満載で、ダメな先生ではあるけどさ。あの先生がこの世界に来てくれて良かったよね」
「別に、ダメな先生じゃないわよ」
「うへ、そうでした。ごめん」
「私は、本来の『シャーレの先生』がどういうものか知らないし、『ブルーアーカイブ』というものが、何故そういう存在を必要とするのかも知らない。でも、私にとってはあの人が『シャーレの先生』でいることにはちゃんと意味があるし、会えて良かったと思ってる」
「だよね〜」
「あとは、この世界にいることで無理が生じているのなら、自分の体を大事にして欲しい。もちろん、ノノミさんとの関係も大事なのだけれど」
「そこは難しいけどね。でも、私もそうだと思う」
「先生」——というか『彼』——とノノミちゃんが、この世界に与える影響に気付いたばかりの頃、先生のことを、ダメ人間ならダメ人間らしく、このブルーアーカイブとかいう世界を支えるための部品の一つに徹しろ、その分いい思いはしてるんだから、ぐらいに思っていた時期がある。その頃は私も
あのままの
「私にとって『シャーレの先生』は、あの先生と、以前いた「先生」しかいないわ。どちらも大事で、どちらかが欠けることはあり得ない。二人とも、というのが難しいのは知っているけれど」
「……そうだね。あっちの「先生」も、早く帰ってこられればいいんだけどね」
『前の先生』——『あの人』のことを思い出して、少し胸が痛んだ。でも、大丈夫。待っていれば、いつかは会える。あの人は、別の世界にいても、ちゃんと生きてるんだから。もう死んでしまって会えない人とは違うんだから。
「さて。帰る前に、風紀委員会の人たちに会えたらいいんだけど。ちゃんと挨拶したことなかったと思うし、先生があんまりゲヘナに来れなくて、近況を知らない人もいるだろうし。お節介かも知れないけど」
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「あ、あの、アビドスの方が先生と正式にお付き合いを始めたと聞いたのですが、やはり二人っきりになるようなお誘いは控えた方がいいのでしょうか……? 書類仕事などをいつも手伝って頂いているお礼というだけなのですが……」
ゲヘナ風紀委員会、救護担当の
「シャーレに当番で呼ばれる頻度が減り、遅くまでいようとすると早く帰れと言われ、ゲヘナに深夜に呼びつけようとすると断られ、これは彼女が出来たからとかで警戒されてるんですか? 何なんですか? いえ、別に私が欲求不満だとか、そういう……オホン。ま、まあ、それは置いておいて」
行政官の
「委員長には内緒なんだが、冗談で「ひざまづいて足でも舐めるか?」と聞いたところ、「それは舐める」って即答されたんだが、あれは大丈夫なのか? いや、いい人だし、実際に舐められたわけでもないし、その辺が引っかかる以外は人格的に言うことはないんだが——」
風紀委員会、
…………。
最後の足を舐める云々はよく分からないから置いておくとして、あの人は天然でフェロモンか何か出てるんだろうか。それとも、そもそもダメ人間って逆に女の子を引きつけるもんなんだろうか。「あっちの世界」でもこんな感じだったみたいだし。あの人、どこの世界に行ってもしぶとく生き残りそうなところがあるけど、生活も何もかも、どこに行っても大して変わらないのかも知れない。ある意味すごい。
ま、押し倒されなきゃいいけど、などと思いつつ、私は風紀委員会を後にしたのだった。バカバカしいお話にはバカバカしいオチがつく世界だし、深刻な浮気でもしなけりゃ、どうにかなるでしょ。逆に、ノノミちゃんがどんなトンデモ道具を出すか、楽しみにしておこう。
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帰る頃には、日が暮れようとしていた。
「スコーンにトマトに……いろいろお土産
「給食部の裏にトマト畑があるなんて、知らなかったわ」
「あのトマト、先生が美味しい美味しいって、山ほど食べたらしいよ。ジュリちゃんが喜んでたって」
「給食部って美食研究会の被害にあってるイメージしかないのよね……。私も今度分けてもらおうかしら」
パンちゃんとかいう、ジュリちゃんが生み出したよく分からない生物(生物ではないかも知れない)に襲われなきゃいいんだけど。
「それにしても、何だかホシノちゃん、先生みたいだったわね」
「「先生」? 私が?」
「そう。学園の枠を超えて私に会いに来てくれて、一緒に楽しい時間を過ごして、アコやチナツにも顔を覚えられている。話している内に、アビドスの人間だということも忘れてしまう。何だか、先生が会いに来てくれたみたいな気持ちになるわ」
「いや、そんな。私は、先生が知ってる子のところに代わりにちょっと顔を出してるぐらいで、自分が「先生」みたいだとか思ったことは……」
そこで言葉を止めて、少し考える。以前、先生とこんな話をした事がある。
——『シャーレの先生』って、この世界に二人いちゃいけないのかな?
あれは、『シャーレの先生』という、この世界にとって特殊な「器」が同時に二つ存在出来ないのか、という別の話だったけど。
「『シャーレの先生』みたいって事?」
「え? いや、シャーレっていうか……」
「別に、『シャーレの先生』以外に「先生」が他にいても問題ないよねえ? 名乗るだけとか、その程度の話だけど」
「ああ、そうね。「先生」っていうより、「ホシノ先生」なんて呼んだら似合いそうな感じ」
「「ホシノ先生」? なるほどねえ……。うへ〜、それ、悪くないかもね」
「先生」か。『メインストーリー』だけじゃなく、通常の『ブルーアーカイブ』の枠から解放された、
「でも「先生」って自称したからって、それに何か意味があるのか、って話だけどね。『シャーレ』って肩書きも超法規的権限もなしの「先生」じゃね。別に、そういうのが欲しいわけじゃないし……え? あれ? ヒナ……ちゃん?」
ヒナちゃんの雰囲気が変わっていた。
「意味ならあると思うわ。もしあなたが本気なら、ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナが、あなたが「先生」と呼ばれるのに
「いや、そんなに真剣な顔にならなくても。おじさん、ちょ〜っと思いついた事を言ってみただけで……。そりゃ、全然やる気がないわけじゃないけどさ……」
そこにいるのは、もう私の友達の『ヒナちゃん』ではなかった。圧倒的なオーラを放つ、キヴォトスでもトップレベルの戦闘力を誇り、ゲヘナ風紀委員会を率いる風紀委員長、『
「表舞台に立つ気になったの? 小鳥遊ホシノ。私はあなたの本当の実力を知っている。そして、人脈も。風紀委員会をはじめとするゲヘナの各部活、アビドス、そして便利屋、ヴァルキューレや、他の学園にも」
「そんなの、ほとんどがただの顔見知り程度だってば。それだって、シャーレの所属の子か先生の知り合いで……」
「それでもあなたは、先生たちだけではフォローしきれないところへ積極的に出向き、交流を深める事で、あの人たちの事情や考え方を広めてきた。言葉ではなく、先生たちと同じように、自らの行動で示して。そして多くの人間が、「アビドスの小鳥遊ホシノ」ではなく、個人としての「あなた」を見ているはず。違う?」
「いや、私はそんな大層なことをしたつもりはないし、先生だって自分をそんな立派な存在だとは言わないだろうし……」
言っていることが言い訳に過ぎないと、自分でも分かっている。私は「立派なこと」をしてきた。そう自覚している。だから「味方」は作れたのかも知れない。でも「友達」は作れなかったんだろうか? 求めていたものは逆だったのに——
ヒナちゃんの雰囲気が、元に戻った。
「——ごめんなさい。こういう言い方をしたのは、私が自分の中の『空崎ヒナ』を切り離す事は出来ないから。だから、その立場での意思を表明しただけ。本当は、「ホシノ先生」ならそれこそ、私が『ティーパーティー』と仲良く
「あ……」
ヒナちゃんの表情が
「素敵でしょう? もしホシノちゃんが同じように思って、そのために「先生」を目指したいと思ってくれたなら、「友達」として全力で応援しようと思う。ううん、他にやりたい事を見つけたとしても、必要ならいつでも呼んで欲しい。出来るだけ力になる」
「……そっか。ありがと」
私はようやく、先生との「宿題」の答えが出せたのが分かった。「個」と「全体」は、必ずしも切り離して考えなきゃいけないものじゃない。片方しか出来なかったと感じたからといって、その通りとは限らない。少なくとも、決めつけるべきじゃなかった。納得できずにいたのは、自分を見失っていただけだ。
……なんて、そんな理屈は本当はどうでもいい。目の前にいる「友達」が、自分のやってきた事が間違いじゃなかったと確信させてくれる。その微笑みには、どんな言葉よりも説得力がある。
「……あはは、『ティーパーティー』は難しいかも。ナギサちゃんだっけかな? 先生がおっかないって怖がってた」
「「ロールケーキ」の話でしょう? でも、紅茶が好きだから私とは気が合うかも、なんて言ってたわ。
「ゲヘナっていうか、あれは『
「というより、議長の
「アコちゃん、当番に行くたびに、先生に愚痴ってるらしいしね〜」
そんな話をしながら、私はこの世界で無理なことなんて何もないんじゃないか、そう思い始めていた。先生がこの世界に来てくれて良かった。私たちの邪魔をするような事は
「ふふっ、そうなったら、「先生」だけじゃなく、『現実世界』に行っている『先生』もきっと喜ぶわね。立派になったね、なんて褒めてくれるかも」
「——ああ、そうだよね。『あの人』だって、きっと……。……あの、人も……」
「ホシノちゃん?」
違和感。
——何だ、これ? 胸が……変な感じで、気持ち悪い。何で『あの人』のことを考えただけで、こんな……? 一番大事な人なのに……。
『あの人』——『先生』が『現実世界』から帰ってきた時、お礼を言われたい、褒められたい……確かにそう思っていた。いろんな事をやって、『先生』の手伝いをしているつもりだった。なら、これからも『先生』のためだから頑張る? 『先生』に褒められたいからやるの? 『先生』に反対されたら、やらないの? 『先生』が望まない事なんて、やらない——?
バッッッカバカしい。もし私が「先生」と呼ばれるような存在になれたら、争いも起こらないし、みんなが仲良くなれる。私がその旗振り役になって、自分もそこで、打算とか関係なく人付き合いが出来るようになる。いや、先生はこういうのは厳しいから、ダメって言うかも知れない。でもきっと、一緒に考えてくれる。それに、私がこの世界でやりたい事を見つけたのを、喜んでくれるはず。誰が見たって、文句のつけようのない立派な目標なんだから。
だから『あの人』だって、賛成してくれる。喜んでくれる。そんなの、
——違う。私は、致命的な何かを間違えている。きっと、「宿題」の答えを出しただけじゃ、足りないんだ。
「あの、ホシノちゃん?」
「ごめん、ヒナちゃん。考えてみるけど、今の私にはそこまでは無理。何かの責任を取る覚悟はないし、実際に取る事も出来ない。先生には相談ぐらいはするかも知れないし、そうしたらシャーレが後ろ盾になる、ぐらい言ってくれるかも知れない。でも、そんなのを当て込んで自分から言い出すのはおかしい。誰の支持だって得られないよ」
「……それは、そうよね。私も少し急ぎすぎたみたい。あんまりいい考えだと思ったから。でも、その気持ちは先生に伝えた方がいいと思う。考え方は間違っていないはずだもの。私が「ホシノ先生」に望むものもね」
「そうだね、ありがとう。トリニティのお店の件、また連絡すると思う」
その後私は、少しヒナちゃんと話してから、
先生はあんなダメな大人だけど、シャーレの仕事で行動する時は、いつも切り替えて『シャーレの先生』として行動している。『現実世界』なら『現実世界』なりの「ルール」に従って、曲がりなりにも一人の「大人」として生きてきた人だから、どこでもやっていけるんだ。仕事の時は人一倍シビアな人だって聞いている。だから、それを知っている子たちからは特に信頼されてるんだ。私にあんな事は出来ない。少なくとも、今はまだ。
——それでも、自分にはちゃんと「友達」がいた。自分を認めてくれていた。それが分かったから、頑張ればいつかきっとハッピーエンドにたどり着ける、そう信じられる。『ブルーアーカイブ』の
ふと見上げると、もう星が出ていた。その「
第33.5回で『前の先生』が「向こうも立派な先生で助かるよ」と言っていたのは、主人公(プレイヤー)がこういうプレイをする人だからです。元がほぼ同一人物なので、価値観とか行くところの決め方が一致しているという前提で、「ちゃんと指示してくれる=立派」ってことです。細かいネタですが。