【完結】「助けてノノえもん!」~ブルアカの世界でノノミとエッチしまくるダメ先生~ 作:春画屋@二次創作R18
最終回は、
(前編)8000字 ←
(中編)8000字
(後編)7000字(予定)【♥100】
となっています。
その後、エピローグで完結となります。
夜空を見上げると、巨大なヘイローが浮かんでいるのが見える。キヴォトスの空は
夜のアビドスの校舎の中は、静かだった。ドアを開けて教室に入る。中は薄暗く、窓から入る光でかろうじて見える程度だ。照明をつけようかと思ったが、ノノミは気にならないようなので、暗いままにしておいた。思い出の場所に来たかったんだろうから、多少雰囲気があってもいい。ここから始まったんだよな、俺のキヴォトスでの生活。
「懐かしいな、対策委員会の教室。ノノミと初めて会ったの、ここだっけ」
「はい☆ ここで初めて会って、そのままエッチしちゃって、その後、責任を取ってもらいます、なんて言って、あなたにずっといてもらって……ここまで来ちゃいましたね」
「だなあ」
部屋でブルアカやってたら寝落ちして、気付いたら対策委員会の教室にいて、目の前にノノミがいて……そこまでは割とベタな話だと思うが、そのままノノミに、土下座しかねない勢いで「お願いだ! エッチさせてくれ!」って頼み込んで……我ながら、どんな奴だよと思う。普通、キヴォトスに来た直後にすることじゃない。あんまりする奴はいないと思う。
まあ、(一応、理由はあったわけだが)こころよくオッケーされてしまい、しかも避妊しなくていいと言われたので、何も考えずに中出してしまって……で、ノノミに「責任を取ってずっといてもらう」と真剣な顔で言われ、そのまま本当にずっとキヴォトスにいるわけだが、ギャグかよ、俺の人生は。
「いやぁ、我ながらあまりにもバカすぎるんで、ノノミにもそう思われてそうだなー、なんて思ったりして。いくら彼氏の話とはいえ——」
「はい☆」
「否定してくれ、一応。頼む」
満面の笑みで
「ふふっ、エッチでとんでもない人なのは「画面のこちら側」から見て知ってましたから。あなたらしいなって思っただけですよ。それに、そんなことがあったおかげで、あなたがその後もずっといてくれたんですから、感謝しないとですね☆」
「そういや、あの時もノノミに「帰りたいですか?」って聞かれたよな? もし「帰りたい」って答えてたら、そこで元の世界に戻っちゃって終わりだったのかな。一晩、キヴォトスに行ってノノミと会った(そしてエッチした)夢を見てただけ、って感じで。『前の先生』の、片
「んー、そうですねぇ……」
当時はいろいろ疲れてて、やさぐれてたから、「あんなとこ、帰りたくもねーわ、ぺっぺっ」と即答してしまったわけだが。当時のクソ上司やクソ親族には今でも会いたくないが。
「そもそもあなたの場合、ご両親も亡くなってましたし、そういう意味では身軽だったから呼ぶことが出来た……そんな気もします。それを知っていたから、私も引き止められましたし、『先生』は最初から、あなたがこちらに残る可能性は高いと思っていたのではないかと……」
「親……親ねえ。実際のところ、まだ生きてたとして、本当にその理由だけで帰ったかなあ?」
「だったら……恋人なんかいたら、どうです?」
「恋人……なぁ」
別に恋人に限らないけど、どうしても離れたくない人間がいれば、やっぱり帰りたくなっただろうな、とは最近よく思う。……恋人ねえ。
「「あっち」に今のノノミと同じくらい好きな子がいたら、どんなことをしてでも帰ったかも?」
「やだ、もう! あなたったら、本当に口が上手いんだ・か・ら☆」
「いやいや、本当だって。あははー」
バカップルの会話である。……でも、実際、俺の基準ってそんなものなのかも知れない。死ぬまで一緒にいる相手と言えば嫁さんだし、一応「彼女」と言えば、その候補なわけだから(少なくとも俺にとってはそうだ)、そういう相手がいるかどうかで全く違う……こういう理屈が、ノノミの場合はどうなんだか知らないけど。「彼氏」だの大好きだのと言っていても、いまだに結婚するって言ってくれないしー。いい加減、すねるぞ。
「先生」
「ん? どうした、改まって」
「「先生」として、長い間お疲れ様でした」
真剣な顔でノノミが頭を下げる。
「先生? ああ……そういや、『シャーレの先生』が必要不可欠なものは全部片付けちゃったなあ。おかげで、堂々とこれからもキヴォトスにいられるってもんだ。って言っても、大して俺が何かしたってわけじゃないんだけど」
「そんなことありませんよ? ふふっ、知ってる人は少ないかも知れませんけど、私は知ってます」
ノノミはこう言うが、自分としては別に
それより俺としては、カヨコや
——しかし……肝心のこの子がねえ……。
ノノミは俺に会えて良かった、そう思っているのかどうなのか。そこを疑っているわけではないのだが、ノノミはいまいち本心を全部さらけ出したことがないように見える。もともと何を考えているのかよく分からないところもあるし、今は俺のことをどう思っているのやら。
「あの、私なんかと結婚したいって言ってくださって、ありがとうございます」
「何? 急に」
「いつも、気持ちはすごく嬉しいんです。だから、そのことは一応言っておきたくて……」
「なーんて言って、結婚する気はないくせにー」
「いっ、いえ、それは」
つい意地悪を言ってしまった。まあ、こっちから言うまで散々「責任を取ってくれ」とか「ずっと一緒にいたい」とか思わせぶりなことを言われてきたのだ。たまにはね。
「冗談だよ。別に結婚したから何かが変わるってわけじゃないし、こうやって一緒にいられることの方が幸せだ。最近はもう、そんな
「一緒に……うん、そうですよね。それが一番……」
ノノミの表情が暗くなる。あんまり
「ずっと「こっち」にいようって、本気で考えてくださったんですよね? 元の世界に帰れなくなるのを覚悟で」
「「器」の件? 悪かったって。でも、ダメ元とはいえ、悪いアイディアじゃないと思ったんだけどな……。ずっといるつもりなら、いっそ本当に「転生」でもすればいいんじゃないか、なんてな。上手くすれば、『前の先生』も戻ってこれるかも知れないし。しかし、やっぱり危険なのはダメかぁ」
「ダメです! ……ふふっ、でも実はそれも嬉しかったんです。ずっといるなんて、口ではいくらでも言えるじゃないですか。だから、本気でそこまで考えてくれるなんて思わなくて。でも、ずっと一緒にいられるなら……うん、そうですね。もしそれが成功して、あなたがキヴォトスの住人に限りなく近い存在に生まれ変わることが出来たとしたら、その時はプロポーズしてくれました? 私のこと、あなたのお嫁さんにしてくれました?」
「そのために考えたようなもんだよ。したら、オッケーしてくれた?」
「それはダメです☆」
「これだもんなあ。やっぱ、他の方法を考えるか」
結婚を承諾してもらうっていうのは、こんなに大変なものなんだろうか。元の世界にいた時に、既婚者に聞いておけば良かった。まあ年齢のこととか、いろいろあるんだろうけど。それに現実的に考えれば、ノノミの両親に
「まあ、今すぐ帰らなきゃいけない事情だってないし、その件については、これからヒマリたちと考えるさ。シャーレの仕事も一段落ついたところだし。しばらくはノノミとの時間だって、前より——」
「そんな先生のために、ご褒美です☆ じゃーん! 『強制ハッピーエンドのための表彰状』!」
「いきなり何⁉︎ 何が強制⁉︎」
俺の言葉をさえぎって、ノノミが
「強制的に……何だって? 「ハッピーエンド」のための?」
「はい! 表彰状を、どーぞ☆」
「はぁ」
表彰状とやらを受け取ってみると、そこには「
「んで、これが何なの?」
「ふふっ、これはですね〜。先生が、
「ちょっと待て。
すさまじく嫌な予感がする。別の世界に行けるって? それに、「強制ハッピーエンド」?
「はい! この表彰状の力が連れて行ってくれる世界なら、
「それ、
「さよならです! それから……ありがとうございました!」
「くそっ、これ……!」
視界がノイズで
——本当は、自分だって離れ離れになりたくないんだろう? 今だって、本当は泣きそうなんだろう? そう思ったが、ノノミは笑顔だった。本心から俺の幸せを望み、そのために元の世界へ送り返す、そこに迷いはない、そんな顔だった。何故、自分がそばにいなくても俺が幸せになれると確信しているのか——それが全然分からなかった。
「もし……もし、その世界が
「待てって! ちっくしょうー!」
俺は思わず叫んでいた。何だってこう、人の話を聞かないんだ! 俺はノノミと一緒にいられないような結末を「ハッピーエンド」だなんて認めないぞ——
そして、時が止まった。
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過去も現在も未来もない、その場所で、『俺』という存在は溶けてなくなってしまい、『ブルーアーカイブ世界』と一体化していた。だからこそ、五感で『ブルーアーカイブ世界』の形を正確に感じ取ることが出来る。『ブルーアーカイブ世界』の両端……。連邦生徒会長が失踪して、シャーレの先生が来た時——それが「はじまり」。アトラハシースの方舟から先生が地上に帰還する時——それが「終わり」。
静止した時の中で、ノノミの声が聞こえてくる。
「——ホシノ先輩には「全て」を話しました。ホシノ先輩も同じ意見です。『あなた』は『現実世界』に帰らなきゃいけません。『現実世界』の人間である『あなた』には、「二周目」はないんです。十六歳のまま、何度も何度も『ブルーアーカイブ世界』に生まれ変わる私のような「生徒」と、生まれ変わることのない『あなた』がずっと一緒にいることは不可能なんです。それに——」
ノノミの説明が続く。しかし、それを聞くまでもなく、俺にはもう分かっていた。なぜ俺は
ノノミはそれを知っていたから、こうして俺を『現実世界』へ送り返そうとしている。おそらく、
「だからって、シャーレの仕事があらかた終わって、俺が気を抜いてるところを
なまじ世界と一体化しているせいで、おじさんがどこの誰に俺を送り返す話を持ち込んだのか、全て分かる。アビドス、ゲヘナ、ミレニアムに、トリニティに連邦生徒会に……よくまあ、ここまで。俺の身を案じてとはいえ、強制帰還のための完全な包囲網がしかれている。もうちょっと容赦してくれ。
ただでさえ、俺が
「みんな、あなたが元の世界に帰って、本来の『現実世界』の人間としての人生を全うしてくれることを願ってるんです! あなたの幸せを望んでるんです! だから、大人しく帰って……誰か他の人と結婚して、幸せになって下さい! あなたとお別れしても、私は大丈夫ですから!」
「大丈夫って、おま——」
「……私、二周目でも、三周目でも、何度生まれ変わっても、絶対にあなたのことは忘れません! 私だけは、ずっとあなたのことを覚えたままで、「画面のこちら側」から見守ってます! だから……あなたが『現実世界』で他の人を好きになって、結ばれて、赤ちゃんも生まれて家庭を作って……それで、たまに私のことを思い出してくれれば、それで十分なんです! だから——」
だから、「画面のそちら側」から幸せになった俺の姿を見守って、それで満足だって? 二人が出会う前と同じように、別の世界から見ているだけで? それがノノミの出した結論なのか? 俺の意思も確認してないのに?
「あーのーなー! 幸せにって言うなら——」
叫びかけた瞬間、ノノミの意思がさらに
——くそっ、ノノミのやつ、大マジで俺を追い返そうとしてるぞ! ノノミなりに俺の幸せを望んでくれてるのは分かるが、俺を「あっち」に強制帰還させれば、それだけで俺が幸せになれるって本気で思ってんのか⁉︎ 俺たちは、そんな付き合い方をしていたのか⁉︎
必死に抵抗する俺に追い打ちをかけるように、いくつもの声が聞こえてくる。セリカ、ヒナ、アリス、ヒマリやゲヘナの連中、トリニティや連邦生徒会、シロコやクロコも。「私たちのこと、忘れないでね!」、「こちらは大丈夫よ。だから安心して」、「またアリスたちと遊びましょう!」。キヴォトスで深く関わった連中が、みんな俺の帰還を強く望んで呼びかけてくれている。『現実世界』での幸せを願ってくれている。気持ちは嬉しい。しかし、俺は……
俺が『ブルーアーカイブ世界』に戻っても、何かが変わるわけじゃないのは分かっている。みんなの望むような形の俺の幸せが、「そっち」にはないのも分かっている。ただ、悪あがきをしているだけだ。こんな終わり方を認めたくないだけだ。
だが、俺の帰還を望む意思が集まって、大きなうねりとなり、俺を『現実世界』の方向へ押し流す。それに逆らって『ブルーアーカイブ世界』へ進もうとしても、とてもじゃないが戻れない。その流れはさらに急になり——
ホシノがそこにいた。その目が俺に何かを期待している。これ以上、俺に何をして欲しいっていうんだ?
——おじさん達はね、別に追い返そうっていうんじゃないんだ。ただ、あなたの幸せを望んでいるだけ。だから、あなたが自分自身のために強く望んでくれれば、きっと後押しできる。幸せを実現できるところへ行けるよ。だから……
ホシノの姿が消え、代わってそこには『黒服』——その「器」の中に生まれた、俺のキヴォトスでの唯一の友達がいた。しかし、その姿は……メタルフレームの眼鏡をかけたあの姿は、いつか夢の中で見た『現実世界』の人間としての姿だ。
——自分が行くべき場所は、もう分かっているのでしょう? 先に行って待っていますよ。今度こそ『ゲマトリアの黒服』ではなく、あなたの友人にふさわしい名前と姿で……
それが消えると、最後にカヨコが現れた。表情から、俺に絶対の信頼を置いてくれているのが分かる。
——あなたが納得できないハッピーエンドなんて、私は認めない。みんなだって認めない。でも心配なんてしてない。大事なものさえ間違えなければ、あなたなら
カヨコだけではない。いくつもの視線を感じる。俺が何を考え、どう行動するのか、みんなそれを見ている。俺が
——そう、だな。
無理に「あちら」に残ることに意味はない。世界の「絶対のルール」は変わらないし、俺の帰還を望む人たちの心も変えられない。俺が幸せになれるとしたら、それは元の世界しかない。それは受け入れなきゃいけない——いや、そんなもん受け入れていいんだ。重要なのは、そこじゃない。俺が幸せになるために必要なものは別にある。みんな、そんなことは分かった上で、『俺』が
自分が何かを望み、選ぶなら、どんなに世界が理不尽であっても諦めない。自分がどんな存在として生まれたとか、そんなことは関係ない。大事なのは心だ。自分が本当に納得できるかどうか、それだけだ。
——寂しがっちゃダメですよ。私はいつだって、「画面のこちら側」から、あなたを
「ノノミっ!」
——違う、違うぞ。分かっていないのは、お前だけだ。
ノノミーっ! ノノミの
中編へ続く——
最終回、エピローグ共に、ある程度は既に書いているので、まずは本編完結を目指す予定です。
ここまで読んできてくださった方、あと少しだけお付き合いください。
前回から引き続きの形でアンケートがありますので、よかったらご協力ください。