その子、霊子
博麗神社には4人もの子供がいる。それは、現在博麗の巫女である博麗霊夢が旦那と愛し合った証拠であり、パワーバランス崩壊を防ぐという後付けの意味もある。
パワーバランスだけで言うなら、現在の紅魔館は幻想郷の最大勢力、妖怪の山すらも抑えられる程の凄まじい実力者が集っている。
それは、天界を追放された天人、比那名居天子の居候が原因だし、スカーレット家の始祖よりも更に先祖、古代ギリシアの吸血鬼、モルモーが居るのが原因でもある。
ある日、博麗神社の子供達は、修行の前に会議を開いていた。どうやって子供達だけで、一発で今の紅魔館を攻略してやろうか────と。
「何であんなに何回も挑まないと勝てないんだろ、ホントイライラする」
「そうやって冷静さを欠くからじゃ……」
「霊愛お姉ちゃんで無理なら、僕らが束になっても無理なんじゃ?」
「それ。せいぜい『いい勝負』が限界じゃない?」
「そんな事ないって!4人が組めば、一発で紅魔館全滅させられるって!」
「じゃ、仮にレミリアさんを
「トントンというよりかは、少しだけフランさんが上回ってるはず……。僕の全力の防御をブチ破るにはフランさん並の火力が必要って話だからさ」
「ウケる。じゃあもう無理じゃん。あの姉妹が手を組まない保証も無いんだしさ。お父さんによると、あの2人が手を組んでもお父さんを殺せるレベルの
『暴走したお空』には勝てないんでしょ?」
「だからこそ私達も全力で手を組むんじゃん?」
手を組めば勝てる派の姉、霊愛とそれを否定する末の妹、霊子。相性の良くない2人だが、こうして意見を交換する際は、敢えて相性の良くない2人は率先して発言し合う。
「そりゃ霊愛お姉ちゃんは弾幕、格闘、その他諸々色んな技術を修めてるけどさ?それでもまだまだ、紅魔館を追い詰めるには至らないんでしょ?なのにそんなお姉ちゃんの下位互換の私らを引き連れて、どうして勝負になると思うのか……分かんないなぁ」
「いや別にあんたら私の下位互換じゃないでしょ。それぞれが別方向に強くなっていってるじゃない。霊麗は吸血鬼のフィジカルに加えて強力な霊力に、霊魔は飛び抜けた防御力に加え卍解や帰刃もある。霊子は霊魔でも扱えない月属性の魔法まで使えるし飛び抜けた吸血鬼の技能まである。下位互換なんてバカなこと、言わないでよ」
「っ……だとしても!紅魔館に挑むのは無理だって!お姉ちゃんが何回も攻め込んでるから、警備を更に固めてるって昨日、お父さん言ってたじゃん!」
「うっ」
「だからこそ、私達も手を組んでそれを突破するんでしょ。……ね、お姉ちゃん?」
「そ、そーそー、霊麗の言う通り!私1人で無理な事だとしても、組めばイけるって!」
「そんな上手くいくかねぇ……」
実際問題、子供4人で今の紅魔館を攻略するのは無理があるという懸念は間違っていない。しかし、24人の中の四天王のうち3人も博麗の子供なのだ。イけると考えてしまっても、仕方ないというもの。自信過剰だと言えないくらいには、今の博麗神社も戦力過多だと言えるだろう。
と、そんな所に、霊夢が掃除道具を持って入室。今日の掃除当番は母、霊夢だった。その仕事をしに来たらしい。
「はいはい、入るわよー。ってか、まだ寝間着から着替えてないの?朝ご飯も食べ終わったんだから、さっさと着替えなさいよ」
「「「「はーい」」」」
「────う〜ん……やっぱり違和感あるのよね〜。壁をブチ抜いて2部屋を1部屋にしたのはちょっとやり過ぎかしら……。やっぱり咲夜に紅魔館みたいな空間拡張をやってもらうべきだったかしら」
「それはそれで気味が悪い気がするけどね。紅魔館みたいに元が大きいなら違和感も少ないけど、ここみたいに元から大きいワケじゃないのに、一室だけ妙に広いって……。そっちの方が違和感あるでしょ」
「「「だよね」」」
「う、何よ、皆して……。でもまぁ、あんたらがこの子供部屋をそう思ってくれてんならいいけどさ……。エスカルゴも改装した甲斐があるってモンでしょ。というかまた紅魔館に行くつもり?懲りないわね、レミリアに愚痴を聞かされる私の身にもなりなさいこのバカチン共が。あんたらが攻める度にあっちの予定も狂ってるんだからね?」
「これも修行の一貫ですぅ〜」
(紅魔館からすれば、遊び感覚で一大勢力との戦争吹っ掛けられてるようなもんだと思うけどね……)
(実際、強い人達と戦うとレベルアップできるのは間違いないしなぁ)
(パチュリーの月属性の魔法は私とは根本から違うみたいだし、皆で攻めるのも面白そうではあるか……でもなぁ……どうなんだろう……)
((((確かめてみたい……ッ!!))))
月とは生と死の象徴である。即ち月属性の魔法を極めれば生と死の魔法をも操る事ができる。それを可能にしたのが彼女の父親ことエスカルゴであり、突然変異の娘、霊子である。
そして、子供達は決断した。作戦を立てた上で、4人で組んで紅魔館を一発で攻略しよう!……と。
力試し感覚で攻め込まれる紅魔館……。