※この作品はR-18です。

エクスティア×FGO 異界魔導帝国ロギア・アース~堕ちた人理の希望~   作:王天君

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エクスティア×FGO悪堕ちクロス小説のプロローグとなります。
本格的な話の展開は次回から。



intro

歩みつづけるキミたちへ

無慈悲な蹂躙が始まる。

救いのない、救いの物語が始まる。

これより語られるはあり得たかもしれない歴史。

無限に存在する平行世界。

その一つのカルデアに訪れた、甘くて淫らな終わりの物語。

彼らとボクらが辿った結末の一部始終を、嵐の中を進み続けるキミたちにみせてあげるっていうのさ。

嫌がらせじゃないよ。

まだ頑張る不器用でがむしゃらなキミたちに素敵な逃げ道を教えてあげたいだけ。

カルデアのサーヴァント君達がたまに起こすトラブルと似たようなもの。

そう。

これまでとこれからの罪をロギア帝国(ボクら)は責めたりしない。

聖杯にかける大それた願いもないし、異星の神もどうだっていい。

世界を存続させて、いつまでも気持ちいいことが出来ればそれでいい。

取るに足らない人の範疇にある望み。

でも魅力的でしょ? 

こっちの方が楽しいし気持ちいいよ? 

だからね。

どうか見届け、そして覚えておいてほしい。

いつでも楽になる道はそばにあるってことを。

 

◇

 

日本異聞帯 突入

━━中華人民共和国領 北京上空 次元境界穿孔艦ストーム・ボーダー内ブリッジ━━

 

軽いめまいと揺れでカルデアのマスター、藤丸立香は意識を取り戻した。

バランスを崩し、倒れそうになった体が支えられる。

 

「ッ!」

「先輩!?」

 

隣で心配そうにのぞき込んでくるのは霊基外骨骼(オルテナウス)を着込んだ紫髪の後輩、マシュ・キリエライト。

大丈夫と答えながら周りを見るとストームボーダーのブリッジに集まった仲間達もこちらを見つめている。

 

「なんだ寝不足かね? 

いかんぞ若さに任せた無茶は! 若いからと甘く見ていると年を取ってから返ってくる! 時計塔でも研究に没頭して腰をやった知り合いが何人もいたものだ……」

 

アラサー手前の哀愁を漂わせて心配してくれる新所長、ゴルドルフ・ムジーク。

 

『急報からの急発進だったからね。藤丸君もブリテンでの疲れが抜けてないだろうし、ゴルドルフ君の言う通り無茶の振り替えしが来てるのかもだ。

キャプテン、ネモ・ナースに薬もってきてもらえないかい?』

 

電算室から通信で声をかけてくれる小さい美少女、ダ・ヴィンチ。

 

「大丈夫、藤丸? 

薬はまかせて。異聞帯侵入後、降下前に服用できるように手配しておくから。マリーン、誰か席を空けて」

「いや大丈夫だからキャプテン。ちょっと立ち眩みしただけだよ」

 

小柄な体に船員服が特徴の船長、キャプテン・ネモ。

 

「ここは甘えて少しでも体力を回復させておきたまえ。今度の戦いは何が起きるか未知数な部分が多い。君の体調という不安だけでも削っておくかで大きな違いが出るかもしれない」

 

いつも通り冷静かつ要点を突いた話をする探偵、シャーロック・ホームズ。

あとはムニエルとかマリーンズを加えたブリッジの中を確認して、ようやく頭がはっきりしてきた。

 

「ミーティングの内容は覚えてるかい藤丸?」

「……ごめん、やっぱり頭がボーっとしてたみたいで覚えてないや」

「了解だ。念のためシオンがドックで伝えてくれた情報も含めてもう一度おさらいするよ。

━━これから向かう、日本異聞帯攻略作戦について」

 

キャプテンが指を鳴らすと証明が落とされ、内部のメインモニターに地図と映像が表示される。

 

「事の発端は今から2日前、地球上に新しく空想樹の出現が観測されたことだ。観測地点は日本」

 

世界地図の一か所、日本が赤く点滅。

更に画面上には異聞帯の嵐の壁さえ押しのけてそびえ立つ、桜色に発光する巨大な空想樹が映し出された。幹の間には亀裂が走り、開花に至った空想樹特有の内部の宇宙が露出している。

 

「これはストーム・ボーダーの望遠カメラでとらえた映像。見ての通りこの空想樹は既に開花状態。

それで明らかにこれまでの異聞帯と異なる点があるんだけど……はい、ムニエル」

「えぇ!? なんで指名? 急にクイズ形式とか聞いてないって!」

「おさらいだからって気を抜いていいわけじゃないからね。さっき聞いただろう。まさかもう忘れた?」

「いやそこまで抜けてないけどさ……はぁ。アレだろ。異聞帯の外から空想樹が見えるのはおかしいって話」

「うんその通り。これまでの空想樹は外部からは光の柱にしか見えなかった。地球の8割を覆っていた大西洋異聞帯の空想樹マゼランでさえ同じ。ここから極端に例外的な現象を起こしているのが推測される」

『現在は天幕に接続して着実に嵐の壁の領域を拡大中。異星の神より先に対処しなきゃいけなくなった。そこでブリテン異聞帯で受けた傷の修復を突貫で終わらせてもうすぐ対象地域━━日本異聞帯に突入予定さ』

 

ダ・ヴィンチの報告に続けてホームズがこちらを向く。

 

「さてここまでが話していたことだが……新しい空想樹の速度も問題だがそれは問題の一部であって本質とは異なる。

ではこの場合の本質とは何だろうか?」

 

問いかける視線が向けられたのでマシュと顔を見合わせる。

 

「速度じゃないなら……」

「タイミングでしょうか?」

「正解だ。例の空想樹出現は偶然としては出来すぎている。

最大勢力だった大西洋異聞帯が滅び、星を滅ぼす呪いであったブリテン異聞帯も消滅。さらに異星の神はまだ完全体になっていない」

「ふむ。つまり何かね、我々を当て馬にしていた勢力が漁夫の利を狙って動き出したと?」

「俺達を、ずっと見てた敵……」

『ただ敵の正体がまるで分んないんだよねー』

 

むぅと頬を膨らませたダ・ヴィンチが画像を投影。

これまでに打倒してきたクリプター達。カドック、オフェリア、芥、ペペロンチーノ、キリシュタリア、ベリル……

 

『残るクリプターのデイビットは南米異聞帯、コヤンスカヤの反応は消失したまま。

異星の使徒ラスプーチンの可能性もあるけど……わざわざ異星の神が降臨したのに今更何のメリットがあるのかって話になるし』

「でもその中だったら神父が一番ありえるんじゃないか? 

ブリテンでも村正をパシリにしてただろ」

「ともあれ」

 

答えのない論争にホームズが手を打って終わりを告げる。

 

「明らかなのは我々に空想樹への対処が急務ということだ」

「ホームズの言う通り、現状の僕らには日本異聞帯の攻略を後回しにする余裕はない。

ブラックバレルの使用を前提とした作戦の実行、最後の南米異聞帯攻略のモデルケース……そう考えれば悪いことばかりでもないよ」

『攻略用に用意したサーヴァントもストーム・ボーダーの魔力によって10騎待機済みだ。

戦力的には申し分ないし、状況次第で私も出撃する。藤丸君も緊張はしても不安になりすぎることはないからね!』

「技術顧問も言ったが気負いすぎるな。異聞帯、しかも故郷となれば思う所もあるだろうが……我々はお前一人に背負わせはしない」

「頑張りましょう。マスター!」

「……うん、頼りにしてるよ。皆、それにマシュ」

 

◇

 

その後大韓民国の上空を通過し、いよいよ嵐の壁に接近。

突入時の衝撃に備えてブリッジの椅子でシートベルトを締めて待機。

ネモがテキパキとムニエルやマリーンに指示を飛ばし、新所長とホームズは話し合い中。ダ・ヴィンチも内部システムの管理に忙しそうだ。

 

「あの、先輩」

「うん、マシュ?」

「先ほどの立ち眩みもですが……体調は大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫。体って言うより多分心の方の問題だから」

「……心」

「まぁね。やっぱり日本だからさ。実家が異聞帯でどうなってるかとかも考えちゃうんだ」

「申し訳ありません。先輩の心境に気づくことが出来ず……」

「あ、ごめん! 俺が気にしすぎなだけだから。異聞帯に俺の家があるわけじゃないし、気にしてもしょうがないよね。

……でもいつか全部終わって、世界が元に戻ったら」

「はい?」

「マシュには元通りの日本を見てほしいな」

「……はい! その時はぜひ先輩に案内していただきたいです。日本にもたくさんの歴史的名所や観光場所があるとのことですから!」

「そうだね。そのために今回も頑張ろう」

「了解しました、マスター!」

 

少しばかりの歓談をして、ネモの鋭い声が全員の緊張の糸を引き締めた。

 

「魔術障壁展開!! 論理防御システム稼働! 総員衝撃に備えて!! 

━━これより本艦は日本異聞帯への突入を開始する!!」

「アイ・サー!!」

 

少しの静寂の後、急激な加速によるGが全身にのしかかり、次いで乱気流の中で飛行機が揉まれるような強い揺れが襲う。

船体は障壁で守られていても中々心臓に悪い大きな揺れだ。しかも予定ならすぐ突破するはずなのに、なかなか収まらない。

 

「ええい、どうなっとるのかね!? 予定だとすぐ突破しているはずだろう!」

「想定より壁の魔力が厚いせいで時間がかかってる! 

━━プロフェッサー、エンジン! 突破に必要な推力と推力は!?」

『はいですねー。正直時間も情報も少なすぎるんで余剰魔力全装填で突撃するしかないかと』

『こちら機関部! 出力推力ともに良好だ! 使い潰すつもりで動かせよ!!』

「両名了解。出力最大! 最大船速!! 全員舌を嚙まないように注意して!!」

「ええい」

 

短く通信を終えた後、体にかかるGがさらに増加。

川の濁流に矢を突き立てるようにして舳先が差し込まれ、徐々に抵抗が弱く。

ブリッジの窓の外の景色も少しずつ変わっていく。閉ざされた視界を閉ざす雷雲が引き裂かれ、変わりに澄んだ青空が垣間見える。

白亜の巨艦と一緒に遠く離れていた故郷への里帰りがなされようとして、藤丸もいよいよ辿り着く懐かしい大地を思って目を見張った。

 

(本当に……こんな形で帰ってくることになるなんて。

せめて少しでも俺の知る日本と違っていてくれればいいのに)

 

 

LOSTBELT No.■

異聞深度—D

A.D.2016 異界魔導帝国 ロギア・アース

堕ちた人理の希望

 

◇

 

急襲と邂逅

体にかかるGと揺れが消えて嵐の壁を突破したと、誰に言われるでもなく理解した。

次の瞬間、耳をつんざくような警報がブリッジに鳴り響く。

この音は確か……

 

(衝突警報!)

「正面に障害物反応!! ぶつかるよ──ー!!!」

「ッ取舵一杯!!!」

「もうやってるよう!!!」

 

ネモとマリーンのの悲鳴みたいな声が響いた後、船体が大きく左に傾く。

ガリガリガリと金属の削れる嫌な音と壁を越えた時以上の振動がブリッジを震わせる。

指示を出していたネモの頭から帽子が飛び、新所長が「うおぉぉぉ!!?? 死ねん、ここで死ねんぞぉぉ!!」と情けなさそうに見えて覚悟の決まった悲鳴を上げている。

どうにか正面衝突を避け、艦が建造物との衝突を避けて交差する。

藤丸も歯を食いしばり、ストーム・ボーダーが衝突しかけた物体に目を凝らした。

 

「あれは……」

 

柱状の構造物。まるで巨大な樹のような、莫大な魔力を内包していると分かる威容。

 

(空想樹……!?)

 

白く枯れたような色合いの樹。天に届くような大きさもそのままどっしりと根を下ろした感じもこれまで戦ってきたものと同様。

しかし成長した個体と同じように裂け目があるものの、中には虚空が覗いて記憶にあるような宇宙や異世界の空はない。それに船体が擦れるほど近くにいるのに、迎撃のための魔力砲撃を行ってこないのもおかしい。

藤丸が違和感に気づいたところで他のメンバーも順次、船が何にぶつかりかけたのか確認して騒ぎ出す。

 

「プロフェッサー警戒を厳に! 対象から攻撃の兆候があれば即時連絡! 

マリーンズ、全武装の攻撃準備! 

エンジン、連続だがもう一度機関全速出来るか確認急いで! 場合によってはすぐ空域から離脱する! 

ナースは負傷者確認! ベーカリーは艦内設備の余剰電源をすべてカット! 

藤丸! すぐに空想樹戦になるかもしれない! マシュと一緒に戦闘準備を!」

「なななな、なんで突入直後の場所に空想樹があるんだね!? 外部観測ではもっと離れた位置にあったはずだろう!!」

『疑問は分かるけど後にして!! ホームズ、他に気になる━━ホームズ!?』

 

電子映像のダ・ヴィンチの上げた動揺の声につられて見るとさらに異常事態が。

ホームズの身体が足元から解けて粒子になるようにして消えていく。

 

「この世界から拒絶される感覚……まいった。どうやら敵はこちらのサーヴァントについても対策を打っていたようだ」

『まさか━━待機してもらってた英霊達も全員退去してるだって!? これはブリテンの時と同じ……』

「いや。完全に同一の手段ではない。現にキャプテン・ネモは今回全く不調を感じていないようだからね。ただ方法は違っても目的は同じ……」

『それより君は! 平気な顔してるけど霊基はもつのかい!?』

「残念ながらここまでだ。霊基グラフまで強制的に戻される。

━━消える前に伝えられることを。窓の外に見える空想樹、あれは我々が異聞帯の外から観測していたものではない(・・・・)。明らかに外見情報が違う」

「待ちたまえ経営顧問!」

「ホームズ!!」

 

必死に声を飛ばしたが、ホームズはどうにもならないと首を振るだけ。

 

「藤丸君、気を付けてくれ。この異聞帯は明らかに異常だ。観測された以外の空想樹、英霊の退去の仕込み、更に出現した時期、カルデアを狙ってきた何者かは相当念入りに我々の排除を目論んでいる。

ここで離脱して申し訳ないが健闘を祈る」

 

悔しげな表情を浮かべたままホームズが消滅。異聞帯を解決して彷徨海で召喚すればまた会えるけれど、仲間がいきなり減った事実が重くのしかかる。

他のクルーも不安や戸惑いの表情を隠せていない。

だからこそ落ち着かなくてはと思う。

 

「キャプテン。とりあえず外の空想樹は攻撃してこないみたい。戦ってきたから分かるけど……なんていうかこの樹は生きてる感じがしないんだ」

 

直感的なものだが当たっていると思う。

これまでに伐採してきた空想樹特有の種子を吐き出したり、迎撃に魔力を回したりする気配が感じられない。大量の魔力の蓄積装置であってもそれ以上に何もしてこない。

見た目をかなり似せているが中身が贋作。

それがじっと見ていて抱いた感想だった。

ネモも攻撃用魔力が生じる気配がないのを確認。船体の緊張も幾分か解かれ、周囲を警戒しながら旋廻を開始。

 

「確かにホームズの消滅中も攻撃してこなかった。何か理由があるのか?」

「そもそもこの空想樹はどこに生えとるんだ? 

我々からは見えんが海の上にポンと立つものでもなかろう」

『プロフェッサーと協力して外部の観測はおおむね完了したよ。

知覚できる範囲と情報通りなら、今私達がいるのは日本列島九州から北西約130km。この空想樹っぽいものは対馬島の上に立っているはずだ。島の存在もカメラで確認できる。

日本異聞帯の地理が世界基準の地図と同じ地形をしていればって前提に基づいてるけど』

「対馬?」

「先輩はご存じですか?」

「ご存じっていうか……歴史の教科書で読んだくらいだよ」

 

朝鮮半島に近くて貿易をやっている孤島。元寇とか豊臣秀吉の朝鮮出兵とかくらいしか知らない。

ダ・ヴィンチがある程度地理や歴史の説明を皆にしてくれるが全員頭に疑問符が浮かぶ。

 

「場所は分かったけどさ。結局なんでそんな外れにある島に空想樹があるんだ?」

 

ムニエルの感想が全員の思いを代弁していた。

 

「謎が多いのはともかくだ。経営顧問が退去した今となってはただ話していても埒が明かん。

攻撃してくる様子がないなら対馬島とやらの状況を確認しに降下を━━」

 

新所長が現実的な案を出しかけた所でまた警報音が鳴る。

突入してからのトラブル立て続けにいい加減ネモも苛立ちが見え始める。

 

「今度は何だ!」

「南東方面から接近する飛翔体を検知! 接触まであと30秒ー! 何なのこの速さ!?」

『こちら観測班ですー。レーダーでも感知しましたがミサイルより小さい何かが突っ込んできてますねハイ。とりあえず友好的な飛翔体の可能性はかなり低いかとー』

「再度取り舵一杯! 全エンジン点火全速前進! 前方の空想樹擬きを盾にする! 

総員は万一に備えて対ショック姿勢! 魔術障壁限界まで展開!! 

エンジン! また無茶させるけど頼んだよ!」

『分かってらぁ! 必要な時に無茶やらせるのがアタシの仕事だ!!』

「ええい次から次へと!! 藤丸、キリエライトもだ! 下手に動いて怪我するんじゃないぞ!!」

 

そうして耐えること数秒。警告音が強まるにつれて覚悟した時間が近づく。

左右のエンジンも急速起動して旋廻を開始。また船体が傾いていくのが内部でも分かった。

だが、

 

「右舷後方機関部出力低下ー! さっき空想樹擬きに擦ったせいでかかりが弱いよー!」

「くっ!! 霊子砲も死角、これでは……」

『キャプテン!! 私の方で衝突予想部位に障壁を多重展開する! そうすれば━━』

「ダメだ! 間に合わない!!」

 

やがて警告音が止まって衝撃が━━こない。

 

「あれ?」

「衝突予想の時間は既に経過していますが……回避に成功したのでしょうか?」

 

いつまでたっても来ない衝撃にマシュと顔を見合わせる。

エンジンが奇跡的に動いた? 

それとも飛翔体が不発でぶつかったけど落ちた? 

警告音も止まってなんとなく安心した気配が漂いそうになったところで鋭いダ・ヴィンチの声が飛ぶ。

 

『違う! 全員気を抜かないで! 今のは不発なんかじゃない! 

人だ(・・)。ミサイル並みの速度で飛んできた人間が艦の外壁に貼りついてる!! 入船用ハッチのすぐそばだ!」

「は!?」

「ミサイルの速度でって……」

「なんだとぅ!? どどどっど、どういうことだね! 

敵がミサイルを使うならまだいい。すでにロケットランチャー片手に走ってくる神父なんて非常識も経験しているからな! だが人間でミサイル並みの速度なんてサーヴァントしか……」

「遊んでる場合じゃない! マリーンズ! 艦内各所通達、10秒後にバレルロール! 何かされる前に降り落とすんだ!」

 

その時、コンコンと友達の家にするような軽いノックが聞こえる。

入り口に取り付けられた監視装置にあちらから語り掛けてきたらしい。

 

【こんにちは♪ 皇帝陛下の使いで来たんだけど、とりあえず寒いから入れてくれない? 

今の所交戦の意思はないよ】

 

少し低めのハスキーな女の声。口調は幼さを残した親しみやすい感じ。

監視カメラの画像が荒くて判然としないが、あからさまな敵意をまき散らす感じではない。

 

「……どうすんだよおっさん? 声だけなら友好的っぽいぞ」

「入れるな! 絶対に入れるんじゃないぞ! ああいう上辺がいい女にはロクな思い出がないからな!」

『うーん。ゴルドルフ君の言うのも一理あるけど入れた方がいいと思うよ。

サーヴァントなら入り口も破壊して入ってこれるだろうし。それをしないのはあっちもマナーを守ってるんじゃない?』

「うぅぅぅむ……」

「僕もダ・ヴィンチに賛成だ。確かに敵を船内に入れるのは危険だがすでに密着されている時点でこちらが不利。もしあちらにストーム・ボーダーを撃沈する手段があれば全滅しかねない」

「俺も、ネモ達と同意見かな」

 

かなり厄介な状況だが藤丸も臆さずに声を上げる。

迎撃用の設備もゼロ距離では役に立たない。

用意していたサーヴァントも退去させられたせいで戦力も著しく欠落。

襲撃者の方が圧倒的に有利なのだ。

一旦相手の出方を伺うまでは慎重に対応するのがいい。

新所長も悩んだ結果同じ答えになったようで入船許可を出した。

 

◇

 

入り口にマリーンズ3人とダ・ヴィンチが向かい、他のメンバーはブリッジで待機。

万が一を考えてマシュはオルテナウスと盾を展開して藤丸の側に。

しばらくして扉の外から足音が近づいてきたかと思うと、扉が開いて一人の少女がらんらんと入ってきた。

 

「え、ええ?」

「なんという……いや何考えとるのかね本当に」

「……ダ・ヴィンチ。持ち物を検めてとは言ったけどスカートくらいは履かせてあげなよ」

「逆逆! マシュと藤丸君の教育に悪いから履いてって私は言ったんだから!!」

 

反応はマシュ、新所長、ネモ、ダ・ヴィンチの順。

何の反応かと言えば襲撃者の服装について。

女の子らしい可愛らしさを残しつつ短く切り揃えたふわふわのピンク色をした髪。

後頭部には大きな黒いリボンを一つ。リボンの根元からは両側頭部に白く大きな角が捻じれるように生えて前方へと突き出す。尾てい骨からは黒い光沢をもつ尻尾がうねりながら生えている。

耳はエルフのように尖り、首元には紫色のクリスタルが首輪のように装着。

両手両足はエナメルのように淫靡な光を放つスーツが腕や太ももまで形成されて上から装甲が固定中。

胴には胸のクリスタルからXを描くようにラインが伸びて豊満な胸とくびれた腰回りに黒色のドレスとスカートがあがるが、胸元から秘裂まで縦にぱっくりと開いたエロチックなデザイン。

子宮の上には完成した淫紋が妖しく煌めき、オマンコには秘裂が見えてしまいそうな小さな黒いハート型の前張りがピッタリと貼り付けられる。

カルデアで様々な女性の服装を見てきた藤丸でも思わず喉が鳴るような、淫らでいやらしい煽情的な衣装。

ムニエルなんか股間の前張りと胸の谷間を凝視しているのがバレバレ。

そして襲撃者はこちらの怪訝、軽蔑、好色、その一切を気にした様子もなく朗らかに笑う。

 

「こんにちはカルデアの皆! ボクはソラエル! ロギア帝国皇帝ナイオーロ様にお仕えする眷属の1人、リリスティア・ソラエルさ♪ 

気軽にソラエルとか、ソラちゃんって呼んでいいからね」

 

軽く前傾姿勢で紫色の瞳をウインクさせた少女は少年っぽさを残す快活さで笑った。

 

〈つづく〉

 

◇

 

幕間 出会い前

A.D.2016。

異世界カルローンに存在するロギア帝国の地球侵略が日本を標的に始まった年。

正義と愛のために戦うことを選んだ少女エクスティアとその仲間達。

苦しくも正しい戦いを続けた彼女たちは結果を出し続けて、帝国最高幹部の四天王を3人まで撃破。

しかし最後の侵略軍司令官にして帝国四天王ナイオーロの登場により事態は急転し……侵略開始から2年が経ったA.D.2018。

ソラエルがカルデアを襲う数時間前の話。

 

◇

 

━━旧千葉県方丈市 現ロギア帝国帝都ホウジョウ━━

 

男は暗闇の中を駆けていた。

人通りの多いメインストリートはダメだ。ただの人間が首輪も付けていなかったら目立つ。立ち並ぶビルの陰、暗い路地から路地を抜けてアジトに繋がるマンホールを探してひた走る。

空には色とりどりのバルーンが浮かび、帝都を囲む壁にも派手に皇帝を讃えるポスターが貼られている。

そしてその向こうに天へ向けて聳える桜色をした巨大な樹。

時折表の様子を探ると大通りを歩く者達の声が聞こえてくる。

 

「皇帝ナイオーロ陛下万歳! ロギア帝国万歳!」

 

喝采を上げる帝国人特有の長耳をした白人の男。

 

「帝都建設からもう一年か。色々あったが……いや全くめでたい日だぜ!」

 

ワニの頭をして感慨深く俯く亜人。

 

「私達が生きていられるのも皇帝陛下と世界樹(・・・)のおかげよ。盛大にお祝いしましょう! 

今日は皆飲んで飲んで飲みまくるのー!」

 

酒場の店主らしい手のひらサイズの妖精が酒樽を浮かべ、囲んでいた客たちが浴びるように酒を口にしている。

どれも現実の光景とは思えない。

2年前までなら町では絶対に見かけなかった光景。人間ではない怪物どもが我が物顔で街を支配している。

どいつもこいつも何がめでたいっていうのか。

日本に住んでいた自分達は領土も人権も何もかも奪われた日だってのに。

 

「アオモリで作らせたリンゴだ。今朝送ってきたばかりの採れたてよ!」

 

発音が違う青森だ。地名だけそのまま使いやがって。

 

「今日の競りにはいい奴隷が出ていたよ。シコクとやらで狩ったそうだ。このまま早く全域を我らのものとしたいね」

 

もう四国も落ちたのか。京都の戦いを最後に国からの発表も来なくなった。いよいよ日本人の全滅も近いのかもしれない。

 

(それでも……!)

 

走り出してどれくらい経っただろう。

1時間? 2時間? それともまだ30分と経っていない? 

冷静に考える頭脳も方向感覚もすでに無くなった。

走り出しは10人以上いたはずの仲間も気づけば自分1人。

仲間内で1番の足を持つ自分でもそろそろ限界だ。追っ手の気配が消えて少し走るペースを落とす。

 

「鬼ごっこはおしまいカナ?」

「くっ!?」

 

耳元に甘く優しい、少し低めの少年っぽい女の声。

男は直感した。この声が追っ手だと。

負われる恐怖に背中を叩かれてまた走り出す。

少しでも足を止めると形のない死神がそっと近寄って耳元に息を吹きかける。

 

(どうして? どうしてこうなった?)

 

行き当たりばったりではないきちんと練られた計画だった。

貧困と恐怖に支配された今の日本を解放するために人員も作戦も物資も裏ルートで集めた。

苦労して入手した見取り図や警備情報を頼りに、地下水道を通って帝都の警備部隊にも見つからず帝城に侵入。内部の配管に巡らされた警報装置も一つずつ解除して進み、城への侵入から1日以上かけて目当ての場所━━玉座の間の天井に入り込んだ。

皇帝を玉座にてレジスタンスの精鋭部隊が奇襲する暗殺作戦。

参加した誰もが決死の覚悟で臨んだ。

守るもの、愛するものに別れを告げた。

これだけ準備したならきっと成功すると信じていた。

そして刺し違えてでも奴を殺すと決めて降りた玉座の間で、

 

「んっ♡はぁっ♡ご主人様、ナイオーロ様♡子宮舐め舐めする特製ちんぽ、最高です♡どうぞ今日も私の奥まで子種を注いでくださいませ♡」

「ククク、言われるまでもない。お前には次の子を産んでもらう役目があるからな!」

「おっおぉぉぉぉ♡またきたぁ♡ちんぽ、ずっぷりピストン最高なのぉ♡」

 

玉座に腰かけた男が女を背後から抱きかかえて犯している光景を見た。

金髪碧眼にバトルスーツのような戦装束で笑みのまま女を犯す男。標的のロギア帝国皇帝ナイオーロ。

 

「く、皇妃(クイーン)・ルクスリア……」

 

誰かがもう一人の通称を呼ぶ。魅入られたみたいに硬直してしまっているのは女の美貌のなせる技か。

抱かれるピンクの髪を地面にまで垂らした女。

2対の悪魔染みた翼にコルセット、黒い二の腕まで届くグローブやこちらも太ももまで覆うストッキングと清楚に見せかける衣装。しかし胸は乳首だけプレートを貼って隠しただけ、股間もコルセットから垂れた前垂れ以外ショーツさえ履いていない。

男を誘惑する淫魔そのものの姿でナイオーロに蕩けた笑みを浮かべる美女、皇妃ルクスリア。

お互いにパートナーのことしか見えていない様子で、侵入した男達を一瞥さえしない。

威厳に溢れるべき玉座で淫行に励む2人に怒ったのか、それともルクスリアのような極上の女を抱けるナイオーロへの嫉妬か。

誰かが思わず引き金を引いた。

 

「色狂いの侵略者め!!」

「死ねえナイオーロ!!」

 

とにかく乗り込んだ全員が銃を撃ちまくった。もちろん男も。

しかし━━

 

「ああ来たのか。気づくのが遅れて悪かったな客人共」

「クスクス、仕方ありませんわ。どいつもこいつもナイオーロ様の足元どころか履き物にも及ばないゴミクズばかり。踏んでから気づくくらいが当然でしょう」

 

銃弾は全て障壁に防がれ、彼らには一発も届かなかった。

そして彼らも驚くどころか虫が飛んでいたくらいの反応で行為を再開。

 

「あん♡見られているのによろしいんですか?」

「そのためにお越し願ったからな。苦しい暮らしの貧民にお前の艶姿を見せてやるのも王の慈悲だろ。

生きて帰れればお前のことを思い出して自分を慰めるか、それとも自分の女で満足できないまま腰を振るかもしれんぞ」

「くす、お優しいご主人様……ではお慈悲を期待して濡れ濡れなこのマンコ、もっと可愛がって下さい。

お前達、ご主人様の慈悲に感謝なさい。本来なら私の裸を目にすることさえおこがましいのだから」

 

虫に向ける冷たい笑みに何人かはそれだけで身震いして射精。恋人や妻を持つ者もいたのに。

かろうじて男は一歩手前で耐えた。

瞼の裏で作戦参加の勇気をくれた恋人を思って踏みとどまれた。

そして暗殺を予期していた態度に嫌なものを感じ、すぐ身を翻して逃走したことが結果的に命を救った。

突如出現した巨大な鎌が仲間の身体を両断。

 

「はいはい、体験版はここまで! 

ここから先の視聴には代金頂きまーす。もちろん君たちの命でね」

「2,3人残ればそれでいい。後は適当に殺せ」

「かしこまりました~♪」

 

冗談みたいな明るい口調で振るわれる大鎌。10代くらいの見た目をした少女が身の丈ほどもある鎌を軽々振り、仲間達が切り裂かれるのを尻目に逃げおおせた。

そして今に至るというわけである。

息もしんどい体で走りながらいい加減気づく。あんな化け物が自分一人に追いつかないわけがない。わざと泳がされている。

 

(俺達のアジトを突き止める気か。いやそもそもこの暗殺は察知されてた……まさか全部バレてたって)

「えーい!」

 

直後足に激痛。転倒しながら見れば右足の脛から下がすっぱり切り落とされ、ドクドクと血が流れ落ちていく。

 

「い、っぐぉぉおおお……っ!」

「ちょっとは反撃してよ。追いかけるだけとかつまんないじゃん」

 

上から舞い降りてきた、煽りながら意地悪く笑うピンクのショートヘアをした少女。

玉座の間で仲間達を次々殺した大鎌使い。今も背中に構えてくるくるとバトンみたいに軽々振り回す。大の男を両断する威力からすれば何キロあるかも分からない鉄塊を。

クイーンと同じ股間の前張りやピンクの髪、くねくね動いて男を馬鹿にして突いてくる黒光りする尻尾。

機能性を重視した特殊スーツのようでありながら、胸や股間を大胆に晒したデザインはルクスリアに通じるものがある。

子宮には邪悪で淫靡に歪んだハートの淫紋を刻んだ魔族。

奇しくもその顔は自分達を追い払ったクイーンそっくりだった。

 

「リリスティア、ソラエル……!」

「ふふーん、ボクも有名になっちゃったなぁ。こんなカスにも知られてるし!」

 

いい気分を表現して尻尾がクルクル動き回る。

優しげな笑みでも含まれる意味合いは獲物を狩る捕食者の獰猛なソレ。

鎌を振り上げると無慈悲に笑ってくる。

 

「お仲間さん達も寂しがってるだろうし早く顔見せてあげなよ」

「くっそ……」

「あれ、命乞いしないの? ここは何でもするから許してぇ~っていう場面じゃない」

「誰がするかよ……お前らみたいな奴らに心まで負けてたまるか……」

(せめて死ぬ前は誇り高く……)

 

見送ってくれた恋人に恥じないように心を強く持つ。次の瞬間には首を刎ねられてもと。

 

「ふぅん。心がけだけは立派じゃん♪ 

そういうの言われると……イジメたくなるんだよねぇ」

 

武器が消えると舌なめずりをしながらこちらを押し倒し、ズボンが引きずり下ろされる。

露出した男性器を見ると目を輝かせた。

 

「わっ♡結構いいの持ってる~。カスって言ったのは取り消しだね。

ついでにご褒美! 口も使ってあげる♪ まずは唾液をたら~……」

 

開かれたソラエルの口から大量の唾液がペニスに降り注ぐ。そのまま口に含まれて舌で竿全体に練りこまれると男の身体が燃えるように熱く。

ボーイッシュな顔立ちとは裏腹に一気に喉まで咥えこむ。竿全体をぐっぽぐぽとストロークし、先端を吸引しながら舌でくすぐる熟練の技。

たちまち男の息も荒くなった。

 

「う、お……ぐっ……」

「んっぷ、きゅっぷ、ちゅっぱぁ……淫魔(ボク)のフェラ、気持ちいいでしょ? 

射精したら終わり、殺しちゃうから頑張って耐えてね。あはは!!」

「殺したきゃ、殺せ……だが絶対アジトは……」

「ん? ああ別にどうでもいいよ。興味ないし。

……って言うかさ、そもそも今回の暗殺作戦がスムーズすぎるって思わなかった?」

「……まさか!」

「うん。ボクが情報を漏らしたの。

もっと言うと武器を横流ししたのもボクだし、お城の警備や図面を流したのもボク」

「なっ!?」

 

驚きで固まる男を放って飄々とした調子で語り続ける。

 

「ご主人様がたまには見せつけプレイもいいなっておっしゃるからさ。餌をばら撒いて観客を集めたってワケ。臣民達には見せられないけどキミ達(虫ケラ)なら殺しちゃえば済むし。

あと最近イラつくことがあったから暴れたかったんだよねぇ」

 

男達の決死の作戦を仕組んだと言う顔には少しも悪びれた様子がない。

全ては掌の上。覚悟も死も無価値だと嗤う。

 

「せっかくカッコつけたのに報われなくて残念だったね♡そんなの忘れてもっと楽しもうよ。ほらじゅぷぷぷ~!」

 

動揺が収まるより早く出し入れの勢いが増す。舌遣いも緻密で正確、それでいて大胆。

喉奥の肉まですべてが竿全体に吸い付く極上オナホのよう。強烈に締め付け、淫魔唾液が絶え間なく塗られて興奮も書き立てる。

さらに凶悪な敵である四天王にフェラをされているシチュエーションが男の理性も揺らがせた。もうどうせ死ぬなら、そして耐えても意味がないなら……蠱惑的に笑う紫色のアーモンド形をした瞳が最後の理性の堰を突き崩した。

恐る恐る股の間に埋められた美少女の頭へ手を伸ばし、触れてしまうともう離せない。

勢いよく自分から腰を打ち付け始めた。

 

「んっぐぅ! ……あはは! おにーさんもノってきたね! いいよぉ。ボクの頭オナホにしちゃって♡」

「くっそ! くそぉ!! 俺は、俺はぁ!!! 恋人にもこんな興奮……!!」

「ぶっじゅ! じゅっぺ! ぷじゅう! んれろれれろ~……へぇ、恋人いるんだ? 

なのにボクの誘惑フェラに負けちゃった? あはは、弱ーい♡」

 

物扱いしてもソラエルは少しも苦しそうにしない。

カリに引っ掛けるように舌を回し、飴をしゃぶるように先走りも水みたいに飲み干していく。

男の頭にすでに理性はない。目の前の淫魔に当てられ、ただの獣に還らされる。

 

「ねえ射精したい? 

もちろん射精したらおしまいだよ。死んでもらうけど」

「射精したい! 射精させてくれぇええええ!!!」

「あはは、おにーさん正直すぎ~♪ 

じゃあ最後にぃ……恋人さんとボク、どっちの口が気持ちいいか宣言しながら射精してね。嘘ついたらすっごい酷い殺し方するから。

それより気持ちよく絶命射精(サヨナラ)しよ♡」

 

スパートをかけて激しく命まで吸い取ろうとバキューム。鎧から出した胸を竿に当てられるとマシュマロのようなふわふわの質感が、喉のぴっちりした質感と緩急をつけて頭を焼く。

もう顔も思い出せない恋人を忘れ、男は少女の頭を自ら押し付けつつ欲望の猛りを解き放つ。

 

「うぉおおおお!! お、お前だ!! ソラエルの口の方が何倍も……キモチィィイイイイ!!!」

 

ちんぽが破裂したかと思う衝撃と快感。

男の生涯で最高最大の射精だった。体から力が抜けていく感覚の中で精も生も全てが肉棒から流れ出る。

その全てをソラエルは笑みさえ浮かべて受け止める。

 

「んじゅうううううう♡♡♡」

 

5分ほども続いた射精の間に男の身体が変わっていく。

若々しかった体から水分が失われてカラカラの干物みたいに。髪も全て白になって抜け落ちる。

やがて満足しきったソラエルが顔を離した。

 

「んっぷぅ♡元気一杯のぷりぷり無駄撃ちザーメンごちそうさま♪ 

ナイオーロ様の数万分の一くらいはカッコ良かったよ、おにーさん♡……ってもう死んじゃってるか」

 

干物になった男の死体に光弾を撃って焼却。

大きく伸びをしてザーメン臭いげっぷを一つ。それっきり彼女の頭の中から男のことは消え去った。

そしてピクッと耳を震わせて北西の空を見ると、口が裂けたような笑みを浮かべる。

 

「来たね♡」

 

◇

 

凶悪で淫乱な言動を繰り返すロギア帝国四天王、リリスティア・ソラエル。

彼女はかつて正義を掲げて戦った戦士、エクスティアの仲間だった。

しかし地球の守護者たるエクスティアは侵略者のロギア帝国に敗北。

そして負けた彼女達は闇に呑み込まれて帝国の軍門に降り変貌してしまった。

エクスティアはナイオーロの妻、ルクスリアに。

彼女の仲間であった4人の男女も彼の眷属、淫魔リリスティアに。

名前から分かる通りソラエルもそんな悪性の存在に堕ち果てた淫魔。

地球侵略が始まって2年。守護者を失った日本は征服・蹂躙され、大部分がロギア帝国に支配された国となっていたのである。

 

◇

 

幕間 警告あるいは牽制

ソラエルが観客の男達を狩りに追いかけた後。

首だけで生かされた男達を前に2度ルクスリアに射精し、満足した彼女を風呂へ送ったナイオーロは玉座に腰かけていた。

普段はずらりと大臣や将軍が並ぶ玉座の間。今日はプレイのために人払いしたので誰もいない。ゴミの死体も始末した後だ。

そんな誰もいない場所を睨んで虚無の空間を睨んで語り掛ける。

 

「いつまでそうしている。姿を見せたらどうだ?」

「隠れていたつもりはない。人間風に言えば気まずい空気を避けただけだよ」

 

空間が揺らぎ、中からボロボロの上着を着た明るい髪色の男が姿を見せる。

 

「本来なら八つ裂きに処すところだが独力で侵入した手腕は買ってやる。お前は誰だ?」

「カルデアの者、その名乗りが正しいかは人によるだろうがね」

 

ピクリと眉を動かす。わずかばかり心がざわめくが表情には出さない。

 

「コヤンスカヤからの情報にはなかったな。その外見は覚えがあるが……それでそのカルデアの者が何の用だ? 

入国希望なら有能な人材は歓迎するぜ」

「━━自発的に進化を止めた歴史。その在り方を見ておきたかった。ついでに王への挨拶と気を回したまで」

 

その物言いで始末するか考えていた頭が中止に傾く。

フードを目深に被って目線をあわせようとはしない様子。カルデアとの正面対決前に現れた謎の男。

知り尽くして退屈していたナイオーロにとって中々興味が湧く奴だ。

 

「この異聞帯はカルデアにとっての猛毒。大西洋、ブリテンを踏破した経験さえ役に立たない。あまりに異質が過ぎる」

「クク、褒めているのか?」

「裏表なく称賛だとも。樹の汚染に植樹と正気の沙汰ではない。ある意味ではモルガン以上に空想樹をただの道具(ツール)にしか見ていない」

「使えるものは使っただけだ。

昔は女に殺されるのもアリだったが今はそうもいかん。どう転ぼうが勝つのはオレ達でなくてはな」

「だろうな。私の見立てではカルデアが勝てる可能性は既に潰えている。この異聞帯を解決しようとする時点で負けたも同然だ」

「そこまで分かっていながら何もしないと? 

一応汎人類史側なんだろう」

「異星の神、モルガンの目的に比べればおまえはまだ良い結果を生む。星を星と巡らせるなら主役がすげ変わるだけに留まる。何よりここで終わればそれまでの話だ。

━━もう見る所もない。私は先に終わりの地へ向かう」

「あくまで自分の目的に固執するか。

ああ、玉座(ここ)へ侵入した手腕を買って一ついいことを教えておいてやる。南米異聞帯に行くのは止めておけ。カルデアと決着がつき次第、オレ達が異星の神の排除に移るからな」

「頭の片隅に置いておこう。

忠告の礼にこちらも一つ。いつも予測を裏返してきたのが彼らだ。お前の野望も捕らぬ狸の……とならなければいいがね」

「無用な心配だ。

そのための『仮想再現宝具』。そのための『庭』。お前が成せなかった大偉業の再演をもって、我らは虚構から現実へと昇華する。

せいぜい見ているがいいさ」

 

会話が終わり、溶けるようにしてカルデアの者は消滅。南米異聞帯へと向かったのだろう。

さて、ともう一人もっとずうずしく背後に立った侵入者へ視線を向ける。銀の身体をした、人外が跋扈する帝国でも見かけない異常な金属っぽい生命体。

カルデアの者と違い、こちらはナイオーロも把握していた。

 

「口もきけないなら失せろ女」

「……」

「無口で謎めいてばかりの女に魅力は感じん。我が異聞帯の空想樹もお前には枯らすことが出来ない。何もできませんでしたと主に泣きついてこい。

カルデアを解決した後で諸共に焼き払ってやる」

 

吐き捨てた言葉が終わる頃には異星の巫女も消滅。ミステリアスな女がいいという臣下もいるが、ナイオーロからすれば腹の読めない女など不要。

これで片付いたかと頬杖をつくと今度は通信が入る。

 

『ナイオーロ様、お休み中でしたか?』

「いや玉座だ。何かあったかリズエル」

 

ルクスリア、ソラエルと同じ眷属の1人、帝国の警察機構全般責任者であるリズエルからだ。

 

『対馬島のファクトリーに配置した観測部隊から入電がありました。嵐の壁を越えて侵入する飛行艇を発見と』

「ほう。ではついに来たか」

『すでにソラエルが急行中です。ご準備いただければと思い、連絡いたしました』

「ご苦労。アイツから連絡があればすぐに繋げ」

『かしこまりました』

「ククク、さて来るがいい。汎人類史の尖兵共よ。オレがお前らの未来を決めてやる」




というわけで第一話も一話のプロローグでした。
次回はナイオーロがカルデアと話す所からですね。
いきなりホームズ離脱から始まりましたがさてこれからどうなるのやら。
あと次回はエロをいれられるのか否かも謎。
妖精騎士達との出会いもあるし、まだまだやることはいっぱいです。
ではまた次回。
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