※この作品はR-18です。

エクスティア×FGO 異界魔導帝国ロギア・アース~堕ちた人理の希望~   作:王天君

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エクスティア×FGOシリーズ第15話。
主人公もついにその毒牙を向けられ、見ないようにしていた自分の絶望を直視させられて救済の道に堕ちていく。


第15節 隷基再臨 ロギアの巫女/5人目のリリスティア

デート出発?

「……空ってこんなに青かったっけ」

 

西暦2018年12月30日午前9時30分。

藤丸は息が白む中、正門に寄りかかってぼうっと捕らえられている城と街を交互に見比べる。中世の古城の雰囲気漂う帝城からは活気に満ちた城下町の様子が一望できる。部屋から見ていたから知っていたが、しっかり声まで聴くのは初めてだった。

更に遠くには帝都を囲むように作られた壁も見えるし、東の壁の向こうには桜色の雪と見紛う花粉を放出し続ける空想樹モンスターが聳え立つ。

昨日まで降っていた雪は止み、乾燥した冬の空に相応しいカラッと晴れた空模様。鳥がぴぃぴぃ鳴いて行きかう声を落ち着いて聞けるのも久しぶり。

なんだかひどく感傷的な気分にさせられる。

 

(こんな穏やかな時間も本当にいつぶりだろうな。ずっと戦って休んで取り戻して……何も考えずに空を見るのもなんだか懐かしい)

「だけど遅い。ったく、自分から誘っておいて……」

 

予定だと集合時間は9時。予定が無くても待ちぼうけを喰らって気分がいいわけもない。

なので適当にボヤいただけだったのだが、気を利かせたらしい野太い声が返ってきた。

 

「はは。ソラエル様も多忙でいらっしゃいますから」

「巫女様が羨ましいですよ。我らなどソラエル様と会話するのも恐れ多いのに逢引きとは」

「……いや普通に会話してますけど私達敵ですよね?」

 

少し距離を開けて立っている見張り兼警護役の5人の騎士達。剣吞な雰囲気よりありがたいが、約1週間前に城を襲撃したテロリスト同然の自分とよく会話してくれるものだ。これが自分だったら怖気づくか負の感情をむき出しにしてしまうかもしれない。

その辺り気になったのだが皆適当に笑うばかり。

 

「慣れてますから」

「敵を併合することも多い国なので同胞となられる巫女様と話すのも特に抵抗は」

「他2名も地下牢ですがそれなりに厚遇しておりますよ」

「陛下にとっての賓客なれば我らの賓客も同然ですな」

「それに貴方とは仲良くしておいた方がいいですし」

「……そっちがそれでいいならいいんですけど」

(また巫女……世話役の人も教えてくれないし騎士達も多分無理だろう。やっぱりソラエルに聞くしかないか)

 

そんなこんな時間が過ぎるが朝食後に軟禁されていた部屋からメイドの導きで出してもらい、もう30分は待ち続け。

いい加減一人で出かけてやろうかなと思ったタイミングで城の上の方から声が降ってきた。

 

「ごめんごめーん!!」

「うぷっ!?」

 

比喩とかじゃなく本当に落ちてきた。見慣れた蝙蝠っぽい黒い翼が開いて着地の勢いを殺し、舞い上がった風で視界が一瞬奪われる。

風が収まった時には目の前に、今では唯一会話ができる相手、ソラエルがパンパンと膝の埃を叩きながら立っていた。風が強かったのからすると城の部屋の窓から飛び降りたんだろう。

 

「お仕事してて遅れちゃったー。ごめんね藤丸クン。怒ってる?」

「怒ってるっていうか……まぁ別にいい。それよりその恰好は……」

 

こいつが色々と慌ただしくしているのは知っている。ふざけたように見えて真面目な奴だし。そのせいで自分は窮地に立たされているのは腹が立つけど。

ただ出会ってすぐ気になったのはそこじゃない。

 

「にゃは! 気づいちゃう? 気づいちゃうかあ~。そうだよねぇ、このボクの滅多に見ない私服だもんねぇ。お姉様がもう着ないからってくれたお下がりでお気に入りなんだー」

「いや服着てるのに驚いた」

「着てるよ!? いつも服着てないみたいな言い方やめて!」

 

心外そうにふくれっ面を見せるが、股間に前張り一枚張ってるのを服を着てると呼ぶかは人によると思う。

 

「何さもう! 人を露出狂の変態みたいに言って。

女の子がおめかししてるのにちょっとは褒めないとダメだよ?」

「……まぁ可愛いとは思う」

 

今日彼女が来ている服はクリーム色の長袖をしたカーディガンにピンク色の上下一体型で膝丈のワンピース。ダボっとした袖口と胸の下で結んだリボンが可愛らしさを強調していると思う。履いた短めのブーツにしてもゆるゆると柔らかい印象を受けさせるアイテム。

それに髪の色もいつものピンク色から茶色がかった黒髪と日本人的な風貌に変わっている。

見た目を整えると思った以上に普通の美少女だから驚かされる。

思ったまま具体的に褒めると今度は膨れさせていた頬を緩めて破顔。ほにゃほにゃした笑顔で飛びついてきた。

 

「にへへ~。でしょでしょ! いつもは動きやすさ重視なのを着るけど今日は大事な日だから気合入れて……って……」

「こ、今度は何だよ?」

 

また表情を変えて食い入るような目つきで急に睨んできた。頭のてっぺんからつま先までジロジロと、戦っている時より真剣なんじゃないかって勢い。

 

「━━い」

「は?」

「全然可愛くなーい!!! なんで制服のまんまなの!! クローゼットにたくさん服用意したよね!? なんで着てないのさ!! こんなのおっぱいついて可愛いだけの男の子じゃん!!」

「私は男だ!!」

 

思わずつられて怒鳴り返す。

今日着ている服は異聞帯探索が始まってからずっと着ている極地用制服と呼ばれる服。女になってからも替えが無かったせいでベルトで強引に押さえた前のボタンの隙間から胸の谷間が見えてしまっている。さすがにそのまま出歩く勇気はないので黒のロングコートを借りたのだがお気に召さなかったらしい。

だからってクローゼットに入っていた服はどれもこれもヒラヒラやフリフリの女の子っぽい服ばかり。あれで出かけろと言われたら部屋に閉じこもってやる。

しばらくお互いに言い合い、はぁはぁと吐き出す息が白く見えるくらい荒くなった。

 

「ソラエル様と対等に話されるとは」

「やはり巫女様。大層な勇気をお持ちだ」

 

感心したように騎士達が喋るがそれでいいのか。そもそも誰でもこれくらい普通に喋れそうな相手なのに。

しばらくソラエルは指を折って何か計算していたが、やがて諦めたようにため息。

 

「はぁ……ま、いいか。最初はショッピングの予定だし。可愛い服選んだげる」

「いや私は今のままでいいって」

「本当にいいのかなー? この服、街を歩いてたら浮いちゃうんじゃないの」

「ひゃぅ!?」

 

開いた胸の隙間に指先を差し込まれて谷間をなぞられる。くすぐったさと冷えた指の冷たさが同時に襲ってきて変な声が出ちゃった。

確かに彼女の言うことも一理ある。制服って名前通りカルデアにはなじむが帝国の街中では明らかに場違い。ジロジロみられるのはあまり気が進まない。

しかしコイツのセンスに任せた服を着るとなると……痴女も真っ青な服を着せられそう。

 

「お前に選んでもらうのはちょっと……」

「じゃあじゃあこうしよう!」

「話聞けって……で何?」

「これからお出かけしたところでボクと勝負するの。それでキミが勝ったら言うこと聞いてあげる。服も男っぽいのにしろって言うならちゃんと選んだげるしー、色々聞きたいこともあるでしょ。そういうのも教えてあげちゃう。

その代わり負けちゃったらボクのお願いを聞いてもらうってことで。あ、それと別に罰ゲームアリね♪ 

これならどう?」

 

こちらの答え一つに五つくらいの勢いで提案が返ってきた。

どうも何も、

 

「私の方がリスク高くない?」

「それは仕方ないよ。藤丸クン捕虜だもん。無理やりにしないでチャンスを上げてるだけですごいサービスなんだから」

「……それもそうか」

 

納得したくないが納得。どうせここで言い争っても部屋に閉じこもっているのと変わらない。

だったら少しでも可能性がある道に賭けて出かけた方がいいだろう。

 

「決まった?」

「分かったよ。ここで喋っても埒が明かないし。その代わり私が勝ったらちゃんと約束は守ってもらうからな」

「もちもちOK! 藤丸クンこそちゃんと言うこと聞いてよね。

━━じゃ、しゅっぱーつ! 皆―行ってくるねー!!」

「あ、こら! 引っ張るなって!!」

「お気を付けて」

 

そもそも服を買うこと自体拒否して出かける道が頭から抜け落ちたまま、藤丸はソラエルに腕を引かれて城門から歩き出した。

人として最後となるこの日を。

 

◇

 

デートその1 服選び

━━帝都 大通り━━

 

ソラエルに腕を引かれ、驚くほどよく知る日本と異世界の交わった街並みを行く。彼女は堂々と前を向き、自分は服の露出などもあってコートにフードも被ってかなり怪しげな格好で。

今いるのはとても開けた大通り。馬車や荷車を引く人で大賑わい。道の両脇には屋台が並び、野菜や果物や装飾品や調度品とそれなりの市場っぽい。

例の街を囲う壁にはナイオーロを称える文章らしいものが書かれたポスターがデカデカと貼られていた。どれもこれも好意的な反応をしている感じからして人気者みたい。

異世界らしさもあって特に人間とは違う獣の頭をした人や掌サイズの妖精、耳の尖ったエルフみたいな人がそこら中にいる。不思議と言葉は音が違っても日本語として聞き取ることが出来た。

そんなあまりにも異界の街を敵幹部の少女の腕だけを頼りに進んでいる事実を考えると、急激な不安がこみあげてくる。

 

(本当に別世界に来たみたい……私一人で)

 

もしここでソラエルとはぐれたら。頼れる相手は他にいない。逃げる場所もない。もし襲われでもしたら城に逃げるしかない。

そんな事実を再認識すると惨めで泣きたくなる。

今までの異聞帯にも人間らしからぬ相手はいた。ヤガも妖精も。だが決定的に違うのは自分が一人だってこと。

 

(いつも守られてばかりだったもんな)

 

気づくと肘を掴むソラエルの腕に思わず手を重ねていた。

 

「んー? 

どうしたの藤丸クン」

「……あ、いや……別に」

「ふふーん。そっかそっかー♪」

 

ニヤニヤと嬉しそうに頬を緩めるのがムカつく。でも本気で苛立ちってわけでもなくて、どちらかというと悪友に意地悪されて不満に思う気持ちに似ている。

深く考えるとなんだか変な気持ちになりそうだったので話題を切り替える。

 

「と、ところでなんか活気があるけど何かの祭りでもしてるのか?」

「帝都設立の1周年を祝ったお祭。このまま大晦日までお祝いムードの予定だよ」

「大晦日あるんだ……そういえば先帝って人が1年前から半年くらいお前達と戦ったとか所長が言ってたな」

「半年? あははっ!! あのジジイ、ずいぶん盛ったねー。

実際はその半分くらいかな。で、その後に難民たちの生活安定でもう半分かかったって感じかな」

 

けらけら笑う姿はどこからどう見てもただの女の子。これまでの経緯がないと幼馴染かって言いたくなるような距離感で親しげに笑う。

その笑みは不思議と見ているだけで心から不安とか迷いが薄れていくような気がした。

 

「意外だな。お前達、他の人とかどうでもいいって思ってそうなのに」

「ん? どうでもいいよ。ちやほやされるの好きだけど陛下が殺せって言ったら殺すし」

「っ」

 

それまでと全く変わらない調子で語る。表情も声にも全く変わりがない。この角を曲がって~と買い物の目的地の方が大事だと腕をまた引かれた。

 

「……どうでもいいのに都まで作ったのか?」

「皇帝には臣下も治める街も必要でしょ。いくらボクらがいても陛下の為に尽くす民がいないと国にならないもん。だからちゃんと生かしてあげてるってわけ」

 

人命とかそういうのへのこだわりが一切ない答え。ただ主人に価値があるからって言い方だった。

北海道や関門海峡でも命に拘りがないのは分かっていたが自分の国民にさえもとは……悪意の一切ない喋り方に怒っていいのかこっちが迷う。

 

「ここここ!! さ、入ろう」

 

何かを言う前に目的の店に到着。石造りの街並みに溶けあった中世風の店構え。

一方でショーウィンドウにはこちらの流行らしいよく分からない服や自分も見覚えがあるようなデザインの服がたくさん並んでいる。後何故かソラエルがよく着ているような痴女っぽい服も飾ってある。

外からも店の中が見えるガラス張りにもなっていて、中では沢山の女性が服を片手に談笑しているのが見える。

ふと店の扉の上に帝国軍のマークを表したレリーフが彫られているのに気づく。

 

「あれって軍のマークなんじゃないのか?」

「ボクがオーナーやってるからねー。分かりやすい表現だとケツ持ちって奴?」

「……え”」

「こんにちは~」

 

サラッとまたとんでもないことを暴露。しかし大したことでもないとスタスタ腕を引いて店の中へ。

入るとすぐに店中から視線が刺さる。大部分はソラエルだが自分も確実に見られている。見た目が女だから不審者扱いされないと思うがやっぱり居心地は悪い。

 

「ふふーん。藤丸クンは後ろに立ってなよ。心配しなくてもすぐ皆注目しなくなるって」

 

そうなのか? と戸惑う間に偉い人らしい紺のスーツを着た綺麗な30代くらいの女の人が駆け寄ってきた。首元には鈍い銀色をした金属製の小さな首輪が付いている。

 

「これはこれはソラエル様!!! ようこそいらっしゃいました。新しい衣装の期日にはまだ早かったかと存じますが……」

「新しい妹に似合う服買いに着ましたー! あ、あとお忍びだからソラちゃんでよろしく」

「承知しましたソラ様」

 

旧知の仲って感じで気安く喋る2人。お店の女性は見た所、ソラエルとかよりもさらに人間っぽくて自分と同じ普通の人間みたい。

そこでソラエルの陰にいたこちらにも気づいた様子でパッと顔を輝かせる。

 

「あらぁ!! またこれはクールな美人さん! 服装は何だかアウトドア派の格好ですけど胸が……コートは帝国性? 何だか随分不思議なコーディネート。この方が新しい彼女さん?」

「陛下が許されたらそうなるかも」

「ないだろ!! いや私を置いて会話するな!!」

「ああ申し訳ございません。お客様へのご挨拶が遅れてしまいました。私こちらのお店で店長をしている者です。どうぞお見知りおきを。ソラ様のお連れ様ならこれからもご贔屓頂けることと存じます」

 

差し出された名刺を一瞥。チラッと見た名前は明らかに日本人のもの。

ということはここは日本人が経営してる店? 

帝国の街の中で? 

わけがわからないので横で上着を脱ぎだしたソラエルに耳打ち。

 

「……日本人だよなこの人。知り合いなのか?」

「まぁね~。人間だった頃から色々買わせてもらってて……2年くらい? いいお店だから気に入ってるんだ」

「……古い知り合いだから守ったとか?」

「あはは! ボクそんなに善人に見えるの?」

 

くすくすっと小鳥が囀るような笑いをするが中身は邪悪そのもの。本当に見た目と中身が上手くかみ合わない奴だ。

今度はふぅとため息交じりに肩を落とした。

 

「カルローン(向こう)が崩壊して難民が文化と一緒に流れてきたけどこれが古臭くってさ。服は特に高級品以外デザインも柄もあったもんじゃなくてね。

街として機能させるには日本(こっち)の人間もある程度必要ってことになったの。で、収容所に入れてた人間の中で店長を見つけてね。前に服のことで教えてもらった人だしお店経営してみないって誘ったの。これが成功したから他にも才能ある人や特別な仕事ができる人は恩赦で外に出られるんだ」

「恩赦、ね」

 

罪を犯したわけでもない人間を捕らえておいて利用しているくせに恩着せがましい。

しかもそれをうしろめたさの欠片もない表情で言うから怖い。よくもここまで残酷になれるものだ。それでいて妙にコイツから感じる親しみというか、居心地の良さみたいなののせいで距離を置くのも難しくて腹が立つ。

 

「色々いるよ。コックさんとか電車の運転士とか音楽家とか……そういう人は店長さんみたいに特別な帝国の紋章与えられてる名誉帝国人って扱いなの。真っ当に暮らしていけるからいい方だと思う。

特に特技もないのは奴隷行きだけどね」

「……その後は?」

「知らなーい。運が良かったらいい飼い主に買ってもらえるんじゃない?」

「っ……そうか」

 

なんとも身勝手な話。しかしそれを怒ることも咎めることもここでは無意味だ。

だって目の前で何かがされているわけでもなく、既に社会の枠組みとしてそうなっているなら彼女一人に何か言うのもお門違い。

 

「外にいる人間は皆首輪をつけることになってるの。どこにいるか分かるのと一緒に帝国の所有物って証明書。これをつけてないと騎士とか奴隷商人に目をつけられるんだ」

「私達は? 何もつけてないけど」

「平気平気。藤丸クンの使ってるコートは陛下の紋章が入ってるからね。ボクはいざとなったら変身を解けるし」

 

サラッというが部屋の服に仕込んである辺り、コイツの用意周到さが覗える。

同じ人間として色々と複雑な気持ちで店長を見るが、あちらは特に現状にも不満はなさそうだった。今もソラエルにウキウキした顔で接客してるし。

なら言うべきことじゃない、仕方ないと割り切ると店長さんがソラエルにも楽しげな表情を向ける。

 

「それで本日はどのような服をお求めで? 

今度こそあの服、買われます?」

「そうだね。アズ姉ちゃんの時は買えなかったし……藤丸クン。それじゃここで一回目の勝負やろっか」

「さっき城で言ってたのか。いいよ、やろう。オレが勝ったら━━」

「まともな服を選んであげるし命令してもいいよ。その代わり負けたら……ボクの選んだ服を着てもらって罰ゲームね」

「分かった。種目は?」

「シンプルにじゃんけんで。それじゃ行くよー。じゃん、けん━━ぽん!!」

 

 

◇

 

 

「……く、屈辱だ」

『藤丸クンまだー?』

「も、もうちょっと待ってろ!! 着るの難しいんだって!」

 

勝負から5分後。藤丸は店の試着室の中にいた。かなり大きな店だけあって着替えるだけのこの場所もかなりの広さ。自分一人だけだがもう一人くらいは一緒に着替えられそう。清潔感ある白い壁に眩い照明、外とは薄い扉が一枚で中々しっかりしている。ソラエルが任せただけあって店の中もしっかり現代的に仕上げてあるらしい。

 

(しかし何の服なんだ。負けた私が言えることじゃないけど)

 

勝負にはあっさり負けた。それはもう拍子抜けするくらい簡単に。その結果でここにいるわけだ。

渡された服を箱から取り出して持ち上げる。まずはワンピース。上下一体型で長袖の腕に膝丈のミニスカートが特徴。白黒が織り交ぜられた派手でありつつもどこか落ち着いた雰囲気。

 

(というかアイツ、こっちの掌が動いてから手を出したような……サーヴァント並の動体視力で見切れるのか?)

 

種目に異論をはさむ余裕がなかったのが敗因。多分種目変更を言い出されないようにすぐ勝負したのだろうが。気づいた時には負けていてにんまり笑ったソラエルがすごいスピードでこちらを試着室に入れ、コレ着て!! と服を渡してきた。一応着替えを外で待つ常識はあるらしい。

勝負内容に不正疑惑があるが負けは負け。なにより店の入り口で騒いで他の人に胸がパックリ空いた制服姿をじろじろ見られるのはきつかったし。

 

(しかしこれは……ワンピースにしてはなんだか違う気が)

 

着方が分からず悪戦苦闘。頭を先に通して、首元と手首のボタンをパチパチ留める。背中にファスナーがついていたのでずり上げると一気に安定した。胸周りはかなり余裕がある作りになっていてマシュ並の巨乳になった今でも全然きつくない。

胸の下に紐で結ぶ黒いコルセットを巻き、それについた短い黒布が白いスカートの上にふわっと広がる。胸には布で隠された谷間を強調するようにフリル付きの紐が首元からコルセットの下まで挟まれている。

 

(ストッキング……長い靴下だと思えば……うう、なんか変な感じが)

 

抵抗感も強いが覚悟を決めて片足ずつ通して足が太ももまで黒いツヤツヤの布に覆われる。

残りの装飾品を身につけながら体を起こし、鏡を見ると自分でヒきそうになった。

 

(アイツマジかよ……いや服は可愛いけど……それが分かる私もどうかしてるけど)

 

着替え終わって鏡に映る私はメイド服をオシャレに改造したドレスを着ていた。

袖口はボタンで留めた上に黒のシュシュを赤い紐で結びつけ、首元にも胸の紐の上から赤と黒の蝶ネクタイ型のリボンをくっつける。リボンの中心にあしらわれた赤いバラが印象的。

肩口にも黒布と赤いラインの入ったフリルの布が付いていて悪っぽさと可愛らしさを強調。

頭にも黒と白のカチューシャをはめ、太さの違う赤色のリボンを真上と両サイドにくっつける。

 

(これって……)

「メイド服?」

『もういいよねー?』

「え、ちょ、ま……」

「開けたよー……うわっ! 藤丸クン似合ってるー!!」

 

こっちの回答も待たずにカーテンを開けて入ってくるソラエル。こちらを見た途端、すごく嬉しそうに笑ってくる。後ろでは店長さんがあらぁって感じに口元を押さえてるし。

そういう反応されると少し嬉しいような……

 

(……ってなんで少し嬉しがってるんだ私)

「似合ってないだろ。私は背が高いしこういうのは……」

「そんなことないよ。本場のメイドさんにも負けないって。

あ、でも藤丸クンは髪長いからロングスカートの方が似合いそうだね。後で店長さんに頼まないと」

「楽しむなってのに。まさかメイド服でこの後もついて来いって言うんじゃないだろうな」

「あはは!! まさかぁ。いくらボクでもメイド服で外歩けとは言わないよ」

「じゃあなんで着せたんだよ……」

「えー。お城のメイドさんはキッチリしすぎててエロ可愛くないし、アズ姉ちゃんの時はこっちも買う余裕なかったし……」

 

最後辺りがよく聞き取れない。アズ姉ちゃんってアズエルのことだ。なぜ彼女がここで出てくるのやら。ただ似合っているという評価は本音みたい。褒められて妙に嬉しい気持ちが胸の中へ生まれてくる。

 

(違う……これは折角着た服が似合っているのが嬉しいんであって別にソラエルの言葉が嬉しいわけじゃ……考えるな考えるな。とっととコイツに気に入らせて終わりにしよう)

 

自分でも誰に説明しているのか分からない。心の中の言葉も半分本音で半分嘘。楽しそうにこちらを見てもらうと何とも言えず温かい気持ちが胸の中に宿るのだ。

 

「妹になった藤丸クンと一緒にメイドプレイもしてみたいなーってのが選んだ理由カナ。店長さん、それじゃこのメイド服2着買うね。ロングとミニでスカート分けて、ミニがボク、ロングは妹のサイズで調整お願い」

「かしこまりました。毎度ありがとうございます」

 

良く分からないがお気に召したらしい。

溜息を吐きながら早く脱いで元の服をと手を伸ばすが、何故か脱いだばかりの制服が見当たらない。

 

「あれ? ハンガーにかけて壁にちゃんと……」

「じゃ、次はこっちいってみよっか♪」

「いや私の服どこ……って何だよこれ!?」

 

呑気なことをと思って振り返った所に突き出されたのは黒い紐にわずかな三角形の布がついた服……つまり、

 

「水着!?」

「そそ水着だよん~♡黒色が大人っぽくてとってもエロくて可愛いでしょ?」

 

自信満々に突きだされるハンガーにかかった水着。よくよく見れば本当に紐ってわけじゃない。三角ビキニって呼ばれるタイプで胸をしっかり寄せて谷間を作ったり、腰の両サイドに可愛い黒のリボンがついていたりとセクシーさとおしゃれを両立している。

マシュが着ていたら多分見てしまう自信もある。しかし自分で着るのは色々ハードルが高い。

 

「き、着ないからな!!」

「何言ってんのさこれくらいで。他にもまだまだあるからね。

あ、制服ならさっきクリーニングに出しといたよ。観念して着ないと動けないから」

「何してくれてんだ!! それにまだまだって……げっ」

 

ソラエルの体の陰には大量の服とそれっぽいものが籠に入れて積まれていた。

ドレスとかコートとかに始まり、ビキニをさらに際どくしたようなV字ハイレグ水着、果てはスク水、バニーガールとどう考えても服じゃないだろって服のオンパレード。

 

「いやー、藤丸クンに着せる服のことだけ考えてこの1ヵ月戦ってたからさ。まだまだ着せ替え人形になってもらうよん」

「もっとまともなこと考えろ……って待て! 止めろ! 絶対その紐とか━━」

「ほらほら。よいではないか~♡」

 

 

◇

 

 

店の時計で1時間くらい、体感はその数倍の時間が経ってようやくソラエルはツヤツヤした顔で服を渡してくるのを止めた。

 

「はぁー!! 満足満足。やっぱり可愛い子に可愛い服を着せるってすごくいいよねぇ。あ、店長さん! ここまで試着したの全部買うからお城に送っといてー!」

「かしこまりました」

 

言いつけられた店長がバタバタ嬉しそうに走り去っていく。そりゃ一人で10着以上買い上げなんて上客何だろう。ソラエルの趣味に付き合わされたこっちはたまったものじゃないが。

 

「お前……そろそろ……普通の服をだな……」

 

備え付けの椅子に座りこんで渡されていたチャイナドレスを押し返す。

今の格好はというと制服の下に着ていたインナーシャツ一枚と男物のトランクス。最低限としてこれだけは肌身離さず持っていたので取られずに済んだ。

 

(バニーとか水着はもう急いで着て脱いだけど……そろそろ終わってくれないと辛い。特に精神的に)

 

ほぼ無心で着ていたが色々といちいち楽しそうな反応が出来るコイツの心が分からない。体が女だからって中身は男なのに何が面白いんだか。テンションについていけず、こっちはグロッキー気味。もう何でもいいからまともな服を買ってここを出たい。

そんな疲れから出たセリフを聞いたソラエルは何故か一瞬止まり、次いで笑みをより深いものに変えた。

 

「それじゃあ次はボクが着替えさせてあげる。

じっとしててくれればいいよ……ここからが本番だし」

「本番って……また変な服じゃないだろうな」

「ふふふ、だいじょーぶ! 今度は普通の服だから。

ボクも楽しませてもらったし、ちゃんと選んだんだよ。キミに似合う服を、ね♡」

 

誘うように伸ばされた手を取ると不思議と軽やかに体が立ち上がる。姿見の前に直立の姿勢で立たされて後ろから抱き着いた彼女の甘い匂いに包まれた。

 

「ほら鏡見て。そこには誰が映ってる?」

「誰って……そんなの……」

 

自分とソラエルに決まっている。

喋りながら視線を移せばそこには男物の下着を着た自分と私服でニマニマ笑うソラエルがいるだけ。それだけなのに不思議と彼女に抱きしめられて鏡に映る自分から目が離せない。

 

「んふふ。そうだねキミとボク。可愛い女の子が2人でお着換えしてるだけ」

 

喋りながらスッと腕が体の前へ回され、頬をさわさわと撫でまわす。

 

「とっても可愛くて綺麗な子だね。嫉妬しちゃいそう」

「あ……」

(これが、私……?)

 

ソラエルの腕の中にいる少女。自分のはずなのになぜかすごく色っぽくて別人みたい。

 

「ああ……本当に可愛いね。すっごい可愛い。ボクが見込んだ通り、キミも女の子の素質で一杯だったんだ」

「可愛いとか……変なこと言うなって……私は……」

「可愛い女の子に可愛いって言ってるだけだよ。ほらもっと鏡見て」

 

ここまでのはなんというか過激でも自分で着替えられていたので気が楽だった。ソラエルもひたすら着せ替え人形にして楽しんでいるだけと分かっていたこともある。

しかし今の彼女から漂う雰囲気は人懐っこくもどこか淫猥。人間の姿なのに淫魔の尻尾がうねっているように見える。

 

「余計なものは脱いじゃおうか」

「あっ……」

「ふふっ。恥ずかしい所、隠しちゃダーメ♡」

 

彼女が指を振るとインナーとトランクスが消え、隠れていた胸と股間が露になる。Eカップはありそうな巨乳と今も男としての自分を保てる象徴━━肉棒が露になった。

しかしそこももう以前とは別。男性器の下には以前無かったぴっちり綺麗に伸びた縦のワレメが一本……おまんこと呼ばれる女性器が出来てしまっている。

 

「マシュちゃんが堕ちた時に出来ちゃったんだってね。可愛いつるつるおまんこ♡」

「あっ! んぅっ……やっ……触んなっ!」

「まだ上から触っただけだよ? なのにしっかり感じちゃって感度十分♡もう男の子っていうか、ふたなりだね」

 

片手がすぐに伸び、優しくマッサージのような力加減でワレメを上下。細くて綺麗な指が肉竿と秘裂へ触れる光景が鏡で見える。

ペニスとヴァギナ、両方から快感を得ている自分を見せつけられる。とろっと流れ出した先走りと愛液を混ぜながら指に絡めて更に触れてくる……と思ったがここで性器から手を放すと鏡越しに目線を合わせて舐めとった。

 

「━━れろっ♡くすくす、えっちなお味♡」

「な……んで……」

「ん? だって大きくなったらちんぽ、邪魔になっちゃうもん。今は服を買いに来てるって忘れちゃダメだよ。

まずは下着から履かせてあげる」

 

取り出されたのは黒いレースの紐パン。彼女の言葉に逆らえなくて前に広げられると自分から足を差し込んでしまう。両足が通ったことを認めるとスーって肌に触れながらショーツが引き上げられる。

 

「ふぁっ……あ、ああっ……」

「ショーツを履いただけで気持ちよさそうな声上げちゃって。でも分かるよ。肌触りもとっても滑らかで男のなんかと全然違うよね」

 

確かにその通り。軽く肌に擦れただけでくすぐったさが混じる快感が足から股間へ伸びてくる。

自分の服を着ていた時、さっきまで着替えていた時とまるで感じ方が違う。

 

(なんだかぞわぞわが……どうして……あんっ)

「ほら履けたよ。黒くてエッチな下着、可愛くてカッコイイキミにとっても似合ってる」

 

前面が半透明で細かく彫られた模様が白い肌に映えてエロチック。サイドは飾り気がないただの黒紐だが、それも逆に素材の味を引き立たせることに終始している印象を受ける。それに素材自体がきめ細かく糸を編みこんだ高級品っぽい。

締め付けを少し苦しいともがく肉棒の膨らみも合わさり、水着よりずっといやらしい。

さっきまで面倒だった着替え一つにとても心がかき乱される。思わず裸の胸を押さえると柔らかい膨らみが背中に当てられた。

 

「こうやって密着してると何でも分かっちゃう。君の心臓が凄くバクバクしてることもちんぽ固くなってきてることも♡女の子の服を着て興奮しちゃった?」

「そんなわけ、ない。第一なんでこんな下着を……」

「内緒。それにまだ着替えは始まったばっかり。次はストッキングだよ」

 

促されるままにつるつると滑らかな肌触りの黒のストッキングを履かされる。右足、左足とスルスル抵抗なく白い肌へ黒い布を纏っていくのがなんだか背徳的。

 

「余分な毛なんて全然ないキミの足もきれいだね。真っ白な体をラッピングしてるみたい」

 

心臓の鼓動がどんどん高まっていく。

鑑の中にいるのは本当に自分? 

裸にショーツとストッキングだけの姿で、少し赤く染めた頬をしながらソラエルに抱かれるこの少女が。

 

「さ、次はブラ。これも頑張って選んだんだから」

 

ブラジャーもやっぱり黒色。もう頭から抵抗することは抜けていて目の前の少女がソラエルの手で彩られていくことに集中させられる。

腕を片側ずつ通され、胸を寄せながら谷間を作りつつブラジャーも着せられる。

 

「ふふん。おっぱいも大きくなったね。これならご主人様もすごく喜んでくれそう」

「お前が……大きく……んひぁぅ!」

「違うよ。ボクはきっかけをあげただけ。こんなに大きいおっぱいになったのはそれだけキミの中にメスとしての素質、女の子の素質が眠ってただけだよ」

 

着せられたブラジャーも紐パンと並んでいやらしいデザイン。全体が薄く透けていてレースの模様が肌に刻まれた刻印みたいに見えるのは共通。特に乳首の前が縦にパックリ空いていて丸見えなセクシーすぎる作り。特徴的なのがブラ紐を肩にかけず、首輪のように巻く形になっていることだった。おかげで谷間がさらに強く強調されて胸が溢れんばかり。

 

(こんな格好させられてるのに……怒るとかじゃなくて……私、ドキドキが止まらない)

「ふふっ。自分に見惚れちゃって可愛い♡

リズ姉ちゃんと少し似てるかな。長い髪とキリっとした顔がボクと真逆のカッコイイ美人って感じ♡

女の子から人気出ちゃうかもね~。藤丸クン、たらしっぽいし。男に大人気なボクとやっぱり相性いいじゃん♡」

「女の子に人気とか……別に……」

「そうだね。だってボクらが認められたいお方はただ一人。ナイオーロ様だけだもん」

「ナイ、オーロ」

「想像してみて。このエッチなランジェリーでオシャレしたキミを唯一好きに犯せるあのお方を。こんなに可愛くてカッコイイのにメスとして従えちゃうご主人様を。

とっても気持ちよくなれるんじゃない?」

 

その名前を口にした途端、眠っているようだった首と下腹部の淫紋が少しずつ明るさを取り戻す。

同時に胸の中へ忘れようもない男の姿が浮かぶ。マシュを堕として洗脳した敵。妖精騎士たちや仲間をそのたくましい体と力で我が物にしてきた皇帝。

 

(敵なのに……アイツを考えるとなんだか胸が……)

 

きっとこんなエロい下着で前に立てば抱かれてしまう。マシュのように英霊を宿した肉体さえ赤子のようにあしらう男だ。自分なんて子供より簡単に押し倒され、乱暴に犯されるだろう。

そしてこの黒い紐パンで着飾った秘裂へちんぽを強引に突き立て、我を失うほどの快感を……

 

「にゃふふ。目がトロ~ンってしてきてるよ。そんなに御主人様に抱かれるの想像して興奮したんだ」

「ち……ちがう……ちがうって……そんなわけ……ない」

「まぁまぁいいじゃん。まずはもっと女の子にならないとね。ほら残りの服も着ちゃお♡」

 

そのままさらに服を身につけさせられる。

ボトムスは丈の短い水色のデニムホットパンツ。紐パンのおかげで下着のラインは出ないが、短すぎて裾からお尻が見えてしまいそう。

トップスは前から見ると黒い一枚の布をX状に巻きつけたようなネクタイフロント。通常のブラジャーだと紐が見えそうだが、ソラエルが用意した首にかけるタイプだと全く問題がない。

二重に締め付けつつも上手く空いた谷間のスペースからはブラに邪魔されない下乳が僅かに見えている。ヘソと鍛えて引き締まったお腹が大胆に見えた服装である。腹筋も女体化のせいでだいぶ薄くなってしまったが、今はむしろ健康的な肉感に見えて男の目を引きそうだった。

 

(まただ……また自分を見て私……とってもドキドキしてる……別人になっちゃったみたい)

 

後は髪を結んで上着を羽織れば完成とソラエルが囁くのを聞きながら鏡に見惚れていた。

大胆に露出した肩やヘソ、それにパンツとストッキングの間の白さがタイトなデザインの服で引き立てられている。

男の時の自分には全く抱いたことのない感動みたいな思いを抱ける姿だった。

 

「今のキミが本当のキミだよ。藤丸クン……ううん、リツカちゃん♡」

「り、つか……?」

「そう。ボクの妹のリツカちゃん♡

自分が女の子だって自覚しながら着るの、ただ服を着るのと全然違うでしょ?」

 

違った。

今までの服も似合っていると言われると認め難い嬉しさが芽生えたが、ソラエルにゆっくり体に触れられながら着せられた服は着ているだけで妙な高揚感が宿る。ショーツとパンツの中で勃起した肉棒がくっきり輪郭を浮かばせてしまっている。

 

「おかしいだろ……こんな……男なのに……女の自分に興奮とか……」

「おかしくないって。ボクも可愛い子を見ると興奮しちゃうもん。この勃起ちんぽはキミが自分でも見惚れるくらい美人って証拠なの。その証拠にボクも心臓、すごくドキドキしてる」

「あぅっ……い、今触られるとぉ……」

(ソラエルの柔らかい胸がもにゅもにゅって指に吸い付いて……ああでも……本当に心臓、脈打ってる……私を見て……こんなに興奮してるんだ)

 

前にも回り込んだ彼女が手を取って自分の胸へ押し付けさせる。そしてもう片方の手でちんぽをパンツの上から撫でまわす。

ゴシゴシって強くするわけじゃない。優しく形を愛おしんで彼女自身の手に覚えさせるような力加減。慣れた男の性感を刺激されると興奮も当然強くなってパンツの中でギンギンにはちきれそう。

胸の沈み込むような柔らかさと肉棒を可愛がる指先に悶えずにいられない。

でも同じくらい、自分の体に彼女が興奮している事実にまた胸が高鳴ってしまう。

 

「お姉ちゃんって呼んで欲しいな♡せっかく女の子になってくれてるんだから。

嫌がっちゃダメ。勝者に従いなさーい」

 

ドロドロと溶け合うような触れ合いの中の囁き。

一段と自分を堕としていく彼女の表現に躊躇うも、首の淫紋が薄く光ると徐々に抵抗感が消えていく。

そして何度か口を開け示した挙句、

 

「お……」

「お?」

「お、ねえ……ちゃん……」

「にひひ~♡そうそう! しっくりくるでしょ。それでいいの。女の子のキミが本当のキミなんだからさ」

「あ……」

 

そこまで話すと手が勃起から離れ、胸も遠ざかってしまう。途端に襲うのは虚しさと彼女の温もりが消えた寂寥感。

認めてはいけない。どんな理由があっても敵の体に触れることを求めるなんて。

彼女の甘い匂いも距離が出来たおかげで薄れ、正常な意識が少しずつ戻ってきた。

 

「はぁっ……うっ……あぁっ……!」

(落ち着かないと……ちんぽも……早く小さくなって!)

 

必死に頭から肉欲を追いやる。この店にいるから変なことばかり考えてしまうのだ。

もう着替えも終わった。長居する理由はない。出て歩き出せば股間の熱さだって直に消えるし、ソラエルの視線も気にならなくなるはず。

上着とコートを着ようとして妙なことに気づく。

 

(この下着……それにパンツも穴が空く?)

 

紐パンはお尻側にも布地がある。しかし丁度アナルの前辺りに切れ込みが入っていて何かを出し入れできるような形状になっていた。男性用下着の前側みたいな構造に近い。

ホットパンツはもっと露骨でお尻のラインに沿ってスライダーの走るジッパーが付いている。上げ下げ用の引手が2つついていて好きな場所で開けるようだ。

見たことない構造で何のためについているのか全く分からない。

 

「ソラエル?」

「……」

 

鼻歌を歌って持っていたポーチの中を漁っている。聞こえないはずがないのでちゃんと呼べってことだろう。

 

「お、お姉ちゃん」

「なにー?」

 

思った通りというかお姉ちゃん呼びした途端に笑ってこっちを見てきた。

呼べば呼ぶほどなんだか口に馴染むようで少し恐ろしい。

 

「この服お尻の辺りに穴が空いてるんだけど……すごいスース―する」

「ああそれ? うん、テイルモデルだからね」

「尾(テイル)モデル?」

「そのまま尻尾が生えてる種族用の服ってこと。他にも有翼種用のウィングモデルとか多腕種用のアームモデルとか……色んな需要があるから作ってるの」

「それは分かったけど……なんで私に? 

お前達みたいに生まれ変わってから着れるようにってことか?」

「にゃはは。違う違う、そういうことじゃないよ」

 

顔の前で手を振るとあったあったと言いながらポーチの中から何か長いものを引きずり出した。

それは紫色の長さ1mくらいのロープみたいな道具だった。先端は♡をつけた尻尾みたいな外見。彼女が握っている部分はたくさんの節が付いた果物みたい。小さなパイナップルが近いだろうか。

それを見た瞬間、収まり始めていた勃起に血が戻り出し、同時に弄られていないおまんこから愛液が伝い始めるのを感じた。

 

(な、に……?)

「じゃんけんに負けた罰ゲーム、しないとね♡ほら後ろ向いて」

「ば、罰ゲームってさっき沢山着ただろ!!」

「何言ってんのさ。ボクが選んだ服を着て罰ゲームって言ったでしょ」

 

確かにそう。一度もソラエルは罰ゲームが終わりとは言っていない。つまり今の服を着せる所までも罰ゲームの一環ということだ。

しかし何をさせる気だと向けた視線に応えて手に持ったものを掲げてきた。

 

「ガヌスギル特製アナルバイブ(これ)、キミのお尻に入れちゃうね」

「は!?」

 

理解が追い付かない。入れるだって? 

あの彼女の拳ほどもありそうな巨大な瘤のバイブを? 

入る瞬間を想像して避けるんじゃないかって恐怖と……少しばかり北海道を思い出して疼く尻肉。

 

(っ……何思い出してるんだバカ!!)

「そ、そんな大きいのはいるわけ……第一入れたままなんて……」

「トイレの心配? 

大丈夫だよ。君の中に入れたバイブがお腹の中に溜まった老廃物を食べちゃうから。し・か・も! 分解して吸収して魔力に変換、半永久的に動けるように頑張って改造したんだ。とってもエコでしょ! 

つけっぱなしでもお腹壊したりしないから安心して♡」

 

そんな心配はしてない。無駄な才能を使うな。色々言いたいことはあるが小刻みに震えて生き物みたいに動くバイブにわずかばかりお尻がヒクついてしまう。

体がどんどん思い出す。北海道で敗れ、ソアラを名乗った蛇女による調教を受けた快感を。にゅるりと肛門をくぐったざらつく鱗の感触。突き立てられた牙の毒で疼くような熱を帯びた腸内。全体が女性器のように敏感になり、蛇が頭でコツコツと突かれたあの甘美な刺激の訪れを予感して震えてしまう。

 

(お、しり……キュンってして……!)

「さ、罰ゲーム罰ゲーム♪」

「……お、おい待て! 今は……」

 

ジリジリにじり寄ってくる彼女にたじろいでいると扉の外に人の気配。

 

『ソラ様ー?』

「ありゃりゃ。店長さん戻ってきちゃった。んー、リツカちゃん出てくれる?」

「いや探してるのお前だろって……んっ……あっ! お、お尻広げるなぁ!!」

「ボクはキミのお尻を堪能するのに忙しくてさ~」

 

人が来たら辞めるだろうと油断したパンツのジッパーが目にもとまらぬ速さで広げられる。背後へしゃがみこんだソラエルにお尻を鷲掴みにされて身動きが封じられた。

下着の中にも指がスッと入ってワレメをなぞったように優しく、肛門をスリスリ撫でまわされるとたちまち腰が砕けて抵抗が薄れてしまう。

 

『お客様、どうかされましたか?』

「あ、いや何も!」

「ほらほら。早く出ないと怪しまれるよ。少しだけ開けて上だけ出せばバレないって」

「っ……」

 

迷った挙句、扉を少しだけ開けて体を部屋の外へ。

外ではさっき着ていた服を手に持っている店長。それに近くの棚やハンガーラックの服を手に取っている客もいる。

今気づいたが開けずに着替えているから待ってといえばよかったのだ。体を見せた以上、もう何とか納得させて閉める口実を作らなければ。

 

「ああ良かった。何か変な声が聞こえたので体調を悪くされたのではないかと」

「い、いえ大丈夫です。ちょっとつまづいちゃって」

「そうでしたか。ところでソラ様はどちらへ?」

「えっとわから━━!?」

 

答えようとしてお尻に違和感が広がる。指で撫でる感じとは違う冷たい道具の感触。

ヒソヒソと自分の耳にだけ聞こえる音量で囁かれ、同時に何かの動く音が聞こえる。

 

(にゃはは。こっち向いちゃダメだよ。店長さんと適当に会話してて)

「実はサイズの事でご相談がありまして……」

「あ、は……いぃ……な……でしょう?」

 

音の正体はバイブ。ただ本来の振動する音ではなくて変形音。横目で見つめるとソラエルが握る拳大のそれがグルグル渦を巻くようにして先端を細く変えていく。数秒とかからずになだらかなドリルのような先端に。

 

(道具準備オッケー。後は……リツカちゃんのアナル、頂きまーす……んれろ……れろろぉ……ちゅれろ)

「……っ!!!?」

「お客様?」

「あ、すいませ……ちょ……しゃっくりが……」

(アナルに舌が……にゅるにゅる……なんだこれっ……すごくぞわぞわって気持ちいいのが……)

 

熱くうねった肉の塊がアナルへ入り込む。ぴちゃぴちゃと唾液を塗り付ける水音と一緒にぷにっと穴を押し広げる肉圧。

 

(くちゅ……ちゅるりゅ……いい匂い♡恥ずかしいのに感じちゃうメスの匂いですぞ~……なんちゃって♪)

「か、嗅ぐなバカ!!」

「バカ?」

「あ、いえ!! 店長さんに言ったわけじゃなくて!」

 

戸惑いもあるけどそれ以上に入り込んだ舌の動きが気持ちいい。浅い所をベロベロと蠢き、グポグポ抜き差しされる感触に震える。

蛇に植え付けられた毒の快感がますます目覚めてくる。

肉棒がするように跳ねまわり、肛内を滅茶苦茶に跳ねまわって快楽を与えてきた蛇の頭。毒で敏感になった穴全体を突き上げてきた熱い感触。ペニスがまた持ち上がり、秘裂の奥にトロォと蜜が溜まりだす。

淫紋が光を強め、体を襲う舌の快感もさらに強いものに。

 

(お尻が……本当の性器みたいに敏感になってる……舌がどう動いてるかとか分かっちゃう……)

(淫魔の舌を甘く見たらダメだよ。どこが気持ちいいかなんてすぐわかるんだから。特にリツカちゃんはふたなりちんぽがあるから前立腺もあるし……ちゅろろろ~。この奥を……コンコンって♡)

「んんっ!!」

「お、お客様!? 本当に大丈夫ですか?」

「ひゃ、ひゃい……らいりょうぶれす……れしゅぅうう……」

(ふふっ。体跳ねちゃうくらい気持ちいいんだ。嬉しい♡

それじゃあ解れてきたところでメインをご馳走しまーす)

「ひぅんっ!?」

 

押し当てられたアナルドリル。

先端に向けて渦を巻いたそれが肛門に押し当てられるとゆっくり彼女が回して奥へと押し込んでくる。くるくる~、くるくる~とやや解れたばかりの穴を拡げて侵入を開始。

痛みはまったくなくてただゆっくり何かが入ってくる異物の侵入される感覚だけがじわじわ広がりを見せる。

蛇のような太い圧迫感はないが、慣らされながら形を整えられる被服従感はこちらが上。彼女の手で開発されていると頭に強く印象付けられるのだ。

 

(ソアラちゃんみたいな毒もいいけどこうやってゆっくり中に入れちゃうのも楽しいよね。どんなに力を入れてもドリルだから無意味。もっと感じちゃうんじゃないかな?)

 

全部お見通しだった。

異物を思わず拒もうと締めた尻肉はドリルが回ることで掘り進められて防御も意味をなさない。それどころか拒もうと力を入れた分、より強く熱烈に広げるその動きが伝わる。

 

「それでロングもいいですが……メイド服にはバストのカットモデルもありまして……」

「は……はいぃい……そ……ですかぁ……」

 

話を聞いている振りをしつつも頭は肛門に入り込む異物のことで一杯。恥ずかしくて気持ちいいアナルバイブ。ゆっくり思うがままに動かすソラエルのことしか意識できない。

 

(こ……れ……すごい……敏感なアナルが……グルグルされるの……気持ちよくなってる……)

 

ずっと直接触られたり、舐められたりしてばかりだったので道具を使った攻めは新鮮。体を作り変えられる刺激が確かに感じられちゃう。

 

(ここでドリルを……にゃはは♡)

「お”ぅ━━げほげほっ!! す、すいません! 咳がつい」

 

内部へ進んだバイブが再び変形。細かった先端も丸ごと元の瘤のような形に戻り、唯一足りていなかった圧迫感が追加。風船を膨らませたようにボンッと肛内が広げられると射精したんじゃないかと思うレベルの快感が走り抜けた。

実際にポタポタと特に濃い先走りがショーツの中で漏れてしまっている。

 

(ふふふ挿入完了。入れ終わるまでちゃんと店長の相手もして偉い偉い)

(あっ……)

(ん、どうしたのカナ? 

ひょっとしてイキたいのかな~。本当はこのままズポズポしてイかせてあげたいところだけど……それはお預け♡)

(っ……そんな━━じゃない。別にイきたいとか……そりゃ、すっきりしたいけど……うう……お尻にバイブもだんだん擦り込まれるみたいに……)

 

入ったまま、今度は太い状態のバイブをゆっくり動かされる。敏感になった肉襞は瘤の一つ一つが引っ掛かる感触までしっかり感じ取り、熱く熱く性器として潤ってしまう。

 

(お尻が……こんな……!!)

(ちなみに次の勝負はこのバイブを突っ込んだままでやるからね。分かる? 

キミはお店をお尻にバイブをはめた状態で出ちゃうの。変態チックだけど……でもすごく興奮しない?)

 

するわけない、と即答できない。

バイブを入れられたお尻は今ももっと出し入れしてと疼くし、見透かしたソラエルに動かされると誤魔化せない快感がお尻の中から脊髄を這いあがってくる。

 

「ほら敏感アナルをドリルでくりくり~……グリグリ~」

「あっ……んっ……んぅっ……」

「お客様、顔が赤いですけど……本当に大丈夫ですか?」

(あぁぁぁ……またゆっくり抜かれて……戻されて……ずぷずぷって入るのが……気持ちいい……)

 

荒い息を漏らしながら顔をあげれば心配そうにこちらを見てくる店長。善意を踏み躙る背徳の快感が理性をじわじわ蕩かせてくる。

速度をもう少し早めると絶頂に近づきそうだった。しかしそれ以上は続けられず、バイブも奥まで差し込まれると手が離れてしまう。

 

(っまた!)

(イかせないってば。ここで射精したらお店に迷惑だからね。あとでとっても気持ちよくぴゅっぴゅさせてあげるから我慢して。

━━さ、それじゃボクの番だね♡)

「店長ー!」

「あらソラ様。中におられたのですね」

「着替えを手伝っててねー。ほら返す服とか片付けてねリツカちゃん」

 

無駄のない動きで立ち位置を入れ替えられる。ソラエルは入り口の扉を開けて半身で外の店長と会話。バイブを咥えこんだ自分は彼女の後ろで尻もち。

何を考えているのかって思うと彼女のバッグの中からわざとらしくもう一本、入れられたのと同じバイブが目の前に落とされた。

 

「自分で入れてもいいんだけど攻められっぱなしじゃストレスだもん。ほら、ボクにも入れて? 

同じことしていいよ♡綺麗にしてきたから触って大丈夫」

 

これ見よがしに足元まであるスカートをずり上げてまくり、ショーツもずらして肛門を見せつけてくる。

本当に言葉通り、自分にも攻めていいよと言っている? 

あくまでソラエルはお尻を晒しているだけでそれ以上は何もしない。自分がしていた時よりずっと自然に店長と会話し続けている。

 

「姉ちゃん達のお下がりもそろそろ飽きちゃってさー。新入りちゃんも外行きの服は必要だけどロリやモデル体型や筋肉お姉さんって幅広くて困っちゃうよ」

「でしたらフリーサイズがよろしいですね。お子様にはお子様用で同じデザインの服を……」

(何考えてるの? 

コイツにいれたら私のバイブも連動して動くとか……感覚を共有させられるとか?)

 

彼女の性格を考えると自分に攻撃の機会を与えるのも何かしら意味があるはず。いつも無邪気にふるまいながら自分を淫欲に招こうと夢で調教してきた相手なんだから。

だがここでじっとしていても何も始まらない。

 

(誘導に乗る形になるけど……コイツも少しは恥ずかしい思いをすればいい。少しはお返ししてやらないと)

 

落ちていたバイブを手に取ると淫紋が再び光り、下腹部の熱さが増し始める。

やっぱり何か仕込みをしてあったらしい。だが問題なく頭は回る。持ち上げられたスカートを押しのけ、ショーツをずり下ろす。

 

「ひゃぇっ! お、下ろすの!?」

「ソラ様?」

「あ、あー、何でもないよー」

「お二人ともお体の具合がよろしくないのでしょうか?」

 

思わず上がった戸惑いの声に気分がよくなる。初めてコイツを動揺させた。たじろがせたって小さいけど確かな優越感。ここまですぐに覚悟を決めて攻めるとは思ってなかったんだろう。

そのまま両手で尻肉を左右に開くと、小さく窄まった綺麗な肛門が丸見え。

花の蕾が呼吸するみたいに広がり、やがて縮む姿は美しくも卑猥な色気を醸し出して見えた。

そんな誘うようにフリフリ揺れて開閉を繰り返すアナルを見ているとまたドクっと淫紋が疼く。

 

(……そうだ……入れる前にならさないと……コイツのお尻……モチモチして触るだけで気持ちいいから……)

 

新雪の様に汚れのない肌。綺麗な肌でピンク色のアナルが一際鮮やかに輝いているようだ。

心が吸い寄せられるって言えばいいのか。自然と体を膝立ちにして、気づくと彼女のアナルへ口づけしてしまっていた。

 

「にゃぁっ!? り、リツカちゃん? なんで舐めて━━ああゴメンね店長! うんうん何でもない! 何でもないから!」

「はぁっ……はぁっ……れろっ……ちゅぅ……ちゅるれ……ちゅっぷ……ぷちゅっ」

 

舐めてみてもやはり驚いている様子。いい気味だ。少しは翻弄されているこっちの気持ちと恥ずかしさも味わえばいい。

舌表面を押し付けて唾液を塗るように上から下、下から上と動かす。時折口づけも加えて刺激の緩急を強烈にする。

初めて舐めたアナルは特に嫌な感じはなかった。味も匂いも嫌いなものじゃない。ソラエルのいつもの甘い匂いがふわふわ漂うような心地いい香り。舐めながら吸いこむとお尻に顔を埋めて包まれている背徳感が強調される。

 

「くふっ……にゃはは。キミから乗り気になってくれるなんて嬉しいな」

「れりゅ……れろろ……ふみゅっ……ちゅばっ」

(別に……これはバイブ入れるためだから。乗り気とかじゃない)

「くぁっ♡いひっ♡まだ少しぎこちないけどぉ……初々しい感じ、とってもいいっ♡」

 

入り口を舐め続けていると肛門が迎え入れるようにクパァと口を開ける。当然そこへも舌を入れると熱くてキツキツの穴がキュっと締め付けてきた。

サウナみたいな鍾乳洞とでも言えばいいのか。むわっとする熱気とぬめぬめした内壁が舌を出迎えてくれる。

快楽の証明ばかりに中から液体が染み出し始める。心が誘われるままに舐めとるとそれは蜂蜜みたいに甘かった。

 

(美味しい……もっと飲みたい……かも。アナル……感じさせればいいんだよな……)

 

思考が快楽に染まり始める。でもそれは自分の中から生まれる欲望で流されているわけじゃない。綺麗にヒクつくアナルがとても魅力的で、美味しい蜜を舐めて喘がせるのが楽しい。もっと彼女の声と甘い蜜を求めてより強く口を穴へ押し付け、舌を肉棒や指でするようにジュボジュボと前後させだす。

 

「んっ……あっ……ああぅ……いいよリツカちゃん。その調子。

……にゃはは。分かってるのかな。アナル舐めに夢中になっちゃってること」

 

何か言っているみたいだがよく分からない。染み出てくる彼女の蜜を舐め、バイブを入れるために解す方が大事。蜜を舐めているのはそのついで。決して自分は快楽に染まってなんかいない。

舌の角度を変えぞりり、ずりりって激しく動かすと体が震えるのが分かる。弱い場所、感じる場所を見抜いて刺激する度に短く上がる快楽の声。

一際奥へ踏み込んで舐めてやるとのけぞる程に体をくねらせた。

 

「あっきゅっ……んひぉっ……そうだよ。とっても積極的ぃ……♡ほらほらほぐれたアナルに栓をしないとね♡」

 

その言葉でバイブを入れるタイミングと理解。最後にもう一回キスして液を啜って腰を震わせ、例のバイブを肛門にあてがう。

何度かついていたボタンをカチカチ弄ると自分のと同じようなドリル型に変形。ドリルのように螺旋を描くその先端を、指も呑み込む熟れた淫尻にあてがう。

 

(ここに……いれる……)

「あふぅ……ケツで熱い息感じちゃう……キミの興奮分かっちゃうのいいぃ♡ふふっ。いいよ……来て♡━━んっひぃいいいい♡♡ふぉおおお♡入って、リツカちゃんの手でバイブ、来たぁ♡」

 

想像よりずっと柔らかく吸い込まれていくバイブ。ねじ込むような構造なのにむしろお尻から飲み込んでいるみたい。にゅるにゅると唾液で滑った尻穴を埋めていくバイブの光沢がとてもエッチ。

ソラエルもこれは効いたみたいで口元を押さえても殺しきれない歓喜の喘ぎをあげながら背中を震わせていた。

その喜びと喘ぎの声も顔もすごく可愛いものに見える。

 

「はっ……はっ……ふふふ、入れちゃったね。ボクのお尻にぶっといバイブハメちゃった♡」

 

トマトみたいに赤くなったソラエルの輝く笑顔。同時に強まる淫紋の疼き。もっと犯したい、犯されたい欲望が肉棒と秘裂に響き、今度は穴ではなくお尻にキス。

 

「んちゅっ……ちゅっぱ……ふっちゅ……むっちゅ……おひりぃ……舐め舐めするの……美味しいぃ」

「可愛い女の子のお尻に女の子の格好でバイブを突っ込んだ感想はどう? 

とってもエッチでいやらしいことしてるんだよ。ボクもすごく興奮しちゃう。お尻、あまーい蜜をもっとあげちゃう♡」

 

抱き枕を抱いているような心地だった。触れた唇と掌から温かくて心地いい波のような感覚が流れ込んでくる。

バイブを少し引き抜いて舌も一緒に挿入。バイブのおかげでより肉襞へ密着して舌まで尻の中に溶けていくような心地。排泄器官とか相手がソラエルとかそういうことはどうでもよくて、ただこのお尻をもっと楽しみたい気持ちが強くなり始める。

染み出てくる腸液もよりメス特有の匂いと甘さに満ちていて啜ると先走りがトプってショーツの中に漏れちゃいそう。

 

「んにぃっ♡……あは、あはは……スイッチ入っちゃったかな。でもまだここじゃ早いし、最高の絶頂にも遠いからダ~メ」

 

優しく肩を押されて座り込む。唇からふわふわでもっちりした肉の感触が消えると、急に意識が戻ってきた。

 

「あ……れ……って私何し……んはぁぁぁあ……」

 

思わず自分の痴態を自覚した途端、お尻のバイブから圧迫感も再認識。尻肉がおもわず締め付けるとまた声が出る甘い快感が走った。

また溺れてしまいそうだが自分の体への快感でむしろ意識ははっきり戻る。お店で自分もソラエルも色々喘いでしまったことも。

案の定、半開きの扉の向こうでは引きつった顔の店長が自分たちを見ていた。それ以外の店の中も少しざわめきが聞こえる。

 

「……ソラ様?」

「あはは、えーと、ちょっとねー……うん、ごめんね」

「そうですね。私と店員は理解していますがお客様は驚かれますから気を付けてほしいと以前も申し上げました。

━━後は適当に誤魔化しますので裏口から出ていただければ。会計は追って請求いたします」

「オッケーありがと。さっすが気が利くね」

「またのご利用をお待ちしております。注文品はお城へ配送しておきますので」

「さっすがー! それじゃ後よろしく~」

 

何かしら言われるのかと思えば特におとがめなし。それどころか慣れた感じで清掃用具を持ったスタッフも入ってきて部屋の中に充満したメスの匂いを消し始める。

戸惑って立ち尽くした手を引かれる。

「行くよリツカちゃん。デートはまだまだ続くんだから!」

「あ、待ってって! ソラエル━━お姉ちゃん!!」

 

多分買ったってことでいいと思われる下着とトップスとボトムス、コートを掴んで店の裏へと向かうのだった。

お互いのお尻からバイブに付いた尻尾をゆらゆらと揺らして。

 

◇

 

デートその2 皆に見せてあげよう

━━帝都領域内海浜公園 同水族館━━

 

生臭さと磯の匂いがそこかしこからする空間。ザッパァァアと水しぶきをあげてイルカが飛び出したり、巨大なジンベエザメがぬっと水槽を横切ったり。のべーって寝転がったアザラシが日向ぼっこしているのも見える。

魚、鳥、海獣と様々な海の生物が集められたそこは言うまでもなく水族館。

藤丸の手を引いて店を飛び出したソラエルに今度はデートと言えばここだよね! と連れて来られていた。

 

(何考えてるのか全然わからない……)

「ほらほらボクのお魚食べたいのは誰かな~」

「クェ!!」

「ギェー!」

 

引っ張ってきた張本人は入り口のペンギン触れ合いコーナーで餌をやるのに夢中。その少し後ろでコートを着た自分が見守っている状態。なお服の着方にもこだわりがあるのと言われて今は前を開けてやや着崩した格好。丸出しの肩やヘソに時折誰かから視線が向いている気がした。

 

「にゃふふ! ペンギン可愛いー!! リツカちゃんもやる?」

「クェー!!」

「……いや私は別に」

「そんなこと言わずにさ。ほら一回だけ! 魚をパク―って食べるのすっごい可愛いんだから!」

 

言いながら摘まんだ魚を垂らすとたちまち持っていかれる。その素早さにワーッと喜んだ様子で拍手を始め、周りにいた子ども達もソラエルに触発されて一緒に親にねだって魚を与えだした。

 

「ほらリツカちゃんも!」

「……分かったよ」

 

断っても受け入れるまで食い下がりそうだ。

仕方なく彼女の持つ魚を受け取ってしゃがみ、適当な子の前にぶら下げてやるとすぐ咥えて咀嚼。満足そうにクエクエ鳴く様子は少し可愛いかも。

そのままペタペタ足音を立てながら近寄ってくると小さい頭をこちらの足に擦り付けてきた。

 

「あはは。ごはんありがとーって言ってるんじゃない?」

「……こういう時どうしたらいいんだ」

「頭を撫でてあげなよ。相手がしてることを返してあげるのもコミュニケーションってこと」

「お前にコミュニケーション説かれるのはなんか……いやいい。えっと、ほら。こういう感じか?」

「クェ! クゥエ!!」

 

恐る恐る触れた手で頭を撫でてやる。サラサラした毛並みと小刻みに動く頭、水かきのついた足でトテトテとゆっくりした歩き方、確かにこれは可愛い。一度撫で始めると癖になる可愛さでついつい何度も何度も撫で回す。

 

「……(じ~)」

「……なんだよ?」

 

ペンギンを撫でていたら横から妙な視線。む~っとしながら隣にしゃがんで頬杖をついていたソラエルがこっちを見ていた。

自分かと思ったが視線の先がやや低い。じっと見つめた先を追うと今まさに撫でられているペンギンだった。

 

「……ボクも」

「ん?」

「ボクも撫でてよー! ペンちゃんばっかり構っちゃやだ!」

「うわっ!?」

 

なに子どもみたいなこと言ってんだと思ったら人目もはばからずに袖を掴んでこっちを見てきた。

周りの親からは微笑ましいものを見るような目を向けられる。身長差やソラエルの言葉遣いで年の近い姉妹にでも思われてるのかもしれない。なんにしてもとにかく周りからの視線が痛い。

 

「ああもう! 右手は魚触ってないからこっちで……」

 

しょうがないので反対側の手を頭に乗せて撫でてやったらようやく頬を緩めて頭を擦り付けてきた。

 

「にゃはは~。そうそうそれでいいのです♪ 

ボクとのデートなんだから女の子のこと忘れちゃダメなんだよ?」

「餌やるのも撫でるのもお前がやれって……やっぱりいい」

 

多分文句を言っても聞かない。というかコイツの場合、それはそれ! みたいな感じに怒られそうだし。

それにすこしだが彼女の側にいて居心地の良さを感じているのも事実だから感謝ついでに撫でてやるかって気になった。

しばらくペンギンとソラエルの頭を撫でていると今度は彼女から頭に手を乗せられて優しく撫でられる。

 

「……今度は何だ?」

「んーん、ただのお返し。リツカちゃんはいつも頑張ってるから褒めてあげる。今日もボクに付き合ってくれてえらいえらい」

「お前に褒められても怪しさしかないぞ」

「そうかな。友達とはこういうのよくあると思うけど」

「そんなの別に……っ」

 

同年代の友人。カルデアへ来る前はもちろんいた。過ごした思い出だって確かにある……はず。人理修復の為の戦いの中で擦り切れ始めている心の中には酷く懐かしい感じがした。

錆びついた蔵の扉を開けるような。

ずっと昔通った小学校の教室を訪れた時のような。

そうまるで、ずっと帰っていない実家に戻って友人と出会ったような。

過去を思い出そうとすると今のなんてことのないソラエルとの時間がとても懐かしく、尊い物みたいに思えてしまう。

 

(……落ち着こう。これもソラエルの攻撃か罠かもしれない。アイツに敵意を向けにくいのも多分そうだし)

 

足を止めると脳裏によぎるこれまでの記憶。

過ぎた時間。戻らない時間。無くしてしまった時間。燃え尽きた地球に置いてきた普通の生活(当り前)。

命を奪われる危険と隣り合わせの恐怖。

誰かの未来を消す罪の意識。

周りを不安にさせないよう常に気を張っていなくてはいけない。

常に身も心も深く縛りつけ、ただ前に進むことだけを考えて生きていた。

でも今日は違う。朝にも感じた何も考えずにただソラエルと遊んでいるだけ。少しエッチなのも混じっているけど。

敗北して、勝ち目なんてほとんどなくなって、恐怖も罪悪感も気を張ることもしなくていい相手と過ごす時間が楽しく思えるなんて酷い皮肉だ。

色々と複雑な気持ちで見つめても、ソラエルはただ適当に笑って頭を撫でるだけ。

 

「っていうかリツカちゃんもまた男の子っぽい口調に戻っちゃったね。ボクに攻められてメロメロなのも可愛かったのに」

「あ、あれはお前が色々したからだろ!! 私は元から男……んぁぅっ」

 

あの時の自分はどうかしていただけ。思わず声を荒げようとするとお尻に入ったままのバイブが一回震え、その後を続けさせなかった。

目の前で彼女が握ったバイブのスイッチを振ってみせる。

 

「はいはい。他のお客さんもいるんだから大声はダメだよ? 

ここは水族館なんだからマナーも守らないと」

「……そもそもどうして水族館なんだ? 

てっきりホテルとか連れていかれるかと」

「行きたいの?」

「そうは言ってない!! ……ただ意外ってだけ」

「ちっちっちー。分かってないねぇリツカちゃんは。今日はデートって言ったでしょ。折角綺麗な服も買ったのにすぐエッチなんて邪道だよ邪道」

 

淫魔に道理を説かれて笑ったらいいのか。

なんとも言えなくて固まっているとスカートの埃を払って立ち上がったソラエルがんっ! と手を突きだしてくる。

握手しろってわけじゃないだろう。一瞬迷ったが相手の指に自分の指を絡め、しっかり結び合わせて握り返す。

 

「……これでいいのか?」

「正解! リツカちゃんも女の子の扱いが分かるようになってきたね。

さ、次は中に行こ! そこで勝負だよ!」

 

握ったのはこっちなのに先導は彼女。どっちが主導権を握っているか分からない。

海の生き物をコミカルに表現した入り口を抜けると中は薄暗かった。カップル、親子連れ、老夫婦と様々な年代の人達が談笑して行きかう、ある意味懐かしい光景。やっぱり純粋な人間はほとんどいなくて一部の首輪を着けたスタッフくらいしか同じ人間はいない。

半地下の構造をしていて、サークル状の通路の中心を串のように貫く大水槽には水面にキラキラと太陽光が反射。何十何百と揺らめいては形を変える水の膜はまるでガラスの破片を散らばらせたみたいだった。

ずっと昔、まだ小学校だった頃に遠足で行った水族館の記憶が重なって感慨深い。

 

「うわー幻想的! 光が降ってきてるみたい」

「まぁ、きれいだよな……何だよその顔」

 

同調したのにソラエルはやや不満そうだ。小動物みたいに頬をぷくっと膨らませる姿は不覚にも少し可愛いと思う。

 

「そこはキミの方が綺麗だよっていうべきじゃないかな?」

「言ってろ」

「つれないなー。そんなこと言う意地悪さんにはお仕置き! えいっ!!」

「んひぃっ!? ば……やめっ!」

 

ブィィインと再びバイブが振動。敏感になったアナルの中を小刻みに揺らしてつつき、体の中を無数に反射して巡るような快楽信号が下腹部を抉る。痛みは全くない、足元がぐらつく気持ちよさで気合を入れないと座り込んでしまいそうになる。

だがそれよりも気になるのは周りの環境。

 

「2人とも女の子?」

「カップルかしら?」

「でもロングの子は男だーって」

「そういう役作りなんでしょ」

「お似合いって感じー。モデルとアイドルのカップルとか何その恵まれたカップリング」

 

幸い、大体無害というか的外れな言葉ばかり。お尻に悶える変態だと思われてはいないっぽい。

 

「……なんでこんな注目されるんだよ。やっぱり━━」

「んー。そりゃボクとキミが並んで歩いてるからね。他の人から見てもキミってかなり美人なんだよ? 

お姉様とは逆の王子様っぽい感じのお姉様みたいな。その横にお姫様みたいに可愛いボク! これはもう注目されるのは運命だって!」

「実感が湧かねえよ。あとその自信だけはすごい。褒めてやる」

 

ソラエルに着替えさせられた時の自分には確かに思わず目が奪われたが……あれは多分密室の変な空気に呑まれただけだ。その証拠に今はあの姿を自分がしていると思っても特に何も思わないし。

チラチラ周りを見回していると、何を勘違いしたのかふふって笑いと一緒にソラエルが耳元に口を寄せる。

 

「心配いらないってば。この街だと尻尾が生えてる人なんていくらでもいるし、さっきからすれ違ってる人もお尻なんか見てないでしょ?」

「……それはそうだけど」

 

出来るだけ自然な動作でお尻を見る。お互いのパンツとロングスカートはお尻の上辺りに穴が空き、そこから例のバイブの尻尾が生えて勝手にくねくねと蠢いている。しっかり肛内に突起が展開しているので尻尾が勝手に抜けてしまう恐れはなさそう。

そう。今自分達はアナルにバイブを突っ込むだけじゃなく、そこから生えた尻尾を共に人々の目に見せながら歩いているのだ。もちろん上着やコートでお尻回りを覆っているのでじっくり見られることはないが、やはり変なコスプレと注目されないか心配ではあった。

 

(でも確かに色んな人種がいるから尻尾が生えている人も大勢いるな。これなら目立たないで済む)

 

ドラゴンだったり、犬や猫だったりと様々な二足歩行の人がいて尻尾も千差万別。悪魔や淫魔の外見をした人は自分達と同じような尻尾を生やしているので確かに目立たない。

ソラエルが言った通りこれだけであまりじろじろ見られる危険は低そうだった。

胸をなでおろしかけた直後、声の調子が僅かに上がる。

 

「まぁでもそうだね。ここから見える人の尻尾が偽物って証拠は無いけど本物って証拠もない。

ボクたちみたいな変態プレイ楽しんでるお仲間かも♪」

「なっ……それ……」

「ふふっ、ふふふ!! 考えただけでゾクゾクしてきちゃうね♡」

「っ……あぁ……」

(っ、意識しだすとなんだか変な気分に)

 

下品な妄想が頭をよぎると淫紋が発光。コートのおかげで周りには見えないが熱い疼きがまたのっそり鎌首をもたげ始める。

 

(違う……違う……変なこと考えて気持ちよくなったりしたら……)

 

バイブは穴を空けたパンツとショーツを貫通している。それはつまりお尻が直接外気に触れているも同然。もしバイブが何かの拍子に抜けでもしたら、きっとぽっかり空いたアナルを周りの人に見られてしまうだろう。

その時に向けられるであろう視線は軽蔑? あるいは興奮? 

もし自分がソラエルの淫尻を思いっきり広げて見せつけられたら……考えると自分のアナルも締まってバイブを何だか頼もしく思えてしまう。

 

(バイブ……大きくてごつごつして……今思いっきり震えられたら……イっちゃうかも……)

 

腸壁がめくれてバイブをしっかり握るのが分かる。しっかり捕まえて刺激をより深く強く感じようとしている。乱暴な力の象徴といってもいいようなこんな器具が酷く魅力的。

息が上がっている。頬も紅潮しているかもしれない。そんな心の底から燃え上がるような熱さがゆっくり、そしてしっかり頭を犯してくる。

そしてコートで見えないなら出し入れしても……と危険な考えに及びかけた所で現実の声が耳に届いてきた。

 

「━━ちゃん? リツカちゃーん?」

「え……はっ!?」

「どうしたの急に。なんだかエロい顔でボーっとなってたけど」

「え、エロい顔なんかしてない!」

 

怒りながらもなんとか冷静さを取り戻せた。今のは危なかった。ソラエルが声をかけてくれないと自分で慰め始めていたかも。いやきっとしていた。それだけの魅力を肛虐快楽に感じてしまっていた。

全ては下腹部に刻まれた忌々しい淫紋。女にされ、夢の中でも侵蝕し続けてきたこれがいよいよ本領を発揮しかけているのかも。

 

「しっかりしてよー。折角のデートなのに」

「……今更だけどお前の中じゃこれがデートなのか」

「えー。だって昨日も言ったじゃん。服買って水族館行って~って。こういうのってデートじゃない?」

「アナルにバイブ突っ込んでやるもんじゃないだろ……」

 

呆れるしかない内容だがおかげで頭が平常運転に戻れる。自分以上におかしな奴がそばにいると相対的にこちらがまともに戻れるのは救いだ。

 

「さてリツカちゃんもやる気になってくれたし次の勝負といこっか! 

次はズバリ! 先にイった方が負け! アナルバイブイキ我慢対決だよ♪」

「おまっ━━もう少し小さい声で言え!」

 

本当におかしいだろ! 人混みでなんてこと口走ってんだコイツ!? 

試着室みたいな密室ならまだしも周りに人がいるのに正気とは思えない。

幸いにも周りにいた人たちは館内のBGMやそれぞれの会話に夢中。特にこちらへ変な目線や声も飛んでこないので聞かれなかったらしい。

 

「この水族館でデートしながらお互いのバイブを動かして、相手を先にイかせた方が勝ちって勝負。面白そうでしょー」

「だからなんでこんな人が多い所でやるんだよ」

「それはホラ、思い出作り。玩具を使って遊んで楽しい時間を共有して……こういうのもデートの醍醐味じゃない?」

「わけわかんない━━いやお前の考えてることなんてわからない方がいいんだけど」

 

呆れながらジトッと睨んでもどこ吹く風。笑ってルール説明を続行しだした。

 

「んでね、このままやるとキミが不利だと思うわけ。リツカちゃんってクソザコアナルっぽいし」

「だ……誰が!! そもそもお尻で感じてなんか……」

「でもそこはご心配なく! エッチな策略お任せのソラちゃんだからね! ちゃんとゲーム要素持たせてあるよん♡」

 

意味ありげにウィンクしながらリモコンを投げてきた。

黒い棒みたいなそれには振動や動き、挿している相手の脈拍や興奮までご丁寧にパラメータ化されていた。ソラエルのデータは見る限り平穏そのもの。今のいつも通りな表情も演技ではないってこと。

 

「ガヌスギルと色々拘ってね。このバイブ、感じれば感じるほど相手の振動も大きくなっちゃうんだ。

つまりイキそうになって追い詰められるほど相手にも効果バツグン! 

まさに一発逆転のチャンスがあるのさ!」

 

くるくる回ってその技術をアピールしてくる。自分も同じようにバイブを挿してるのにどうしてああも動けるんだか。

 

「あ、忘れてた。この勝負はとっても気持ちいいけど他の人にバレたら終わり。バレた人が負けになるから感じすぎも注意だよ」

「……つまり周りにバレないようアナルで感じて相手も感じさせろってことか」

「そうそう! 2人で相手をイかせる隙を探りながらの水族館デート♡とってもボクらに似合いのエッチなデートプランでしょ?」

「はぁ.だからバイブなんて━━あふぃっ……おまっ、だから急に!」

 

また小言でも言ってやろうかと思ったがソラエルがポチっとリモコンをプッシュ。また背中を巡るような快感が不満や怒りを蕩かしてしまう。

 

「まぁまぁ。別にえっぐい調教しようってわけじゃないしさ。気持ちよくなりながら相手も気持ちよくすればいいだけだから。気楽にデート楽しもうよ。今やってたみたいに」

 

今度は弱めで断続的にブィィ、ブィイと振動。アナルをゆっくり解す柔らかい動きが猫の顎を撫でるように心に食い込んでくる。

 

「ほらほら。アナル気持ちいいでしょー?」

「そんなの━━そんなの……まぁ、気持ちいいけど」

(あ……れ……なんか変……いやでもお尻……触られて、キモチイイのは……事実だし。でもっ!)

 

しかしやられてばかりは色々気に入らない。

とりあえず適当にリモコンを操作して彼女のお尻を一気に奥までつつかせる。

 

「んひぅうううう?! ━━り、リツカちゃん!? 最初から奥はぁ……」

「……いつまでもお前のペースでやれると思うなよ!」

 

色っぽい声をあげてスカートと尻尾を抑え込む。相当いい所に当たったみたいだ。

少し悔しそうに口を歪めながらも、すぐ笑みを取り戻して腕を取った。

 

「ふふふ~。さすがリツカちゃん♪ ノリってのが分かってるじゃん。

そんじゃこのまま水族館巡りしゅっぱーつ!!」

「絶対負けないからな━━ってまたっ! ふぁぅ……このっ!」

「おっひゅぅうぃ……にゃはは! そういうリツカちゃんだって♪」

 

互いのバイブを震えさせながらまた歩き出した。

 

 

◇

 

 

━━同時刻 空想樹モンスター麓の研究施設━━

 

夕方からの作戦に備え、ナイオーロもまたいつでも自分の役割が果たせるように既に朝から所定の位置であるモンスターの根元に作られた研究施設に構えていた。

もっとも自分にできることはソラエルと藤丸がやってくるまでない。その為皇帝用におかれた椅子に堂々と腰かけ、窓の外から見える天に聳える樹を眺めていた。

 

(ルクスリアを手に入れてから2年と少しか。長かったようだが終われば一瞬だな)

「陛下?」

「ここまで色々あったなと思い返していた」

 

隣に控えるジェリシギルの不思議そうな声に短く答え、尚も因子花粉の放出を続ける樹を見やる。異星の神がクリプターと果たした契約の穴を突いて頂いた空想樹の種子。制圧を続けながらも最終的な勝利を手にするため、ソラエルに入手させた各異聞帯の記録。平行世界の彼女の分身━━平行同位体とやらの接触もζの強化に活かせただけ儲けものだ。

その全てを積み重ねた結果、自分はこうしてここにいられると思えば手に入れた有能な女達も労ってやらないとという気になる。

 

「まぁそれは終わってからだが。準備の進みはどうだ?」

「順調ですわ」

 

ジェリシギルが手元の端末を操作すると目の前へ半透明の画面が出現。日本地図を精密に再現した画像と、そこに8カ所の光点が刻まれている。

 

「宮城の樹(オロチ)にリズエル様。

島根半島の樹(ソンブレロ)にアズエル様。

神奈川の樹(メイオール)にユリエル様。

静岡の樹(スパイラル)にバーゲスト様。

岡山の樹(マゼラン)にルクスリア様。

対馬の樹(セイファート)にバーヴァン・シー様。

そして北海道の黄金樹を再生させた7本目にはメリュジーヌ様を。

各地の稼働状態も極めて良好、出力も高水準で安定を保っておりますわ。各異聞帯史のシミュレートも進行中。予定時刻には全ての樹が臨界状態に持ち込めるでしょう」

「モルガンは?」

「帝城の玉座の間で術式の準備をなさっておられます。彼女の技量をもってしてもやはり今回の儀式は一筋縄でいかないものかと」

「それでも魔術において奴(・)以上の使い手だ。一度誰かがやったならこなしてみせるだろう」

「襲撃部隊も準備が進んでおります。ダ・ヴィンチ様、ネモ様、そしてなにより私のζ(ツェータ)! ━━失礼。彼女達以外にも騎士四個大隊が同行して儀式発動と同時に彷徨海を襲撃いたします。依然カルデアが保有する英霊は厄介でしょうが数にものを言わせて召喚機構を押さえてしまえばこちらのもの。

強制退去させてしまえばあとは非力な人間ばかりですからすぐ済むでしょう。そして後は……」

「本命だな」

 

そう、彷徨海はあくまで途中。真の狙いは別だ。あくまでいつ真相に気づくか分からないシャーロック・ホームズとアトラス院の横槍を防ぐためにある。

 

「だがそれも全ては儀式の進み次第だ。

で、我らが巫女様をソラエルは堕とせそうなのか?」

「それが……」

 

急に歯切れの悪くなったジェリシギルが差しだすのは何枚かの映像資料。画面の中では藤丸立香を着せ替え人形にしたり、水族館でただ友達のように遊んでいたりと何の変哲もない写真が送られてきていた。

 

「経過報告ではあちらも順調とのことです。証拠がこちらで。

道具の作成はお手伝いしましたけど……一体何を企んでおられるのかさっぱりです」

「なんだ、聞いてないのか?」

「ζのウェポン調整に忙しくて手が周らなかったもので。陛下はご存じなのですか?」

「いいや。アイツからは予定通りにあの女をオレの下へ連れてくるとしか聞いてない。だが……クク、そういう趣向か。まったくえげつない手を思いつく」

「……遊んでいるだけにしか見えませんが」

 

これはジェリシギルがどうではなく自分とソラエルだからだろう。

眷属としての因子を通して流れ込む絶大な自信がソラエルの作戦が進行中であると訴えている。

そしてそんな彼女をナイオーロ自身も信頼し、ある程度は何をしているか見立てられた。もちろん尻からはみ出るバイブも使っているようだがおそらく本命は道具ではない。

 

「アイツは遊びながら罠を巡らすのが得意だからな。フジマルリツカも気づかないうちに心へ楔を打ち込まれている。抱く時が楽しみになってくるぜ」

 

 

◇

 

 

「ふ……ふぅ……結構遊んだねー」

「そりゃ……バイブ挿しっぱなしで……デートとか……普通しないだろ」

「ご飯も食べたしちょっと休憩しよっか」

「ご飯って言えばなんでお前フランクフルトに拘ったんだ」

「エッチな食べ方できるから。たっくさん舐めてしゃぶって味わえるって最高でしょ」

「……道理でやけにこっち見ながら食べるなって思ったよ」

「同じことできるからチョコバナナとかも好きだよ」

 

少し頬を赤くしながら薄い板で出来た椅子に倒れこむように座るソラエル。隣にこっちも乱れた息を隠さずに座った。

今いる場所は屋内エリアから抜けてきたイルカショーの会場。中央の巨大プールと半円形の音楽ホールみたいな段々状に後ろの席ほど高くなる構造の観覧席。その中でも最後尾の角という、あまりショーを見るには適していない席。

中心のプールでは今もイルカがコーチの指示で飛びあがり、前の席で子供や家族が歓声を上げている。満席というほどじゃないがそこそこ混みあっている。

体感で1時間ほど経ったくらい。

 

「なんか……どっと疲れたのに……決着がつかない」

「歩きながらバレないようにって条件ついてるからね。これくらいの微妙な勝負になるよー」

 

互いにまだ相手を絶頂させることはできていない。ソラエルが伸びをしながら言ったようにあんまり大きな動きをすると周りに不審がられる。

魚を見ている時に不意打ちで動かしたり、あるいは巨大な水槽トンネルをくぐって見惚れた頃合いで突いたりと色々しているがどちらも感じた声を出しながらもそこまで。

体力をすり減らしながら小休憩とイルカショーを見にやってきた。

 

「でもでも! 悪くないでしょこういう時間。エッチなことしながら遊ぶって人間だとできないし♪」

「それは……確かに……少し、楽しいけど」

「リツカちゃん何が一番よかった? 

ボクはやっぱりペンちゃん達かな。もっふもふで触り心地良かったし」

「……ウミガメとかマンタ。なんていうか、すごく大きくて広々してる感じが見ていて好きだ」

「分かる分かる! あの背中でお昼寝とか良さそうだもんね」

 

共感して笑う彼女を見て、また少し心が過去に走る。

性別が女になってしまっているしバイブを入れているが、カルデアに来る前の日常はこんな風だった気もする。くだらない話をして笑い合い、同じものを見て感情を共有する時間。こんな時間はいつ以来だろうと。

思い出そうとしても、遥かな戦いの中に置いてきた過去はぼやけて像を結ばない。

 

(私……こんな風に遊んだのって……最後はいつだったっけ……)

 

友達もいた。家族もいた。でも思い出すべき顔も声も全て長い旅の中で擦り切れ続けていた。

もっと思い出すと心が暗い闇に呑まれそうになって……すんでの所で耳元にソラエルの息が吹きかかって意識が戻る。

近くの席にいるカップルにも聞こえないような、小さい小さい虫の羽音のような声。

 

「じっくりやれるところに来たね。ここからは本気でいちゃいちゃしよっか」

「へっ……んちゅっ!? れろ……れちゅ……ちゅろ……ぷちゅ……ふっ……あっ」

「ちゅ……ちゅぅ……ちゅるぶ……」

 

反応する暇も許されなかった。こちらの手が彼女の腰にあてがわれ、自分が彼女を抱き寄せるようにして唇が重なる。

舌で舌を絡めとり、彼女特有の甘い匂いに包まれる。

 

(ソラエルッ!! 急に何して……)

 

膝の上に乗って対面座位の姿勢を取るソラエル。

腰へ回させられた手は何かされたみたいで固く離れず、彼女自身も愛し合う恋人みたいに首へ手を回してきた。

 

「ちゅっ……ふふっ、周りからはレズキスしてるとしか思われないだろうね。それもリツカちゃんが主導権握ってボクを食べちゃってるみたいな♪ 

実際は逆だし、2人ともアナルバイブで刺激しあってるエッチなカップルなのにね♡」

「お前急に……んぁ……ちゅぅ……気づかれるだろ……」

「騒がなきゃ平気だってば。あ、イルカ君達には見られてるかもね。ま、あの子たちは気にしないしセーフってことで」

「また勝手な.うぅっ!」

 

コートの下で剥き出しの脇腹をゆっくり優しく撫でまわされる。ヘソをくすぐり、脇腹をもう一度撫でて感度を確かめるしっかりした指使い。

 

「元男の子のおっぱいはどこまで育ったかな~?」

「ふにぅっ!? 服の中にまで指、入って!」

「エロカッコイイ服はこういう時触りやすいからいいよね♡」

 

胸をX字に隠す服に下から手が入り込む。ブラもオープンタイプなのですぐにコリコリと乳首を探し当てられて扱かれる。

 

「さぁてちんぽは.あっ♡」

「んぃっ! .だ、めぇ.撫でるなぁ.」

 

パンツもずらされ、中から勃起したちんぽが露出。こちらにも躊躇いなく触れた手でシコシコ扱いてくる。慣れた手つきとしっとり柔らかな掌の刺激がたまらない愉悦。

思わず口からは女っぽい喘ぎも漏れてしまう。

しかし不安がよぎる。ソラエルの太ももで体が挟まれているおかげで周りからは見えないが聞かれていないだろうか。

 

(下の席の人から見られるんじゃ.それに誰か振りむいただけでも━━)

「ボクを無視なんていい度胸だにゃー♡ほらまたキスしよ♡んちゅっ、ちゅれ~.ぺろぺろ~」

「んむっ.あっ、あぅ.ひゃぅっ!」

「ボクとおそろいのおっきなおっぱい♡ペンちゃんに負けないくらいふわふわで柔らかーい」

 

胸と胸を押し付け合ってむにゅりと歪む。オープン席のやや寒い外気に対して仄かに温かいソラエルの指が自分の胸に沈む。

お気に入りの玩具を見つけたような可愛い声だが手つきは熟練の淫魔そのもの。弾き、摘まみ、擦り、服の中に差し込んだ指先だけで多彩な快感を刻んでくる。

キスも前戯と思えない濃厚なもの。

 

(胸.おっぱい.触られるのいい.乳首が勃起、してきちゃう.男なのに私……)

「んちゅぅ.ちゅっぷ.れろ……およ?」

「……ふぅ……あっ.ああっ……ど、どうした?」

 

キスしながら夢中で胸を弄られて声を押さえていたが急に刺激が止む。

何事かと思ったら小悪魔な笑みを浮かべながら耳打ち。

 

「ん~、誰かに見られてるかも」

「っ! それって不味いんじゃ.!」

「んーん。確信はないよ。背中に視線があたってる気がするだけ。ボクからはキミの後ろしか見えないからリツカちゃんが見て」

「そんっ……あっ.あんっ」

 

不安を煽るだけ煽っておいて再びソラエルはおっぱいに集中しだす。

傾けた彼女の頭に片手を回し、出来るだけ自然体を心掛けて下の方に座る人々へ目をやる。

 

(大人は……よし、ショーに集中してる。かなり派手だから大人でも楽しめるようになってるみたいだし。子供は……っ!)

 

親に抱きかかえられた子供の1人がこちらを見ていた。まだ赤ん坊に毛が生えた位の小さな子。指を吸ってこちらが何をしているか分からない様子で小首をかしげる。

よくよく見ると他にも何人か子どもはこっちを見ていた。イルカが泳ぐ姿を目で追っている内に自然と視界に入ったらしい。ただそういう子供はしばらく不思議そうに見た後、また正面のイルカへ視線を戻していった。

 

「どう?」

「……子どもが何人か見てる」

「あはは。あのお姉ちゃん抱っこされてるって思われてるのかな。

.それでどう? 気持ちよくなってこない?」

「は.そんなわけ.」

「子ども達に見られながら気持ちよくなっちゃってるんだよ。よく見てみようよ。その子たちも顔を赤くしてない? 

何だか興奮、してこない?」

 

ゾクリと背中に痺れるような快感。

嫌じゃない。むしろ好ましい、背中から脳髄へと彼らの視線が突き刺さった所から甘い愉悦が生まれては上ってくる。

同時に胸の中へ宿る、快感とは違うもっと好色で蛇が舌なめずりするような暗い欲望が生まれだす。それはまるでもう一つの心臓が鼓動を始めたように強く内から鳴った。

 

(っ……なに、今の?)

「ふふっ、ちんぽ震えちゃってる。やっぱり興奮してるじゃん」

「あ、ちがっ……ちがうのに……」

「何が違うの? かたーいちんぽは気持ちいいよーって喜んでるのに。

ほらボクのおっぱいも触って触って!」

 

腰に当てられていた手が胸に当てられると、吸い付くような特有の柔らかさとトクトク早鐘を打つ心臓の鼓動が掌に響く。

 

「ね、ボクもとってもドキドキしてる。エッチな秘密を共有して楽しくなっちゃってるの」

「お前な.気づかれたら負けってルールどうしたんだよ」

「あー、まぁそこは無視しよ。どっちかじゃなくて2人とも見られてるし。見てるのは子供だし」

「適当すぎだろ.」

「でもでも.くふふ♡」

 

急にいつもの快活さを隠して色っぽい笑い。上向きに弧を描いた瞳がゾクッとするほど色っぽい。

 

「な.んだよ急に」

「見られることより勝負の方を気にするなんてボクらの考えに染まってきたなぁって」

 

僅かに背中に戦慄が走る。

そういえばそうだ。見えないとしても胸を揉まれキスされ、さらには肉棒まで揉まれている。どれも異常なはずなのに驚くほど自分に抵抗が湧いてこなくなってきていた。

 

「……そんなわけない」

 

必死に否定してみる言葉にも力がない。どこかで自分もソラエルの言葉が正しいって思ってしまっているのかも。不吉な想像を裏付けるように、彼女がなぞる腹部の淫紋がまた妖しく光る。

 

「クスクス……普通じゃありえないよね。人目もあるのにおしゃべりしながらいちゃいちゃして……でもとっても気持ちいい。ほらもっかいキス。んちゅっ」

「あむっ……ちゅぅ……ちゅる……んはぁ.れるりゅ」

「ほらもう一回、ボクらを見る子どもたちを見て?」

 

促されるままに視線を向ける。さっきよりも数は増えていた。4つ、8つ.次から次に増える1対の眼がキスする自分たちの体に突き刺さる。

何をしているんだろうと不思議そうな瞳、楽しそうだと興味深く見つめる瞳、理屈も分からない歳で頬を染めるませた瞳。

その視線をいざ自覚すると.不思議と気持ちよさを覚えてしまう。

 

(全身が凄く敏感になって……たくさんの目が撫でてるみたいにっ……ソラエルと私を見てるんだ)

 

認めてしまうと欲望に火が点く。理性と環境に縛られてきた常識が形を失い、代わりに胸に宿る焦がれのような熱だけが行動指針にすり替わろうと蠢きだす。

もっと見せたい。魅せたい。

何もわからない子ども達に女として着飾ったこの体を見せつけたいと、絶対に認めてはいけない欲望が膨らみ始める。

 

(なんで私っ! ……でもあの視線がもっと強くなったら……もっといやらしい視線に変わったら……)

「期待してるよね」

「っ、な、なにを言って!!」

「エッチなこと大好きで大好きでやめられない。期待して求めて……性欲を向けられるのが至上の喜びのエッチな生き物♡キミもそれを受け入れつつあるんだって。

ほら心に従おう?」

(心に……従う?)

 

心は何を求めてる? 

答えを示すように淫紋が体を走ると揉まれている胸が熱くて熱くてたまらなくなった。

ソラエルの掌に重ねるようにして自分も指を這わせ、X字に胸を覆う布をずらすと片方のおっぱいが露出。ブルンとかタプンとかって音が付きそうな勢いで露に。

 

(む、胸、出しちゃった……あっ.でもっ!!)

「ふふ。よくできたね、いい子いい子♡」

「あふぅ.おっぱい.もっと熱く.」

 

分かる。視線が刺さる。これまで多種多様な感情が籠っていた視線が明らかに欲望の籠ったものに変わった。

吸いたい、しゃぶりたい、揉みたい.そこに籠った欲望の中身まで胸を通して伝わった。年端もいかない子どもでも大きな胸は欲望の象徴にほかならないのだから当然。

幼いオス達の視線を浴びた胸はより感度を増してソラエルの指を感じさせ、痛いほど勃起した乳首を摘ままれる。

 

「えいっ!」

「んぉっ!!」

(感じるほど.もっと熱く……触ってないのにこれ……おまんこまで……)

 

初めての感覚だった。股の間に水気が広がり、擦り合わせると少し糸を引く粘り気。そして自分の体から出ているとは思えないほどのメスの匂い。

発情とは今の自分のことを言うんだろう。体の中にどうにもできない熱が生まれ、身も心も全て理性を失っていってしまう。

 

「にゃはは、おまんこも濡れてきたね。女の子として見られるのが気持ちいいんだ♡」

「女の、子……」

「そうだよ。少しずつ少しずつ、この場所の人達がメスの匂いに染められてる。もっと強くして……えいっ!」

「おほぉぉおおお!?」

 

瞬時にバイブが振動。椅子に座ったせいでより奥深くへ呑み込んだ先端が内臓をまとめて震わせてくる。快楽中枢を叩き起こし、頭の中をキモチイイで一杯にしてくる。

しかも振動が明らかに入り口で震えた時より大きい。相手がイキそうなほど振動が強くなる設定が本当だとすればこれは、

 

「ふふ、ボクも結構感じてたんだ。楽しみにしてたキミと一緒にたくさんの人に見られながらするエッチ……興奮しないわけないよね。

ほらいいの? 何もしないとまた負けちゃうよ?」

「こ……のっ!」

「ふひゅぃっ!?」

 

バイブのスイッチを押し込むとソラエルも身をよじらせて歓喜の声を漏らす。明らかにずっと強く震え、彼女の中身をグルグルとバイブが掻き回している。

抱いているせいで彼女の分の振動まで太ももから肉棒、そして淫紋の中で育つ子宮へ響いてくるようだった。

 

(ぶるぶるが……お腹の中に少しずつ……いいのが増えてっ……)

「あはっ♡キミの感じてる震えがボクにも分かる……やっぱり感じてるじゃん♡

こんなにちんぽバッキバキに反り返らせてさ……分かってる? キミ、女の子の体見られて興奮しちゃってるんだよ?」

(そうだ私、ソラエルの言う通りだ……ちんぽ……おまんこ……すごく熱い.)

 

意識を巡らせれば巡らせるほど体に視線が絡みつく。

もうどの子どもも無垢さの殻を脱ぎ捨ててしまっている。イルカに夢中だった子どもまでこちらを向き、ズボンの股間を健気に膨らませる姿がとても美味しそう。

抱っこされた赤子は夢中で傍の母の胸に吸い付き、性を知らない子どもも各々のペニスを手で触り出している。

もう視線に感情まで籠っているようで目を閉じても彼らが視線に込めた欲望まで分かってしまう。

そして欲望を向けられて喜ぶ自分の体の浅ましさも。

 

「どんな気持ち? 

たくさんの子どもに見られて感じてちんぽとおっぱい固くしてる変態のリツカちゃん♡」

「やめろ……やめて……そんなこと、言わないで……あひぃっ!? おっぱい、吸うなぁっ」

「あむっ! ちゅぅううう!! れろろろぉ.くふふ、やだよん。このおっぱいはボクとご主人様のものなんだから。ボク並に大きくなったおっぱい、ミルクがでたら完璧なのにね。にゃあははは!! 

そろそろイっちゃいそうかにゃあ?」

 

思わず心が弱ってもソラエルはいつものまま。

遊びの調子で攻め立て、ただ快楽と愉悦を肉体に与えて的確にこちらの体を見抜く。

バイブも何時間も入れられっぱなしでキスや胸の快感もかなり溜まっている。抱きかかえた彼女の体の振動も合わさって肛内を揺るがされる快感は絶頂近くへと体を押し上げていた。

 

(イク……このままだとイかされる……たくさん見てるのに)

「そんな恥ずかしいことは……!」

 

僅かな正気で心を奮い立たせ、懸命に自分を見つめる紫の瞳を睨み返した。

これは勝負。いくら気持ちよくても頑張らないと。

 

「あはっ♡まだ諦めてないんだ。うんうん、それでこそボクの好きなキミ♡

でもでも! ほらみんな見てるよ。エッチなことしてるお姉ちゃん♡僕たちにおっぱい見せてくれるきれいなお姉ちゃん♡もっとエッチな姿見せてって♡」

「っ……止めろ……言うなぁ……」

 

耳の中まで犯されるようだった。熱さと気持ちよさがまた体の中へ入り込み、快感の度合いを引き上げる。

気を抜けばすぐにでもイってしまいそうな心地。

 

「見られるのかよくなっちゃうから……これ以上すると……私、私ぃ……」

「イキそう? いいよ、イって。またボクの勝ちだもん」

「ほらリツカちゃん。バイブ、忘れてたら可哀想だよ」

「んあっ♡ま、またブルブルきてぇっっ!! 

━━っ、やられてばっかりじゃないっ!!」

「ふえぁっ♡あは、あははは!! 慣れてきたじゃん! バイブ突っ込むの手慣れすぎっ♡

おほっ♡お、お尻めくれりゅ、奥まで感じちゃぅうううう♡♡」

 

もう手段とか何も考えていられない。伸びていたバイブの尻尾を握り、激しく奥まで突っ込んでやった。

悲鳴みたいに喜びながら喘ぐ姿を見るに効いているらしい。

だがこちらもさらに気持ちよさは増して限界が近い。

どちらが負けてもおかしくなさそう。

 

「ふ……ふぅ……ん?」

 

何かに気づいたらしいソラエルがわざとらしい仕草で周囲を見回す。そしてまた笑いを深めて耳元に口を寄せてきた。

 

「いつのまにか大人もこっち見てるね。皆ボクらを見て興奮してる……あ! あっちの人キスした! 

クスクス、皆キミを見てエッチな気分になっちゃてるねぇ」

「し……らないっ!」

「ふふーん。もうお話はいいって感じ? 

それじゃそろそろ勝っちゃおうかな」

「んにぃいいい!!! っ、負け……るかっ!」

「おひゅっ……あはっ、おっぱい揉むのも上手いねぇ♡なりふり構わないキミも素敵だよリツカちゃん♡

ボクもイっちゃうかも!!」

 

痛みを感じるギリギリの力加減で揉まれる胸。反り返った肉竿にはソラエルの薄いお腹が擦られて欲情を誘い、首元に痕を残そうとキスの雨。さらに周りからいくつも視線が向いて、とくに刺さるような感覚がする乳首はもう固く肉棒以上に張り詰めている。

舌で転がしたいとかミルク吸い出してやろうとか様々な欲望が入り混じっているのが感じられるのだ。それを想像するだけでまた愉悦を覚え、思わず震えてしまう。

 

「ちゅっ。おっぱいいくらでも吸えちゃうね。んっちゅぅ♡ちゅぱっ! ちゅぱっ♡」

「あぅっ!!」

 

赤ん坊のようなソラエルの吸いつきがまるで授乳しているみたいで倒錯感が頭の中をさらに掻き回してくる。

負けじとこちらも彼女の胸を揉んで首にキスし、特にバイブを思いっきり動かしてやる。

 

(コイツが感じるほど私のバイブも震える……なら特に震えの大きい所をもっと!!)

 

アナルの性感帯を探って何度も何度も突き上げ。

飛び跳ねるように震える彼女の体が効き目を証明しているが、同時にこちらの震えも強くなってさらに気持ちよさが加速。

いつイってもおかしくなかった。

そして唐突にその時はきた。

 

「ちゅぅ……じゅずずずずっ!!!」

(あ……私っ、もう!!)

 

一段強く胸を掴まれながら吸い上げられる。

脊髄が引っこ抜かれるような強烈な快感に目の前が白く染まり、体が弾けそうになって……

 

(イクッ……もう私……皆に見られて……女の子の私で……イッ━━)

「あっくぅうううう♡♡♡」

 

イったと思った。あと一歩キスされるだけでも十分絶頂の境界を越えそうだったから。

でも実際に絶頂の嬌声をあげ、一番の気持ちよさを味わったのは私ではなかった。

 

「はぁっ……はぁっ……!! 

……あちゃ~負けちゃった。ギリギリで感じてた刺激を全部バイブで流し込まれちゃったよ」

 

大きく肩で息をしてもたれかかってくるソラエル。抱き着く彼女の中から伝わる振動はまだ続いているが、私の中のバイブは動きを忘れたように沈黙してしまっている。詰まっている圧迫感と広げられる拡張感が心地いいけど体全てを揺らされるあの快感には程遠い。

見えていた絶頂が遠のいて体の熱が冷めると同時に、ようやく何が起きたかだんだんわかってきた。

 

「え、あ……」

(勝った、の?)

 

相手が感じるほど振動に強くなるなら絶頂した後は止まるのも不思議ではない。

現にソラエルはまだ息が荒いがどこか清涼感のある笑みで実に清々しく抱き着いてくる。

 

「ふぁ~.リツカちゃんすごいね。ボクをイかせるなんて早々出来ないって」

「あ、うん……そうだろ」

(まだおまんこ……ぬるぬるして……ソラエルだけずるい……私も━━何考えてるんだ私)

 

気持ちよく絶頂して欲望を発散できたソラエルはいいだろう。

だが自分の中では燃え続けていた肉欲に無理やり蓋を被せて火を殺したような気分。朝の服を買った時から続いている小さくも重なった快感が理性にも爪を立てはじめていた。

思わず少し柔らかくなりそうな肉棒やビンビンに尖ったままの乳首へ指が伸びる。

思いっきり捻り上げたら、カリ首をシコシコ扱いたら……どんなに気持ちいいかはよく知っている。だからこそやりたくて……

 

「気持ちよくなれたし楽しかったー♪ テキトーに次の場所言っておしゃべりしよっか」

「う……それは……」

 

もう切り替えたらしい彼女の声で手を止める。これ以上手を伸ばすとどうなるか、自分でも分からない。それでも伸ばしたくなるような甘い誘惑が蜜壺から立ち上ってきていた。

ここでも自分もイかせてと頼んだら.きっとソラエルは叶えてくれる。そういう奴だ。

情欲と理性がせめぎ合い、気づくと彼女のスカートの裾を握っていた。

 

「ほえ?」

「ソ……ラエル……私、私ぃ.」

 

多分涙目になっていると思う。思わず縋るような気持ちで見つめると、彼女はまた実に嬉しそうに口を歪めてこちらの頬に手を添えた。

 

「ふふっ。リツカちゃんも気持ちよくなりたいんだね。ボク達みたいに何もかもから解き放たれて快楽を求める眷属にすごく近づいてるよ♡

皆に注目されてエッロい目で見られるの、たまんないもんね♡」

 

彼女の言う通りだ。

全身を舐め回すような温かくてドロドロしたいくつもの視線。もっと晒したい。もっとたくさん見られたい。

女の子の体を見られて欲望の標的とされるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

 

「安心して。後でちゃんと叶えてあげる。ここの人達全員を合わせるよりすごい、見られる喜びっていうのをね。でもここじゃないし、とりあえず━━」

『後ろの席のお姉さん達~、ちょっといいですかー?』

「━━あ、やば」

「え……きゃっ!?」

 

お互いのどちらとも違うスピーカーからの声でようやく完全に正気に戻った。

見下ろすとイルカショーの観客席は老いも若きも男女も親子も関係なく肉欲の盛りの真っ最中。

あちこちでキスや愛撫が始まり、服こそ脱がないままでもセックスまで始まっている。

自分の息子のペニスをしゃぶる母親。

赤子に授乳してよがっている母親。

娘にペニスを美味しそうにしゃぶられて快楽の声をあげる父親。

倫理観なんて欠片もない大変な状況だった。

ショーの舞台である大型プールのスタッフ達は影響がないみたいで、自分達をすごい目で見ていた。

 

「おい。これって.」

「うーん、ボクらのエッチで淫気に当てられた人達の大乱交ってとこ? 

ハメをはずしすぎちゃったね♪」

「言ってる場合か!! どうすんだよ!」

「あはは~……逃げるよリツカちゃん! 騎士団の子たちに見つかったらまたですかって怒られちゃう!!」

「いつもこんなことしてるのかよお前!!」

「普段は地下以外じゃ我慢してるもんねー! とにかくもう一回逃げ.んぁっ!! バイブ震えて……リツカちゃん止めてぇ……今お尻敏感だからぁ……」

「ああもう!! 設定つけたのお前だろ!!」

 

ぎゃあぎゃあと言い合いながら服を整え、急いでショーの席から駆け出す。

イけなかったのでまだソラエルのバイブはしっかり震えていて動けないと喚くので、抱っこしたまま強引に走り出した。

 

「わーい! リツカちゃんの抱っこだー!」

「喜んでる暇あるなら降りろ!」

 

服屋の時と似たような展開。つい先ほどまでの気持ちよさや淫靡な雰囲気なんて感じられない慌ただしさ。

でも何だか少し楽しいと感じている自分もいた。

 

◇

 

閑話 思い出の甦る場所

「いつの間にかすっかり夕方になってるし」

「いやぁ.あはは。遊びすぎちゃった。ごめんね?」

「.別にいい。迷惑はかけたけど誰も傷ついてないしな。それで今度は何なんだ?」

 

水族館から飛び出し、またしばらくふらふらとあちらこちらを乗り物に揺られて移動した挙句、一つの学校にやってきていた。

バイブも勝負ありということで抜かれているのでお互いかなり落ち着いた。

そこそこ年季が入った外観にいくつも教室が入っていてかなりの生徒が通っていそう。門扉には『桜代学園』と刻まれている。

 

「ここは……」

「こっちこっち~」

 

造りを知っている様子の彼女に手を引かれ、昇降口、廊下、階段と巡った後に屋上へ辿り着く。

外に出る為の扉は少し錆びつき、ソラエルでもすぐには開かなかった。結局えいって掛け声と一緒に蹴りで開けやがった。声は可愛いが結果は全く可愛くない。頑丈な金属の扉に足跡で凹ませるとかどんな怪力だ。

……そもそも靴の跡で誰がやったかバレそうだが大丈夫なのか? 

 

「わぁー! 前と全然変わんなーい!」

 

扉の惨状を気にした様子もなく、屋上へ出ると縁のフェンスを掴んで夕日で赤く染まった校庭とその先の帝都の街並み眺めて喜んでいる。

自分としては知らない所の景色を見ても何とも言えないが、それでも落日に照らされる景色というのは中々美しい。

ずっと昔、友人と学校に通っていた頃や仲良く並んで帰った日のことを思い起こされる。

耳をすませば藤丸帰ろうぜーとか、家帰ったらお前んち集合な! と他愛もなく交わした言葉が耳に蘇るようだ。

やや感傷的な気分で隣に立ち、最初は子供みたいにはしゃいでいたソラエルも少し落ち着いた笑みに変わった。

 

「ね、藤丸クン」

「……あ、ああ。どうかしたか?」

 

着替えてからは初めて藤丸と呼ばれ、反応が僅かに遅れた。

もう呼ばれ慣れているはずなのに変な感じ。

 

「今日さ……楽しかった?」

 

そういってこちらを向いた彼女の表情は今までのどれとも違った。

人を誘惑して快楽に堕とす淫魔とも、策を巡らせてこちらを嵌めてくる策略家とも、やたらハイテンションで周りを巻き込んでくるアイドルっぽいのとも違う。

変に肩に力を入れない自然体でぽつっと出たような言葉と、フェンスに頭を持たれさせて少しはにかむような照れ臭さを混ぜた笑み。

 

(こんな顔もするんだな)

「楽しかったかって……そうだな。全然楽しくなかったって言ったら嘘……だと思う」

「そっか、ならよかった」

 

拍子抜けしそうなくらい簡単な返答。でもそれで十分というみたいに彼女は嬉しそう。何を考えているのかさっぱりわからない。

 

「ここはね、ボクやお姉様やリズ姉ちゃんが通ってた学校。あ、ユリ姉ちゃんもいたっけ。

アズ姉ちゃんとも通いたかったなー」

「……お前が人間だった頃ってことか」

「うん。平穏で刺激もあってもう他に何もいらないって思えるくらい幸せだと思ってたあの頃。

もう戻る気はないけど確かに楽しかった思い出の世界。ここからだと過ごした場所全部が見えるから来たかったの」

 

懐かしむように語るその顔と言葉には嘘はなさそう。どこまでも透き通るガラスのような表情で遠くを見つめ続ける。

 

「世界が変わる前に見ておきたかったんだよね。失敗する気はないけど異星の神(お邪魔虫)を仕留め損ねたらもう見れないし。

━━リツカちゃんも学校って好き?」

「どうだろ……ただ何となく行かないといけないから行ってただけの気もする」

「あー分かる。行かなくなってからじゃないとただ面倒って思う時もあるよね」

 

何かいやらしいことをする素振りもなく、ただ友達みたいな感覚で立ちながらしゃべり続ける時間。

懐かしいような悲しくなるような不思議と嫌ではないそんな時間だ。

 

「同い年ならどこかですれ違ってたかもねー」

「お前みたいな奴、一度見たら忘れるかっての」

「無理だと思うよ。ボク、前は男の子だったから。こんなに可愛くなかったし」

「それなら……ってえ? 男?」

「言ってなかったっけ? 

ボク眷属になる前は男だよ」

「嘘だろ!? この胸で!?」

「ふにゃぁっ!? ちょ、キミから揉むとか反則!」

「今日一番の衝撃だ.」

「んふふ~。それってボクがどう見ても女の子ってことだよね。いやぁ照れちゃうなー」

 

途中で中々衝撃的なカミングアウトもあったが。

 

「それで私と昔話がしたくてここに連れてきたのか?」

 

ただ喋る今も居心地が良かったが踏み出さないといけない。この少女は何の目的もなく遊んでいるように見えるのは見た目だけだ。そのことを良く知っている。

案の定、問いかけには少し目を細めてまた意味深に笑った。

 

「違うよ。ちゃんと捨てられるようにしてあげたくてさ」

「何を?」

「これまでと……これから♡こういう所がキミにとっての日常の象徴でしょ?」

 

向き直って太陽を背にすると、うんと一伸び。

たちまち彼女の着ていた大人しい服はドロドロに溶け、崩れた粘液を纏うようにしてソラエルの淫魔装束が復活。

髪はピンク色へ戻り、服も扇情的で胸も股間も大胆に開けた衣装へ。

止めに尻尾と悪魔のように大きな羽を広げて淫魔へと回帰する。

 

「さてと! 暗くなってきたしそろそろ行こっか」

「どこへ?」

「ヒ・ミ・ツ♡デートだもん。最高に気持ちいいエッチして終わりにしないとね!」

 

穏やかな口調だがそこにはただの可愛い声とは違った独特の雰囲気がある。魔に属するもの特有の堕落へ誘う気配とでもいうべきか。

見つめた先でフェンスの上へ飛びあがり、器用に羽と腕を同時に体の前で折って一礼してみせた。

 

「コホン……どうぞ巫女様、エスコートはお任せを。貴方が行くべき場所へ、陛下に授かったこの翼で飛んでみせましょう♪」

 

スカートの裾をちょこんと摘まんでおどけるように笑ってみせた。

 

◇

 

デートその3 ご主人様に何もかも忘れるまで愛してもらおう

水族館から逃げた時とは逆に彼女に抱きしめられる形で学校から飛び出し、5分とかからずにそこへ辿り着いた。

 

「これが……」

「そう、日本異聞帯の空想樹モンスター」

 

降り立った場所はまさしく見上げるような大樹の根元。海の中に生えた空想樹の麓だった。帝城ほどではないが大きな施設が建っていて、入り口の扉の前。後ろには海岸から歩いてやってこれるように桟橋がすっと伸びている。

辺りには今もピンク色の雪のような花粉が降り、海に落ちるとじゅわぁっと溶けて混ざっていく。元の青さを保ったままの海も樹の近くから徐々にピンク色に変わり始めているようだ。

隣で同じようにモンスターを見上げたソラエルはうっとりと恍惚の笑みでその大樹を見上げている。

 

「陛下の因子である花粉を降り注がせ続ける奇跡の樹。北海道の黄金樹も植え替えたおかげでいよいよ生育状況も完成に近くなってるの。

━━でもこれはまだ完成していない。ううん、空想樹としては完成したけどボクらの道具としてはまだなんだ」

「……まだ完成してないってこと?」

 

魔術の素養が凡人な自分でも分かる。モンスターから感じられるマゼランにも匹敵しそうな圧倒的魔力。そばにいるだけでも何かの影響を受けそうなほどに力強い。

 

「水族館の勝負はキミの勝ちだったからね。質問に答えてあげる約束だし、教えてあげる。ボクらの目的、そしてキミにやってもらうことをね」

 

見上げたまま目線は動かない。そして私もまたその神々しささえ感じる光に思わず目を奪われていた。

見れば見るほどに心が凄く締め付けられるよう。

人でさえないのに何だかとても愛おしく思えてしまう。

 

(じっと見てると.なんだか一つになりたい.寄り添いたいって気持ちが……何なんだこの気持ちは)

「ふふっ、見惚れちゃってるね。

ボクらの目的はもちろんこの異聞帯を汎人類史の代わりに挿げ替えること。空想樹は空想を大地に根付かせる力があるからね。でもそれって少しでも存在した可能性が無いとできないんだ」

「……どういう意味?」

「隕石衝突とか神話の戦いの勝敗とか理由は違っても異聞帯はこの地球に起こりえた歴史からの続き物。まったく違う世界が急に生えたわけじゃない。

ボクらはそれがしたいの」

「違う、世界.」

 

言っている理屈は分かる。空想樹とは異聞帯、ありえたかもしれない歴史を地上に下ろす為の楔。ありえもしない可能性は当然下ろせない。

 

「でも存在しない歴史なんて.」

「うん。そのままじゃ無理。でもそこで巫女の出番なの」

 

巫女。

捕まった時や朝も言われた謎の単語。私に対して考えられている何か。

 

「強い汎人類史への執着があって、空想と現実どちらにも繋がれる選ばれた女の子……それが巫女だよ」

「空想と、現実」

「そうさ。本来あるべき歴史を知った上でいらないと消し去る存在。より強く、汎人類史より虚構も虚構のご主人様の歴史が正しいと胸を張れる邪悪の体現者♡」

 

すっと後ろから抱きしめられ、頬をスリスリ柔らかい掌が撫で上げる。

 

「それがキミの役目。リツカちゃん、君はこの空想樹を操ってご主人様の望みを叶える巫女になるんだ」

「私……そんなこと.」

「ボクがやる予定だったんだけどね。もっと適任だと思ったし、何よりキミのこと気に入ったから」

 

間近で顔を覗き込んでくるその瞳には嘘偽りない喜びと祝福で溢れていた。それが私の幸せだと信じて疑っていない。

受け入れられるわけがない。

汎人類史を捨てて彼らに協力するなんて。

自分勝手で傲慢だと思うのに、ご主人様という言葉を聞くと不自然に心が踊る。淫紋が熱く疼き、モンスターから降る花粉を浴びるとドキドキ胸の高鳴りが止まらない。

 

(ッ、違う。そんなわけないのに……でも戦わないとって気持ちが……全然湧いてこない)

 

今日のソラエルと過ごした記憶もそうだが、帝国の人々に触れた体験がより彼らを敵と断じる心に歯止めをかける。迷いや戸惑いを切り捨て、拒む力をくれる味方ももうどこにもいない。

いるのは後ろから手を回してトップスの下から胸を揉んでくるソラエル一人。親しくしてくれる彼女に心が吸い寄せられるのも無理ないのかも。

その時、入り口が開くと中から男が一人現れる。

 

「来たか」

「あっ、ナイオーロ様!」

「っ!」

 

何度も見てきたナイオーロがそこにいた。豪奢な皇帝のローブを纏い、威厳と力を示している姿はまさに王者。いやでもその偉大さと呼ぶべきものを感じずにはいられない。

そして私の中に生まれる気持ちも初めてと変わってしまっている。

挑発的な表情はカッコよく見えるし、肉体はローブに隠れてもがっしり逞しい筋肉の形が透けるようで惚れ惚れする。強く強く彼の中から漂う雄の気配を感じ取り、淫紋が定着した子宮はキュンとする。

何もされていないのに内股に擦り合わせ、もう彼の前に跪きたいって衝動も小さく抱くほど。

 

(なんでこんな気持ち……マシュにも思ったことないのに……)

 

思考に男と女が混ざり合っている。

どちらかが自分だと言い切れない。

どちらもが自分の思いだ。

 

「ほう……元男とは思えん色気だな。一日でここまで仕上げるとはよくやったぞ。

オレを見て頬を染めて……抱きたくなるいい女だ」

「ボクは楽しくデートしてただけですよー。後は藤丸クンの素質♡カッコいいのにメスの匂いさせちゃうエッチな子ですもん♡」

「クク、それは楽しみだ。お前もそう思わないか、フジマルリツカ?」

「……お前に、褒められた所で……嬉しくなんか……」

 

嘘だった。

女の子の格好を褒められて気持ち悪いとも悔しいと思えない。いい女と言われただけでたまらない嬉しさがこみ上げてきた。

たまらずトップスとパンツをぎゅっと握る。そうしないと口元がにやけてしまいそうだから。

心まで彼にどんどん惹かれていくのが怖い。惹かれることよりそれをおかしいと思えない自分がまるで別人みたいだ。

そんな動揺しまくりな言葉はあっさり見抜かれ、近寄ってきたナイオーロに顎をクイっと持ち上げられるとまた心が少女みたいにときめいて視線が揺らぐ。まともに彼の顔を見られない。

 

「どうした? 

お前の仲間を何人も奪った憎い男が目の前にいるんだ。恨み言も言わないのか?」

 

何か言われても頭が回らない。顎に触れた手から幸せが広がり、笑って見下ろすその目が綺麗に輝いて言葉を紡ごうとした端から霧散する。

そんな無様な姿を見た彼はまたククッと楽しげに笑う。

 

「心も女に近づいてきているな。素質もあるだろうが、ここまでよく育ったものだ」

「女にって……まさか今日のデート……ソラエル!」

 

その言葉に今日なぜ色々と連れ回されたか合点がいく。やはりただ遊んでいるだけに見えて企んでいた。

驚きながら見るとにぱって元気よく崩された笑みで迎えられる。

 

「エッチな調教したってそれで育つのはメスの部分だけだもん。キミはたくさん知ったはずだよ。女の子の気持ちをね。可愛い服を着て……たくさんの人に注目される女の子の楽しみ。気持ちよかったよね♡」

「あれは……そういう……」

「遊びたかったのは本当だよ。でもボクは四天王。ナイオーロ様の為にちゃんとやることはやってたの」

「そしてこれからが仕上げというわけだ。女の最大の喜びは強い男に愛されることだ。これから抱いて、完全に男の自我を消し去ってやろう」

「たっぷり時間もかけたからね。きっと素敵な眷属になれるの間違いなし!」

 

小さく笑い合う主従に挟まれ、私はこれから起こることへの不安と……仄かに体を震わせる快楽への期待で動けなかった。

ナイオーロが手を振ると周囲に魔力が展開し、どこか別の空間へと取り込まれる。

そこは帝城の一室。軟禁されていた部屋と同じようなベッド以外に家具のない殺風景な部屋。

だが唯一ある家具が逆にこれから何をするか、嫌というほどこちらに教えてくれる。

 

「さ、リツカちゃん。上着は脱ぎ脱ぎしようねー」

「あ……」

 

僅かに抵抗しようと手をもじもじ動かすと笑っていなされる。着ていたコートが剥がされ、薄着のトップスとパンツだけに。

そのままベッドの上に尻もちを搗くように座らされ、ゆっくり歩み寄ってくるナイオーロを待つしかできない。

 

「服もいいセンスだ。オレの女なら洒落ていないとつまらんからな」

「あ……あんまり見るな。見られたく、ない……」

 

思わず胸と股間の前に手を回し、女の子みたいに隠して耐える。

ジロジロ舐めるように見られるとまるで蛇が肌の上を這っているような感覚が襲う。もちろん水族館で見られた時も視線を感じはした。だが子どもたちのそれより感じる快感は何倍も上。

ネクタイフロントで隠れた胸は少し張ってくるし、紐パンに隠れた肉棒と秘裂はとろとろの液が染み始めている。

何より息も鼓動もずっと速くなってる。視線だけで愛撫されているような心地だった。

 

(なんで……こんな.)

「勿論相手がご主人様だからだよ。刻まれた淫紋がナイオーロ様を大好きにしてくれてるの。キミの身も心もすっかり侵蝕されてるから見られて嬉しいのも当然だって」

 

受け入れられないはずの言葉が一つ一つ、蛇の牙の様に肌へと食らいつく。牙から広がるのは誇りを撫でられるような優しさと嬉しさに満ちた幸福の毒。

そっと後ろから添えられたソラエルの手で私の両手も背中へ回され、遮るものの無くなった視線が肌へ降り注ぐ。

 

「ソラエル(お前)とは違った趣向だな。リズエルに寄せた服か」

「リツカちゃんは少しカッコイイ所も残そうかなって。王子様系のメスも良くないですか?」

「クク、確かにな。オレにだけ見せるメスの顔は確かに極上だ。

━━脱げ」

 

短く発せられた命令には逆らえない。

相手は皇帝だから。後ろにもソラエルがいて拒んでも無理やりされるだけだから。

でもだったら.今この胸の中にある高鳴りは何なのだろう? 

 

(考えちゃダメだ……とにかく脱がないと)

 

まずはトップスのネクタイフロント。シャツと同じように下からめくって首を引き抜く。ブラと二重で締め付けていた胸の谷間が僅かに揺れる。

次にボトムスのデニムホットパンツ。止めていたホックを外してジッパーを下ろして片足ずつ引き抜く。

これで下着姿。しかしもちろん終わっていいわけもない。

前からはナイオーロの愉快そうに値踏みする視線。

後ろからはソラエルのワクワクした子どもみたいな視線。

挟まれて逃げられず、ブラも首から外した。

 

「ほう」

 

思わず漏れたような彼の声にまた心がドキンと僅かにぶれる。視線で感じる場所を無意識に指でなぞり、まるで彼の視線をわざと引くみたいに手を動かしてしまう。

ぷっくり膨らんだ乳輪、形よく膨らんで肉棒も挟める大きさ、自分の指でも十分感じられる感度とどれも

 

「ナイオーロ様の視線がどこを見てるか分かるよねぇ。大きく育ったおっぱい、形のいいおへそ、つるつるで舐めやすそうなまんこ、それに少し尖ってる凛々しい顔。

全部、キミだけに向けられてるんだよ」

(私……こんなにドキドキして……これじゃ本当に女みたいに……)

「止めるな。最後まで続けろ」

「は……い」

 

思わず返事もしてしまう。相手は敵なのに。

両腰で止めてあった紐を軽く引くとすぐに解け、三角の布がシュルルと股から引き抜ける。

隠しても外されるからと諦め、無毛のワレメを彼の視線に晒してしまう。

まだ男を知らず閉じ合わされた入り口、興奮を隠せず固く持ち上がったふたなり肉棒、そして少しずつ股へと垂れる透明の愛液。

ソックスまで脱ぎ終えて生まれたままの姿になってしまうともう自分でも心の中がよく分からなくなっていた。

正座するように座った私のワレメに無造作に彼の指が伸びるとワレメにつぷっと挿入。

 

「ひゃぁぁぁあ!!!」

「クク、触られただけで気持ちいいのか?」

 

それだけでもう絶頂してしまいそうな気持ちよさ。自分の指より、マシュとセックスした時よりずっと気持ちいい。まんこに彼が触れた途端、祝福でも受けたような快感に包まれる。

思わず倒れそうだったがそっと後ろからソラエルが支えてくれる。

 

「ほらご主人様に聞かれたら答えないと。気持ちよかったの? 

おまんこ弄ってもらって」

「あ……そ、それは……」

「何も恥ずかしいことじゃないよ。ボクもご主人様もただ聞いてるだけだもん。聞かれたことに正直に答えるなんて当然だと思うけどなぁ」

 

普段なら何言ってんだと片づけられる誘惑。

でも今は場を支配する2人の独特の空気がまるで彼らの言葉こそ真実って気配を漂わせてくる。

ダメ押しのようにもう一度浅く膣口に入り込んだ大きな指が浅い所をクリクリ掻き回した。

 

「気持ちいいか、フジマルリツカ?」

「あはぁぁぁあ……は、はいっ。気持ち……いいです!!」

 

指の腹で撫でまわすような仕草。そこから生まれた強い快感に思わず認めてしまう。

だって現にキモチイイ。ほんの少し触られただけで相手がどれほど手慣れていて感じさせることが得意かってことも分かる。

僅かな指の角度、拡げるような繊細な動き、童貞臭くがっつくこともない余裕に満ちた態度、全てが男らしさとカッコよさに満ちている。淫紋のせいと分かっていても女の心で彼が優れたオスと思わされる。

 

(あぁ……認めちゃった……敵に……敵におまんこ触られて.私)

 

ただ認めただけ。それでも敵の言葉を受け入れてしまった自分が嫌になる。

しかし落ち込みそうな心さえもすぐに見抜かれる。

 

「よく認めたな。偉いぞ」

「え……」

(私、褒められ……て……)

 

頭に手を乗せられ、自分のしたことが間違いではないと褒められる。

それは絶対的強者から弱者に与えられる慈悲であり寵愛。私が続けてきた旅には全くの無縁な存在だった。

ロマニや以前のダ・ヴィンチに褒められたことはある。だが彼らはあくまで仲間。同じ過酷な環境を共にしてきた同胞だから、誉め言葉にもお互い様って気持ちが強かった。マシュやネモに対してもいつもありがとうって感謝の気持ち。

でもそれ以外の人は違った。監査に来た協会から疑われるし、いい人の新所長からも威厳は特に感じないし、異聞帯の王はいつもどこか超然としてただの敵としか思わなかった。

 

(なのに……私……嬉しいって思ってる。ナイオーロに褒められただけで)

 

傍でククっと笑う男が今までに出会ったどの王達より心に近く感じられる。淫紋が光ると瞬時に落ち込みだしていた心が消え、代わりに手を乗せる彼への愛しさや幸福感が勝手に芽生えてくる。無意識に膣内の指を締め付け、掌に頭を擦り付ける。

 

(私が……私として……褒められるの、いつぶりだろう.)

 

カルデアのマスターでも異聞帯切除を成す者でもなく、ただ一人の人間として見られて受け止められる体験は酷く新鮮だった。親や大人に頑張りを褒められたことなんてずっと昔で記憶も希薄。

だからこそナイオーロの見せる男としてのオーラと雰囲気に包まれて受け入れられると強い安心感に変わる。

まるで楔のようにナイオーロの存在が心に根を下ろしたのが分かった。藤丸立香という私の中で今までの経験にはない新しいカテゴリーにナイオーロが収まるような、そんな感覚。

まだ自覚こそないものの、主という絶対的な存在が宿ってしまった瞬間。

 

「よかったね。ナイオーロ様はキミが正直だから褒めてくれたんだよ♪」

(正直って……でも、認めたから褒められた……敵なのに……ナイオーロなのに……私すごく嬉しいって……これも淫紋の影響……)

「さてもちろん脱いだだけでは終わらんぞ」

 

迷う暇は与えられない。へたり込んだ私の前に突き出されるナイオーロの股間。そこにはローブの厚い布越しにもくっきり勃起している肉棒。

見た瞬間、もう抵抗力が根こそぎ奪われるような感じ。

男が股間を膨らませているのを見せられても照れくささとか恥ずかしさくらいしか感じない。嫌悪感は全くなくて、むしろ服の中に隠れている姿にもどかしささえ感じている。

私の中にいる女の自分、そしてナイオーロを主と認める自分がゆっくりその影響力を強めてきている。分かっていてもそれ以上はどうにもならない。

ただ認めない、受け入れちゃいけないと理性で抗い続ける。

 

「さ、一緒にご奉仕しよう♡」

「あ、え、一緒……?」

「何変な顔してるのさ。デートなんだから最後まで一緒だって」

 

囃し立てるだけだと思っていたから意外。隣に座って同じようにナイオーロの股間に顔を向けた。

 

「ほら一緒に……しよ?」

「う……あ……」

(やっちゃだめだろ……男のち、ちんぽに奉仕なんて)

 

僅かに理性が歯止めをかけようとする。

しかしそんなものは何の役にも立ちはしない。

 

「奉仕しろ。ソラエル、そしてフジマ……いやリツカ」

(……あ、や、やらなきゃ……ダメだ……逆らえない……逆らいたくないって気持ちにさせられる)

 

名前を彼が口にした途端、心からやらない選択肢が消えてしまう。

理屈はよくわからない。ただ僅かでも抵抗する意識が取り上げられて形を無くす。

ソラエルの手に自分も重ねるようにしてローブをずらし、下着を動かすと中から待ちかねたように肉棒が飛び出した。

 

「ふわぁー♡いつ見ても素敵なおちんぽ様♡」

「これ、が……ちんぽ……!? ……ご、ごくっ!!」

 

持ち主の腹に触れそうなほどの反り返り。

膣をかき回して蹂躙する気迫に満ちたカリ太の亀頭。

触れなくても見ているだけでこちらに伝わる熱さ。

きっと重いんだろうなと分かる重量感にみちたタマタマ。

じっくり観察すると涎がこみあげたので慌てて呑み込む。にまーッと嬉しそうな目でこちらを見るソラエルと目が合った。

 

「……なんだよ」

「ううん別にー♪ それじゃあご主人様、始めますね!」

「ああ」

「ほらリツカちゃん! ファーストキスは譲ってあげる。遠慮なくチュってしていいよ」

(ファーストキスとか誰が……うう……)

 

見れば見るほど逞しくて魅力的な逸物。

主が違い事を感じているのか淫紋の疼きもより悪化し、前にして五感でちんぽを感じているだけで喉が砂漠にいるみたいに乾く。

舐めたい。キスしたい。しゃぶりたい。頭に浮かぶ無数のいやらしい行動。

そのどれを実行しても快楽を味わえると本能的にわかってしまう。

犬の待てみたいに体の前に手をつき、ゆっくり口が肉棒との距離を縮めていく。

 

(ダメだ……我慢、できない……)

「……ちゅっ」

 

プルっと柔らかい唇が亀頭に触れる。苦みとか生臭さに混じるオスの気配。力強さに満ちた征服者の貫録が勃起から感じられた。

でも実際に触れてもやっぱり嫌な感じはしない。それどころか触れた唇から温かさがじわじわ広がって心を満たしてくる。

 

「んっちゅ……ふりゅぅ……ちゅっぷぅ」

(大きさとか……私のも負けてないのに。全然違う……とっても美味しそうで……オスの気配に満ちてる)

「お、積極的だね! いい傾向だよリツカちゃん。ボクも負けてられないぞー!」

 

一度触れると後は簡単。2度3度と繰り返して先端へ何度もキス。

汚い排泄器官だって理解しているのに全くやめる気になれない。

隣にずいっと乗り出してきたソラエルに渋々半分渡し、竿へキスするのを見つめる。でも亀頭からは口を離さないでもっとキスを繰り返す。

 

(そうだ……キスばっかりじゃダメだ……)

 

淫紋が疼き、調教の記憶が体を動かす。

口かられろぉっと舌を目一杯伸ばし、亀頭に巻きつけるようにして舐め始める。

鈴口にも差し込み、カリ首をスリスリ擦り、流れ出てくる先走りもしっかり舐めとる。先走りを口の中に塗り、唾液と混ぜて亀頭に塗ったのを舐めると思わず気持ちよくなって震えちゃう。

 

(ちんぽ……ちんぽいぃ……もっと舐めたい……子宮が凄く熱い……)

 

頭にピンク色の靄が伸び、頭が性欲で支配されていく。

元から今日は一度もイけていないせいで性欲もたまる一方で、そこにきてこんなに見惚れるようなちんぽとの出会い。夢中になってしまうのも仕方なかったのかもしれない。

そんな欲望とソラエルの策略が舐めるのを後押ししてさらにぺろぺろが加速。

視界に入れていないが同じく楽しそうなソラエルも負けじと竿に舌を巻き付けて上下にジュルジュルと舐め上げる。

 

「れりゅる、ちゅっぺ、むっちゅ、れっろ、れろろろぉ!!」

「じゅぞぞぞぞっ! んじゅるるる!!」

 

最初に感じていたはずの迷いなんてもう頭のどこにもない。

ただ舌を押し付け、少しでも多く肉の褒美を堪能することに憑りつかれる。

 

「ほらしっかり味わっていいよ。喉の奥までパク―って咥えちゃお♡」

「……はむっ! じゅりゅる……ふじゅる……じゅぼっじゅっぼじゅぼ!!」

 

頭を撫でられて言われるとすぐさまさらにそそり立つ肉棒を口の中へ迎え入れる。

命令されたから? 

それとも自分が望んだから? 

口にしてからそんな疑問が湧くがすぐに興味を失う。

頭の中は咥えたオスの象徴のことだけで一杯だ。

 

(大きい.顎が外れそう……でも全然苦しくない……もっと咥えていたい)

 

口と肉棒は驚くほどよく馴染んだ。咥えていない方がおかしいと思えるくらい自然に舌が蠢いて巻きつく。

匂いも味も口の一部になっているかのよう。

赤ん坊がおしゃぶりを吸うことを躊躇わないようにちゅぅううっと吸い、唾液で濡らした竿を丹念に口内で舐め回す。

 

(美味しい.美味しい! ちんぽ、とってもいい! すごくエッチな汁が出て舐める度に体が熱くなる。二度と放したくないって思わされる!!)

 

唇から愉悦が広がる。じゅっぷじゅぶ水音たっぷりに啜るとアズエルにフェラされた快感が想起される。

自分がされた時よりしている今の方が気持ちいい。

私のペニスは少しも大きくならないのに、蜜壺からは止まらない愛液が股間を濡らす感触も実にいい。

体に心が追い付いていく。

戸惑いしかなかった女の肉体がソラエルと過ごした時間で自分のものになり、そして今度は女としての意識が本当の自分になっていくのだ。

 

「分かるか? 

お前がいい女だからオレのちんぽは固くなっている。このちんぽこそがお前の価値の証明だ」

(ああそんな.私の体……裸でこんなに固く……また嬉しい気持ちが……)

 

囁きが麻薬のように心を彼のものへ染めていく。

女としての価値を褒められる喜び。ナイオーロに必要とされる歓び。ちんぽに奉仕する悦び。

どれも男の意識では想像さえしないことだ。

でも心には確かな嬉しさと幸せな気持ちが生まれ、もっと彼に褒められたい思いがずっと強くなる。頬は照れを隠せず紅潮し、奉仕にも一層の熱が入った。

 

(分かってる……分かってるんだ。こんなのおかしい……ちんぽから離れなきゃ……でも……でもっ!!)

 

理性はある。今の自分がおかしいとも分かる。

でもそれらすべてを吹き飛ばすくらい、奉仕して褒められると心が温かな想いで満ちていく。

生命の母である海に揺蕩う感覚とも言えるだろうか。そこにそうあることを何も疑う気がしない。

こうして奉仕することが藤丸立香にとって当り前のように心が受け入れてしまう。

 

「ふふっ、いい感じだね。そろそろこっちも目覚めだすよ」

「むじゅう、じゅぼぉ……じゅっぶ、じゅぼじゅぼっ、じゅぶるるる……ソラエル?」

 

何を言っているんだろう。

頭がちんぽのことばかりで良く動かないが楽しそうだ。

そう思った瞬間、子宮で光っていた淫紋が広がり始める。

最初に刻まれた喉や腰にも♡型が浮かび、歪んでは邪悪な紫の光を帯びた紋様を触手のようにして四肢に向かって伸びていく。

肩から二の腕、肘、手首、指先。

両胸、あばら、へそ、腰、お尻。

太もも、膝、ふくらはぎ、足。

次々に伸びた呪詛の紋様に体が包まれて、何かの術を施されたような姿に変わる。

 

(……少し怖いけど……全然嫌じゃない)

 

しかし紋の光から感じる気配は温かい。今奉仕しているちんぽや空想樹から感じられるものと同じ。

私を受け入れ、開かせようって思いが流れ込んでくる。

全身に浮かんだ紋様をゆっくりなぞったソラエルが笑った。

 

「精神に刻んでた淫紋がキミの心にリンクして実体化し始めてるの。覚えてないかな~。アズ姉ちゃんやユリ姉ちゃんと遊んだ時、少しずつ心の中では淫紋が広がってたでしょ? 

アレが現実になってきてるの」

 

そういえばそんなこともあったなとしか思えなかった。

やっぱり頭が働かない。

だってあまりにもこのちんぽが良すぎるから。

根元まで咥え、窄めた唇で下品な水音を立てて扱くと亀頭がさらに膨らんで気持ちいいと教えてくれる。

頭に蘇るのはルクスリアに施された調教の記憶。相手に喜んで欲しい。射精してほしいと願いながら触手を夢中でしゃぶった記憶が心をより奉仕することに染めていく。ご主人様のご褒美ザーメンをねだったあの記憶を。

 

(ザーメン……触手よりずっと濃いザーメン……きっと飲んだらそれだけでイっちゃう……おまんこ期待して涎垂れちゃってる)

 

肉棒はしっかり奉仕したおかげで今にもはち切れそう。

男のザーメンを飲むなんてしたら一体どうなるのか。怖さとそれ以上の快感への期待がこみあげ、より強く奥まで咥えこむ。

 

「おおっ……いいぞ。さすが見込んだだけのことはある。リツカは本当に優秀だな」

(ああっ……また頭撫でられて……髪の毛触られるとすっごい幸せぇ……ちんぽ奉仕してるのに……またこんなこと考えて……)

「んじゅう、ふっじゅ、ちゅずぅ、じゅっぱっ!!」

 

褒められると嬉しすぎてこれだけで達しそう。

淫紋が広がるにつれ、より彼のことを深く感じられる。

もうちんぽに触れるどころかその言葉さえ快感の一つ。

まるで皮膚呼吸してるみたいに全身の肌が言葉を聞いただけでジリジリと焦がれるように熱くなって、気持ちよさが弾けていた。

 

「クク、このまま射精してもいいが……やはりちゃんと注いでやらんとな」

「あっ.」

(……っ!! 私、ちんぽを自分から……!?)

 

一心不乱に舐めていた肉棒が離れていく。

唇から肉棒が離れてようやく意識が少しずつ本能から理性に戻って、自分がどれだけ夢中になっていたかを自覚させられた。

 

(私……ちんぽに夢中になって……しかもナイオーロに褒められて喜んでた……そんなことしてる場合じゃないのに! このままだと巫女にされて利用される!! とにかく正気を保たないと!)

「ありゃ」

「どうした?」

「いやー、多分リツカちゃんまた正気になっちゃってますね。さっきまでちんぽにメロメロだったのにもう戻るなんて流石」

「ほう。既に因子も淫紋もここまで侵蝕されていてまだ耐えるとはな。

どこまでも将来有望で嬉しいぞ」

「.っ」

 

敵対する行動さえ褒めるナイオーロの度量をまた感じさせられて喜びを覚えてしまう。既に彼の行動一つ一つが自分にとっては美点にしか思えなくなっているのかも。

少し離れた所で勃起し続ける肉棒もその一つ。触れていなくても固く反り返り、雄々しさの象徴として力強く血管を浮き立たせている。

大して自分はふたなりちんぽを萎ませたまま、ワレメの中に熱い蜜を滴らせて期待してしまっている。

 

「ふふっ。それじゃあいよいよクライマックスですね」

「クライマックスって……」

「もちろん、キミが完全にご主人様のものになるってことだよ。子宮(ここ)にたっぷりご主人様ザーメン注がれてキミは堕ちちゃうの♡」

 

一番大きな下腹部の淫紋を撫でながら淫らな笑みでそう囁かれる。ドキッと心臓が跳ねたのは終わってしまうことへの恐怖なのか。それともさらなる幸福を与えてもらえるであろうセックスへの期待か。

自分でも分からないまま、体をベッドに横たえさせられてナイオーロを見上げる格好に。

おかげでより理解する。

女になった自分よりずっと鍛えられていて屈強な筋肉で覆われた体。

切れ長で形が整い、宝石のように美しい青い瞳。

ブロンズ像のように高く整った鼻。

ニヒルな感じに歪められた口元もゆるぎない自尊心を表しているようでカッコイイ。

どれもこれも自分の中であるはずのない男の好みが彼そのものになっている。

 

(やめろ.思うな! 思っちゃダメだ!! 私は男、男なんだ。こんな女の子みたいにナイオーロのこと.)

「あぅっ!?」

「女として見られることを受け入れろ。お前はオレに相応しいメスだ」

 

頬に手を当てられて一言。それだけで理性が並べ立てた常識の壁は破壊され、また彼を主と認めたがる心が容易く体に快感を与える。心にも甘い痺れのような禍々しくも心地のいい闇が広がっていく。

 

(ああ……また.この感じが……)

「オレのメスならばただ奉仕することだけを考えろ。取り繕うな。くだらない常識はお前という存在の美しさを曇らせる邪魔なものだ」

 

思考が曇っていく。

メスとして主を求める欲望が身を焦がし、理性さえも溺れさせようと全身を駆け巡っている。

だが耐えなくてはいけない。

だってここで受け入れたら今度こそ何かが変わってしまう。

最後まで戦わないといけない。

だって自分が折れたらこの星の未来はもう誰も……

 

「言葉では堕ちないか。クク、実に好ましいな。その頑なな心、昔の妻を見ているようだぞ。

余計にオレのものにしたくなる」

 

求められる言葉に嬉しさがこみ上げたと同時、ついにナイオーロの剛直が秘裂へと押し入ってきた。

 

「あぉっ!? ふほぉおおおおお!!!?」

(ち、ちんぽがぁ……きたっ! 入ってきた!! おおきっ、大きすぎぃ!!)

 

プチプチと処女膜の裂けるのが伝わる。

しかし朝から何度もアナルで焦らされ、愛撫で焦らされて愛液を蓄えていた膣は痛みを少しも感じない。

流れ出す赤い純潔の証も嬉し涙の様に鮮やか。愛液に溶けて薄くなる姿が水晶みたいに綺麗な色合い。

 

「さすがに処女か……少しっ、きついな」

 

ナイオーロが苦しげな声を出すほどキツくキツく初めて男を迎えた膣は肉棒を締め付ける。

だが私も反応する余裕なんかない。

 

(ちんぽ入れると.こんなにすごいのっ!?)

 

肉で出来た杭を目一杯に撃ち込まれているような圧迫感。

まだ男を知らなかった閉じた肉襞は肉槍の猛々しい一突きに拡張され、メリメリと体の中で肉の圧力だけが広がっていく。

そしてそんな暴力とも呼べる挿入を受けて私は━━

 

(感じる!! ちんぽ、まんこに入れられて感じちゃう!! 大きくてごつごつしたちんぽに貫かれるの、気持ちよすぎぃいいい!!! 

これイク!! 入れられただけでイク!! 私、イっちゃうぅううう!!!)

 

ぞりぞりっと粘膜を抉って入り込んだナイオーロの肉棒。大きなカリ首が襞を拡げながら蠢く感触だけでもあまりに気持ちよく、ずっと待ち焦がれていた絶頂まで持ち上げられていく。

そして朝から溜め続けていた欲望が膣の奥、子宮口をノックした瞬間に弾けた。

 

「はっひぃいいいいい!!!」

「あは♪ 挿入れられただけでイっちゃった♡リツカちゃんってばすっごいエッチなんだから」

 

結合部から流れる愛液を啜ったソラエルは蠱惑的に笑う。私の堕落をどこまでも望み導こうとして。

初めての女としての絶頂。体がふわっと浮かんでどこまでも飛んでいきそうな解放感に包まれる絶頂感。

愛液がぐじゅりと低い水音を立ててどれほど気持ちよくなっているかもしっかりアピールしてしまう。

 

(これ……女の子の絶頂.私……私は……)

 

遅れてやってくる絶頂の余韻。肉棒を受け入れてよがった自覚が男の自我を緩やかに軋ませる。

膣を拡げられる被征服感。所有物だと突き立てられたその肉棒から流れ込む快感が心底心地いい。

一度最奥まで挿入したナイオーロは大きく動かず、亀頭でグリグリ子宮口をマッサージ。まるでくすぐるような腰使いが絶頂して敏感になった体に、新しい性感の火を与えては焦がしてくる。

 

「あっ……ふぁっ……ちんぽが奥にっ!! こんこん、こんこんってノックしてっ……」

「腰が震えているぞ。そんなに気持ちいいか?」

 

きかれている。ナイオーロに聞かれたら答えないと。正直に。

 

「いい、いいです!! ちんぽ、気持ちいい!!」

 

叫ぶように口にしてしまう。

誤魔化すとか嘘を吐くなんて考えられない。

自分の中にある男のプライドや覚悟より女の快楽が上回り始める。

 

「ならばもっと気持ちよくしてやろう。最高の快楽を刻んでやる!!」

 

意気込む言葉さえ快感。腰を掴まれて引き抜かれていった肉棒が入口スレスレから一気に奥まで再挿入。

視界が真っ白に染まって落雷を受けたような爆発的快感が頭に弾けた。

 

「ふひぅ!? お”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!?? ちんぽ、どちゅってぇ……!!」

 

あまりの衝撃と勢いに呼吸さえ忘れて言葉が最後まで続かない。

しかもそれはほんの一回。

叩きつけるような凄まじい勢いを込めたピストンが何度も何度も繰り返される。

肉棒が僅かに動く度、まるで火花が散るように強烈な快感が体へ流れ込んできた。

 

「あっあっ! んっ! あんっ!」

「可愛い声~♡もう完全に女の子の声だよ。ナイオーロ様とのエッチで喘ぐメス犬ちゃん♡」

 

ソラエルのからかう声にも反応できない。

一息に最奥へ腰を動かして子宮を亀頭で削るような突き。

密着した膣肉をものともしないで魂まで引き抜かれそうな抜き。

交互に与えられる快感に処女を失ったばかりの体はただ翻弄されるばかり。

 

「気持ちよくなれてるみたいだし、更に進めちゃうねー」

「……えっ!?」

 

首から下を覆っていた淫紋がさらに展開。顔にも頬や目の周りへ隈取のように先端が伸びた感触とよりナイオーロの魔力に包まれる安心感が頭にまで侵蝕。

額、首、胸元、腰、子宮と5か所に大小様々の歪んだ♡の紋が完成すると肌の中へ浸透。

魔力が完全に体へ馴染んだことを悟ると、それまで強かった膣の快感がさらに倍加した。

 

「ほひっ! ふっひぃいいいい!!? にゃっ、なんで、気持ちいいのがもっと、もっとぉおおおお!!!」

「ナイオーロ様の眷属へ生まれ変わる準備、体の最適化が出来たってこと♡ご主人様のちんぽを一番感じられるように体が変化したんだよ。

━━そしてここからメインパート! ナイオーロ様♥」

「ああ分かってるぜ」

「きゃっ!」

 

腰と肩に手を回され、正常位の姿勢から抱き起される。結合したまま女が男に抱き着くような姿勢━━いわゆる駅弁と呼ばれる体位。不安定で思わず彼の首に腕を回して抱きつくと笑って頭を撫でられる。

 

「お、落ち!?」

「クク、慌てるなよ。このオレが抱いた女を落とすなんて間抜けなことすると思うか」

 

そう言って笑った後、両腕ががっしりと尻肉を下から揉んで肉悦と一緒に体を安定。

豊かに育った胸が私の体重と彼の胸板で潰れ合い、より身近に男としての魅力を感じさせられる。反射的に息を吸うと彼の体の匂いさえ何度も触れてきたように安らかな気持ちにしてくれる。

 

「あ……ふぁああああ……」

(すごい……私の体を簡単に支えてなんでもないみたいに……私じゃマシュ相手でも出来ないのにお尻を揉む余裕まで……あぁっ! お尻ももみもみされるの.気持ちいい)

 

ちんぽを突かれまくった正常位に比べ、お尻をグニグニ揉まれながら支えられて奥まで肉棒を入れて固定した駅弁はまったりと落ち着くような優しい快感。一呼吸おけるような優しさに緩んだ膣肉は体重でよりちんぽを奥へ迎え入れ、中から溢れた愛液がごぽぉと零れた。

 

(そ、それにこの姿勢……ナイオーロと抱き合ってるみたいに……しかもこいつ、私を抱いてるのに全然フラフラしない)

「どうした。顔がまた赤くなっているようだが?」

「な、なんでもない! ……から」

 

多少は筋肉もついて重いはずの私を抱いて軽口まで叩く余裕。正常位で何度か激しく突いた後なのに。

押し付けた胸に木霊する彼の心音は全く乱れがない。ただ自然体で私を抱けてしまう。

また一つ男としての自我が刻む。決して勝てない男としての格の違いが僅かな惨めさと圧倒的な彼への愛情になっていく。

そうやって思わずうっとりしそうな所へソラエルの声。

 

「ここからはボクも気持ちよくしてあげるよ」

「な、何する気……」

「んふふ。声が期待で上ずってるよん♡何かってそれはもちろんこのお・し・り♡いただきまーす!」

「へ━━ふぉ! おっほぉおおおお!!?」

 

ゆっくり肛門の周りを指一本で撫でまわしたかと思うと、次の瞬間ナイオーロに負けない大きなペニスが中へと入ってきた。

 

「あっ.かはっ.!」

 

膣の一本でも十分苦しかったのにそれと同じ大きさのものがもう一本。アナルの中へと入ってきていた。

みっちりと肉圧で閉じていた肛門は北海道でのソアラの調教、それに朝から続けられたバイブの拡張で極太のペニスを入れても苦しいばかりで痛みはなかった。

思わず息を忘れそうな圧迫感でお尻が押し広げられ、何がと後ろを見るとソラエルが股間に生やしたふたなりちんぽで貫いていた。

 

「にゃはは! リツカちゃんの処女アナルいただき♡おまんこにも入ってる分、とってもキツキツですごい締め付けてくる♪」

「おま……なに……」

「おちんぽサンドイッチ♡最後はこれで仕上げてあげたくてうずうずしてたの!」

「お前のことは元からソラエルが一番気に入っていたからな」

「えー、そんな自分の為だけじゃないですよー。リツカちゃんをちゃんと卒業させてあげる為ですって」

 

2人の間に挟まれる形で宙づり状態。体は全てナイオーロに預ける体勢なので楽だったが、2本で串刺しにされた息苦しさで全く動けない。

 

「それでね。なんでこの体位にしたか分かるかな?」

「そんなの……お前のがやりたいからってだけじゃ.」

「残念50点。なんでこうやったかって言うと.リツカちゃんのちんぽ、見てみて?」

「.え?」

 

見ると少しも勃起せずに項垂れていた私の肉棒が持ち上がっていた。ナイオーロのものには負けるがしっかりと亀頭をかざし、竿もしっかりピンと伸びている。

でもおかしい。さっきまでずっと膣で感じはしたが肉棒は無反応だった。

それが男より女で感じているとより強く頭に流しこんできていたのだが……

 

「お尻の奥にはちんぽを無理やり勃起させるスイッチ、前立腺っていうのがあるの。今日お尻舐めたり、バイブで刺激してしっかり育てておいたからこの通り!」

「っ……この為に朝から散々……」

「そういうことー! それにさっきもイったけどまだ一度も射精してないよね。キミのちんぽとタマタマには一日かけて溜め込んだ精子がたっぷり詰まってる。特濃オス精子(そ・れ)、今から全部吐き出させてあげる♡そーれ!」

 

掛け声と同時にソラエルの尻尾が変形。

先端が紫色のブヨブヨとした筒状、いわゆるオナホの形になると私のちんぽをすっぽり覆い隠した。

中はぬめぬめした粘液で満たされておりちんぽにピッタリ密着。それでいて粘液のおかげで苦しさは全くなくスムーズに形を変えてぐっぽりと根元まで呑み込んだ。

 

「ふぉ……おぉぉおおおお……」

「ボクのおまんこモデルのオナホだよん♡ナイオーロ様以外が味わえるなんて凄く幸せなんだから!」

(な、にぃ……!! ちんぽ……溶けそう……)

 

そういうものがあるとは知っていたが初体験。つけられただけでマシュとのセックスを思い出すほど気持ちいい。しかも彼女の時よりさらに感じるような気さえする。

 

「もちろん入れただけじゃ終わらないよ」

「おお”っ!! おひぉぉおお!!?」

 

尻尾オナホが動き出す。まるで肉棒全てを何百という舌が舐めまわしてくるような、精液を搾り取ろうとする動き。

内部に作られた粒々や襞が形を変えて肉棒を刺激してくる。

力の入れ方や動かし方を変えるだけで無数に表情を変える快感が肉体全てを余すことなく襲う。

 

「ひぎゅぅううう!! ち、ちんぽ、ちんぽがぁあああ!!」

「あはは!! すごい声~。そんなに感じてもらえるとボクも頑張ってきた甲斐があるよ。

それじゃあ━━ボク達も気持ちよくしてね♡」

 

笑みと共に前後の肉棒が動き出す。

ナイオーロは膣も子宮も亀頭でマーキングするように勢いをつけて深く突く動き。

ソラエルは主人に合わせて深く突きつつも奥をグルグルと掻き回して遊ぶような動き。

まるで違う動きなのに気持ちよくするタイミングだけはバッチリ。腰が飛び跳ねるような凄まじい快感をピストンの度に叩き込まれる。

 

「ふっひゅっ!? そ、ち、ちんぽぉ!? んぉっ!! なんで……今動かれたらっ! 私、私ぃいいい!!」

「主人がなぜ奴隷に気を使う必要がある」

「大丈夫大丈夫。リツカちゃんは気持ちよくなってザーメンどくどく~って射精しちゃえばそれでいいから♡」

 

どちらも言葉は違うが動きは止まらない。

当然、尻尾オナホはその間も止まらずさらにぎゅるぎゅると全体を回転させる動きまで加えて刺激。

下半身が全て性器として使われ、もう濁流のような恐ろしいほどの気持ちよさ。

衝撃は2倍。快感はそれ以上。

ちんぽを扱かれ、まんこを突かれ、アナルを掘られ、それでいて一つ残らず気持ちよくて抵抗も我慢も思い浮かべることさえ許されない。

そんな気持ちよさの中、ずっと溜められていた精液がグツグツを快感に押されて煮え滾る。早く射精せ。ぶちまけさせろと意思に関係なくタマタマの中で暴れまわる。

 

(射精! 射精しちゃう!! 何かヤバイの! ソラエルが何か企んでるに決まってるのに!!)

「さ、まず一回だね。人間卒業射精いっとこっか♡」

「クク、早漏だな。だがいいぞ、存分に感じて射精すといい」

 

より奥まで貫かれる。2人のちんぽが肉壁越しにゴリゴリと押し付け合い、前も後ろも同じちんぽの形を覚えさせようと入ってきている。

そしてコリッっと何かが叩かれる感覚を覚えたのと同時、オナホに包まれたチンポの中で射精感が弾けた。

 

「おっ! 射精る! 射精ちゃう!! 精子がたくさん! ちんぽに突かれて扱かれて━━射精るぅううう!!!」

 

どぷぷ! どぴゅるるる!! とこれまでの人生で最大の射精量。オナホを孕ませようってぐらい後から後から尽きることなく白濁が迸る。

慣れ親しんだ男としての絶頂と射精。しかし味わっている快感は今までの経験をはるかに凌ぐ。

体の体液が全部精液に変わって出ていくのではと思うほど気持ちいい射精だった。

 

「んんんっ!!! ふわぁあああ! リツカちゃんの精子すっごい美味し♡やっぱり女の子を感じながらだすザーメンって最高だよ!」

 

溢れだしたザーメンは残さず尻尾が吸い、瘤が出来てはソラエルの体内に尻尾を伝って流れていく。オナホに味覚でもあるのかご馳走を味わうように口をほころばせて堪能している。

噴き出す量が落ち着いても射精は終わらない。否、終わらせてもらえない。

オナホが蠢いて根元からザーメンを絞り出すように動作。敏感になった尿道をじゅぞぞぞぞっと引きずり出される精液もまた気持ちよかった。

そしてここからが真の目的だと気づかされる。

 

(射精た……射精しちゃった……あ……何……頭の中が……)

 

淫紋が鈍く光ると体の中にも変化が生じる。より深い闇がドロドロと心に流れ込んでくる。

肉欲と性感に溺れたい、甘美な誘惑の手が広がりを見せる。

さらに、

 

「ねぇリツカちゃん。キミのお友達の顔、思い出せる?」

「あっ! やっ! やんっ! 胸、揉むなよ……力が抜けて……」

「ほら答えて。誰でもいいよ。さっき屋上で昔の事思い出したでしょ」

「友達なんてそんなの……そんなの……あ……れ……」

 

ばかばかしい質問のはずだった。

普通に生きてきた私が友達の顔を思い出せないはずがない。記憶を辿れば簡単なこと。

なのにまるで呪いのようにソラエルの言葉が耳から臓腑へと滑り落ちる。

 

「どうしたの? 

お友達の顔、思い出せないのカナ?」

「なんで……なんでっ!!?」

 

記憶はある。

幼稚園の運動会。小学校の遠足。中学の卒業式。高校の部活動。

屋上で振り返った在りし日の日常、帰るべき場所の思い出はちゃんと残っている。

なのに思い出せない。

切り抜かれたように思い出から自分以外の人が残らず消え去っていく。

その時々で傍にあった人々の姿が消え、後にあるのは孤独に一人残されている寒々しい思い出だけ。

 

(頭が書き換えられてる!? そんなはずない! 私にも友達はいる……いた、はずなのに……)

 

思い出から人が消え、抱いていたはずの思いも消えていく。

修学旅行で眠らずに語り合った楽しい記憶。

定期テストの結果を比べ合って一喜一憂した苦難を分かち合った記憶。

高校入試で落ちた友人を慰めた悲しい記憶。

そんなかけがえのない思い出から人が消え、思い出の感情が消え、最後に……価値が消えた。

 

(なんだ……これ.思い出せるのに……何も感じない)

 

友人と過ごした記憶はやはり思い出せる。しかしそこには誰もおらず、何も感じず、なぜ記憶しているんだろうと自分でも思うほどどうでもいいものに思えてしまう。

だって一人で何もなく過ごした記憶はただの経験。いくら思い起こしても、他人のアルバムに目を通して「ああ、そういうことがあったんだ」と当たり障りのない感想を抱くようなもの。

もう何も感じない。

何も思えない。

それは藤丸立香にとって、これまでの旅を乗り越えてきた原動力なのに。確かにあったはずの大切なものから価値が完全に消え失せたのを感じ、恐ろしさに思わず震えた。

 

「くすくす。その感じだと成功してるみたいだね」

「何……したんだ……」

 

震えながらもどうにか言葉を絞り出す。何かされたことに怒るべきだ。しかし体中に流れる心地いい射精感と、彼女への敵意が以前よりさらに薄らいでいることに気づく。

ソラエルはそんな私に満足そうににっこり笑い、頬にキスすると胸元の淫紋を撫でてきた。

唇と指先、そのどちらもからうっとりしたくなるような甘い愉悦が流れ込んでくる。

 

「淫紋の最終形態。キミの中にあるご主人様の奴隷に不要な感情や記憶をザーメンに変えて射精しちゃうの♪ 普通だと一回で十分なんだけどキミは心も強いからね。

今日遊んで幸せを思い出した心、念入りに何度も射精させて空っぽにしてあげる。そして━━」

「ソラエル! お前よくもっ!!」

 

とっくに消えて泣くなったと思っていた感情がわずかに表面化。後先考えずに怒りをぶつけてやろうと彼女を向こうとした。

しかしそれは強引に抱きしめる太い腕に阻まれる。

 

「お前が━━あっ!」

「違うな。文句があるならオレに言うがいい。お前から不要なものを取り上げているのはオレの意思だ」

 

背中に腕を回され、ぎゅっと強く抱きしめられる。反射的に自分も腕を彼の背へ回した。密着する肉体から何かが流れ込んでくる。

温かく、心を満たしてくれる愛情としか呼べないナニカ。何を失ったかもわからない心。失った記憶と心の全てを彼の存在が埋めていく。

 

「よく考えろ。何が大切かをな」

「何を……あっ! ああっ! ちんぽ、またぁっ!」

 

器用にも抱きしめてこちらを離さないまま腰を動かし、膣の浅い所をズルズルと混ぜあわせてきた。

絶頂するほどではないがそれでも十分気持ちいい。そして淫紋に侵蝕されきった体は言葉にされなくてもこの快感は彼以外与えてくれないと本能に訴えかけてくる。

 

「思い出とやらがお前を満たしてくれるのか? この快感をくれるのか? 

お前に必要なものをちゃんと見ろ」

「快感なんか.私は……なくてもっああんっ!」

 

言い返そうとする声はほんのわずかに深く腰を突き出されるだけで止められる。

 

「今更隠すな。オレにちんぽを入れられただけでイっていたくせに何の意味がある?」

「もうリツカちゃんたら! ご主人様に口答えなんて悪い子! そんな子には……こうだよっ!!!」

「お”ぉ”っ! ふぉおおおお!!!」

 

後ろから意地悪い声を出したソラエルが一突き。ずちゅんと腸壁をめくり上げてから押し戻す激しいグラインドがアナルを一気にかき混ぜた。

またコリコリッと前立腺を抉られると射精したばかりのちんぽも再び勃起。取りつけられたオナホも動きだして攻め立ててくる。

 

「な”っ、ひぎっ、ぎぃあああ”あ”!!」

 

更にオナホが変形。触手を生やしたかと思うと先端を尿道に潜り込ませてきた。

挿入を前提としていない場所だ。しかし悲鳴を上げた理由は痛みではない。

それはまた未知数の快感を与えられたことによる嬌声の叫び。

細い先っぽでほじられ、尿道を拡張しながら入ってくる異物感がのけぞるような快感。

これ以上ないと思っていた快感の限界があっさり飛び越えられ、一層強く体の中を犯されるのが気持ちいい。

 

「ほう。リズエルとアズエルが受けた攻めか」

「あの時の姉ちゃん達もすっごくエロかったですから♡ちんぽの中を探られるような快感、普通じゃ絶対に知らなくてびっくりしちゃうんですよね」

「クク、そうらしいな。オレの腕の中から飛びだしそうだぞ」

「ソラ、ソラエル!! 触手止めてっ!! ちんぽの中犯さないでぇっ!!」

「え~どうしようかな~。

あ、そうだ! またお姉ちゃんって呼んで欲しいな。服屋さんで呼ばれたの気に入っちゃった」

 

無邪気な笑みの提案だが何か言う余裕はない。

尿道からさらに奥へ入り込んだ触手は精嚢……を突いてさらに射精しようとしている。当然それも恐ろしいほど気持ちよく、耐えられるとはちっとも思えない。

 

「お姉ちゃん! お姉ちゃん!! お願い! 止めて!! 私のちんぽ怖い! 壊れちゃうっ!!」

 

今度こそ恐怖から悲鳴混じりに叫ぶ。お願いだから止めてと。

自分をさらに失うなんて怖すぎるから。

だからソラエルに縋ることだってもう迷う暇はなかった。

 

「うんうんありがと。リツカちゃんがいい子になってくれて嬉しいよ。

じゃあご褒美に━━また射精させてあげるね♡」

「そんっ━━あ”っ!! んひぃぃいいんん!! なんでぇっ!!」

「ボク呼んで欲しいって言っただけで止めるなんて言ってないよ♪」

 

満足そうな声と一緒に触手が精嚢へ突き刺さる。潜り込んで一体化したそれは感じていた快感をさらに引き上げ、同時に少しずつ作り出されていた2発目の精液を強制増量。

そのまま射精感まで膨らませて一気に迸らせた。

 

「ほら! またちんぽミルクどぴゅって射精しちゃお♡」

「イグっ!! イぎゅぅうウウウ!!! ちんほっ!! きもひぃいいいい!!! あへぁあああ!!」

 

触手が詰まったわずかな隙間を精液が駆け抜け、再びオナホの中へと白濁を発射。

また嚥下するようにオナホも上下に伸縮して雄汁を搾り出し、ごっきゅごっきゅと尻尾の中に吸い込んでいく。

腰が抜けるような気持ちよさと一緒に出ていく沢山のザーメン。こんな時なのにオナホに欲望を吐き出すのはとても気持ちよかった。

 

(何か……また何かが……)

 

今度の射精はかなり長い。オナホもしっかり搾ろうとぐぽぐぽ動き、精嚢からも汁が次々に流れ出ていく。

自分の自我ももう一緒に抜けるんじゃないかって思えるほどの愉悦。

ずりゅりゅるると勢いよく抜ける射精は一度目よりさらに気持ちよく、沢山のザーメンがオナホに呑まれていった。

その中にまた大切なナニカを失っていく喪失感が乗っている。

 

「あ、ああ……そんなぁ……私……私の中から、また.」

「もっと吐き出せ。何も恐れる必要はない。お前にはオレとそして多くの仲間がいる」

「ボクもいるよ♪ 

……それとごめんね、意地悪なことしちゃって。でもこれもキミの為だから! ちゃんと眷属になればボクが正しかったって思えるから許してね」

「お前……あなた……ナイオーロ……ソラエル、お姉ちゃん……」

 

押し寄せる喪失感に震える体をナイオーロにまた強く抱きしめられる。

揺らがずに堂々と私の心を受け止める姿は脆くなる心にとても神々しく映る。それが私から奪い取っていく悪であっても。今の心細い自分を救ってくれる存在は彼しかいないから。

躊躇いながら、迷いながら、今度は自覚しながら彼の首に手を回して思わず縋りついてしまう。

そしてまた頭から何かが消えた。

 

「ふふっ、大漁大漁♪ 何が消えたか分かるかな?」

(何……何が消えたの……私の中から、またっ!!)

 

吸い出されたザーメンの中には確かに私にとって大切だった何かが溶け込んでいた。失くしてしまったことだけは確かにわかるのに、探そうとしても価値を思い出せないので記憶に引っかからない。

 

「多分わかんないよ。もう何も思えないんだもん。

でもさ……なんだか今、とってもすっきりしてるんじゃないかな?」

「すっきり……?」

 

そう言われるとなぜか不思議と清々しい気持ちだった。

日本異聞帯に来る前、いいやクリプターと戦う前に戻ったように心が軽かった。人理修復とか空想樹とか知らなかった頃に戻ったみたい。

しかし正解のわからない私に優しく肩を叩いたソラエルの答えが示される。

 

「キミが今射精したのはカルデアで戦ってきた記憶、もっと言うと積み重ねてきた英霊や人との交流かな」

「それって……」

「もう思い出せない……ううん、思い出しても何も思えないでしょ。キミが今まで頑張ってきた理由、勝手に託された願いとかー、背負わされた罪悪感とか……ま、色々食べさせてもらっちゃった♡」

 

言われて抜け落ちた記憶が形だけ僅かにフラッシュバック。

ロシアの永久凍土で血に塗れながら戦えと叱咤してくれた人狼。

大人になることへ憧れていた北欧の少女。

飼い犬と父を消された喪失感を拭えなかったインドの少女。

今日と違う明日を求めていたオリュンポスの姉弟。

そして草花に溢れた美しい妖精國で自らの運命を知っても進み続けた金髪の少女。

そんな人たちがいたことだけ僅かに思い出し……しかしすぐにそれも砂像のように脆く崩れ、やがて何一つ思い出せない塵に変わっていった。

後にはやはり失ってしまった自覚だけがどこまでも胸に影を落とす。

 

「ごめん.みんな……託されたのに.私、私━━あふぅぅううう!!?」

「忘れる程度のことに気を払うな。お前はオレだけを思えばいい」

 

そんな感傷的な気持ちも動き出した肉棒の愉悦に突き崩される。

ごりごり壁一枚隔てて擦れあう2本の逞しいちんぽ。子宮を、直腸をゴツンゴツンと叩かれると目の前が真っ白になりそうな快感。

ちんぽに突かれると流れ込んでくるのは快感をもたらす主への愛情。

 

(心が……埋められる……ナイオーロ様(・)に尽くしたい気持ちが……どんどん強く……)

 

頭の中から失ったものへの興味も消え、代わりに膨らんでいく愛情。抱き着く力はさらに強くなってぎゅっと抱きしめ、体が本能で主を求めてしまう。

思わず頭で様をつけて呼んだのがその証拠だ。

目一杯繰り返されるピストンは体全部を壊してしまいそうな快感。抜けては入る抽挿の繰り返しが数々の調教で培われた性感を目覚めさせ、めくるめく快楽の腕に身も心も囚われる。

 

「クク、あらためて聞いておこう。

気持ちよくなりたいか? オレの与える快楽が欲しいか? 

偽らずに答えるがいい」

「……」

 

今までならまだ口先だけでも反論できた。さっき快楽なんて欲しくないと言ったように。

でも支えていた多くの記憶が消えたことで私の心はとても脆くなっていた。

自分がどれほど無力か知っているから。

サーヴァントもマシュもダ・ヴィンチちゃんもネモもいなくなった自分には何もできない。

戦ってこれたのはたくさんの仲間といくつもの思いや責任を背負ってきたから。

それはもう何もなくなってしまった。

 

「即答できないってことはそれが本心なんだよ」

「私の……本心」

 

前と後ろから優しい囁きと掌が心に入り込む。

淫紋から生じた闇も心を暗く黒く染め、同じ因子を持つ主の存在を色濃く刻む。

ちゅぷちゅぷとくすぐるような優しい動きで両穴を遊ばれると嬉しさがこみあげ、もっとしてほしいとしか思えない。

それを恥じる常識もまだ誤魔化さないとって覚悟も、もうない。

 

(……抗えない……ナイオーロ様を拒む気持ちより、受け入れたくなっちゃってる)

 

ぽっかり空いた心の大穴にも淫紋の生む闇が入り込む。紋の主人であるナイオーロのみならずルクスリアの存在がどんどん大きいものに。とっくに消えたくせにいつまでも走ることを強いる不純物より、自分を導き愛してくれる人達への思いが胸を一杯にしていく。

 

「オレを受け入れろ。全てを捧げるんだ。

お前が真に望み、仕えるならオレが救ってやる。新しい世界に連れて行ってやろう」

 

誘惑に今までで一番強く心が揺さぶられる。それはずっと抱いてきた私自身の願いだったから。

ごく普通の生活に戻ること。

そしてこの終わりの見えない戦いから解放されること。

 

「新しい世界……」

「そうだ。お前も欲望のまま、お前として生きられる世界だ」

「またデートしようよ♡エッチなこと好きなだけやって毎日楽しい楽しいお祭り騒ぎ。

ご主人様の為なら働くことだって幸せなんだから!」

(ちんぽ……ずっと……ナイオーロ様と.お姉ちゃんが一緒に……新しい私の生きる世界)

 

ブリテン異聞帯で「失意の庭(ロストウィル)」に見せつけられて分かっていた。

どうせ異星の神を滅ぼしても元の世界に戻る保証はないし、それ以前に自分はもう普通には戻れないって。

今日だって空の青さも、友達と遊んだ日々も、屋上から街並みを見下ろすのも、懐かしまないといけない(……………………)程遠い存在になってた。

 

「もしまだオレを拒むなら……」

「あっ.」

「もうこのちんぽともお別れだな。二度と満たされない疼きを抱えて後悔し続けるがいい」

 

考えている間に腰が止められ、あれほど激しかった快感が嘘のように凪ぐ。

目一杯突かれて涎もダラダラなまんこはもっと突いてと疼き、まんこもアナルもキュウキュウ締め付けて懇願するが動いてもらえない。

ソラエルの穏やかな声がそっと導いてくれる。

 

「正直になろう。もうキミは終わっていいんだよ」

「……」

 

生きる為に戦い続けると乗り越えてきた。投げ出すわけにはいかないから、背負ってきたものがあったから。でもそんな重荷は全て消え去り、結末が与えられた。

たとえそれが誰かの奴隷になって人間を辞めることでも。

 

(……はは。そっか。やっと私、終われる……救ってもらえるんだ)

 

渇いた笑いと一緒に受け入れた。カルデアのマスターの戦いは終わったのだ。あらゆる背負ってきたものと一緒に異聞帯の王に挑みましたが負けてしまいましたと。

 

(だったら……ここにいる私は……私がしたいことは……)

 

残りカスのような価値も興味もない思い出に殉じる? 

ナイオーロやソラエルをまだ拒んで意地を張る? 

違う。私がずっと認めたかったことは逆だ。

体も心もとっくに彼のものなんだから。

 

(なりたい。もっともっと気持ちよくなりたい……! ずっとちんぽで気持ちいいことしたい!!!)

 

こみ上げる愛おしさと溢れんばかりの肉欲を受け入れ、彼の胸に顔を埋めた。ゆっくり自分から腰を動かし、ぬちゅちゅっと亀頭へ届くよう子宮口を擦り付ける。

 

「……っ、はぁぁああああ」

 

思わず息が漏れるほどの快感。弱い電流がぴりぴりと膣から全身へ行き渡り、もうこの快感なしじゃいられないと再確認。

 

「答えは出たか」

「……はい」

 

誰もくれなかった救いをくれる人。私の新しいご主人様。

なんでこんなに素敵な人を拒んでいたのか。

初めて通信したあの時に降伏していればもっと早くこうできたのに。

 

「捧げる……捧げますっ!! 私の全て!! あなたを受け入れる!! だからどうか貴方のものにして!! 私を救って(ナイオーロ様の奴隷にして)ください♡♡」

 

暗く燃えるような欲望を遂に受け入れ、旅を始めてから一番の笑顔で主に媚びた。

 

◇

 

堕落、そして転生

「あぉっ!! ほっひゅぃいいい!! ちんぽ、ちんぽまた……まんこ、私のまんこ拡げられちゃってるぅ!!」

 

懇願への応答は全霊を叩きつける勢いの激しいピストン。

細胞が快楽のあまり破裂するんじゃないかって思うほど気持ちいい。

 

「ックク!! とうとう堕ちたな。ちんぽを受け入れるのは気持ちいいだろう?」

「気持ちいい、気持ちいいです!! あなたの……ナイオーロ様のちんぽ、最高ですぅ!! 突いて! もっと深く、奥までぇ!!」

 

堕落と欲望を口にすると自分が生まれ変わるようだった。

ずっと押さえ込んできた自分らしさが目覚め、もっともっと求めたくてたまらない。

もう取り繕わなくていい。ずっとちんぽに犯されて愛されたい。

それが私の幸せ。

 

「ね? 幸せでしょ。今までの旅なんかどうでもよくなるおちんぽ様の快感。お姉様もボク達もマシュちゃん達も皆この快感の虜になったの。それが正しいって今のキミなら分かるよね」

「分かる! わかるのぉ!! ちんぽ好きぃ! 大きなちんぽ、とっても気持ちいい!!」

 

なぜ彼女らが堕ちたか。

酷い調教や自我を歪める洗脳を受けたせいだと思っていた。

でも違ったのだ。

間違っていたのは自分の方。

 

(これ……こりぇ……ちんぽ……ずぷずぷぅ!! 幸せ、しあわしぇぇっ!! お腹の中……ううん心まで満たされてく! 私じゃ絶対できないカッコイイ種付けピストン、素敵すぎ♡)

 

まんこもけつまんこもぬっぽりとハメられて広げられる、圧倒的な肉感。ほとんど空っぽになった心を埋めてくれる主と姉のもたらす快感に幸せしか感じない。

先に堕ちた仲間達も同じだったのだ。

女の子は素敵なちんぽを前にして隷属するしかない。

それが真理。

 

(おちんぽ様にご奉仕したい……このおちんぽ様の為に生まれてきたんだ……♡)

 

男に生まれてきたのが間違いだった。

自分は今日この日、完全に女にしてもらうために生きてきたのだ。

蕩け切った笑みを浮かべながらまんこ締め付け、ちんぽに求愛の膣キス。満足気に笑ったナイオーロは空間へ手を振った。

 

「素直になった褒美だ。好きなだけ味わうがいい」

「むぎゅぉ!!? ♡♡」

 

開かれた空間から何本も紫色をした触手が出現。

ぬらぬらしたいやらしい粘液を滴らせ、体中へ巻き付いてきた。

 

「この匂い……触手ちんぽっ!?」

「全身の穴全て犯してやるよ」

 

耳、へそ、胸、口と体の至る所へ大小さまざまな触手ちんぽが入ってくる。

耳穴に突っ込まれた触手は粘液を大量に噴き出し、聞こえる音でも感じられるほどに聴覚を敏感化。ぬっちょぬっちょとまんこに見立てて愛撫擦り付けしてくる。

 

「耳ッ! いひぃ! 耳まんこ、んひぅ! 犯しゃれへぇっ!! あおっ! 耳の中ジュポジュポ気持ちいい!!」

 

ヘソ穴には細かい毛で覆われた舌のような触手。ずぼぼぼぉっと先端をヌルヌル突き入れてベロベロ舐め回す。引っこ抜かれると子宮の上から撫でまわされるような奇妙で強烈な快感。止めに密着されるとじゅろろろ!! と吸い上げられる。

 

「おへそぺろぺろもたまんないっ!! もっとおまんこ上からもサンドイッチされてるの!! ちゅぱちゅぱってもっと吸ってぇ!!」

 

おっぱいを片方ずつ搾り上げられ、先端が開いた触手が乳首を咥えるとオナホの様に舐めながら吸引しながらブラシのような柔毛が丹念に刺激、極細触手は乳腺に入り込んで内側からほじり返す。

 

「おっひゅぃいいい!! おっぱい引っ張られへるっ!! 乳首までまんこっ!! まんこなのっ!! もっといっぱい擦って!! 吸ってよぉ!!」

 

だらしなく舌を突き出した口の中も極太ちんぽがぞりり、ぞりりって抜き差しされるように犯される。たちまち僅かな苦しさと大量の満足感がおしよせ、喉奥をガツガツ突かれる道具扱いピストンだって感じちゃう。息も出来ないような苦しさが心地いい。

されるばかりじゃいけないと思って亀頭を舐め回し、たっぷり涎を含ませて頬を密着して気持ちよくしてあげる。鍛えられたおかげでフェラをするのもすっかり慣れっこだった。

 

「おぶっ! ごっ……! お”ぉ”っ! んぶぅっ!! じゅっ、じゅっぽぐっぽぉ!! ひんぽ、もっほほひいのっ♥♥」

 

これほど滅茶苦茶な暴力的快感に襲われても感じるのは満たされている幸せ。

あらゆる穴を埋められ愉悦が流し込まれる幸福感。

生まれてきて一番の幸せだと信じて疑わない。

 

「くすっ、一度受け入れたらすっごい素直で淫乱になったね。ケツまんこにもご褒美あげちゃうよ♡」

 

小さな笑い声と共にソラエルの尻尾が分裂。オナホから裂けた♡の先端がぐるりと曲がったかと思えば彼女のちんぽに沿ってアナルにジュポッと差し込まれた。

 

「あひゅいいいいい!! まはっ! けちゅまんこの中ごりゅごりゅって!! お尻拡げられてるのぉ!!」

 

既に大きなちんぽでパンパンにされた尻穴。そこへ尻尾が入り込んだことで形状も質感も全て頭の中に入ってくる。ザラザラした表面が腸壁を削ぐように撫でまわし、密着して離さない肉壁を滅茶苦茶に刺激。

一日中ハメていたバイブの体験が遊びに思えるほど強烈な愉悦が頭を襲った。

 

「このまままんこも可愛がってやるよ」

「あはぁあぁあぁ……ナイオーロ様……ナイオーロ様ぁ♡あっ♡あぉ♡お”ぅっ♡お”ぉ”ぅ♡またひんぽが動いへぇ♡」

「くくっ、今までよっぽど押さえつけていたようだな。オレのちんぽを食いちぎりそうなくらい締めてるぜ」

 

再開されたピストンに応えてちんぽをきゅうきゅう締めつける。それでもビクンと跳ね返すちんぽのなんて雄々しいこと。

名前を呼ぶ声ももうメス丸出しの媚び媚びな甘え声。男だった頃の自分が見たらなんていうだろう。

きっと羨ましがるに違いない。こんなにも全てを委ねたくなる相手を見つけた私の方が幸せに決まってる。

そしてオナホ越しに私のちんぽも擦り続けられ、余すことなく全身を犯され続けて徐々に最後の精子がこみあげてくる。

 

(精液……来てる! あと少しでイっちゃう! 全部吐き出してイくの絶対気持ちいい!! イキたい!)

 

何度となく繰り返してきた射精の前兆。尿道の中を熱い精子がゆっくり上る感覚。

もうすぐ全てを終わること、完全に屈服してしまう時が近づいてきたのを感じ取った。

 

「あはは。ちんぽもう発射寸前! いいねえ、この中にキミの残りが全部入ってるんだぁ♡どんな味がするのかすごい愉しみ」

 

愉しみなのは自分も同じ。快楽の坩堝に呑まれた中で精子を吹き出すのがどれほどの快感となるのか。想像しただけでイってしまいそうだ。

だが主はまだまだ感じさせてやると頭を抱き寄せて愛の告白のように囁いてくれる。

 

「約束しただろ。最高の快楽を味わわせてやるとな」

「ふ、ふぇ……ほぉおおおお!? ちんぽ……ふっかぁぁぁい……♡」

 

一層深く彼の腰が突き出され、子宮口をこじ開けた亀頭が子宮にまで到達。強引に開かれる快感もさることながら熱い鉄の棒を叩きこまれたような衝撃で肺から空気が絞り出された。

その一撃も目の前を白く染め上げるような性感。

しかしまだ淫魔の王の本領は終わっていない。

 

「ほひぃいいい!? にゃ、にゃにこれっ!? まんこ、しきゅうがぺろぺろってぇ♡」

「ルクスリアにしかやったことはない攻めだ。子宮を直接触手で舐められるのはたまらないだろう?」

 

質問に口より早く体が答えて愛液が零れだす。

どうやったのか分からないが肉棒から出現した触手が伸び、子宮壁を舌でするように舐め回してくる。あまりの快感で背骨が折れそうなほど身を捩り、抱きしめてくれる彼の腕の大きさに酔いしれる。

 

「あー! リツカちゃんいいなぁ。ボクもしてもらったことないのに」

「クク、拗ねるなよ。これまで頑張って戦ってきたマスター殿への労いだ。そしてこれからの働きへの期待もな」

 

羨ましがる声に覚える優越感。もう思い出そうともしない過去も主に労ってもらえるとそれだけで意味があったように思える。

どうでもいいあの記憶達もこうして快感を恵んでもらえるなら悪くなかったかもしれない。

 

「それじゃ、気を取り直してラストスパート! 

最後まで気持ちよくなろうね、リツカちゃん♡」

 

触手たちが連動し、ソラエルとナイオーロの腰に刺激を合わせだした。

潜り込まれる内臓を磨り潰すような圧迫感と魂まで抜けていきそうな喪失感の繰り返し。

押し寄せた快楽の濁流にいよいよ意識は濁り、目の前をはっきり見ることもままならなくなる。

 

「ひぐッ、……ぎッ♥ぅ゛ぐ……♥♥あ──♥♥♥♥あ……はぁっ……は……♥♥ッお゛♥んんッ♥ふぐっ……♥お゛ッ!? ♥♥ッひ♥♥♥あっ、あ゛っ、あ゛──♥ぎもぢぃいいい♥♥」

「あはは! もう頭の中女の子だねゃん♡」

「うんっ、すき……しゅぎぃ♥わたし、ぉ”お”♥ちんぽが……すきなのっ♥もっほ、ふぎゅぅ♥♥もっとパンパン.してほしいのぉ♥♥♥」

 

極めつけに膣を拡げるちんぽがより大きく太く膨らむ。射精の前触れを感じて下腹部に力を入れてちんぽに奉仕。処女を散らしたばかりなのに女の体を扱うのもすっかり慣れてしまった。

そして残った唯一のオス。私のちんぽも射精間近で捻り、揉まれ、吸われ、ほじられ、もう溶けてオナホの中に無くなったのではないかと思えるほどの快楽で揺さぶられる。

 

「しゅきぃ♥んぉぉ♥う……ぎぃ♥ナカ、ぜんぶいいんんっ♥しっぽオナホだいしゅき♥♥すって♥ぜんぶちゅぅうううって吸ってえ♥ちんぽミルクもう射精そうだから♥♥」

 

高まってくる射精感。同時に尿道を登る熱さを感じ、膣がくぱあと子宮口を開けたのを感じ取る。こちらにもほしい、ザーメン注いでと懇願するように。

そんな渇きと飢えに似た衝動も私が望んでいること。奥の奥へ種付けしてほしい女の子の欲求が頭に浮かぶ。

そうだ。私はもう男なんかじゃない。射精がいくら気持ちよくたってこんなの作業。本当に欲しいのは━━

 

「……ください」

「なにをだ?」

 

分かり切っているくせに。

少しの不満と直接言わされて主により深く堕ちていく自分を思うとゾクゾクするような快感があった。

 

「ザーメン……子種汁……ナイオーロ様の精子です!! 私のまんこ、欲しくて欲しくて涎ダラダラ零してほしがってます!! どうか卑しいこのメスに注いでくださいませぇ♥♥」

「よく言った。オレの女として申し分ない。

そして安心しろ。心配せずとも最初から注いでやるつもりだ!」

 

最後だというように私の腰を掴み、一撃一撃を重く刻みつけるような腰使いのピストン。

どれほど主が心を込めてくれているかが分かってたまらなく嬉しい。

自分からも腕と足を彼へと絡め、その一滴も逃さないように腰を打ち付け返す。

そしてさらに数回抽挿を経て、時は来た。

 

「オレのものになれ!! 藤丸立香!! うおぉおおお!!!!」

 

咆哮のような声と共に一際強く押し込まれるちんぽ。

子宮が跳ねるような心地に合わせ、全身が飛び跳ねるような爆発的快感が襲ってくる。

そしてバケツをひっくり返したような凄まじい量の白濁が流れ込んできた。

 

「種付けぇ゛♥♥くるっ♥━━きたっ♥きたぁあ♥♥あ゛っ、あぁ……♥♥」

 

とてつもない熱さ。子宮が燃えたと錯覚するほどの熱量に主の興奮が示されるようで気持ちいい。

一瞬で膣も子宮も満杯。結合部から収まりきらなかった白濁の汚汁がブッシャァアアと勢いよく放出される。

連鎖して体の全てを犯していた触手たちも次々射精。口も胸も耳もヘソもあらゆる穴にザーメンが注ぎこまれて白濁に染め上げられる。

灼熱の汚れた雨が神からの祝福のように嬉しく、あまりにも大きな快感だった。

 

「あぢゅ……ん”に”ぃ”♥♥かりゃだじぇんぶ♥ふっひぃ……♥しぇーえき……んぉ”お”お”♥かけられるのひゃいこうにゃのぉぉおおお♥」

「まだ終わってないぜ」

 

思わず酔いしれていた頭は囁きで引き戻される。うっとりしながらどういうことだろうと呆けたまま彼を見ると小さく口づけで迎えられる。

 

「はぁぅ♥♥」

 

今までしてきた誰よりも嬉しいキス。この口づけ一つに永遠の隷属を誓えと言われてもしてしまうだろう。

しかも快楽の祝福は止まらない。再度肉棒が膨らみ、一度目に負けない量の精液が再度注がれる。既にパンパンになっている子宮を気にしない暴力的射精。

子宮があまりの量にポコッと膨らみ、下腹部に浮いていた淫紋が浮かび上がったように見えるほど。

 

「へ……あ、や゛ぁっ、またっ♥♥射精どま”んにゃ……おっぎゅぅ♥♥しきゅー、こわれぢゃう♥♥も゛、ぉ、しぬ、ひんら゛ぅ……♥あ……はぁっ……は……♥♥い”いっ♥ぎもひい”ぃ”っ♥♥い゛……ッぐ♥♥よしゅぎでっ♥イきひぬ゛ぅ……♥♥」

 

そんな痛みを伴いそうな射精でも感じるのはあくまで快感のみ。苦しさを訴える声だって上ずってしまう。

 

「いいんだよ。それでもうおしまい。男としての藤丸クンは完全に死んじゃって女の子のリツカちゃんに生まれ変わるの。

ほらボクも射精してあげる♥♥キミも一緒に━━イっちゃえっ!!!」

 

そしてアナルにもソラエルからザーメンが注がれ、前立腺がゴリッと抉られるのが最後のスイッチ。

決壊したダムみたいにオナホの中へナイオーロにも負けない量の精液が迸る。

 

「あはぁ♥♥ちんぽみりゅく射精る♥私のぁ”ん♥ちんぽからもぉ♥お”ぉ”へぇ♥たくさん♥♥ん”に”ぃいいい♥♥中身吹きだしゅの♥♥注がれへ.感じへ.♥♥びゅーびゅーっへ射精、しひゃぅうううう♥♥ふぎぃいいい♥♥」

 

ギュプォオオオとこちらもすさまじい音を立てながらオナホがザーメンを吸引。味わうソラエルの息遣いと興奮を感じながら私は今度こそ心が完全になくなっていくのを理解した。

溶けていく。

溶けていく。

最後に残っていた心の光が精液の中に溶けて消えていく。

あの日、行ってきますとだけ言って出かけた日に見た両親の存在が。帰りたかった日常の最後の象徴が消えていった。

もう今より前の私には何もない。

友も仲間も親も全て価値もないし興味もない。

喪失感はナイオーロへの思いが埋め、私の中で彼への思いはもう何物にも代えがたいものとなる。

 

「これでお前もオレのものだ、リツカ」

 

彼の宣言に合わせるように淫紋が光り、オナホが外れた時には股間から私のペニスが消え去っていた。

生まれてからずっと一緒だった男の象徴が消えたことも、もう今となっては何の感動もない。

むしろ余分なものが消えて今の女の体こそ完成されたように思える。

主の奴隷、主に仕えるものに相応しい美しくて綺麗な━━そんな女の体。

 

「はぁぁぁ……はい、私はあなたの……ナイオーロ様の奴隷でしゅ.どうぞ末永く……愛してください.」

 

ごっぽぉとちんぽの抜けた結合部から精液が逆流。

この方に尽くす。それだけが私の存在意義。

友であり、仲間であり、主であり、親であり、神でもあるお方……ナイオーロ様。

もう心の中にそれ以外の執着も未練も残ってはいなかった。

 

◇

 

射精が終わって触手もちんぽも抜かれると空間が解除。観測所の前の桟橋に戻る。

2人が身なりを整え終わっても私はまだ射精してもらった快感の余韻から抜け出せず、裸に精液を纏っただけの裸よりいやらしい格好で女の子座りで肩で呼吸。

ふと何かに呼ばれたような気がして空を仰ぐと空想樹が動いていた。

見上げるような巨大さはそのままだが、樹の中腹辺りに瘤のような膨らみが出現。縦に引かれた線を中心に二つに割れると内部から何本ものピンク色をした触手が生えている。そしてそれらはゆっくりとした動きで私の元へ伸び、四肢や腰に巻きつくと宙へ持ち上げられる。

不思議と怖さはなかった。この手足もまるで自分の体の一つ、半身みたいに感じられる。ここでこの子の腕に持ち上げられるのもどこか自分が望んでいるんだと分かった。

持ち上げられた体はそのまま瘤の元、空想樹モンスターへと引っ張られていく。

振り返るとこの状況を予期していたらしいナイオーロが腰に手を当てて余裕ある笑みを浮かべ、隣ではソラエルが「行ってらっしゃーい!」と手を振っていた。

 

(.そっか。これが儀式なんだ。私が……ナイオーロ様の仕える巫女になるための)

「ふふ.」

 

驚くほど冷たい笑みがこぼれる。

これから人間を辞める。

それがたまらなく嬉しくて、彼の役に立てる存在になれることに悦びしかなかった。

そんな感想を抱いたまま、私はモンスターの瘤の中へ。

温かな水に満たされた異界の海へ呑み込まれた。

 

 

◇

 

 

初めて入る空想樹の中身。

オロチに入った亀裂から見たのと同じ、その中に広がっていたのは別次元の宇宙。アキレウスの宝具を彷彿とさせる漆黒で満たされた一つの世界だった。

満天の星空を彷彿とさせる数えきれないほどの星々が漆黒の宙に瞬いては消えていく幻想的な光景。こんな時でもなければずっと見ていられそう。

 

(ここで変わる……生まれ変われる……)

 

仲間達のように自分も主の眷属になれる。

人として完全に終わり、新しい存在になれるのだ。

姉に言われた自分の役割を果たすために、肉体を飲み込んだ大樹へと呼びかける。

 

(モンスター、私に力を貸して。私をあなたの巫女にして)

 

祈りが通じたのか、願った途端に体から感覚が消える。余韻を残していた快感も肌に感じていた冬の外気も女として完成した肉体も全てが手元から離れていく。

続けて無限の広がりを持つ宇宙の中に藤丸立香だった体も分解されて消えていく。

目も耳も鼻も口も手も足も肉も骨も一切が塵となり、首と胸元と子宮と腰に刻まれていた4つの淫紋だけが虚空に浮かぶ。不思議と自分がそんな状態になっているのを俯瞰するように意識残っていた。

肉体が消え失せると宇宙空間に変化が起こり始める。

プラネタリウムのように浮かぶ何億と輝く星。その全てが砕けて、爆ぜ、壊れ、集まり始めたのだ。星の中から流れだすドロッとしたナニカ。星の数だけそのナニカが生まれだす。

やがて桜色の美しい空間に不釣り合いな黒く暗く澱んだナニカは近くの物とくっつき、また混ざってくっつき……繰り返してどんどんその大きさを増していく。

やがて形も持たないナニカはとてつもなく巨大な邪悪な気配へと姿を変え、藤丸立香だった浮かぶ淫紋の周りに集まりだす。

 

(これは……なんだろう……よくないものなのに……すごく心地いい)

 

その気配の正体は魔力に溶けた負の思念の集合体だった。

嘆き、怒り、憎しみ、恨み、妬み、苦しみ、あらゆる人の汚れた心が私の中に入ってくる。ある時は映像である時は声でルクスリアやソラエルの手にかかり、斃れていく人間達の断末魔。

そのうちの一人が日本万歳……と呟く。

 

(これ、モンスターの見ていた世界……ソラエル達に殺された人々の)

 

理解した。この呪いの声は日本異聞帯で帝国に殺された人たちのもの。モンスターの中に浮かんでいた星はこの異聞帯で死んでいった人間の魂を魔力で閉じ込めたものだったのだ。

思念の中に目を凝らすと人の顔が浮かぶ。よく見れば関門海峡で消された人質たちやクサカベ一佐、カタセと知った顔もいくつもあった。

考えてみれば当然なのかもしれない。モンスターはずっと日本異聞帯に根を張っていた。ならずっと見ていたとしてもおかしくはない。自らが支える世界で死んだ命、ナイオーロ様の因子を持つ者と敵対する輩の死に様を。

人の死を吸い上げ、美しい桜のような花粉を降り積もらせる世界樹。普通の人間なら悍ましいとか恐ろしいとか思うかもしれない。

でも、

 

(……だからそんなにきれいなんだね。ナイオーロ様の敵の血を啜り続けてきたから)

 

敵の怨念を喰らって美しく育つ魔性の樹。主人の偉大さを体現したような存在感がとても羨ましかった。

そんな樹の蓄えていた負の思念が私の中へ次々と注がれ、新しい体になろうと集結していく。

とてつもなく美しい、主に相応しい姿に私もなれるかもって期待と興奮が膨らみ続ける。

やがて数えきれないほどあった星が残らず消え、宇宙に私だけが遺される。

4つの淫紋、そして右手にあった令呪の計5つの紋、主人への永久不変の愛、そして全身に宿される無数の人間共の負の思念を乗せた魔力。

要素が混ざり合い、溶けあって、やがて肉体が出来上がる。

ぱっちりしたまつ毛に開かれた目は白い瞳孔に紫色の瞳。

腰まで届くピンク色のロングヘア―。ソラエルに負けない大きさとハリを持った巨乳。細くくびれた腰にたっぷり膨らんだお尻。エルフ種のように細長く伸びた耳。そして尾てい骨から伸びるエナメル調の光沢を宿した尻尾と翼。

 

「ふわぁあああ……」

 

蘇った手指を動かすとすごく気分がいい。赤ちゃんが初めて立つとこんな気分だろうか。

そのまま体から魔力を溢れさせると全身へ服が展開されていく。

長い髪は左右の耳の後ろの毛をそれぞれ三つ編みにして後頭部で結ぶハーフアップに変化。結んだポイントへ真っ黒な薄手のリボンが出現して止める。

頭部には眷属共通の白い角が出現。数は4本。両耳の上に生えたものは太くて後ろに向けて生え始めながらぐるりと渦巻くように一周して先端が前方へ突き出す異様な形。その内側に細めの角が生え、こちらは左右へS字を描くように歪みつつも上に伸びたもの。どちらもドリルのように根元から先端へ向けて段々状の溝が入った悪魔と思えるような仰々しいもの。

首元には透明のクリスタルがハマり、続けて首輪のように装着。

両手両足は尻尾と同質のエナメルっぽく淫靡な光を放つスーツが二の腕や太ももまで形成されて上から装甲が固定。

胴には胸のクリスタルからXを描くようにラインが伸びて豊満な胸とくびれた腰回りに黒色のドレスとスカートが出来上がり、胸元から秘裂まで縦にぱっくりと開いた扇情的なデザインの仕上げ。背中からは悪魔の如き翼が羽を広げ、子宮の上には完成した淫紋が妖しく煌めくとオマンコには秘裂が見えてしまいそうな小さな黒いハート型の前張りがピッタリと貼り付けられる。

5つの紋は子宮に浮かんだ一つへ集約。姉達の紋で逆さ十字の刻印で表現された部分が令呪の形に変形し、私の残滓が溶け合ったことを示す。

手元に寄せられるのはやはり槍型の武器。

握りこむと私の情報を読み取ったのか先端が変形。持ち手の長さと穂先に付いた大きな刃は槍の系譜だが、刃と持ち手の境を軸にして三日月のような刃がさらに2枚両側から挟み込むように出現。方天画戟と呼ばれる特徴的な武装だった。

 

「ふぅん? 

斬るも突くも薙ぐも自在……私向きな武器かもね」

 

軽く振り回してみると実に手に馴染む。武器なんて使ったこともないのに長年使いこんだみたいにしっくり吸い付くみたいですっぽ抜けることもない。

最後にクリスタルが鈍い銀色に光り、全身の服と方天画戟へ同じく銀のラインが顕現して完成を強調した。

 

(違う……これまでの私とは全然━━!!)

 

モンスターが内包していた魔力と呪詛を全て取り込んだ私。

体からはマスターをしていた時には想像もできなかったほどの魔力が渦巻いている。今ならば英霊に勝つことも名だたる異聞帯の王達を一人で蹂躙することも可能、そんな確信めいた自身が胸に沸き立つ。

そして分かった。もう私は使命とか責任とかに縛られなくていいんだって。

 

「ふふ……ふふふふふ……あはははは━━━━!!!!」

 

思わず零れた笑いが止まらなかった。

なんて晴れやかな気持ちだろう。

ずっと自分の意思で歩んできたと思っていたこれまでの私がどれだけ縛られ雁字搦めになっていたかがよく分かる。

初めて自分の足で大地に立った赤子のような心地。新しい世界を知った感動と躍動で心が満たされる。

 

「何だったんだろ。これまでの私って。バカみたいに真面目ぶってとっくにくたばった奴らのことまで抱え込んで。

マシュの言うとおりね。なんでいつまでも異聞帯(負け犬)共の記憶なんて背負ってあげようなんて思ってたんだろ。お人よし過ぎたのね、今までの私って」

 

本当にバカらしい。

なんであれほど必死になって戦っていたのかまるで理解できない。

勝った私達が正義で負けたアイツらは等しく悪。何を思っていようが知った事じゃない。

 

「っと、そんなことよりご主人様への挨拶が大事!」

 

振り返ると出口はここというように宇宙へ裂け目が出現。

眩い光で満たされたその先へ、今度は自分の翼をはためかせてくぐった。

 

◇

 

再び外気を感じながら飛び出すと空想樹の根元、建物の正面で待っていた2人の元へ降り立つ。見下ろすなんて無礼は許されないから大急ぎだった。

悠然と佇んでいた陛下とその横で頬に手を当ててびっくり顔の姉の前に膝をつく。

 

「お待たせしました、ナイオーロ様。

あなたのお役に立てる空想樹の巫女としてここに再誕いたしました」

「待っていた……と言いたいところだがこれは……ソラエル?」

 

てっきり褒めてもらえると思ったのにどこか意外そうというか困惑した感じのご主人様。

なにか間違えてしまったんだろうか。

話しを振られたソラエルはやっぱり驚いた様子だったが少し納得した風に話しだす。

 

「うーんとね。多分リツカちゃん、モンスターと相性良かったんだろうね。ボクらが思ってた以上に力を手に入れてるからびっくりしちゃった」

「思ったよりって……そんなにすごいの?」

「うん。空想樹の中身の魔力を取り込んだこともあるだろうけど……この感じ、淫紋で完全に樹と繋がってるね。魔力だけならお姉様にも匹敵するかも。

━━巫女だけじゃなくて戦力としても十分戦えそうですご主人様」

 

最後の言葉は主人に向けて。

ソラエルの見立てにさらに笑みを深くした彼は私の前で膝を折り、頬を撫でてくれる。もうそれだけの行為で細胞が泡立って幸福感で一杯。手を取ってもっと擦り付けたいくらいだ。

 

「嬉しい誤算ってわけか。手間暇かけた以上の成果を出すとは嬉しいぞ」

「あっ.ふあぁぁ♡そんなお言葉……私なんかに勿体ないです。あなたの役に立つことだけが私の生きる理由……喜んでもらえてとても幸せです」

「クク、女としての心もしっかり焼き付いたらしいな。

━━立て」

 

手を取られて引かれるままに立ち上がる。

まるで王子様にエスコートされるお姫様の気分で胸が高鳴った。

 

「新しい名前を授けよう。5番目の眷属……リリスティア・リカエル。

これからはそれがお前の名だ」

 

その言葉はまさしく神託のごときもの。

本当の意味で生まれかわったことを実感して絶頂してしまいそうだった。

 

「リカエル.リカエル!! それが私の名前!! 眷属の名前なんだ!! 

ああ!! ありがとうございます。人間につけられた下らぬ名前よりずっとずっと素敵!」

 

幸せのあまり体を抱きしめる。

そんな私に寄り添って背中を撫でてくれる人がいた。

 

「ハッピーバースデー、リカエル……ううん、これからはリっちゃんでいいかな♪ お姉ちゃんがたくさん可愛がってあげるから期待しててよね♡」

「うん……ありがとうお姉ちゃん。私もナイオーロ様の眷属にしてくれたこと、すごく感謝してる」

「むぅ……なんだか妹なのに年上っぽさあるなぁ。アイドルとしては序列も結構大事って言うか……」

「アイドル? 

あ、お姉ちゃん。ところで……」

「いやいや重要なんだって。もっと愛と尊敬とその他をこめてソラエルお姉ちゃん━━ふむぅっ!?」

 

なんだか色々喋っていた口を強引にキスで塞ぐ。

顎を添えた指で持ち上げて腰を抱き、今度は私が男役で彼女が女役になるよう流れるような姿勢交換。キスも淫魔の才能なのか自然と動く舌で相手の舌を絡めとり、丹念にマッサージするように舐めていく。

 

「ちゅっ、んっちゅ、れりゅ……お姉ちゃんの唇ってやっぱり柔らかいね。私、好きよ」

「ふぇ……んぁ……ず、ずいぶん積極的じゃん……ちょっと驚いたかも。ほ、本当にちょっとだけだから! 

って、てかなんで急にするのさ!」

「ちんぽに触手突っ込むの止めてって言ったのにやめてくれなかった仕返し」

「怖っ!! 生まれ変わってまで根に持ってるとかすごい気にしてるじゃん!」

「……でもそれだけ私のことを思ってくれたのは嬉しかったから。だからキスだけで許してあげる」

 

あの時は酷いことをされたと思った。けどそれだけ私を救ってくれようとしていた思いの証拠でもあるって今なら分かる。

だからムカつきと愛しさを合計してキスって結論。自分でも何言ってるか分からないけど、淫魔らしいかもしれない。

したいからする。それ以上の理由なんかいらない。

 

「遊びはそこまでにしろ」

「はい」

「切り替え早っ! ━━ってもう! はぁい、ご主人様」

 

主の一声で身を翻して直立。

やや蕩け始めていた姉も口元の涎を拭いながら私の隣に立った。

 

「すぐ作戦を実行する。全軍に伝えろ。予定通り、彷徨海へ侵攻を開始するとな。

リカエル、お前はソラエルの指示を受けて動け。お前には異星の神を始末した後が本命だ。

ソラエル、姉としてしっかり面倒を見てやれよ」

「新妹の初心な所、堪能させてもらいますね。

……ふふっ、ああ楽しみ。世界を舞台にしたショーなんて一生に一度味わうのだって奇跡だもんね♡」

 

姉の不穏な呟きを聞きながら私も返事。

 

「お任せを。この命、魂、全てはナイオーロ様の為に」

 

私の新しい世界がここから始まるんだ。

 

〈つづく〉




というわけで藤丸も堕ちちゃいました。
先にお礼をば。
今回のリリスティア・リカエルの名前、そして前回のEST:ζの名前はフォロワーの妖精妃モルガン様から頂きました。作者の頭だとリツエルかフリューゲルの二択で詰まっていたので助かりました。
また途中のやたらクオリティの高い喘ぎ声については汚喘ぎったー →https://shindanmaker.com/a/622899での診断結果をフォロワーの方から送ってもらったものを参考にしております。
この場を借りてお礼を申し上げます。
もっとエロい喘ぎかけるようにならなきゃ。

続けてリカエルのファンアートをソラエルも描いて頂いたけだまとんさんより頂きました。
けだまとんさんのファンアートはこちら→https://twitter.com/kedamaton_/status/1612262324236357634?s=20&t=HKd5wEsidQp9wMYagu_beQ
いつもお世話になってます。今回も大変すばらしいイラスト感謝です!

今回の話は藤丸にとって大切なものや積み重ねられてきたものを捨て、その先に進むための話でした。
ただ快楽堕ちでもいいんですがブリテンで見た通り、彼もまた壊れてきているのでただ堕とすより持っているもの全部壊してしまった方がいいだろうという考えから今回のようになりました。
途中は説明もありましたが女の子の意識を体になじませ、男として生きてきた過去より女の子の未来を選びたくなるよう仕向ける為。かといって作戦だからやったわけでもないのがソラエル。本人的には遊びたかったのも本心。
元から体はメスとして覚醒し、北海道でマシュとセックスしたので因子による浸食も既に肉体へ定着。ぶっちゃけナイオーロがすぐ膣出しすれば堕ちてたかもしれません。
でもそうすると、よくある主人公の最後に正気を取り戻す展開もあり得ちゃうのでね。
堕ちる時の最後は自分の意思で。これが私のモットーなので。

今回で時々触れてましたがソラエルは藤丸の過去を知っており、救ってあげたいとも思っていました。元から情報としては知っていたけど第1話で興味を持ったのが感情移入した原因ですね。
どうせ異星の神を倒してもロクな未来はないし、なら自分のものにして苦しんだ分も幸せにしてあげよう♪という思考。
仲間を失い、一人になることが決まっている彼にかつての自分を重ねて同情もしたのかもしれません。仲間を奪ったのコイツですけど。

今回触れませんでしたが帝都の様子はソラエルが説明した通りで嘘はないです。
基本は帝国人しかいませんが優秀だったり役に立ったりすると日本人でも活用されます。名誉ブリタニア人的なアレに近いです。皇帝直轄領なので差別とかもやると騎士団が罰するので意外とクリーン。
この辺は植民地扱いだった原作と違い、ちゃんと治めないといけない事情からある程度の治安が保たれています。所かまわずセックスしまくると皇帝の威厳に関わるので。
ただし嘘はありませんが、藤丸が帝都を好意的に見るよう意図的に説明を省いたことはあります。
例えば、
・有用じゃなかったら奴隷行きと言ってましたが対馬にはセイファート・レプリカの根元に怪人化用のファクトリーがあって、素質ありだとそこに送られる。
・帝都の地下には下水道を改造して作られた巨大な住居スペースがあり、日本人の多くはそこにいる。レジスタンスの本拠地もここ。時々奴隷狩りとして襲われることがあり、彼ら及びそこで捕らえた人間に対しては一切人権が適用されない奴隷以下の扱いもあり得る。
などですね。
特に2個目の方は騎士団も不法に巣くうネズミを奴隷商が取ってくるという認識の為、見つかってもおとがめなし。行かなかっただけで普通に奴隷娼館やら奴隷剣闘士のリングとかも普通にあります。帝国人も地下の人間は家畜同然の認識。
早い話、帝国人以外は基本人間扱いされません。服屋の店長は眷属化前のソラエルが知り合いだったので運良く助かっただけ。

これでカルデアサイドの戦力は全滅。
次回は彷徨海への帝国による襲撃と異星の神の始末から帝国を完全に地球に降ろすお話になります。
これをもって汎人類史は終わり、新しい星の歴史が始まる。
多分このシリーズ唯一の非エロ回になる予定。
次回が最終話で、その後エロだけのエピローグをやってこのシリーズも完結予定です。
理由は次回分かりますがエピローグでは他のサーヴァントも登場予定です。

ではまた次回。
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