※この作品はR-18です。

夢の中で従妹にやられるお話(仮)   作:natsu0000

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ふわふわと視界が揺れている。

コーヒーの匂いと、何か甘ったるい匂いが混ざり合って鼻に漂う。

革靴が床を叩く音、椅子を引く音、カップを机に置く音がする。

 

次第に視界が戻りはじめ、一面の大きな窓と、逆光で何人もの影がうようよと彷徨っているように見えた。

視線を落とすと、目の前のテーブルにはブラックコーヒーと東野圭吾のさまよう刃の単行本が置いてある。

 

自分は壁際の長椅子に座っているようだ。何処かのチェーン店系と思われる喫茶店。初めて入った店だ。

体は動かない。が、何故か首は動く。

 

ここは記憶には無い場所のようだ。

 

煤けた床に、整然と並ぶ机はほぼ満席のように見える。目の前の席に座るサラリーマンが猫背でカタカタとノートPCのキーボードをひたすら打っている。キーボードの音がいやに耳に響く。

 

すると、左隣からは女子大学生二人の笑い声が聞こえ、そちらに耳を傾ける。

周りに聞こえないように話しているようだが、集中するだけで耳元で聞いているかのような音量で聞こえる。ここは、そういう仕様らしい。

 

バイト先の店長と同級生のサキちゃんがが付き合ってるが、サキちゃんには本命の彼氏が居るらしい。何処かで聞いたような話だ。

でも、店長は実は既婚で、奥さんにそれがバレたとかなんとか。

 

店長がおイタをしたようだ。

 

バイト先のパチンコ店の店長も、結婚していてもおかしくない年齢だ。

チェーン店のパチンコ店は必ず転勤があるらしく、単身赴任して休みもなく、時間と共に離婚というパターンが多いらしい。

しかも、パチンコ店は完全に年中無休なので、店長は退職するか出世するまで休みは無い。家族が来ない限りは会えないのだろう。少しばかり、二階にタイムカードを置くぐらい許してあげようかという気持ちになった。

 

そんな話を店長の心配をしながら女子大生の話を聞いていると、階段を上る足音が耳元に響く。

やがて、その足音は2階席に辿り着き、人込みの中にその顔を見つけた。

 

記憶よりかなり老けてはいるが、ハルおじさんだった。

ハルおじさんは彫りの深い顔つきで、ガッチリとした体形の人だった。

多分50代くらいだろうか。昔はかっこいいなと思っていたが、薄くなって来た頭皮が時間の流れを感じさせた。

 

ゆっくりと歩いてくるハルおじさんは、軽く辺りを見回し、誰かを見つけたようだ。

すると、右隣に座るやけに姿勢の良い、金髪の二十歳くらいの女の子の向かいに座る。

 

身長は160cmくらいだろうか、横からしか見えないがスラッとした女の子で、顔が小さい。

ジーンズに青いビックサイズのパーカーを着ている。

 

「カナ、ちょっと見ない内に大人になったな。久しぶり」

 

寡黙なイメージのおじさんだったが、腹に響くような低い声だ。それでも、記憶よりずっと優し気な声で金髪女子に話かけた。

そして、その金髪女子はカナだったらしい。

 

首を回すが、顔はよく見えない。

 

「お父さん。」

少し低めの落ち着いた声だ。カナのイメージとはかなりかけ離れている。思ったより冷たい声音で、何か含みがあるようだった。

 

「ケンタ達は元気か?」

 

「うん」

 

親子の会話にしては距離があると思った。カナの声からは戸惑いのようなものが漏れていた。

 

何を話していいのか分からない。そんな沈黙が数秒訪れた。

それに耐えかねて、カナが本題を切り出す。

 

「お、お父さん。いいよ、私、お父さんの娘だから。お金、困ってるんでしょう?」

 

ハルおじさんが、一瞬泣きそうな顔になる。

 

「カナ・・・ごめんな、名前とハンコだけ押して送ってくれたらいいから。」

 

言って、A4サイズの封筒をカナに渡した。

 

母が、ハルおじさんが娘に借金をさせたらしいと悲しそうな声で呟いていたのを思い出した。

母と絶縁状態になったきっかけの出来事である。

 

「も、もう行って。ちゃんとしておくから。」

 

「すまない。」

 

ハルおじさんはそう言って、どんな顔をすればいいのか分からないというような表情を浮かべ、階段に消えて行った。

 

カナに声をかけてあげたいが。声が出ない。

 

下を向いて肩を震わせるカナを見詰めていると、忽然と世界は暗転する。

 

 

最近はすっかり慣れた。ベットに寝ていた状態で落ち着いて目を開いた。

これは何なんだろう。やっぱり明晰夢というやつなんだろうか。

 

喫茶店の一幕はただショックだった。利益を使い込み、家業を潰した。借金だけ置いて女と逃げたハルおじさんを、カナはあの細い腕で支えていたんだろう。

 

おじさんは小さい頃俺に良くしてくれていて、そのイメージが強かったのか、何処か一連の騒動を他人事のように聞いていた。

覚えているのは母親の悲し気な横顔だけだった。

 

もう何も出来ないのに、ただ現実だけを突き付けてくる何かを恨めしく思った。

 

 

二連休を明けて夕方出勤すると。店長が変わっていた。

 

そして何故か、カウンターにタナカさんが入っている。カワカミさんもいない。

タナカさんに聞いてみるも、良く分からないようだ。

 

これは、熟練のカウンター嬢のスギヤマさんに聞くしかあるまい。

 

そんな矢先、パチンコ狂いのイワタさんが駆け寄って来る。

 

「ユキオ君休みの間大変だったんだよー」

 

「何があったんですか?」

 

「カワカミさん妊娠したらしくてね。」

 

「そ、そうなんですか?」

 

まさかである。

 

「んで、カワカミさんと店長付き合ってたじゃん。一昨日の昼に店長の奥さんが来て、その後カワカミさんと彼氏が来てね。」

 

やはり店長は結婚していたようだ。

 

「すごいですね・・・・」

 

「しばらくして店長以外が帰っていったんだけど、仕事終わりにスギヤマさんが二階に上がると店長ベロベロに酔っぱらってて大暴れしてたみたいで、それで今日から新しい店長来たんだよ。」

 

自堕落に2連休を過ごしている間に、とんでも無い事が起きていたようだ。

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