※この作品はR-18です。

夢の中で従妹にやられるお話(仮)   作:natsu0000

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随分背が高くて重そうに見えるドアは、少しの力で開いた。

 

「カチリ」

 

小気味の良い音が鳴る。

値段の高い部屋ってドアの音も違うんだと、どうでも良い事を考えていた。

 

美咲は、冷静な自分に心の中で苦笑した。

 

真っ白な壁と廊下に、黒い絨毯だけが敷いてある。

その絨毯を歩きながら、処刑台への一本道みたいだと思った。

そして、来るとき一緒にこの絨毯を一緒に歩いた愛ちゃんの顔を思い出す。

 

高校からの友人の愛ちゃんは、真っ青な顔に笑顔を張り付けていた。

付いてきちゃ行けなかったんじゃないかって、なんとなく思った。

震えた指でインターホンを押してるのを眺めながら、確信したのだ。

逃げ出そうとすると、愛ちゃんは「お願い」と涙をポロポロ流しながら私の腕を掴んだ。

 

その後の記憶は、今はあまり思い出せなかった。というか、思い出そうと思えなかった。

 

気持ちは凪いでいた。真っ青な友達の顔を思い出して、これは終わらせなきゃいけない事だと、その決心だけがふわっと浮かんでいた。

 

私にはヤンチャな感じのお兄ちゃんが居る。

何をやって生活をしているのかは知らない、とにかく体が大きくてゴツイ。そして、お金を沢山持っている。

 

高校生の時、友達がナンパされた男の人の車に一緒に乗り、大事故を起こした時、私の話を聞いたお兄ちゃんは2,3本電話をかけてからどこかに出かけて、数時間して何故かお金を沢山持って来た。慰謝料らしい。

 

良く分からないけど、何か危ない橋をずっと渡っている人なんだと思う。

 

考えるよりも先に、お兄ちゃんに電話していた。

 

「お兄ちゃん。聞いて欲しい事があるの。」

 

私は、他人事のように今日あった事を説明していた。

今はすんなり思い出せた。でも、浮かぶ映像はどれもモノクロで、感触も、匂いも無い。

自分の感情はグツグツと煮えたぎっているのに、対岸で燃え盛っている火事を見ているように冷静だった。

絶対に目を凝らして見てはいけない。その警告だけが頭の中で鳴り響いていた。

 

「分かった」

 

それだけ言って電話が切れた。

 

「そんな言葉が欲しいんじゃない!!!!!!」

 

どこかで誰かが叫んでいるような声が、頭の中で鳴り響いた。

 

「うるさいなあ・・・・」

 

呟いてトボトボと家路についた。

 

色々とあって、お兄ちゃんが借りてる部屋に私は住んでる。

女の子らしさのない、殺風景な部屋。

リビングに入った瞬間、足腰の力が抜けて、スローモーション見てるみたいに自分が床に落ちる。

落ちたと同時に胃の中が空になるまで全部吐き出した。

 

平衡感覚がおかしい。体が鉛のように重い。

とてもじゃないけど、動けない。

 

ぐるぐると回る視界が落ち着いた頃、せっかく最近慣れ始めた仕事だけど、しばらく休みもらわなきゃと、なんとか体を動かしてスマホを手に取る。

 

「ありがとうございます。スマイリー 向陽店です。」

 

ユキオ君が電話に出た。

 

私は彼を知っている。それも、かなり前からだ。

コウジと付き合っている時に、ユキオ君と会った事がある。

 

背が高くてかっこいい人だと思った。

 

しばらくして、いつも遊んでる女の子達の中の一人がユキオ君とセックスをした

と言っていた。

 

誰かが、

 

「どうだった?」

 

なんて聞いた。

思わず気になって聞き耳を立てる。

そこのコが頬を緩め、何かを思い出すかのように一言。

 

「あれはヤバイ。」

 

5人の女の子達は息を飲む。それだけで十分伝わったからだ。

 

「え?じゃあ付き合ったの?」

 

誰かが聞いた。

 

「あの人はそういうのじゃないっていうか。なんか、全然掴みどころがないんだよね・・・・」

 

話しを聞いてみると、セックスをしてる時は信じられない位優しいらしい。痛い事なんて一つもなかったし、して欲しい事を何も言わずに叶えてくれるような。生まれて初めて、何も考えずに相手に自分を預けられた。そんなセックスだったと言った。

 

ただ、終わった後もすごく優しいのに、全く執着が無く、何なら連絡先も聞かれなかったらしい。

 

事故の時、コウジは助けてくれた。ヒーローみたいだった。

でも、1年も経てばワガママな大きな子供みたいだった。

これから出かけるって時に、「出したい」と言ってフェラをさせられたり。セックスを断れば子供みたいに拗ねられた。

 

ユキオ君がしたようなセックスは、私は知らない。

 

ただ、そのコが言った事はなんとなく分かった。ユキオ君は他人に興味が無いのだ。

モノクロの世界で、たまに目の前に居る女の子がカラーになって、勝手に底を見透かして、底が見えたら振り向きもせずに前に進む。そんな人生を生きている人なんだろう。

美咲にはなんとなくその気持ちが分かってしまった。

 

美咲は知っている。今だけなら、一度だけなら、ユキオが優しくしてくれるという事が。

そして、自分も同じなのだ、他人に興味が持てない。

だから今だけ、今だけでいいから、全部を預けられるなら、誰でもいいから優しくされたい。ただ、それだけだった。

 

「もしもし?」

 

「あっ、ごめんなさい・・・・タナカです。」

 

「あ、タナカさん?大丈夫?」

 

「すみません。体調崩してしまって・・・」

 

「あっ、そうなんだ。大丈夫? スギヤマさんにでも頼んで何か持っていってもらおうか?」

 

ほら、優しい。

 

「あの・・・・ユキオ君にお願いがあるんですけど・・・」

 

「え?・・・俺で良ければ・・・」

 

「ユキオ君がいいんです・・・・・助けて・・・・・助けてください。今だけでいいんです・・・・・お願いします。」

 

しばらく間があいた。

 

「・・・・・・・うん。」

 

ユキオ君は来るんだろう。今だけは彼の前で私はカラーになっている。そう、確信出来た。

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