※この作品はR-18です。

夢の中で従妹にやられるお話(仮)   作:natsu0000

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車通りの少ない海岸線をひた走る。

海沿いの街並みが好きだ。

内陸には無い草木が生え、海の傍は歴史が長いのか、潮風のせいなのか、錆びた看板や建物がやけに多く、違う時代に迷いこんだみたいだ。

 

美咲ちゃんは終始笑顔だった。

昨日の事については、話してない。

俺に何をして欲しいのかは分からないが、その時を待つしか無いのだろう。

はっきり言って、彼女の考えは未だよく分からないが、放ってはおけなかったという理由だけでここまで来てしまった。

 

度々、車を降りてコンビニに寄ったりする姿は、何処にでもいる普通のカップルにしか映らないのだろう。

 

少し大きめな街に入った、知らない街だ。

ここになら、大き目の病院があるのかもしれない。時間はまだ午前10時頃だったが、なるべく早く検査を受けたいだろうからという事で、まず病院を探して向かった。

 

一人では行けないと言うので、産婦人科の病院に一緒に入る事にする。

車を降りると潮の匂いが鼻をくすぐる。ピンク色の少しくたびれた建物だった。

ある程度は気づいていたが、はっきりとした事実を突き付けられ、漠然とショックだった。

 

美咲ちゃんは一通りの検査をして、アフターピルを貰って来た。

検査結果は、たまたま空いていた事もあり、急いでしてくれるらしく、今日明日には結果が電話で連絡が来るようだ。

アフターピルはすぐ飲むと言った。

 

病院内での一連の話を、何も言えずにただ頷いて聞いた。

彼女の抱えているであろう事を想像するだけで、胸がギシギシと音をたてて軋む。

 

しかし、その時ふと違和感を感じた。自分は美咲ちゃんの事をまだよく知らない。

美咲ちゃんが物事をどう見て、考え、感じるのか知らない。ただの自信なさげな、小さくて可愛らしい女の子という表面的な事しか知らない。

起きてしまったであろうその出来事を、美咲ちゃんがどう考えて、どう処理しようとしているのか、俺には何も分かっていないのだ。

この小旅行が終わり、肉親でも無い、家に帰って美咲ちゃんに生涯を捧げるわけでも無い俺の、一時的で一方的に決めつけたような同情心は、「今は」普通に振る舞いたいであろう美咲ちゃんの心に影を落とすだけだ。

ただ、今の所分かっているのは、美咲ちゃんがここに居る事を望み、俺が傍に居る事を望んで、なるべく笑顔で居たい。それだけなのだ。

 

それと同時に、未だかつてない程の献身的な考えに自嘲する。助けを求められた電話の時に、「今だけ」という言葉を美咲ちゃんが使い、それならばと思ってしまった自分が居るからだ。

自分はこれまでの人生、その時だけの快楽を即物的に貪って生きてきた。

高校の時に初めてできた彼女に向けられた、打算的で、所有欲と嫉妬心にまみれた、ドロドロとした眼差しを受け、昨日までの彼女は誰だったのかと落胆し、嫌気が刺した。

その後に覚えたのは、上手に後を濁さずに飛び去る、やり方だ。

皆、表面的な美しさの奥に深い業があるのだ。表面的な美しさを保っている間に深くまで潜り、捕まえられる前に飛び去るのだ。必要以上の時間は刺激を失い、輝きを失い、慣れ合いが残る。だからその前に飛び去り、後には小ぎれいな思い出だけが残り、5年もすれば、顔も思い出せなくなるだろう。

人と長く居るのは、辛い。単純に自分には、それに立ち向かい、巻き取られ、抗い、傷つく度胸が無いのだ。

自分は、それでも、傷付きたくなくても、誰かに触れたいだけの、取るに足らない寂しがり屋なんだろう。

そんな人間が今になって自分以外を知ろうなんて、美咲ちゃんを知ろうなんて、ただの傲慢だ。

ならば、美咲ちゃんが求める「今だけ」の時間を深く潜り、いつものように後を濁さずに飛び立てばいい。

 

気持ちを切り替え、たまたま目に入った少し錆びた海洋公園の看板を指さして言う。

 

「あそこ、行かない?」

 

「はい」

 

美咲ちゃんは、また笑った。

 

 

少しだけ空気は冷たいが、気持ちの良い秋空だった。

 

だだっ広い公園で、遠くに展望台のようなものがあり、そこまでコンクリートの道がまっすぐ伸びている。

よくわからない展示物がポツポツと置いてあったり、船が置いてある。テントが立っていたりもするので、キャンプしに来る人もいるようだ。

展示物の周りで子供が走り回っていた。

 

それを横目に、ブラブラと歩く。

 

途中、ガラス張りの建物があり、そこの前に露店が何軒か出ていた。

そこで何かを食べる事になり。カツドックとやらを二つと特産品なのかホタテカレーを買った。

外に置いてあるプラスチックの椅子とテーブルに並べる。

味は普通だったが、気持ちの良い天気と開けた場所で食べるそれは、思いの外美味しく感じた。

 

美咲ちゃんはまた笑顔だった。ただ少し瞳が潤んでいるように見えた。

 

少し冷えたので、ガラス張りの建物の中で二人でホットコーヒーを飲む。

外は少し日が落ち始めていた。それを眺めながら美咲ちゃんが言う。

 

「暗くなりそうなんで、ホテル取りませんか?」

 

「そうだね。」

 

スマホでホテルを探し、すぐ入れそうなビジネスホテルに電話する。美咲ちゃんに、あえて聞いた。

 

「ツインでも大丈夫?」

 

「ツインがいいです。」

 

美咲ちゃんが微笑む。

 

 

普通の、よくあるビジネスホテルだ。

小ぎれいで立派な外観と打って変わって、まさに寝るだけ。と言う部屋で、グレーのカーペットとカーテンに木の机。そしてセミダブル程のベットが二つ。部屋は3色でまとめると統一感が出ると何かで読んだが、そういう狙いなのかもしれない。

今日連絡して取れる部屋なんてこんなものなのだろう。

 

そんな折、美咲ちゃんのスマホが鳴る。

 

「もしもし。」

 

「はい、そうです。あ、検査結果ですか。」

 

息を吐く。

 

「はい・・・・そうですか。分かりました。ありがとうございます。」

 

電話を終えて、美咲ちゃんを支えていた何かが外れたかのように、ベットに倒れた。

自省して、納得していても、キリキリと胸が軋む。でも少しはマシなようで、声は出せそうだ。

 

背を向けて倒れる美咲ちゃんに話しかける。

 

「大丈夫かい?」

 

「うん、全部陰性だった。」

 

美咲ちゃんに聞こえないように、小さく息を吐いた。

 

「良かった。」

 

「ユキオさん。昨日の事、聞いてくれます?」

 

背を向けたままの美咲ちゃんを見詰め、背筋に思わず力が入る。

 

「うん。俺で良ければ。」

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