夕日の色が落ちかけた少し重たいオレンジ色の雲の下、車を走らせる。
昼過ぎに高校時代からの友達、ケンジから連絡が来た。
女の子も混ざっての飲み会があるんだけど男が少なすぎるから来い、という事で隣町のケンジの家まで走ってる。
女の子の幹事がはりきりすぎて女の子を集めすぎたらしい。
ケンジが住むアパートの向かいにあるスーパーの駐車場に車を入れ、「着いた」とだけLINEを送る。
ケンジは地元を離れ、一人暮らしをしていた。
ナントカ交通とかいう運送業が本業の会社に就職し、一事業としてガソリンスタンドをやっていて、ケンジはそのスタンドで働いている。
ケンジとは女の趣味が全くといっていい程合わない。
ケンジの恋愛が終わる度、「あんなのと付き合うから」と言ってやるのがいつものパターンだ。
こうして、女の子が絡んで遊ぶ時は女の趣味の不一致がこの上無く都合がよくて、いつもつるんでいる。
少ししてNEWERAのキャップとダメージの入ったジーンズにでっかいロゴが書いてあるTシャツを着て、なんかガチャガチャしたスニーカーを履いたケンジがやってきた。
ちなみに服の趣味も合わない。
ケンジが車に乗り込んで来て早々。
「この間のどうだった?」
「あぁ、まあまあ良かったよ。体力持たないってへばってたけど」
「なんだそれ(笑)ユキオもそろそろに特定の彼女作れば?」
「いいコいたらねー」
高校生以来、特定の彼女というものは作った事が無い。あのコと何話してただの連絡が遅いだの、記念すべき一人目の彼女で童貞を散らすと共に恋愛に対する夢も散った。
姉と妹に挟まれて育ったからなのか、ある程度のデリカシーは備わっていて女性の機微を読むのが割と得意だった。
生理前の女性の理不尽さなど姉妹のいないやつにはそうそう理解のしようが無いだろう。
そんな事もあり、あんまり女性には不自由してこなかった。
本当に楽しいのは最初の一回までで、後はお互いの性欲と距離感と諦念の三すくみで関係が成り立っていて、バランス崩れた時には関係が清算される。
まして、あの夢のような興奮など現実で味わった事は無かった。
ケンジの言う「この間の」は、所謂飲み屋のオンナだ。
見た目は20代の後半位かと思ったけど実際は30代の半ばくらいの綺麗なお姉さんだった。
その時もケンジと一緒に店に行き、そのお姉さんは俺についた。
トイレに立った時に何故かその人もついてきた、誘うような目線を確認しトイレに連れ込んでその中でキスをした。
その人は、10代で子供を産んでいてどっちかと言えば俺に近いくらいの年の娘がいて、現在は金持ちのおじさんの愛人らしかった。
割といい部屋を与えられていて、店で会った次の日の夜に「その部屋」に呼ばれてセックスした。
お姉さんは普段おじさんとしかセックスしてないからなのか、3戦目で「これ以上はもう死ぬ」と言って音を上げた。
ジム通いで鍛えているらしいが20代前半の無尽蔵な体力と性欲には敵わなかったらしい。
そんな感じで、都合良く遊んでくれるお姉さんや、暇つぶしなのか相手してくれる女の子が居たりで、常に数人のそういう「フレンド」がいる状態が続いている。
ユキオはそういうので十分に満たされていた。
「涼子が女の子集めたみたいだなー」
「じゃあ大学生?」
「じゃねえかなあ」
涼子は、去年の冬に若いコが集まるバーでナンパした大学生だ。
何より酒が好きで、たまに付き合わされる。
顔はそこそこだけど持前の明るい性格でやたら知り合いが多い。
「彼氏欲しい」
とよくこぼしているが、そこまで本気度は伝わってこない。
「そのうちできるんじゃない?」と言ったら「あんたばっかりずるい」と言われた後に誘うように見つめてきたが、趣味じゃないので無視した。
色々手を出して来たが選ぶ権利はある。
「あそこの店っぽいわ。もう皆揃ってるってさ。」
「うん」
大学生がいっぱいいそうな居酒屋のチェーン店にケンジと二人、向かった。