※この作品はR-18です。

夢の中で従妹にやられるお話(仮)   作:natsu0000

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1-0 こんな筈じゃなかった

午前中は雨が降っていたらしい。

 

少しひんやりと湿った風が手入れの行き届いたユナの髪を撫でた。

雨後の澄んだ空気とは裏腹にユナの心は重く、どんよりと曇っていた。

 

築10年の安アパートの外観がいつもより寂し気に映る。

3連戦と寝不足が祟った体は重く、アパートの階段は段数が増えたように長く感じた。

 

古びたドアノブに、酷くデフォルメされたライオンのキーホルダーが付いた鍵を刺す。

開けるのに少しコツが居るドアを慣れた手つきで開くと、見慣れた玄関に足を踏み入れた。

 

バックと服をローソファに投げ捨て、女子には少し手狭な洗面所に向かう。

鏡に映る化粧の落ちたひどい顔を見た時、彼女は気づいてしまった。

 

「あ、LINEの交換してないや。」

 

普通はこうじゃない。

「また会おうね」とか「めっちゃ可愛かった」とか、今手元にある言葉はそういうものの筈なのだ。

LINEの交換もしてない自分に、今更気がついた事が滑稽だ。

 

「てか、聞くだろ普通。」

 

当て所の無い、膨れてしまった、寂しさを含んだ怒りを吐き捨てる。

 

いつもの私にとってオトコなんて簡単で、ちょっと谷間を見せて笑顔でボディタッチするだけで思うようにコントロール出来た。

スカしたり焦らしたりしながら私に溺れるオトコを弄んだ。

 

飲み会や合コンの時にトロフィーを持って帰るみたいにイイ男を引き連れて行く。

周りの女子の恨めし気な視線を受け、優越感に浸る。

自分がいいオンナになったみたいで気分が良かった。

 

昨日だって、途中までは順調だったのだ。

ユキオ君には最初から目を付けていた。

背が高くてカッコよくて、優し気な雰囲気があって。

 

タバコ吸いに行くっていうから、すかさず付いていった。

飲み会中は、そんなに女慣れしてない感じだったのに二人になった途端面白い事を言い始めた。

ただ、時折見せる貼り付けたような笑顔が妙にイラついた。

 

第一印象とは違う雰囲気に単純に興味を持ったのだ。

だから席に戻った時、いつもの手管にどういう反応が返ってくるのか試した。

すると想像の3割増しで一気に距離を詰めてきて、いい匂いと子宮に響くような低い声で誘ってきた。

思わず男慣れしてない少女みたいな顔でリアクションしてしまった。

 

その後は、彼に導かれるままフワフワと付いて行ってしまった。

 

今までされた事のないような優しいキス、産毛を撫でるみたいに優しく扱われた。

常に焦らされ、じわりじわり追い詰められていく。彼は急がないのだ。

一瞬我に返り完全にコントロールされていると気づいた。

 

妙な対抗心が沸々と沸き起こり、全力で抗った。

しかし、それもひと時だけで、またしてやれた。

 

ユキオ君がピンクローターを出した時、正直傷ついた。

初めてのセックスでオモチャ使うなんて、「君はそういう女だよ」と言われたも同然だ。

 

 

「こんな筈じゃなかった」

 

 

心の中で呟く。

 

いつもはそっち側にいるのに。

 

ユキオ君は優しく、優しく蹂躙してくる。

棘が生えてギザギザになった心を丸くなるように撫でてくれるのだ。

肌を合わせている時は本当に幸せで、少女のようなリアクションを返してしまう。

 

潜在的に男性というものは怖いものだと、どこか意識にある。常に。

だからベットに入っていてもどこか身構えて生きている。

優しい顔してても、いきなり豹変するのかもしれない。

 

しかしそれもまた逆で、私に対してそれをしたくても出来ないと男は自制する。

だから可愛いく映るのだ。

 

なのに、彼のセックスは根本が違った。

私の中にある恐れを溶かしにくる。全部溶かして預けろと誘われる。

嫌だと言っても何度も何度もノックしてくる。

 

優しい言葉と手つきで甘やかに裸にされた私はただの発情期のメスみたいだった。

抑えの無くなった性欲は私自身を蹂躙した、何度も彼におねだりして、3回目に生まれて初めて意味も無く涙を流しながら男性のそれで達した。

 

今まで感じた事ない程身も心も満たされて、シャワーを浴びに浴室へ向かう彼の背中を見つめながら呟く。

 

 

「こんな筈じゃなかった」

 

 

その後もなんやかんやあったものの、ユキオ君はずっと気遣ってくれて優しい。

髪を撫でられながら満足してユキオ君の腕のなかで少女みたいに眠りについた。

 

身も心も満ち足りた。満ち足りていたのに。悲しいのだ。

 

来るはずのメッセージも来ない。そもそもIDを聞こうともしていなかった。

オモチャを使ったりした一連のやり取りは、「今夜だけね?」と彼が安に伝えているのは明白だった。

 

彼の腕の中で髪を撫でられ静かに凪いだ海みたいだった心は、突き付けられた事実のせいでほんの数時間で荒れ狂う。

 

濁った心を少しでも浄化させるように、目から涙が溢れた。

一通り涙を流して落ち着く心の身代わりに赤く腫れた目を鏡越しに見つめながら呟く。

 

 

「こんな筈じゃなかった」

 

 

 




とりあえず一区切りです。

人生で初めて書いてみた小説です。

拙い文章を、ここまで読んでくれて嬉しいです。
評価や感想をいただけると喜びます。

よろしくお願いします。
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