※この作品はR-18です。

【完結】お家とおち○ちんお取り潰し 残されたのは好敵手と子孫を残す為の優秀な血統だけ? 生意気ぼっちゃまTS孕み嫁修行   作:あかん子を説法

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申し訳程度のキクチ視点


十話 醜女

 

 

 

 朝。秋も深まり、窓の外では紅葉の葉が散る。

 外の景色は移ろい行くが、館の中は変わらない。今日も忙しなく使用人達が働いている。

 その中で一際可憐でしおらしく、歩みの遅い少女が一人。

 

 「はぁっ……はぁっ……っ……」

 

 か細く儚げな吐息を吐きながら、盆に乗せた食器を運んでいた。

 フラつく度揺れる白銀の長髪の下、濡れた紅の瞳から涙が溢れ、赤らんだ頬を濡らす。

 家政婦長の立場にある妙齢の女性が檄を飛ばした。

 

 「遅いよレイ! ほら、頑張りな!」

 「はい……っ……っっ!」

 

 配膳作業の最中、彼女は机の上に食器を置くと、口元を抑える。

 くぐもった声を漏らし、急に腰を引きガクガク膝を震わせたかと思えば、糸が切れたかの如くへたり込んだ。

 その下へ黒髪長身の鋭い目付きをした女が腕組みしながら歩み寄り、低い声で言う。

 

 「レイ、立ちなさい」

 

 彼女はその女を見上げ、一瞬ゆらりと瞳を揺らした後「っ……はぃっ……」と従順に返事して、すっくと立ち上がる。

 

 「仕事を続けなさい」

 「っはぃっ……わかり、ましたっ……」

 

 見た目に相応の、聞いた者の心を締め付ける様な愛くるしい声を残し少女は仕事に戻っていく。

 残された黒髪長身の女。そこへ家政婦長が詰め寄った。

 

 「暫く見なかったと思えば、あんたあの子に何をしたんだ?」

 「……ふっ、私は何も」

 

 遠い目をして彼女が力無く笑ったのを見て「ああ?」と家政婦長は凄む。

 静かな溜息が返り、「いけませんね」と表情は冷徹なものへと戻った。

 

 「不干渉の条件、お忘れですか?」

 「…………忘れてないよ」

 「なら、引き続き宜しくお願いします」

 

 彼女は踵を返し、甲高い靴音を鳴らして去っていく。

 女の名はキクチ。直近の出来事を回想し、より強く、踏み鳴らされる。

 

 

 

 「んおおおおおおめでとぉおおおおおおおおお! 元気な女の子ですぅ!」

 

 診察台の上、意識無くぐったりと寝そべる少女の前。白衣の女の、ガスマスク越しの雄叫びが室内の白壁に木霊する。

 検診の結果、レイの肉体は学術的に女性の物と呼べる段階に移行した事が分かった。

 曰く多少のイレギュラーはあれど、もう数ヶ月すれば更に女性としての性徴を深め、子を孕み産める様にもなるとの事。

 計画は安定軌道に乗った。当初の予定通り。順調な経過報告の筈だった。

 

 「あー、でも、これ言っていいのかなぁ……?」

 「……? 何ですか?」

 「んー……ミマタちゃんが、ちょっとこの子のリソースをねぇ────」

 

 語られたのは、またしても彼女の独断専行の痕跡の話だった。

 キクチは今度こそ冗談ではないと問い詰めた。

 

 「どういうつもりですか? ミマタ副主任!」

 「ん〜? 何が〜?」

 「とぼけないで下さい! レイの刻印の大幅な追加に、精神系術式の勝手な使用! 明らかな越権行為ですよね⁉︎」

 

 今後の予定に響く勝手な行動だと、あわよくば断罪し、上に突き出さんという剣幕で捲し立てた。

 しかし、ミマタは休憩室のソファーの上、寝そべり頬杖をついたまま飄々と答えた。

 

 「でも〜、これで良かった。でしょぉ〜?」

 「はぁ⁉︎」

 「いや〜、だって、これで私的復讐をダラダラと続ける必要無くなったじゃぁ〜ないですかぁ!」

 「っ、貴女っ……!」

 「無駄な懲罰でちょぉっとずつあの子の心を砕くより、先に術で心を折って効率的に進めようってだけですからねぇ〜! 上もこっちの方を推すんじゃな〜いですかねぇ〜!」

 

 彼女は全て見透かしていた。

 ミズチの私兵最優の女、占理眼(せんりがん)のミマタ。

 初めから警戒していたものの、案の定御せない。御し切れない。

 

 

 

 「はあぁっ……!」

 

 肩を怒らせ、キクチは廊下を歩く。カツカツ、カツカツカツカツ。

 と、何やらおっとりとした声が掛かる。

 

 「主任……キクチ主任」

 「何ですか!」

 

 思わず声を荒げて振り返った先には、頬に手を当て困り顔のハルノミヤがいた。

 キクチは「っ、すみません」と俄に正気に返り、言い直す。

 

 「何でしょう?」

 「いえ、先程から食堂の周りを延々とグルグル回っていましたので……それよりレイさんから目を離して大丈夫ですか?」

 

 ハッとした。担当業務を離れるまで、レイから目を離してはいけなかった。

 「ありがとうございます」と慌てて礼を言って戻ろうとしたその時、俄に食堂が騒がしくなる。

 

 「くっ……!」

 

 現場に駆けつけると、そこには内股でへたり込んだレイの姿があった。

 足音を踏み鳴らし、野次馬使用人達をかき分ける。

 近づき見下ろせば、床に付いて広がった給仕服のスカートの端からじんわり。シミが広がっていく様が伺えた。

 

 「っ〜〜……! カゾノ! ハルノミヤ!」

 「はい」「はっ、はい!」

 

 参上した二人に久々に告げる。

 

 「懲罰房へ連れて行きなさいっ!」

 

 

 

 服を剥かれ、密着装具だけになった可憐な少女は鎖に繋がれ、床に膝立ちになる形で吊るされた。

 相変わらずひんやりとした懲罰房の空気に曝され、その肢体は静かに震える。

 

 「はぁ……久しぶりですね」 

 「っーー……っーー……」

 

 何も答えない。時折ふっ、ふっと苦しげに息を吐き腹を凹ませる以外は、悩ましげに眉を顰め、身を捩り吐息を吐くばかり。

 キクチは手元に握り締めた鞭を振るい床を叩く。

 パァン! 乾いた音が木霊すると、愛くるしい色白の童顔は微かに強張り曇った。

 

 「ふっ、女々しい……変化の苦痛が相当答えましたか、すっかり女子ですね」

 

 真っ黒な視線が見下ろす。

 筋張っていたのも今や昔。細さはそのままに、より華奢に、より角が取れ柔軟になった肉体は、何処からどう見ても成長途中の女の物。

 

 「お似合いですよ、今の装具」

 

 それに合わせ、かつて股間に膨らみを作っていた装具もつるりとした女性型へと変わっている。

 デザインは前よりも美的に洗練されていて、一見しただけでは少しピッチリしていて小さめの、機構的模様が入っているだけのセクシーめなブラシャー、ショーツと見分けが付かない。

 が、二つの乳頭と陰核。女性的になった突起部分は桜色の丸い結晶によってありありとその場所を主張させられている上、鼠蹊部に縦筋一本、入ったスリットからはトロリと淫汁が垂れている。

 下着とはまるで別物。微かに聞こえる振動音と緩やかに浮き出たアブクラックスの断続的痙縮から、内部の陵辱は想像に難くなかった。

 

 「ドクターの許しは出ています。もう以前同様どころか、殺すつもりで折檻しても問題は無いと」

 

 怒りと憎しみの篭った鋭い眼差しに、愉悦の火が灯る。「どうですか? 名実共に私と、いや、私以下にまで堕ちた気分は」と、彼女は声を震わせた。

 が、またしても返事は無く、「はーー……はーー……」と吐息だけが返る。

 鞭は振り上げられ、少女の太腿の柔肉を打った。

 

 「っぐぅっ……!」

 「答えなさい、尋ねているのですよ? 私が」

 「はぁっ……っ、もうし、わけ……ありま、せんっ゛!」

 

 もう一度、柔肌を打つ鞭の音が木霊し、キクチの言葉に一層熱が入る。

 

 「謝罪は不要です、答えて下さい。ただの慰み者となった感想を!」

 

 連続する。スパァン! スパァン! 抜ける様な打音、「っぁ゛ああっ!」という痛ましい悲鳴。

 

 「もう何処からどう見ても娼婦! 肉奴隷! 金持ちに媚びを売り、魂を打った浅ましい売女!」

 「ふぐっ゛、あ゛ぁっ! あ゛ぁああっ!」

 「これからの人生、死ぬまで好き勝手に他者に弄ばれ、惨めに犯され、穢されていくであろうその気分はどうです⁉︎」

 

 阿鼻叫喚雨霰。最中、不意に少女はビクンと背筋を跳ね、問いの答えを口にした。

 

 「ぅあ゛ああぁっ! っ、きもひぃ゛っ、きもひいれすっ゛、っっ゛〜〜〜〜!」

 

 は?

 

 鞭打つ手が止まった。

 「今、なんと……?」と今一度訊けば、せがむ様な言葉が返る。

 

 「きもひっ……いいんれすっ……とめないで、くらしゃぃ゛っ……!」

 

 意味が分からず、キクチは固まった。

 確かに以前「痛みの方がマシ」と言っていた。しかし、それは確かに“痛い”のであって、決してその他の感覚では無かった筈。

 唯の強がりか、煽りだろう。そう解釈した彼女は無言で少女に迫り、その硬いヒールで脚を踏み付けた。

 

 「くあ゛あああああ゛ぁっ!」

 「今のが問いの答えですか?」

 「ぁあっ……はい゛っ、そう、れすっ……!」

 

 より一層踏み躙る。メリメリと音がした。

 甲高い絶叫が上がる。が、その語尾は何処か上擦っていて甘ったるく、判断が付かない。

 気に食わないキクチは、その右拳を握り少女の鳩尾を殴った。

 

 「っ゛……かはぁ゛っ!」

 

 瞳を白黒させ、彼女は嗚咽する。

 「これでも?」とキクチは尋ねた。

 対し紅の瞳は揺れ、恍惚に滲む。

 

 「っあ゛っ、ん゛っ、っ〜〜〜〜……!」

 

 しょおおおぉ…………。

 漏れた尿がしめやかに床を濡らした。

 

 「……汚い」

 

 鎖が緩められ、ガクンと少女の頭が下される。

 キクチは白銀の頭髪を掴んで、濡れた床場に顔が付く様押し付けた。

 そして掌から魔法の赤い雷を生成し、華奢な裸体に通電させる。

 

 「ん゛っお゛おおおおぉっおお゛おおおおおぉ!」

 

 少女は白目を剥いて絶叫した。

 その余りの激しさに殺害の危険を感じたカゾノが遂に声を上げる。

 

 「キクチ主任! やり過ぎです! 止めて下さい!」

 「どこがですか⁉︎ 善がってるじゃないかこのメスガキはッ!」

 「っそうは見えまっ……せ?」

 

 ビクビクと跳ねる、地に伏せられた肢体。その股倉、装具のスリットからぷしっ、ぷしゅっと液体が飛ぶ。

 壮絶な叫び声を上げ悶えるその様は死ぬ寸前の光景の様にも思えた。

 しかし、その場の彼女達は気付く。その絶叫の何処かに、甘く響く何かがあると。

 

 「ぺ、ペインライトニングを受けてるのに……」

 

 赤い雷として放たれるそれは直接痛覚に訴えかける強めの魔法だ。用途は拷問から対人殺傷まで。被術者は全身の神経が焼け剥がれるかの様な激痛に襲われ、強度、被術時間によってはショック死に至る。

 魔術師の肉体耐性に無関係の物理的作用を狙った魔法であり、どんな者だろうとゼロ距離では激痛による筋肉の過剰反応で骨が折れ身体がひしゃげる筈。

 だが、目の前の少女はそうなっていない。知っていたカゾノは、知識との差異からすぐ「もしかして、痛覚が……」と異常を察した。

 そして喫緊の問題はそこでは無いとハッとして言う。

 

 「いや、主任! 効果に関係無くその魔法は範疇を超えてます! ダメですよ!」

 

 そこで魔法は乱暴に解かれ、ゴッと少女の頭が床を打つ。

 手元の自由になったキクチの怒りの矛先はカゾノへ向く。

 

 「カゾノ! 貴方何故ミマタの好きにさせたの⁉︎」

 「ごっ、ごめんなさいっ! でも、私じゃあの人に逆らえなくてっ……」

 

 詰め寄ったその時、「はいは〜いストップ〜」と、話題の蛇女が二人の間に割って入った。

 

 「カゾノちゃんを責めないの〜。彼女はアナタと違ってキチンと仕事をこなしてたんだからぁ〜」

 「っ、ミマタァッ……!」

 

 双方視線をかち合せ、火花を散らし睨み合う。

 暫しの沈黙の後、口火を切ったのはキクチだった。

 

 「何故邪魔をするんですか⁉︎」

 「邪魔をしてるのはそっちだよぉ〜、一応ふざけた仕事だけど、国家事業なんだよぉ〜これぇ〜」

 「何を言う? 私はその国に仕事を任されて、主任としてここにいるんですよ?」

 「そりゃそうだけどさぁ〜」

 「分かっているなら下がりなさい! 決定権は私に」

 「君は、国が君に期待している事を理解してますか〜?」

 

 認識阻害のベールの奥、切長の眼差しが怪しく光り、がなる怒号は遮られた。

 ミマタはくつくつ笑いながら話す。

 

 「いや国が、というと現状は暈けるからやめるか〜。概ね取り仕切ってる伏魔財閥の名代、伏魔以蔵(ふくまいぞう)と名指ししておこ〜う」

 「っ! 何その名を平然とっ……!」

 「いやぁねぇ〜、まああの方もこの子に唯ならぬ怒りを向けていたからねぇ〜。利害の一致ってやつなんだろうけどさぁ〜、実質もう済んだ様なものでしょ〜? 復讐〜」

 「……何を以てそうお考えに?」

 「はは、だって〜、もう満足しちゃってますでしょ〜?」

 「してませんが?」

 「してるのよ、彼の方は〜」

 

 キクチはその一言で顔を強張らせる。

 言い返す言葉が出てこない中、「で、改めて訊くけど〜」とミマタ。

 

 「君は何を期待されて、ここに主任として連れて来られたのかなぁ〜?」

 「っ、それは、私が、適任だからっ」

 「うーんまあ間違ってないけどぉ〜そんなざっくりとした答えは求めてないなぁ〜。何故、適任だと思われたと思う〜?」

 「それはっ……私がっ……元令嬢でっ、事情を知っていて、このっ、このガキをっ、適切に扱えると!」

 「うん、まあ最後以外概ね正解! 偉いねぇ!」

 

 軽くておざなりな拍手が行われた。

 対面の黒くサラリとした前髪の下、額の青筋が怒張する。

 

 「おちょくってるんですか……?」

 「そうだけど、それはどうでも良くてぇ〜……答えを言っちゃうと〜、単純に君は伏魔が寄越した、あの子に対する嫌がらせ装置なんだよ〜」

 「…………っ」

 

 キクチの立場を、これ以上なく的確に表現した言葉だった。

 彼女自身理解していたが故、一度目を伏せた後フッと笑って開き直る。

 

 「だとして、何か問題が? 役割を全うしていますでしょう?」

 「う〜ん、出来てるつもりなのかぁ〜……優秀そうに見えて、やっぱお父上そっくりの残念な子だなぁ〜」

 

 刹那、キクチはミマタの胸ぐらを掴み、壁に追いやった。

 背中が打ちつけられドンッ! と大きな音が鳴る。

 

 「父さんの何を知っているって言うの⁉︎」

 「ったぁ〜、暴力反対〜」

 

 悠然と両手を上げ、細長い指がひらひら揺らされた。

 その場にいたカゾノが「キクチ主任!」と構え、警告する。

 

 「頭を冷やして下さいっ! これ以上は、上に報告しないといけなくなりますっ!」

 

 更には音も無く「あらあらどうしたの?」とハルノミヤが現れ、シスイ以外が勢揃い。

 

 「…………ッ、成る程」

 

 キクチは何かを察しつつ、不服そうに手を離した。

 そして息を整え、胡乱に微笑う蛇女に尋ねる。

 

 「私が用済みというのなら、何故解任通達が来ないのです?」

 「さぁ〜ねぇ〜? それはご自分でお考え下さいな〜」

 「……分かりました。そうさせて頂きます」

 

 キクチは靴音を鳴らし、大股で去っていった。

 靴音が離れて聴こえなくなると、ミマタは両手を打つ。

 

 「あっ、そっか私副主任か〜。カゾノちゃん、ハルノミヤさん、申し訳ないけど各々平時の使用人としての持ち場に戻ってくれる〜?」

 「分かりましたけど……」

 「レイちゃんの治療は⁉︎」

 「それはアタシがやっとくからさ〜」

 

 彼女の申し出により二人も退出。懲罰房にはミマタと、打ち捨てられたままの少女の二人だけが残った。

 細く長い脚がひたり、ひたり。虫の息の少女へと歩み寄り緑光を放つと、彼女の耳元で囁く。

 

 「これで思い通りになった〜、とか思ってるぅ〜?」

 

 びくんっ。少女は背筋を跳ねる。

 乱れた白銀の長髪に隠された、赤らんだ顔貌。涙と涎で濡れた口元は僅かに微笑んでいた。

 

 




鬼畜じゃないって事はだいぶはっきりしたよね
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