【完結】お家とおち○ちんお取り潰し 残されたのは好敵手と子孫を残す為の優秀な血統だけ? 生意気ぼっちゃまTS孕み嫁修行 作:あかん子を説法
10万字で漸くプロローグの時点に戻ってこれたというオチ
下手すりゃ倍になりそう
熱い肌に、身を裂くような冷たい風が直に吹き付ける。
真っ白な景色が高速で流れていく。後方遠くで鳴り響く、何かが爆ぜる様な轟音と、ヒュオオォと空を切る音が耳元で止まない。
いつの間にやら運び出されている。朦朧とするその意識は、直前乳房に走った、肌が引き剥がされるかの様な激痛を思い出しながら「ぁ゛っ……?」と薄目を開き、己を肩に担いだまま雪上を高速移動する人間を見た。
「──イちゃ────乱暴に──めんね」
女声は殆どが風の音に遮られ、僅かにしか彼の耳に届かない。が、頭巾の目元から覗く認識阻害の白いベールと、自身と大差無い体格を加味するに、その者はカゾノであると判別がついた。
どういう事なのか。彼は靄に囚われた思考を、緊急時の緊迫で必死に引き上げて考える。
助け、られた……?
誰が、どうして。自分が人に助けられる事なんて初めてだ。
いや……ちがう、か。
自分には利用価値がある。恐らく争奪戦だろう。
そう結論付けられたその時、突風とは明らかに異なる衝撃波が轟音を伴い襲い掛かった。
「きゃあっ!」「っぅあ゛っ!」
小さな二人は軽々と巻き上げられ、深雪の上にぼふんっと突っ込んだ。
黒装束は瞬時に起き上がるも、裸体の方は埋もれて姿が消え失せる。
「レイちゃんっ!」と声を上げ、その人物は雪の中を探すも、間も無く。紅蓮の炎が齎す煌々とした灯りが迫り、その方へ向き直る。
「あらあら、ダメですよカゾノさん。裸の子をこんな極寒の中に放り込んでは」
おっとりとした口調からは想像も付かない程激しい灼熱を纏ったふくよかな女人は、吹雪の中でも全く館の中と変わらない服装でふわり、足元の積雪を蒸発させながら舞い降りると、彼女らに歩み寄った。
「ハルノミヤさんっ……やっぱり、行かせてくれませんかっ……!」
「何処へ行こうというのですかー? 我々の任務は要請の通り、レイさんを所定の場所へ送り届ける事ですよー? 其方は真逆です」
両者睨み合うも、差は歴然。小さな黒装束はじりりじりりと後退させられ、布で隠した口元をまごつかせる。
「同郷同輩のよしみです。今ならまだ、いつもの早とちりという事で済ませてあげますよー?」
「ご冗談を……っ!」
業火によって周囲の雪が次々溶けていく中、埋もれていたかの白銀髪が露わになった。
それに逸早く気付いたカゾノは、懐から何かを取り出し即座に地面に叩き付ける。
ボンッ。着弾点から軽い爆発音がして、煙幕が広がった。
「あらぁ……」
(何とかして、これで逃げるっ……!)
煙の中、彼女は幻惑魔法の一種を行使。裸の少女を担いだ己の幻影を十体生み出すと、他に伏せる彼を拾い上げ一目散に駆け出そうとした。
が、その直後、熱風が吹き荒び、幻影は煙ごと全て吹き飛ばされてしまった。
「何をしているのですかー? こんな強風の中煙を上げても、直ぐに吹き飛ばされてしまいますよー?」
「っ、そんなぁ……」
カゾノが子犬の鳴く様な涙声で震える。万事休すか。
と、思われたその時だ。季節に逆らって熱された周囲の空気が一気に凍て付くかの様な、そんな戦慄がその場の一同に走る。
「────はぁ〜い、ご機嫌よぉ」
吹雪のカーテンの向こう、怪しく紫に光る双眸、揺れる細長いシルエット。
するりするり、雪の上を滑る様に歩き、使用人の皮を被った妖怪の如き蛇女が姿を現した。
「ミマタさん」と反応したハルノミヤは、一瞬身体を突っ込ませた後その穏やかな顔を顰める。
「……どういうつもりでしょう?」
「どぉ〜どぉ〜、落ち着いてぇハルちゃ〜ん。私敵じゃないよぉ〜、現状は」
「その呼び方、止めてとっ……!」
炎に包まれたその身が、何かに阻まれているかの様に動かない。稀にごうごうと炎熱が伸びるが、吹雪に流されてその形を保てず霧散する。
「落ち着いてってばぁ〜、止めるの大変なんだからぁ〜」
「っどの口がほざきますかー……?」
方やカゾノの方は微かに震えるのみで、動く事も話す事も儘ならない。その心中はどうして私もと狼狽え、彼女がどちらの味方なのか計りかねている。
ミマタは笑みを絶やさず、視線をハルノミヤから逸らさず。相変わらず悪ふざけじみた調子で「レイちゃ〜ん」と呼んだ。
「まだギリ動けるでしょぉ〜? 『立ちなさぁ〜い』」
雪解け水でぬかるんだ泥の中から、少女の裸体がフラフラと立ち上がった。
全身に刻み込まれた刻印が、薄暗い中赤々と輝く。熱源が近くにあるとはいえ吹雪の中。だが汚れの隙間から覗く紅潮した白肌は寒さによっては震えていない。寧ろ茹っているが如く濛々と蒸気を立ち上げている。
「ふーー……ふーー……」
意志の光が、付いたり消えたり。爛々と揺れる紅の瞳。
その様子を知ってか知らずか、一瞥もしていないのに蛇女の口元は「アハっ」と開き、手は懐から刃物を取り出して彼の方へ投げた。
金属音はカランと一度跳ねた後、ビチャっと水溜まりに着地する。
「ええっ⁉︎」
「どういうつもりって問いに答えて無かったなぁ〜。その答えはこぉ〜れっ。あの子に一度だけチャンスをあげようと思ってねぇ〜。『そのナイフを取ってぇ、後は自由だよぉ〜』」
「なっ、何を、言っているんですかぁー⁉︎」
「そのまんまだよぉ〜、主任の雑務押し付けられてぇ〜忙しくてあんまり構ってあげられなかったからさぁ〜」
「はいぃっ⁉︎」
ハルノミヤの立ち昇った怒りの炎を尻目に、泥だらけのか細い手脚は指示を遂行する。ひたり、ひたり、裸足の歩みを進め、落ちているナイフを手に取った。
その時、「だっ、だめっ……レイ、ちゃん……!」と、カゾノが沈黙を打ち破り、声を搾り出す。
「おっとぉ〜? カゾノちゃ〜ん?」
「あなたが死んじゃったらっ、っ゛……!」
しかし、何らかの力が強められ、再び口は塞がれた。
「アハハァ〜、子どもの成長はすごいねぇ〜」
「此方に集中っ……しなくて、よろしくて?」
「ギリギリだねぇ〜! 『自由だ』って言ったよぉレイちゃ〜ん、早く決めてぇ〜!」
均衡が不安定になり、ハルノミヤの炎が次第に大きくなる中、朦朧とする彼の意識は強いストレスと手段を得た事で俄かに知性の光を取り戻し、葛藤する。
手脚は動く。感覚が戻っている。とはいえ貧弱で、過去の幼いながらも鍛え上げられていた腕は見る影も無い。
自由と言っていた以上、恐らくサポートが無いのだろう。疼く股倉は少し力を入れるだけで擦れて、滑る内腿の刺激で足取りもおぼつかない。
泥が付いてひんやりする胸の先は、搾乳機で引き出されたせいか。陥没していた筈の乳首が顔を出して乳汁を湛え、今すぐ搾り上げ快感に浸れと誘惑して来る。
いつまで正気が保つのかも分からないし、此処からミマタの下に辿り着けるかどうかすらも怪しい。
叛逆の目は、存在しない。彼女らや、背景で蠢く陰謀を一蹴する手段はただ一つ。
このナイフを、首筋に一刺しすれば────
瞳を涙が伝う。この世を怨む言葉が、腹の底で滾って渦巻く。
いつも何かに追い立てられていた人生だった。楽しかった事など一つも。
「っ……っーー……」
腕が震える。何故だ、何故、こんなにも死にたくない。何故抗っている。
死を意識して浮かぶは、やはりかの憧憬。そして、そこから始まった、かつての拮抗した勝負の日々。
彼と競っている間だけは、背後を見ずに済んだ。彼と共に過ごしている間だけは、確実に景色に色が付いていた。
ふざけ、んなっ……。
彼は真に気付いた。チハヤ、彼との時間が、その心の内に唯一残る誇りであったと。
今ここで死ぬ事は、その誇りを穢す事に他ならなかった。先に彼との時間を穢した者達を始末せねば、死んでも死に切れない。
そして何より、やはり彼の知らぬ所で、彼が今どうしているのかも知らずに、恨み言の一つも言えずに死ぬのだけは、我慢ならなかった。
どっどっどっどっ。鼓動と共に煮え滾る怒りは腹の底から溢れ出て、熱と痛みを発して尚も止まらず。行動と共に、発露した。
「ふぅっ、ふっ……!」
彼は後ろ髪を掴んで、その根本に刃を当てた。
場が騒然とする中、ぎっ、ぎっ、ぎっ……ジョキンッ!
伸びた長髪が切り落とされ強風に舞う。直後、くの字に曲がった下腹部からドクンッ! と、赤桃色の光の波動が放出。
「なっ、切ってっ……まほうっ……⁉︎」
風に舞わず、その光は宙を漂い続ける。驚愕し瞳と炎を丸めたハルノミヤ。へたり込むカゾノ。ミマタは表情を変えず、視線を彼へと向けた。
張り詰めていた空気はその色と同じ、何処かとろんとした、それでいて熱を帯びた何かに上書きされ、一同の視線は皆彼の方へ集中する。
ごくり、誰かの息を呑む音が聴こえてきた。
彼は息を切らしながら、か細く掠れた声を絞り出す。
「ミマタっ……あいつにぃっ……チハヤに、あわせろっ……!」
「……引き換えに、何を?」
「はぁっ……? このじょぅきょぉっ、つくったのっ、おまえらろっ……!」
「そうだねぇ〜、だからなぁにぃ〜?」
「っ、じょうほぅっ、うってないってっ……」
「あ〜だって、『国に売ったか?』って訊かれたからねぇ〜」
徐々に細っていく声は、消え入るかに思われた。が、最後に「あぁもういいっ」と頭を振って、語尾を上擦らせ、震わせながらも力強く叫んだ。
「アイツの子ろもでも、なんでも産んれやるっ……! だからっ、だか、らっ……!」
体力の限界が訪れ、彼はフラフラと前方へ倒れ込んでいく。
カゾノはハッとして、颯の如く駆け、彼を抱き留めた。
妙な空気が徐に晴れて、続け様にハルノミヤの炎に勢いが戻り動き出す。
が、それはまたしても何か見えない力に阻まれたかの如く堰き止められた。
「っ、ミマタさーんっ……? どうして止めるんですかー?」
「う〜ん、めんごぉ〜。やっぱりこれから敵同士っぽいわぁ〜」
「はぁー……?」
「カゾノちゃ〜ん、レイちゃん抱えて逃げていいよぉ〜。アタシが足止めするからぁ〜」
「えっ⁉︎」
「えっじゃなぁ〜い早く逃げるぅ〜!」
「わっ、わかりましたっ⁉︎」
カゾノは再びぐったりとしたレイの身体を肩に担ぎ上げ走り出す。
揺れる雪景色、徐々に小さくなっていく炎の灯りを瞳に写し、彼は静かに瞼を閉じた。
当時の事件は内々に処理され、表向きには何一つ残らなかった。
しかし、無かった事にはならない。事態は国家管轄母胎零番、通称レイを巡る新たな力関係で膠着する。
当件で中心的立ち位置に着いたのは、元来の計画で長子が種子として選定されていた新進気鋭の名代、玄霧である。
当家は上層の計画変更の可能性を当初から想定し、六大名代の一角朱馬の手を借りて、某家主導で進んでいた場に息のかかった女衆を潜入させ準備していた。
結果として騒動の渦中、母胎の確保に成功。種子選定という主導権を握っていた彼らは、その正当性を認められ、当初の予定を前倒して事後的に計画進行の権を得る事となる。
が、一筋縄ではいかなかった。当件で板挟みにあった母胎は、計画変更の煽りを受け幾つかの問題が生じていたのだ。
「っ、なんて、酷いっ……!」
「この子があの、レイト君だというのか……?」
確保した際、その様を目撃した玄霧名代夫妻の言葉である。
当時のレイの肉体は大量の即興刻印により激しく損傷と再生を繰り返していた。
幼気な少女の、筆舌に尽くしがたい痛々しい肢体は、まともな親である夫妻にとってはショッキングに映ったのかもしれない。
「これを、チハヤに伝えろとっ……?」
「くろ……り、みょうら……っ……」
「待って貴方、この子何か言ってるわ!」
「……何だ」
「……じぶんが、つたえ……まっ、て……」
「っ……くっ……!」
少女の身元は、朱馬の後ろ盾の下、玄霧のとある医療施設で保護され、一年程の療養を余儀無くされた。
尚その後間も無く、国の上層で議論闘争が巻き起こる。
伏魔、蛟を筆頭にした派閥、後の世に言う戦兵派が、母胎零番の戦術兵器化を主張したのだ。
「残念ながら、母胎の想定魔力が唯一の種子候補の想定魔力を遥かに上回ってしまいそうなんですなぁ」
朱馬、玄霧を筆頭にした派閥、生誕派は「医療魔術の随意を集め、魔力調整によって可能とする」とこれに対抗したものの、“不確実な世継ぎ継承よりも兵器化し今代にて覇権を”という声は大きく、元来の路線は劣勢。
末に、国が保障出来る最大とされる三年の猶予が、当初計画に設けられてしまった。
療養期間を差し引けば二年。その間に母胎が一度でも孕まなければ、国は兵器化に踏み切る。
差し迫った危機を前に、少女当人は、限られた時間で最善を尽くそうとしていた────
「はーーっ……このっ、なんだよっ、頑なにっ、──にー、させてくれない癖にっ、『精液を摂取しなければ発情』ってぇっ……!」
「『会わせる』って約束の対価も兼ねた、ちょっとした手助けだよぉ〜」
「あれはもう清算しただろぉっ……それに、この下着ぃっ……!」
「いいでしょぉ〜? 似合ってるよぉ〜」
玄霧の館、消灯された二号館三階の廊下。
頭一つ以上大きなヒョロ長い女の影に見下ろされながら、鼻に掛かった艶声を奏で、赤ら顔で内股をもじもじ擦り合わせる、給仕服姿のレイ。
「っ……やっぱりお前じゃなくてカゾノか、シスイにっ……いやっ、しかしっ……」
「うだうだ悩んでないでぇ、『早く行きなよぉ〜』」
「クッ……絶対いつか、惨たらしく殺してやるっ……」
「うんうん、がんばってぇ〜」
かくして、その階の廊下の先の角部屋。かの御曹子の待つドアへ向け彼は歩いた。
傍目には、すれ違う者皆が目を奪われる様な愛らしき乙女。
その胸の内には、誰もが目を逸らしたくなる様な苦痛と怨嗟。
自身をこの様な姿にした者達に復讐を。
未だ何も知らずに過ごす元好敵手にも、ささやかな報復を。
────少年だった少女は再会を果たし、目的遂行を開始した。
月光の下、青い魔光は霧散して、重なり合った二つの吐息が解ける。
「げんきに、してたかーっ……? 敗者のボクを、忘れてさ」
愛らしく微かに掠れた女声が上から挑発的に吐かれて、温く湿っぽい空気を揺らす。
対して、低く凛々しい男声が下から突き上げる。
「っ、忘れてなどいないっ! ずっと気にかけていた! しかしっ……」
「ひひっ、目を背けてたんだろぉー……どーせ」
華奢で柔和な肢体が、仰向けに倒れている雄々しい胸板の上を這う。豊かな乳房の先から乳汁を漏らし、彼の寝巻きに甘く芳しい、淫靡な雌の香りを擦り付けていく。
双方の心拍は高鳴って、互いに脈打つ鼓動を感じ合う。肉を包む肌が、張り詰める、張り詰める。
「クッ、ずっる……ボクはこーんなチビなまま、柔らかくなっちまったのにっ……こんなデカくっ、筋肉質になりやがってぇっ」
「悪い冗談だっ……って待て何だよせっ!」
赤らんだ柔頬を歪める悪戯な笑みと共に、括れた細腰が俄かに浮いた。かと思えばしとどに淫蜜に濡れた秘裂が、反り勃った肉茎を押し倒す形であてがわれる。
すりすり、ぐりぐり。押し擦り付けられ、彼は「うっ……!」と表情を切なげに顰めた。
少女側も唯ならぬ様子で眉をハの字にして腰を震わすが、艶っぽい吐息を漏らしながらも、必死に堪え底意地悪さを崩さない。
「声もカッコよくなっちゃってさぁー……女にモテそうだなっ、うらやましっ」
「なんて不埒なっ……一体、何があったらそうなるっ……!」
「はーー……本当にカケラもっ、知らないのか……? ボクを女にしてっ、お前の子種で孕ませるって、国の計画ぅっ……」
「孕っ⁉︎ 本気か⁉︎」
「本気のマジだよっ……期間は二年っ、それまでに、孕まないとぉっ……ぁっ、やばっ、ぃっ゛……!」
厚ぼったく柔らかな割れ目から、またしても淫汁がプチュッと噴き出した。「ん゛っ、ぅ゛ぅ〜〜っ……!」と心底辛そうな苦悦を漏らし、女体はガクガクと痙攣して男体に身を預ける。
「なんて……こんなっ、浅ましいっ……!」
「くふぅっ……ふーーっ……お前程のヤツならっ、幾ら、ボクと玄霧現当主が隠してたとしても……ちゃーんと本気で調べてたら、すぐに気づけた筈……」
「父さんと……? 父さんは、知って……」
男声は俯いて勢いを失い、消え入っていく。
助けが来るとしたら、お前が関わっているものだと思っていたのに。そんな言葉を呟きかけた桃色の淡い唇はキュッと固く結ばれた後、再び挑発を紡ぐ。
「はっ、負い目でもっ、感じてるのかぁ……? っ、そんなタマじゃ、ないと思ってたんだけどなぁっ……」
とろんと濡れ滲んだ紅の瞳は、狂気に澱みつつも知性的に訴え、極限の当惑に揺らぐ蒼の瞳を射抜き、捉えて離さない。
聡明な御曹子の頭脳はもう十分に理解していた。それが真であると。しかしそれでも尚、ショックからか「嘘だ、そんなこと……」と逃避を続け、黒の短髪は横に振られる。
少女は痺れを切らした。
「まぁっ、別にいーよっ」
少しいじけた様にそう溢した後、何やら覚悟を決めるが如くふーっと一つ息を吐いた。
「ささっと、おわらせるからっ……壁のシミでもっ、数えてなよっ……!」
腰をズラし、擦っていた肉茎の先端へ秘裂を合わせる。「だっ、待てっ!」と制止し強張る彼を尻目に、少し浮かせて対象を立たせると、「はぁっ……!」と息を吐いて腰を下ろした。
「ゔわっ⁉︎」
ずるんっ。鬼頭は女陰の縦筋の上を滑って逸れた。
桃尻が落ちて、「くぅ〜〜っ」ともどかしげに震えた後、暫し呼吸を整えて、再度先の動作を行おうとする。
「んだよこれっ……訓練の時より全然、むずかしっ……じゃねえかっ……」
「何やってんだっ……! それはっ、ダメだろうっ……やめろっ、やめてくれっ……!」
普段は冷静沈着そのものな筈の男子の唇は徐々に青くなって、パクパクと取り留めなく開閉しては、狼狽えた言葉を紡ぐ。
「悪かったっ……悪かったからっ……!」
「ボクはっ、お前が悪いなんて言ってないしっ、思ってないっ……!」
ぐっ、ぐにゅっ。割れ目がとうとうその先端を捉えた。
「まっ、待て馬鹿早まるなっ、やめっ……!」
「うるさぃ゛っ、っ、あ゛ぁっ……!」
ずっ、ぬぷぅっ……挿入っていく。鬼頭は収まり、更に奥へ。
最早止まらない。腰が降りる。そう思われた。が、途中「ぁ゛っ、ぃ゛っ……!」と、少女は突っ掛かる様な抵抗と痛みに喘ぎ、身を強張らせ腰を浮かせた。
その隙に、窮地のチハヤの魔力が爆発する。
「やめろって言ってるだろぉがっ!」
「んぶっ!」
青の波動が、少女の肢体を弾き飛ばした。
蹴りと同等かそれ以上の衝撃を受け、軽い女体は後方へ吹っ飛んだ後、床に背中を打ちつける。
「んぃ゛っ! っ〜〜!」
部屋を満たしていた妖しい空気もまたその波動によって打ち消されていき、追いやられていた男体は自由を取り戻した。
彼は「はぁっ……はぁっ……!」と数度荒く息を吐いて、すっくと立ち上がり、床に転がったまま身体を丸めて悶える少女を一瞥。そして顔を顰め微かに後退りすると、踵を返し逃げる様に背を向けてドアへ向かう。
「────てっ……まってっ……!」
縋る様な声が聴こえたが振り払い、結局自室を去ってしまった。
悲しい色合いが濃くなりましたが、ここからどうやって巻き返すのでしょうか
※4/4追記
チハヤとレイトの名前が合体して感想にも残ってる通りハヤトなる人間が誕生してしまってましたのでここに訂正を申し上げます。違和感に気付くの遅過ぎてぐうくやしい。感想有難う御座います。