「エミリア先輩。あっちの空いている方に行きましょう」
そう言って私の手を引くのは後輩のアイリです。私と同様に北欧の血を引く彼女はコミュニティ内でも私に次ぐ美貌の持ち主であり、特別可愛がってきた子でもありました。表情の変化に乏しい彼女は同級生から人形の様で不気味だと言われイジメを受けていた過去があります。
私の支配する学校でイジメという品格を下げる行為をしていた子達は当然私の手で追放され、結果的に助けられる形になったアイリは私に懐いて行動を共にするようになりました。そんな彼女は私が最も信頼する取り巻きでもあります。だから学校の内外を問わずどこかに行く時には必ず彼女を付き添わせていました。
そしてそれは、この日も同様でした。
学校帰り、私はアイリを伴って電車に揺られていました。いつもなら他に5人程度の取り巻きを護衛代わりに連れているのですが、どういう訳か皆道中で用事を思い出したとかで私の側を離れています。5人がそれぞれ用事を忘れていた事も普通ではありませんが、それ以上にこの私を放置する事自体あり得ない話です。何故なら私の機嫌を損ねてしまえば学校に居場所がなくなるのですから。
だから、"夾竹桃"が裏で糸を引いている事は直ぐに理解しました。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、という奴ですね。取り巻きの子達はすでに"夾竹桃"に逆らえない状態にあったのでしょう。見事に無防備な状況に追い込まれた私は、手を引き数人の女性が立っているスペースへと私を誘導するアイリを見て少し残念な気持ちになります。
取り巻きの変化に気付かなかった私ですが、この状況でアイリだけは大丈夫だと考えるほど楽観的ではありません。まず間違いなく彼女も敵の手に落ちているのでしょう。恥ずかしい写真でも撮られて脅されているのでしょうが、その程度でアイリが私を裏切る選択をした事がショックでした。所詮、私が築き上げてきたモノなんてその程度なのだと思い知らされた気分です。
「ありがとう、アイリ。ここまで誘導してくれて」
私を数人の女性達の中へ連れて来たアイリにお礼を言います。無垢な笑顔を作り、優しい声色で、心から感謝する様に。何も知らずに肉食獣の檻の中に迷い込んだ憐れな小動物に見える様に。彼女の顔が歪み、罪悪感を抱いた事を確認した私はそれを可愛がって来た後輩への罰としました。「あの……その……っ」と後悔した様子でこちらへと手を伸ばすアイリ。その姿に気付かないフリをして彼女に背を向けた私は、ジッとその時を待ちました。
さて、実を言うと私は数日前から何者かに盗撮されている事には気付いていました。目立つ容姿をしている為、普段から許可なく写真を撮っていく人はそれなりにいますが、この相手は明らかに私をストーキングし、まるで獲物の下見をするかの様に私の姿を撮影していました。それだけで断定する事はできませんが、私はその人物が"夾竹桃"のメンバーだと半ば確信していました。可能性は低いでしょうが、もしかしたら彼女を捕えることで"夾竹桃"を潰す事も出来たかもしれません。
しかし、それをした場合また退屈な日常が戻って来てしまい、私はその選択を生涯後悔する事になる様な気がしました。だから自分が次のターゲットに選ばれたと知りながら何もせず相手の準備が整うのを待ったのです。私にアイリを批難する資格なんてありませんね。小さな声で「すみません……先輩」と謝罪の言葉を口にしたアイリがそっと私から距離を取る気配を感じながら、窓の外に目を向けます。
──その直後、制服のスカート越しにお尻を触られる感触がしました。遂にその時が来たのです。
手は私の臀部に触れては離れてを短い間隔で繰り返します。あたかも電車の揺れで接触しているかの様に装うテクニックは見事としか言う他なく、こちらに確信を抱かせないギリギリを維持していました。
一回一回の接触はほんの一瞬とはいえ何度も繰り返される事で私の意識はそこに集中し、触れられる手の感触を感じ取ってしまいます。普通の子なら痴漢されているかもしれないと不安を抱き、何らかのアクションを起こす頃でしょう。痴漢はその反応を見てより踏み込むかどうか判断する、といった感じでしょうか。
私は敢えて何の反応もせず、女性からの接触を受け入れる事にしました。すると更に数度の確認の後、彼女は手を私の臀部に滑らせました。しっかりと数秒間、お尻の形を確認するように動く彼女の手は最後にお尻の割れ目を撫でてから一度離れていきます。
そして今度は両手で触れてくると私のお尻を揉み始めました。感触を確かめる様に手を動かし、尻たぶを左右に引っ張って遊ぶ女性。その手の動きに遠慮はなく私を辱めるように臀部を弄びます。
「──先程から手が当たっていますよ」
流石にここまでされて何も言わないのはらしくないと判断した私は、肩越しに振り返って女性に声を掛けます。私に汚物を見る様な目を向けられた彼女は、そこでようやくお尻から手を離しました。
「あら、ごめんなさいね。気を付けるわ」
正面から見た痴漢の顔は意外に若く、まだ20代に見えます。OL風のスーツ姿の彼女は特に悪びれた様子もなく口だけの謝罪をしました。その堂々とした姿はとても痴漢をしていた人物には見えず、気の弱い女生徒なら自分が勘違いしたのかと思い萎縮してしまいかねないでしょう。やはり相当場慣れしている、というのが私の抱いた印象でした。
女性はそれからしばらく何もせずスマホを弄っていました。もしかしたら"夾竹桃"のメンバーとやり取りしているのかもしれません。私は今の状況もどこからか撮影されていると考え、巨大コミュニティのトップに相応しい落ち着いた表情を意識して作りました。そしてさり気なく周りを囲む3人の女性達を観察します。年齢もタイプもバラバラの彼女達は一見して無関係の乗客に見えますが、全員が私の方に意識を向けている事はなんとなく分かりました。
「…………っ」
スッ──と再び背後の女性が私の臀部を撫でます。方針が決まったという事でしょうか。先程の私の指摘なんて忘れたかの様に彼女は手を動かします。それを受けて私は小さく溜息を吐きました。私は痴漢を望んではいますが同時にそれを悟られたくないという思いもありました。だから、真っ当な女の子らしく抵抗し、痴漢に不信感を抱かせないようにしなくてはなりません。
私はそっと女性の手を払った後、今度は完全に彼女の方を振り返り、冷たい眼差しを向けました。
「──止めてもらえますか? 貴女の戯れに付き合うほど暇ではないのですが」
出来るだけ生意気に見える様に冷笑してみせます。性欲に突き動かされる女性を軽蔑し、低俗な存在だと見做す様に。そうする事で私が屈服させられた時、よりその無様さが強調される事になるでしょう。女性の方もそう考えたのかニヤリと好戦的な笑顔を浮かべました。
「貴女、エミリア・カールレラちゃんでしょ? 噂通り生意気な中学生ね」
「──私を知っているのですね。そういう貴女は"夾竹桃"の方でしょうか」
「正解よ♪ まあ、こんだけ貴女のお仲間を狙ってるんだから知ってるわよね」
あっさりと自分の正体を明かす女性。私が例の動画を確認している事は折り込み済みという事でしょう。警戒される中で痴漢に及ぶのはリスクが高そうに思えますが、何らかの対策をしているのか、それとも彼女は捨て駒に過ぎないのか。
「随分と余裕そうですが、状況を理解されてますか? 私が悲鳴を上げるだけで貴女は捕まる訳ですけど」
「ふふ♪ そうね。でもその前に見てもらいたい写真があるのよ」
そう言って女性は持っているスマホの画面を私に見せて来ました。そこには駅のトイレでしゃがんで用を足す私の姿が写っていました。予想していたので驚きはありません。やはり撮られていたか、という諦めの感情を抱くくらいです。写真には私の女性器とそこから排出される液体がしっかりと写っています。当然気分の良い物ではなく、僅かな羞恥が顔を熱くしました。
「──これで脅迫のつもりですか?」
「そうよぉ。動画の方も見てみる? エミリアちゃんのオマンコから勢いよくオシッコが飛び出す様子が映ってるのだけど」
こちらの羞恥心を煽るように女性は話します。人一倍外聞を気にする"
「──話になりませんね。どうせ最後には全てネットに晒すのでしょう? なら、ここで貴女を捕まえる事が最善に思えますけど」
──そう。これまで被害に遭ったメンバーは皆、最終的に痴漢される動画と一緒に排泄する動画もサイトに投稿されてしまっているのです。で、あるならば。普通に考えてここで抵抗した方が被害が小さく済む事は明白でした。もし私が本気で彼女達を撃退するつもりならとうの昔に大声を出している所です。
私を侮っているのか脇の甘さが目立つ"夾竹桃"の行動に私は内心で呆れる思いでした。果たして、この程度の人達に屈してしまって良いのか、と自問します。
しかし、その答えが出るより先に新たな女性が私の背後に移動して来ました。私と向かい合うOL風の女性より少し歳上に見える彼女は何処にでもいる主婦のような装いをしています。彼女は大胆に私の胸を揉みしだくと、耳元でクスクスと笑いました。
「ねぇ、エミリアちゃんに聞きたいんだけど。──どうして電車で通学しているの? お金持ちなんだから車で送迎して貰えばいいのに。──どうしてお友達が側を離れたのに今日電車に乗ったの? 私達に狙われてるって知ってたのに。──どうして盗撮されてるのに気付かないフリしたの? 警察を呼ぶチャンスは何度もあったのに。──どうしてまだ助けを呼ばないの? それって最初から私達を拒絶するつもりがないからでしょ?」
「────なっ」
「何で分かったのかって? エミリアちゃんみたいな子、何人も食べて来たからだよ♡ねぇ、面倒な茶番はやめにしましょ? 私達に身体を許す言い訳が必要なら、あそこにいるアイリちゃんを見逃してもらう為って事にすればいいから。──ね?」
女性は私の考えを正確に読み切っていました。"夾竹桃"の評価を落とし掛けていた所で齎されたその言葉に、私の心臓はバクバクと鼓動し始めます。胸に湧き上がったのは歓喜でした。自分が完全に上を行かれた事に対する喜び。この人になら屈服させられても良い、という思いです。
私は直ぐにでもその主婦風の女性に身体を開きたい欲求を抑え、彼女を睨み付けました。
「私が抵抗しなければアイリを見逃してくれるのですか?」
口にしたのはカメラを意識した建前の台詞。痴漢を望んでいる事を認めたくない私は、女性の言葉に否定も肯定もせず、ただ、屈する意志を示したのです。それに彼女は全て理解しているというように微笑みました。
「ええ、そうよ。エミリアちゃんが私達のオモチャになってくれるなら、アイリちゃんには何もしないわ」
そう言って私の下半身を撫でる彼女の手を、私は静かに受け入れました。
主婦風の女性とOL風の女性は前後から私の身体を撫で回します。周りを見ると別の女性がアイリの身体を捕まえ、もう1人の女性がバッグの中に隠したカメラで私の姿を撮影していました。私はあくまで不本意そうに冷めた顔をして女性達の手を受け入れています。
「あら、外国人だからおっぱいも大きいわね」
そう言って制服の上から私の胸を撫でるのはOL風の女性です。彼女の言うように同年代の子と比べるとひと回り大きい私の膨らみを先程から飽きもせずに触り続けています。彼女は円を描くようにして私の胸を愛撫し、時々乳首のある辺りを指で押しました。それで得られる快感は微々たる物でしたが、自分が性的に襲われていると自覚させられる事により、少し変な気分になってしまうのは抑えられませんでした。
「ふふ♡やっぱりお金持ちなのね。手触りの良い下着を履いてるわ♡」
主婦風の女性は背後から私の臀部を触り続けています。最初はスカートの上に手を這わせるだけでしたが、少しするとスカートの中に手を入れて下着越しにお尻を触ってきました。割れ目の上にある尾骨の辺りを指先で擦られ、そのくすぐったさに身体の力が抜けていくのを感じます。軽く触れるだけの愛撫は優しい快感を私に齎らしました。
不思議な事に尾骨を触られる事で尿意のような物を感じてしまい、離れた場所にある筈の秘所を弄られているような、そんな気持ちにさせられます。尾骨を焦らすようにじっくりと刺激され、お尻全体の感覚が敏感にされた頃、彼女はそっと下着の中に手を入れました。
「………………っ」
我ながらよく声を我慢出来たとなと思います。直接お尻の割れ目を撫でる彼女は、厭やらしい手付きで私の心を辱めました。この時、私は自分の大切な場所を侵されている事を再認識し、同時にその相手が同じ女性である事がとても恥ずかしく感じたのです。痴漢とはいえ同性と性的な行為を行なっているという倒錯的な気持ちが、私の心をざわつかせました。
彼女はそんな私の変化などお構い無しで、お尻の感触を楽しむように手を動かします。スカートの中で下着はズリ下がってしまい、私のお尻を半分以上曝け出しているのが分かりました。スカートを除ければ私の無様な姿を見る事ができたでしょう。女性は何度もお尻の肉を揉み、割れ目に指を食い込ませます。私は努めて無表情を維持していましたが、恐らくその瞳は不安気に揺れていたでしょう。その自覚がありました。
「エミリアちゃんは反応が薄くてつまらないわね」
「ねー。他の子はこれくらいしたら感じちゃって可愛い顔見せてくれたのに」
「──この退屈な行為にどう反応しろと言うのでしょうか」
女性達は身体を弄りながら私のリアクションの小ささに不満を溢します。それは暗に「もっと乱れろ」と指示したのかもしれません。しかし、私の中にあるプライドがそれを良しとせず、逆に不敵な笑みで彼女達を煽りました。
それが女性達の琴線に触れたのかもしれません。楽しそうに微笑んだ彼女達はいったん手を止めると、私を隅の方へ移動させました。そして、そこで壁に手を付かせると私のスカートを一切の遠慮なく捲り上げたのです。下半身の守りが一気に心細くなり、空気がお尻に当たる感覚がした瞬間、私の顔はこれまでにないくらい熱を持ちました。驚いて身体を起こそうとする私を押さえ付け、臀部を突き出す体勢を取らせた女性達は今度は逆に私の事を嘲笑します。
「あら可愛いお尻♡白くてスベスベでまるで赤ちゃんみたいね♡」
「カリスマJCもこうなったら威厳も何もないわね。電車の中でお尻丸出しにして、憐れだわ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
彼女達には下着の中から覗く私のお尻が見えているのでしょう。もしかしたら側にいるアイリや他の乗客にだって見られているかもしれません。妖精だ女王だと持て囃されて来た私にとって、この情けない姿を見られる事はどう考えても致命的でした。普段学校で不敵に微笑み他の生徒達を従える女が、脚を震えさせながらお尻を突き出し、ズレたパンツの上から生尻を晒す。なんて無様で滑稽な光景でしょうか。私はエミリア・カールレラという少女の幻像が壊れるのを感じました。
痴漢達はしばらく私の醜態を眺めた後、突き出した臀部を叩き始めました。ゆっくりとした動作で何度も何度も。痛みを与えるのが目的ではなく、ただ私に屈辱を感じさせようとしている事はその威力から理解出来ました。まるで子供を叱る時のように優しく振り抜かれる手は、ペチンと私のお尻を打ちます。その情けない音が響く度に私は屈辱と共に興奮を覚えてしまいました。
「若いって良いわね♡叩く度にプルンプルン揺れてるわ♡」
「白かったのが少し赤くなってきたわね。さすってあげましょうか」
OL風の女性がそう言ってお尻を撫で始めます。その優しい愛撫は敏感になった肌に浸透していき、私の身体をほぐしていきました。