今回はなしです。
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原作読んでても「誰だっけ?」ってなりそうなので、一応説明。
マシロさんは墓守・オールベルクの残党と組んでた女性です。
その集団と一緒に戦ったのがスザクです。
コウガは零の一番最初に出てきたサバティーニ一座のあの人です。
誰だかわかったら最終的な結末はわかると思いますが、この話としては一応ネタバレということで伏せておきます。
——『帝国』の支配が続いて千年。
しかし、中央の政治の腐敗により不正や賄賂が公然とまかり通り、重税に民は苦しんでいた。各地ではそれを良しとしない反乱分子が武力蜂起、帝国軍との戦いを繰り広げるようになった。
そして、世の混乱に乗じて罪なき人々から略奪を行う、不逞の輩も横行した。ここ、『ハクバ山』の山賊を束ねる頭目『スザク』もその一人であった……。
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ハクバ山は切り立った崖が多く、高低差も激しい、攻めるには難しい地である。山賊を討伐する為に義勇兵を募って組織されたこの即席の討伐隊では、攻略するのは困難だと思われた。
「帝国は何をやっているんだ! 苦しんでいる民の声も聞かず、ここの山賊どももほったらかし! いくら陳情しても帝国軍を動かそうとはせず、結局こうやって俺たち義勇兵が戦わなければならない!」
先頭を行く、腰に青龍刀を携えた若者が語気を荒げる。
「落ち着け、コウガ。戦闘前でピリピリしているのはわかるが、ここで愚痴っても仕方ないだろう」
「愚痴っているつもりはない。いや、そりゃあ帝国軍が多少は増援を出してくれても、ぐらいは思っている。だが、俺が気に食わないのは、民が苦しんでいるというのに、それを無視して『帝都』のお偉いさんたちは私腹を肥やし、贅沢三昧を……」
「そんなことはみんなわかっているさ。だが、何を言っても変わらない。反乱を起こしたって、このハクバ山の山賊みたいな無法者どもが暴れやすくなるだけだ。コウガ、お前だっていい年齢だ。それぐらいわかるだろう」
「——しかし!」
血気にはやる若者コウガは歯噛みする。つい先日も、知り合いの商隊が襲われた。あの時だって、近くに駐屯していた帝国軍が動けば助かったはずなのだ。何をしようとも、時は巻き戻せない。今更、帝国軍など当てにならないとわかっても、彼らを救うことは出来ないのだ。
——いや、今は考えまい。それよりも、そんな悲しみがこれ以上生まれないよう、ここの山賊どもを倒すことに専念しなければ……。
そうコウガが決心した時、偵察のために先行していた兵が戻ってきた。
「来るぞ! 山賊どもだ! 戦闘態勢を整えろ!」
「コウガ! お前は手練れだ。頭目のスザクの相手をしてくれ! 奴を倒せば連中は瓦解する!」
「承知!」
コウガは青龍刀をいつでも抜けるよう構え、勇ましく返事をした。目の前に迫る山賊の中に居るはずの、頭目スザクを一刻も早く探し出さねばならない。コウガは周囲に目を走らせた——
——こいつ、強い!
乱戦から少し離れ、コウガは周りの山賊どもとは風格の違う、逞しい男と剣を交えていた。山賊の親玉スザクは、隠れることもなく先陣を切ってきた。探す必要はなくなったが、この巨漢が勇猛であるのは間違いない。
「若造が!」
スザクの剣は鋭かった。巨大な剣を軽々と振るう。おそらくは我流だろうが、その剣には
コウガより体格の大きなスザクの剣は、一撃一撃が重い。刀身の重みで殴りつけるように斬る青龍刀同士で戦うには、コウガには圧倒的に不利な相手だった。
——流石、
またも正義感が仇となり、戦闘中にも関わらずそんなことが頭をよぎる。その隙を、熟練のスザクが見落とすはずもない。
「もらったあああ!」
「しまった!」
大きく振りかぶった渾身の一撃を、避けることは出来ないとコウガは確信した。しかし、死を覚悟したその瞬間——
ギィィィン!
甲高い金属音と共に、コウガの目の前で、今まさに振り下ろされようとしていたスザクの刀が割れて砕けた。
「ピンポイントに刀身を狙って撃っただと⁉︎」
怒りと驚きで、スザクが叫ぶ。確かに、コウガと交戦中のスザクの刀を正確に銃で狙撃するなど、そんな神業は常識では考えられない。
——『帝具』持ちじゃあるまいし、こんなことが出来るなんて、誰が——⁉︎
「コウガ! 油断するな!」
「邪魔が入った! 全員撤退しろ!」
「頭ぁ! 無事ですか⁉︎」
その場に複数の声が入りまじり、混乱が生じる。コウガは、自分の名を呼んだ女の声に聞き覚えがあるのに気付いた。
「まさか——。くっ! てぁぁあっ!」
「ぐああっ!」
後退したスザクの代わりに襲ってきた手下の剣を払い、逆に一撃で絶命させる。コウガの剣も、その辺の下っ端がかなうレベルではない。そのコウガのすぐ横を、疾風のように誰かが走り抜ける。
「マシロ——⁉︎」
コウガがその名を口にした瞬間、周囲にいた山賊数人が、正確に頭を撃ち抜かれて死んだ。一瞬のことだった。その見事な早撃ちを誇る様子もなく、女は懐から小型の爆弾のように見えるものを取り出し、地面に叩きつけた。
「煙幕か⁉︎」
「落ち着け! 同士討ちになるぞ!」
まだ残っていた山賊たちが、視界を奪われながらもお互いに声をかけあう。しかし、スザクは既に撤退し、指揮系統がバラバラになっているのは明白だった。そして、その場に彼女の声が響いた。
「討伐隊、深追いはするな! 一度撤退しろ! しんがりは私が務める!」
「だっ、誰だ、あんた! どこの軍の——」
「私はマシロだ! 反乱軍の『スーパーエージェント』、マシロが助太刀に来た!」
「あっ、あんたがあの……!」
——やはり、マシロか!
生き残った討伐隊と共に撤退の準備を始めながら、コウガは彼女の姿を見た。
肩までかかる髪、引き締まった身体、高めの身長。動きやすそうな戦闘服に、隙のない動き。反乱軍で『スーパーエージェント』という異名で呼ばれる歴戦の女戦士、マシロ。
「コウガ! 後でな!」
こちらに向かって、ニッと笑う。その笑顔を忘れるはずがない。その女性は間違いなく、コウガの恋人であるマシロその人だった。
次回はエロ回です。
恋人同士だからね。大人だしね。するよね。
そんなわけでコウガとマシロがラブラブエッチします。
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【追加設定】
・コウガをハクバの街の義勇兵としてあります。
・本編以前にもハクバ山攻略作戦があり、それにコウガとマシロが参加していたという設定です。
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