第三話・第四話で終わりです。
——討伐隊によるハクバ山攻略から、数日が経っていた。
机の上には、いくつも印をつけた地図が広げられている。それを囲むようにして、コウガやマシロ、討伐隊の数人が会議をしていた。
「……ではマシロさんの作戦をもとに、無事だった者だけで再度ハクバ山に攻撃を仕掛けるということでよろしいですか?」
「負傷者はどれくらい居る?
「隊長本人は指揮を取るだけなら出来ると言ってますが、あの傷では……」
「やはり無理はさせられんか……」
腕組みをして、そのコウガ達のやり取りを聞いていたマシロが口を開いた。
「コウガ、お前が指揮を取れ。負傷者が動けるようになるのを待つ暇はない。向こうが体制を立て直す前に、こちらから仕掛ける必要がある。私は自分が動く必要があるし……」
「確かに、コウガさんが指揮を取るなら隊長も納得しそうですね」
「そうだな。マシロが遊撃に回ってくれるなら、難しい作戦ではないし……どうした!」
まとまりかけた会議を中断させ、部屋に入ってきた義勇兵は、かなり慌てた様子だった。
「ハクバ山の山賊どもが、街へ向かって攻めてきます!」
「何だと⁉︎ バカな! 向こうの被害はかなり大きいはずだぞ! こっちにも負傷者がいるとはいえ、何で向こうから仕掛けてくる必要がある!」
「落ち着け、コウガ! その情報は確かなんだな?」
怒鳴るコウガを、マシロが制した。そして、若い兵から細かい情報を聞く。
「……うん、うん。なるほど、わかった。コウガ、作戦は今のを参考にして人員を割り振ってくれ。私は偵察に行ってくる」
「偵察? ならすぐに何人か……」
「時間が惜しい。一人で行ってくる」
「一人でか⁉︎ 無茶だ!」
「そうです、マシロさん!」
コウガと共に、部屋の中の全員がマシロを止めようとする。しかしマシロは自信ありげに笑った。
「ふっ……。
「……わかった。頼んだぞ、マシロ」
「任せろ!」
返事をするや否や、マシロは部屋を出て駆け出して行った——
マシロの行動は素早かった。敵の数、布陣、周囲の地形など、十分に情報を集めて帰還し、それをもとに討伐隊はすぐに迎撃の陣を引くことが出来た。
既に戦闘は始まっている。その中で義勇兵たちを率いて戦うコウガは、何か違和感のようなものを戦場に感じていた。
——やはり、敵の数が少ない。前回の戦闘の被害から立ち直っていないんだ。その割に士気は妙に高い……。一体何を企んでいる? 捕虜を解放しろとか言っていたらしいが……。
解放したとして、捕虜が即戦力となるわけでもあるまい。前回は完全に拠点まで攻め込んだわけではない。あそこにこもっていれば、こちらも攻略は容易ではなかったはず。とすれば……。コウガは戦場を
一方マシロは、単独で一目散に戦場を駆け抜けていた。周りにいる山賊を全て無視しているとはいえ、その走るスピードは恐ろしく速く、誰も攻撃出来る者はいない。居ても、せいぜい矢がマシロの遥か後ろの地面に突き刺さる程度だ。
「あの女を止めろ! 狙いはおそらく
——その通り。
マシロはニヤッと笑った。狙いが何であるにしろ、これだけリスクの高い——というより、無謀としか思えない攻撃を仕掛けてくる以上、トップにある程度のカリスマ性は必要だ。部下に、命を預けてもいい、と思わせるだけの何かがなければいけない。山賊の頭とはいえ、スザクは十分にその条件を満たしているように思えた。ということは——
——つまり、頭目のスザクさえ叩けば終わる!
マシロの出した結論は以上だった。——もし何か考えがあるとすれば……
その推測を裏付けるかのように、馬に乗ったスザクがマシロの前に立ちはだかった。
「スザク!」
「考えることは同じだったようだな。来ると思っていたぞ、反乱軍の女! お前を潰せば、この戦闘は勝つ!」
「私を倒せば、か? 買いかぶられたものだが、
馬を降りて青龍刀を構えたスザクとマシロの周囲に、一気に気が膨れ上がる。
「てぇぇぇい! マシロ! どこだ!」
山賊を斬り伏せながら、コウガは声を張り上げる。既にこちらの戦場の
コウガは、激しい斬撃を繰り出すスザクと、それを凄まじいスピードでかわし続けるマシロを発見した。
「マシロ!」
後退の指示を出そうと、コウガが叫ぶ。マシロは自分からは攻撃が出来ず、受けに回っているように見える。これ以上危険を犯す必要はない。
「下がれ、若造!」
「コウガ! 来るな!」
二人が同時にコウガを制止する。
「——分かった!」
コウガは大人しく従った。コウガの実力では、この二人の激しい戦闘に割って入ることは出来ない。むしろ、マシロの足を引っ張ることになる。女のマシロが戦っているのを見ながら、自分は何も出来ない、その事実に悔しくて震える。しかし、自分の実力を客観的に判断し、感情を制し引くべき時は引く。それが出来るコウガはやはり一流の戦士であった。
重い剣を振り回し、スザクが叫ぶ。
「女ぁ! 何故銃を使わない! 舐めているのか!」
「こちらだって必死にやらせてもらって——いる!」
マシロの言う通り、あれだけの接近戦では得意の早撃ちも難しいだろう。マシロは銃を構えることも出来ず、スザクの剣を避けるだけで精一杯のように見える。
——とはいえ、あの超スピードをもってすれば後ろに跳んで間合いを取れるはず。『帝具』の所有者にも劣らないであろう、マシロの神速の早撃ちならば、そこからスザクを一撃で討ち取るのも可能か……
コウガがそこまで考えた瞬間、マシロが後ろではなく、
「何⁉︎ ぐ、あああっ⁉︎」
一瞬の内にマシロはスザクの背後に回り、両腕で首を
「落とす!」
「か……はっ!」
首を絞められ、一瞬にしてスザクは落ちた。マシロは余裕で腕から力を抜き、気絶したスザクの身体を離してコウガを見る。銃を抜くことなく手練れのスザクを倒してしまったマシロに、コウガは驚くことしか出来ない。
「言っただろう?
「なるほど……な」
不敵に笑うマシロに、コウガが応えた。
こうして、戦闘は終わりを告げた……。
次回第四話で終了です。
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カッコいいマシロさんが書きたかった。
どうだったでしょう。
この作品を読んで、全体に対してのエロシーンの長さはどうでしたか?
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