※この作品はR-18です。

堕落した女プリースト 神をも裏切る執着快楽責め   作:猪熊夜離

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Skeb依頼より。
https://skeb.jp/@inokuma_yoga/works/75

原作:アンホリ☆プロダクション(UnHolY SaNctuaRy)
キャラ:マリアンネ


前編

 彼女と擦れ違った男は思わず振り返らずにはいられなかった。

 

 女性にしてはやや高めの身長に凹凸の激しい肉感的なボディ。どこにいても目立つピンクのロングヘアーの下には、大きな母性と神の慈愛を感じさせる美しい顔。年齢は二十代前半といったところ。

 

 首から下に視線を巡らせて男たちは納得する。彼女が着ているのは教会の聖職者が身に着けるユニフォーム。女プリーストの正装とも呼べるロング丈のワンピースだ。ただし、とある目的のため飛んだり走ったり、大きなアクションが必要になる彼女のユニフォームはサイドスリットが普通よりも深い。腰まで切れ込みが入った服から白く美味しそうな太ももや、俗に安産型と呼ばれるボリューミーなヒップがこぼれ出していた。

 

 聖職者然とした上品な顔立ちの女が男に使われるためのスケベボディを揺らして歩いているだけでも男ならば第三の足が生えてくるところ、裾をめくり上げればすぐにでも性交可能な格好でうろつかれては辛抱堪らん。しかも、いま彼女がいるのは余所からの客など滅多に来ない山奥の村である。

 

 久しぶりに訪れた客が都会からの美女というのでは男たちに我慢しろと言っても無理なこと。

 

 彼女が村の大通り――といっても大人が横に五人も並べば一杯になる――とき、下半身をパンパンにした三人組の男が声をかけた。

 

「なあ姉ちゃん! こんな辺鄙なとこに一人で何してんの? 俺たちと遊ぼうぜ」

 

 彼らはナンパする相手を間違えたことに気づかない。 それもそのはず。彼らの常識からすれば、目の前の美女は自分たちに力尽くで組み伏せられ、神の意志に従うよりもっと手っ取り早く、気持ち良く、天国に連れて行ってもらう機会を待っている哀れな雌でしかない。

 

 だがこの女――カテリーナ・マリアンネ・エレールマイヤーの正体は、王国教会総大司教直属組織『摂理の司』に所属する、特別なプリースト。聖なる力で身を守り魔物と戦うのが彼女の務めだ。そのため戦闘力は一般人以上であり、並大抵の男であれば束になっても相手にすらならない。

 

「俺たちが親切で誘ってるんだ。なんか言ったらどうなんだ」

 

 だから田舎の三下どもが凄んだところで、彼女の眉ひとつ動かすことはできないのだ。

 

 男の一人が馴れ馴れしく肩に手を伸ばすと、マリアンネは相手に柔らかく笑いかけた。

 

「私、あなたたちのような方を探していました」

 

 虚を突かれた一言に男たちは一瞬だけ固まる。この女プリースト、聖職者のくせに実は好き者なのか? どうりで男に媚びたドスケベ衣装のはずだと都合が良い方向へ納得する。

 

「おーそうかそうか。なら俺らと楽しいことしようぜ。たっぷり可愛がってやるよ」

 

「それはとても魅力的な提案ですけれど……」

 

 マリアンネは肩に置かれた男の手に自分の手を添えると、軽く捻り上げた。途端に彼は悲鳴を上げて地面に倒れ込む。

 

「ぐわあああっ! て、手が折れ……折れてるぞ!」

 

 仲間の男が叫んだとおり、地面に倒れた男の手首は不自然にぶらーんとしている。激痛が走っているらしく手首を反対の手で抑える彼の顔には、大粒の脂汗が急速に浮かんできた。文字どおり顔色を変え激痛を訴える仲間の様子に、他の二人がようやく事の重大さを認識した。

 

「てめぇ何しやがる! ただじゃおかねえぞ!」

 

「はい。残念ながら私も、あなたたちを見過ごすわけには参りません」

 

 彼女は右手を水平に振り切った。いつの間にか握られていたチェインが近くにいた男たちの顔を横薙ぎに払う。

 

 ガツッ! ゴキッ! という骨を打つ音が連続し、彼らの身体が面白いように宙を舞う。周りで見ていた男たちは、まるでボールのように吹き飛んだ仲間の姿に唖然とした。しかし、彼らが驚きに固まっていたのは束の間のこと。我を取り戻すと口々に怒声を発し始めた。

 

「こ、このクソアマがあああっ!」

 

 腰の短剣を引き抜いた男が一直線に飛びかかる。怒りのせいか動きは単調だった。正規の訓練を受けた経験がないことは一目瞭然。マリアンネは冷静に見極め、ひらりと身をかわす。

 

 目標を失った男は足をもつれさせて地面に転倒した。起き上がろうと足掻く彼にマリアンネは追撃をかける。地面から飛び上がり、垂直に急降下すると男の背を思い切り踏みつけた。さらに地面に押し付けるようにグリグリ踏みにじると男は悶絶の声を上げる。

 

 彼女は更に力を込め、相手の肋骨を踏み折った。男の顔色が変わり、口から絶叫が上がる。それを無視してマリアンネはさらに足に力を込めた。骨の砕ける感触とともに、肉が裂けるような音が続く。絶命寸前といったところだろう。

 

 なおも彼女の容赦ない攻撃は続く。背中に乗っていた足を外すと同時に再びチェインを振った。側頭部に金属の一撃をくらった男は絶命する。

 

「よくも仲間を!」

 

「教会の聖職者がそんなことしていいのか!」

 

「教会の人間だからこそ、です」

 

 男たちの怒声の中からひとつをマリアンネは耳聡く聞き咎める。それこそ彼女がこの村を訪れた理由だった。

 

「あなた方は既に亡くなっています。この村は数十年も前に近くの火山から流れてきた有毒ガスにより村人が全滅した廃村なのです」

 

 マリアンネは男たちの注意を引くため、敢えてチェインを振り回しながら叫ぶ。

 

「あなたたちは死んでいながら、肉体への未練に囚われて成仏できないでいました。そこに付け入った魔物が、あなたたちをグールとして甦らせたのです」

 

「何を馬鹿なことを」

 

「信じたくなければそれでも構いません。ただ、私は魔物に操られたまま魂の救済が得られない人を放っておくことはできません。そのために私は教会の命を受け討伐にやってきたのです」

 

「黙れ! 適当なことを言うんじゃねぇ! 魔物なんかいるかよ」

 

「いるんです。あなた方は魔物の力で甦ったため自分や仲間の姿を正しく認識できなくなっているのです。本当はもう……あなた方には、骨が折れて痛みを感じる神経など残ってないんですよ」

 

 マリアンネが腕を振るう。風を切ってチェインが唸った。

 

「そ、そうだ。俺たちは死んじまったんだ! 俺たちは化け物になっちまったのか?」

 

「そうですね。ですから私が解放して差し上げます。あなたたちの罪を許しましょう」

 

「嫌だ。せっかく生き返ったんだ。化け物でも死にたくねえよ」

 

「大丈夫。すぐに終わります。私に身を委ねてください」

 

 彼女は優しく語りかけると、男たちに一歩近づいた。

 

 そして、神の代行者として彼らに永遠の安息を与えた。

 

 

 

     ※

 

 

 

「以上が今回の顛末です」

 

「ご苦労でしたマリアンネ」

 

 アンデッドの男たちを退治した後、教会本部の大聖堂にマリアンネの報告が届いた。

 

 報告を聞いたのはこの教会の大司教である女性。マリアンネは彼女直属の部下ということになる。

 

 デスクの前で膝をついて頭を下げる彼女に総大司教は労いの言葉を掛けた。

 

 顔を上げたマリアンネを見て、ふっと総大司教は表情を崩す。この顔を見るのがマリアンネは好きだった。無言の内に逞しくなったなと褒められている気がする。

 

「あなたの働きのおかげで、村人の魂を救うことができました。これは教会にとって喜ばしいことです」

 

「はい」

 

「今後も期待していますよ。マリアンネ」

 

「ありがとうございます。総大司教様の御心のままに、お仕え致します」

 

 マリアンネは深く頭を垂れた。彼女の使命は王国と教会の秩序を守ることだ。この国を魔物の脅威から守るためには、今後も努力を惜しまないつもりだった。

 

 総大司教は穏やかな笑みを維持したまま、ゆっくりとした口調で話し始めた。

 

「さっそくのことで申し訳ありませんが、また姉妹には調査に赴いてもらいたいのです」

 

「私でできることでしたら何なりと。この身は神に捧げてますゆえ」

 

「そう言っていただけると思っていました。皆がマリアンネのように敬虔な信徒であればと思うと……嘆かわしい限り」

 

「総大司教様。そのようなお言葉は恐れ多いことです」

 

「良いのですよ。あなたのような素晴らしい部下に恵まれて、私は幸せ者だと思っているくらいですから」

 

「勿体無い御言葉で……」

 

 頬を赤く染めるマリアンネを微笑ましく見守りつつ、総大司教は続けた。

 

 今回、調査対象になっているのは近隣国の国王だった。コンスタンティンという王は先王が急逝したため若くして即位。年齢はマリアンネと然程離れてないそうだ。即位式典を見物した人間の噂によれば大層な美丈夫で、その場にいた女は誰も彼もが見惚れていたとか。

 

 顔が良いだけでなく剣術と乗馬が趣味というだけあって体は程よく鍛えられ健康的。今度の王様は百歳まで長生きしそうだと市井の言の葉に乗っている。

 

 ただし、若くて健康を持て余した男だから仕方ないのか、女癖の悪さも多く聞こえてくる。曰く王太子宮のメイドは彼が成人を迎える十五歳までに全員お手つきになったとか、女五人を同時に寝室へ連れ込み翌朝メイドが起こしに行くとベッドの上で死に体になっていたのは女たちのほうで、そのままコンスタンティンはメイドにも手を付けたとか。

 

 とにかく、噂を総合するとコンスタンティンという王は若くてイケメンで文武両道に優れた秀才だが、英雄色を好む性格で有り余る体力を女たちに注ぎ込む精力絶倫な人物らしい。

 

 女の敵であると同時に欲望や堕落に抗うことを教える教会の敵でもあった。

 

「単なる放蕩者の王かと思いましたが最近にわかに良くない話を聞きました。彼が魔物と取り引きして怪しい薬を手に入れているというのです」

 

「それは事実ですか」

 

「王宮で働く侍従からの内部告発がありました。この秘密を知ってしまった以上、隠しておくことは主を欺くことになるため良心の呵責に耐えられないと」

 

「その中身は、どのような?」

 

「残念ながら詳しいことは不明です。しかし、内部告発した侍従の話によれば、薬は男女の睦みごとに関係ある可能性が高いでしょう。つまりは性行為に関する効能のある薬物だと」

 

 マリアンネは唾を飲み込んだ。聖職者としては耳を塞ぎたくなるような内容だった。しかし、魔物が絡んできているとなっては聞かぬ訳にいかない。

 

 性行為に関する薬とはどのようなものだろうか。まさか噂に聞くコンスタンティン王の性欲絶倫ぶりは、魔物と契約して手に入れた薬によるものなのなのか? マリアンネには理解できない。人外の存在と取り引きしてまで飽きることなくしたいものなのだろうか、性行為とは。

 

 教会のプリーストであるマリアンネは処女だ。この道に進むと決めたときから自分の肉体も魂も神のためにあると思っている。そのため彼女は今まで一度も男を知らないし、誰かと関係を持ちたいとも思わなかった。男に抱かれたいと感じる欲の存在さえ知らないと言って良い。

 

「それで総大司教様。私に何をしろとおっしゃるのです?」

 

「まずは情報が必要です。相手は一国の王。内部告発があったとはいえ確証もなしに敵対する訳にはいきません。国王コンスタンティンの調査を行い、薬物の存在を確かめてください」

 

 マリアンネは無言で首肯した。

 

「潜入調査のため姉妹には偽りの身分を用意しました。あなたは今から欠員が出た王宮にメイドとして入ります。王宮のメイドは応募の段階で相応の家格や身の証しを求められることもありますが、なんと今回は年齢二十五歳以下で若く健康な見目の良い女なら誰でも良いとのこと。下半身に獣を飼っているという噂は本当のようですね」

 

 総大司教は最後のほうを呆れと侮蔑混じりに言った。生涯を神の教えに捧げてきた彼女からすると、コンスタンティン王は欲に塗れた俗物の象徴のように見えていることだろう。

 

「国王の周辺を調査し、彼の評判や人間関係、薬物に関する情報を集めなさい。それと、可能ならば彼と接触する機会を設けて欲しいのです」

 

「分かりました。謹んで拝命致します」

 

「よろしくお願いしますね」

 

 マリアンネは大司教に一礼してから退室する。

 

 王国教会最深部の廊下を歩きながら美しき女プリーストは考える。自らに与えられた新しい任務。なぜ自分が選ばれたか。おそらくは適任だったからだ。

 

 若くて見た目が良くて健康な女。かつ好色な王に襲われても自力で対処できるだけの法術の使い手。

 

 マリアンネは自身の肉欲には鈍感だが、己の肉体が男の肉欲を刺激する自覚はあった。幼いころから教会外に出るたび好色な視線を向けられてきたのだ。自覚しないほうが難しい。

 

 それだけなら私の他にも適任者がいるけど、と彼女が考えたとき、丁度その適任者候補がやって来た。

 

「お姉さま!」

 

 マリアンネにも引けを取らないグラマラスなボディの持ち主――ベロニカ・コンスタンツェ・へラーだった。

 

 コンスタンツェも『摂理の司』に所属するプリーストの一人だ。ピンクの神を腰の辺りまで伸ばしているマリアンネに対し、銀髪を肩に触れるくらいの長さで切っている。

 

 年齢はまだ十九と若いが、さる高僧の血縁者という優秀な血統に違わぬ法力の持ち主で、通常のステップを何段も飛ばして大司教直属の身分となった。マリアンネとは同じ修道院の出身で幼馴染みでもあり親友でもある。コンスタンツェのほうはそれに収まらない秘めやかな感情を抱いているようだが。

 

「あらコンスタンツェじゃない」

 

「お久しぶりです。最近は忙しくてお姉さまと会える時間が減って悲しいです」

 

「可愛いことを言ってくれるわね」

 

 昔から甘えん坊の妹のようなところがあるコンスタンツェのことを、マリアンネは内心可愛いと思っていた。大人になれば『姉離れ』するかと思ったが、むしろ彼女の妹属性は年々増加傾向にあった。それもこれも幼い頃から一緒に過ごしてきたせいで、お互いの間に築かれた親密すぎる距離感が原因だろう。二人は実の兄弟姉妹よりも互いのことをよく理解していた。

 

「それでどうしたのかしら? もしかして、私を心配して様子を見に来てくれたの?」

 

「もちろんです! お忙しいお姉さまのことですからきっと無理をなさっているんじゃないかと。お会いできて本当に嬉しいです」

 

 十代も終わりだというのに少し落ち着きがないコンスタンツェ。今も表情を目まぐるしく変え、全身から喜色を発散させている。そんな彼女を愛おしく思いつつも、マリアンネは本題に入った。

 

「ところでさっき総大司教様と会っていたのだけど、あなたも聞いた?」

 

「あの話ですよね」

 

 マリアンネが王の毒牙にかからないか心配してコンスタンツェは顔を歪める。何せ相手は教会の最深部まで噂が届くヤリチン王。麗しのマリアンネお姉さまの貞操が危ないと心配するのも無理はない。王族の手慰み程度に囓った程度の剣術でマリアンネを手籠めにできるはずはないと思いつつ、万が一を考えると気が気でないのだろう。

 

 コンスタンツェの気持ちを察して、マリアンネはいつも通りに微笑んだ。

 

「心配しないで。あなたが思うような危険な目には遭わないわ」

 

「本当ですか?」

 

 不安げに尋ねるコンスタンツェの髪を撫でながら、マリアンネは優しく言った。

 

「でも、そうね。もしもの時があったらあなたに助けてもらおうかな」

 

「私なんかでよろしければ喜んでお助けします。何でも言ってください」

 

 姉と慕うマリアンネに頼られた喜びから、コンスタンツェの声音は明るいものになった。

 

 そんな愛らしい妹分の頬をマリアンネは指で突っついた。柔らかな肌だった。

 

「もしもの時があればお願いね」

 

 

 

     ※

 

 

 

 お城での生活にマリアンネは素速く順応した。掃除や洗濯といった日常の家事は修道院生活で慣れたもの。それらをテキパキとこなし無駄口は叩かない、だからといって無愛想でもない普通の女を演じる。王宮では多くの者が忙しなく動き回っており、いちいち他人を気にしている余裕がないことも好都合だった。

 

 ここに来てみてコンスタンツェではなく自分が任務に選ばれた理由が分かる気がした。彼女は少し落ち着きがない。王宮の使用人としては少し悪目立ちしてしまうかもしれない。それに独断専行で教会の指示を待たず物事を解決してしまおうとする癖があった。

 

 若く才能豊かなコンスタンツェは通常の見習い期間を経ずに『摂理の司』入りした。そのためリスクを慎重に見極める経験や、物事が予定どおりに進まなかったときの次善策を用意する周到さには疎い。そうした若さゆえの情熱と突破力が事件を解決に導いたこともあったが、充分な経験を積んできたマリアンネの目には危なっかしくも映った。

 

 敵地で身分を偽っての潜入調査。これは確かにコンスタンツェより私向きでしょうね、とマリアンネは心中で思う。

 

 たとえば、この城のメイド服ひとつ取っても、もし彼女なら初日に大騒ぎしていただろう。

 

 好色な王の城で働くメイドたちは全員水着に近いデザインのお仕着せを支給されていた。色こそ白黒の二色で落ち着いてはいるが、布面積の小さいビキニにフリルが付いただけのメイド服は、マリアンネの豊満な肉体を全く隠せていない。下はビキニショーツの上からスカートを履くのだが、これも尻たぶが露出するくらい短い超ミニスカート。床のゴミを拾おうとすれば尻が丸出しになってしまう。

 

 上から九三センチ、五八センチ、八九センチという破壊的なスリーサイズの持ち主であるマリアンネが着れば、何処も彼処も肉がはみ出て大変なことになる。

 

 さらに驚くべきことに下着までもが支給品として用意されていた。この城ではメイド服を脱いでいる時間も王の好みに合わせねばならないらしい。メイドひとりひとりに合わせてメイド長が選定する。マリアンネに渡されたのは純白のブラとショーツの組み合わせ。

 

 ただし、ショーツは股間の切れ込みがえぐいTバックだった。

 

 前はデリケートゾーンの大半が露出する布面積。後ろは尻の割れ目に食い込む紐。

 

「あなたのような体は下品なのに顔は上品な女には、こういった攻めたものがよく似合うのよ」

 

 メイド長は自分のチョイスに大満足のようだ。こんな衣装を身に着けて働かされる関係上、やはりメイド長と言っても年齢は二十代。マリアンネより数歳上に見える。

 

 彼女はマリアンネに服を渡し、試着するように促した。

 

「私は他の使用人に仕事を教える立場にあるから、あなたの仕上がりを確認する必要があるの。着て見せてちょうだい」

 

「分かりました」

 

 ここで問題を起こすわけにはいかないと己に言い聞かせ、マリアンネは素直に着替えた。衝立や更衣室などない。その場で服を脱ぎ、全裸になってからブラジャーを身に付ける。ほとんど紐としか思えないTバックを手に取り足を通した。

 

「あらピッタリ。やはり私の見立てどおりね」

 

 まるで測ったかのようなサイズだった。どれだけ多くの女の裸を見れば、ここまで正確に目測できるようになるのだろう。

 

「きっと陛下も気に入ってくださるはずだわ」

 

 メイド長の口調は夢見がちな少女のようだった。ひょっとすると彼女は、この仕事の出来栄えによってコンスタンティン王から『ご褒美』がもらえるのかもしれない。

 

 それがもう一週間前のことである。それから今日まで、マリアンネは毎日昼は卑猥なメイド服を着せられ、夜はルームメイトとお互い規則を破っていないか確認しながら、エロ下着に着替えさせられた。

 

 その間あまり調査のほうは進んでいなかった。まず内部告発者の侍従が見つからないのだ。彼とは派遣された日に王宮の指定された場所で会う手はずになっていたが、約束の時間になっても現れない。結局、その日は何の収穫もなく終わった。

 

 その後も彼とは接触できていない。

 

 まさか、と良くない想像が頭を過る。既に彼は教会との関係が露見して処刑されてしまったのではないか。そうだとしたら、そこまでして隠したい秘密があるということになる。

 

(早く国王が魔物と取り引きしている確証を得たいのに……)

 

 あまり長く滞在するつもりはない。潜入調査は期間が長引けばそれだけ正体が露見するリスクは高まる。いくら気を張っていても人間の体力も集中力も無限ではないからだ。ふとした弾みで本当の身分に繋がる手がかりを漏らしてしまいかねない。

 

 ミスに繋がるような焦りは持たず、それでいて可能な限り短期集中で結果を出す。そう考えていたマリアンネに突破口が開けたのは今朝のこと。今日は仕事を普段よりも早めに終え国王の部屋に来るよう言われたのである。

 

「これは大変名誉なことなのですよ。あなたも陛下に抱いていただければ分かります。女という生き物はすべて、あの方に愛していただくために生を受けたのだと」

 

 そう力説するメイド長や羨ましそうに見てくる同僚メイドに冷やかされつつ朝からの仕事を終えると、まだ陽が沈みきってないうちからマリアンネは湯を使わされた。汗と埃にまみれた体で陛下の寝所に入るなど失礼とメイド長に指示されてのことだ。

 

 湯から上がるとメイド長が直々にマリアンネを国王の部屋まで案内した。まだ新人メイドの身では、王族が住むエリアまで足を踏み入れたことがなかったのだ。

 

「ここからはマリアンネだけが入れます。くれぐれも失礼のないように。あなたは身を任せているだけでいいですからね。あとは陛下が万事よくしてくださいます」

 

 自分の時を思いだしているのか、メイド長の頬が微かに上気していた。

 

 マリアンネはドアの前で深く息を吸って吐く。このドアの向こうに魔物との関係を示す秘密が隠されているかもしれない。それを暴くために自分はやって来たのだ。朝から周りの目が集中したため、王宮の外にいる連絡係と接触することができなかった。よしんば接触できたとしても、総大司教の指示は間に合わなかっただろうが。

 

「失礼いたします」

 

 ノックして部屋に入る。部屋の中央に置かれた天蓋付きのベッドが目に入った。ベッドの上に誰かが座っているのが見えた。

 

「来たか。こっちにおいで」

 

 若い男の声。察するにコンスタンティン王本人。手招きされて近寄ると、王は待ちきれないとばかりにマリアンネの腕を掴んで抱き寄せた。

 

「きゃっ!」

 

 突然のことでバランスを崩し、そのまま彼の腕の中に倒れ込む。胸板に顔を埋めるような体勢になる。慌てて離れようとするが、裸の胸にがっちりと抱きしめられていて抜け出せない。

 

「会いたかったぞマリアンネ。新しいメイドは美しいと聞いていたが評判に相違ないな」

 

 王が耳元で囁いた。ぞくり、背筋が震えた。驚くべきことだが、至近距離で聞く男の低い声に、マリアンネの心は強く惹きつけられた。

 

(流されてはダメ!)

 

 必死に自分を叱咤する。私の肉体は神に捧げたもの。たとえ任務であっても男性に穢される訳にはいかない。頭ではそう考えているのに王の手で体を撫で回され、耳元で囁かれると体は言うことを聞かない。乳房を押しつけるように男に抱きついてしまう。

 

(これが魔物と取り引きして得た能力(ちから)だというの。こんなことのために……)

 

 だとするなら余計にマリアンネは負けられない。彼とセックスすることは魔物の支配に屈したことになってしまう。

 

 彼を突き放さなければ。そうしたら城にはいられなくなってしまうだろうが仕方ない。今日で調査は終了だ。総大司教には、コンスタンティン王は女性を従わせる不思議な術を使うと報告し、教会から正式に審問官を派遣してもらうのだ。

 

 マリアンネは法力を全身に漲らせようとする。聖なる力を己の身に通すことで彼女は身体能力が大幅に強化される。それによって熟練の戦士とも遜色ない戦闘力を手に入れられるのだ。

 

 ――しかし。

 

(法力を感じない。まさか力を封じられてる!)

 

 今まで何度も危機を乗り越えてきた経験則から、自分の身に何か起きていることを悟る。この部屋には超常の能力に類する力を封印する結界が張られているのだろう。暗殺者対策だろうか。これは致命的な失敗だった。だが、もはや取り返しがつかない。

 

「抵抗しても無駄だ。俺の許可なくこの部屋から出ることはできない」

 

「くっ、離しなさい!」

 

 マリアンネは渾身の力を込めて抵抗する。だが法力の使えない彼女は女性の平均値並みな腕力。いくら暴れても男の腕から逃れることはできない。それどころか男は軽々とマリアンネの体を持ち上げ、お姫様抱っこのような状態で自分の膝に乗せてしまう。そして片手で彼女の背中を支えつつ、空いた片方の手で胸を揉んだ。

 

「あんっ♡」

 

 思わず甘い声が漏れてしまう。男が我が意を得たりと笑ったのが分かった。恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

 

「いい反応だな。もっと可愛い声を聞かせてくれ」

 

「誰が、あっ、ん、あん、あ、や、やめ、んっ、ひぅ、ああっ♡」

 

 反抗的な言葉を口にしながら同時に喘ぎ声を漏らすマリアンネを見て、男はますます興奮を高めるようだった。

 

「こっちを向け」

 

 それまで顔を背けていた女に王が言った。

 

 恐る恐るマリアンネは顔を上げる。目の前に男の顔があった。端正な顔立ちをした青年である。髪は金。獅子の鬣のように波打つ金髪はカーテンを閉め切り、燭台の灯りを頼りにする薄暗い部屋でも目を打つ目映さだった。目を合わせれば翠玉の瞳がこちらをじっと見ている。

 

 放蕩者と聞いていたが国王という立場は気苦労が絶えないのか、その眼差しはどこか達観した印象を受ける。それでいて瞳の奥には少年のような輝きが見て取れた。

 

(なんて素敵な人……)

 

 不覚にも胸がときめいてしまった自分に驚く。男性の容姿に目を奪われるなどマリアンネは初めての経験だった。

 

(いけない、私はこの男の正体を確かめるために来たのだ。気をしっかり保つようにしなければ)

 

 気を引き締めたプリーストの頬を疑惑の国王が撫でる。

 

「お前は本当に美しい女だ。こうして間近で見ると、なおさらそう思う」

 

 そう言って彼は顔を近づけてくる。キスされると思い、反射的に顔を背けそうになるが、なんとか踏みとどまった。ここで拒絶すれば怪しまれる恐れがある。彼は私のことをただのメイドだと思っている。だったらそれを利用して今は脱出の機会を探らねば。マリアンネは目を固く閉じ、心の中で主に懺悔しながら男のキスを受け入れる。

 

 暗闇の中。すぐに柔らかな感触が唇に伝わってきた。最初は軽く触れるだけのキス。顎に手を添えられ、何度か角度を変えて啄むような口づけを繰り返す。

 

「ちゅっ、ちゅ、れろ、んん、ふぁ、んんっ、ちゅ、ちゅう、ん、んんん……」

 

 そのうちに舌先で唇を突かれたので、こちらも舌を伸ばして迎え入れてやると、あっという間に絡み合うようなディープキスに変わる。唾液を流し込まれると、頭が痺れて何も考えられなくなってしまう。舌を吸われて甘噛みされると、下半身がきゅんっと切なくなった。

 

(なにこれ、すごく気持ちいい……)

 

 まるで自分が自分でなくなるような感覚に陥る。頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。ただ目の前の男のことだけしか考えられない。気づけば自分から彼の背中に腕を回していた。

 

 彼の逞しい腕がマリアンネを抱きしめて、分厚い胸板が豊かなおっぱいを押し潰す。彼の体温を感じるだけで幸せすぎて涙が出そうになってしまう。このままずっと抱き合っていたいと思ってしまうほど、彼との触れ合いはとても心地よかった。

 

「どうだ、初めての接吻の味は?」

 

 唇が離れてようやく一息つくことができたマリアンネに、王が意地悪く訊ねてくる。

 

「どうして私が初めてだと?」

 

「そんなに緊張していては童貞でもなければ分かる」

 

 女の経験のなさを見透かした国王は余裕の笑みを浮かべた。

 

「もっと楽にしていろ。俺に全て任せろ。余計なことを考える隙もなくなるまで可愛がってやる」

 

 王の大きな手がマリアンネの乳房を掴んだ。ぐにゅり、と男の大きな手の中で乳房が潰れ、指が食い込む。痛みよりも快感が勝って、思わず喘ぎを漏らしてしまう。

 

「あんっ、んぅ、くぅ、あ、ああっ、ひ、ひあっ」

 

 如何にマリアンネが魔物との戦闘では経験豊富なプリーストだろうと、男女の睦みごとにおいては素人だ。一生涯経験することなどないと思っていた。それなのに今、男の腕に抱かれ、彼に体を自由にされている。

 

 相手は絶世の美男子で、ベッドの上で抱き合いながら愛の言葉を囁かれると、つい身を委ねてしまいそうになってしまう。

 

(だめよ、惑わされてはダメ! この男は女を籠絡することに慣れているのよ。私みたいな経験のない女を篭絡することに慣れているだけ。それにさっきからおかしいわ。私の体がまるでコンスタンティン王に抱かれることを望んでいるみたいな。魔物との取り引きで得た能力を駆使しているに違いない!)

 

 自分に言い聞かせることで、かろうじて理性を保つことができている。だが、それもいつまで続くか。

 

「胸が大きいだけでなく、感度もいいようだな。ほら、乳首がこんなに硬くなっているぞ」

 

「やっ、そんなこと言わないでっ、あぁっ、いやぁっ、ひっ、あっ、あんっ、ひゃぅんっ、ふわぁああぁぁ!」

 

(だめぇ!)

 

 まだ彼に横抱きにされ、胸を揉まれているだけ。セックスの手順としては入り口も入り口なのだが、もう既にマリアンネの頭の中では、彼に最後までリードしてもらうことしか考えられなくなっていた。

 

(こんな……こんなことって……)

 

 真面目なプリーストは初めて味わう快感に混乱していた。自分がこれほどまでに感じやすいとは知らなかった。まさか神に仕える身がこれほど淫蕩な本性を隠し持っていたとは。生涯知りたくもなかった。

 

「んっ……あぁ……」

 

 快楽に翻弄され彼の腕の中で悶えた。全身から力が抜け、頭の中までトロけてしまう。マリアンネの瞳からは涙が流れ落ちていた。嬉しくて泣いているのか、それとも悔しくて泣いているのか自分でもよくわからない。生まれて初めて味わう不思議な感覚に頭が混乱する。

 

 そんなマリアンネを見て、コンスタンティンは「やはり可愛いな」と呟き、深いキスを再開した。

 

「んっ……ふぅううん……んちゅ、くぷ、んちゅう、ぢゅる、れりゅう♡」

 

 そのまま、二人は舌を絡め合う濃厚な口づけを交わし、唾液を交換し合った。互いの口腔内に溜まった唾を飲み込み、相手の体液を取り込んでいく。キスだけで脳髄が痺れそうなほどの快感を感じてしまう。

 

 子宮の奥がきゅんきゅんと疼いた。自分の体が目の前の男性を求めていることを自覚してしまう。それでもマリアンネはすぐに気を引き締めなおす。魔物と取り引きして得た能力に教会の聖書者が屈してはならない。

 

(この窮地を脱して逃げるのよマリアンネ。隙を見て彼の腕から抜け出しなさい。部屋から出さえすれば法力が使えるはず)

 

 そんなことを考えている間にも、胸を揉んでいた彼の手が女体を滑り降り、下半身に狙いを変えていた。

 

 股間からは愛液が溢れ出している。既にビキニパンツどころかシーツまで濡らしていた。割れ目に指先を這わせられるだけで快感が走る。マリアンネは無意識のうちに腰を動かしてしまいそうになり、慌てて歯を食いしばる。

 

(ダメよ……我慢しないと……)

 

 そう思うのだが、体は言うことを聞いてくれない。まるで主人の命令を無視する犬のように、勝手に快楽を求めて動き続ける。

 

「うぅ……あぁ……んっ♡ はぁぁ……あんっ♡」

 

「どうだ俺のテクは。気持ちいいだろう?」

 

 マリアンネは答えられないでいた。素直に言ってしまえば、我を忘れそうになるほど気持ちが良い、しかし、そんなことを言えば、自分が彼の虜になっていることを認めることになる。それだけは絶対にできない。

 

「黙っていては分からない。ちゃんと言葉で言え」

 

 マリアンネの心を読んだかのように、コンスタンティン王は耳元で囁く。その声すらマリアンネを狂わせる媚薬となる。

 

「んっ……あぁ……はぁ……んんっ……そ、それは……」

 

「教会のプリーストと言えど体は普通の女と変わらないんだ。余程の不感症でもなければ堪えがたい快感だろう?」

 

 なぜそれを、と思わずマリアンネは声に出して問い質しそうになる。

 

「どうして俺がお前の本当の身分を知っているか不思議そうな顔だな。答えは単純だ。俺が教会に情報を流して、お前をおびき寄せたからだよ。情報提供者に会えなくて難渋しただろ。当然だ。そんな侍従は最初から存在しないんだからな」

 

「なぜそんなことを」

 

「大した理由はない。教会の聖職者というやつを抱いてみたかっただけさ」

 

「そんな……」

 

 たったそれだけの理由で彼は罠を張ったのか。教会を敵に回すことも厭わずに。

 

「だがまさか、ここまで俺好みの女が派遣されてくるとはな。俺の噂やメイド募集の話を聞けば、俺に気に入られそうな女を寄越してくることは予想できた。だがマリアンネ、お前は……」

 

 王の手が手中に収めた女プリーストの秘所を素速く摩擦する。

 

「くぅ……あ……ああっ、ひあっ、ああっ、あっ、ひぃいいいいいんっ!」

 

「顔、体、声、気持ち良くしてやったときの反応。すべてが俺の理想どおり。俺の妄想を希代の美術家に依頼し、具現化してもらったかの如き理想像だ。お前こそ俺の女神だマリアンネ」

 

 背中を支えていた手が女プリーストの体を抱き直す。抱きしめたまま手は大きな肉球を揉みしだいた。反対の手はビキニパンツの脇から入り、ぬかるみ始めていた姫割れをこじ開ける。

 

「く、くぅぅぅん♡ こ、こんなことして、私は屈しない。屈しませんっ♡ わ、わたしはっ、ぜったいにぃ――あひんっ♡」

 

 言葉とは裏腹に膣奥から大量の蜜液が分泌された。濡れた粘膜が男根を求めるようにヒクついている。指が二本挿入され掻き回されるとマリアンネは簡単に絶頂した。

 

 絶頂直後の敏感すぎる陰唇に男の指が容赦なく出入りした。

 

「くぅううんっ♡ ひぁああぁっ! やらぁあああっ! らめぇぇぇっ!」

 

 絶頂したばかりの性器を乱暴に弄られてマリアンネは泣き叫んだ。快感が強すぎて辛い。なのにもっともっとして欲しい。彼女は自分でも震撼するほど激しい性欲に突き動かされている。

 

 もしコンスタンティン王が魔物と取り引きしている話自体が嘘だとしたら、こうして彼に愛撫され悦んでいるマリアンネは、隠してきた女の浅ましい本性をイケメンの手慣れたセックスで引き出されているだけになる。

 

 それは魔物の貸し与えた力に屈する以上に受け入れがたい事実だった。

 

 だから必死に耐えようとする。

 

(だめ、感じてはダメなのに)

 

 貞淑な女プリーストは懸命に理性で欲望を押さえ込もうとする。そんな努力も虚しく、体は着々と彼を受け入れようとしていた。

 

「もう準備万端じゃないか。そんなに期待しているのか。こんなに濡れるとは思わなかった。これだけ濡らせば十分だろ」

 

 そう言うと、男はマリアンネをベッドに押し倒した。

 

「これは必要ないかと思うが、せっかく用意したし使っておくか」

 

 コンスタンティンは枕の下から、しっかり栓がされた小瓶を取り出す。彼が軽く手を振ると小瓶の中でピンク色の液体が揺れた。

 

「それはなんですか」

 

「強力な催淫剤だ。これを使えば、どんな女も淫乱になるぞ」

 

「まさか! 普段からそんなものを使って女性たちを陵辱しているのですか。だとしたら私は軽蔑します」

 

「勘違いするな。こんな物を使うのはマリアンネが初めてだ。他の女は俺が抱いてやると言えば、喜んで自分から脱ぎだすからな。だがしかし、お前だけは確実に俺のものにしたかった。だから、こんな俺らしくもない、道具の力に頼ることにした訳だ。媚薬なんて本当は俺も使いたくないんだ。俺本来のやり方はもっとスマートなんだがな」

 

 そう言うと、王はマリアンネの両足を開かせ、その間に自分の身体を割り込ませた。

 

「マリアンネ。お前が俺のモノになった暁には、大陸全土だってプレゼントしてやる。欲しいものはなんでも与えてやる」

 

 コンスタンティンは小瓶の栓を開く。媚薬を垂らした指先でクリトリスに触れてきた。

 

「くぅうんっ♡」

 

 瞬間、電流のような快感が走り、マリアンネは身悶える。

 

 そのまま王は勃起した陰核を執拗に責め始めた。指で摘んで引っ張ったり、押し潰したり、捻りを加えたりする。

 

「んんっ♡ あふぅ……んんっ♡ んんん~っ♡ んふぅっ♡」

 

 マリアンネは腰を振りたくって悶えた。快楽に負けまいと耐えるのだが、抵抗すればするほどに官能は増していく。

 

「んんっ♡ はぁ……ああっ、あぁ……んっ♡ はぁ……あぁ……んっ♡」

 

 マリアンネは声を押し殺そうとするが、どうしても漏れてしまう。

 

「どうだ。気持ちいいだろう。これが俺のテクニックだ。女なら誰でも腰砕けにしてやる。お前みたいに淫乱な肉体を理性で抑えていたタイプは特にな」

 

(ダメ……我慢できない……気持ち良過ぎる……こんな……)

 

 マリアンネは媚薬の効果に抗えず、早くも腰を振っていた。無意識のうちに男を求めているのだ。

 

(ダメよマリアンネ。そんなことしちゃダメ)

 

 心では拒絶するが、体は言うことを聞いてくれない。マリアンネは腰を浮かせると、自ら股間を押し付けるようにして擦った。

 

「良い反応だ。可愛い奴だな。素直になれよ。お前は俺に抱かれるために生まれてきたんだ」

 

「そ、そんなこと……誰が……あなたなんかの……んんっ♡」

 

「本当に強情だな。まぁいいさ。時間はたっぷりある」

 

 王はマリアンネの股間に顔を近づけた。

 

「んんっ♡」

 

 秘所を嗅がれ、マリアンネは身を捩った。

 

「凄い匂いだ。興奮してたな」

 

 王はマリアンネの肉芽を舌で転がす。

 

「あぁんっ♡」

 

 舌を根本から先端まで広く使い、ねっとり舐めしゃぶられるときも、尖らせた舌先で勃起した花芽をピンピンと弾かれるときも、マリアンネは甘い声を上げて悦びに震えた。神に仕えるはずの自分の体が性的な刺激に弱く感じやすい体質なのか、それとも媚薬のせいで感度が上がっているのか、経験のない女プリーストには分からない。ともかく秘所の割れ目はしきりに開閉して、愛液の雫を大量に分泌していた。それを王は指で掬い取って、マリアンネの膣内へ塗り込んでいく。膣内の壁は熱っぽく潤んでいた。指を挿入されると、まるで歓迎するように柔らかく締めつけてしまう。

 

(なにこの感覚。おかしい。私の体、変になってしまったの?)

 

 なにも分からず、ただ手慣れた男の愛撫で喘がされ戸惑うだけの肉人形になってしまったが、その戸惑いすらすぐに快楽に上書きされてしまう。

 

「ひぅううんっ♡ そこぉっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あぁああっ♡」

 

 男の長い指が根本まで挿入される。彼の指先がマリアンネの奥にあるコリコリとした部分を捉えた。

 

「ここが良いのか?」

 

「そんなことはありません! 私は神の僕ですっ。このような破廉恥なことっ」

 

 そうは言うのだが、子宮口を指先で弄ばれるたび、マリアンネは背筋を仰け反らせて悦楽に浸る。

 

「すっかり出来上がってるじゃないか」

 

「こんなの……違いますっ」

 

 マリアンネの声は弱々しくかすれていた。

 

 教会に所属する聖職者の自分が、任務とは言え肌をほとんど隠せない破廉恥な衣装を着せられているだけでも罪深いのに、そのうえ男性と淫らな行為に及ぶなんて。彼女の心は罪悪感で一杯だった。

 

「何が違うんだ? こんなに濡らしているじゃないか」

 

「それは薬のせいで……」

 

「それだけじゃないだろ。薬を使う前から俺に抱かれたそうな顔してたじゃないか」

 

「そんなことは……」

 

 ないと断言できない。去勢を張る余裕さえ快楽に塗りつぶされていく。

 

「一度イカせてやる。そうすれば少しは素直に認められるようになるな」

 

 コンスタンティン王の指が膣洞から引き抜かれる。変わって彼は舌を捻じ込んできた。熱く、濡れていて、肉厚で、巣穴に潜り込む蛇のように身をくねらせて女の聖なる穴に入って来る。

 

(舌がっ。こんなにいやらしい動き。それに長くて奥まで入ってくる。指もだったけど全部が大きい)

 

 女とは違う男の体。マリアンネも女性にしては高めの身長だが、コンスタンティンが腕を広げれば丁度すっぽり収まってしまう。彼に抱きしめられながら愛され、可愛がられ、気持ち良くされ、女の幸せを教え込まれるのに最適なサイズ差に感じた。

 

(なにを馬鹿なことを。弱気になってはいけない。私は教会のプリースト。神に使える者。こんな男に屈服するわけにはいかない)

 

 そう思いながらもマリアンネは彼にされるがままになっていた。だいたい女体の最も秘められた場所に指だけでなく舌の侵入まで許し、好き放題に舐られている状況でなにを格好つけているのかと自嘲にも似た気持ちが湧いてくる。

 

 そうしていると彼の両手がマリアンネの豊満な乳房に伸びてくる。クンニしたまま胸を揉まれた。彼の高い鼻先がクリトリスを刺激すると同時に乳首も転がされる。

 

「ふぁぁぁっ! ああっ、いっ……やぁ、だめ、そんなところまで……ひゃん♡ 何カ所も同時になんて♡ はぁぅ、あ、そこ、そこはだめぇ、はぅん♡」

 

 だんだん頭がぼうっとしてきた。

 

(ああ、私いま何をされているの?)

 

 思考がまとまらない。理性が失われていくのが分かる。それでも辛うじて残った理性をかき集めて、マリアンネは必死に抵抗しようとした。

 

 だが、その抗いも虚しく、コンスタンティンが乳首をキュッと摘まみ上げると、彼女は容易く達してしまった。

 

「ひぃゃ、ああああん、あぁ、ん」

 

 総大司教直属のプリースト。これまで魔物による事件を数多く解決してきた教会のエキスパート。そんな肩書きや実績は何の役にも立たない。服を脱いだ男と女がベッドの上でする事に関して、マリアンネはティーンエイジの娘っ子にも劣る。それほどまでに未熟で経験不足だった。

 

「さて、そろそろメインディッシュに入るか」

 

 絶頂の余韻に浸る間もなく、コンスタンティンの手がマリアンネの足の間に伸びる。ぐしょ濡れになっているショーツの上から割れ目を撫で上げられただけで、腰が浮き上がるほど感じてしまう。

 

「んんっ♡」

 

(もうダメ……これ以上されたら……)

 

 頭では分かっているのに抵抗できない。心は屈してない。だが体は屈している。それが悔しい。悔しくて堪らない。でもそれ以上に気持ちいいのだ。もっとして欲しいと思ってしまう。

 

「はぁ……あぁ……んんっ♡」

 

「まだ始まったばかりだぞ。今からそんなに蕩けていてどうする」

 

 王はマリアンネの腰を持ち上げ、下着をスカートごと脱がせる。お飾り程度のスカートでも男の手で脱がされるとなれば別だ。彼の目に私の全てがさらけ出されていると思うと急に心細くなった。。

 

 羞恥を覚えるよりも先に、熱い塊が押し当てられるのを感じた。見なくても分かる。彼の剛剣だ。マリアンネは処女だが勃起した男根を見る経験はあった。魔物に操られ性衝動を刺激された男に襲われたことがあったのだ。そのときは法力が使えたので難を逃れた。記憶の中にある男根を目の前の屹立に重ね合わせる。

 

「おおきぃ……」

 

 言ってしまってから気づいた。ハッと目を見開くがもう襲い。マリアンネの陶然とした呟きを聞いた王は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。そこを男性自身とか俺の分身とか男のシンボルとか呼ぶくらいだから、きっと男性は生殖器を褒められることと自尊心が結びついているのだろう。

 

 彼を調子に乗らせてしまったと後悔しても後の祭り。男としての自信を満たした彼が腰を進めてくる。

 

「んんぅっ!」

 

 亀頭の先端がマリアンネの中に入ってきた。まだほんの先っぽだけだと言うのに苦しいほどの圧迫感を感じる。

 

「力を抜けマリアンネ。力んでいては俺のモノは入らないぞ」

 

「くっ……うう」

 

 マリアンネは歯を食い縛って耐えるが、痛みのせいか上手く力が抜けない。そんな彼女を見て王は溜息をつく。

 

「仕方ない奴だ」

 

 そう言うと彼は痛みに悶える女プリーストを抱き起こし、自分の膝の上に座らせた。対面座位の姿勢である。

 

「これでどうだ?」

 

「うぁあんっ! ああぁっ! あああっ! そんなっ! お腹の奥までっ! 壊れちゃうっ! いやぁっ! 許してぇっ!」

 

 王のイチモツはマリアンネ自身の体重で彼女のナカに収まっていく。脚を踏ん張り、腰が落ちないように堪えようとするのだが、王の手に脇腹や背中を撫でられたり、ブラをめくり上げた先にある乳突起を吸われたりすると体から力が抜けてしまう。

 

「こうすれば少しは気が紛れるだろう?」

 

「うっ……くぅ……あっ……やめてっ」

 

 口で拒絶するが、敏感な部分を弄られるたびに甘い吐息を漏らし、少しずつ彼の肉棒を受け入れてしまう。そしてついに彼の先端が最奥に到達した。行き止まりにコツンと当たった瞬間、マリアンネの全身に痺れるような快感が走る。

 

「ああ――――ッ!」

 

 対面座位で密着した女を王は力強く抱き寄せる。まだ破瓜の痛みと熱が残る下半身は動かさない。その代わり上半身では至るところに彼の唇や舌が這ってきた。挿入の苦痛で浮いた球の汗を彼に舐め取られる。白い胸に赤い痕が残るまで吸い付かれた。腕を上げさせられたかと思うと彼の舌が横乳と腋の間を肋骨に沿ってなぞるように往復する。

 

「あっ、あふっ、あんっ、ああ――――♡」

 

 そうやって時間をかけて体を繋げているうちにマリアンネの肉筒が男の形に合わせて変化する。最初はキツく閉じていた膣壁も今は柔らかく解れ、男の怒張がスムーズに出入りするようになっていた。

 

「少し動かすぞ。無理なら言え。時間はたっぷりあるんだから焦る必要はない」

 

 ゆるゆるとこちらの反応を窺うように王の腰は動く。濡れた媚肉を硬いイチモツで擦られる初めての体験。マリアンネは下腹部から迫り上がってきて脳を冒す未知の悦楽に襲われた。

 

「んっ♡ ふぅっ♡ ふぁぁ♡ はぁ♡ ああん♡ ふぁ♡ あ♡ ああっ♡ お腹の奥っ♡ ジンジンしますっ♡ あん♡ ああっ♡ だめっ♡ もうっ♡ おかしくなっちゃうっ♡♡」

 

 王の心配は杞憂だった。 

 

 もはやマリアンネの体は完全に出来上がっていた。コンスタンティンの巨根がゆっくりと引き抜かれると、まるで行かないでと縋るかのように粘膜が絡みつき、押し込まれれば歓迎するように愛液が溢れ出す。彼の肉茎が動くたびジュブジュブと卑猥な水音が立った。

 

 それでもなお王の動きには余裕があった。激しく責め立てず、じっくりと腰をグラインドさせて女の反応を伺っている。少しでも反応がいい部分を重点的に攻めて弱点を探るつもりのようだ。

 

 男がストロークを大きくしていくにつれて、マリアンネの反応も大きくなっていった。次第に声は艶を帯びて切なげになっていく。それが恥ずかしくて口を噤もうとすれば、隠そうとしても無駄だとばかりに子宮口を突かれて悲鳴が漏れる。

 

 長髪を振り乱し、乳房を揺らしながら快楽に喘ぐ。

 

 これは自分が望んでいることではない。断じて違う。今の私は無理やり犯されているのだ。己に言い聞かせる。

 

 だというのに――。

 

(ああっ♡ こんなっ♡ ダメなのに♡)

 

「気持ちいいだろマリアンネ。俺はお前に最上級のものしか与えない。最上級の暮らし、最上級の快楽……最上級の男。苦痛なんて一瞬も与えるものか。だから諦めて俺のものになれ」

 

「んっ♡ ふっ♡ くっ♡ ふぅぅっ♡」

 

(こんなっ♡ 悔しいっ♡)

 

 心の中では抵抗しているはずなのに、体はどんどん淫らに乱れていく。彼と繋がっている場所から次々と新しい蜜が流れ出て止まらない。体が熱い。心臓がドキドキしている。呼吸が激しくなる。頭がクラクラする。全身の感覚が鋭敏になり、特に股間への刺激が強く感じられるようになる。膣内を掻き回され、Gスポットを集中的に擦り上げられると、今まで感じたことのないような激しい愉悦が襲ってくるのだ。

 

 頬に手を添えられたかと思うと、彼にキスされた。彼の舌が唇を突いてくる。開けろと命令されて逆らえない。舌と舌が絡み合う。彼の唾液を飲まされた。彼もマリアンネの唾液を飲みたがった。

 

 舌を絡め合わせ、互いの口腔内を貪りあう。上でも下でも繋がる男女。その交わりは激しさを増すばかりだ。

 

「そろそろ限界だ……一緒にイクぞ」

 

「いや……それだけは……お許しください……どうか……中だけは……」

 

 弱々しく首を振るが、願いを聞き届けられることはなかった。

 

 コンスタンティンは抱え上げていたマリアンネの体をベッドに下ろす。対面座位から正常位に切り替えると女の柳腰を両手で掴まえる。がっちり押さえ込んで衝撃が逃げないようにしてから――フルピッチで本気の抽送を叩き込んできた。

 

「んあああッ♡ だめえええっ! やめ、やめて……やめてえええっ! ひぎっ……ひぐうう……ひぐうう……っ♡」

 

 その腰振りの激しさにマリアンネは、どれほどコンスタンティンが手加減してくれていたか思い知る。先ほどまでは処女を失ったばかりの女の体を気遣い、もどかしい動きしかしていなかったのだ。しかし今は、マリアンネの体が抽送の衝撃や彼の肉茎の大きさに慣れ始めている。なにより彼自身も射精したくて歯止めが利かなくなっていた。

 

 凄まじい勢いで肉棒を突き込まれ、そのたびにマリアンネの口から絶叫が上がる。最初の一突きごとに理性が崩壊していくようだ。

 

「ひゃあああうっ♡♡ ひっ! ひぃいいいっ♡♡♡」

 

 あまりの快感と悦びに泣きじゃくりながらも、彼女は完全に感じ入っていた。雌悦とは無縁だったはずの女プリーストは、男に抱かれる女の幸せを知ってしまった。それは彼女の心と体に刻まれた紛れもない事実。

 

 肌と肌がぶつかり合い、結合部から淫らな音が響く。巨大な剛直で何度も貫かれた秘裂からは大量の愛液が流れ出す。

 

 マリアンネは己の左右に置かれたコンスタンティンの腕を掴んだ。縋りついたと言ったほうが適切かもしれない。そうしていなければ正気を保てず、恐ろしいほど猥りな言葉を口に出してしまいそうだった。

 

「全身が震えているぞ。もうイキたいんだな。俺もだ」

 

 マリアンネはコクコクと首を縦に振って肯定する。もう我慢できない。早くイカせてほしい。

 

 コンスタンティンが体を倒し、マリアンネに覆い被さってきた。絶頂の予感に怯える女を安心させようとしているのか抱きしめられる。細やかな気遣いを見せる一方で、彼の動きはますます容赦ないものに変わる。律動は速くなり、そして大きくなっていく。

 

 マリアンネは男の肩に顔を埋めて、ただひたすらに喘ぎ続けた。もう何も考えられない。思考能力が完全に奪われてしまった。彼の動きに合わせて腰が勝手に動いてしまう。

 

 やがて男の肉茎がひときわ膨らんで脈動した。そして熱い精汁が膣奥に向けて放出され始める。

 

(あぁあああっ♡)

 

 子宮口に白濁をかけられた瞬間、マリアンネは絶頂していた。これまで味わったことがないような凄まじいアクメだった。まるで全身の血が沸騰しているかのように熱くなり、脳髄まで痺れてしまうほどの快美感。

 

 激しいピストン運動によって結合部から泡立った愛液が溢れ出し、シーツの上に滴り落ちていく。大量のザーメンを飲み込んだヴァギナは限界を超えて広がりきり、もはや閉じることを忘れてしまっていた。男根が出入りするたびに捲れ上がってしまっている。

 

 だが、それでもなお、コンスタンティンは止まらなかった。マリアンネの中で果ててもまだ硬度を保っているペニスを動かし続ける。そしてついには、再び射精してしまうのだ。

 

 そのあまりにも強烈な快楽を前にして、マリアンネは失神寸前になっていた。何度も何度も連続でイカされているというのに、さらにまた新たな絶頂を迎えようとしている。こんなことは生まれて初めてのことだった。

 

 彼は底なしだった。まるで疲れや萎えという言葉を知らない生物かのように、マリアンネの膣内で射精しながらも休まず動き続ける。膣内の至る場所に彼の子種を塗り込まれてしまった。

 

 やがて何度目かの射精を感じたとき、ふっとマリアンネの意識は風に煽られたロウソクが消えるように消失した。

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