アンケートの結果、最初のお話はRoseliaとなります。
それでは、本編をどうぞ。
一日目(昼)
「ん……」
目を覚ました俺は、目の前に広がる光景を見て、一瞬ここがどこだかわからなくなった。
(あれ? 俺、なんでこんなところにいるんだ……?)
俺がいたのはどこかの浜辺の砂浜だった。
見渡す限りの水平線が広がり、寄せては返す波の音が心地よく鼓膜を震わせる。
空は雲ひとつない快晴で、降り注ぐ日差しが眩しく感じる。
そして海風に乗って鼻腔を刺激する潮の香りが、これが現実であることを俺に教えてくれる。
今の状況で無ければ、確実に落ち着ける良いロケーションに違いないだろう。
だが、なぜ自分がここにいるのかがさっぱりわからない今の俺には、それどころでは無かった。
周囲を見渡すと、浜辺には俺と同じように横たわっている湊さんに氷川さんや、今井さんに白金さんとあこちゃんの姿があった。
俺は慌ててみんなを起こすことにした。
「おい、起きろ。大変だぞっ」
まずは一番近くにいた湊さんの肩を掴んで揺さぶる。
すると、程なくして彼女は目を覚まして上半身を起こすと、寝ぼけ眼で周囲を見渡した。
「ここは……どこなのかしら……?」
まだ頭がボーッとしているのか、少し舌足らずな感じで呟く。
「わからない……ただ、少なくとも俺たちが知っている場所じゃないみたいだ」
そんな彼女に、俺はそう答える。
「……そのようね。とりあえず、リサ達を起こしましょう」
そう言って、俺と湊さんは手分けをして、他の4人を起こしにかかる。
そして、全員を起こしたところで、改めて俺たちは今自分達が置かれている状況を整理することにした。
「さて、まずここはどこなのかだけど……わかる人はいるか」
「すみません、わかりません……」
俺の問い掛けに答えたのは、白金さんだ。
もしかしたら誰か心当たりがあるのではと思って聞いてみたのだが、どうやらこの場にいる全員、ここがどこかわかっていないらしい。
「アタシもわかんないなー。そもそもここって日本なのかな?」
心の中で落胆している俺に、続いて答えてくれたのは今井さんだ。
確かに、俺もそこが気になっていたところだ。
もしここが海外なら、誰かに助けを求めようにも言葉が通じない。
それに下手をすれば犯罪者の扱いを受けることだって十分あり得る。
「それなら、スマホで現在地を調べてみたらどうですか?」
そんな中、ふと思いついたかのように言ったのは氷川さんだった。
「あ、そっか! その手があったじゃん!」
それを聞いて今井さんが嬉しそうに言う。
なるほど、たしかにそれは盲点だった。
よくよく考えれば、どこなのかを思い出そうとするよりも、スマホで調べればここがどこであるのかはすぐに分かるはずだ。
早速、俺はズボンのポケットからスマートフォンを取り出して地図アプリをを起動させて位置情報を調べようとするが……。
「……圏外」
しかし、画面に表示されたのは『圏外』の二文字だけだった。
「あれー? なんで繋がんないんだろ」
それを見た今井さんも首を傾げている。
試しに、他の人たちもそれぞれ自分の端末を取り出し、同じように試してみるが結果は同じだった。
「困ったわね……これじゃ助けを呼ぶことも出来ないわ……」
「とりあえず、携帯の電源は切っておいたほうがいいですわね」
全員が途方に暮れていると、氷川さんがそう言った。
「え、どうしてですか?」
「最悪の場合、このまま夜を迎えることになりますから、そうなると灯りとかも必要になるでしょうから」
あこさん疑問に、氷川さんは淡々とした口調で答える。
「そ、そうですね」
”夜を迎える”
その言葉が意味することをすぐに理解できたのだろう、全員の表情が緊張で強張るのがわかった。
見知らぬ場所で一夜を過ごすのは、男の俺ですら不安なのだ。
女性陣にとっては恐怖でしかないだろう。
一体どこで一夜を過ごすのか……食料はどうするのか。
色々な問題が浮上して重苦しい空気に包まれる中、
「あの、みんなでここを調べませんか?」
と、あこさんは突然そんな提案をしてきた。
「あこの言う通り、アタシも全員でここを調べるべきだと思う」
それを聞いた今井さんが、真っ先に賛成する。
「そうね、私も賛成だわ」
それに続くように湊さんもあこさんの意見に賛成の声を上げる。
「明るいうちにここの地理関係を把握していれば、いざという時に役に立つかもしれませんね」
そして氷川さんも湊さん達に続いて賛成の意を示すと、俺達も同意するように頷き、俺達は浜辺を離れると、周囲を探索しながらこの島のことを調査することにした。
(意外に地面はしっかりしてるんだな)
探索を始めてすぐに思ったことは、俺たちがいるこの島(島という表現が正しいのかはわからないが)は足場の悪い場所などがなくアスファルトが整備されていて、比較的歩きやすいということだ。
これなら、移動にもそこまで苦労はしないだろう。
「あ、見て見て! あそこ建物があるよッ」
そんなことを思いながら海沿いの道を歩いていると、今井さんが前方を指差しながら声を上げた。
彼女が指差した先にあったのは何かの店屋のような建物だった。
その建物の前まで向かって建物を見てみると、かなり年季が入っているようで、看板の文字は所々掠れて読めなくなっている。
だが建物の外観に比べると、中の方は綺麗に保たれているように感じた。
その証拠に、入り口の扉や窓ガラスは割れていなかった。
試しに扉を横に引いてみると鍵はかかっておらず、すんなりと開いた。
「中に入ってみるか?」
「待ってください。勝手に入るのはまずいのでは?」
俺が中に入ることを提案すると、氷川さんが待ったをかけた。
「……それじゃあ、中に人がいるか呼びかけてみよう」
「そうですね。それが良いですね」
俺は氷川さんにそう告げると、扉の前に立ち大きく息を吸い込む。
そして……。
「すいませーん! 誰かいませんかー!!」
思いっきり大声で叫んだ。
よほどのことが無ければ十分聞こえているはずだ。
(これで誰かが気づいてくれればいいんだが……)
しばらくその場で待っているが、一向に人の気配はおろか、返事すら返ってこない。
どうやら誰もいないようだ。
「誰も出てこないね……」
リサが不安そうに呟く。
「やっぱりここ、無人島なのかもしれないな」
俺はそう言いながらみんなの方に向き直る。
「だとしたらまずいんじゃ……だってアタシ達、水も食べ物も持ってないんよね……?」
俺の言葉に続けて、リサが言う。
「そうだな……さすがにこうなるなんて想像すらしてなかったしな」
俺がそう答えると、他のみんなの表情が曇る。
「ど、どうしましょう……?」
そんな中、白金さんが不安そうに声を上げる。
「とりあえず、奥の方に行ってみましょう。そこに行けば何か見つかるかもしれませんし」
そこで氷川さんがみんなにそう提案したので、俺達は彼女の提案に賛同して海岸沿いから島の奥の方(中央部?)へと進むことにした。
中心部までたどり着くと、そこはまるでちょっとした田舎町のような光景が広がっていた。
民家や商店などが建ち並び、道路なども整備されていたことから、人の手が加えられた形跡があることがわかる。
「ここは……一体……」
「なんかすごいね……人が住んでたりしないかな?」
目の前の光景を見て驚きの表情を浮かべながら呟く白金さんに、今井さんが期待を込めた声で言う。
「でも……それにしては静か過ぎます……」
そんな今井さんに対して、氷川さんが冷静に指摘する。
たしかに彼女の言う通りだ。
仮にこの島に住んでいる人が居たとしても、ここまで物音ひとつしないというのはおかしい気がする。
(一体なんなんだ? ここは)
「紗夜さん、りんりん、友希那さん! ちょっと来てください!」
その時、あこさんが何かに気が付いたのか、俺達を呼んだ。
俺達は何事かといった様子で駆け寄っていくと、そこには1軒の建物があった。
その建物は見たところ廃屋で、外見こそは老朽化が進んでいるようだったが、その割にはドアなどは綺麗なままで、最近まで人がいたのでは無いかと思えるほどだった。
「ここがどうしたの?」
「ここなら、一夜を明かすくらい出来そうじゃないかなって思って」
今井さんの問いかけにあこさんはそう応える。
確かに、ここなら雨風をしのぐには十分ではある。
「ですが、誰もいないとはいえ、人様の家に入るのはどうかと思いますが……」
「あ、そっか……」
氷川さんの指摘に、あこさんはシュンとした表情を浮かべる。
正直、非常事態に近い状態なのだから、細かいことは気にしなくても良いと思うのだが、それを言うと確実に怒られるので、胸の内に留めておくことにした俺は、その家の表札を何気なく見てみる。
「あ、でも大丈夫そうだけど?」
「……? どういうことですか?」
俺はその一軒家の表札部分を指先で指し示しながら氷川さんに言うと、氷川さんは不思議そうな表情を浮かべながら聞き返す。
「いや、ここに『公民館』って書いてあるんだ。 つまりこの建物なら、入っても問題はないって事だろ?」
“”公民館は避難所としても活用されている“
そんなことを前に習ったような気がしたのを思い出した俺は、氷川さんに説明するように言う。
「なるほど……そういうことですか」
「じゃあ、中に入りましょ」
俺の説明を聞いて納得した様子の氷川さんに続くように、湊さんがそう言うと玄関の前に立つ。
「あ、待って湊さん。俺が先に行くから」
俺はそのまま入ろうとする湊さんを制止するように声を掛けた。
ここは、男としての意地を見せたかったのと、万が一何かあった時に備えて、俺が先陣を切った方がいいと思ったからだ。
「わかったわ」
俺の言葉に湊さんは頷くと、俺と入れ替わるようにして後ろに下がる。
それを見てから俺は玄関の前に立つと、ドアノブに手を掛ける。
(鍵は掛かっていないみたいだな)
難なく扉を開けて中に入ると、やはりと言うべきか、中はとても綺麗だった。
床にはゴミ一つ落ちておらず、天井にも蜘蛛の巣のようなものはない。
本当につい最近まで人が住んでいたかのように思えた。
土足で入るのも気が引けた俺たちは、靴を脱いで家の中に入ると、廊下を進んで奥の部屋へと向かう。
中には誰も居ないようで、静まり返っていた。
奥の部屋は居間のような部屋で、木製のテーブルが置かれていた。
田舎の古民家を彷彿とさせるようなその部屋は畳が敷かれており、テーブルの下を見ると、囲炉裏のような物が見えたことから、テーブルをどかせば床にある大きな囲炉裏が姿を現わし、それで暖を取ることができるのはすぐに理解できた。
もう少しで秋に季節が移り変わろうとしている今、夜でも冷えることはそうそう無いので必要性はあまり感じないが、あるに越したことはない。
「なんだか、田舎のお婆ちゃんの家に来たみたいだね」
「そうですね……落ち着く感じがします」
「そうね」
あこさんの部屋を見た感想の言葉に続いて、白金さんが穏やかな口調で言うと、湊さんも同意するように頷く。
「今のうちにここの間取りを調べておこうと思うんだけどどうかな?」
全員が少しだけ落ち着いてきた頃を見計らって、俺はみんなにそう提案した。
「そうね、ここで明るいうちに、色々知っておいて損は無いと思うわ」
「私も湊さんと同じ意見です」
俺の問いかけに真っ先に賛成してくれたのは、湊さんと氷川さんだった。
「アタシも賛成かな」
「わたしもです」
「あこも賛成ですっ!」
そしてその後に今井さんと白金さんが続き、最後にあこさんが元気よく手を挙げて賛同の言葉を口にする。
こうして俺達は、公民館内の探索を始めることになったのだった。
「では、まとめるとまず電気や水道に、ガスといったライフラインは使えないみたいですね」
公民館内を調べた結果を聞いた、氷川さんが言う。
「そうだね~……まぁわかってたことだけどさ~」
それを聞いて苦笑いを浮かべながら言う今井さんだったが、その声は少し落ち込んでいた。
(無理もないか……)
いくら雨風しのげる場所を見つけたとしても、ライフラインが一切無いのでは、生きていくことすらままならないのだから……。
「ここの囲炉裏を使えば用意さえできれば食材の調理は可能です。水に関しては出来れば川……最悪の場合は海水を使いましょう」
そう言って皆に説明をする氷川さんはさすがとしか言い様がない。
こういった非常事態で、彼女のすごさを改めて知るというのも、何だか複雑だ。
とはいえ、それがいつまでも持つとは思えない。
氷川さんも含めてここにいるメンバーは全員女の子なのだ。
男である俺とは体力も違うだろうし、なにより精神的にもキツイものがあるだろう。
(だから俺が頑張らないとな)
そう思いながら俺は、ふとあることに気づいた。
「そういえば、みんな荷物はどうしたんだ?」
確か、元々二泊三日のクルージングの旅だったので、着替えなどを持ってきているはずだ。
現に彼女たちは集合場所に来た時、大きめの鞄を持っていたはずだ。
だが今の彼女達はその荷物を持っていなかった。
『……あ』
俺の問いかけに、全員が顔を見合わせて声を漏らす。
どうやらすっかり忘れていたらしい。
そしてそれは俺も同じだった。
それほどまでに全員テンパっていたのかもしれない。
「これから荷物を取りに行きましょ」
「待って友希那。それも大事だけど、食料をなんとかしないと」
「それもですが、ここの地理関係を把握しておきたいですね」
荷物を取りに行こうと提案する湊さんを止めるように口を開いた今井さんの言葉を聞いた氷川さんが、そう提案する。
どれもが大事な事なだけに、後回しにすることも出来ない。
「あの……それなら、手分けしませんか?」
そこで、今まで黙って話を聞いていた白金さんがおずおずと手を挙げて言う。
「手分けして?」
「はい……その方が効率がいいですから」
その言葉には説得力があった。
と言うより、すぐに気づくべき事だった。
「それだッ。ナイス燐子☆」
「い、いえ……」
今井さんは白金さんの言葉に同意して褒めると、彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめる。
「たしかに……それしかないわね。リスクはありますけど」
氷川さんの言う“”リスク“と言う単語に、緊張感が漂う。
「たしかに危険かもしれないけど、二人一組になれば大丈夫だよ」
それを払拭するように発言したのは今井さんだった。
確かに彼女の言う通りかもしれない。
二人で一緒にいれば、ある程度はなんとかなるかもしれない。
もちろん、気休めではあるが。
「そうですね……では、割り振りましょう」
今井さんの言葉に納得した氷川さんは、役割を割り振っていく。
「まず、私たちの荷物の回収ですが……」
「あ、それあこやリます!」
「わ、私もあこちゃんと一緒に行きます」
氷川さんの言葉に、あこさんと白金さんが俺達たちの荷物の回収をすることを名乗り出る。
「では、食料の確認は……」
「私が行くわ」
次に食料の確認の担当を決めようとしたところで、湊さんが手を挙げる。
「湊さんが?」
「何か問題でも?」
「あ、いや……何でもない」
俺が思わず聞き返すと、湊さんから逆に聞き返されてしまい、俺は慌てて取り繕う。
どこか目に圧を感じたのは俺だけでは無いはずだ。
「あ、アタシも友希那と一緒に行こうかな~」
するとそこに、助け舟を出すように今井さんが挙手をしながらそう言ったので、食料の確認は湊さんと今井さんの二人の担当になった。
(と、なると残るのは地理関係の把握か)
俺が組む相手は、必然的に氷川さんとになる。
「では、私一人で地理の把握を行います」
「え……?」
しかし氷川さんは俺とは違うことを考えていたようだ。
「私とあなたで組んで行動するよりも、一人の方が動きやすいと思いますけど?」
「……」
氷川さんのどこか棘のある言い方に、俺は何も言えなかった
「ちょ、ちょっと紗夜。いくらなんでもそんな言い方しなくても―――」
「いや。良いんだ今井さん」
そんな俺の代わりに反論しようとしてくれた今井さんに、手で制すように言う。
(そういえば、相性悪かったっけ)
俺と氷川さんの相性はある意味最悪だ。
なので、こうなるのも当然と言われれば当然なのかもしれない。
(さて、となるとどうした物か……)
俺は色々と考えを巡らす。
荷物の回収を二人がかりとはいえ女性に任せるというのも気が引ける。
これこそ男手が必要なのではないか?
一方で、食料の確認も大事だ。
人手は多いに越したことはないし、俺が組むことで二人に少しでも安心感を与えることができるのではないだろうか?
最後の地理関係の把握も、十分に必要なことだ。
いつ救助が来るのか分からないこの状況下では、地理関係を把握することがどういうことを意味するのかは、俺でも分かる。
それを氷川さん一人にさせるのも、気が引ける。
たとえ相性が悪かったとしても、だ。
俺は、どの役割を担おうかを考え込むと、結論を出した。
(俺は―――
いかがでしたでしょうか?
これにて、昼パートは終了となります、
一話あたりの長さは、平均で2000文字程度(エッチシーンを除き)を予定しております。
最初の時に説明させて頂いた内容から本作について一部変更があります。
一日は『昼』『夕』の二パートから『昼』『夕』に加えて一部ではありますが『夜』の最大三パートから形成される方式に変更いたしました。
それに伴いまして、アンケートも昼と夜の二パートで実施させて頂く予定です。
詳細は活動報告の方で追記させて頂きますので、よろしければご覧いただけると幸いです。
さて、早速ですがアンケートになります。
主人公に取らせたい行動を選択してください。
得票数の多い選択肢の行動を主人公が取ります。
回答の期限は二週間後の3月11日までとさせて頂きます。
以下はヒロイン達のステータスとなります。
・湊友希那
【欲情】:通常
【親密度】:中立
・氷川紗夜
【欲情】:通常
【親密度】:緊張
・今井リサ
【欲情】:通常
【親密度】:中立
・白金燐子
【欲情】:通常
【親密度】:中立
・宇田川あこ
【欲情】:通常
【親密度】:中立
主人公が取るべき行動は
-
荷物の回収に行く
-
食材の確認に行く
-
地理の把握をしに行く