※この作品はR-18です。

少女とサバイバル生活と   作:TRcrant

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十一日目(昼)

「……とりあえず、やってみるか」

 

これ以上悪くなりようがないのなら、やってみることに越したことはない。

俺はあえて前向きにそう考えると、猛から届いたメールに目を通す。

 

(えっと、勾玉を神社に……)

 

俺は月明かりだけを頼りに、この間訪れた神社に向かって足を進めるのであった。

 

 

 

 

 

「―――きて。茂」

「ん……」

 

暗闇の中、俺は誰かに身体を揺すられる。

それによって、徐々に俺の意識はクリアになっていく。

 

「起きて、茂」

 

再び聞こえてきた少女の声に、俺の意識は今度こそクリアになっていく。

 

「あれ……リサ?」

 

俺の目の前に飛び込んできたのは、リサだった。

 

「おはよう、茂。やっと起きた」

「あ……悪い」

 

俺の言葉がおかしかったのか、リサはクスクスと笑う。

 

「別に気にしてないから大丈夫だよ。それにまだしたくもできてないから☆」

「そうか……っと」

 

俺は上半身を起こして軽く伸びをしながら相槌を打つ。

 

「それにしても、今日はずいぶんとお寝坊さんだけど、夜更かしでもした?」

「ああ……ちょっと夜風に当たりたくて散歩を、な」

 

リサの問いかけに俺はメールのことを言おうとしたが、誤魔化すようにそう言っていた。

どうしてそうしたのかは分からないが、そうした方が良いような気がしたのだ。

 

「ふーん。また誰かとチュッチュラブラブしてたと思った」

「チュッチュラブラブって……」

 

もう少し言い方があるんじゃないかとツッコみたくなったが、変に地雷を踏み抜くことになりそうだったので止めておくことにした。

 

「さ、早く着替えちゃわないと、紗夜が怒るよ。あ……そ・れ・と・も~、アタシが着替えさせてあげようか~?」

「ひ、一人でできるからいいっ」

 

小悪魔のような笑みを浮かべながら言ってくるリサに、俺は顔が熱くなるのを感じながらそう言うと、リサは顔真っ赤~と、クスクス笑いながら行ってそのまま部屋を出て行ってしまった。

 

(ほんと、リサには敵わないな)

 

彼女にからかわれていたことを理解した俺は、何問いも言えない敗北感に髪をかきむしると、いそいそと服を着替えるのであった。

 

 

 

 

 

「それじゃ……」

『いただきます』

 

俺たち六人は居間で朝食を取る。

テーブルの上には、昨日リサと燐子の二人が摂ってきた山菜と俺達が持ってきていた食料で作ったスープがある。

氷川さん達が病み上がりであることを考慮し、温かくて食べやすいものを作ったのだという。

 

(リサらしいというか……なんというか)

 

ギャルっぽい外見に反して家庭的で面倒見が良いリサに、俺は感心しながら、朝食であるスープを口にする。

スープはシンプルな味付けだが、それがかえって素材の旨味を引き立てている。

リサや燐子達の手際の良さが窺える。

 

「うまっ……」

 

思わず声が出るのも当然だろう。

 

「本当? よかった。ちょっと味を薄めにしたから大丈夫かなって心配だったんだよね~」

 

俺の感想に、リサが嬉しそうに微笑む。

 

「ええ、とても美味しいですよ」

 

と、氷川さんが俺に続いて感想を口にする。

 

「ええ……体が温まるわ」

 

と、湊さんも同意する。

 

「も、もう~。そんなに褒められたら照れるじゃん」

 

そんな皆からの賞賛の言葉に、リサは照れくさそうに頬を掻いている。

そんな仕草もどこか可愛らしい。

 

「スープおいしいよ! りんりん、リサ姉」

 

そんな彼女に、あこさんが満足気に感想を口にする。

それを聞きながら、俺ももう一口飲んでみるが、本当に美味い。

こんな状況下でこれだけのものが作れるなんて本当にすごい。

 

(こういう時ほど、女子力って大事なんだろうな……)

 

「ああ、本当に美味しいよ」

 

俺は改めてそう感じながらも、改めて感想を伝える。

 

「ありがとう~♪ でも一口飲む度に感想言ってたら、スープが冷めちゃうから早く食べちゃってね」

 

リサは照れ隠しなのか苦笑しながらそう言うので、俺たちは再びスープに口をつけるのであった。

 

(みんなでこうやって食事が出来るだけで、だいぶ救われるよな)

 

そんなことを思う、朝の一幕だった。

 

 

 

 

 

それぞれがスープを飲み終え、後片付けを済ませた後、俺たちはリビングに集まっていた。

今日の行動方針を決めるためだ。

 

「……皆さん、この島から出たくないですか?」

 

と、氷川さんが切り出す。

 

「っ!」

 

その言葉に、俺は無意識に息をのんだ。

 

「私も……思います。でも……」

 

燐子が遠慮がちに言った。

 

「でも、あまり下手に動くのは危険だと……思います」

「私もそう思うわ。今のこの状況で無闇に動き回るのは得策とは思えないわ」

 

燐子の意見に続くように、湊さんが冷静な分析を加える。

 

「無理に焦らなくてもいいんじゃない?」

 

そんな時唐突に口を開いたリサの発言に、室内の空気が一瞬凍りついた気がした。

風によってガラス戸が震える音だけがやけに大きく響く。

 

「今井さん……本気で言ってるんですか?」

 

眉間に深い皺を刻んだ氷川さんが鋭く切り込んだ。

瞳の奥には静かな怒りが宿っているように見えた。

 

「私たちは遭難しているのよ。こんな状況を放置して良いわけないでしょう」

 

氷川の声は低く抑えられてはいるが、明らかに苛立ちが滲んでいた。

その怒気が肌に刺さるように感じる。

 

「でも、別に全然困ってないじゃん? 食料も水もあるし」

 

リサは小さく肩をすくめながらあっけらかんと言う。

 

「それにさ……ここでみんなと一緒に過ごすのも結構楽しいなって思うんだよね」

 

リサが屈託のない笑顔を向けた途端、氷川さんの表情が一気に硬直した。

 

「そういう問題じゃありません」

 

氷川さんの声が一段階上がる。

 

「こんなところに留まっていても救助が来る保証なんてないわ! それに今は良くても冬になったらどうするつもりなの!?」

 

そこで氷川さんは一度言葉を句切ると、

 

「私たちは現実的に脱出の手段を見つけなければならないの。こんな呑気なことを言っている場合じゃありません」

 

と締めくくった。

 

「え~。でもさぁ……具体的に何をするの? 闇雲に動く方が危険じゃない?」

「ッ! このまま何もせずにただ空虚な日々を過ごし続けるのが、あなたの望みなんですか!?」

 

ヒートアップして立ち上がった氷川さんの声がリビング中に響き渡る。

それは、普段の冷静沈着な彼女からは想像もつかない激しい剣幕だった。

その迫力に俺は思わず息を詰めた。

 

「そんなこと言ってないじゃん!」

 

それを受けてリサもまた立ち上がって声を荒げる。

 

「ただもう少し冷静にゆとりを持って考えてもいいんじゃない? って話してるだけなのに」

「それが甘すぎると言っているんです!!」

 

氷川さんの怒号が狭い室内に響き渡った。

テーブルを挟んで睨み合う氷川さんとリサ、二人の異なる感情が激しくぶつかり合っている。

 

「氷川さん落ち着いて……」

「そ、そうですよっ。喧嘩は良くないですよ」

 

燐子とあこさんが仲裁に入ったことで、二人はいったん口を閉ざすが、それでも睨み合うように距離を保っていた。

リビングには重苦しい沈黙が漂い始める。

俺はどうすればいいか分からず、その様子を傍観することしかできなかった。

 

「ふたりとも」

 

そこでふと静かに発言したのは湊さんだった。

自然と全員の視線が彼女に集中する。

 

「確かにここからの脱出をしなければいけないのは紗夜の言うとおり。だけど今すぐ慌てて行動を起こすべきではないのはリサの指摘する通りよ。……二人とも、少しだけ頭を冷やしなさい」

 

と両者の主張をうまく取り入れつつ双方に矛を収めるような提案をした。

その柔軟な対応に氷川さんもリサも少しずつ気持ちが鎮まったようで、氷川さんは一言謝罪を口にするとスタスタとリビングを後にした。

それを受けてリサもまたリビングを後にすると、ドアの開閉音がしたので外に行ったようだ。

 

「……友希那さん」

「私たちも、冷静に考えましょ」

 

燐子の不安げな声を受けた湊さんは静かに答えた。

こうして、最悪な雰囲気のまま、方針会議は幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

(うーん。これはまずいな)

 

俺は一人リビングに残って、深く息を吐く。

俺の心境とは裏肌に、窓から差し込む太陽の光が温かく部屋を照らしている。

氷川さんとリサの衝突は、遅かれ早かれだったのかもしれない。

今回偶々この二人になっただけで、それ以外の組み合わせで起こっていた可能性だってある。

 

(とはいえ、このままってのも良くはないよな)

 

脱出云々よりも、人間関係の方が大事だと俺は思っている。

こういう状況下では特にそうだ。

だからこそ、氷川さんとリサの関係修復が最優先だと考えるのは妥当な結論だ。

だが、下手に片方に肩入れしてしまえば、もう一人の方の反感を買ってしまうかもしれない。

そうなると俺自身が新たな火種になる可能性だってある。

 

(もしくは、二人をそっとしておいてフォローに徹する、か)

 

いくら何でも、氷川さんとリサだ。

時間が経って冷静になればある程度自分で折り合いをつけられるはずだ。

そのあたりを信じて待つことも一つの選択肢かもしれない。

 

(いやでも……)

 

俺が仲裁に入った方が良い結果に繋がる可能性は十分にある。

しかし、

 

(俺なんかにできるのか?)

 

今まで人間関係の揉め事を解決してきた経験なんて無いに等しい。

そんな俺がうまく立ち回れる自信など微塵もない。

 

「どうすっかなぁ……」

 

俺は後ろに軽く仰け反って天井を見上げる。

その先に答えなんてあるはずもなく、俺はしばらく呆然と思考を巡らせ続けていた。

やがて、俺は一つの結論を出した。




今回は速めに投稿ができました。
もっとも、次話はいつ投稿できるようになるのかは分かりませんが(汗)

それでは、早速ですが恒例のアンケートに入らせていただきたいと思います。
主人公に取らせたい行動をお選びください。
得票数の多い選択肢の行動を主人公が取ります。

期限は、二週間後の12月4日までとさせていただきます。
皆様の貴重な一票をお待ちしております。

下記にヒロインのステータスを記載致しますので、ご参照ください。

・湊友希那

【欲情】:通常
【親密度】:中立

・氷川紗夜

【欲情】:過敏
【親密度】:緊張

・今井リサ

【欲情】:発情
【親密度】:中立

・白金燐子

【欲情】:過敏
【親密度】:中立

・宇田川あこ

【欲情】:過敏
【親密度】:友人

主人公の選択は―――

  • 氷川さんのフォローをする
  • リサのフォローをする
  • 時間の解決に委ねる
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