※この作品はR-18です。

ドワ姫様は見た! まさか民衆の憧れでSSランク冒険者な凛々しい王子様系ボクっ子狼娘さんと傲岸不遜な俺様系オレっ子竜娘さんの正体が、チン媚びと雄貢ぎ大好き♡ 雄様絶対服従のえっち専用ペット雌だったなんて   作:デイジー亭

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1 プロローグ ドワ姫さまの楽しい旅路

「うーん、キミたちが何を考えているのか。ボクにはいまいちわからないや」

 

『『『ギィィィィィッ!!??』』』

 

 白銀が踊る。その両手が握るのは、陽光を反射して煌めく騎士甲冑の印象通りの大剣と……些かイメージに合わぬ、緩く湾曲した独特な剣。東の果てで、『カタナ』と呼ばれるそれ。二振りの軌跡が閃いて、鮮血舞う死の舞踏は続く。主役たる鎧のソードダンサーは、その重さなど感じさせぬほど軽やかにくるくると舞い……薄汚い悲鳴の歓声を、不遜なるバックダンサーたちに強要する。

 

「ははっ! 何も考えてねぇんだろうよっ! オラ退けッ! てめぇごと燃やされたくなきゃぁなァッ!」

 

「キミね。そういうの、良くないと思うよ? まぁ……汚物は消毒するに限る。その点についてだけは、全面的に同意するけどね」

 

「いちいちうっせぇんだよオイ! お利口さんだ、お仕置きだァッ! あぐっ……ゴォアァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「おー、燃えた燃えた。臭いからやめて欲しいんだけどねぇ」

 

 輝く白銀の下、不思議そうにしばたたせる金銀妖瞳(ヘテロクロミア)が宿す二色が真紅と交わり飛び去る。この身には少々馴染みの無い、烈火のように乱雑な言葉遣い。長い炎髪が翻り、上質な魔法使いの衣……些かその、露出度が高すぎてボリュームある肢体がそこかしこから覗いているが。それを仰け反らせる真紅の化身が吐き出す浄滅の焔は、我が身を脅かす不届き物どもの一切合切を火葬した。

 

「けぷっ……しゃあねえだろ。森を汚すわけにはいかねぇ」

 

「立派な広場になっちゃったけどね。これ、戻るのに年単位は掛かるよ?」

 

「エルフどもに文句を言われたこたぁ無ぇから大丈夫だろうよ。薄汚い血がコビりついた土を弄るより、綺麗に焼き畑してやった場所で植林に勤しむ方が楽しいだろ多分」

 

「うーん、おおざっぱ。キミ女の子としての自覚ある?」

 

「お前に言われたかねえよ、王子サマ?」

 

 そして白銀と真紅が眺めるのは、うっそうと茂った森に拓かれた陽光差し込む炎上スポット。また観光地になるのであろうな……炎が収まった後に。何せ彼女たちは人気があるし、獣ですらもうここには立ち寄らぬ。わかるのだ、彼らにも……絶対強者たちの残り香が。今日幾度目かの戦闘でも、汚れの一つも装束に見当たらぬ輝かしき二人。

 

「二人とも、ご苦労だったのじゃ。SSランクの称号に違わぬ実力を、存分に堪能させてもらっておる」

 

「ほら、王女サマもご満悦だ。てめぇは細かいことを気にし過ぎなんだよ、自慢の毛並みがハゲるぜ?」

 

「恐縮です、プリンセス……キミも頭を下げなよ、ふんぞり返ってないでさ。キミが大人しくなってくれば、ボクのストレスも緩和されるんだけどね?」

 

「やだ」

 

 小言を言われると短いスカートに手を当て、逆に仰け反り豊満と炎髪を掻き分けそそり立たせる双角。彼女のシンボルをおおいに見せびらかす傲慢の化身。謙虚なる相方は、申し訳なさそうに軽く会釈する。だが腰は決して曲げぬ……光り輝く白銀の下、我が身を金銀が貫くだけ。この瞬間が堪らぬと言う者もいる、その至上の光景を眺めるだけで終生の栄誉であると。

 

「うむ、態度がデカいし背も高い! 許すぞ、わらわの輝かしき頭頂部を見下ろすのもな! だからちょっと屈んでくれんかのう……? 首が痛いのじゃ」

 

「あ、ごめん。ちっちゃいもんな」

 

「おっぱいはデカいけどね」

 

「正直者よのう! これで強くなければ、おしりをぺんぺんしてやったところよ!」

 

「「マイペースな王女様(サマ)だなぁ……」」

 

 カカカと笑うこの身に、ようやっと目線を合わせてくれたのも高ポインツ。いい、とても良い……大枚叩いた甲斐があったというもの。彼女たちが手すきなのが幸いであった、何の心配もいらぬ。ギルドが認定できる最高ランク。認定をせざるを得ないともいう……ヒトの限界を超越し、実力を凡愚では測れぬ到達者たち。SSランク冒険者など、この世界に両手で数えるほどもおらぬ。

 

「何といっても贅沢じゃ! 贅沢はいい……酒には勝てぬがな! 持って参れ、祝杯じゃ!」

 

「今日何度目ですか、魔獣に襲われた数より多いですよね?」

 

「相変わらず大物だぜ、この王女サマ。どれ、オレも一杯」

 

「飲酒戦闘はやめろって言っただろ? 次の街に着くまで我慢しなよ」

 

「火力が上がるってもんだ、潰れたらてめぇ一人で戦え……おお、うめぇ!」

 

 先ほど残った酒精に引火して焦げた名残も残さぬ紅色のくちびると、鳴らす喉の褐色が眩しい……うむ、ここも素晴らしい! 礼儀正しい白銀も良いが、真紅はもっといい。酒の誘いを断らないのは、わが国において重要な処世術である……ドワーフの国には、いつも乾杯の声が鳴り響いておる。酔っぱらって鍛冶するのは当たり前、むしろ無くては手が震える。

 

「相変わらず良い飲みっぷりじゃのう! どうじゃ、そろそろわらわの側仕えとなるのは!?」

 

「残念ですが、ギルドから禁じられているので……これも何回目ですか」

 

「オレたちは飼い慣らせねぇ……そういう決まりだろうがよ」

 

「残念じゃ、しっかりしておるのう! では引き続き、豪勢な旅を満喫するとしよう!」

 

「かしこまりました。おさけ……」

 

 御者を務める侍女に再出発を告げ、なみなみと火酒を注いだジョッキ片手に煌びやかな馬車に腰掛ける……こやつもう手綱を握る手が震えておるわ! しょっぱなから横転させたお仕置きに、禁酒を申し付けて半日しか経っておらぬのに。スリリングな体験であったが、さすがに呆れて帰られてはかなわぬ。豪放磊落・細かいことを気にせぬのが我らドワーフといえど、よそ様がそれに合わせてくれるとは限らぬのだ。

 

「わらわをゴム毬のように跳ねさせて、何を申すか。吐いていたらさすがのこの身とて、ちょっと怒っていたかもしれぬ」

 

「ドワーフって、みんなこんな感じだよね」

 

「心が広いっつーか、豪快って言うか。ちっちゃいのに包容力がありやがる……見ろよあの乳。オレぐらいあるぜ?」

 

「うむっ! わらわは社交の場でも大人気であるぞ! この間など、垂れたヨダレが乳谷間で泉を作ったわ! さすがにブン殴った」

 

「おおいに吹っ飛んだのが、目に浮かぶようです」

 

「そうじゃろう、そうじゃろう!」

 

 小型にてハイパワー。飲み干す酒を原動力として、男も女も鍛冶をする。ついでに家事は片手間にする……それは国の宝石と讃えられるこの身とて例外ではない。それが伝統、それが生きる道。ちっちゃい身体とド爆乳。ぷにぷにでむちむちなのが人気の秘訣。ドワーフは人気があるのだ……燃費はクソほど悪いので、この谷間に抱くのは甲斐性溢れる男だけ。貧乏人はぶんぶん回す、ちっちゃなおててでノーセンキュー。

 

「政略結婚って、もうちょっと悲壮感のある物だと思っていたんですけど……王女様の場合、いっつも陽気なノリですよね」

 

「酒と鍛冶場が有れば良い! うまい肴があれば満点よ! 見ておれ、今度こそ最高の幸せが我が身を包むさまを!」

 

「やっぱ半端ねぇ……オレこの王女サマ、好きになっちまいそうだ」

 

「なっても良いぞ、よしよししてくれよう! さぁ待っているがいい! わらわがご奉仕してくれようぞ、未来の旦那様よ!」

 

 通る街道全てが花道。露払いには最高級の冒険者を。酒を浴びるように飲みつつ、希望にデカ乳膨らませる。我がドワ生は希望に満ちておる……絶望させられそうになったら、馬鹿をブン殴って帰ればいい。よもや寝室の奥でじっとしておれとは言うまいな? 言われた瞬間逃避行の開始じゃ、こやつらをまた護衛としてつけてくれよう。

 

「黄金の姫は魔性の輝き……手に入ると暴れ出すから。これで何回目の嫁入りでしたっけ?」

 

「数えておらぬ! 父上ももう、半ば諦めておるわ!」

 

「初夜前離婚の原因は?」

 

「前祝いに飲ませた途端、急性アル中でブッ倒れてな……軟弱な男どもよ。殴る暇すらありはせぬ」

 

 これで何度目かなどと、細かいことを気にしよる。些細なことを考えると、背が伸びぬぞうるさいわ。わらわより背が高いこやつらって、とっても無礼。つまりホビットども以外はだいたい無礼であるのだ……心も広くなろうというもの。ドワーフ嫁を貰うというのに、酒に弱いという究極の無礼以外はだいたい許す。

 

「そりゃあ火酒はドワーフと、竜族以外にはキツいでしょうし」

 

「オレもちょっといい気分だぜ。火葬が派手になりそうだ」

 

「よいぞ、景気が派手に点く! おぬしもどうじゃ、そんなところに潜んでないで!」

 

「俺はサポート役だぜ。キヒヒッ……」

 

「良いぞ、近う寄れ! ギンギラギンでとても良い!」

 

「「……」」

 

 金貨の鳴る音など大好物。だからこやつも参加させてくれよう、べろべろ舐め回す唾液でヌメるナイフだって輝かしい。木陰で佇んでいたパンクな男のじゃらじゃらとブラ下げるアクセサリーの数々は、何製であろうか……? 金属ではないが、上等の高級品であることは確か。こやつ、わかっておる……胸板をさらけ出す豪快さもとってもクール。おや、二人が顔を見合わせた……? どうしたのであろうか。 

 

「コト―。後始末の首尾は?」

 

「キヒヒヒ……上々だぁ」

 

「やはり気の利く男じゃのう! ところでおぬし、ランクは何じゃったかのう?」

 

「Aだぜ。俺はよわっちいもんで」

 

「そうかそうか! 人族じゃもんなぁ! 偉いぞ、地道に頑張ったんじゃな?」

 

「ケヒッ! 照れるぜ」

 

 声を掛けると屈める腰と、ヨシヨシするふさふさとしたモヒカン。クールで気が利くパンキッシュ。こいつもとても良い……己の身の程を弁えておるし、Aランクは人族としては最高位。きっととても苦労したんじゃろう、頑張る物には褒美を与えねば。抱きしめてはあげられぬが、ちっちゃな手でのなでなではとても人気がある。ママみがあると、国民にも大評判である。

 

「ねぇ、ルージュ? ボクちょっと思ったんだけど」

 

「奇遇だな、ジルバ。オレもそれに思い至ったところだ」

 

「上客だけど、いいよねコレ」

 

「極上もんだ、あり得ねえほどにな……それに、一向にコト―を馬鹿にする気配がねえ」

 

「む? どうしたのかや? 二人とも」

 

 白銀と真紅が身を寄せ合う……なんという大サービス! 仲があまりよろしくない二人が頬をくっつけるサービスショットなど、見た者は限られているのではあるまいか。冒険者パーティ『†終焉を告げる輝き(ラグナロッカー)†』の表看板たる二人が、ピコらせる狼耳と微かに揺らす龍角。白銀と真紅の髪が交わり合い、えも言われぬ陽光の乱反射(プリズム)を引き起こす……うおっ、まぶしっ。

 

「時に王女様、今回国を出る時父君は何と? ボクたち、王城ではよろしくって言われましたけど」

 

「快適に出来るだけ長く旅行を楽しめと言っておった! 今度こそ帰ってくるなともな!」

 

「王女サマって姉妹は?」

 

「居たぞ? 全員嫁入りしたがな! わらわが唯一の売れ残りよ、ガッハッハッ!」

 

 ううむ、気分がいい。ハンサムな美貌の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)と、野生的かつ妖艶に煌めく真紅のルビー。極上の宝石の輝きに揃って見下ろされると、堪らぬ愉悦。添え物の黒いまなざしが、チラッチラこちらを見てくるが……黒曜石(オブシディアン)と思えばアガッてくる。何、宝物の輝きを楽しむ権利は誰にでもある。わらわの機嫌を損ねる方が難しいと、侍女たちも気軽にパイタッチしてきよる。

 

「売れ残って問題はねぇのかよ?」

 

「国民はわらわに夢中よ、視察の飲み会ではいつでも大歓迎じゃ!」

 

「王女様、鍛冶の腕は?」

 

「拵えてやったじゃろう、その腰の物を! まったく、製法が未知数故試行錯誤の嵐であった! ドワーフの王族が手ずから下賜する品は、全てお手製じゃぁっ!」

 

 その身を包む白銀の甲冑は、さすが我が国の名工と言ったところであるが……やはり武器を鍛(う)ってこそのドワーフ。大剣は父王が、カタナはわらわが。SS級冒険者の使用にも存分に耐えうる、我が技術の粋を大胆にブチ込んだ代物である。恥ずかしい物など握らせるわけにはいかぬのだ、ドワーフの誇りゆえに。極東の知恵を得られたので、収獲もあった。もしブチ折れたら次はもっと良い物を鍛(う)ってくれよう。

 

「コレ、王女様が作ったんですか!? 言ってくれればいいのに!」

 

「そうじゃよ? 言うまでもなく、わらわの腕が良く出たイイ刃紋じゃろ。酒の肴にも良い、ぐびぐび……」

 

「おいおいマジか。鍛冶の腕はヤベェな……家事は?」

 

「出来ぬはずがあるか。マズい肴にごちゃごちゃした愛の巣じゃと、夫婦の宴がしらけるじゃろうが」

 

 驚愕にまんまるになった宝石たちに、ますます酒が進む。抜き放たれたカタナに注がれる、賞賛の視線が誇らしい。陽光を妖しく照り返すそれは、決してこやつらに劣らぬ至上の煌めきを宿す……うむ? 些か欠けが見える。後で手入れしてやらんと。まったく腕の振るい甲斐がある……鍛冶屋泣かせというのは、得難い上客であるのだ。

 

「王女様、今なんさい?」

 

「五十はとうに超えておる。わらわたち、死ぬまでこのまんまよ」

 

「マジかよ、いつまで経っても垂れる様子が無いと思ったら……オレたちより二回り以上に年上!? 永遠の低身長ぱつムチド爆乳合法ロリとか、ありなのかよ!」

 

「酒じゃ、酒がわらわたちに無限の活力をもたらすのじゃ。あとおぬしたち、嫌みかや? デカいんじゃ、もうちょい屈まんか」

 

 こやつら馬鹿にしおって……S級だったころから変わらぬ。この身を見下ろす視線の高さが、どんどん無礼になっていく。男のドワーフの平均身長どころか、人族よりもだいぶデカい。心の広いわらわでなくば、輝き放つ極上原石を見逃したであろう。きっとそう、メイビー……訪れるたび国民たちから総出で歓待されるという事実には、大胆に目を瞑る。ねむい。

 

「金属以外の加工に知見は? 例えば、角とか牙とか」

 

「おぬしのそれ、繋ぎに魔獣の素材も使っておるぞ? 鉱石は確かに硬くて重くてぴかぴかでサイコーじゃが、単体だと粘りが足りぬ」

 

 ジルバ&ルージュ。中性的で理性的で騎士道精神に溢れる白銀は、すらりとした肢体を甲冑に包む銀狼の末裔。盾などという軟弱な物を持たず、通常バランスを取るのが難しいであろうカタチの違う二振りのみを両手に携える。そこから放たれる死の剣舞(ソードダンス)と、金銀妖瞳の輝きのみが魔性を宿して見る者全てを魅了する。そのハスキーな落ち着いた声と、にかっとした時に口端から覗くギラつく牙がチャームポイント。

 

「コト―を見てどう思う?」

 

「ヒャーオ! どうだぁ、このナイフ捌きは!」

 

「いつもとってもクール。おぬし、ジャグリングも出来るんじゃなぁ。わらわ専属の道化師(ピエロ)とかどうじゃ」

 

 相方の真紅も素晴らしい。口は悪いが、それは実力に裏打ちされてのこと。誰も文句など言いはせぬ……その褐色の繊手から放たれる魔法の数々はあらゆる者の目を虹の色で眩ませ、トドメに魔法使い詐欺なドラゴンブレス。真紅を超えて白く輝く烈火の熱量は、それで鍛冶をしてみたいと思うほど。艶やかな響きを奏でるくちびると、豊満な肢体を包むちょっと露出度の高すぎる衣装。その猛々しい龍角に小突かれ、罵られたいと思う男衆が津波のように押し寄せる。

 

「ねね、ルージュ。やっぱり」

 

「ああ、優良物件に過ぎる……むしろオレたち、何でコレを今まで見逃してたんだ?」

 

「酒臭いし、こういう時以外……謁見の時ですら、いつも色気のない鍛冶着だし。ちっちゃな手がいつも汚れてるからじゃないかな」

 

「なるほど、納得だぜ」

 

「正直じゃのう、そこがイイ! くはーっ、うまいっ!」

 

 ドワーフが酒臭いのなど当たり前、自然の摂理と言えよう。鍛冶場にドレスを着て行く馬鹿は居ないし、至高の芸術にして実用品を打ち鍛える手が汚れるのは誇り。褒められると照れる……酒がますますぐいぐい進む。乱発される自尊心をくすぐる言葉の数々に、わらわもう酔いつぶれてしまいそう。

 

「コト―、いいよね?」

 

「ケハァーッ! オラッ! ダーツもしてやんよ!」

 

「うっひょうっ! 出し物が豊富じゃなぁ! 次はあのリンゴを見事射落としてみせよ!」

 

「聞いちゃいねえぜ、相性が良すぎる」

 

 ひゅんひゅんと飛んでくナイフの群れで、そこらへんの立木に描かれた二人の顔。デフォルメが効いていて、思わずズボンにおひねりもネジ込んじゃう。こやつ他の国に訪れる時は、一人だけ邪険に扱われておるらしいが……こんな楽しい生き物、側に置いてやらねばかわいそうではないか。人族差別など馬鹿らしい、幾ら弱くとも面白ければ上物。婿には出来ぬが、ペットにはとても良い!

 

「……ルージュ、次の街でや(・)る(・)よ。まったく、自分たちの馬鹿さ加減にくらくらするね……こんな美味しそうなの、放っておいちゃいけないよ」

 

「よし来た、いつもの流れで?」

 

「はいっ! はいっ!」

 

「良いぞ良いぞ! おひねり追加じゃぁっ! げぇぇぇぇっぷっ!」

 

「……要らないねこれ。今夜も勝手に酔いつぶれるよ」

 

 リンゴどころか美味そうな鳥まで降ってきた。今夜は焼き鳥……! 腕を振るってくれよう、王家秘伝のタレで! 極上の夜宴を、頑張ってくれる冒険者たちにプレゼンツ。大盤振る舞いを欠かすことは、ドワーフとしてあり得ない。狩まで出来るこやつにも、パイタッチまでなら許してくれよう。なぁにわらわは心が広い、調子に乗ったらブン殴ればよい!

 

「間違いねぇ。お預け喰らって可哀そうな御者も、夜にはすげぇ勢いで飲み干すだろ」

 

「お、おさけ……! おさけを……!」

 

「ドワーフって、よくこれで絶滅せずに生きてこれたよね」

 

「だって役に立つじゃん。ほっといたらどんどんイイもんを産み出して、本人たちも陽気で楽しくて……おまけに女は全員デカ乳で合法ロリ。滅ぼす意味がねぇ」

 

 ごとごと動き出す馬車……む? 出発かや? だがとっても低速で、酔いどれたこの身に優しい景色の流れ。大満喫、大満喫じゃ……! 目の前を歩みつつ、モヒカンが繰り出す大道芸の数々は国の芸人にも決して劣らぬ。街に着けぬかもしれぬが気にしない。野趣あふれるキャンプファイヤーで、今夜もきっと酒がうまい! 

 

「おまけにブチ切れたら総出で襲い掛かってくるもんね……取り扱いに気をつけないと。じゃ、のんびり行こうか」

 

「ああ、コト―の邪魔をしちゃいけねぇ。楽しそうだなぁ……オレも早く喜んでもらいてぇよ」

 

「よいぞよいぞ!」

 

「ケッヒャァァァァ―!!」

 

 こうして、わらわ……ドワーフの国の至宝たるクローチェ・スミスハルトは狡猾な罠により、囚われの身となったのだ。おのれ、なんと悪辣な……こんなの誰だって、引っかかってしまうではないか。二日酔いなどはしないが、目覚めるとぼんやりと映る違和感のある景色。具体的には地下室に鎖で繋がれ目覚めたわらわは、しょうがないので大人しく酒をオーダーすることにした。迎え酒が欲しい。

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