※この作品はR-18です。

好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか?   作:なおちー

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ちょりーっす。いつも通り気が向いたときに更新していきます


アーニャのことが大好きなのに……

「プロデューサー、今日の、私の歌、どうでしたカ?」

 

「ああ、もちろん最高だったよ。前よりも声が出るようになったんじゃないか?」

 

「うふふ。うれしーです。それじゃあ、ご褒美をくれますか?」

 

アナスタシアはレッスン場から出てすぐの廊下でプロデューサーと

抱き合っていた。少し前までは頭をなでるくらいだった関係も、

今では人通りのある廊下でさえ抱き合ってしまう始末。

 

アーニャは大好きなプロデューサーへの気持ちを抑えくれなくなったのだ。

 

(くそっ……髪の毛の良い匂いが……こらえろ……こらえるんだ)

 

プロデューサーは、この可愛くて素直なアーニャを抱きくて仕方なかった。

銀色に輝く髪、少しだけ火照った頬。

色素が薄いので頬が染まるといっそう美しく見える。

 

身長は165センチと中学生離れした長身だが顔つきはあどけなく、

性格は素直で言われたことはきちんと守り、

いつだってこちらが教えた以上の成果を出してくれる。

そんなアーニャのことが可愛くて仕方ない。

 

「プロデューサー……」

 

さらにギュッと体を押し付けられる。

思わず彼女のお尻をなでてくなるが、手が空中でプルプル震える。

 

彼のアソコは、フルボッキしていた。

 

アーニャは実は彼のズボンの一部が硬くなっていることを知っていたが、

あえて言わないでいた。それは女として嬉しいことではあったが、

決して油断できるわけではない。

 

この事務所にはアーニャのプロデューサーを陰で狙っている女が何人もいる。

そう。アーニャだけのプロデューサーを。

 

「あー、プロデューサーさ~ん」

 

「!?」

 

プロデューサーは急いでアーニャから距離を取る。

 

「こんなところにいたんですか~。

 外回りはとっくに終わってるはずなのに事務所にもいないから、

 どこにいるのかなって思ってたんですよ~」

 

「あ、ああ。愛梨か。ごめんな。ちょっとアーニャの

 ボイスレッスンに付き合ってたんだよ」

 

愛梨のいつもの笑顔が少しだけ固まる。

機敏なプロデューサーは確かにその様子が分かった。

 

「……またアーニャちゃんですか」

 

「え?」

 

「なんでもないですよ~!!

 それよりぃ、アーニャちゃんはもうプロデビューして長いんだし、

 CDだって売れてますから、これ以上プロデューサーさんが

 べったりする必要はないんじゃないかなって思いましたけど……」

 

その次の瞬間、天真爛漫なはずの愛梨と、素直でかわいいアーニャとの間で

鋭い視線が交差し、目には見えない火花が散った。

プロデューサーの黒髪の毛先が「チリチリ」と音を立てる。

 

「私の歌は、まだまだでーす。プロデューサーに、

 もっと歌の指導をしてもらいたいです」

 

「そうかな? 私はね、全然そんなことないと思うよ~。

 アーニャちゃんはもう一人でも大丈夫だよ。

 私と違ってアイドルランクも高いトップアイドルさんだもんね。

 これからはプロデューサーなしでも頑張れるはずだよね~」

 

「そ、そんなことは……」

 

「え? なに? なにか言った?」

 

「わ、私は!! プロデューサーと一緒に居たいです。

 ずっと一緒に居たいです!!」

 

アーニャは怖くて震えていた。

愛梨の大きな瞳から光が失われる。

プロデューサーは手の震えを抑えるのに必死だった。

 

「んも~。最近のアーニャちゃんってほんとに人の話を聞かないよね。

 プロデューサーさんからも何か言ってあげてくださいよ~」

 

「俺がって……どういうこと?」

 

「部長さんからも先月からずーっと言われてましたもんね。

 アーニャちゃんはアイドルとしての素質は天才的、自分から

 売り出さなくてもテレビ局からオファーが殺到してるから

 いっそセルフ・プロデュースしてくれた方が会社的にも

 助かるって。私もそう思いますよ~」

 

それは、愛梨や事務員のちひろ(嫉妬の鬼)を始めとして

反アーニャ組の女性達による嫌がらせだった。

 

残酷なことにこの件に部長は完全に賛成しており、

部長の上司に当たる常務にまで話が伝わる寸前の段階になっている。

 

会社の人間たちはこう言っているのだ

「あのふたりが公然とイチャついてるのが目障りだ」と。

 

 

「愛梨。ちょっと待ってくれないか」

 

プロデューサーが震える拳を固く握る。

 

「アーニャはまだ15歳の子供だ。それに北海道からこっちに出て来て

 さみしいってのもあるんだよ。アーニャはな、俺がそばにいないと 

 どうしても頑張れないっていうから、な? 分かってくれよ。

 あと少しだけ、あと少しだけでいいんだ。この子のそばにいてあげようって思うんだ」

 

「その言い訳、先月も聞いたよーな。気のせいですかね?」

 

「あ、そうだったかな」

 

「プロデューサーさんって、困ったときは自分の後ろ髪をなでますよね」

 

「……そうかい。自分では意識してるつもりはなかったんだけどな」

 

「私が話をしても無駄みたいですから、もう行きますね。

 続きは部長や常務を交えてどうぞって感じです」

 

「な、なんだって? なんで常務にまで話が行くんだ?」

 

「さあ私は上の人たちの考え方までは知りませんから。それじゃあ」

 

「愛梨っ!! 頼む。もう少し話をさせてくれよぉ!!」

 

 

廊下を早歩きで進む愛梨の背中が、どんどん遠ざかっていく。

 

プロデューサーは、めまいがした。

 

――いったい、何がいけなかったのか。どこで道を誤ったのか。

 

アナスタシアのプロデュースに力を入れ、彼女がトップアイドルへの

階段を順調に歩むようになってから、お客さん達の反応とは逆に

どんどん事務所内の空気が悪くなっていった。

 

アーニャが泣きながらこう訴えたことがあった。

 

 

『同僚の皆さんから、いじめを受けてるんです』

 

 

始めは、ささいなことだった。

同じくプロデューサーの担当アイドルの一人である鷺沢文香から

挨拶をしても無視されるようになったり、相葉夕美が淹れてくれる

高級そうなハーブティが、なぜかアーニャの分だけ用意されてなかったこと。

 

それらは、次第にエスカレートしていった。

 

みんなでソファに座って談笑する時にアーニャだけが無視されるようになった。

アーニャを嫌うのは全員ではなく、一部の女子大生組や事務員のちひろだった。

特にアーニャを嫌うのは十時愛梨だった。

 

 

愛梨がいつものようにアップルパイやカップケーキを焼いてきた時、

アーニャはボルシチや和風なお弁当を作って来てプロデューサーに渡してしまう。

 

プロデューサーは両方食べると笑いながら言うが、

最初に食べるのは決まってアナスタシアの作ってくれた方だ。

 

それは些細な事だったが、

同じことが何度も繰り返されると愛梨に不満が溜まる。

 

十時愛梨は天然系で知られるアイドルだが、その本性はやはり女であり、

自分な好きな男を堂々と奪おうとしてる子猫に対しては容赦がなくなる。

 

プロデューサーは、そんな愛梨の気持ちを知ってはいながらも、

営業成績を出さなければいけない立場ではどうすることもできなかった。

今の彼にとって稼ぎ頭のアナスタシアを手放すなど考えられないことだった。

 

 

「愛梨!! こっちを向いてくれ」

 

「んぐっ……あわっ。きゅ、急にどうしたんですか!?」

 

 

プロデューサーは、誰もいない会議室に愛梨を連れこんで扉に鍵をかけ、

愛梨にキスをしてしまう。運命の歯車が狂ったのは、この日からだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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