好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか? 作:なおちー
プロデューサーの独白が続く。
「コロナがきっかけであの女にメールもしなくなったな。
コロナ前はこっちから送ることはたまにあるんだが、返事が来るのが
2か月先になることもあった。しかも内容がそっけないときたもんだ。
その返事の仕方で何となくわかったよ。きっと俺が嫌いなんだ」
プロデューサーが明らかに嫌そうな顔をしながら話すものだから、
逆に質問しづらくなってしまった。確かに彼女達からしたら
絶対に知らないといけない情報ではある。
しかし彼の昔の女(形式上は妻だが)の話を聞いても楽しいわけもなく。
不思議なことに彼は自分の娘の話を一度もしてないのだが、
それについて突っ込む余裕のある人はいなかった。
「もう昔の話はやめましょう」
アーニャが彼に身を寄せる。
「プロデューサーは、つまり今は独身です。そうですよね?」
彼女の意図をすぐに察したプロデューサーがにっこりと笑い、
「最初から言ってるだろ。俺は独身だ」
「私はプロデューサーの昔のことは気にしません。
プロデューサーのことが大好きです。ずっと一緒にいたいです」
「ありがとう。俺もアーニャと一緒にいたい」
ふたりは満面の笑みで見つめ合った。
プロデューサーは、今すぐこの子をここで抱いてしまいたくなった。
年齢はあれだが、もうアイドルじゃないから関係ない。
今すぐちひろに空いてるベッドをお借りしたいくらいだ。
「あまり調子に乗るのもその辺にしてくれるかな」
夕美がプロデューサーの肩をつかんで車いすごと後ろに引かせる。
「アーニャちゃん。今の彼は私の夫なの」
プロデューサーは驚いた。
夕美はプロデューサーの過去に失望すると思っていたのだが。
それで関係がこじれてしまって別れるならそれでもいい。
むしろその方がお互いのためではないか。
「だからね、アーニャちゃんは、
彼を自分の夫だと思っちゃダメなの。わかる?」
「わかりますよ。私はそれでもかまいません」
「はい?」
「夕美がプロデューサーの新しい奥さんなの、分かります。
ですから私は、プロデューサーの恋人でいいです」
最初は日本語の意味が分かってないのかと思ったが、
アーニャは純粋なだけで決して馬鹿じゃない。
「争うの、良くないです。皆でプロデューサーを分け合いましょう。
夕美も私もちひろも、皆で仲良くしましょう」
「へ~~。アーニャちゃんがそんなこと言うなんて思わなかったよ」
「夕美は、どう思いますか?」
「いやどう思うって言われてもね」
「私は明日からプロデューサーの家で暮らしたいです。ダメですか?」
夕美は難しい顔で長考した後、
「……仕方ないな。アーニャちゃんは彼の病気の件があるから特別に認めてあげる」
「ほんとですか!! うれしいです」
「言っておくけど夜彼と一緒に寝るのは私だよ!!
彼と結婚するのは私なんだからその辺は考慮してくれるよね?」
「こうりょ?」
「配慮ともいうね。私に気を使ってくれるかなってことだよ」
「はい。いいですよ」
アナスタシアの態度はあまりにも従順すぎる。
それに常に笑顔だ。逆に怒鳴ってる夕美の方が大人げない気持ちになって来た。
結局その話の流れで三人は同じマンションに住むことになった。
ちひろは笑顔でその件を了承してくれた。
正妻が夕美で恋人がアナスタシア。
共同生活が始まる前から破綻しそうな関係であることに、
この時点で誰も気づいていなかった。
ちょうどてっぺん(12時)を過ぎていたので
その日はちの高級マンションで全員が泊まることにして
翌朝プロデューサーのマンションへ移動することになった。
新しい修羅場を迎えるために。