好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか? 作:なおちー
「プロデューサー……またパソコンをやってる」
夕美は、パソコンで決算書類を印刷し続ける彼を遠目に見つめていた。
ちょうど決算発表のシーズンだったのでプロデューサーは多忙だ。
キヤノン製のプリンターがうねる。すごい量だ。いったい何枚印刷すれば気がすむのか。
彼は印刷した書類を分類してホチキスで止め、クリアファイルに
入れてから机の上に並べ、気になる内容のものから読んでいく。
黒縁の眼鏡をかけて書類を読む彼。片手にボールペン。机には電卓。
夕美にとって残念なのが彼が今頭を使ってることが、
かつてのアイドル事業と全く関係ないことだ。いや今思い出したら
彼が事務所で頻繁にパソコンを使ってるイメージはなかったかもしれない。
彼は営業先(テレビ局など)に出向く時は、かなり大きめのビジネスバッグを
持っていた。夕美が撮影に仕事中に彼が夕美のことなど全く見ずに
手元のIPADに夢中で何かやっていたことがあった。
本人に訊いたら来月のスケジュールを組んだりメールの返信をしていたとのこと。
実際は何をやってたのか分からない。もしかしたら別の仕事をしてたのかもしれない。
凄いと思うのは彼が組んだスケジュールが破綻したことが一度もないことだ。
アイドルの担当人数4人と少ないが、先方とのやり取りも含めて
完璧にこなしていたようだった。特に電話対応の仕方はプロだった。
「ねえプロデューサー。今忙しいの?」
「夕美? いたのか」
「私はずっと扉の前からプロデューサーさんのお仕事部屋を覗いてたんだけど」
「……ちょっと集中してたからな。すまない。
それで夕美の新しい所属先の方はどうだった?
今日はお世話になる新しい仲間のところに挨拶に行ったんだろう?」
「担当の武内Pって人、全然笑わないからちょっと怖い人なのかなって思ったけど
話してみると堅いだけでそんなに悪い人じゃなさそうだったよ。
新田美波ちゃんや本田未央ちゃんも私のことすっごく歓迎してくれたの」
「それはよかった。武内君は人見知りっつーか、駆け出しのころに何人かの
アイドルに逃げられて痛い目見てるから自分からアイドルに心を開くタイプ
じゃないんだよ。まっそのうち慣れるさ。仕事は一流だって評判だから安心しろ」
「ありがと。プロデューサーが紹介してくれたおかげだよ」
「あはは。俺は何もしてないんだけどな。夕美の実力だよ」
相葉由美は一度はアイドルを辞めようと思ったが、五体不満足の
プロデューサーとの共同生活を考えたら無収入なのはまずいと思い、
芸能活動を続けることにした。
本当は芸能以外のアルバイトでも探そうかとも思ったが、
夕美自身まだまだ若いし魅力があると思っていたから、
プロデューサーから励まされたのもあって、もう一度頑張ってみることにした。
ふたりの会話の中に出てきた武内Pとは、アニメ版に登場した彼のことだ。
「パワーオブスマイル」を提唱して三城常務に真っ向から対抗した大物である。
少し意地悪な見方になってしまうが、現実的に考えるといち営業マン如きが
取締役員の経営方針に従わないなど組織としてはありえないのだが。
それにアイドル達の気持ちはどうであれ、
三城常務の営業方針は、数字を狙う上でおそらく正しかった。
仮にあの世界が現実だったら城ケ崎美嘉が資生堂などの超大手化粧品メーカーと
とコラボしたら会社側の利益が爆発するだろう。あくまで筆者の考えだが。
この作品で武内君が担当するアイドルは、
アニメのシンデレラプロジェクトの通りだが、
唯一違いのはその中に佐久間まゆが含まれていることだ。
筆者にはどこがいいのか分からないが、そのまゆは武内氏のことが好きらしい。
「東京住まいになったから大学へ通うのは楽になったけど、
お仕事もどんどんもらえるからこれからは仕事が忙しくなりそう」
「夕美は今が人生で一番輝いてる時期だね」
「でもプロデューサーと一緒にいられる時間が減っちゃったのは残念かな」
「夜は俺と必ず会えるじゃないか」
「うん。そうなんだけど、正直ね、私よりもアーニャちゃんと
プロデューサーが二人でいる時間の方が長いのはちょっと不満なの」
「アーニャは俺の体のためにだな……」
「分かってるよ。分かってるけどさ……。
あの子、家で大したこともしてないのにずっと寝てばっかりじゃない」
夕美が不満に思うのも無理はなかった。
アーニャはアイドル活動を正式に辞めたのだが、それから働いてない。
プロデューサーのお世話(治療)をするのが彼女の主な仕事であり、
本来なら学校に通わないといけないのだが「行きたくないです」と拒否した。
これは不登校と呼ぶべきか。しかし彼女がそばに居てくれないと
プロデューサーの病気が悪化することは確かだ。
これは最近分かったことなのだが、プロデューサーの治療(触れあい)を
長時間するとアナスタシアは体力をかなり消耗してしまうのだ。
消耗といっても過酷なダンストレーニングの後のような
「眠気」に襲われるだけで彼女もまた何かの病気にかかってる風ではない。
夕美が今日のように19時前に帰宅するとアーニャはベッドでスヤスヤ寝てる。
その寝顔があまりにも無防備で幼いものだから本人に面と向かって注意はしにくい。
夕美にとって不満だったのがアーニャが料理をしてくれないことだった。
夕美が主婦変わりとなって毎朝早起きして料理を作るのだが、
プロデューサーは寝起きが一番動けなくなるのでアーニャがそばにいて充電するのだ。
この謎の病気(アナスタシア依存性ウイルス)にかかったプロデューサーは、
朝起きた時に電池が切れたEV車のように使い物にならなくなる。
そこでアーニャが即触れ合うなどして力を与えてあげないと
本当に寝たきりの老人になってしまうのだ。夕美が朝ごはんができた時に
ふたりを呼びに行くと、仲良さそうに両名は布団にくるまっている。
その場所はもちろん夫婦の寝室であり、夕美と旦那が昨晩寝ていた布団なのだが。
「プロデューサーはアーニャちゃんを甘やかしてしてばっかりなんだから
どんどんなまけちゃうんだよ。最近アーニャちゃんって外に出なくなったよね。
たまには日用品の買い出しに行ってもらいたいんだけど」
「(通販じゃダメなのか?) 買い物なら俺が行くよ。
フル充電なら1時間くらいは外を出歩けることが最近分かったんだ」
「プロデューサーは優しいからそう言うよね。
でもやっぱりアーニャちゃんに行かせないとダメだと思うんだ。
もう2週間以上も家から出てないじゃない。いつまでもこのままだと
家から出るのがめんどくさくなって引きこもりになっちゃうんじゃないの」
「しかしアーニャの気持ちも考えてやらないとな。
あの子は引退会見をしてからまだひと月も立ってないんだ。
俺らの居場所なんて週刊誌の記者連中はとっくに押さえてるだろうし、
外出先でプライベートを激写されるが嫌なんじゃないのか?」
「ちひろさんが言ってたけど、アーニャちゃんって他の事務所からも
オファーが来てるんだよね?」
「あれは芸能事務所じゃなくてアーティストの誘いだぞ」
「同じようなものじゃん。今度は歌を歌う専門のお仕事へのお誘いなんでしょ」
「ああ。ソニーミュージックのお偉いさんからそんな話がちらりとな」
「それでアーニャちゃんはやりたくないと?」
「俺のお世話に専念するためだと本人は言ってる」
夕美が不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「まあまあ。怒るなよ」
「怒ってないよ」
「俺の病気に関してはちひろから説明されたとおりだ。
今はアーニャの力を借りないと俺の病気が悪くなるんだから
仕方ないんだよ。夕美が不満に思うのはもちろん分かってるが、
ここは大人になってくれないか」
「そんなこといちいち言われなくても分かってるよ」
「そうだな。夕美はもう大学生だもんな」
「その言い方やめて。うちの父親に言われてるみたいになるから」
「すまんすまん。夕美は実家のお父さんとはうまくやってないんだったな」
「うん。ちょっとうちの父は変わり者だからね……」
「ごめんな。夕美」
プロデューサーは立ち上がり、夕美を抱きしめる。
彼の足元はすでにフラフラだ。アーニャに触れてない時間が
もう2時間も経過してるのでまもなく充電が切れてしまいそうなのだ。
「うれしいけど無理しなくていいよプロデューサー。
また充電してからでいいから」
「今は俺がこうしたいだけだよ。夕美」
「あなた……」
「キスしようか?」
「はい」
夕美はつま先立ちして彼と唇を重ね合わせた。夫婦の情熱的なキスだ。
あまり彼に寄りかかると後ろへ倒れるかもしれないので力を加減する。
プロデューサーは、あまり元気のなさそうな手つきで夕美の後ろ髪を
なでてくれた。毎日ベッドで寝る前にやってくれるように。
こうして近くで見ると彼の顔はすごく男らしく見えた。
洋服からちらっと見える彼の首筋や胸元に目が吸い寄せられる。
夕美は妙にムラムラしてしまい、目つきが獣のようになった。
体が熱い。体の奥底から情熱が燃え盛る。
やはり自分は彼の事が好きなのだと思い知る。
「ねえ。まだお夕飯前だけどアーニャちゃんも寝てるから、しよっか?」
「……っ。分かったよ。じゃあそこのソファで」
プロデューサーは充電が着れそうなので乗り気ではなかったが
夕美の目つきが怖いので反対はしない。ソファに座ったプロデューサーに
正面から覆いかぶさるように抱き着いてキスの続きをする。
「んっ……んっ……もっとぉ……」
キスの最中に病気のプロデューサーの腕の力が抜けてしまい、だらりとするが
キスに夢中の夕美は気づいてなかった。彼の口の中にどんどん自分の舌を
入れていき、彼の歯の裏まで舐めつくしていた。
夕美のアソコはもう濡れまくってるからいつでも挿入できる状態だった。
残念なことにプロデューサーはもう自分の体を動かせる状態にないのだが。
「あれれ? 顔色悪いけど、もう動けなくなっちゃったの?」
夕美はプロデューサーの変化に気づくと心配するどころか
いたずらを思い付いた。彼のズボンを下着ごと一気にズリおろしてしまい、
彼のイキリたったイチモツを口にくわえた。
「あっ……夕美っ……」
「あなたはそのまま楽にしてていいよ。私が気持ちよくさせてあげるからね~」
夕美は口を限界まで開けて奥までそれをくわえる。
マイクを持って歌ってる清楚な彼女とのギャップのすさまじさに
プロデューサーはますます興奮する。それに夕美はフェラが上手だ。
彼女はある意味こっち方面にも才能のある子なのかもしれない。
「うっ……夕美ッ……もうすぐ……でそうだ……」
「んふふっ……いつでもいいよっ……プロデューサーっ……」
夕美は見せつけるようにブラを外して胸を露出させる。
彼女の胸を見た瞬間にプロデューサーは限界が来てしまい、
夕美の口の中に入りきれないほどの精液を発射してしまう。
「んっ……ちょっと苦しっ……かった」
夕美は嫌な顔ひとつせずに飲み込んでしまい煽情的に微笑む。
「プロデューサーの味ってすごいんだよ。
苦くて濃くて。何とも言えない味なんだ」
「ゆ、夕美。君はアイドルなんだから
無理にして飲まない方がいいんじゃないのか」
「アイドルの前に一人の恋する乙女ですから」
「そうなのかもしれないがな」
夕美が床やソファに飛び散った精液をテッシュで
掃除していると、背後に人の気配がした。
そこに立っていたのは昼寝から目が覚めたアナスタシアだった。
「ふたりとも、お楽しみの時間でしたか?」
「そうだよアーニャちゃん。うらやましい?」
「……」
「……」
「私は夫婦のお時間を邪魔するつもりはありませーん」
「あっそう。それならよかったよ。少し遅くなったけど
今からお夕飯の支度をするからアーニャちゃんはテーブルのお掃除と
お皿出すのを手伝ってもらっていいかな?」
「分かりました。お手伝い、頑張りまーす」
プロデューサーは思った。今の会話の間はなんだ。
今はまだ小さな衝突にすぎないが、これがやがて大きな
修羅場を生み出すのは必然。そう考えると今から胃が痛くなる。