※この作品はR-18です。

好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか?   作:なおちー

31 / 65
そろそろこのタイトルにも飽きてきたな( ̄▽ ̄;)


英国東洋艦隊潰滅 その5

(アーニャとやりてえ)

 

プロデューサーは色々と溜まっていた。

 

ここでの生活は完全に外出禁止であり、ネットで資産運用をすることさえ

禁じられた(脱走方法を考える恐れありのため)よって彼は家ですることがない。

 

まるで囚人扱いだ。

美波は賢い女だから彼がこの生活のストレスに耐えきれずに

美波との逃避行に応じざるを得ない方向に誘導しているのだ。

 

美波は残酷にも夕美との同盟など初めから守るつもりなどなく、

現在プロデューサーを束縛してる状態を作ってるのも

彼の精神力がどこまで持つかの実験をしたいからだ。

 

美波は理系の学生ではないが実験を好んだ。

もしかしたら一ノ瀬志気と気が合うかもしれない。

 

「プロデューサー。辛いですか?」

 

「正直ストレスで叫びたいくらいだけど

 俺にはアーニャがいてくれるからな」

 

プロデューサーはアーニャに膝枕をされながら小説を読んでいた。

夕美から借りた恋愛小説だが中々に面白いので気休めにはなる。

 

「今日も夕美は大学でいませんから、ゆっくり充電してくださいね」

 

アーニャはニコニコ笑いながら彼の頭をなでる。

たったこれだけのことだがプロデューサーは涙を流したくなる

くらいにうれしかった。

 

アーニャは腹黒くもないし彼を束縛もしない。

女とはアイドルに限らず裏表がある者だが、

アーニャに限ってはファンから天使と呼ばれるのは

嘘ではないと今ここで全世界に宣言したいくらいだ。

 

「アーニャといるとすごく落ち着くんだ。

 もし眠くなったらこのまま寝ちゃってもいいか?」

 

「はい。眠ったら風邪ひかいようにブランケットをかけてあげます」

 

「アーニャ。ありがとう。愛してるよ」

 

「私もです」

 

スカート越しにもアーニャの太ももの感触を感じ、

彼はフルボッキしそうになるのを耐えている。

 

耐えなければいけない理由があった。

 

ここはアーニャと美波の寝室。

プロデューサーはベッドで膝枕されているのだが、

その向かい側にある高級なスツールに美波が座っているのだ。

 

美波は大きなIpadをいじりながら笑顔で二人の様子を見守っている。

 

 

「私のことはお気になさらず、どうぞ気が済むまで充電をしてください」

 

(そうは言ってもな……)

 

 

最近彼がアーニャと仲良くしてると美波の目が笑っていないのだ。

それに今だってアーニャと必要以上のスキンシップをしないかどうかに

目を光らせている。アイパッドで何をしてるのかと聞いたら大学の課題らしい。

最近の大学は進んでいるなと30過ぎのプロデューサーが思う。

 

 

「美波……プロデューサーをあまり見ないであげてください」

 

「何言ってるのアーニャちゃん。私は課題をやってるんだよ?」

 

「美波がそこで監視してるの、プロデューサーが嫌がってます」

 

「はぁ~~? 監視ですって?

 私はプロデューサーさんが未成年のアーニャちゃんに

 手を出さないか心配だからこの部屋にいるんだよ」

 

「私はもう彼と……してますから」

 

「うん。私がここに来る前はそうだったみたいね。

 でもそういう関係はダメだよ。アーニャちゃんは未成年なんだから

 そんな簡単に男の人に身体を許しちゃダメよ」

 

「……美波は、やっぱり彼を独り占めしたいのですね。

 夕美に負けないくらい独占欲が強いです」

 

「独占欲なんて難しい日本語をよく知ってるね。

 学校に行ってない割にはちゃんと勉強してるんだ?」

 

美波にしては珍しく言葉にとげがある。

アーニャはムっとしたが、深呼吸して耐えた。

 

「プロデューサーが、たまにはお外に出たいと言ってます」

 

「へ~~。そうなんですか?」

 

美波は足を組みなおしながら言う。

チェック柄の超ミニスカートなのでパンツがすでに見えてしまっている。

プロデューサーが好みそうな黒のエロ下着だった。

 

「せめて散歩でもいいから外に出してくれないかな。

 夕美と結婚してから一度も外出してないからストレスが溜まってるんだよ」

 

「うんうん。そうですよね。気持ちはよ~~く分かりますよ。

 私があなたと同じ立場だったら発狂してるかもしれません」

 

「だったら」

 

「でもここでのルールは守らないとダメですよね」

 

美波の目元がにやっとする。もともとたれ目なのだが。

彼女は少し斜視なのでたまにどこを見てるのか分からない時がある。

 

「ダメか……。はぁ。まっ分かってはいたけどね」

 

「私と結婚してくれたらたくさんお出かけできるんですけどね」

 

「またその話か。君はどんなことがあっても俺が欲しいんだな」

 

「私は小さい時から負けず嫌いな性格でどんな小さな勝負事にも

 全力を出してきたんです。だからあなたのことも諦めませんよ」

 

「ああ、すげえ分かるよ。

 エリートとか勉強のできる人って負けず嫌いな人が多いからな。

 俺も君くらいの年だった頃はそうだったよ」

 

「ふふっ。私と似てるんですか」

 

「君とは性格的に気が合いそうなところはいくつもあると思う。

 でも人を簡単に裏切るのはどうかと思うけどね」

 

「プロデューサーさんには言われたくないかもです。

 最初に皆を裏切ってサハリン逃げようとしたこと棚に上げてません?」

 

「まいったな。君には口で勝てそうにないよ」

 

(俺の昔の妻みたいにな。嫌なことを思い出させないでくれよ)

 

プロデューサーは男としてのプライドが高いタイプなので

女に口で言い負かされるのは我慢ならないのだ。

全世界でダイバーシティ(雇用の機会均等、多様な働き方)

が叫ばれる時代で時代錯誤な考え方だと否定されるのは承知してる。

 

「美波さん。正直に言わせてもらうけど俺はアーニャとキスがしたいんだ。

 今から少しだけキスさせてくれないかな?」

 

「それはセクハラですので許可できませんね~~(●^o^●)」

 

「セクハラだったんだね」

 

「セクハラに決まってるじゃないですか。

 もうっプロデューサーっさんったら★ 相手が何歳だと思ってるんですか?」

 

(相手がセクハラと思ってないのにか。ちくしょう)

 

プロデューサーは本気でイライラしたので窓の外に視線を向けた。

少しだけカーテンが開いてるので外の様子が見れる。

今日は雲が多く寒い日だった。早朝からびゅうびゅうと風の音がすごい。

きっと一日中風が吹くのだろうと思った。

 

 

「ごめんなさい。あの……怒ってますよね?」

 

「……別に」

 

「ご、ごめんなさいっ!! 

 プロデューサーさんがそんなに怒るとは思ってなかったんです。

 お願いですから機嫌を直してくださいよ~~」

 

「……」

 

「分かりました。私とだったらキスしてもいいですよ」

 

「サイン(婚姻)ならしないよ」

 

「サインなしでもいいですから、さあどうぞ」

 

美波が色っぽい顔で目を閉じながら両手を伸ばしてきた。

 

プロデューサーはすでに彼女のパンツを見続けているので

もうヤりたくてしょうがなかったが、どうしようかと迷った末に

キスすることにした。女に恥をかかせたら後が怖い。

 

「本当にいいんだね?」

 

「はい。早くしてください」

 

プロデューサーは美波に近寄ることができなかった。

アーニャが後ろから彼の腕を引っ張るからだ。

 

「アーニャちゃんったら、そんなに強く引っ張ったら彼の腕が抜けちゃうよ」

 

「美波の元に行ったらだめです。プロデューサー」

 

「あ、アーニャ。痛いよ。そんなに強くつかまないでくれ」

 

「私は最近美波のことが信用できなくなってきました。

 美波はプロデューサーを篭絡して彼を自分だけのものにしようとしてます」

 

「アーニャちゃんひどい。私の事、そんな嫌な奴だと思ってたんだ……」

 

「私の知ってる美波はどこに行ってしまったのですか?

 美波はこのマンションに住むようになってから変わってしまいました」

 

「何よその言い方。

 私はアーニャちゃんと三人で一緒に暮らそうって何度も言ってるのに」

 

「嘘デース」

 

「うそ?」

 

「美波は最後に私も裏切るつもりなの知ってます」

 

「ちょ、何言ってるのよ。

 アーニャちゃんがいないと彼は生きていけないのよ?」

 

「新しいお薬、開発してるんですよね」

 

「……」

 

「どうしましたか? もし違うのなら否定して欲しいのですが」

 

「……ちひろさんから聞いたの?」

 

「そうです」

 

美波から笑みが消え、長考をした。

この人はさっきまで笑っていたと思ったら急に真顔になる癖がある。

 

プロデューサーはものすごく嫌な予感がした。最近ちひろの奴が

連絡をよこさなくなったこと、そして前の電話の時に美波を愛しているかを

執拗に聞いてきたこと。それらがつながっているとしたら、おそらくだが。

 

「あははははっ!!」

 

美波が突然高笑いをしたのでアーニャが目を丸くする。

 

「アーニャちゃんにばれてるとは思わなかったから驚いちゃったよ~~。

 いいよ。隠し事をしてもどうせバレるから最初に教えてあげる」

 

 

美波がちひろに頼んで入手した薬の詳細は次の通り。

 

ラジカヴァ。

 

田辺三菱製薬が開発した筋萎縮性側索硬化症

(ALS)治療薬(一般名・エダラボン)

 

ALSは運動神経が消失し、四肢や顔など全身の筋力低下と

筋萎縮が進行する神経変性疾患。ALSの原因はなおも不明とされている。

 

ラジカヴァは脳虚血に伴う脂質の過酸化反応

「フリーラジカル」を消去し、脳への酸素供給を促して

神経細胞を保護する。ALSの進行を遅らせる効果が確認されている。

 

※田辺三菱製薬は、国内最王手の総合化学メーカー、

 三菱ケミカル・グループの傘下の企業(東証プライム上場)

 

 

「私が持ってるのはラジカヴァを少しだけ改良した特殊なお薬なの。

 プロデューサーさんの症状は正確にはALSじゃないんだけど、

 このお薬はプロデューサーさんの症状に対しても

 一定の効果があると期待されてるの」

 

「待ってくれないか。俺はそんな得体のしれない薬を使うつもりはない。

 第一俺を実験台に使ったところで後遺症がひどい場合はどうするんだ」

 

「その時はその時です。このお薬は依存症が強いそうなので

 プロデューサーさんはこのお薬なしでは生きられませんよ。ふふふ」

 

「薬に頼ったら俺は間違いなく早死にするな。君にとってもメリットがない。

 美波さんはアーニャを俺から切り離して独占したいんだろうが、

 俺はアーニャ以外の治療法に頼るつもりはないんだよ」

 

「それってアーニャちゃんが好きだからですか?」

 

「好きだし愛してるよ。俺はアーニャを一生そばに置いておきたいと

 現役Pの時からずっと思っていたよ」

 

「あははははっ!! そうなんですか。あははははっ!!」

 

「……」

 

「あははははっ!!」

 

「……今の笑うとかな?」

 

「あ~~はっはっはっ。おもしろーい」

 

「参考までにどこがおもしろいのか教えてくれないか」

 

「うるさいですよ」

 

美波が低い声で言った。

 

「プロデューサーさんは今日知ったことを夕美に話しますか?」

 

(夕美を呼び捨てかよ)

 

「やめておくよ。話したらただでは済まなそうだ」

 

「私にあとで何かされるって思ってるんですね」

 

「ああ、それも最高にむごい方法で報復されると思ってる」

 

「考えすぎですよ」

 

「そうだといいんだが」

 

「アーニャちゃんと私だと、どっちが好きですか?」

 

「俺がその質問に答えられる立場だと思ってるのかい?」

 

「ですよね。私だってアーニャちゃんの方が

 好きだってはっきり言われるよりマシです」

 

「美波さん。腹黒いことを考えるのはその辺にしてもらって

 4人で仲良く暮らせる方法はないものかな」

 

「たぶん前提条件からして無理です。ここにいる3人の女が

 全員あなたを愛しちゃってますから最後は奪い合いになって

 地獄を見ますよ。てゆーかもう地獄に近いかもしれませんね」

 

「俺は何のためにプロデューサーになったんだろうな」

 

「さあ? 私に出会うためじゃないんですか」

 

「俺は君の担当になったことは一度もないんだ。

 なのにこうして退職後に縁があるんだから笑っちまうよ」

 

美波はなぜか顔を伏せた。悲しそうな顔をしながら。

 

 

「美波。もう腹黒いことを考えるのは辞めましょう」

 

「ふふ。アーニャちゃんにそう言われちゃったら考え直そうかな」

 

「本当に考え直してくれますか?」

 

「うん。だってプロデューサーさんをお薬漬けにしたって

 そんなのペットと同じだもの。ペットが自分の旦那だったらやだな~~。

 まるで私が男にモテない独身女みたいな感じになっちゃうじゃない」

 

美波はまた高笑いをするが、その様子をプロデューサーとアーニャは

冷ややかに見守ることしかできなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。