※この作品はR-18です。

好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか?   作:なおちー

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蘭子を説得するにはどうしたらいいのか?

「どうやら神崎さんは思い込みが激しい人のようだね」

 

プロデューサーが語る。

まもなく充電切れになりそうなので美波の手を握りながら。

 

「俺が監禁されてるだって? それは君の妄想だよ。

 俺は自分の意志で美波と夕美と結婚することにしたんだ。

 今だってこうして仲良く手を繋いでるじゃないか」

 

「うそばい!! そら充電する必要があるけん。

 本当は嫌なんに手ば繋いどるだけやろ」

 

「俺が無理をしていると?」

 

「そうばい。そん笑顔もすらごつばい。今んあたん顔、営業マンの顔ばしとる。

 ホストかもしれん。二人に殺されっとがえずかけん慎重に言葉ば選んどるんやろ」

 

(さっきから早口の熊本弁だからなんて言ってるのかよく分からねえ……。

 これなら英語で話してくれた方がまだわかりやすいぞ……)

 

実は蘭子の語る内容は的を得ており、仮に蘭子がプロデューサーを

この地獄から助けてくれるなら喜んで着いて行きたいくらいなのだが、

これ以上妻達を怒らせてしまえば謝って許されるレベルではない。

今度こそ包丁で刺されて死ぬ。

 

「ふぅ……。神崎さん。君は意外と強情な人なんだね。

 さっきも言ったと思うけどそれは君の妄想だ。妄想や空想は

 真実じゃないのは他の誰でもない君が一番よく知ってるはずだ」

 

「ちょ、ちょっと。何ばしよっと……」

 

驚いた蘭子をよそにプロデューサーは美波を抱き寄せて唇を奪った。

 

「あーんっ……プロデューサーさんったら積極的♡」

 

「美波。俺は君のことを愛してるよ」

 

「きゃー言われちゃった★ 私も愛してます~~」

 

中学生の蘭子が見てる前で大人のキスをする二人。

互いの舌を絡ませてネチョネチョとやらしい音を立てる。

 

その姿はあまりにも突然であり、煽情的であり、

 

(うっ、か、体が熱うなってきた……)

 

蘭子はやや内また気味になる。

そのミニスカートの中がどうなってるのかは知らない。

 

「も~~プロデューサー。。

 そういうのは私にも平等にするって決めたでょ~~」

 

「ごめんな夕美。もちろん分かってるよ。夕美もおいで?」

 

「は~~い!!」

 

今度は夕美が背伸びしてプロデューサーの首の後ろに手を回し、

キスをした。自分の大きな胸を彼にしっかりと押し付けながら。

 

蘭子は目を閉じて唇を重ねるプロデューサーの横顔に見とれてしまう。

 

(やっぱりあん人ん顔、むしゃんよか) よか→かっこいい

 

その蘭子の様子の変化に美波が気づかないわけもなく、

 

「ふーん、なるほど。

 蘭子ちゃんもお年頃だから大人の恋愛とか興味あるよね。

 今日は大人と子供の恋愛の違いが少しは分かってくれたかな」

 

「は、はい。私には少し刺激が強すぎる気もしますが」

 

「蘭子ちゃんは男性とキスをしたこと、ある?」

 

「ありません」

 

蘭子の顔が真っ赤だ。美波はクスクスと笑う。

 

「蘭子ちゃんもしてみる?」

 

「なにをですか?」

 

「プロデューサーさんとキス」

 

「わ、私がですか!! で、でも」

 

 

夕美が、にらんでいる。

 

当然だ。美波と共同の妻になった件は、壮絶な喧嘩の末にたどり着いた

究極の結論だった。蘭子は部外者もいいとこである。そもそもアーニャを

排除して彼を独占したのに新参者を入れるなど論外である。

また蘭子が肌が白くて絶世の美少女なことも夕美にとって不快だった。

 

「あ、あの……人様ん旦那様に例え冗談やったとしたっちゃ

 キスばするなんて許さるることじゃなかとです」

 

「でも蘭子ちゃんは大人の人の恋愛がどがいなものか知りたい年頃なわけじゃし、

 じゃったらいっそのことげに体験してみりゃあええ思うたんよ」

 

「そぎゃんこつしたら夕美しゃんに殺さるるたい!!」

 

「そんなんない思うけどのぉ」

 

美波はニコニコしながら夕美と視線を合わせる。

 

「言っておくけど、私は絶対に嫌だからね。

 もう二度と彼を私たち以外の女には触れさせない」

 

「夕美ちゃん……」←美波

 

「そうよね。プロデューサー。あなたもそう思うでしょ?」

 

「俺が気になってるのは夕美が神崎さんを薬漬けとか拷問するって

 話なんだが。とりあえず、それだけはやめてあげてくれよ。

 あの子は芸能人なんだから仕事に支障が出たらまずいだろ」

 

「だったらこの子のことどうするのよ?」

 

「今から俺が説得するよ」

 

プロデューサーは抱擁してる夕美を優しくどけてから神崎さんに笑顔を向ける。

 

「神崎さん」

 

「うっ……」

 

蘭子の真っ白な頬が朱色に染まる。

 

プロデューサーは、ただ笑っただけだ。

それなのに、正面からこの人の顔を見ただけでこんなにも

胸がときめいてしまう。

 

 

今この瞬間、神崎蘭子は気づいてしまった。

 

(うちゃこん人に恋ばしとったんね)

 

蘭子とPでは年齢が離れすぎてる。親子ほど離れてるといってもいい。

なのに好きになってしまった。恋は理屈ではないのだ。

気づいた時には好きになっていた。おそらくこのマンションに遊びに来たのは

彼の顔が見たかったから。そう考えれば納得してしまう。

 

 

プロデューサーはここで暴挙に出た。

嫉妬深い妻の夕美が見てる前なのに、蘭子を抱きしめてしまったのだ。

 

「何してるの!!」

 

夕美の怒声を背中に浴びながらも、蘭子の小さな体を腕に抱く。

 

「あ……」

 

蘭子は生まれて初めて男性の大きな体に抱きしめられる感触を味わった。

 

「何してるのって、聞いてるのよ!!」

「夕美ちゃん。落ち着いて」

「とめないでよ美波ちゃん!!」

「彼にもきっと考えがあるのよ。今は信じてあげましょう」

 

女子大生二人が騒がしいのと対照的に蘭子とプロデューサーは静かだ。

あまりの出来事に言葉を発する余裕さえないのだ。

 

プロデューサーが蘭子のくるくるのツインテールの毛先にそっと触れ、

頭のてっぺんをなでる。すぐにその手を離してしまうと

 

「あっ。もっとぉ……」

 

子猫のようにおねだりする。この時の蘭子の顔はあまりにも

可愛らしかったのでプロデューサーもっと強く抱きしめた。

 

蘭子の顔が、ちょうどプロデューサーの胸に埋まるようになった。

 

「蘭子さん」

 

「あ、今下の名前で」

 

「ごめんね。いきなり下の名で呼ぶのは失礼だったよね」

 

「いえ!! 全然失礼じゃないです。むしろ蘭子と呼んでください」

 

「じゃあこれからは蘭子って呼ぼうかな」

 

耳元で低い声でそう言われ、蘭子は下着が濡れてしまう。

 

 

「ふがふが~~!!」

 

夕美はうるさいので美波によって縄で縛られてしまった。

口にハンカチを押し込まれてお利口さんになっている。

もちろん蘭子が夫といちゃついてるのは美波にとっても

見ていて楽しい光景ではなく、

 

(ふん。せいぜい今だけ楽しんでおけばいい。 

 あとでたっぷりと薬漬けにしてあげるわ。

 ちひろさんから渡された新薬の実験も兼ねてね)

 

この時の美波の顔は魔女そのものだった。

中学生時代のあだ名は決して嘘ではなかったのだ。

 

美波は例え夫が性的に蘭子を意識しており

実際に今は蘭子の服を脱がそうとしてるが、

それさえ許してあげようと思っていた。

さすがに最後まではさせないつもりだが。

 

 

「ふたりとも、さっきからなぜイチャイチャしてるですか!!

 抱き合うのをやめてくださーい!!」

 

 

ここに乱入者現る。

 

ロシア系ハーフにして北海道出身のアナスタシアだった。

 

一同に衝撃走る。

 

アナスタシアは蘭子を引きはがし、プロデューサーに抱き着いたではないか。

 

「!?」

 

プロデューサーは心臓が止まりそうになった。

 

「うそ!?」

 

美波は、1941年の海戦で戦艦皇太子と巡洋艦レパルスが

日本軍の航空機によって撃沈されたことを知った時の

チャーチル首相のような顔をした。

 

「アナスタシア……」

 

夕美は歯ぎしりをした。アナスタシアに与えた薬の効果は

半年以上は有効とされたはずだったのに。

ちひろが嘘をついたのか。それとも何か別の理由が……。

 

 

「あの。アナスタシアさん」

 

「なんですか蘭子?」

 

「今いいとこだったのに邪魔しないでくださいよ」

 

「シトー!?」

 

また衝撃走る。蘭子は公然とアナスタシアに文句を言った。

文句が言える立場なのか。蘭子は例の女子寮での会議の結果から

アナスタシアが本来はプロデューサーの結婚相手だっ事情を知っている。

それなのにアナスタシアから公然と彼を奪おうとするなどありえないことだ。

 

「蘭子は何を言ってますか!! 

 彼を私から奪おうとしてるのですか?

 プロデューサーは、私だけのものです!!」

 

「あ、アナスタシアさんだけのものって、それは違うと思います。

 私もプロデューサーさんともっと仲良くなりたいです」

 

「ダメでーす!! 蘭子は可愛いので他の男性を探してください!!

 蘭子なら他の男の人たくさん見つかります!!」

 

「だ、だったら、アナスタシアさんも別の男性を見つければいいじゃないですか!!」

 

「パジャールスタ!? 今なんて言いました?」

 

「さっきプロデューサーさんの方から私を抱きしめてくれました。

 これってプロデューサーさんも私の事好きだからじゃないんですか?」

 

「はぁ~~~~~~???? 意味わかりませーん」

 

「それに私のことも蘭子って呼んでくれました」

 

「名前で呼ばれたり抱きしめられたりしたら

 蘭子は勘違いするんですか? 

 そんなことで勘違いするなんて蘭子は頭が悪いと思います」

 

「言ってくれますね。そこまで言われたら私も引き下がれませんよ……」

 

 

蘭子が本気で怒りそうになった時だった。

バタバタと変な足音がが聞こえたかと思えば

プロデューサーが玄関から外に出てしまったのだ。

 

「ちょっとプロデューサーさん!!」

 

美波の悲痛な叫び。

 

「すまんが近所のコンビニまで買い物に行ってくるよ!!」

 

「コンビニならマンションの地下に入ってるじゃないですか!!」

 

「コンビニってのは嘘だ。実はドラッグストアなんだよ」

 

「そんなのどこでもいいですよ。ちょっと逃げないでくださーい!!」

 

美波とPが追いかけっこをする。

縄で縛られてるためダイニングに残された夕美は悲観はしてなかった。

 

美波は現役アイドルなうえにラクロスもやってるのでプロデューサーの

体力では逃げられるわけがない。おそらくエレベーター付近で捕らえられるだろう。

 

 

「ぐはぁ!!」

 

遠くからプロデューサーの悲鳴が聞こえ、

その後ガツンと大きな物が落ちるような音がした。

 

美波が気絶したプロデューサーのわきに抱えて戻って来た。

3月の上旬なのに汗をかきながら。

夕美の座ってる椅子の横にプロデューサーを乱暴に放り投げた。

 

 

「この人ったら意外と元気なのね~~。

 充電切れギリギリの状態を維持してたのに

 走るだけの体力があったなんてびっくりよ」

 

「ねえ美波ちゃん。もしかして彼がさっき蘭子ちゃんと触れ合った時に……」

 

「うん。私もそう思うわ。っていうかそれ以外に理由が考えられないよね」

 

「蘭子ちゃんがまさかの充電対象だったとは。

 プロデューサーさんって中学生をそういう目で見ちゃう人だったのね」

 

「あははっ。ロリコンさんなのかもね。

 でもロリコンの人は子煩悩らしいから、それはそれで悪くないかも」

 

「そういう問題!?」

 

「夕美ちゃん。少しは怒りっぽい性格を直しなさい」

 

「いやいや普通は怒るでしょ。まるで私がおかしいみたいなこと言わないでよ」

 

「あの人はね、黙っていても他所の女を引き付けてしまう人なのよ。

 そういうものだと思って我慢するしかないでしょ」

 

「蘭子ちゃんのことはどうするの」

 

「それについては、これからゆ~~っくりと話し合えばいいでしょ?

 時間ならたっぷりあるじゃない」

 

「み、美波ちゃん……」

 

同じ妻の立場の夕美でさえドン引きするほどの邪悪な笑みだった。

 

美波の腹黒さは底が知れない。

原作でもアニメでも明るく清楚なイメージだった新田さんがどうして

こんなキャラになってしまったのか。反省はしてない。

 

今この瞬間も蘭子とアーニャの口げんかは続いている。

ついに互いの服を引っ張り合って怒鳴り続けている。

片方が熊本弁でもう片方がロシア語なので

外野からしたら何を言い合ってるのかすらわからない。

 

 

夕美は床でスヤスヤと寝ているプロデューサーを見下ろす。

 

「この人の処分はどうするの?

 一応脱走した場合は厳罰に処するのがルールだったはずだけど」

 

「もちろん罰は与えるわ。問題はアーニャちゃんが復活してしまったことね。

 この人はすきを見てアーニャちゃんを連れ出して逃げるかもしれないから

 とりあえず手足の自由は封じておきましょうか」

 

美波はスマホのアマゾンの画面を開く。

最近の通販は男性を監禁するための便利な道具が満載なので

良い時代になったものだと美波は思っていた。

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