好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか? 作:なおちー
タイトルのことをプロデューサーが思うのも当然だ。
美波の頭をバッドで殴ったときの音がすごかったし出血量もすごい。
今すぐ手当てをしてあげないと本当に手遅れになってしまうかもしれない。
(な、何を考えてるんだ俺は・・・・・・。
そもそだな・・・・・・俺たちは今日死ぬ予定だったんだぞ)
伊藤カイジのような顔をしてしまう。
この状況では無理もないだろう。
「私がどうして美波ちゃんを殴ったと思う?」
「……」
「知りたくないの?」
「そんなに話したいのなら聞くぞ」
「じゃあ教えてあげる。私は前から美波ちゃんのこと気に入らなかったの。
今夜だって私に黙って玄関の前で密会してたよね。仲良さそうに。
もちろん今夜だけじゃない。今までだってずっとそうだった。
隙があればいつでも旦那さまを私から奪い取ろうとしてた」
「そんなこと今更だろうが。これからみんなで自殺してあの世に行くのに
無駄な罪を背負ってどうする。美波を君が殺して何か得することがあるのか?」
「得することならあるよ。私の復讐心を満たせる」
「復讐ねえ。あの世で君は美波に仕返しされるかもしれないぞ」
「さっきから何言ってんの。あの世とか・・・・・・。そんなのあるわけないじゃない。
あなたってちょっと宗教勧誘っぽくない?
あ、今まで聞いてなかったけど英国住まいだったからキリストの信者なの?」
「いやそんなことはないよ。俺は生まれてからずっと仏教と神道を信じてる。
キリスト教は大学の時に教養で学んだから参考にしてるだけだ」
「それって何か参考になるの?」
「道徳とかな」
「道徳……? どこが?」
「夕美?」
「私たちが自殺することになったのは、あなたの身勝手な行動が原因でしょ。
あなたが15歳の女を妊娠させたりしたから、こんなことに……」
「それを言われると否定できない……」
「プロデューサーは、馬鹿だよ!! 世界で一番バカ!!
どうしてあんな奴を妊娠なんてさせたの!!
相手が未成年だって分かってて妊娠させたいほど好きになっちゃったの!!
それってニュースとかで報じられる変態男と同じじゃない!!」
「確かに俺は最低だな。自分でも生きてるのが辛くなる」
「ふーん。自分のしたことが悪いって思ってるんだ?
そうだよね。だったら……死になさいよ!!」
「ああ言われなくてもわかってるよ!! 死ぬんだろ?
おまえといつまでも口喧嘩したところで時間の無駄だ!!
おら!! さっさと毒薬を飲ませてくれよ!!」
「残念でしたぁ。もう毒薬はないよ。
さっき美波ちゃんの持ってる紙コップが
ひっくり返ったのでもうありませ~ん」
「なんだそれ。それじゃ死ねないだろうが。
毒以外の自殺方法でもあるのか!?
あるんだったらさっさと言えよ!!」
「その言い方、むかつくな。
偉そうに。誰のせいでこんなことになったと思ってんのよ!!」
プロデューサーは夕美の怪力によって胸倉を持ち上げられ、
両手で突き飛ばされた。プロデューサーの体がソファを巻き込んで派手に転倒した。
「こんなんじゃ、ぜんっぜん私の気は済まないよ」
「ま、待て。今の俺はこの体だから抵抗できないのは知ってるだろ?
弱い者を一方的に痛ぶるのがお前のやりたいことなのか?」
「まるで私がいじめてるみたいな言い方しないで。
これはいじめじゃなくてお仕置き。まず今夜美波と密会したこと。
それとアナスタシアのこと、口にしてたよねぇ。美波に殺される前に?」
「あ、あれはついな……わ、悪かったよ!!
ちょっとあの娘の名前を口にしただけだろ!!」
「謝って済むなら警察はいらないんだよ。
あーむかつく……。なんであんな女のことを口にするのかなぁ?
口にしただけで重罪だってことが最後まで分からないんだったら
ただでは殺さないよ。私前にも言ったと思うんだけど、純粋な乙女が
味わった心の苦しみをあなたにも知ってほしいの。だから」
夕美は美波の血で塗られたバッドを構えた。
(やられる!?)
プロデューサーはとっさに腕を頭の上に掲げて衝撃に耐えようとするが、
おかしいことに気づいた。夕美のバッドは、明らかに彼ではなく
美波を狙っている。夕美は美波にとどめを刺すつもりなのだ。
「ぐおっ」
プロデューサーは、腕を伸ばして美波の頭部を守った。
美波はうつぶせで気絶しており修羅場には気づいてないようだ。
「あぎゃぁあぁぁぁあぁぁ。いてぇぇぇっ」
「あ、ごめん。もしかしたら腕が折れちゃったかもしれないね」
アイドルは、一般て女性と比べてボイトレやダンスレッスンで
身体全体が程よく鍛えられており、彼女らが本気で鈍器を扱おう
ものなら成人男性だって簡単に殺すことができる。
「う、うぅぅぅぅぅぅぅう。夕美ぃ。貴様。
こんなことして最後までふざけやがって。お、覚えてろよ」
「それよりどうして美波ちゃんを助けてあげたのよ」
「美波はアイドルだぞ!! アイドルならせめて最後までアイドルらしく
死なせてやってくれ!! お前はそのバッドで殴りまくって
この娘の顔をむごたらしくしたいんだろうが、そんなことは俺がさせないぞ!!」
「さっきはアナスタシア……。今度は新田美波か……。
美波、美波、美波って……うるさいんだよっ。
私のことは嫌いなくせに、他の女の子とばかり心配するんだ……」
「俺は、美波のことを愛していた!! ちなみに嘘じゃねえからな!!
もう死ぬことが分かってるのに嘘ついてどうする!!」
「だから何? 私はそんなこと聞きたくもないし
これから死ぬ人の前で愛の告白なんかして意味あるの?」
「俺はお前のことなんてなんとも思ってないからな!!
愛してないわけじゃなかったが、最後の瞬間に美波を裏切ろうとした
お前を俺は死んでも許さないぞ!!」
「ふん。病気の割には口がよく回りますね。
それ以上しゃべれないように黙らせてあげます」
夕美は、自分の旦那を押し倒してマウントをとる。
プロデューサーはが必死に暴れるが、例のウイルスのせいで
慢性的な運動不足となり身体中の関節も固まりまくってる。
彼は必死に足を動かすが、スイミングの練習をしている幼稚園児くらいの
力しか出ない。夕美がそっと彼の首を絞めているというのに、
その細腕を優しく握り返すことしかできない。
「ほ~~~ら。どう? 息できないでしょ?」
「……ふっ……ふぅ……!!」
「息吐いちゃだめだよ~? 余計に死ぬのが早くなるだけだから」
視界が、かすんでいく。
吐きだした息をもう吸い込むことはできない。
彼の顎の下に妻の爪が食い込んでおり、血が流れ始めていた。
こうなると、もうおしまいだ。
抵抗すればするほど呼吸困難になり脳に酸素がいかなくなる。
「そのままの状態で聞いてね。あなた、私があれだけやめてって
お願いしたのに最後まで美波と二人きりでキスしたりして
私がどれだけ嫌な思いをしたのか考えたことあるの?
アナスタシアのことはどうでもよくなったよ。私はね、
新田美波にあなたのことが独占されたのがどうしても許せない」
プロデューサーは足を上下に漕いでいる作業を止め、いよいよ
意識を失いそうになった時、夕美が首絞めをやめてくれた。
「がはっ!! はぁはぁはぁっ。は~~~~っ!!」
「私の味わった苦しみを、あなたにも思い知らせてあげる」
「うぐっ……!?」
プロデューサーの無防備なお腹に、夕美の固く握った拳が振り下ろされた。
いわゆる「腹パン」 プロデューサーは胃液を吐き出した。
夜食べたものが胃を通過した深夜。純粋な胃液なのでゲボではない。
「どうだった? 今のは痛いでしょ?
休む暇はないからね。次も行くよ~」
「がはっ……」
プロデューサーは、二度目の腹パンを食らった。
まだ息ができない状態なのに二度目の衝撃はあまりにも重かった。
彼はプルプルと震えながらも意識はしっかりとあるので
夕美の言葉を聞くことができる。否、体がマヒして動けないので
余計に耳が良くなってしまう。
「あははっ。いいねえその顔。私もね。あなたに裏切られたって
知った時はたぶんそんな顔をして泣いてたと思う。
プロデューサー、たくさん泣いちゃったね。あ、ごめん
今は旦那さまって呼ばないとね。ハンカチで涙ふいてあげるね」
「……っ……ろせっ……」
「え? なんて言ってるの」
「ろせっ……こ……せっ……」
「こ、ろ、せ? 殺してほしいの?
あはっはははははっ!! ばっかじゃないの。
私のお仕置きはまだ序盤だよ。
これからもっとひどくなるんだら変な期待はしないで★」
プロデューサーは、舌を噛み切って死のうと思った。
しかし無理だ。二発の腹パンによって腹部が内出血しているのか
妙に体が熱い。それにおそらく動けるようになるまで10分はかかる。
せめて得意の口先で由美を説得したいが、それもできない。
「次はあなたの足を切断しちゃおうかな。
お仕置き中に勝手に動き回れたら困るし、私に隠れて美波ちゃんと
密会したりする悪い脚だから、もういらないよね?」
夕美は止血用のロープを持ってきて、彼の太ももの部分にまいた。
そして出血した時のために大量のガーゼや包帯まで用意した。
極めつけは「のこぎり」だ。
夕美は、プロデューサーにハンカチを渡した。
これを口で噛みなさいと。足の切断中は麻酔もしないので
想像を絶する痛みだろうから、舌を噛まないようにハンカチを
口に詰めておけと。プロデューサーはその説明を聞いてる最中に
目の前が真っ暗になり、ストレスと恐怖で吐きそうになった。
「暴れないように手錠をしましょうか」
「やめ……」
「何その目は? 抵抗したら腹パンするよ」
「ひっ、あ、あれはもう嫌だ……」
「だったら、おとなしくしなさいよね!!
私を怒らせたらどうなるかわかったでしょ!!」
「あ、ああ……いやだぁ……痛いのはもう嫌だぁ……」
「泣くほど嫌だったら、初めから私を傷つけるような
ことをしなければよかったんだよ!!
どうしてあなたって人は最後の瞬間まで私を悲しませて、
私を裏切って、私のことを何も分かってくれないのよ!!」
夕美は、グーで彼の顔を殴りまくった。
すでに抵抗する気力さえ失われたプロデューサーは、
殴られるままに右へ左へと顔を振る。
そのうちの一発が鼻にあたり、ドバッと血が噴き出てきた。
視界が涙でいっぱいになり、何も見えない。
「プロデューサーのばかっ!! 本当にバカなんだからっ!!
私は優しいから今まであなたのことを痛めつけるのを
我慢してあげてたんだよ!! 私の優しさに感謝しなさいよね!!」
夕美が肩で息をするようになった頃には彼はもう何も話さなくなった。
死んではいない。だが生への希望を完全に失ってしまった人形となっていた。
今の彼は夕美の気が済むまで殴られるサンドバッグだ。
「はぁはぁ。すっきりした。ごめんね。旦那さまのこと
本当は大好きなはずなのに私ったら小さなことでつい嫉妬しちゃって」
「・・・・・・」
「足を切り落とすって言ったのは嘘だよ。
私だって底まで鬼畜じゃない。でも死ぬ前にあなたに
私がどんなに苦しい思いをしたのか知って欲しかったから」
それから夕美は何も話さなくなった。
(なんだ?)
プロデューサーは夕美と目を合わせるのが怖かったので
目を閉じていたのだが、おかしいと思って目を開ける。
すると信じられない光景が広がっていた。
「む?……むぐぐぐぐぐ……ぐぐっ……?」
夕美の顔全体にビニール袋が覆い被さっていた。
やっているのは美波だ。美波は背後からビニール袋を使って
もう一人の妻を窒息死に追い込もうとしていた。
「んんぐぐうっぐ・・・・・・・!!」
ビニールの先端は美波がしっかりと握っているし、
夕美がどれだけ手を振ったところで背後にいる美波には届かない。
夕美はたった40秒ほどで力なく倒れた。
大口を開けて白目をむいておりひどい顔だ。
「死ぬ直前くらいで寸止めしてありますらか大丈夫」
美波が微笑みながら言った。
「生きてたのか美波!!」
「ちょっと頭がふらふらしますけど致命傷ではありません。
包帯、ちょうどここにあるので使わせてもらいますね」
「治療なら俺がする!! まずは出血箇所をきれいにしないと」
「今は止血だけでいいです。血は固まっているので
ガーゼはいりません。包帯だけ巻いてください」
プロデューサーは、美波の茶色い髪の毛が、ところどころ
血のどす黒い色で染まっていることにゾッとした。
それに血特有の鉄くさい匂いもする。
「この女、よくも不意打ちを食らわせてくれたわね。
ただじゃおかないわ」
美波はまず夕美に手錠をした。
次にハサミを持ってきて、何を考えているのか、夕美のパジャマを
切り始めた。ブラやぱんつもハサミで切って生まれたままの姿にしてしまう。
窒息死寸前で気絶したためオシッコを漏らしていたので少し匂う。
脱がしたパンツもズボンも濡れている。
「ほら夕美ちゃん。起きなさい。いつまで寝てるの」
「う、う~~~ん」
美波にコップの水をかけられてさすがに目が覚める夕美。
「なにこれ・・・・・・なんで私裸で寝かされてるの?」