※この作品はR-18です。

好きでもないアイドルに告白をしたらどうなるのか?   作:なおちー

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蘭子がまゆと会った

「蘭子ちゃん。よく無事にここまで戻ってこれましたねぇ」

 

「ありがとうございます。あいにく私は足には自信がありましたので

 あんな行き遅れのおばさんたちには負けません」

 

今のは佐久間まゆと神崎蘭子の会話だ。

 

蘭子は実に10キロ以上も走り続け、追手であるふたりの

女子大生から逃げることに成功した。蘭子はごく普通のアイドルのはずだが

訓練されたマラソンランナー並みの持続力を発揮して走り続け、

まずは夕美が、次に美波が途中でぶっ倒れてしまうのだった。

 

東京の渋谷区内で平日から行われた、

参加者たった三名による謎のレースだった。

 

「蘭子ちゃんにはご褒美として、

 あなたの大好きな彼に少しだけ触れてもいいですよ」

 

「いいんですか。それではさっそく手をつないでみますね」

 

彼の手に触れると、彼の体がぴくっと反応した。

 

プロデューサーは拉致されてから身体中を縄で縛られて

エジプトのミイラのような格好でベッドに寝かされていた。

口にはハンカチが巻かれており、息をするのが苦しそうだ。

 

「んぐんぐ……!!」

 

「あの、まゆさん。彼が苦しそうなんですけど」

 

「こんなに必死そうな顔をして、何か言いたいことでもあるのかしらね。

 本当は千尋さんの許可がないといけないのだけど、

 今日は特別に彼のハンカチを外すことを許可してあげます」

 

「ははっ。ありがとうございます」

 

蘭子がハンカチを外してあげると、プロデューサーは猛烈な勢いで話し始めた。

 

「おいっ。おまえらっ、まるで俺を家畜みたいに扱いやがって、

 完全に狂ってるぞ。佐久間さん、君もちひろやアナスタシアの仲間なのか?」

 

「仲間、というより協力者でしょうかぁ?」

 

「なぜ君がちひろに協力する? 

 つーか俺を拉致したのは間違いなく君だったよな? 

 その赤いリボンが何よりの証拠だ。現に今の俺は……」

 

彼の全身は縄ではなく、よく見ると赤いリボンでぐるぐる巻きにされていた。

しかも巻き方が大変に複雑であり、体の自由を奪いながらも

関節痛にならない程度に遊びの部分も用意されていた。

 

「あなたのことは、実験台にしてしまおうかと思いまして。

 あなたはそのお年でアナスタシアちゃんを妊娠させたのに

 責任を取らないほどの最低男ですものね。

 いつ死んでもいいような男の人は、実験台にはちょうどいいです」

 

「俺が最低なことは否定しないが、何の実験台にするんだ!!」

 

「そうですねぇ。いっぱりありますけど、まずは精神に作用のあるお薬。

 それと拉致監禁した際の男性の反応や生態。それと…」

 

「もうそれ以上は聞きたくないから黙ってろ。

 俺は現役時代におまえなんかと関わらなくて俺は幸せだったよ。

 佐久間はいい。それより蘭子ぉ!!」

 

「は、はい?」

 

「お前は俺の味方じゃなかったのか?

 蘭子はどうして佐久間まゆの仲間になってるんだよ?」

 

「私にとって良い条件だったので」

 

「条件だと?」

 

「はい。まずプロデューサーさんには責任を取ってアナスタシアさんと

 結婚してもらいます。アナスタシアさんと結婚するわけですから、

 これからはあの二人と関わることはなくなりますよね」

 

「おい待て。俺は美波と夕美と事実婚をしてるんだが」

 

「そんなものはただの口約束じゃないですか。

 大人の恋愛じゃなくてオママゴトで決めた結婚なんて認めません」

 

「はぁ? なんで蘭子がそんなこと決められるんだ」

 

「私も……一緒に暮らしますから」

 

「おう、そうか。この展開だとそうなることは予想できたが、

 いやちょっと待ってくれ。つまり、どういうことなんだ?

 俺はここで何人のアイドルと一緒に暮らすことになるんだよ」

 

そこで、まゆが口をはさむ。

 

「誤解の無いように言っておきますけど、まゆはこのマンションで

 一緒に暮らしませんよ。ここへは暇な時に遊びに来るだけです」

 

「そうかい。佐久間さんに取っては俺の今の状況は遊びだなんだろうが、

 俺にとっては死活問題だ。ここに幽閉されると非常に困る。

 そこで俺と君の間で、ある取引をしたいんだが」

 

「取引ってなんです? もしかしてぇ、まゆにお金を払って

 ここから逃げ出す手助けをしてもらいたいとか?」

 

「おう。まさにその通りってわけでさ。

 売れっ子アイドルの君にとっては少ない金額に

 なっちまって恐縮なんだが、ここは1500万くらいで手を打たないか?」

 

「そうですねぇ・・・・・・まゆとしては、

 あと8500万くらいいただければ、納得しないこともないんですけど」

 

「少し額が多くないか?」

 

「アナスタシアちゃんから慰謝料として請求された額に比べたらましなのでは?」

 

「なに言ってんだ。あんな冗談をまともに受けるなよ」

 

「・・・・・・? あの人は本気みたいですけど。

 もしかしてぇ……最低男さんは払うつもり無いんですか?」

 

「むしろ払える奴いるのか? 

 いるとしたら財務大臣クラスの権力が無いと無理だろ」

 

「その件で私思ったんですけど、新田さんにお金を請求すればいいじゃないですか」

 

「いやいや、新田さんは俺の妻だし女子大生だから」

 

「妻というより自称妻ですよね。どうして自分の妻のことを名字で呼んだんですか?」

 

(やべ。そうだった。ここに美波がいなくて良かった。また殴られるところだった)

 

「話を続けますけど、その妻を名乗る人の親御さんに頼めばよろしいのでは?」

 

「……その聴き方をするってことは佐久間さんは新田家の事情に詳しいのかな?」

 

「質問に対して質問で返さないでください」

 

「うるせーな。話の流れなんだから別にいいだろ……。

 佐久間さんは新田家の父親がそんなにも金持ちだと思ってるのか?

 美波の話では製薬会社の幹部?とか言っていたが、たとえ取締役クラスの

 重役だったとしても2兆なんて金を用意できるわけねえだろが」

 

「人間はお金のことに執着すると、どんな大金でも用意できないことはないと

 ちひろさんが言ってましたよ。新田さんのお父様によーく頼んでみたら

 1兆円くらいは用意してもらえるかもしれませんよ」

 

「んなわけねえだろ。はぁ……これだから子供は」

 

「さっきから呼び方がちょっと気になりますね」

 

「あん? ああ、子供って呼ばれたらむかつく年頃か」

 

「そっちじゃありません」

 

「おいまさか……」

 

「お察しの通り。私のことを佐久間さんって呼ぶことです」

 

「……」

 

「ここまで言ってまだ伝わりませんか?」

 

「まゆ。これでいいのか?」

 

「はい♪」

 

「で、下の名前で呼んでほしい理由は?」

 

「別に深い意味はありませんよ。

 あなたが他の女の子を下の名前で呼んでるのに、まゆだけ

 名字で呼ばれたら仲間外れにされた気がしてさみしいじゃないですか。

 それにまゆは自分の名前が気に入ってるのでまゆ、って呼んでくれた方が

 うれしいんです。それが乙女心を踏みにじる最低な男の人が相手だったとしても」

 

「ところでまゆって外見はすごくかわいいよな。俺の好みだよ」

 

「へ?」

 

「なんでもない。今のは忘れろ」

 

「いいえ。忘れませんよ。今のは何のつもりなんですかぁ?

 ここにはかわいい蘭子ちゃんもいるのに、もしかして私を

 口説いたつもりなんですか? いけませんねえ。

 そんな女たらしの人にはお仕置きをしちゃいますよ」

 

まゆが、スタンガンを取り出して構えたので蘭子が立ちふさがる。

 

「お仕置きばするとは千尋しゃんの許可ば取ってからでなかといけまっせん」

 

「ちひろさんの名前が漢字で表記すると千と千尋みたいになってますよ。

 お仕置きはまゆがしたいからするわけであって、蘭子ちゃんには関係ありませんねぇ」

 

「こん人は充電切れ寸前やし、もう十分に衰弱しとるけん

 スタンガンなんて浴びせたら死ぬるかもしれんとよ」

 

「さっきから方言がすごいのだけど、蘭子ちゃんは九州地方の出身だったかしら」

 

「シリアスな状態になると標準語ば話すとがしんどうなってくるとよ。

 方言でも普通に会話でくるけん問題なかやろ」

 

「ならまゆも方言で話すわ。まゆはプロデューさんが

 生意気なごど言うがら正しい上下関係教えでけるだめの教育してえど思ったの。

 邪魔しねぁーで頂戴ね。蘭子ぢゃん」

 

「聴いたことんなか方言ね。しかも音程が低か。

 まゆちゃん。あた、さっき彼に口説かれたときに少しだけうれしそうな顔しとったやろ」

 

「馬鹿言ってんでねぁーわよ。まゆが何でこいな最低な男相手さ? 

 まゆが好ぎなのはおらをプロデュースしてける彼だげ。

 こいな男なんて虫げらぐらいの価値すかねぁーど思ってるわ」

 

「今更だばってん、いくら仙台出身でん今時ん女子高生が

 方言丸出しで会話するなんてありえんばい。

 今時仙台ん方言で話す人なんておばあちゃん世代ん人しかおらんやろ」

 

「んだ、いいごど考えだわ。おめが彼の抱える借金2兆円代わりに払ってける? 

 もし払ってけだなら彼をお仕置ぎすル辞めでける」

 

「あた、たいぎゃバカなんね。まずうちに支払い能力なんて無かし、

 百歩譲って払えたとしたっちゃ、払えてしもうたら彼ばアナスタシアに

 縛り付くる唯一ん材料が消えてしまうやろうが」

 

「うふふ。年下の子さバカって言われですまったわ」

 

「佐久間しゃんなバカやけんバカって言うたとよ。

 それに腹黒か。あた、上司たちん間で評判悪かことに気づいとらんやろ」

 

「それ言うんだらおめの中二病会話もながなが評判悪そうよね。

 一部の頭の悪そうなオタクさんたぢには大人気みだいだげど」

 

「今んな本気で頭にきたわ。それ以上しゃべれんくしちゃるばい」

 

 

蘭子とまゆの二人は取っ組み合いを初める。

その様子は、かつてのアナスタシアと相葉夕美の争いにそっくりだ。

蘭子が馬乗りになってまゆを叩くが、まゆにツインテールを引っ張られ絶叫する。

今度はまゆが馬乗りをし返して蘭子の顔をパーで殴る。

 

「あんまり顔ば叩かれたらあたみらんな腹黒ブス女になってしまうわ!!」

 

「私のことがブス……? 同性にブスって言われたの初めてかも」

 

まゆの怒りの腹パンがさく裂し、それによって生じた風圧によって

部屋中のガラス窓が破れそうになった。

 

プロデューサーは、いっそ相打ちになって二人とも死んでくれと思っていた。

 

 

彼はその日、謎の経口薬を眉に飲まされたのでその後の記憶がない。

 

夜が明け、早朝の5時なのに目が覚める。

 

ああ、どうせ風呂にも入れなかったのだろうし体中がべたべたしてるだろうな

と思ったら、そうでもない。頭を枕越しにぐりぐりすると、髪の毛は清潔に

保ってある。体は赤いリボンでゆるやかに縛られたままだが、パジャマ越しの

肌の感触が気持ち悪くない。どうやらお風呂に入れてくれたらしい。

 

「お、おい。隣に誰かいるのか?」

 

プロデューサーは目隠しをされているのでそういうしかなかった。

隣に確かに人の気配がするのだ。おそらくベッドに寝かされてるのだろうと

察しはつくが、問題は隣に誰がいるのかである。

 

「しと? プロデューサー、目がさーめたのですか」

 

久しぶりに聞いた。アナスタシアの声。

 

「アーニャ。俺は目が見えないんだ。今俺はどこにいるんだ?

 お前の顔も見てみたい。この目隠しを外してくれないか」

 

「目隠しされるの、嫌ですか?」

 

「もちろん嫌だよ。目隠しされて喜ぶ奴なんているのかよ」

 

「……」

 

「アーニャ?」

 

「わかりました。でも少しだけ、ですよ?」

 

プロデューサーの視界が広がる。最初は薄暗かった視界が

だんだんと明瞭になっていき、ここは予想通り寝室なことが判明。

下着姿のアーニャがいて(髪を切ったのか、進撃の巨人第4期に登場する

ミカサ・アッカーマンの髪形に似ている)

 

ちひろは、アーニャとは反対側で自分に寄り添っていることが分かった。

彼は両手に花の状態で寝ていたのだ。何より驚いたのは、ちひろ嬢が色っぽいこと。

普段は髪の毛をまとめている彼女だが、さすがに寝ている時はほどく。

 

少し癖のある長い茶色の髪がシーツの上で無造作に広がっている。

すっぴんだ。千川さんの化粧をしてない姿を見るのもこれが初めてなのだが、

 

(この女、むしろ化粧してない方が綺麗なんじゃないのか!?)

 

フリルやレースの付いたネグリジェ姿も情欲をそそる。

彼の隣で今も寝息を立てているのは童話の世界のお姫様のようだった。

 

彼のフル勃起しているズボンを見ながらアナスタシア15歳はこう思った。

 

(例の薬の効果が効いてますね)

 

どうやら作戦通りらしい。

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